調子に乗って、とあるキャラを人妻にしてみました。ガルパンを見はじめてから、このキャラをヒロインにした作品はまだ見たことがありません。何でですかね?
箸休め的に楽しんでいただけたらと思います。
「えええええええええええええ!? き、棄権でありますか!?」
ある休日の事。少し乾燥した晴天の下の学園艦に、そんな声が木霊した。
それは、実に二十年ぶりに開催された無限軌道杯。そんな高校戦車道部員にとっては夢の舞台とも言うべき大会の第一回戦。今正に試合開始の号令が鳴り響かんとする直前に、対戦相手の副隊長がそう申し出てきたのだから、その少女の反応も無理からぬ事だった。
「誠に申し訳ございません……」
「我々が至らぬばかりに……」
一方、対戦相手の方もそんな申し出をしなければならないことに、内心忸怩たるものがあるのだろう。ぎゅっと握った拳を微かに震わせながら、無念そうに頭を下げていた。
「な、何があったのですか!? まさかトラブルでも!?」
唯々俯く対戦校の選手の姿に、先の声を上げていた女子生徒は思わず、そう問うていた。
「もし、何かやむにやまれぬ事情があるのであれば、教えていただけないだろうか? 我々が力になれることもあるかもしれない」
隣に進み出た彼女の高校の隊長も、相手の二人を心配するようにそう申し出た。尚武、実直、誠実。どれも、その高校の矜持に満ちた校風であった。
「「……」」
そんな、相手校の態度に胸を打たれたのだろう。代表として棄権を伝えに来た二人の選手は互いに確かめるように顔を見合わせた。
「やはり、伝えるべきでしょう」
「そうですね。ここまで言っていただいて、何も明かさない方が不誠実でしょう」
そして、頷きあった二人が再び正面を向き直り、いずまいを糺す。その真剣な表情に、助力を申し出た選手もまた、凛とした表情で二人を見詰め返した。
「「実は……」」
「「……」」
審判団含め、緊張した面持ちとなる一同。こくりとやけに響いた喉の音は、一体誰のものだったのだろうか。
「「実はコアラ隊長が急に産気付いてしまいまして」」
「「……………は?」」
神妙な面持ちで告げた対戦校、コアラの森学園の副隊長と砲手が持ち上げた一匹のコアラの姿に、知波単学園の隊長・西絹代と側近の福田の声がシンクロする。ぶっちゃけ、その内心は「え? 何言ってんの、こいつら?」だろうか。間に立つ三人の審判団も軒並み二人と似たような表情をしている。
「ああっ!? しっかりしてください隊長!! 直ぐにヘリにお連れしますから!!」
「ほら! ひっひっふー! ひっひっふー!!」
「というか、隊長の旦那さんも、大会が近い時期は気を付けてくださいとあれほど伝えていたではないですか!!」
「『仕方ないだろ? 例年ならこの時期が子作りシーズンでなんだから』? だからって、全国大会が終わったその日に始めないでください!!」
「それより蕨副隊長!! 隊長がそろそろピンチです!!」
「ああもう!! 兎に角学園艦に戻りますよ!!」
「はい! 隊長! ひっひっふー!! ひっひっふー!!」
「「「「「…………」」」」」
わたわたと撤収したコアラの森学園の背中を見送った、知波単の選手の間には、何故かやたらと身に染みる海風がぴゅーっと吹いていた。
「「「……知波単学園の……勝利?」」」
「「「「「わ……わー?」」」」」
自信なさげな審判団の宣言に、釣られて拳を突き上げる彼女達の表情もまた何処までも尽きない疑問符が浮かんでいた。
頑張れ知波単!
負けるな知波単!
彼女達の突撃が世界を取ると信じて、デュエルスタンバイッ!!
戦車道の大会に出てるんだから、コアラ隊長は女性に決まってんだろおおおおおおおおおおおおおお!!!(暴論
前回は沢山のご感想、本当にありがとうございました。予想外の反響に個人的に小躍りしておりました。
今回は完全な箸休めですが、次回はちゃんとしたものを構想中です。そちらも早めに投稿頑張りたいと思います。ではでは(^_^)/
ガルパンはいいぞ!