BS×スタートゥインクル~12星宮に導かれたもの~   作:風森斗真

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ブルーキャット、再び?!

 プリンセススターカラーペンを所持するドラムスとのバトルに勝利した導はバトルフィールドから帰還した。

 同じタイミングでドラムスも帰還していたのだが、まさか自分が敗北するとは思っていなかったのか、膝をつき、呆然としている。

 そんなドラムスに近づき、導は右手を差し出す。

 

「なんの、つもりだ?」

「そのままじゃ話したくても話せない」

 

 それに、と導は笑みを浮かべながら続ける。

 

「バトスピをした後は、互いの健闘をたたえて握手をするものだ」

「……ふふっ。地球には随分と変わった風習があるんだね……」

 

 ドラムスは笑みを浮かべながら、導の手を取る。

 導はドラムスを助け起こすため、引っ張り上げようとした。

 だが、ドラムスの身長も体の大きさも、導の倍以上はあったため。

 

「……すまん、やっぱ自分で立ってくれ」

「まぁ、無理だろうな」

 

 助け起こすことができず、ドラムスは苦笑を浮かべながら、自力で立ち上がった。

 

「さて……確かにバトスピの勝負には負けた。約束通り、スタープリンセスの力は君たちに渡そう」

 

 そう話すと、ドラムスは近くにいた警備員に視線を向け、導たちを屋敷内に案内するよう指示を出す。

 警備員はその指示に従い、導たちを誘導する。

 促されるままついていき、しばらく歩くと、導たちの目の前に鍵のかかった重厚な扉が立ちふさがった。

 

「少々、お待ちください」

 

 警備員が扉を開けようと、鍵穴に鍵を差し込む。

 だが、その違和感に警備員の顔に焦りが浮かぶ。

 まさか、と一言呟くと、警備員は扉を開ける。

 

「うわぁっ!!」

「こ、これは……」

 

 扉の向こうに広がっている金銀財宝や宝石、石像や絵画など、ありとあらゆる貴重品がそこには広がっていた。

 その部屋の奥に、プリンセススターカラーペンを保管したケースがあったが、その隣にあるスペースに、見覚えのあるシルエットがある。

 その姿に気づいた警備員とプルンスが同時に声をあげた。

 

「貴様、何者っ?!」

「怪盗ブルーキャット!!」

 

 その声に気づいたのか、ブルーキャットはこちらの方へ振り向き、素早く警備員に向かっていき、その顔にスプレーを噴射する。

 睡眠薬かしびれ薬の類をスプレーしたのか、警備員は即座に対応することができず、その場に倒れ込んでしまった。

 当然、ひかるたちは何をしたのか、慌てた様子でブルーキャットに問いかけるが。

 

「安心なさい。ただの眠り薬よ。二、三時間すれば目を覚ますわ」

 

 と、傷つけていないことをあっけらかんとした態度で話す。

 ブルーキャットはそのまま視線を導の方へ向け、口元に笑みを浮かべながら語りかけてくる。

 

「意外と早い到着だったわね。もう決着がついたのかしら」

「見ていたのか」

「えぇ。あなたが一人でドラムスに交渉しようとしていたときからね」

 

 にやり、と笑みを浮かべながら、ブルーキャットはそう告げる。

 

「本当はあなたたちに力を借りようと思ったのだけど、囮になってくれてたおかげで簡単に侵入できたわ」

「別にお前に助力するつもりはなかったんだがな」

「そうだよ! それに導くんは最初からドラムスさんと話をするつもりで邸に入ったんだよ!」

「最初から盗みを働こうとしてたお前とは違うでプルンス!!」

 

 辛かった時期にブルーキャットのもう一つの顔である宇宙アイドル、マオの歌声とパフォーマンスに救われたプルンスは、彼女の言葉に激しい怒りをぶつけている。

 悪事を働こうとしているから、というよりも、ブルーキャットに青春を奪われたという私怨からの怒りのように思えるのだが、導たちは気にせずにブルーキャットのほうへ歩み寄っていく。

 

「あぁ、安心して。スタープリンセスの力はあなたたちに渡すわ。わたしはこっちのほうに用があるの」

 

 そう言って、ブルーキャットは虹色に輝く巨大な宝石と、その宝石と同じ輝きを放つ装飾が施された美術品に視線を向ける。

 

「それって、オークションに出品されてた」

「惑星レインボーの宝でプルンスな」

「えぇ……」

 

 突如、その星に住む全住人が石化したことで滅びてしまった惑星で採取された希少価値が非常に高い宝石。

 当然、金に物を言わせてあらゆる貴重なお宝をコレクションすることが趣味であるドラムスも持っていた。

 その情報をつかんだからか、こうしてブルーキャットも侵入してきたのだろう。

 ふと、その口元に笑みが浮かんでいることにひかるとえれな、プルンスは気づく。

 その笑みは、先ほどまでの自分が持つ感情をごまかすための微笑みではなく、心の底から浮かんできた、本当の笑顔のようにひかるもえれなも感じていた。

 

「さて、それじゃ」

 

 話を切り替えるように、ブルーキャットは腰のポーチに手を伸ばし、ボールのようなものを取り出し、放り投げた。

 すると、ボールは巨大なコンテナのような箱へと変化する。

 ひかるたちが驚きの声をあげると。

 

「これはカプセル倉庫よ。この中にお宝を入れていくの」

 

 簡単に説明し、せっせとお宝を詰め込んでいく。

 ある程度の量を詰め終わり、とんずらしようとした瞬間。

 

「悪いけど、そうはさせないよ!」

 

 部屋の上部から、突如、ドラムスの声が響く。

 視線を向けると、黄金の竜の装飾が施された出窓のような場所でドラムスが仁王立ちになっている姿がそこにあった。

 そのドラムスの手には、スイッチのようなものが握られており。

 

「導、と言ったね。君は早くスタープリンセスの力を持っていくがいい! 僕はブルーキャットの方に用があるんでね!!」

 

 そう言うと、ドラムスは手元のリモコンのスイッチを押す。

 すると、突然、装飾のドラゴンが動き出し、近くにあった美術品を握りつぶした。

 

「なっ??!!」

「自分のコレクションを壊したルン?!」

「何を考えてるの?!」

 

 突然、自分のコレクションを壊したことにララとえれなが困惑して悲鳴を上げる。

 だが、ドラムスはまったく意に介する様子もなく。

 

「ブルーキャット。金に物を言わせて調べさせてもらったよ。君は惑星レインボーの宝以外、盗み出したものは貧しい人に渡しているそうじゃないか」

 

 どうやら、ブルーキャットは非合法な手段でお宝を奪い取ることやお宝を盗み出すまでの過程を楽しむ快楽者でもなく、貧困層の支援のために窃盗を行う義賊のような怪盗だったらしい。

 だが、ドラムスからすれば。

 

「お宝の価値もわからない、さもしい一般人に僕のコレクションを渡すくらいならここで粉砕する! コレクションはまた買い直せばいいしな!!」

 

 価値あるものはその価値をわかるものが持つべき、という考えであるらしく、ブルーキャットの行動はひとかけらも共感できる部分がないようだ。

 ドラゴンの手は、次々に美術品を破壊していき、ついにブルーキャットのカプセル倉庫へと手が伸びる。

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