ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-   作:地水

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 復活したのでやるわよ、最新話。


羽根の捜索している士・小狼達ディケクロ一行の前に姿を現したのは一体のイマジン・ストレンジ。
彼は何の因果かサクラちゃんに取り憑いてしまった。
彼の目的は一体何なのかと迫っていると、良くないモノも近づいてきていたのであった。


第32話:現るシカク

 頼打地区、とある街中の建物の屋上。

そこには黒服の一人であるウワバミと、彼に付き添う海東の姿があった。

ウワバミが望遠鏡型の道具で何処かを覗く仕草をしている中、海東は自身のライダーカードを手にして眺めていた。

そこに描かれているのはナイト、歌舞鬼、サガ……奇しくも士達と同行している小狼達が変身する仮面ライダーだ。

海東にとっては士が好き好んで一緒にいる謎の彼らの事が不思議でならないが、今は気にすることではない……ウワバミが興味本位で要求してきたこのカード数枚を彼へと渡す。

 

「これをどうするつもりだい?」

 

「なあに、便利アイテムを使うだけさ。お前さんの分もちゃんと用意してやるから」

 

そう言いながらウワバミは受け取ったライダーカードを受け取ると、3枚のライダーカードを望遠鏡型アイテムへ翳す。

その後、ウワバミは念を込めるような仕草をすると指先に光が灯り、それと同時に3枚のライダーカードが光り輝く。ライダーカードから発せられたその輝きは望遠鏡型アイテムへ吸収され、その姿形が灰色から黒地に緑・青・赤へ変わっていく。

新しく生まれ変わったであろうその望遠鏡型アイテムを渡され、海東は訊ねた。

 

「これがそのアイテムだっていうのかい?」

 

「海東大樹。君が変装や手捌きといった怪盗の技術が得意ように俺にも得意なことがあるってことだよ」

 

「それが今のお呪《まじな》いってことかい」

 

ウワバミが答えた言葉を聞いて、海東はその色鮮やかな体色の望遠鏡型アイテム――『トラベラースコープ』を眺める。

何処となく士の変身するディケイドや海東自身が変身するディエンドに通ずるデザインに少しばかり興味を惹かれるが、このアイテムが何の力を秘めているのか謎だった。

訝し気にトラベラースコープを眺めている海東をウワバミは面白がってるように笑っていた。

 

「覗いてみろよ。面白い光景が見えるぞ」

 

「ふーん……うん? これは……」

 

ウワバミの言葉を聞いて海東はトラベラースコープを覗くと、そこに映った光景に少し声を漏らした。

何故ならこの場にいないはずの士達一行の様子が映ったからだ。

場所は海浜公園の所から推測すると、地理的には見えないはずだが……現に、まるでそこにいるかのような鮮明さで見えていた。

トラベラースコープの凄さを海東は思い知り、ウワバミはそれを見透かしたように二ヤリと笑う。

 

「面白いだろ? ライダーカードに記録されているライダー達の特性を読み込んで、自由に追跡できるようにしたのさ」

 

「ふぅん、とんだモノを作ってくれたね……おや?」

 

トラベラースコープを覗き込んでいた海東はある光景を見つける。

それは、士達へと向かっていく謎の人影……片方は黒、片方は白、二体のその影は近くの物陰に潜むと、襲撃の機会を伺っていた。

一体何なのか、とそう思った海東はすぐにある事へ思い至る。

 

「あの二人……もしや鳴滝さんの……」

 

「どうした? ディエンド」

 

「どうやら僕の知り合いがディケイド達へちょっかいをかけるようだね」

 

ウワバミが訊ねてきた言葉に対して海東はそう返すと、静観する心構えをとった。

本来ならちょっかいとばかりに首を突っ込むところだが、二人の見知った影を見てその考えを踏みとどまることにした。

何故なら、鳴滝が用意している戦力の中でも【彼ら】は少々手に余るほどの厄介さを秘めていると海東自身が知っていたからだ。

 

 

