ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-   作:地水

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 マジで久しぶりの投稿。

サクラの様子がおかしい。
ディケイド一行が異変に気付いた頃には既に彼女は別世界の来訪者に取り憑かれていた。
その名は『ストレンジ』、この話はネオライダーの世界とは全く異なる世界から始まる。


第31話:記憶のマジン

 

 ディケイド達がいる『ネオライダーの世界』とは別のとある世界……。

 

現実世界とは異なる荒野のような光景が広がる時空間・時の砂漠。

その中に大きく存在を放つのは巨大な時の列車"キングライナー"。

巨大な駅の形態・ステーションモードで複数台が横に繋がって時のターミナルを形成している。

無論、内部には時の列車を利用している乗客や売店や飲食店で働く駅員といった人々が働いている。

過去から未来、国や人種を超えて様々な衣装を身に纏った多くの人々が賑わう中で、一際目立つ格好の人物が人混みをわけて急いでいた。

 

 

『くぅ、早く行かないと』

 

 

猫の着ぐるみの恰好をしたその人物はキングライナーに設けられた時の列車の乗り場へと向かっていた。

片手にはガラスケースが握られており、ケースの中には淡い桃色の模様が入った羽根――記憶の羽根が納められていた。

この世界へ飛ばされて落ちた羽根を回収し、誰かに悪用される前にしかるべき場所へと届ける。

胸に深く刻んだ願いと想いと共に、時の列車へ乗り込むために足を急いでいた。

 

だが、その想いを阻もうとするように目の前の空間から裂け目が生じた。

裂け目から出て来るのは肩と右腕には蝙蝠を模した赤い紋章が刻まれた漆黒の戦闘兵達。

右腕には鉤爪が装備されており、今にも羽根を持つ人物を刻まんと狙っていた。

 

「きゃああああ!!」

 

「うわぁぁぁ!!」

 

突如出現した漆黒の兵士達――飛王兵達に周囲にいた人々は悲鳴を上げて逃げ惑う。

羽根を持った人物も同じく逃げようとするも、既に他の飛王兵によって取り囲まれていた。

自分との距離をジリジリと詰められていく中、着ぐるみの人物は慌てる様子もなくただ溜息をついた。

 

『はぁ、なるべくトラブルは避けたかったけどなぁ……お前ら、差し詰めあの子(・・・)絡みのヤツなんだろう?』

 

「「「……」」」

 

『返答なし、か。少しはおしゃべりする気概でも見せたらどうだい? もっとも話す事ができるならって話だが』

 

着ぐるみの人物は挑発混じりに言葉をかけるが、言葉を返す代わりに地面を踏み出し鉤爪の刃を振りかざした。

このまま受ければ体は切り刻まれて、鮮血の結果を迎えるのはたやすいだろう。

だが、飛王兵の鉤爪が着ぐるみをズタズタに裂いた瞬間、眩い閃光が辺りを包んだ。

 

『ハァ!!!』

 

その刹那、鋭い蹴りが飛王兵へと炸裂する。

硬い床へとバウンドしながら跳んでいく姿を見送りながら、蹴り飛ばした本人は他の飛王兵達の前に降り立った。

 

僅かに赤みを帯びた細い体、その上から纏う『S』の意匠が入った鈍く光る銀色の装甲パーツ。

頭部は丸みの帯びた(ヘルム)となっており、そこから金色の双眸が覗いていた。

まるで中世の甲冑の騎士をしたその異形の人物――『ストレンジ』は高らかに口を開いて言葉を紡ぎ始めた。

 

『やれやれ、舐めてもらっちゃ困るな。オレは人間じゃなくて、イマジンだからそう簡単にはやられないよ』

 

ストレンジは自身の正体である『イマジン』という言葉を口にしながら、襲い掛かる飛王兵達の凶刃を捌いていく。

迫りくる鉤爪の刃を身に着けた装甲で防ぎ、逆に硬い装甲部分で殴りつけて凌いでいく。

飛王兵達の振るう鉤爪はストレンジの装甲には傷一つつけられず、文字通り歯が立たない。

 

『怪我をしたくないならどいていてね! ハァッ!!』

 

ストレンジは自慢の硬い装甲で押し通り、飛王兵はなんとか逃さんと鋭い鉤爪で立ち塞がる。

だが、無限に沸く虫に如く、飛王兵は出現してストレンジへと襲い掛かる。

一対多による激しい攻防戦が続いているそんな最中、……ストレンジ達の元へ二人の人物が現れた。

 

「テディ、見つけた!」

 

『ああ、幸太郎! 』

 

そこへ現れたのは、黒髪の若い青年と、一体の青鬼の姿をしたイマジン。

彼らは漆黒の兵士達と戦うストレンジの姿を見つけると、困惑したような表情を浮かべた。

 

