BS×スタートゥインクル~12星宮に導かれたもの~ 作:風森斗真
バトルは次回に
「気持ちだけで結構にゃん……そこの彼にも話したけど、最後に頼れるのは、自分だけなのよ!!」
スターパレスから帰還したひかるたちが、自分たちもレインボーの人々を救うことに協力するとブルーキャットに告げたのだが、告げられた本人はそう返し、煙球を地面に叩きつける。
周囲が煙に包まれている隙に、ブルーキャットはひかるが抱いていたフワとひかるたちが持っていたプリンセススターカラーペンを盗み取り、その場から離れていった。
幸い、導の持つ12宮Xレアは扱い方がわからなかったのか、それとも最初から対象外だったのか、手出しすることはなかったのだが。
ブルーキャットにプリンセススターカラーペンを盗まれ、フワも連れ去られたひかるたちは動揺するが。
「ペンダントは残ってるんだ。いつものやり方で追跡できるだろ」
という導の一言で、冷静になり、ペンダントを使ってプリンセススターカラーペンを探し始めた。
しばらくすると、ペンダントがプリンセススターカラーペンの存在をキャッチし、反応を示す。
「あった!!」
「追いかけるルン!!」
その瞬間、ひかるたちはペンの反応を追いかけ、移動を開始する。
「それにしても、12宮Xレアもそうでプルンスが、ペンダントが盗まれていなかったのは幸いだったでプルンス」
「まだこの惑星にはアイワーンが――ノットレイダーがいる。襲われることも考えて、なんだろうな」
「悪人なのかそうじゃないのか、まったくわからないことをするでプルンス」
何とも言えない表情を浮かべながらそう話すプルンスだったが、導はブルーキャットの行動原理をなんとなくであっても、理解しようと努力していた。
――手段を選んでいられないから、盗みも行う。けれど、だからって誰かが傷つくことは許せないんだろうな
あまりにも突然に、自分の同胞を奪われてしまったのだ。
そんな思いをほかの誰かに味わってほしいと思っていないからこそ、自衛の手段として盗まずにいたのだろう。
あるいは、残りのプリンセススターカラーペンを自分の手で集め、レインボー星の人々を救ったあと、ひかるたちにフワとプリンセススターカラーペンを返すことができるよう、わざと自分を追いかけることができるようにしたのか。
いずれにしても。
「まだ説得できる余地はあると思う。けど、あいつが協力できる状態になるとすれば、それは星奈の行動を見てからだろうな」
ひかるの行動やアイデアは、なぜか周囲の人間も巻き込み、意外な方向へ事態を持っていくことが多い。
それらが悪い方向へ働くことがないわけではないのだが、最近はララたちのサポートがいい具合に噛みあい、最善とはいかなくとも、良い方向へ向かっていくため、導はそこに期待するつもりなのだろう。
その後も、ペンの反応を追いかけ続け、ひかるたちは祭壇らしき場所へと到着する。
そこには、ブルーキャットとフワだけでなく、レインボー星人の石像が鎮座していた。
追いかけてくることは予想していたのだろうが、想定よりも早かったことに驚きを隠せなかったのか。
「意外と高性能なのね、そのレーダー」
あくまで冷静を装っていたが、その声色から少しばかりの動揺を感じ取ることができる。
むろん、追いついたひかるたちはフワとペンを返すよう要求するが、導は何も言わず、成り行きを見守っていた。
いつまでも平行線の状態に、プルンスは焦れてしまったのか。
「導からも何か言ってやるでプルンス!」
と、導も援護射撃するよう、要求してくる。
しかし。
「俺の思いと考えは、お前たちがスターパレスに行ってる間に伝えた。それでだめだったんだ。よっぽど硬いぞ、あいつの決意は」
すでに説得した後であったことを知り、プルンスはそれ以上、何も言いだすことができなくなってしまう。
そうこうしているうちに、ひかるたちはプリキュアに変身し、その状態でブルーキャットとの戦闘に発展する。
