弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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情報合戦

翌日、俺は【機械仕掛けの神(デウスエクスマキナ)】の効果を確かめた。

簡単に言えば、MPを消費して機械兵や兵器を生み出せるスキルだ。

生み出す種類によって消費するMPが異なり、中には2代目戦の最後に出てきた機械竜もあった。俺の場合、MAXでも1回出したらMP切れになってしまうが。

また、生み出した兵器や機械兵はインベントリにしまうことができず、兵器は残弾がなくなったら、機械兵はHPが0になったら壊れるということだった。

どちらもバリエーションが豊富で、兵器はレーザーガンからロケットランチャー、果てはミサイルポッドまであり、機械兵は俺が遭遇した通常型や重機械兵はもちろん、偵察機用の鳥型ロボットや装甲車みたいな乗り物もあった。まぁ、こっちはクローネがいるから、使う機会はめったにないだろうが。偵察機はともかく、乗り物に関しては、なくても移動には全く困らないし。

好都合だったのは、兵器類は残弾さえなくならなければ、いくら乱暴に使っても壊れることはない、ということだ。これなら、ガンカタも問題なくできるというものだ。習ったことないけど。

とりあえず、試したいことはあらかた試して、ギルドホームに帰還した。

 

「ただいま~っと」

「お、クラルが帰ってきた」

「お、おかえりなさいです、クラールハイトさん!」

 

中では、シオリとモミジが座ってくつろいでいるところだった。モミジに限っては、未だに緊張気味だけど。

 

「それで、成果はどうだ?」

「ばっちりやで!レベルもそうやけど、スキルもいろいろとやばいのがそろっとるからな」

「へぇ。参考までに、聞いてもいいか」

「は、はいっ、わかりました!」

 

声を若干上ずらせながら、モミジは今までの成果を報告してきた。

 

【暗殺者】

相手が自分の存在を認識していないときに攻撃すると、10%の確率で攻撃に即死効果を与える。

 

【霧の都Ⅰ】

自分の周囲に霧を発生させる。霧の発生範囲は自身を中心に半径レベル×5m。

 

【闇夜の使者】

暗所にいると、自身の体を闇に溶け込ませる。

 

この3つが、シオリとのレベリングで手に入れたとのこと。

ちなみに、【霧の都】は水魔法を取得していることが前提条件とのことだった。それに、スキルレベルがあることから、スキルレベルが上がったら霧にも何かしら効果を付与できるようになるかもしれない。

もうさ、これなんてアサシンだよ。

さらに、もともと持っていたスキルも見せてもらった。

その中でもやばいのは、この3つか。

 

【凪】

スキルの使用中、自身の発生する音をすべて無くす。1分経つごとにMPを1消費する。

 

【忍びの心得】

プレイヤーやモンスターは、自身に焦点が合いづらくなる。投擲アイテムの効果が上昇する。

 

【忍術Ⅳ】

忍術に属するスキルを使えるようになる。これらのスキルは、街の中でも使える。

 

もうね、うん、運営はどうしてこんなスキルを取り入れたんだ?特に後ろ2つ。

ちなみに忍術というのは、アニメとか漫画にあるような派手なものではなく、どちらかと言えば現実のものに近い諜報系のものがそろっているということだった。影分身とか身代わりの術はあるようだが。

ていうか、

 

「こんなスキル、どこで手に入れたんだ?」

「え、えっとですね、モンスターと戦うのが怖くて、隠れてコソコソしてたら、いつの間にか・・・」

 

なんだよ、この子も十分メイプルの系譜じゃねぇか。

だが・・・うん。悪くないな。

 

「隠密系のスキルが揃っていて、今回のレベリングで攻撃系のスキルも手に入れた。なら、イベントでは大いに活躍できそうだ」

「あ、ありがとうございます!」

「ふふん、モミジちゃんはうちが育てたんや」

 

シオリが自慢げに胸を張っているが、無視してさっそくモミジに指示を出す。

 

