弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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変身

シオリが<玖>の鳥居を開放してから、しばらく後、俺も頑張って通行許可証を<漆>にまで上げた。このまま頑張れば、2週間以内に<玖>まで上げることができるかもしれない。

ちなみに、シオリは次の素材集めに行き詰っていた。

話によると、次の鳥居の解放には赤鬼の角、竜の逆鱗、天の雫が必要だという。

だが、探し始めたはいいものの、街の中の店にはそれらしき物は置いておらず、フィールドに探しに行こうにも情報がまったくない。

だから、俺やカスミ、ペインあたりが<玖>の鳥居にたどり着いたら手伝ってもらうつもりだと聞いた。それまでは、店の方をぐるぐる回っている、とも。

まぁ、シオリも鳥居の解放に明け暮れて、あまり観光できていないようすだったから、たまにはいいだろう。

そして、しばらくの間、カスミとは別行動をとることになった。

なにやら、今までにないくらい強いモンスターを見つけたとのことで、その攻略に集中したいと言われた。

あのカスミがその日のうちに倒せなかったということらしいから、よほど強いのだろう。

とりあえず、しばらくは1人で探索しようか。

今回はフィールドに出るから、【備前長船長光】はそのままに、防具を黒竜一式にした。

このまま外に向かおうとしたのだが、その前に知ったプレイヤーと遭遇した。

 

「クラールハイト」

「おっ、ペインと、ドレッドもいんのか」

「奇遇だな」

 

後ろから声をかけられて振り向くと、ペインとドレッドが俺の方に近寄ってくるところだった。

 

「俺たちはこれから、通行許可証のレベル上げに行くところなんだが・・・」

「俺もだ。だったら、一緒に行くか?人数は多い方がいいだろ」

「あぁ、構わないよ」

「俺もだ。欲を言えば、支援役が1人欲しいところだが・・・」

 

たしかに、今の俺たちでは基本的に攻撃役(アタッカー)しかいない。

だが、俺の方は今はカナデはいないし、ペインたちの方もフレデリカは来れないらしい。

 

「どうしたもんか・・・いや、回復できる奴ならいるな」

「そうなのか?」

「あぁ、ちょっと待ってろ」

 

そう言って、俺は目的の人物にメッセージを送った。

それからおよそ10分後。

 

「クラールハイトさーん!」

「おう、モミジ!こっちだ、こっち!」

 

俺が呼び出したのは、斥候役のモミジだ。

 

「あ?その子はたしか、例のくノ一少女だろ?回復なんてできるのか?」

「えっと、気休め程度ですが・・・」

 

モミジの【簡易治療】はDEX分しか回復できないが、このパーティーなら気休め程度の回復で十分だ。

それに、回復ポーションもそれなりに用意してあるから、そこまで心配しなくてもいいだろう。

さらに言えば、【霧の都】で状態異常の援護もできるから、それなりに支援役もできるのもモミジの長所だ。

そういうことで、俺たちは目的の場所に向かった。

 

 

* * * * *

 

 

「そう言えば、今さらではあるが・・・」

 

少し歩いたところで、ドレッドが忘れていたと言わんばかりに俺に尋ねてきた。

 

「クラールハイト、お前、どこでそんな武器を手に入れたんだ?ていうか、装備して意味あるのか?」

 

ドレッドが言っているのは、俺の背中にかけている【備前長船長光】のことだろう。

 

「街の中のイベントで、偶然手に入れた。スキルを度外視すれば、使うには問題ないぞ」

 

NWOでは基本的に、初期装備を決めたら、アカウントを作り直さない限りはそれを使い続ける。なにせ、1つの武器でもスキルを手に入れるのに、それなり以上に時間がかかるし、スキルを手に入れたことにはその武器に慣れているから、他の武器に乗り換えることもまずない。

さらに、俺みたいに2種類の武器を装備しても、武器スキルのレベルは片方しか上がらない。

むしろ、俺みたいに複数の武器を使いこなす方が異常なだけだ。

 

「それになぁ、刀に限れば、他のゲームで散々システムアシストなしで使って来たから、これくらいは今さらなんだよな」

「・・・さすがは、【賢者】ってところか」

「その呼び方はやめてくれ」

 

またシオリから「脳筋賢者(笑)」とか言われるから。

そんなことを話しているうちに、目的の洞窟にたどり着いた。

ここには、野盗まがいの小鬼のモンスターが現れるのだが、そいつが低確率で落とすアイテムが素材として必要なのだ。

 

「さて、こっからだな」

 

そう言って、俺は背中に背負っている【備前長船長光】を抜いた。

すると、俺の体が一瞬、ほのかな光に包まれる。

 

「これは、ちょっと驚いたな・・・」

「おい、なんだよ、その格好」

「わわわっ、お侍さんの格好です!」

 

3人が驚いているのは、刀を抜いた俺の姿が変わっていたから。

今の俺は、クエストで戦った佐々木小次郎そのままの姿になっているのだ。

【備前長船長光】を抜刀すると、自動的にこの姿になる。逆に、納刀すれば元の姿に戻る。

あくまで見た目が変わっただけなため、他の装備のスキルは問題なく発動する。

 

「クエストで戦った、剣士の霊・・・か、なんかの姿だ。刀を抜くと、勝手にこうなる」

「ほんと、【楓の木】は面白いやつばっか見つけてくるな」

 

ドレッドの言葉に、俺も思わずうなずく。なにせ、カスミも面白そうなイベントを見つけたばっかだし。

 

「まぁ、メイプルに慣れるための予行演習とでも考えておこうか」

「いや、メイプルはこれの比じゃないんだが・・・」

 

この世界に、天使になったり悪魔になったり機械を生やすメイプル相手に、初見で動揺しない奴なんているのか?

少なくとも、【楓の木】にはいない。相対したミィやペイン、ドレッドも、がっつり動揺して負けてしまったプレイヤーの代表格だし。

 

「まぁ、メイプル対策は違うときにするとして、きたぞ」

 

洞窟の奥から、刀を振りかぶって俺たちに向かってくる小鬼がでてきた。さらに奥には、札を持った術師の小鬼も控えている。

とはいえ、俺たちならてこずることもない奴らばかりだから、あっという間に殲滅する。

 

「ふぅ。さて、そろそろ・・・」

 

素材も必要数集まったから、もう戻ろうかと思ったが、ここで予想外のことが起きた。

突然、地響きが起こり始めたのだ。

 

「な、なんですか!?」

「こいつは、足音だ。奥からなんか来るぞ」

「そんな情報、聞いた事ねぇぞ?」

「おそらく、ここのモンスターを一定数倒すと現れる、エリアボスなのだろう」

 

ペインの推測が当たりなのかハズレなのかはわからないが、強力なモンスターであることには変わりないはずだ。

 

「そういえば、ペインとドレッドと一緒にボスを攻略するのは、これが初めてか?」

「言われてみれば、たしかにそうだな」

「むしろ、戦ってばっかりだったな」

「この3人なら、負ける気がしません!」

 

しれっと自分を戦力外通告したのは気にしないが、モミジの言う通りだ。

初めてのメンバーでのボス戦に胸を躍らせていると、洞窟の奥から地響きの主が現れた。

洞窟の奥から現れたのは、3つの首を持った大鬼だった。




ちょっと今回から、投稿頻度を減らすことにしました。
具体的には、2日に1回くらいですかね。
今もこのペースだと、ちょっとネタに困ってきてしまうので。
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