弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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ギルド結成

オフ会から2日後、ようやくメイプルがNWOにログインしてきた。

オフ会の時にリアルの連絡先も交換したため、俺とシオリはすぐにメイプルたちと合流した。

 

「おかえりや、メイプルちゃん!」

「えへへ、ただいま!」

「ふぅ、これで揃ったな」

「そうね。それで、メイプルはこの3日間のことをどれだけ知ってる?」

 

サリーの問い掛けに、メイプルはシオリに抱きしめられながら「ううん、まったく」と首を横に振った。本当に、情報も含めて全面的にゲームから離れたらしい。

それでリアルの失敗がなくなったのなら、それでいいんだろうが。

それで、俺とサリーで順番に説明した。

追加されたのは、大きく2つ。

1つ目は、大盾に防御貫通スキルに抵抗するスキルが新たに追加されたこと。取得方法も、運営から知らされる。これは、メイプルに特に関係のあることだ。

そして、もう1つが重要だった。

 

「NWOに、ギルドホームが実装された」

「ギルドホーム?」

「あぁ。この街には、入れない建物が多いだろ?今、フィールドには【光虫】っていうモブが湧くようになって、そいつを倒すと【光虫の証】っていうアイテムを確定でドロップする。それを使うことで、街にあるギルドホームを購入する権利を取得できるんだ」

「ついでに言うと、虫の種類によって買えるランクが違ってきて・・・【光虫】の数は、建物の数しかない」

「えぇ!?」

「運営は、少しずつ建物の数を増やすつもりらしいけどな。まぁ、今はあまり関係ないが」

「じ、じゃあ、急いで探しに行こう!」

 

メイプルは、慌てたように急かしてくるが、その反応は予想通りだった。

 

「心配するな、メイプル」

「メイプルもそう言うと思って、じゃん!もう取ってあります!」

「お、おぉ!ありがとう!」

「ついでに、購入するための資金も俺とシオリ、サリーで集めておいたから、すぐにでもギルドホームを探しに行けるぞ」

「本当!?クラルくんもシオリちゃんもありがとう!」

 

サリーがインベントリから【光虫の証】を取り出し、俺がメニュー画面を開いて、ギルドホームを購入するのに必要な金額、500万ゴールドを表示した。

ここだけの話、今回の件はシオリがかなり張り切って、サリーがゲットしていたのは最低ランクのものなのだが、最上ランクのものが購入できるくらいのゴールドが集まっていたりする。

こういう資金稼ぎは、シオリのAGIですぐだから、そこまで時間もかかっていない。

 

「お返しとかは、べつにいらないからな」

「まぁ、どうしてもって言うんやったら、うちらにいい装備とかでええよ」

「わかった、探してみる!」

「またあとでいいからね」

 

そんなことを話しながら、俺たちは手に入れた証のランクで購入できるギルドホームを探しに、街の外周付近に向かった。

 

 

* * * * *

 

 

街の端付近に到着したところで、俺たちは足を止めた。

中央広場やNPCの店を利用するには少し不便だが、最低ランクならこんなもんだ。

 

「さて、どこにしようか?」

「そうだね・・・せっかくだし、秘密基地っぽいところがいいかな」

「それなら、こっちに行かへん?」

「路地裏なら、たしかに秘密基地っぽいわね」

 

4人であれにしようかこれにしようかと話しながらしばらく歩いていると、唐突にメイプルが足を止めた。

 

「ここ・・・いいかも」

 

そのギルドホームがあったのは、一通りのない道の奥。そこに、ひっそりとたたずんでいた。

 

「たしかに、メイプルが好きそう」

「たしかに、秘密基地っぽいな」

「なんちゅーか、ロマンを感じるなぁ」

「ここでいい?」

「うん、いいんじゃないかな?」

「俺も右に同じく」

「うちも構わへんで!」

 

全員一致で賛成し、サリーが【光虫の証】を取り出して扉に押し付ける。

すると、白い輝きが路地を埋め尽くし、扉がゆっくりと開いた。

俺たちも、中に入って行く。

 

「おー。けっこう広いね」

 

メイプルの言う通り、中は思ったよりも広い。

内装も木製の家具が中心で、部屋の奥に青いパネルがはめ込まれていた。

それを確認すると、どうやらここでギルドメンバーの登録ができるらしい。

ギルドマスターは、メイプルにした。

メイプルにギルドマスターを譲ったサリーはもちろんだが、俺たちも自分でギルドを運営するよりかは、メイプルがマスターを務めるギルドに入った方が面白そうだということで、メイプルをギルマスにするのに賛成した。

 