「モミジ。さっそくだが、できるだけ他のギルドの情報を集めて来てくれないか?」

「情報、ですか?」

「あぁ。特に、【集う聖剣】と【炎帝ノ国】を頼む。俺たちでもやばいとしたら、その2つだ」

「はいっ、わかりました!」

 

モミジは元気よく返事をして、ギルドホームを飛び出していった。

 

「なぁ、クラル。別に情報収集なんてせぇへんでも、うちらなら勝てるんとちゃう?」

 

シオリは、俺たちの実力なら問題ないのでは、と言うが、そう簡単な話ではない。

 

「たしかに、俺たちならそうだろう。だが、他はそうも言ってられない。特に、メイプルは良くも悪くも注目されている。相手がどういう対策をとっているか、というのも把握しといた方がいい。俺たちだって、必ずしも揚げ足をとられないとも限らないしな。それに・・・」

「それに?」

「向こうが、どれだけ俺たちのことを()()()()()()()()も重要だ。なるべく相手を勘違いさせたままにさせるためにも、相手が何を勘違いしているのか、何を知らないのかを把握するのも悪くない、というかメイプルには必須だ」

「あ~、なるほどなぁ」

 

メイプルのスキルは、初見殺し、奇襲という面では強いが、逆に言えばタネが割れてしまえば効果は半減する。【暴虐】だって、1日1回の制限と防御貫通攻撃をしまくれば倒せるという弱点があるし、あのような姿・・・いや、もはや形態と言うべきか。まぁ、その形態があると分かってしまえば、動揺した隙を突くことも難しい。

だから、できれば情報をミスリードさせれば尚いいのだが、それはゆくゆくモミジに頼もう。

そのことを話していると、メイプル、サリー、ユイ、マイがギルドホームに帰ってきた。

 

「おっ、おかえり。どこに行ってたんだ?」

「ちょっと散歩にね。あっ、そうそう。報告しておきたいことがあるんだけど」

 

そう前置きして、お出かけの最中にメイプルたちを尾行していたフレデリカと遭遇したこと、【炎帝ノ国】か【集う聖剣】、あるいはその両方の情報を渡せば【決闘】するという条件を出し、【炎帝ノ国】の情報を得たうえでサリーがフレデリカと決闘したこと、そこである程度虚偽の情報を与えたことを説明された。

 

「なるほど・・・手間が1つ省けたな」

「と、言うと?」

「フレデリカは第2回イベントで、ペインたちとパーティーを組んでいたところに遭遇した。十中八九、【集う聖剣】に所属しているだろう。ペインたちに偽の情報を流せたのは大きい。それに、俺とシオリはペインとドレッドと戦ったことがあるし、もう1人の主力プレイヤーとも遭遇している。モミジにも情報収集に行かせたことだし、戦略の幅が広がりそうだ」

 

そう言いながら、俺は今後の方針を頭の中でまとめていく。

 

「うわ・・・クラルの顔が今まで見たことがないような悪人面に・・・」

「これが、悪だくみをしとる時のクラルや。黒いオーラが駄々洩れになっとるで・・・」

「ま、まぁ、味方なら頼もしいんじゃない・・・かな・・・」

「「こ、怖いです・・・」」

 

女性陣からはあんまりなことを言われたが、この程度でへこたれる俺ではない。

【集う聖剣】と【炎帝ノ国】とは、ぜひ楽しく遊んでもらうとしよう。




モミジちゃんには忍者属性になってもらいましたが、どこぞのチャクラ使いとかなんでも書いてある古事記の世界の住人ではなく、フツーの現実よりの忍者にしてみました。
ていうか、そうしないと「引っ込み思案な性格の小柄少女が大軍相手に無双する」とかいう訳の分からないことなってしまうので。
まぁ、試しにfateのアサシン勢を意識して書いてみましたが。
【霧の都】とか、完全にジャックをリスペクトしましたし。
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