2日目も、そろそろ日が落ちてきた辺りで、俺とシオリは引き上げることにした。
拠点に戻ると、すでに俺たち以外は全員集まっていた。
「クラルくん!シオリちゃん!おかえりなさい!」
「あいよ」
「ただいまぁ、メイプルちゃん!」
メイプルの迎えの言葉に、俺は簡単に、シオリは盛大に抱きついて返した。
「さて、メイプルたちの方はどうだった?」
「うんっ、モミジちゃんのおかげで、【炎帝ノ国】のオーブを奪えたよ!」
「はい。【ジャック・ザ・リッパー】がかなり役にたちました」
「それとですね、他のギルドのオーブも奪ってきました」
「これを守りきれば、順位は2位になります!」
どうやら、結果は上々のようだ。
「そうか。俺たちも、どうにか10個ほど奪ってきたからこれで【集う聖剣】にかなり近づくな」
今のところ1位は【集う聖剣】だが、俺とシオリでぶんどった分も含めれば、【集う聖剣】との差は一桁になる。
だが、懸念材料がまったくないわけではない。
「うーん、【炎帝ノ国】が周りを襲ってくれれば、俺たちとしても楽なんだが・・・さすがに、オーブを奪われたままだと動くに動かんか」
今回、【炎帝ノ国】は適当に壊滅させた後で、他も中・大規模ギルドを潰してもらおうと思っていたのだが、どれだけ早くても、動くのはオーブが戻ってからになるだろう。
メイプルたちのおかげでかなり戦力を削れたとはいえ、オーブを奪われたとなれば慎重になるはずだ。
必要なら、明日は俺とシオリで突いてみるのも1つの手ではあるが、もう夜になってしまう。【炎帝ノ国】について考えるのは後回しだ。
「まぁ、今はオーブ集めについて考えるか。だいぶ差が縮まるとはいえ、やっぱ効率では負けてしまうから、少しだけ奪いに行こう。メンバーは、俺、シオリ、イズ、カナデ以外だ。チームは、1つはサリー、マイ、ユイ、モミジ。もう1つはメイプル、クロム、カスミだ。だが、数は集まらなくても構わない」
「どうして?」
「俺とシオリでいろんなところを見たんだが、すでに小規模ギルドはかなり消えてるし、中規模ギルドでも脱落するところがでてきた。すでにオーブがないか、いっそギルドそのものが消えている場合もある。だから、目安としては、4時間くらいで戻って来てくれ」
「わかった!」
メンバーは全員、俺の指示に頷くが、シオリが手を挙げて質問してきた。
「1つええか?今回、なんでうちとクラルは休むん?ついさっきまで、ずっと出張っとったやん」
「1つは、俺たちが威嚇材料になって防衛が楽になるから。もう1つは、体力温存だ」
「なんでや?」
「おそらく、【集う聖剣】は今夜やってくる」
俺の言葉に、全員に緊張が走る。
なぜ、そう言い切れるのか。俺は理由を説明した。
「まず、このオーブを防衛した段階で、俺たちと【集う聖剣】の差はかなり縮まる。それを、向こうが黙って見てるままだとは考えにくい。それに、俺とシオリで蹂躙してやったから、リベンジに燃える奴らも少なからず出ているだろう。そして、向こうは暴れまわっている俺たちが少なからず疲労していると考えているはずだ。向こうから攻めてくると言った以上、この機会を見送るとも考えにくい。だとするなら、ペインたちが来るのは今夜、それも日付が変わる直前といったところだろう」
「・・・なるほどな。だから、うちとクラルは早めに休んどくっちゅーことか」
「向こうはメイプルも狙っているみたいだが、なんなら俺とシオリで散らしてやるくらいの気概でやるさ。それに、おそらくだが向こうは少なからず俺たちの情報を握っている可能性が高い。もしかしたら、メイプルたちが【炎帝ノ国】を襲撃したところを情報収集部隊が見ていたかもしれない。そうしたら、メイプルの制限も、マイとユイの攻撃力も知れ渡っていると考えた方がいい。そうなったら、かなりの戦闘力減だ。だが・・・」
「うちとクラルなら、多少知られたところで問題ない、ってことやろ?」
「あぁ、そういうことだ」
もちろん、来るのがペインたちトップ勢だけとも限らないから、少なからず戦闘は起こるだろう。
それでも、ペインやドレッド辺りは俺とシオリでどうとでもすればいい。
「だから、少しの間はみんなで頼む」
「うん、任せて!」
「たしかに、言われたらその通りね」
「っつーか、実際その方がいいだろうな。取り巻きなんかは、俺たちに任せてくれ」
これについても、全員から同意を得ることができた。
「まぁ、休むって言っても基本的にはここにいるから、防衛については心配しないでくれ。それじゃあ、頼んだぞ」
「わかった。じゃあ、いってきます!」
メイプルの元気な挨拶と共に、オーブを奪いに行くために外へと出て行った。
さて、それじゃあ俺は瞑想でもして体力回復に努めるとするか・・・。
「で?クラル君?クラル君はサリーのことをどう思っているのかしら?」
そう思っていたら、ニマニマ顔のイズにそんなことを尋ねられた。
ていうか、
「どうしてサリーがでてくるんだ?シオリとなら何度もあったが」
「あら、気づいてないのかしら?」
「イズ、クラルにそういうのを期待したらあかんで。こいつ、鈍感もええところやから」
なぜか、シオリからもディスられてしまった。
俺はカナデに助けを求めようと視線を向けたが、カナデはどちらかと言えばイズ側の人間のようで、イズの背中に隠れてムフフと言わんばかりに笑っていた。
結局、メイプルたちが戻ってくるまでに十分休むことはできたものの、妙にやるせない気分になった。
クラルの頭脳がさえわたります。
さて、実はですね、ここまで書いておきながら、クラルとサリーの関係をどうしようか、かなり持て余しています。
くっつけるにしても、どのタイミングにするかは未定ですし、どんなイベントを用意すればいいかもまったく考えておりません。
下手したら、6層とかその付近までおあずけになるまであります。
何が言いたいかと言うと、もしクラル×サリーを期待している方がいらっしゃるのなら、気長に待っていてくださいということです。