弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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第2回イベント3日目・2

シオリとフレデリカが戯れた後、先をペインたちに譲ってから俺たちも中に入った。

 

「それにしても、好みじゃないってわりには、ずいぶんと長い間じゃれ合っていたな」

「う~ん、見た目はたしかに好みやないんやけど、なんやろ、からかい甲斐があるっちゅーか、いじる分には楽しいちゅーか、そんな感じ?」

「つまり、体のいいオモチャってことか」

「そう、それや!」

 

どうやら、フレデリカはめんどくさい女に目を付けられてしまったようだ。

内心でフレデリカに黙とうをささげから、さっさとダンジョンに意識を戻した。

遺跡の中は石のレンガで作られており、年月を感じさせる。

なにより、

 

「っと、シオリ。そこにトラップがあるぞ。踏むと作動するタイプだ」

「おっとっと、危ないなぁ」

 

遺跡の中は、かなりトラップが多い。

今のところ、俺が全部見抜いて避けているが、この30分ですでに10以上もトラップを発見した。これは、運営はまともに攻略させる気がないな?

まぁ、そんな意地の悪い運営の企みも、俺の前には濡れた紙に等しい障害でしかなかったが。

だが、ここでちょっと予定外の事態が起こってしまった。

 

「・・・プレイヤー、いないな」

「・・・そうやなぁ」

 

当初の目的であった、メダルを持っている可能性のある他プレイヤーが存在しないのだ。

先ほど会ったペインたちはもちろん、他のプレイヤーの足音さえ聞こえない。

もっと言えば、モンスターすら出くわさない。こういうところなら、ゴーレムっぽい奴とか出てきてもおかしくないと思うんだがなぁ。

 

「ずっとこの調子ってのも、あまりよくないなぁ」

「でも、今は前に進むしかないやろ?」

 

シオリの言う通り、何もない以上、俺たちは前に進むことしかできない。

とはいえ、そろそろ進展が欲しいところだが・・・。

・・・ふむ。それなら、発想の逆転と行こうか。

 

「シオリ。俺を背負って走ってくれないか?」

「は?さっきのこと、まだ根に持ってるん?」

「そういうことじゃない。いっそのこと、トラップを無視して爆走しつつ、マップを埋めながらプレイヤーを探そう。シオリのAGIなら、トラップが作動しても駆け抜けられるだろう?」

「そか、その手があったか!」

 

俺の提案に、シオリがポンッと手を叩く。

この調子でトラップを気にしながら進むと、すべてを攻略するのにどれだけかかるかもわからない。それなら、いっそ作動したトラップを避けながら進んだ方が時間的にはよっぽど有意義だ。

俺の提案に賛同したシオリは、思い立ったが吉日と言わんばかりにさっさと俺を背中に背負い、

 

「それじゃ、いくで!」

 

掛け声とともに、スタートダッシュを決めて走り始めた。

するとさっそく、ガコンッという音と共に床の一部がへこみ、横から数本の槍が飛び出してくるが、

 

「甘いで!」

 

さらに加速したシオリに当たるはずもなく、槍は空を切ってそのまま壁の中に戻っていった。

それからも、圧力式のトラップによる針や槍の嵐に巨大な丸鋸が飛び出したり、ワイヤートラップによる爆発や毒ガスなど殺意高めのトラップが容赦なく俺たちに襲い掛かってくるが、シオリはそのすべてを圧倒的なスピードで置き去りにした。そのおかげでマップも順調に埋まり、道中で宝箱もいくつか見つけた。宝箱は空が多かったが、装備を2つ手に入れることができた。

 

【錆びた長剣】

【錆びた槍】

 

この2つの装備は今はまだ攻撃力もほとんどなく耐久値も低いゴミ装備だが、大量の素材を材料にして研磨することで真の力を発揮するということだった。

収穫も得ながら、かれこれ数時間。

残念ながら、メダルを手に入れることは叶わなかったが、代わりにまだ攻略されていないらしいボス部屋を発見することができた。

 

「はぁ・・・」

「なんや。走っとらんのに息を吐いたりして」

「いや、あまりに殺意の高いトラップに、思わずため息を吐きたくなっただけだ。道理で、他のプレイヤーを見かけないわけだ・・・」

 

他にプレイヤーを見かけなかったのは、偶然鉢合わせなかったわけではなく、単純に全員トラップにやられたということだろう。

だが、俺たちは問題なく攻略できたし、おそらくは・・・

 

「おっ、また会ったな」

 

声をかけられて振り向くと、俺の予想通り、ぴんぴんしているペインのパーティーと会った。

声をかけてきたのはドラグだが、他のメンバーもやっぱりなと言わんばかりに頷いている。

 

「ここに向かう途中、何回も爆発音とか聞こえたから、もしかしたらと思ったが・・・本当に、どういうプレイをすれば無傷で突破できるんだい?」

「うちはNWOの誰よりも速いからな!」

 

ペインの疑問には、シオリが胸を張って答えた。

シオリのスピードを実際に体感したドレッドは、改めてその規格外さにむしろ引いていた。

さて、ここで会っても即戦闘というわけではないが、1つ問題がある。

 

「んで?どっちが先に攻略する?」

「今回は、君たちに譲るよ」

 

俺の質問に、ペインが迷いなく答えた。

 

「いいのか?」

「こういうのは、先に見つけた者勝ちだろう?それに、力づくで先に攻略するには、相手が悪いからね」

「正直でけっこう」

 

どこまでも慎重なプレイスタイルのペインに、俺は賞賛しながら感心した。

やっぱ、こういう正統派な実力者プレイヤーを見ると、メイプルやシオリみたいな常識の埒外のプレイスタイルの衝撃を幾分か和らげることができる。

 

「そういうわけだから、先にどうぞ」

「んじゃ、お言葉に甘えて。だから、シオリ。さっさと行くぞ」

「はいは~い。わかったで~」

 

いつの間にかフレデリカと乳繰り合いを始めていたシオリを呼び戻し、俺とシオリはボス部屋の中へと足を踏み入れた。

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