弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

84 / 134
燕返し

洞窟の奥から現れた5mほどの三つ首の大鬼は、異様の一言だった。

頭が3つあるのもそうだが、両手に持っている武器が武器だ。

右手に持つ大太刀は普通だが、左手に持っている木剣には卒塔婆のように文字が書かれている。

 

「作戦はどうする?」

「この面子だと、各自突っ込むしかねぇんじゃねぇか?」

「どうやって突撃するか、ということだろう」

「とりあえず、私は後ろから援護します」

 

攻撃役3人に斥候1人だと、やることがかなり限られてくる。

これならいっそ、メイプルを誘った方がよかったかもしれない。

だが、俺たちで作戦を考えていたら、先に大鬼が攻撃を仕掛けてきた。

左の木剣を大きく後ろに振りかぶると、突然木剣が炎を纏った。

 

「やべっ、散開!」

「わかっている!」

「言われなくとも!」

「はっ、はいぃ!」

 

やばいと判断した俺の指示を聞くまでもなく、ペインとドレッドもその場から飛びずさる。

次の瞬間、大鬼が木剣を振り下ろし、さっきまで俺たちがいたところは炎に飲み込まれた。

 

「なるほどな。物理攻撃と魔法攻撃を両方こなすモンスターってことか。ここまでバランスのとれたモンスターも珍しい」

 

今まで相手してきたモンスターは、基本的に物理か魔法のどちらかしか攻撃手段がなかったが、両方を使いこなすモンスターは初めてだ。

だが、大柄なだけあって、動きはさほど速くない。

 

「俺が右から攻撃するから、ペインとドレッドで左から攻撃して、できるようなら、その木剣を壊してくれ!」

「了解した!」

「破壊判定があればいいけどな!」

 

ドレッドの言うことも尤もだが、確かめないよりはマシだろう。

それに、他の雑魚敵にも武器破壊の判定があったから、ボスのこいつにもできる可能性はある。

 

「モミジは背後から攻撃を仕掛けてくれ。状態異常は効果は薄いだろうが、ないよりはマシだ!」

「わ、わかりましたぁ!」

 

モミジも、シオリとのレベリングの甲斐あって、なんとか戦える状態を保てている。

幸い、あの大鬼のヘイトはモミジに向けられていない。これなら、十分に戦えるだろう。

俺も、まずは【備前長船長光】を納刀し、すぐに【機械仕掛けの神(デウスエクスマキナ)】でアサルトライフルを生成して中距離からの攻撃を始めた。

ペインとドレッドも、それぞれ至近距離まで近づいて木剣や大鬼にダメージを与える。

 

「くそっ、木剣に破壊判定はねぇ!」

「だが、接近すれば魔法攻撃はしてこない。このまま押し切るぞ!」

 

ペインとドレッドは、木剣が破壊不可能だと分かると、今度はペインが魔法を撃ってくるパターンを見切って、魔法攻撃を封殺した。

 

「うぅ、またイズさんに製作を頼まなきゃいけません・・・」

 

モミジは、状態異常のナイフではなくイズ特製の投擲武器を駆使して攻撃し、上手く大鬼の死角を移動することで大鬼のタゲから外れる。

このまま上手くいけばいいのだが、こういうボスはHPが一定値以下になれば行動パターンが変わるもの。油断はできない。

そして、この大鬼も例外ではなかった。

HPが半分を切ると、俺たちから距離をとって力を溜め始めた。近づこうにも、大鬼も周りに紫炎の壁が現れて先に行けない。

 

「なんだか、嫌な予感がすんな・・・」

「それよりも、今、気づいたことがあるんだが・・・」

「奇遇だな、俺もだ」

「な、なんですか?」

「あの大鬼の後ろを見てみろ」

 

今、大鬼が力を溜めているその背後、そこには、槍、手斧、メイス、杖が壁にかけられていた。

そのどれもが、あの大鬼が片手で持つのにちょうどいいサイズだ。

 

「あそこに4つの武器がある。そして、あの大鬼は三つ首。ここまできたら・・・」

「ま、まさか・・・」

 

モミジが、顔を真っ青にして大鬼の方を見る。

 

「「「グゥアアアアアア!!」」」

 

その直後、大鬼の方から新たに4本の腕が生え、壁にかけられている4つの武器を持った。

これで、6本の腕に6つの武器を持っていることになる。手数は単純計算で3倍だ。

 

