(めぐみん視点)
「という事でここからはお待ちかね、ガラクタの押し売りである!まずはこちら!カエルが好む成分をたっぷり配合した対カエル兵器の時限爆弾!野原に置いておけばカエルが藁藁と集まってきて、時間が経つと爆発!お値段はお一つ200万エリス!」
「「「高い」」」
我が天敵のカエルにはとても効き目がありそうだが、あまりにも高すぎる。というか、どうせその爆発するまでの時間がすごく短いとか爆発範囲が狭いとかそんなデメリットがあるに決まっている。
「バニル、そんな明らかに私たちが買わなさそうな物より先ほど言っていた実用性があって変な副作用もなくそれなりの値段の商品とやらを先に出してくださいよ。一体どんなものなんですか?」
「では、まず値段から。お一つ10万エリスである。どうだ、安いであろう?」
「ふむ、珍しく安いな。それで効果は?」
「心の声が全て聞こえるようになる。つまりあの男の様々な事の本音が分かるということなので、あの男に好意を抱いている貴様らにとっては夢のようなアイテムであろう?」
「「なっ…」」
そんなアイテム、買わざるを得ないではないか。
「ちょっと、私はカズマさんに好意なんか抱いてないんですけど。嫌いではないけど、この二人と一緒にしないでもらえます?」
前までなら無視できたが、最近のアクアだと怪しいところだ。最近は妙にカズマに近いし、チラチラとカズマの事を見ているし、ちょっとカズマがいなくなるとすぐに寂しそうにして、カズマはどこに行ったの?と、探し出すのである。いや、私も寂しいとは思うが…
「とにかく、3つあるから今すぐ買うべし。見通す力を使わずとも欲しそうにしているのがよく分かるわ。使い方は飲み物に1錠入れてとかすだけ、効果は服用してから寝るまで。夕食の際に飲み物に混入させるが吉。こちら側が勝手に心の声を聞いているだけなので、変な反応等をしなければ恐らく本人は気付かない。心の中で考えている事が全て聞こえるので、時には文句等もあるだろうが、バレないように巧くやることだな。」
そう言いながら、バニルが錠剤のような形状をした物が入っている瓶を持ってきた。
最早買う前提で話されているが、バニルの言う通り欲しいのでまぁ買うか。
「じゃあ3つとも買います。何か変なこととか企んでないでしょうね?」
「企んでなどないわ、今回は商品の代金以外何も頂かぬ。どれだけ貴様らは我輩を信用していないのだ」
そりゃまぁ、悪魔ですし。迂闊に信用してはならないと里でも言われましたし。
「おっと、言い忘れていたがこの薬は2種類あってな。片方の緑色の方をあやつに飲ませ、もう片方の白色の方は自分が飲むのだ。そうしないと聞こえぬ。ちなみにもし白色の方を飲ませてしまった場合、逆にあやつが貴様らの心の声を聞くことができるので十分注意すべし」
「なるほど、よくわかりました。早速今夜使ってみます、ありがとうございます!」
そう言って私たちは店をあとにし、屋敷に戻った。
その数時間後に帰ってきたカズマは、今は私たちと一緒に晩ご飯を食べているところである。薬については、既に3人全員が白色の薬を飲み、緑色の方はカズマのお茶にとかしてある。
本当に聞こえるのだろうかと今更ながらに心配になるも、その心配はすぐに消された。
『今日の飯はすごく美味いな。天才的な閃きで作った炊飯器のおかげだろうか、我ながら今までで一番美味い気がする。』
頭の中に、今までに聞いたことがない感じでカズマの声が聞こえてきた。
普段とは違う感じの声の聞こえ方と、カズマの口が開いていないことから薬の効果が抜群であることがわかり、喜びが隠せない。このあとはどうしようか。単刀直入に私たちの魅力や良いところについて聞いたり、或いは普段の生活の改善点や不満点等も聞いてみたい。今からとても楽しみだ…!
(カズマ視点)
今日の飯はすごく美味いな。天才的な閃きで作った炊飯器のおかげだろうか、我ながら今までで一番美味い気がする。
それに、おかずの餃子もとても美味い。すごく久しぶりに食べたが、たまには日本の料理も悪くないな。いや、餃子は正確には中国の料理なのだが。次は麻婆豆腐とか、天津飯等に挑戦するのもいいかもしれない。
いや、それより…
「おい、なんでお前らはそんなに俺のことを見てるんだ?何か言いたいことでもあるのか?」
「い、いえ、この餃子という料理が美味しいなと思いまして」
アクアとダクネスも食べながら頷いている。
「ほう、そうか。好評そうで良かったよ」
しかし、その割りには顔があまり笑っていないんだが。何かムズムズしているような顔だ。
「ね、ねぇカズマ、唐突だけど一つ聞いてもいい?」
恐る恐るアクアが聞いてくる。もしや、また何かやらかしたのだろうか。
「なんだよ、今の俺の機嫌はダンジョンでバニル達と色々あって疲れたから10段階で表すと4だ。何かやらかしたことを打ち明けるなら後にしてほしいんだが」
「違うわよ、最近は特に何もやらかしてないでしょう?!そ、そうじゃなくて、その…私たちについて…どう…思う?」
違うのか、ならよかった。
「本当に唐突だな。どう思うって言われても、駄女神と爆裂狂とドMだとしか思っていないがそれがどうした?」
なにも言わない3人。あれ、おかしいな。いつもならつっかかってくるんだが…?