「しかし、これはどういう事だ? アイツ、妙な奴らに囲まれているが」

 

『どう見てもイマジンとは別の存在だ。どうする幸太郎?』

 

「決まっている。止めるぞ!」

 

イマジンの質問に青年は最初からやる事が決まってるように答えると、黒いパスのようなアイテム・ライダーパスを構え、シャンパンゴールドの体色をしたベルト・NEWデンオウベルトを腰に巻く。

そして電車の発車音のエフェクトが鳴り響くと共に、ライダーパスをベルトのT型バックルへセタッチ(セット&タッチ)した。

 

【STRIKE-FOAM】

 

「変身!」

 

電子音声と共に、紺色のエフェクトが青年を周囲を包み込み、その姿を変化させていく。

青い素体ボディの上から6つの装甲が装着、頭部から電車の先頭部を模した赤いパーツが出現して装着される。

割れるように仮面が展開すると、そこにあったのは青色を基調とした仮面の戦士。

――『仮面ライダーNEW電王 ストライクフォーム』への変身を終えると、指を鳴らしながらテディへ合図を送る。

 

「テディ!」

 

『わかった』

 

"テディ"と呼ばれた青い鬼のイマジンは一言そう答えると、その姿を一本の大剣・マチェーテディへと変化してNEW電王の手元へと収った。

相棒が変化した武器を構えると、NEW電王は素早い身のこなしで走り出し、ストレンジと争う飛王兵へと鋭い一閃を振り下ろした。

 

「ハァ!!」

 

『おっと!』

 

振り下ろされたマチェーテディをストレンジは咄嗟に身体をそらして避け、取り付いていた飛王兵を叩き斬った。

突如乱入してきた第三者にバックステップで離れながら、ストレンジはNEW電王を見やった。

 

「この騒ぎはお前の仕業か」

 

『電王、しかも新しい方か。毎度毎度ご苦労なことで』

 

「答えろ!」

 

『せかすなよニューヒーロー。オレだってこんな連中相手に足止め食らってるんだよ? いい迷惑だよまったく!』

 

NEW電王の問いかけに対しても文句混じりの愚痴を吐きながら、飛王兵を裏拳で殴りつけた。

だが未だに数を増やしながら姿を現す飛王兵が二人を取り囲む。

ストレンジはNEW電王と背中合わせで並び立つと、気軽な口調で言葉を投げかける。

 

『NEW電王、こいつらを倒したいなら手を組まないか?』

 

「NEW電王ってなんだよ……って、お前と手を組むだって!?」

 

『どう見ても四面楚歌な状況じゃないか。オレ達がこの状況なんとかするには助け合うしかないってこと』

 

「何を言うかと思えば……そんなの、信用できるかって……ぐあっ!? 」

 

ストレンジの言葉にNEW電王が驚くのもつかの間、飛王兵達が襲い掛かる。

振り下ろされた鉤爪を二人は片方は防ぎ、片方は躱して、それぞれ反撃に移っていく。

まずストレンジが硬い装甲で受け止め、一瞬の隙についてNEW電王がマテェーテディを叩き込む。

 

「ハァ!」

 

『タァ!』

 

二人の攻守の取れた即席の連携によって、多くの飛王兵達は倒される。

突如出現した謎の襲撃者にNEW電王は仮面の下で眉間に皺を寄せていると、隣で戦っていたストレンジの姿が視界に入る。

自分を襲撃してきた相手が倒された今、安堵する暇も見せずに彼(?)が向かうのは……時の列車の乗り込む口がある方向だった。

 

「なっ、アイツ!?」

 

「別の時間に逃げるつもりか!」

 

イマジンであるストレンジが逃げる様子にNEW電王は叫ぶ。

地面を蹴ってストレンジを捕まえに入ろうとするが、既に時は遅し……。

プラットフォームに辿り着いたNEW電王達が目撃したのは、既に動き出した赤い時の列車であった。

まるで自分がよく知る"デンライナー"とよく似た外見のそれ――『レッドデンライナー』とも言うべき時の列車は、キングライナーを離れて時の砂漠を駆け抜けていく。

NEW電王は自身の腰部に巻いているベルトを外すと、纏っていたボディアーマーが光の粒子となって解けていき、一人の青年の姿に戻る。

その青年――『野上幸太郎』は相棒であるテディと共に地平線へと消えていくレッドデンライナーを見て呟く。

 

「逃げられた……!」

 

「アイツ、もう一つのデンライナーを奪ってまで何をするつもりなんだ?」

 

自分達が対処するべきイマジンを逃がしてしまい悔しがる幸太郎の隣ではテディはストレンジが起こした謎の行動に思案する。

今すぐにでも奇妙なイマジンが行く先を追いかけたい所だが、その手がかりはない。

 

時の列車、デンライナー。

次の向かう先は過去か?未来か?