「さて、これでも最低ランクだが、50人まで登録できるみたいだな」

「50人て・・・2階もあるとはいえ、さすがに多すぎひん?」

「さすがに、すし詰め状態になるだろうな・・・まぁ、あくまで限界値だし、50人にこだわる必要もないだろ」

「それもそうね。それで・・・誰か誘ってみる?急がないと皆他のギルドに入っちゃうよ?」

「うーん・・・カスミとカナデに聞いてみようか!」

「そう言うと思った。いいと思うよ」

「なら、俺たちの方でも1人誘っていいか?第2回イベントのときにフレンド登録したんだが」

「うん、いいよ!」

 

メイプルの承諾も得たところで、俺は第2回イベントで出会ったくノ一少女、モミジにメッセージを送った。

すると、すぐに返信が返ってきた。

確認すると、俺とシオリがいるギルドなら喜んで、ということだった。

その少し後に、メイプルとサリーもカナデとカスミから返事が返ってきて、まだギルドに所属していないから喜んで、ということだった。

 

「よし、それじゃあ、さっそく広場で待ち合わせするか」

「私も行ってくる!」

「いってらっしゃい」

「うちらは、ギルドホームの中をもう少し見てくるわ」

 

ギルドホームにシオリとサリーを留守番させ、俺はメイプルを背負って広場まで走っていった。

 

 

* * * * *

 

 

広場に着くと、そこにはすでにカスミとカナデが噴水の縁に座って待っていた。

2人も俺たちに気づくと、立ち上がって手を振ってくる。

 

「2人ともありがとう!嬉しいよ」

「僕も誘ってくれて嬉しいよ」

「ああ、ありがとうな」

「これからよろしくな。ところで・・・」

 

手短に挨拶をしてから、待ち合わせをしていたはずのモミジを尋ねようとすると、

 

「あっ、クラールハイトさん!」

 

すぐ後ろから声をかけられた。

振り向くと、そこには忍者装束に身を包んだくノ一少女、モミジが俺たちに駆け寄ってきた。

 

「クラルくん、この子が?」

「あぁ、そうだ」

「わわっ、第1回イベントで3位だったメイプルさん!?もしかして、クラールハイトさんのギルドって・・・」

「察しの通り、メイプルがギルマスだ」

「はわわわわっ、光栄です!!」

 

モミジは、興奮で顔を真っ赤にしながらメイプルの手を握ってブンブンする。

考えてみれば、第1回イベントのトップ3が集まっているんだよな。今になって、俺たちのギルドが尋常じゃないことに気づいた。

まぁ、楽しむことが目的だし、気にしなくてもいいか。

全員集まったところで、俺たちのギルドホームに向かおうとすると、メイプルがどこかをジッと見ていた。

何がいるんだろうと思って俺もその方向を見ると、知った人物が歩いていた。

向こうの方も俺たちに気づいたようで、近づいてきた。

 

「お、イベント振りだな」

「クロムさん!久しぶりです」

 

その人物は、第2回イベントで山頂で会ったきりのクロムだった。

クロムの方も俺に気づいたようで、山頂で会った後のことを尋ねてきた。

 

「そういえば、俺たちが突入した後、どうなったんだ?」

「メイプルとサリーの2人で突撃して、無事クリアしたぞ」

「なんとか勝ちましたけど、強かったですよー!」

「そ、そうか」

 

俺とメイプルの言葉に、クロムはわずかに声を引きつらせた。

まぁ、自分たちを瞬殺したボスに勝ったのだから、当然と言えば当然だろう。

また、俺とシオリも同じような祠があった海のボスを倒したとついでに報告すると、完全に頬を引きつらせていた。

そりゃそうだ。完全に化け物揃いのギルドになるんだし。

そこで、メイプルもダメもとでクロムにギルドに入らないか尋ねたところ、クロムからもOKをもらった。

イベントの時のパーティーはその時限りのものだったらしく、今はフリーだということだった。

ならばと、クロムも誘って俺たちはギルドホームに戻った。

 

 

* * * * *

 

 

「ただいまー!」

「戻ったぞ」

「おかえり。あれ?クロムさんも連れてきたんだね」

「偶然会って、入ってくれるって!」

「せやったら、ちゃちゃっと登録しよか」

 

新しく入った4人は、それぞれパネルに入力を済ませていく。

 

「そういえば、ギルドの名前がまだだったな」

「言われてみれば、そうだったね」

「だったら、メイプルが決めてよ」

「せやな。メイプルちゃんがギルマスなんやし」

「私もそれがいいと思うぞ」

「そうだな、俺も賛成だ」

「私も、それでいいと思いますっ!」

 

俺たち4人から言われて、メイプルは名前を考え始めた。

しばらくして、メイプルがパネルにギルドの名前を登録した。

 

【楓の木】

 

これが、俺たちのギルドの名前で、これで活動していくことになった。

 

 

 

遠くない未来、俺たちのギルドが【人外魔境】、【魔界】などと、様々な意味であらゆるプレイヤーや運営から注目されていくことになるのだが、今の俺たちには知る由もないことだった。




とうとう、人外魔境が活動を始めました。
これから、どんどんすごいことになっていくと考えると、すごい楽しみになってきます。
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