「もっとあるだろう?その、誉め言葉だとか…色々と……私たちも、たまには褒めて貰いたいのだ…」
ほう。飴と鞭のうちの飴が欲しいということか。なるほど、確かに最近は鞭が多かったようにも思える。たまには褒めてやるか。
「そうだな、まずはアクア。お前は……最近は確かに特に何もやらかしてないな、いい事だと思う。あとは……………あとは…………」
あれ、どうしよう。他に褒める所が見当たらない。
「ちょっと、それだけ?!普段あんなに頑張ってる女神たるこの私に褒める所が一つしかないってどういうことよ!」
「頑張ってアレ…?えぇ……いや、こいつは知力と幸運値が極端に低いんだ、頑張っても結果が出ないのはしょうがない。うん、あまり多くは期待しない方がいいな。そう思ったが優しい俺は口には出さない」
「思いっきり出てるんですけど」
おっと、つい。というか、こいつを褒めたら調子に乗って逆に何かやらかすのが目に見えるようだし、過去に何度もそういう経験があるから、こいつは褒めない方が良い気がす…
「ちょっ、なんで掴みかかってくるんだよ!今なんも言ってなかっただろ!」
何故かいきなり無言でアクアが掴みかかってきた。というか、毎回思うがこいつ見てくれだけはいいんだからそんなに顔を近づけて来ないでほしい…ってあれ?なんでこいつは赤くなってんだ?俺なんか言ったか?というか、いつもならもっと長い間暴れるんだが…
「カズマカズマ、私たちにも何か誉め言葉とかを言ってくださいよ」
さっきからずっと黙って傍観していためぐみんが言ってくる。
「そうだな、えーとめぐみんは…最近の爆裂魔法は毎回95点を越えてて凄いと思う!明日も頑張ろう!」
「前にも言った気がしますが、とりあえず爆裂魔法を褒めておけば良いと思ってますよね?!それに明日も頑張ろう!とか私は子供ですか!!」
言いながら、相変わらず短気なめぐみんが掴みかかってきた。
「14歳はどう考えても子供だろ!子供じゃないと言えるのは高校を出てからだ!」
いや、この世界で高校という単語は通じないんだった!
というか、こいつも顔が近い。端から見たらたった数分の間に2人もの美少女に顔を接近されている羨ましい状況に見えるかもしれないが、全くそんな事はな…あれ、こいつもなんで今日は暴走時間が短いんだ?なぜかアクアに続いて顔も赤くなってるが、熱でもあるのか?
「なんかお前ら、今日おかしくないか?いつもならもっと暴れるだろうに」
「おかしくなんてないわよ!どちらかといえばおかしいのはカズマの頭だと思います!」
「そうですね!私もカズマの方がおかしいと思いますわ!」
お前らの語尾の方がおかしいわ。まぁ、面倒だから放置しよう。
「で、次はダクネスだな。そうだな、ドM趣味を直せ。以上」
「ちょっと待ってくれ!そんなの私の存在そのものを否定するようなものじゃないか!というかこれ褒められてない!それに私だけ雑で短くないか!?」
「だってお前罵られた方が喜ぶだろ」
「私だって素直に褒められたい時もあるのだが…」
知るかんなもん。
「カズマ、なら次は私たちへの不満点や改善点を教えてください。いつも迷惑ばかりかけているので、少し改善したいと思うのです」
言っても絶対改善しないと思うがなぁ。まぁ、一応言うか。
「まぁ、そうだな。まずアクアは、無闇矢鱈に勝手に色々行動しないこと。指示された行動以外取らない方が上手く行くし平和に終わるのは今までの経験で分かるだろ?あと毎日迷子になるのをなんとかしろ。めぐみんは短気なところを本当に直してほしい。今までに何十回と、名前をからかわれたとか子供扱いされたとか爆裂魔法をバカにされたとかで冒険者は勿論、女子供から老人に至るまで色んな人に喧嘩売ってきたみたいだけど、その度に俺が頭下げてんだぞ?少しは自粛してくれよ、ほんと。あと最近ゆんゆんとどこへ出かけてるのかいい加減教えろ、とても嫌な予感がする。そしてダクネスは性癖を少し自粛しろ。お前はたまに…いや、よく…いや、四六時中貴族のお嬢様とは思えない発言をしてるからな?お前の発言の半数以上はR18指定必至のものだぞ。あと、お前も短気な所を直せ…っていや待てよ、お前ら全員短気じゃないか…?」
と、一通り話したが意外にも3人とも真面目に聞いていて、メモまでしている。しまいには、努力しますとすら言いやがった。てっきり、逆ギレされるか目を逸らされるかと思ったんだが。今日のこいつらはどうしたのだろう。もしや、俺に好かれるための好感度アップ作戦とか、そんなところなのだろうか。
「「「!!」」」
………………………………………。
「今なんかビクッと」
「「「してない」」」
絶対しただろ。