 

 

 

~~~~

 

 

 

場面は戻り、ネオライダーの世界。

 

 

「――というわけで、デンライナーを使ってオレはこの世界に来たってわけ」

 

 

場所は士達がいた海浜公園。

そこでは小狼とユウスケから事情を伺った士達四人は豹変ぶりを遂げたサクラに驚いていた。

正確にはサクラに憑依しているストレンジなる何者かだが……黒鋼は余裕たっぷりの様子のサクラを見て士に尋ねた。

 

「で、こいつは何者なんだ? 幽霊か何かなのか?」

 

「大体わかった。コイツはイマジンだな」

 

「イマジンだぁ? 確かそれって前に戦ったヤツか?」

 

士の口にしたイマジンという単語を聞いて、黒鋼が思い出したのはいつぞやか相対したイマジンたちの事を思い出す。

特に印象深いのはネオライダーの一人・鬼頭 直樹が連れているゴーストイマジン……二人によって、仮面ライダー幽汽へ変身するところを何度も見ている。兎も角、人間に憑依するという利点を持った怪人だと小狼たちはそう認識していた。

……だが、まさか自分達の仲間である一人、それもサクラに憑依しているとはだれもが思わなかった。

いつも優しくて前向きな彼女とは違った人を食ったような笑みを浮かべているサクラinストレンジは言葉を紡いでいく。

 

「そう、言うなればミラーイマジンのストレンジ。気軽にストレンジと呼んで」

 

「呼んで、じゃないですよ! サクラちゃんの体から出ていってください!」

 

ケラケラと笑うS(ストレンジ)サクラに対し、夏海は華奢な体を掴みかかって揺らし始める。

ゆらゆらと長くなった後ろ髪が揺れ、それでもSサクラは不敵な笑みを絶やさない。

そんな女性二人のやりとりを、小狼は神妙な面持ちで静観している。

サクラの事に関して真髄に思っている彼だからこそストレンジに突っかかるとてっきり思っていたのがだが……そんなことを思いながらユウスケはストレンジの方へ向き直って訊ねた。

 

「ストレンジ、お前の目的は何なんだ?」

 

「当ててみなよ。とっておきのプレゼントを上げてあげるよ」

 

ユウスケの問いかけにSサクラは不敵な笑みを浮かべる。

自分の目的を明らかにはぐらかした事を確認すると、士は暫し考える。

そして熟思した答えを口にした。

 

「お前の目的なんて知らん」

 

士の口から出たとんでもない言葉にサクラを除いた小狼達一同はズッコけんとする勢いで驚き、心の底から呆れた。

理論武装もなにもない台詞だが、続けて出てきた士の言葉を聞いて考えを改めた。

 

「だがストレンジ、理由は分からんがお前はサクラを助けた。ただのイマジンだったらそこまで自分が手をかかる行動をしないはずだ」

 

「……イマジンは契約者があってこそだ。危害が加えられちゃあ仕方がなく(・・・・・)守るのも当然なんじゃないかな? ディケイド?」

 

自身の長髪となった髪を弄りながらサクラは士の言葉に反論した。

その表情は先程まで見せていたおどけた表情をとは明らかに異なっている……と、傍から見ていた小狼は感じてた。

その一方で士は皮肉交じりに笑いながら言葉を紡ぐ。

 

「かもな。それともう一つだけ分かっていることがある」

 

「なんだい?」

 

「ココまで来た経緯を考えるとお前が持っているサクラ姫の羽根、まだ持ってるだろ」

 

士の鋭い眼光がサクラの、その中にいるストレンジの方を見抜く。

自分がまだサクラの羽根を隠し持っている事に見透かされている……そのことを知ったストレンジは、サクラの顔で何とも言えない複雑そうな笑みを迎えた。

 

――まるで、自分も悩んでいる人のように。

 

 

だが、戸惑う士達一行へ襲い掛かるのは新たなる刺客の戦いだった。




 コロナウィルスかかったり、省かれらり、ラジバンダリ。
それでもしぶとく生きてます、地水です。

よもやよもやサクラちゃん、イマジンであるストレンジに憑依されていた事が判明。
士達ライダーサイドにとっても小狼達ツバササイドによっても予想外の事態はどう転ぶのか?

回想なれど初登場した電王ライダーが一人・NEW電王。
羽根を狙ってやってきた飛王の尖兵たちを蹴散らす姿が描かれただけですが、彼の本編入りはありえるのか?(それは作者自身も知らない)

士達一同の前で暴露するサクラinストレンジ。
彼(?)が何を以てサクラを契約者として選んだ理由は?


次回、鳴滝の刺客、襲撃開始
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