「「・・・・・・」」
「え、えっと・・・」
町の中にあるカフェの一席で、俺たちは微妙な空気になっていた。
その理由は、シオリが提案したスキル対決の結果なのだが、少しややこしいことになっている。
事の発端は、シオリと合流した後だった。
さっそくスキル比べをしようと、他プレイヤーに情報が漏れないように個室のあるレストランに向かおうとしたら、偶然メイプルと遭遇したのだ。
しかし、その格好は遭遇当初の初期装備ではなく、黒い鎧に黒い大盾、黒い短剣という姿だったのだ。
俺とシオリも、お互い始めて見る装備になっていたことに驚いていたが、まさかメイプルも、とは思っていなかった。
そこでメイプルが何をしていたのか尋ねてきたので、俺がスキル対決のことを話すと、シオリが「せっかくやし、メイプルちゃんが判定してくれへん?」と言ってきたのだ。
もちろんメイプルは「人のスキルを見るのは申し訳ないですから・・・」とやんわり断ったのだが、シオリが「後生やから~、一生のお願いやから~」と粘りに粘り、最終的にメイプルが「じゃあ、私のスキルも見せますから、それでおあいこってことで」という形に収まった。取得条件は話さないということも追加して。
そうして、俺とシオリ、メイプルで個室レストランに入り、互いの成果を報告した。
最初に俺が発表し、次にシオリが発表した段階では、「けっこういい勝負だなー」くらいの感覚だったが、最後のメイプルがとんでもないことになっていた。
まず、シオリも持っていた【
まぁ、この時点ならまだシオリも似たような感じだからまだ大丈夫なんだが、その後が問題だった。
まず、攻撃スキルである【
さらにひどかったのが、【悪食】というスキルで、あらゆるものをMPに変換することができるらしいのだが、プレイヤーやモンスターはもちろん、魔法や攻撃、アイテムなんかも吸収するとのことだった。
さらにさらに、メイプルが身に付けている装備もユニークシリーズらしく、効果はVITの上昇にスキルスロット、そして【破壊成長】だ。
【破壊成長】はその名の通り、壊れるたびにVITが上昇して修復され、壊れてもその間に数値上の影響はないという。
スキルスロットは、持っているスキルを捨てて対象に付与することができる機能で、1日5回まではMPを消費せずに使えるとのことだ。スキルスロットは、15レベルごとに1つ解放されると言う。
メイプルは盾に【悪食】をセットしたらしく、その結果、盾に触れるだけで即死し、アイテムもロスト、攻撃も一切きかず、盾で受けるたびにMPが回復、余剰分は結晶となって盾に装飾品のように取り付けられており、MPタンクの役割も持っている。
最終的に、メイプルには一切の攻撃が通じず、MPもすぐに補充されるから、離れても【
最初はまだ「すごいな~」くらいの感じだったが、途中あたりからだんだん胃が重くなっていって、最終的には俺とシオリのスキルとかがしょぼく見えてきてテーブルに突っ伏してしまい、完全にお通夜ムードになってしまった。
それが、今の俺たちの状況だ。
もちろん、俺とシオリのスキルも決して弱いわけではない。むしろこっちもチートレベルですらある。
だが、それ以上にメイプルのスキルが埒外というか、いったいどんなプレイをしたらこんなことになるのか・・・。
結論、スキル対決はメイプルの勝ちで決まった。
「・・・はぁ、うち、けっこう自信あったんやけどなぁ」
「安心しろ。俺も同じだ」
「え、えっと、お2人も十分すごいですよ!」
「「その気遣いが逆に傷つく・・・」」
「はわわわわわ・・・・」
完全に意気消沈してしまった俺とシオリだが、メイプルがあわあわしている姿を見てなんとなく元気が湧いてきた。
「ま、まぁ、別にメイプルちゃんが気にすることやあらへんよ。これはうちらの問題やからな」
「そ、そうだな。別にメイプルが俺たちに気を遣う必要なんてない。メイプルは、自分がやりたいようにプレイすればいいさ」
「クラールハイトさん、シオリさん・・・ありがとうございます!」
俺たちの励ましの言葉で立ち直ったのか、メイプルは嬉しそうな表情になって俺たちの手を握ってきた。
「あぁ、それと、別に俺たちに敬語はいらない。多分、同い年くらいだろうしな。呼び方もクラルでいい」
「そうやな。うちも、かしこまった態度じゃなくて、もっと砕けた感じでええで。そっちの方がうれしいし」
「そう・・・だね!改めて、よろしく、クラルくん!シオリちゃん!」
「おう、よろしく、メイプル」
「よろしくな、メイプルちゃん!」
最終的に、メイプルといい感じに打ち解けて、雨降って地固まる、な感じになったのが幸いだ。