「まさか、阿修羅をモチーフにしていたとはな・・・」

「ちょちょっ、どうするんですか!?」

「どうするもなにも、ごり押しするしかないだろ」

「くそっ、マジでフレデリカを連れて来ればよかったな・・・」

 

俺の方も、本格的にメイプルを誘わなかったことを後悔してきたよ。

だが、ここで弱音を吐いても仕方ない。

・・・そういえば、さっきまでの攻撃で、大鬼は顔への攻撃が最もダメージが通っていたな。そして、最低でも1つの首を、攻撃をくらわないように守っている節があった。

 

「ペイン、ドレッド、できるだけあの大鬼をひきつけてくれ。俺は、あの三つ首を()()()攻撃してみる」

「はぁ?」

「本当に、そんなことができて・・・いや、それよりも、勝算があるのか?」

「賭けだが、最低でも1つの首を守るように動いていた。試す価値はある」

「なるほどな・・・そういうことなら、任せとけ」

「あぁ。その代わり、クラールハイトも頼むぞ」

「わかっている・・・それじゃあ、いくぞ」

 

掛け声をかけて、俺は【備前長船長光】を抜刀し、大鬼に向かって疾駆した。

大鬼は、雄たけびを上げながら俺に向かって武器を振り下ろすが、ペインによって逸らされたり、ドレッドによってバランスを崩されて外れる。モミジも、苦無を投擲してできるだけ注意を散乱させる。

しびれを切らした大鬼は、俺に向かって思い切り大太刀を振り下ろしてきた、

それこそ、俺の狙い通りだった。

 

「はぁっ!」

 

ガァン!

 

俺は大太刀をギリギリで避けて、地面に振り下ろされた大太刀を思い切り踏みつけた。

それは、僅かな時間しかもたない、顔まで続く大太刀と腕の橋だ。

他の腕の動きはいっさい見ずに、思い切り大太刀と腕の上を走り抜ける。

そして、一気に大鬼の顔面まで近づき、

 

「【秘剣・燕返し】!」

 

1日3回限りの、同時三連続斬撃を放った。

斬撃は狙いたがわず大鬼の3つの首を同時に斬り裂いた。

すると、大鬼はすべての武器を手放し、腕を顔に当てて苦しみ始めた。

 

「ここが攻め時か!【断罪の聖剣】!」

「【クインタプルスラッシュ】!」

「【霧の都】!【聖母解体(マリア・ザ・リッパー)】!」

 

この隙を見逃さず、ペインたちはそれぞれの持つ高火力スキルをたたきつける。

俺も、抑える手の指の隙間を縫うように攻撃し、弱点に斬撃を当て続ける。

腕を増やした代償なのか、先ほどよりも速いペースでHPは削れていき、あっという間にHPは0になった。

 

「ふぅ、思ったより楽勝だったな」

「あの、クラールハイトさん。このパーティーだと当然だと思いますけど・・・」

 

たしかに、NWOでもトップに入るプレイヤーが集まったわけだから、野良湧きのボスくらいならどうにでもなるか。

そして、ボス限定の装備品が落ちていた。

 

『阿修羅の数珠』

【HP+100】【STR+20】【INT+20】

 

「う~む・・・いらんなぁ」

「あ~、クラールハイトさんなら、そうかもしれませんね」

 

効果自体は破格の性能だが、俺はHPが上がったところであまり意味はないし、最近は魔法を使うこともないからINTも腐ってしまう。

俺が持ったところで、焼け石に水だろう。

 

「こいつは、カナデへの土産にするかな。INTも上がるし」

「ずいぶんと贅沢なことだな」

 

モミジと話していると、ドレッドとペインも近づいてきた。

 

「俺たちは、ありがたく使わせてもらう予定だぜ」

「まぁ、他の装飾品との兼ね合いになるだろうけどね」

 

どうやら、この2人は2人ですでに強力な装飾品を身に付けているらしい。

かくいう俺も、チートレベルの装飾品2つにテイムモンスターの指輪という超がつく贅沢仕様だからな。ステータスアップだけだと物足りない。

結局、この日はこのまま街まで戻って解散となり、【阿修羅の数珠】もカナデに渡してログアウトした。




コロナの影響でずっと家の中にいるせいで、なかなかいいネタが思い浮かばない・・・。
後書きすら思い浮かばなくなりかけた時点で、かなりやばいですね。
リフレッシュの手段が絶望的に少なくて、頭の回転が悪くなっている気がします。
やばいときは文章を書く気すら起きなくなりかねないので、適度に頭をほぐしながら活動していけたらと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。