ログイン2日目。
今日はシオリは一緒におらず、1人で探索している。
なぜかと言うと、事の発端はシオリの提案だった。
ログインして、一通り装備を揃えた俺たちだったが、その後にシオリが、
「せっかくやし、3日は完全別行動にして、お互いどんなスキルを取得できるかやってみーひん?そんで、どっちがすごいスキルをゲットできるか勝負しようや!」
と言い出したのだ。
俺としても、その提案自体は悪くないと思ったのだが、後衛が1人だけで探索するというのも不安要素が多かったから、もう少し装備を整えてから、と言おうとした。
だが、言う前にシオリが「んじゃ、先に行っとるからなー!」と外に行ってしまって、結果的に1人で探索することになったのだ。
フレンドのメッセージ機能で伝えようかとも思ったが、こうなったシオリは何があっても止まらないと途中であきらめ、仕方なく俺もスキル探しの旅に出ることにした。
行き先は森ではなく、“風の峡谷”と呼ばれるダンジョンだ。
ここでは飛行型のモンスターが多くあらわれるということで、狙撃の練習も兼ねて潜ることにした。
「はぁ、相変わらず、シオリには振り回されっぱなしだなぁ・・・」
思い返してみても、最初から最後までシオリを制御で来た試しがない。
シオリの愚痴をこぼしながらも、ダンジョンに向かう足は止めない。
過ぎてしまったことを悔やんでも仕方ない。ここは仕方なく、スキル探しをするとしよう。
数分歩いて、ダンジョンにたどり着いた。
見た目としては緑はほとんどなく、どちらかと言えば荒野に近い。
周囲には、他のプレイヤーはあまり見当たらない。
「んじゃ、始めるとするか」
覚悟を決めて、俺はダンジョンに足を踏み入れた。
するとさっそく、空から中型の鳥モンスターが3体、急襲を仕掛けてきたが、矢を3本つがえ、3本とも頭に命中させて光に変えた。
特にスキルは使っていないが、これくらいならまだ何とかなるレベルだ。
その後も、奥に進みながらモンスターを迎え撃っていると、レベルアップと同時にスキル取得の音声が流れた。
『スキル【百発百中】を取得しました』
「ふむ?どれどれ・・・」
周囲にモンスターがいないことを確認してから、スキルの効果を確認した。
スキル【百発百中】
有効射程による威力低下をなくし、矢が直線上に飛ぶようになる。
取得条件
レベル15になるまで、弓矢による攻撃を1発も外さないこと。
「うおっ、何気にうれしいスキルだな」
遠距離攻撃、特に弓矢において、曲射起動を計算しなくてもいいというのは、これだけでも大きなアドバンテージになる。ついでに言えば、有効射程の威力低下がなくなるのも、長距離狙撃が格段にしやすくなってありがたい。
条件はけっこう厳しめだが、それに見合う効果だ。
試しに、たまたま目に着いた有効射程より外にいる大型の鳥モンスターに目を付け、弓を構えた。
目算では、だいたい100mちょっとか。今の状態で目視できる限界だ。
モンスターの動きを読み、着弾までの時間を計算して狙いを定め・・・矢を放った。
放たれた矢は吸い込まれるように大型の鳥モンスターに向かって飛翔し、再び頭部を貫いてHPを0にした。
余談だが、この距離でもアイテムが手に入るのはゲームならではだよな。
そんなことを考えると、再びスキル取得の音声が流れた。
『スキル【鷹の目】を習得しました』
「またか・・・今度は、どんなやつなのか」
スキル【鷹の目】
目視で視認できる距離が大幅に上昇し、視界内にいる対象の距離を表示する。
取得条件
100m以上の距離からモンスターを弓矢で倒す。
「ふむ・・・これもパッシブスキルなのか。どれどれ・・・」
大幅というのがどれだけの度合いなのか、試しに峡谷の奥を見つめてみる。
意識を集中させると、途端に視界がグンッ!とズームアップした。
「うおっ」
突然のことに思わず驚くが、すぐに気を取り直して集中しなおすと、ちょうど視界の中に中型の鳥モンスターが降りてきた。すると、モンスターの上部に“128”という数字がでてきた。この数字が対象との距離なのだろう。
偏差射撃をするときにかなり便利そうだ。
ついでに視界に入ったモンスターを射殺しつつ、新たなスキルや装備を求めてさらに奥へと進んだ。
この2つのスキルを手に入れてからは、モンスターの感知距離より外から攻撃できるため、レベルも20目前にまで上昇した。
だが、奥に進むにつれて現れるモンスターの数が多くなってきて、弓矢だけでは捌くのが難しくなってきた。
そして、レベルが20になったあたりで、とうとうモンスターが3匹、俺に接近してきた。
それでも俺は取り乱さず、
装備としては弓矢を選んだ俺だが、本来なら俺に武器の得意不得意はなく、使ったことのない武器以外ならだいたいは使いこなせる。弓矢を選んだのも、シオリの援護のためというだけで、使おうと思えば槍でも片手剣でも刀でも何でも使えるのだ。
そして、敵に接近された場合も考慮して、あらかじめ短剣を作って装備しておいたのだが、やはり正解だったようだ。
だが、慣れないスキルを多用していたからか、そろそろ集中が途切れてきた。
時間もいいところまできたし、今日のところはこれで切り上げて街に戻ろう。
今日得たアイテムも、売るなり装備の生成や強化に使うことにしよう。
後になって「そういえば弓矢って、右利きだと、弓を左手で持って右手で矢を持つんだったっけ」と気づき、1話の装備欄を訂正しておきました。