ここは、無数に存在する世界の一つ。
まずそこにあるのは大きな駅。
内装は大正時代を漂わせるレトロなデザイン。
ガラスの窓からは青空を照らす太陽の光が差し込んでおり、階段を使い2階へ上がると飾られているステンドグラスの窓をそれがさらに鮮やかに輝かせている。
そして改札口の上に大きく『帝都中央駅』と書かれた看板がかけられていた。
駅はたくさんの人々で溢れかえっており、この駅がある国の玄関を表しているかのようだった。
すると、改札口から人混みに紛れてとある3人組が出てきた。
???「うわー!すっげー!」
1人目は赤と黒を基調とした服を着こなし、茶髪のツンツン頭が特徴的な少年。
???「人がいっぱいだね」
2人目は青い帽子と青い服を身につけ、白いアヒルの容姿をした小柄な人物。
???「迷子にならないようにしないとね」
3人目は緑の上着にベスト、黄色いズボンを着こなし、頭に特徴的な帽子を乗せた犬の容姿をした人物。
3人は人で溢れ返っている駅を見渡しそれぞれの感想を口に出していた。
1人目の少年の名前は『ソラ』
くよくよしない陽気な性格で、単純すぎる所もあるが正義感はひと一倍強い少年。
もう1人のアヒルの人物は『ドナルド』
ちょっぴり短気で抜けているところがあり、ソラとぶつかることがある。
最後の犬の人物は『グーフィー』
穏やかな性格で、場を和ませたりすることができる。
ソラとドナルド、グーフィーの3人は世界を渡る船、『グミシップ』を使い、いろんな世界を冒険をしておりたった今この世界に到着したばかりだった。
ソラ「俺、こんな大きな都会の世界初めてかも!」
ソラたちが今まで訪れた世界のほとんどが自然で囲まれたり規模が小さい町だったため、見たことない光景にソラは少し興奮していた。
ドナルド「ソラ~、遊びに来てるんじゃないんだよ」
グーフィー「アッヒョ、でも確かにこんな世界は初めてかもね」
そんなソラを見てドナルドは困った表情でため息をついてしまうが、グーフィーもソラの言う通りだと思いもう一度駅を見渡した。
ソラ「早く街の方に行ってみようぜ!」
グーフィー「そうだね」
ドナルド「グワッ!? 待ってよー!」
早く街へ行きたいがためか出口へ少し早歩きになっているソラとグーフィーをドナルドは慌てて追いかけて行った。
一体どんな出来事が待っているのだろうとソラが心を弾ませていると、
「うぇーん!うぇーん!」
ソラ「?」
駅内の足音や放送音に紛れて女の子の鳴く声が耳へ入りこんできた為、思わず足を止めてしまう。
ドナルド「ソラ?」
グーフィー「どうしたの?」
ソラ「今、誰かの鳴き声が・・・」
ソラが辺りを見渡すと、出口の側に置かれている観葉植物の隣で小さな女の子が目から涙を流し泣いていた。
女の子が小さいせいか、通行人たちは女の子が泣いていることに気がついていないようで通りすぎる一方だった。
気がついたソラは女の子の元へ歩き膝をついて目線を合わせた。
ソラ「どうしたんだ?」
ソラは女の子を落ち着かせようと笑顔で優しく話しかけた。
女の子はソラを見て落ち着いたのか、泣き止んで手で涙を拭いた。
「グスッ、お母さんと、はぐれちゃったの・・・」
どうやらこの女の子は母親と駅に来たのだが、途中ではぐれてしまったらしい。
ソラ「そっか、じゃあ俺に任せろ!」
性格上、このまま放って置けないソラは女の子の頭を優しく撫でて安心させた。
グーフィー「この子のお母さんを探さないとね」
ドナルド「でもどうするの?」
グーフィーとドナルドもソラと同じ気持ちだったが、この人混みの中から母親を探し出すのは大変時間が掛かってしまい、手分けして探そうにも母親の顔は女の子のしか分からない為余計時間が掛かってしまう。
この状況でどうやって女の子の母親を探すのかというと、
ソラ「こうするんだ、それっ」
「わっ・・・!」
ソラは女の子を自分の首のつけねにまたがらせて、両肩の上に担ぎ肩車をした。
これなら女の子が高い所から駅を見渡せいち早く母親を見つけることができる。
グーフィー「成る程ね!」
ドナルド「ソラにしては考えたね」
ソラ「どういう意味だよ!?」
この方法なら見つけられるとグーフィーは納得するが、ドナルドは毎度お馴染みのようにソラを小馬鹿にし、それにソラは少し反発してしまう。
「うわ~!たっかーい!」
ソラに肩車されている女の子はさっきまで泣いていたことを忘れたのように一気に元気になった。
ソラ「どう?お母さん見つかった?」
「う~んとね~・・・」
女の子が駅中を見渡し母親を探していると、
「小春!」
「あ!お母さんだ!」
向こうから女の子の母親であろう女性ともう二人の男女が小走りでこちらへ来ていた。
???「あの子が小春ちゃんか、服装も一致してるから間違いないようだな!」
男性は白いスーツに紫のベストと黒のズボンを着ており黒い手袋をつけており、黒い髪を整え腰に2本の刀を差していた。
???「はい!見つかって良かったです!」
女性は空色の和服にえんじ色の袴を着て左胸に桜の花飾をつけており、黒茶髪のロングストレートが背中まで伸び頭の左側に大きな桜色のリボンをつけ黒髪の男性のように一本の刀を腰に差していた。
3人がソラたちの元へたどり着き女の子、小春へと視線を集めた。
「もう!どこ行ってたの!?心配したんだから!」
小春「ごめんなさい、でもね!このお兄ちゃんたちがお母さん探すの手伝ってくれたの!」
ソラ「へへっ、良かったな見つかって」
小春「うん!」
母親は小春を叱るもとても安心している様子だった。
ソラが肩から小春を下ろすと、小春は即座に母親の側へ近づき足に抱きついた。
無事に再開する親子を見たソラたちと2人の男女はホッとするのだった。
グーフィー「ねぇ、君たちって小春ちゃんを探してたの?」
???「はい、小春ちゃんが急にいなくなったと慌てていたのを見かけて一緒に探してたんです」
???「そしたら肩車をされている女の子を見つけてもしやと思ったんだが、君たちも小春ちