BS×スタートゥインクル~12星宮に導かれたもの~ 作:風森斗真
まぁ、原作をある程度改変させているわけですから、いたしかたないと言えばそこまでですけれども……
盗んだ美術品を貧困層の人々の支援に使っていたブルーキャット。
だが、ドラムスは価値あるものはその価値を理解できる人間の手元に置くべきという考えから、ブルーキャットにコレクションを奪わせまいとして、奪われるくらいなら破壊することを選び、次々に自分のコレクションを破壊していった。
その手はついに、惑星レインボーの宝を収納したカプセル倉庫にも届き。
「この倉庫に入っているものだって……っ!!」
倉庫ごと、中に入っているものを壊そうとしだしていた。
その姿に見苦しさを感じ、導はカードケースから『射手星鎧ブレイブサジタリアス』のカードを引き抜き、頭上に掲げる。
その瞬間、カードから赤い光があふれ、導を包み込む。
光が収まると、赤い鎧をまとった導の姿がそこにあった。
それに続くように、ひかるたちも。
「みんな、プリキュアに変身するよ!」
ペンダントを手に取り、スターカラーペンを取り出していた。
「スターカラーペンダント! カラーチャージ!!」
『煌めく、星の力で!!憧れの"わたし"描くよ!!トゥインクル、トゥインクル、プリキュア!トゥインクル、トゥインクル、プリキュア!スター☆トゥインクル……スター☆トゥインクルプリキュア!♪』
「空に輝く、きらきら星! キュアスター!!」
「天にあまねく、ミルキーウェイ! キュアミルキー!!」
「宇宙を照らす、灼熱の煌めき! キュアソレイユ!!」
「夜空に輝く、神秘の月明かり! キュアセレーネ!!」
『スタートゥインクル! プリキュア!!』
四人が同時に変身すると、変身する姿を見ていたドラムスは驚愕の声をあげる。
だが、そんなドラムスをよそに、スターたちは床を蹴り、ドラゴンの手に取り付く。
未来もカードケースからカードを引き抜き、再び頭上にかざす。
「マジック『リミテッドバリア』を使用!!」
その瞬間、カプセル倉庫をドラゴンの手から守るように、六角形の光がコーティングされる。
さらにスターたちはカプセル倉庫から引き離そうと、ドラゴンの手を押し上げていく。
「なぜだ、なぜそこまで必死になるっ?!」
なぜブルーキャットが盗もうとしていたものを守ろうとするのか、ドラムスは理解できず、叫んでいた。
ブルーキャットもまた、なぜ変身したのか疑問を呈してきたが。
「だって、ブルーキャット、笑ってたもん!」
「は?」
「レインボーの宝を見ていた時のブルーキャットの顔は、笑ってたんだ。いつもの笑顔じゃない、本当に、心から出た笑顔だった!」
「サングラスつけてたってわかるよ、ブルーキャットは本当にその宝物が大好きだってこと!」
その大切な宝を壊させたくない。
その想いが、スターたちを突き動かしているようだ。
「なら、君はどうなんだ?! 馬神導!!」
ドラムスは突然、導の方へ視線を向け、問いかけてくる。
どうやら、導がカードの効果を現実でも使うことができることを知っているらしい。
「別に俺はそこの怪盗の笑顔がどうとか、怪盗が宝をどう思っているのか。そんなものは知らん」
「なら!」
「だがな」
導は視線をだけでドラムスを制し、静かに続けた。
「やり方こそ間違っているかもしれないが、自分と似た境遇の連中をどうにかしてやりたいって思いは、味方してやりたくなる」
導の両親、馬神弾と馬神まゐは地球をよりよい世界にしようと貧困層の集まる地域や発展途上にある地域の支援を現地で行ったり、国際機関にその地域の現状を伝え、どうにか支援の輪を広げてくれないか訴える活動を行っている。
それを知っている導は、ブルーキャットの行動に何か感じるものがあったのだろう。
だからこうして、ドラムスを止めようとしているのだ。
まるでバトルフィールドに立っているときのような強く冷たい視線に気圧されたのか、ドラゴンの動きが少しばかりゆるむ。
その隙に、ミルキーがドラムスの手にあるリモコンがこのドラゴンを止めるために必要になることを話す。
「なら、わたしに任せてっ!!」
その言葉を聞き、ドラゴンの手を抑えていたスターがドラムスに向かって跳び上がる。
ブルーキャットもそれに遅れて、ワイヤーロープを巧みに使い、ドラムスの目の前に着地した。
「悪いけど、任せられないわ……信じられるのは自分だけなのよ!」
「え……」
同時に着地したスターに対し、ブルーキャットがそう宣言すると、ドラムスに詰め寄り、リモコンを渡すように迫る。
「さぁ、そのリモコンを渡しなさい! それで終わりよ!!」
「ぐぅ……っ!!」
「いいや、まだ始まってすらいないな」
ドラムスが抵抗し、半歩下がると、背後にある扉の向こうから部外者の声が響く。
扉が開くと、そこにはノットレイターの構成員と、レーザーブレードを持ったカッパードが姿を現した。
「やはり俺は幸運と見える。スタープリンセスの力を探していたら、プリキュアにも会えたのだからな」
「カッパードっ?!」
「なんだ、お前らはっ?! どうやってここに来た?!」
突然の乱入者に、ドラムスも動揺を隠せず、怒号をあげる。
だが、その怒号を涼しい顔で受け流し、カッパードは空から侵入したことをドラムスに告げ。
「我が刃よ! とくと吸え!!」
