ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-   作:地水

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 気が付けば、アギトもカブトもファイズもちょいちょい新作映像作品を出してるなと思った今日この頃。
このビックウェーブに乗り遅れるにはいかないと思い、ようやく書きました。


突然の始まりはここから。


第34話:参上のヒーロー

 黒鋼とファイの前にネオライダーのウワバミが変身する仮面ライダー王蛇が出現し、結果的に手助けをした同じ頃。

 

士と小狼、そしてサクラと彼女に憑りついているイマジン・ストレンジは鳴滝が仕掛けてきたタイガ・デルタの二大ライダーに追い詰められていた。

 

まず強烈な斬撃で周囲のものごと一刀両断するのは、仮面ライダータイガ。

小狼はSサクラを抱えながら振り下ろされるデストバイザーの尖刃を避け、どうにか隙が出ないか伺っていた。

 

「くぅ……大丈夫、ですか?」

 

「サクラも僕もなんとか、ね。でも……」

 

心配する小狼の顔を見て、Sサクラはにこやかな笑みで返す。

だが、何かを察知したのかSサクラは自分の腕を咄嗟に突き出すと、その指先から鏡の盾を展開。

その直後、小狼達に降りかかってきたのは巨大な瓦礫の一部……まるで力づくで引っこ抜いたそれは容赦なく鏡の盾に直撃した。

何とか防御したおかげで小狼とSサクラは無事なものの、瓦礫を投げてきた本人――仮面ライダータイガは舌打ちを打った。

 

「チッ、仕留め損ねた」

 

仮面の下でギロリと睨みつけているであろうタイガは、その辺に転がっているであろう斬り落とした瓦礫を掴むと、そのまま力いっぱい込めて再び投げ飛ばす。

繰り出された重い投擲をSサクラは防いでいくが、それでも瓦礫を連続で投げつけられてくる。仮にも生身の人間に対して容赦のない攻撃に、小狼は……。

 

咄嗟にサクラの体を話し、自分は瓦礫目掛けて蹴りを叩き込む。

 

小狼の鋭い蹴り技によって瓦礫は見事に粉砕され、その場には一瞬土煙が舞った。

その時だった。土煙から蠢く手が小狼の首元へ伸びてきたのは。

 

「なっ!?」

 

「邪魔」

 

驚く小狼と、淡々に短い言葉を語るタイガは小狼の首を掴むとそのまま持ち上げる。

そしてそのまま地面へと容赦なく叩きつけた。

 

「かっはっ!?」

 

体から鳴った嫌な音と共に一瞬意識が飛びかける。

その光景を見ていたSサクラは驚き、デルタと戦っていた士も叫ぶ。

 

「小狼!」

 

士もなんとか隙を見て小狼の元へと駆け付けようとする。

だがそれをさせまいとデルタが阻むように発砲し、デルタムーバーの銃口を向ける。

 

「次にああなるのはアナタですけどね、ディケイド?」

 

「くっそ、変身させてないからいい気になりやがって!」

 

変身する暇も与えないほど攻撃を畳みかけてくるデルタとタイガを見て、士はその狡猾さに嫌気がさす。

だが、迂闊に変身しようものならその隙をついて致命傷を負いかねない。

どうにかして小狼の元に駆け付けなければいけないが、そのためにはデルタをどうにかしないといけない。

手をこまねいている間にも小狼はタイガによって傷をつけられている状況が続く……。

 

そうしている中で、サクラ……もとい、サクラに憑りついているストレンジは内心焦る。

追い詰められる小狼と士を見て、考えている暇もなく動き出そうとする。

そうしなければ、きっとサクラが悲しむだろうから……。

 

そうしていると、ストレンジは引っ張られる感触を強いられる。

その違和感のような感触の正体が体の主であるサクラが自分の意志で動こうとしているものだった。

 

「さ、くら?」

 

(ごめん、気遣ってくれて……でも、見ているだけじゃ嫌なの)

 

