弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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第2回イベント5日目・5

「おぉ!生まれた!生まれたで、クラル!」

「あぁ。わかっているが・・・こうして見ると、けっこう感動するもんだな」

 

まるで、自然ドキュメンタリー番組で動物の出産を見たような、まんま新たな生命の誕生の瞬間に立ち会ったような感じだ。

中から現れたのは、俺の卵から黒い鷲が、シオリの卵から白い狼が生まれた。

 

「お、おぉ。まさかの予想通りの展開になったなぁ」

「模様がわかりやすかったから、ってのもあるだろうけどな」

 

感慨にふけりながら、俺は黒鷲を腕に掴まらせ、シオリはそっと白狼を抱き上げた。

俺が黒鷲の頭を撫でると、黒鷲は気持ちよさそうに目を細め、シオリの白狼もよじ登ってシオリの顔を舐める。

 

「あかん・・・メイプルちゃんとは違った意味でかわええわ・・・」

「完全に、可愛いペットって感じだな」

 

俺もシオリも、自分のモンスターの可愛さに心打たれていると、卵の殻が輝き始め、それぞれ黒と白の指輪になった。

 

「【絆の架け橋】・・・これを装備することで、一部のモンスターと共闘することができる、か。あと、死亡しても指輪の中に戻るだけで、再び呼び出すのに1日かかる、と。死亡しても消えないのはありがたいが・・・これはもう、必須アイテムだなぁ」

「それよりも!早くこの子たちのステータスを確認するで!」

 

シオリに急かされる形で、俺は自分のステータスの下にある、テイムモンスターのステータスを確認した。

 

ノーネーム

LV1

 

HP 60/60

MP 40/40

 

【STR 50】

【VIT 10】

【AGI 20(飛行時 80)】

【DEX 40】

【INT 30】

 

スキル

【ひっかき】

 

 

ノーネーム

LV1

 

HP 50/50

MP 30/30

 

【STR 45】

【VIT 20】

【AGI 90】

【DEX 30】

【INT 30】

 

スキル

【噛みつき】

 

 

「おー、おぉ~!!」

「これは・・・いいな」

 

上が黒鷲、下が白狼のステータスだが、モンスターということもあってレベル1からすでに強力だ。

メイプルとサリーの話では、モンスターを倒すことでレベルが上がり、ステータスは勝手に上昇する、ということらしい。

 

「レベル上げはどうするん?」

「んー・・・外に出るには遅いし、俺もシオリもモンスターを捕獲できるようなスキルは持っていない。今日のところは大人しく寝て、明日ちょうどいいモンスターを探そう。だが、その前に、名前を決めなきゃな」

「あっ、そうやった!」

 

いろいろなことがありすぎて、ある意味最も重要なことを忘れていたらしい。

シオリはじっと白狼を見て、唸りながら名前を考え始めた。

俺も、黒鷲を撫でながら名前を考える。

 

「そうだな・・・クローネ、ってのはどうだ?」

 

黒色とドイツ語で王冠というのをかけてみたのだが、クローネは気に入ってくれたようで、喉を鳴らしながら顔をこすりつけてくる。

 

「う~ん・・・よし、決めた!お前の名前はフウや!狼なら、風みたいに速くないとな!」

 

シオリの方も名前を決めると、フウと名付けられた白狼は嬉しそうに吠えて返事をした。

 

「は~、かわええなぁ・・・今日はこの子を抱いて寝よ」

「俺は鷲だから、抱きながらってのはできないなぁ」

 

ついでに言えば、寝る姿勢も気を付けた方がいいかもな。

 

「それじゃ、今夜は見回りしながら、できればモンスターを狩ってレベル上げもするか。見回りの時は、指輪を預けることにして」

「は~い・・・あれ?ってことは、この子を抱いて寝れへんやん!」

 

俺の提案にシオリがウガーと文句を言うが、さすがにレベル上げの機会は多い方がいいだろう。

 

「文句を言うな・・・それなら今度、家に来るか?」

「え?ええんか!?」

「あぁ。うちの奴らも、シオリのことは気に入っているからな。文句はないだろう」

「よっしゃ!」

 

俺の家はそこそこ大きく、動物も複数飼っている。

シオリも、たまに遊びに来ては愛でるおかげで、家にいる動物はだいたいシオリになついているから、シオリが来たとなれば大いに喜ぶことだろう。

 

「それなら、今回は我慢するわ」

「そうしてくれ。たぶん、レベルを上げればメイプルたちみたいに自由に出し入れできるはずだし」

 

メイプルたちが見せた時、【覚醒】と言うと現れた。おそらく、レベルを上げれば取得できるだろう。

 

「とりあえず、本格的なレベル上げは明日にまわして、今日のところは軽くでいいだろう。それじゃ、指輪を渡してくれ。俺は、近くをうろついている」

「はぁい」

 

シオリは指輪を外して、俺に渡した。

指輪を受け取った俺は、クローネとフウを連れて夜の森を歩き回った。


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