どぶのような色をした光を自分の武器にまとわせ、をドラムスへと向ける。
その瞬間、ドラムスの胸に黒い光をまとうハートが出現し、ドラムスの体から離れていく。
「歪んだ、イマジネーション!!」
そのハートがカッパードの武器に吸い込まれると、ドラゴンの頭のような装飾を持つ、三つに分かれたこん棒――三節棍へと姿を変える。
ハートを吸い込まれたドラムスは気を失い、その場に倒れ、リモコンが床に落下した。
ブルーキャットがそのリモコンを手に取り、ドラゴンの動きを止めると、ミルキーたちがスターとブルーキャットに合流する。
その瞬間、カッパードはドラゴンの頭がついた棍を回転させ。
「まとめて、片付けてやる!!」
遠心力を利用した勢いで武器を振り回す。
スターとソレイユは後ろに飛びのいて、ミルキーとセレーネ、ブルーキャット、導は身をかがめてその攻撃を回避する。
だが、後方は壁がなく、床もない空間であったため、スターとソレイユはそのまま下の階の宝物庫に落ちていく。
「逃がさん!」
カッパードは二人を追いかけて下へ降りていく。
その後に続くように、構成員たちが駆け寄ってくるが。
「あなたたちの相手は」
「わたしたちルン!」
セレーネとミルキーが迎え撃つ。
当然、一緒にいた導も迎え撃つこととなり。
「マジック『サジットノヴァアロー』を使用!!」
カードケースから赤のマジックを引き抜き、使用を宣言する。
その瞬間、導の右腕に取り付けられたボウガンに炎の矢が装填され、弦が引かれた。
なんとなく、その後にどうすればいいのかを理解した導は右腕を前方に突き出し、左手で右腕を支える。
「ミルキー、セレーネ! 跳べ!!」
その合図に半歩遅れて、導は右手を強く握る。
その瞬間、装填された炎の矢がまっすぐに構成員たちの方へ飛んでいき、彼らを吹き飛ばした。
一方、階下では、強化されたカッパードの武器にスターとソレイユが吹き飛ばされただけでなく。
「これか」
「ま、まずい……」
スタープリンセスの力のありかをカッパードに知られてしまい、回収されてしまう。
「スタープリンセスの力、いただい……」
だが、カッパードが撤退するよりも早く、上から飛んできた青いカードに目をふさがれてしまう。
そのカードは、ブルーキャットの予告状だった。
「キュアスター!」
「オッケーっ!! たあぁぁぁぁぁっ!!」
ブルーキャットの合図で立ち上がったスターがカッパードの武器に向かってアッパーを決める。
スターのパンチで、カッパードの武器に施された、ドラゴンの装飾の口の中に入っていたスタープリンセスの力がソレイユの方へ飛んでいく。
ソレイユは飛んできたそれをつかむと、スタープリンセスの力はおとめ座のプリンセススターカラーペンへと変化する。
「プリキュア! おとめ座!! ソレイユシュートっ!!」
おとめ座のプリンセススターカラーペンの力を受けたソレイユシュートを受け止めるカッパードだったが、受け止めきれず、ドラゴンの口の方へと弾き飛ばす。
突然、ソレイユシュートが前方から放たれたため、対応しきれなかった構成員たちは吹き飛んでしまう。
どうにか対応できたミルキーとセレーネ、導の三人は後方へと跳び、宝物庫へと降りてくる。
「みんな、いくよ!」
四人そろった時点で、スターが合図を送る。
その瞬間、四人は互いの背中を預けるような陣形を取った。
「「「「
「スタートゥインクル!」
「ミルキートゥインクル!」
「ソレイユトゥインクル!」
「セレーネトゥインクル!」
「「「「四つの輝きを、いま一つに! プリキュア! サザンクロス・ショット!!」」」」
四人のイマジネーションの光が南十字星の形に変わり、カッパードを飲み込もうとする。
さすがにその光にのまれたら無事では済まないと悟ったのか、カッパードは武器を手放し、回避した。
そのおかげか、カッパードはサザンクロス・ショットによる浄化を免れたが、武器は浄化されてしまい、取り込まれていたドラムスのイマジネーションが浄化され、ドラムスの中へと戻っていく。
「くっ……今日は武器の調子がよくなかった!」
カッパードは負け惜しみを言いながら、その場から逃げていった。
その後、さすがに何度もひどい目にあったことと、導とバトスピで敗北したことが重なったからか、ドラムスは意外とすんなり、スタープリンセスの力をひかるたちに渡してくれた。
だが、ブルーキャットが以前のオークションで盗んだ品物については返却を求め、交渉しようとしたらしく。
「ブルーキャットから、俺たちがあんたの私兵になるからと言われて、勧誘したと」
「そういうことだ!」
ドラムスが雇用しているドラゴン団に迎え入れることを宣言していた。
さすがに地球以外の惑星に長い間いるわけにはもいかないため、ノリノリになっていたひかる以外の全員がその申し出を断ったことは言うまでもない。
もっとも、お人好し集団でもある彼女たちは。
「ドラゴン団には入らないけど、なにか困ったことがあったらかけつけるから」
と、無償で有事の際の手助けを約束していた。
そんなひかるたちの様子を、ブルーキャットは上空から見下ろし、不敵な笑みを浮かべながら。
「プリキュア、スタープリンセスの力……けど、最後に笑うのは」
どこか不穏な言葉を口にしていた。
そのことを知っている人間は、その場には誰もいない。