ストレンジにそう伝えながら、サクラは意地でも士と小狼を助けるために彼らの元へ向かおうとする。

非力な自分が何かできるわけじゃないが、だからって今までのように見ているだけでは嫌だ。

その強い心の意志を感じ取り、ストレンジは少しの間だけ考え……そして、決意した。

 

『すまない、サクラ……君の心に勇気づけられた』

 

「っ! ストちゃん!」

 

その直後だった、サクラの身体から大量の砂が零れ落ち、そこから人型の怪人が姿を現したのは。

上半身と下半身が砂時計のように逆位置の姿をした未契約状態のミラーイマジン・ストレンジは走り出す。

目指すのは、タイガに追い詰められている小狼の元。

こちらへと向かってくる砂の怪人の姿を見たタイガはデストバイザーを大きく振り上げる。

 

「チッ、割ってみるか」

 

舌打ちをうった後、両断する勢いでデストバイザーを振り下ろすタイガ。

その刃は避ける隙もなくストレンジへと迫り、そのまま両断……するかと思われていた。

だが、そもそも契約者と未契約のイマジンは肉体を持つ相手に干渉する術を持たない砂の身体を有しており、触ればすぐに崩れやすい不便な状態。

……だが、それは逆にいえば、崩されてもすぐに元に戻る砂の身体なら攻撃されても問題なく活動という裏返しだ。

凄まじい勢いの刃が振り下ろされた後、タイガの素っ頓狂な声が漏れた。

 

「えっ?」

 

『——いったい……が、実害はない!』

 

地面ごと両断される轟音と共に砂が舞い散った後、すぐさま元の形に戻るストレンジ。

タイガの攻撃を搔い潜った後、小狼の身体へと飛びこんでいく。

 

「な、なにを……!」

 

『悪いが小狼、キミの身体を借りるぞ!』

 

そういった直後、小狼から砂が噴き出し、その姿を一変させる。

サクラへ憑りついた時と同様に後ろ髪は長く伸び、銀色のメッシュが一房だけ覗かせる。

S小狼、ともいうべきその恰好でストレンジは小狼の顔でニヤリと口角を浮かばせる。

 

「さて、と。選手交代だ」

 

「お前、勝手に出てきて何のつもりだ?」

 

「イマジンだから契約者の願いを叶えるに決まっているだろ? ただ、彼女が納得できるような方法で願いを叶えるかんじだけどね」

 

タイガの質問にそう返しながら、S小狼は何処からかある者を取り出した。

黒いパスケースのような外見をしたソレは、戦いながら様子を伺っていた士には見覚えがあった。かつて電王の世界にて何度も見た『ライダーパス』と呼ばれるアイテムだ。

そしてS小狼の腰にはTの文字にも電車の滑車路にも似たパーツがある銀色の変身ベルト『デンオウベルト』が巻かれていた。

 

「お披露目の時間だ。オレなりのなりたい自分になるためのね」

 

茶目っ気じみた言葉を口にして、S小狼はデンオウベルトに設けられた4つのスイッチのうちの赤いスイッチを押す。電車のようなメロディが流れた後、勢いよくライダーバスをデンオウベルトへと翳した。

 

「変身!」

 

【SWORD-FORM】

 

電子音声の後、S小狼はその姿は変わっていく。

黒と銀の基調とした素体となるプラットフォームのあと、フリーエネルギーで作られた六つの装甲が空中に展開。

やがてその6つの装甲がプラットフォームの上半身に装着されると、やがて頭部に桃型のパーツが出現し、顔にたどり着くとそのまま仮面のように展開された。

 

――そして現れたのは、仮面ライダー電王・ソードフォーム。

以前は士が変身するディケイドがなった仮面ライダーの一つの姿として出てきたが、今回は違う。

正真正銘、デンオウベルトによって変身を遂げた電王は不敵な笑い声を上げる。

 

「さぁて、戦いの時間だ。定刻きっちりに勝利するよ!」

 

そう言いながら電王は両腰につけられた四つのパーツを組み立て、剣型の武器・デンガッシャーを構えてその切っ先を向ける。

それに対し、タイガはデストバイザーを振り回し、再び襲い掛かる。

 

「シャッ!」

 