 

~~~~

 

 

 

一方その頃、ディケイド一行。

サクラに憑依したストレンジに対して対応をどうしたものかと悩んでいるところであった。

彼女(?)と相手をしている小狼と士を除いた5人がスクラムする勢いで集まり、黒鋼が最初に話題を切り出した。

 

「で、どうするんだ? 相手は姫の体を借りてるんだぞ?」

 

「無暗にサクラの体から追い出せないよねえ」

 

「以前は私の"笑いのツボ"でモモタロス達……知り合いのイマジンを取り憑いた状態から追い出せたんですが」

 

「相手はサクラちゃんだからなぁ……それは困ったときの最終手段にしよう」

 

ファイ、夏海、ユウスケと困った表情で話を続けていると……。

その一方、Sサクラへと話しかけている小狼と士は難しい表情をしていた。

 

「ストレンジ、って言いましたよね。今はサクラ姫の意識はどうなっているんですか?」

 

「無論、無事だ。今のこの会話もちゃんと聞いているよ」

 

小狼の心配した様子を見て苦笑したような笑みを浮かべるSサクラ。

その笑みが気に食わなかったのか、今度は士は次の言葉をぶつける。

 

「その気になればサクラの意識の奥底に封じ込めることだってできるだろ?」

 

「おいおい……そんなかわいそうな事、できるわけないだろ」

 

士のぶつけてきた言葉に対してSサクラは一瞬顔色を変えたが、すぐに平静を取り戻すように笑う。

まるで見透かされて嫌な想いをしたという感じだったが、何故そんなリアクションをしたのか小狼と士は分からなかった。

二人がそろそろ手をこまねていると、ふとSサクラの言葉が口から零れた。

……それはストレンジ本人ではなく、サクラの言葉だった。

 

(ねぇ。もう大丈夫だよ、私は)

 

「サクラ……」

 

(アナタが優しい人だってことは私も伝わってるから、ね?)

 

「うぐぐっ」

 

サクラの宥める言葉を聞いて悔しがる表情をするSサクラ。

自分の声で自分が悔しがる想いをするという何とも言えない状況となっている事に士と小狼は困ったような表情を浮かべていた。

そうして二人が手をこまねていると、……突如、Sサクラは別の視線を向けて目を見開いた。

次の瞬間、Sサクラの周囲に小さな鏡の盾が出現し、その直後光の弾丸が飛来して直撃した。

相殺したのか砕け散った鏡の欠片が周囲に舞い散る中、小狼が助けるためにSサクラの前に出る。

 

「姫……と、ストレンジさん!大丈夫ですか!?」

 

「ああ、姫は大丈夫だ……しかし今のは一体」

 

Sサクラは小狼に庇われながら光弾が放たれた方へ視線を向ける。

そこには一つの仮面の戦士の姿があった。

黒いボディに白いエネルギーラインが走り、オレンジの大きなモノアイを有した仮面。

腰にはメモリーチップのようなパーツを備えた変身ベルト、そしてその手には発砲したのであろう黒いエネルギーガン。

その姿を見て、士はその名前を口にした。

 

「アイツは、仮面ライダーデルタ……?」

 

士達の目の前に現れたのは、『仮面ライダーデルタ』。

本来ならば【ファイズの世界】に属する仮面ライダーであり、ファイズやカイザより高い出力によるスペックと武器のデルタムーバー・ブラスターモードによる銃撃戦が得意なライダーだ。

士自身もかつて【アギトの世界】でディエンドの召喚したライダーとして遭遇したことはあるのだが……どうやら目の前にいるデルタは少なくとも海東の仕向けた召喚ライダーというわけではなさそうだと悟った。

何故なら明らかに意思があるような口にしたからだ。

 

「おやおや、どうやら不意打ちは失敗に終わったようですね」

 

まるでわざとらしく残念言葉を零したデルタ。

士は睨みつけるように目を細めるとデルタに問いただした。

 

「お前、何者だ?」

 

「もちろんあなた達の邪魔をしにきた刺客ですよ。仮面ライダーディケイド」

 

「何……? まさかお前は……!」

 

デルタが答えた言葉の意味をすぐに理解した士はすぐさま身構える。

その直後、士の背後から大きな刃が迫り、あわや士の背中を切り裂こうとした。

だが、幸いにもSサクラが生み出した鏡の盾が士の背後に出現し、その刃を防いだ。

間髪入れず、士の回し蹴りが襲撃者へ叩き込まれ、距離を取ることだろう。

 

「くそっ、そういうことか!」

 

士は小狼達の方へ向かいながら、二人目の襲撃者の正体を確認した。

青い模様の入った白い装甲、虎を模した仮面、腰にはナイトと同じベルト・Vバックル。

唯一違うのは青地に金色の虎のエンブレムが刻まれている点。その手には虎の頭部を模した巨斧が握られていた。

士はよく知っていた。このライダーの名前は『仮面ライダータイガ』。

【龍騎の世界】に属している仮面ライダーであり、奇襲戦を得意とする戦法を有するライダー。

こちらも以前訪れた世界で認知していたライダーだが、こうして戦うのは初めてかもしれない。

士の前に現れたタイガは巨斧型召喚機・デストバイザーを肩に担ぐと、静かな声音で呟く。

 

「……仕留めそこなった」

 

男の人にしては高い声を発しながら、デルタと挟み込む形で距離を狭める。

前後で挟まれて小狼と共に警戒している士は顔をしかめながら、この二人がやってきた理由が見当がついた。

 

「お前達、鳴滝の刺客か!」

 

 

 

「――その通りだ、ディケイド」

 

 

士の言葉を肯定するように声が響き渡り、遠くの方で銀色のオーロラが出現。

そこから現れたのは、コート姿の男・鳴滝。彼はギロリと士の方を見ると、ニヤリと笑った。

 

「ディケイド、世界の破壊者よ。貴様の旅を思う通りにはさせないぞ」

 

「鳴滝、今回も邪魔をするってわけか!」

 

「仮面ライダーデルタ、仮面ライダータイガ……思う存分暴れろ!」

 

士に邪魔者といわんばかり睨まれながらも、鳴滝は自ら呼び出した二人のライダーにそう命令した。

鳴滝の命令を耳にしたデルタはデルタムーバー・ブラスターモードを構え、タイガはデストバイザーを片手で振り上げ、再び攻撃を仕掛ける。

 

「そういうことですので、大人しく始末されてください」

 

「ディケイド、抹殺」

 

デルタは淡々と冷酷な言葉を告げ、タイガは短めな台詞を吐いてそれぞれ交戦をする。

襲い掛かる鳴滝のライダー達に士と小狼、そして彼らと共にいたSサクラは抗戦するしかなかった。

 

すぐ傍でデルタ・タイガという乱入者を見ていた5人。そのうちまずユウスケ、黒鋼が士達を助けに入ろうとしていた。

 

「黒鋼さん! 士達を助けないと!」

 

「おう、誰だか知らんが邪魔するなら斬られても文句は言えないぞ」

 

ユウスケと黒鋼はそれぞれアークルと変身音叉を取り出し、変身しようとする。

だが、そんな彼らを邪魔するように銀色のオーロラが出現し、二人の前に立ち塞がった。

 

「コイツは……!?」

 

「チッ、邪魔しやがって!」

 

ユウスケと黒鋼はバンバンと叩きながら、何とかオーロラに遮られた士達の元へ行こうと考える。

なんとか試行錯誤をしている二人の様子を見て、夏海は焦るが……肝心のファイは何処か別の場所を見ていた。

 

「ど、どうしましょうファイさん!? って、ファイさん??」

 

「んー……これは、どうしようかねえ」

 

不思議そうに見ている夏海を他所にファイはとある場所を見ていた。

――奇しくもその方向は、ウワバミと海東がいる方だと気づいたのは相手側だけだったが。

 

 

