メイプルたちが出かけてから、ちょうど4時間後、再び全員が集まった。
「ただいまー!どうだった?」
「おかえり、メイプル。どうだったも何も、平和そのものだったぞ。なにせ、俺とシオリの姿を見ただけで逃げ帰るからな」
「いっそ、暇って言うても過言じゃないくらいやったな」
「不謹慎ではあるけど、あながち間違いじゃないよね」
「2人に見られた途端に、きれいに回れ右して出て行くものね。楽と言えば楽だったわ」
カナデとイズが付け加えたように、俺とシオリの姿を見ただけで諦めて帰っていくため、ほとんど何もすることがなかった。
休めたのはいいことなのだろうが、俺とシオリは鬼か何かかよ。
「そういうわけで、俺たちはなんともなかったわけだが、そっちはどうだ?」
「う~ん、クラルくんの言ってた通り、オーブがないことがほとんどだったかな」
「私たちも、結局2個しか奪えなかったしね」
そう言って、サリーはオーブを台座に乗せた。
「やっぱりか・・・実はな、たしかに襲われはしなかったんだが、来た回数はけっこう多かったんだよな。マップを見ても・・・もうだいぶやられている。たぶん、奪われては全力で奪い返すを繰り返して、死亡回数が加速しているんだろうな。このままのペースだと、実質的に3日目か4日目くらいで終わりそうだ」
結局、俺の見込みは間違っていなかったようだ。
それに、やはり俺とシオリで攻めないと、他のギルドに足で負けてしまう。
とりあえず、明日はまた俺とシオリで攻めに行くことにして、
「なら、次は【集う聖剣】待ちだな。できるだけ、この広間で休んだり、装備やスキルの確認をしておいてくれ」
俺の号令に全員頷き、各々スキルや装備の確認をしたり、仮眠をとるなどして休憩を取り始めた。俺とシオリも、皆の休憩を妨げないように、オーブを防衛できるように武器を構えた。
さて、こっちはできるだけ万全の状態で迎え撃ってやる。
だから、来るなら来い、ペイン。
* * * * *
「・・・来たか」
2日目もあと10分くらいで終わるかという時間に、最後の来客の足音が聞こえ、俺は立ち上がった。
俺の呟きに、全員それぞれの武器を構える。
現れたのは、およそ30人のプレイヤー。その中には、ペイン、ドレッド、フレデリカ、ドラグの姿もある。
「ようやく来たな、ペイン」
「あぁ。宣言通り、勝てると踏んだ上で挑みに来た」
俺の挨拶に、ペインも軽く応じる。
「お~、昨日ぶりやな、ドレッド」
「正直、俺はあまり気乗りしなかったんだが・・・昨日の借りは返させてもらう」
シオリが二ッと笑うと、ドレッドはめんどくさそうにしながらも油断なく短剣を構える。
「やっほー、昼はよくもやってくれたね~。私も、まんまとオーブを奪われた借りは返すよ」
「ここなら、あんときのミサイルなんかも使えないだろうからな。悪く思うなよ」
やはりオーブを奪われたことを根に持っていたフレデリカとドラグは、いつでも始める用意ができている。
最初はにらみ合っていた俺たちだが、戦いは俺とペインがほぼ同時に踏み込んだのを合図に始まった。
「【
「【多重加速】!」
俺は両手にガンブレードを持ち、フレデリカによるサポートでペインはさらに加速した。
ペインは下段に構えた長剣を切り上げて俺の武器を弾こうとしたが、俺は弾かれた勢いを円運動に変えて、逆にペインに右手の銃剣を振り下ろす。
だが、ペインはその動きを予知していたかのように受け流し、必殺のカウンターへとつなげる。
その一撃を俺は左の銃剣で受け止め、受け流しつつ銃口をペインに向けて発砲する。
ペインは俺の銃撃を体をひねることで躱し、後ろに回り込んで長剣を振り下ろす。
俺も勢いに身を任せて体を回転させて、ペインの攻撃を逸らしながら回転を続ける。
それを、幾度も続ける。目まぐるしく回転する視界の中で、はっきりとお互いを捉えながら、倒すために武器を振るい続ける。
「ははっ、すげぇな。剣戟でここまでやりあったのは、お前が初めてだ、ペイン」
「それはお互い様さ。俺も、剣の間合いで一撃もいれられないなんて、君が初めてだ」
激しい剣戟を交わしながら、余裕を崩さずに会話をするが、それでも不利なのは俺だ。
ペインは、ほとんどのステータスを高いバランスでそろえているが、俺はHPとVITには少しも振っていない。
何回も攻撃する必要がある俺と違い、ペインはスキルを用いない普通の攻撃でも一撃当てるだけで倒せる。
精神的負担で言えば、圧倒的に俺の方が重い。あまり長引かせると、いつボロが出てくるかわからない。
だから、まったくの互角ではダメなのだ。
となると、第1回イベントの時と同じように、流れを一気に俺に傾けさせる何かが欲しい。
そのためにも、まずはひたすらここを耐える。
一瞬、メイプルの方に避難しようかと考えたが、ちらっと見ればすでに【身捧ぐ慈愛】は解除されている。やはり、対策済みだったようだ。
ここからどう流れを変えるべきかを考えていると、その時はすぐにやってきた。
俺の左手に持っているガンブレードが、弾切れで消滅するという形で。
ようやくここまで来ました。
自分でも楽しみにしていたシーンなので、できるだけ気合を入れて執筆していきます。