BS×スタートゥインクル~12星宮に導かれたもの~ 作:風森斗真
なんかいろいろ仕様変わってるし……
今回もバトルはありません。なお次回以降、新しいデッキを使用することとなります。
デッキレシピも……たぶん、変更するかも?
アイワーンたちを退け、牡羊座のスタープリンセスを呼び戻したひかるたちの前に、グラン・ロロを守護する魔女マギサが姿を見せていた。
なぜ、グラン・ロロにいるはずのマギサがここにいるのか、その疑問を導がぶつけると、マギサはバトルスピリッツのカードを取り出しながら。
「スタープリンセスたちも九人、スターパレスに帰還したみたいだけれど……向こうの親玉、かなり手ごわいみたいじゃない?」
と口にする。
魔女だからか、それとも地球がグラン・ロロ第七の世界であるからか、ある程度、導たちの事情をわかっているらしい。
「ダークネスト……たしかに、すごく嫌な感じがしたな」
「背筋が凍りそうだったルン……」
「そんな連中をこれから相手にしないといけないわけだから、こっちも強くならなきゃね」
そのためのカードを持ってきた、ということなのだろう。
ついでに。
「あなたがこのカードを使いこなせるか、その練習相手になってやろうと思ってね」
そう言いながら、マギサはカードを導に投げ渡す。
投げられたカードを受け取った導は、迷うことなく、デッキケースを開き、そのカードを加えたうえでデッキを取り出し、構える。
「そういうことなら、胸を貸してもらう」
「ふふん、お姉さんにドンと任せなさい!」
マギサもデッキを取り出し、身構え、界放の
「あ、あのっ!!」
「ちょっといきなりすぎるルン!!」
「ていうか、わたしたち置いてけぼりにするのはやめるニャン!!」
すっかり置いてけぼりにされていたひかるたちが声をあげたため、界放の宣言ができなかった。
「あの、ちょっとまだ事情が飲み込めないんだけど?」
「マギサさんはなぜ今になって姿を見せたんでしょう? それに、どうして異世界の住人であるはずのあなたがこの場所にいるのです?」
「聞きたいことは山ほどあるんでプルンス! 情報の共有を求めるでプルンス!!」
グラン・ロロの守護者である彼女がこの場にいる理由、というのもそうだが、そもそも異界と呼ばれる場所からどうやってこの場に来たのか。
どこまで事情を知っているのか。
聞きたいこと、聞かなければならないことは山ほど存在している。
バトルフィールドへ行くことを引き留めたいと思うことは、当然だろう。
だが。
「え~……なぁんかいちいち答えるの、面倒ね……」
矢継ぎ早に飛んでくる質問に、げんなりとした表情でマギサは返す。
異世界のことに口出しすること自体があまり好ましくないということもそうなのだろうが、七割程度は本当に言葉の通り、面倒くさいのだろう。
「姿を見せたのは、本当に導に新しい
それに、とマギサはスターパレスの中央に視線を向ける。
「ここにも、カードとなったスターパレスの精霊が何体もいるからね」
「スターパレスの精霊?」
「まぁ、そのうちの一体は精霊っていうよりも、『神様』に近い存在かもしれないけれど」
「神様っ?!」
「あくまで『みたいなもの』、よ。人間たちが祈りの対象にすることで、強い力を得てしまっただけで、神様なんてたいそうなものではないわ」
人間の信仰が集まれば、その祈りが力となり、大きな力を持たない精霊でもその力を増幅させ、神に匹敵する力を扱うことができるようになるという。
そうして力を得たスターパレスに住んでいた精霊が、バトルスピリッツという姿を得て十二宮Xレアになったのだと、マギサは語る。
「でも、精霊たちはプリンセススターカラーペンとなったスタープリンセスたちと影響し合っているせいか、扱うことができなくなっているのよ」
「え? けど、いて座のスタープリンセスが復活する前からサジット・アポロドラゴンは使えてたぞ?」
「それはおそらく、あなたの父親、赤の光主の影響ね」
「父さんの?」
「えぇ詳しいことは省くし、時間もあまりないから、あいつの話はまた今度ね」
体よくはぐらかされたように気がしないでもないが、時間があまりないということも事実。
導はカードケースからデッキを取り出し、マギサに向けた。
自分がこの場にいる理由。彼女たちとかかわっている理由はただ一つ。
バトルスピリッツで、異星人とのバトルに勝利すること。
「さ、それじゃあ始めましょうか」
「あぁ」
「「ゲートオープン! 界放!!」」
導とマギサが同時に界放の宣言をした瞬間、二人の間から激しい光が出現し、その場を包み込んだ。
その後、導とマギサは何十回という対戦を繰り広げ、デッキに適応する特訓を行った。
最後までその特訓を見学していたひかるたちは、あまりの長さに最後にはぐったりとした様子でスターパレスから地球へ帰還していったのだが、それはまた別の話。
マギサとの特訓が終わり、ようやくララのロケットで地球に帰還する間、ロケットの中ではティーパーティーが催された。
その中には、少し居心地が悪そうな様子のブルーキャットもいた。
スターパレスから帰還したあと、ひかるが一緒に地球に来ないかブルーキャットを誘った時は断っていたのだが、アイワーンに宇宙船を奪われたことを指摘され、渋々といった様子で同行することにしたようだ。
「まったく、なんでわたしが……」
「それは俺も思ってた……ま、そのうち慣れてくるさ」
「ふ~ん……」
導の言葉にブルーキャットはあまり興味がなさそうに返す。
実際、ブルーキャットはかつての導と同じように、自分の目的以外にあまり興味がなかった。
が、ひかるたちとともに多くの星とめぐり、様々な異星人やカードバトラーと出会い、時にはバトルを通じて交流したことで、ひかるたちプリキュアが戦う相手を知った。
そいつらに苦しめられる人たちがいる。困っている人たちがいる。
それを放っておくことが、導にはできなかった。
ブルーキャットも導と似たような部分があるらしいので、自分が変わったように、ブルーキャットも変わっていく。
そんな予感が導にはあった。
そういえば、とブルーキャットが言いかけた瞬間、二人の目の前にドーナツが差し出される。
ドーナツに少しだけ巻き付いている触手の先を見ると、少しばかり無愛想な顔をしたプルンスがいた。
「二人の分でプルンス」
「サンキュー」
プルンスから差し出されたドーナツを素直に受け取る導だったが、ブルーキャットは初めて見る物体に困惑しているようだった。
だが、ひかるからドーナツが地球の食べ物であることだけでなく、いつかマオに食べてもらいたいと腕を磨き続けたものだと知ると、突っぱねることはできなかったようで。
「はむ……」
一口だけ、食べてみることにした。
するとその目が大きく開き、瞳に輝きが宿ると。
「……美味しい……」
小さいながら感想が漏れ出ていた。