~~~~

 

 

同じ頃。

ウワバミと共にいた海東は、トラベラースコープで覗き込んでいた光景を見て訝しんでいた。

 

「なんか、彼こっちを見ているような気がするけど」

 

「……アイツ、まさか」

 

戸惑う海東を他所にウワバミは先程浮かべていた二ヤリ顔とは異なった真剣な表情になる。

……明らかにあの男、こちらの事を感づいているような仕草をしている。

しかし何故……と、考えた後すぐにその答えが辿り着いた。

 

「それならありえるか」

 

「何かわかったのかい?」

 

「アイツ、相当腕の立つ魔術師だ。だからこっちの呪《まじな》いに気付いたんだ」

 

ニヤリとウワバミは笑顔を浮かべ、そして懐からある物を取り出す。

それは、金色のコブラのエンブレムが入った紫色のカードデッキ……海東はそれを見て、少し瞳を見開いた。

やがてウワバミはいつの間にか腰に巻かれていた変身ベルト・Vバックルにそのカードデッキを装填した。

 

「変身」

 

その瞬間、ウワバミの姿が鏡像と重なり、姿を変えていく。

黒いボディに紫の装甲を纏い、コブラを模した仮面をつけた仮面ライダーへと変身を遂げる。

――『仮面ライダー王蛇』へと変わったウワバミは、手に持った杖型召喚機・ベノムバイザーをステッキ替わりにして歩いていく。

 

「さぁてと、オレもお邪魔していくよ」

 

【ADVENT】

 

そう言いながら、電子音声と共に出現したのは巨大な怪物の影。

それに向かってジャンプし、頭部らしき所へ着地するとそのまま影と共に向かって行った。

一人取り残された海東は眉を細めながら見送るだろう。

 

 

――ディケイド一行、鳴滝、そしてネオライダー。

三者三葉のライダーバトルが繰り広げられるのはすぐそばまで迫っていた。




 どうも皆様お久しぶりです、地水です。
ディケクロ、再会しました。まだまだ終わりは見えませんがやっていきます。


海東と組むことになったウワバミが仕掛けてきたのは、なんと便利アイテム・トラベラースコープのクリエイト。
これでディケイド一行の様子が伺えます。
海東に渡していいもんじゃねえな!?

ディケクロ一行に襲撃を仕掛けてきたのは、鳴滝さんところのデルタ&タイガ。
何故このライダー選抜なのか、というと実は理由があります。
いずれ明かされればいいなと思ってます←

なんか面白いヤツいるじゃんか、待ちきれない!
と言わんばかりウワバミさん王蛇参戦、混沌極めるライダーバトルに飛び込んでいきます。
元祖王蛇こと浅倉とは別ベクトルでヤバいわねコイツ


次回、俺、参上! できるといいな。
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