クラルとペインが同時に踏み込んだ一拍後、うちもドレッドに向かって突っ込んだ。
「そんじゃ、もっかい死に戻ってもらうとするわ!」
「悪いが、何度も同じ手を喰らう俺じゃねぇよ・・・!」
真っすぐに突き出した槍を、ドレッドは軽く躱した。
それでも追撃を仕掛けようとドレッドの方を向いたら、すでに10人のプレイヤーに囲まれとった。
「これは・・・」
「お前の力について、何も考えていないと思ったのか?お前と戦うのは、これで3回目だ。偵察班の報告も合わせれば、どういうスキルを持っているのか、想像がつく・・・お前は、走っている間しかまともに攻撃できないんだろう?」
ドレッドの言う通り、うちの能力は速くなるにしろ攻撃するにしろ、『走り続ける』のがキーになる。
逆に言えば、走っていない状態のうちは非力でしかない。
だからこそ、最初からうちを走らせないようにするために、あらかじめこの包囲を作っていたっちゅーことか。
「俺は、サシでやり合うことにこだわりはないからな。確実に、お前を潰す」
「・・・ははっ、こりゃ、一本取られたなぁ」
ここが狭い洞窟の中っちゅーことを逆に利用された。
すでに2回勝っとるからって、油断しとったなぁ。
まぁ、
「それでも、うちを倒すには足りひんで」
「ぬかせ!」
うちの言葉と強がりと捉えたんか、うちを包囲していた1人のプレイヤーが襲い掛かってきた。
でも、
「遅い!」
「なっ!」
うちは身をひるがえして攻撃を避けて、槍を薙ぎ払った。
さすがに倒すことはできひんかったけど、多少のダメージは入った。
たしかに、うちは走り続けなきゃ攻撃できへんけど、足が速いっちゅーことは、逃げ足も速いってことや。
足の速いうちは、逃げに徹すればだれにも捕まえられへん。
穴はすぐに埋められるから、包囲から脱出することはできへんけど、これくらいの攻撃をさばくくらいなら余裕や。
うちはステップを刻みながら、槍をドレッドに突き付ける。
「ほら、うちを仕留めるんやろ?さっさとかかってこんかい」
「・・・ちっ、面倒なことになりやがったな。だが、どのみち逃がさねぇよ!」
ドレッドが叫びながらうちに攻撃を仕掛けてくる。
思い返せば、こうしてドレッドの攻撃を真っ向から立ち向かうのは、これが初めてやな。
こっからが踏ん張りどころや。
せいぜい、クラルの要望通りに踊るんやな・・・!
* * * * *
「うぅ、こういうのは苦手です・・・」
戦いが始まった直後、モミジは極限まで気配を消して、広間の隅で機会をうかがっていた。
戦闘に参加していないのは、もちろんクラールハイトからの指示だ。
『モミジは遊撃を頼む。隙が見つかり次第、隠密しつつ援護してくれ』
たしかに、モミジのスキルであれば1回くらい攻撃しても位置はバレない。
とはいえ、戦況はかなり激しいものになっている。それをかいくぐりながらの援護は、モミジからすればかなり難しい。
だが、
「ですが、やらないわけにはいきませんよね・・・」
「クラールハイトさんからの指示とは言え、やっぱり嫌だなぁ・・・」などと愚痴をこぼしながらも、モミジは戦場を俯瞰する。
今のところ、メイプルの【身捧ぐ慈愛】は解除されているが、それでもクロムがいい仕事をしているため、マイとユイを守り切れている。今はまだ攻撃手段が限られているメイプルも、カスミ、サリー、カナデによって十分カバーできている。
それでも、あと一歩を押し切るのが難しいのは、
「やっぱり、フレデリカさんの援護が・・・」
フレデリカによる、的確なサポートによる部分が大きい。
ほぼフレデリカ1人による支援のおかげで、サリーたちが攻め込みにくくなっている。
ならばやはり、この場で狙うべきはフレデリカだ。
とはいえ、そのフレデリカにも最低限の護衛がついている。どのように護衛の隙をついて、フレデリカを仕留めるべきか。
どうすべきか思考を回すモミジだったが、すぐに違うことに意識を奪われた。
クラールハイトのガンブレードの片方が消滅したのだ。
それでもクラールハイトは、即座にもう片方のガンブレードで迎え撃とうとするが、それもすぐに弾き飛ばされてしまう。
モミジがまずいと思ったときには、すでに遅く。
ペインの長剣は、まっすぐクラールハイトへ向けて振り下ろされ・・・。
今回は短めで。
ようやく免許合宿が終わったので、次からはもう少し内容を詰め込むことができると思います。
まぁ、まだ平針が残っているんですがね。