メイプルから送られたマップの場所は、俺たちが向かっていたところとはまた違う3つ目の山だったこともあって、クローネでもそれなりに時間がかかってしまったが、日が暮れる前にたどり着いた。
「ここは、洞窟か?」
「メイプルちゃんは中なんかなぁ?」
メイプルからのメッセージ通りなら、この洞窟を進んだ先にいるのだろう。
さっそく足を踏み入れようとすると、後ろから走ってくる足音が聞こえてきた。
少し経ってから現れたのは、サリーだ。
「あら、クラルにシオリ。どうしたの?」
「メイプルから、モンスターのレベル上げにちょうどいい場所を見つけたって聞いたからな。ちょうど俺たちもレベル上げをしてたところだったし、来てみたんだが・・・その様子だと、サリーは知らないのか?」
「えぇ。さっきまでプレイヤーをキルしまくってメダルを集めていたのよ。メイプルは、その中にいるはずよ」
「そうか。なら、一緒に行くか」
「そうしましょう・・・って言いたいところなのだけれど、そのでっかい鷲は?」
「あぁ、そう言えば紹介していなかったか」
ちょうどクローネの【巨大化】を解除する前にサリーがやってきたから、そのままだった。
さっさとクローネの【巨大化】を解除して俺の肩に乗せた。
シオリも、フウを呼び出して抱き上げる。
「こいつが、俺のパートナーのクローネで」
「こっちが、うちのパートナーのフウや!」
「へぇ、クローネにフウね。どっちも可愛いじゃない」
「ちなみに、フウもでっかくなるで!」
自分のパートナーが凄いということを強調したいのか、シオリが気持ち前のめりになっている。
そんなシオリを、俺とサリーはスルーしながら話す。
「紹介もしたし、さっそく中に入るか」
「そうね。メイプルのいる場所は、私が案内するわ」
「あれ?おーい、無視せんといて~!」
シオリが何やら喚いているが、気にせずにサリーの案内についていった。
しばらく歩いていると、
「うわ・・・」
「あぁ、この先にメイプルがいるのか」
「ていうか、メイプルちゃん以外におらへんやろ、こんなことするプレイヤー」
洞窟の通り道が、毒の塊によって封鎖されていた。
まず間違いなく、メイプルの【毒竜】だ。
「・・・とりあえず、メッセージを送るか。状態異常を無効化できる俺はともかく、サリーとシオリはまず通れないし」
「・・・そうね」
「・・・そうやな」
相変わらず、とんでもないことをしているなぁと遠い目になりながら、メイプルに俺とシオリ、サリーが着いたことを知らせるメッセージを送った。
メッセージを送ってからしばらくすると、毒の塊を突き抜けてメイプルがやってきた。
「クラル!シオリ!来たんだ!あと、サリーもメダルを集めたの?」
「うん。無事2枚、取ってきたよ」
「おぉ!すごいね!」
「とりあえず、これでメダル集めは打ち切りね」
「ん?2人は何枚集めたんだ?」
「えっとね、この2枚でちょうど20枚だよ!」
「へぇ、奇遇だな。俺たちも20枚だ」
どうやら、俺たちもメイプルたちも、かなり幸運に恵まれたようだ。
そもそも、今回のイベントで10枚集められたプレイヤー自体限られるのに、俺たちだけで300枚中の40枚を集めたことになる。これは、快挙だと言っていいだろう。
「あちゃあ、メダルは同じやったかぁ。でも、また集める気にはなれへんなぁ・・・」
「そうね・・・いっそ、もうここで装備を見せあって勝敗を決めちゃう?私も疲れたわ」
「うちも、気分的にもう走る気にはなれへんなぁ」
珍しく、勝負に燃えるタイプの2人がここで決着をつけることになった。
たしかに、メダルを20枚集めるために動きまくったから、精神的に疲れがたまっているのだろう。
「俺も、その意見には賛成だな。だが、その前に、メイプル。ちょうどいいレベル上げのスポットがあるって聞いたんだが?」
「あっ、そうだった。えっとね・・・」
メイプルが話すには、この先にアリの巣穴のような場所があり、20㎝ほどの弱いアリが10分に3匹ずつでてくるということだった。そこなら、俺たちのモンスターの育成にちょうどいいということで、俺たちも呼んだらしい。
「だから、一緒にどうかな?」
「なら、そこには俺とメイプルで行こうか。ていうか、シオリとサリーは行けないだろうし」
「そうやな。なら、頼んだわ」
「そうね。メイプルも、引き続きお願いね」
毒耐性を持っていないサリーとシオリは俺とメイプルに育成を任せることにして、、シオリは俺に【絆の架け橋】を託した。指輪を受け取った俺とメイプルは、毒の塊を突っ切って、メイプルの案内のもとに育成スポットに向かった。
* * * * *
毒の塊の向こうに行ったクラルとメイプルちゃんを見送ってから、うちとサリーは顔を見合わせた。
「・・・行ってもうたな」
「そうね・・・私たちは、どうしようか?」
「そうやなぁ・・・念のため、ここで見張りでもしとこか?【毒無効】あるプレイヤーなら抜けちゃうし」
「まぁ、仮に抜けたところで、メイプルとクラルに勝てるとは思わないけどね」
「それ以前に、うちを見て引き返すやろなぁ。うち、第1回イベントでけっこう暴れたし」
「そうね・・・だったら、装備を変えてみない?シオリは、顔を隠せる装備にして。そしたら、無銘の私と見ず知らずのプレイヤーだと判断して・・・」
「うちらに襲い掛かってくる、ってことか。たしかに、それはおもろそうやな。中ボスの気分も味わえるし!」
面白そう!って感じで、うちは予備の装備に着替えて、サリーから顔を隠せるローブをもらって装備した。槍も、サリーが探索で見つけたっちゅーやつを借りた。
基本的にいがみ合っとるうちらやけど、こういうところは気があうんやな~。
そんなことを考えながら、今日の残りはうちとサリーで中ボスして過ごした。
メダルは落とさへんかったけど、楽しかったし満足や!
フウの巨大化前の見た目を、中型犬くらいと変更しました。
こっちの方が、まだ巨大化前でも戦えそうだと思ったので。
それと、クローネの巨大化前のサイズは体長50㎝くらいです。