だが、導は裏12宮ブレイヴを発動することもなく、少し離れた場所で成り行きを見守っていた。
「なんでブレイヴを使わないでプルンスかっ! 巻き込まれたら大変でプルンス!!」
「必要ない」
「どういうことでプルンス?!」
「あいつは、無防備な奴に被害を与えるようなことはしない」
ブレイヴを使用しない理由を理解できず、プルンスが戸惑いの声をあげるが、導はただそう返し、頑なにブレイヴを使用しようとしなかった。
皮肉なことに、導のその行動は、ブルーキャットが無防備な人間に危害を加えることをしない程度には良識があることを証明することとなる。
現に、プリキュアたちをカード型の時限爆弾やワイヤー、煙球を使って翻弄するも、無防備な状態であり人質として最適なはずの導に一切、手を出していない。
そのことが、誰かを傷つけてまで、ペンを奪い取ろうとしていないという何よりの証明となった。
「って、このままじゃ引き離されるな」
「そうでプルンス! 早く追いかけるでプルンスよ!!」
そうこうしている間にも戦闘は継続しており、導はプリキュアたちから随分引き離されてしまっていた。
急いで追いかけようとするが、背後に足音のようなものが聞こえ、振り向いてみると。
「ノットレイダー!」
「むっ?! 貴様は」
「プリキュアたちと一緒にいたカードバトラーだっつーの!!」
「プリンセススターカラーペンの反応を追いかけてきたか……」
導はカードホルダーから裏12宮ブレイヴを取り出そうとする。
だが。
「おっと! カードバトラーだったら、そんなもんで戦わないで、こっちで勝負しろ!」
少しばかり幼い、小学生くらいの声が響く。
視線を向けると、そこにはとうまと同い年くらいの見た目の少年がいた。
少年は、自分のデッキなのであろう、バトスピのカードを構えている。
本当なら、彼の要求を無視して、スターたちと合流し、ノットレイダーに警戒するよう知らせるべきなのだろう。
だが。
「……プルンス、スターたちにノットレイダーのことを知らせてくれ」
「導はどうするでプルンスか?!」
「俺は、俺の仕事をする」
導の仕事。
それはバトルスピリッツで勝つこと。
本来なら、ここで12宮ブレイヴを使い、ノットレイダーたちを止めるべきだろう。
だが、ノットレイダーのカードバトラーにバトルを申し込まれた以上、それに応じなければ、契約違反となってしまう。
何より。
「ここで俺がこいつを足止めしとかねぇと、最悪、紫のマジックを使われるかもしれねぇぞ」
「そ、それは嫌でプルンスな……」
どういうわけか、星空界ではバトルスピリッツのマジックはその効果に応じた現象として発生し、ブレイヴは実際に武器や防具として扱うことができるようになっている。
スピリットの生命エネルギーとも解釈できるコアを取り外すことが主なコンセプトである紫のマジックを使用された場合、最悪、命の危機にさらされるかもしれないため、導は紫マジックを使ってこなかった。
しかし、目の間にいるカードバトラーがそれだけの倫理観を持っているかはわからない。
わからない以上、カードバトルで足止めをする以外、対策のしようがないのだ。
「頼むぞ」
「わかったでプルンス!」
話しているうちに、アイワーンはプリンセススターカラーペンの反応を追いかけていった。
その後にカッパードが軍勢を率いて続いていく。
導の意図を理解したプルンスはノットレイダーたちより先にスターたちのところへ向かうべく、大きく息を吸い、思いっきり吐き出す。
ジェット噴射のようにして吐き出した空気を推進力にして、プルンスが素早くその場を離れると。
「待たせたな」
「あぁ。始めようぜ!」
導はデッキをカードケースから取り出し、少年に向ける。
少年も同じように導にデッキを向けると、二人は同時に。
「「ゲートオープン! 界放!!」」
バトルフィールドへ向かう言葉を口にした。