タイガから繰り出された鋭い斧による一撃が電王へと迫るが、それに対し電王は素早く反応しデンガッシャー・ソードモードで攻撃をいなした。

赤い刀身を巧みに操り、デストバイザーの斬撃を弾き飛ばすと、その勢いはすぐそばで戦っていた士とデルタへと襲い掛かる。

 

「ぐぅ!?」

 

「足元、がらあきだぞ!」

 

斬撃の余波をまともに受けてしまったデルタへ、士は容赦なく追撃を叩き込む。

ライドブッカー・ガンモードによる銃撃を足元へ炸裂され、デルタはよろける。その隙をついて士はディケイドライバーを腰につけ、ライダーカードを装填する。

 

「変身」

 

【KAMEN-RIDE…DECADE!】

 

士の姿がいくつもの虚像と重なり、ディケイドの姿へ変わった後、すぐさまデルタへと飛び掛かる。

まるで先程まで生身でいたぶっていたお見舞いと言わんばかりに鉄拳を次から次へと繰り出していく。

ディケイドの容赦のない鉄拳に対し、デルタはいくつか躱しながら耐える。

 

「……いたいですね。そんなに気に入らなかったのですか?」

 

「ああ、気に入らないな!お前の態度も、その戦い方もな!」

 

「さいですか……ハッ!」

 

ディケイドの攻撃をその身に受けたデルタはお返しと言わんばかりにデルタムーバーの銃口を向けて引き金を引いた。フォトンブラッドによる光弾がディケイドへと迫るが、ディケイドはバックステップで軽やかに回避。

そして、ディケイドは新しいカードをディケイドライバーへと装填し、対してデルタはデルタムーバーを口元に寄せて呟く。

 

「これでいくか」

 

【ATTACK-RIDE…BLAST!】

 

「Fire」

 

【Burst mode】

 

ディケイドが繰り出した分身したライドブッカーによる攻撃・ディケイドブラスト。

デルタの繰り出したデルタムーバー・ブラスターモードによる無数の乱射。

両者ともに互いが繰り出した光の弾丸を撃ち落としていく。

2人のライダーが激しい銃撃戦を繰り広げているその横……電王とタイガが互いに削りながあ激しく刃をぶつけあっていた。

 

「シャッ!」

 

振りかざされるデストバイザー。

 

「ハッ!」

 

その刃を撃ち落とし、デンガッシャー・ソードモードの返しの刃で切り返す。

 

電王のデンガッシャー・ソードモードを巧みに使った正確無比な剣捌きによってタイガが翻弄されていく。

……タイガ自身は知る由もないだろうが、とある世界の電王・ソードモードの喧嘩殺法のような荒々しい剣術とは異なる戦い用は、隣で見ていたディケイドから見ても目を見張るものがあった。

赤い刀身から繰り出された鋭い突きをもらいながらタイガは吹っ飛ばされてしまう。地面へと倒れ、タイガは仮面の下で電王を睨む。

 

「お前、怪物のくせに人を助けるの?」

 

「イマジンだって誰かを助けるヒーローになりたいのさ」

 

「……呆れた。この世は全て化け物だらけなのに」

 

電王から返ってきた甘ったるい理想を聞かされ、タイガは心底呆れたような声を出した。

まるで『化け物』という単語に何処か引っ掛かりを覚えたが、電王が気にする前に戦況は変わる。

 

 

突如、『バリィンッ』と激しい音が響き渡った。

ディケイドと電王が見れば、今まで張ってあったオーロラカーテンの壁がなくなっており、代わりに立っていたのは三人の仮面ライダー。

まず一人はファイが変身した仮面ライダーサガ……その手には彼の得物ではないコブラの尻尾を模した剣・ベノサーベルが握られていた。

二人目は黒鋼が変身した仮面ライダー歌舞鬼、そして最後の三人目はユウスケが変身した仮面ライダークウガ。

三人の仮面ライダーの援軍により、ディケイドは驚く。

 

「お前たち!?」

 

「士、大丈夫か!?」

 

「ユウスケ……なんとかな。あいつが心変わりしてくれてなんとかな」

 

傍らに立ったクウガに対し、ディケイドはそう答えて遠くの方を見やる。

援軍の三人がいったいなんなのか、と見ればそこには電王がタイガを退かせている光景があった。

見覚えのない姿の仮面ライダーを見て歌舞鬼が驚きの声を上げる。

 

「あれって、まさか……ストレンジってヤツが変身しているのか?」

 

電王の戦いぶりを見てストレンジが変身している者だと見抜いた歌舞鬼は目を細める。

自分達に対して頑なに隠していた態度だったのに、今は共に戦っている様子は何かあるんじゃないかと勘繰っていた。

 

 

その一方、デルタは仮面の下で眉間に皺をよせていた。

本来なら鳴滝が出現させたオーロラカーテンの壁で仲間と分断してディケイドらを始末する予定だったが、先程の何等か仕業でその作戦はものの見事に壊された。

一体なんでそうなったのか少しだけ考えたが、ディケイド達の仲間のライダーの中でサガが持っている武器が目についた。

……そこで、全てが察しについた。

 

「……鳴滝さんの言ってたあの魔術師の仕業か」

 

デルタは『魔術師』の言葉を口にした後、ディケイド達へ背を向けて走り出した。

向かう先にいるのは、……電王とタイガの所。

今彼ら二人は次なる一撃を叩き込もうと、互いに準備をしていた。

 

「粉々に、砕く」

 

【FRIEZE-VENT】

 

タイガはデストバイザーの装填部を展開し、そこへカードデッキから引き出したアドベントカードを装填。

するとデストバイザーに冷気が纏わりはじめ、タイガは勢いよくそれを振りかざす。

放たれた冷気に電王は目を見張り、咄嗟にデンガッシャーを手放した。

するとデンガッシャーは瞬く間に凍り付き、武器として使い物にならなくなる。

その瞬間を狙って、タイガは走り出す。

 

「たたっきる」

 

相手が一番の得物を失った今、デストバイザーを大きく振り上げ、上段からの斬撃を思いっきり叩き込もうとするタイガ。

だが、その隙を狙ったかのよう電王は腰を低めながらライダーパスを構え、ベルトへ翳す。

 

【Full-Charge】

 

デンオウベルトから流れるフリーエネルギーが電王の右脚部へと集まり、さらに電王はそのままジャンプ。

自分目がけて振り下ろされるデストバイザーが迫る中で、電王は叫ぶ。

 

「デンライダーキック!」

 

真っ赤なエネルギーを右足に集めての必殺の一撃『デンライダーキック』が振り下ろされたデストバイザーの刃へ直撃。

しばしの間激しく拮抗したあと、電王はさらに力を籠める。

 

 

「おっりゃああああああ!!」

 

 

電王の気合が入ったデンライダーキックは激しい音と共にデストバイザーの刃を押しのける。

そしてタイガへ叩きこまれようとしていた……所へ、咄嗟にタイガを抱えて引きはがす人影が一つ。

結果的に電王の必殺の一撃を回避したタイガは、自分を抱えている人影……デルタへ視線を向ける。

 

「……ごめん」

 

「謝るくらいで落ち込まないでください。ここは退けますよ」

 

少ししょげたような声を発したタイガに対し、デルタは淡々と言葉を連ねると、タイガを抱えて何処かへ消えていく。

ディケイド達は二体のライダーの姿を静観しながら見送った後、新しきライダーである電王ソードフォーム……ストレンジと合流したのであった。




 お久でございます。地水です。
今年もしぶとく生きてますし、これからも図太く生きていきます。

今回はだいぶ難産でした。難産すぎて半年ぐらいかかってました。
半ば放置していたり、書き直したり、相当苦労してました。
でも形になれて本当に、本当によかった。涙ちょちょぎれそう。

ようやくストレンジ、持っていたライダーパスとデンオウベルトに用いて仮面ライダー電王に変身。
これでようやく、この世界における役者がそろった感じがして作者である自分は個人的にうれしいです。
まだまだ活躍させたいところですね。

次回、ストレンジ、仲間に正式加入なるか?
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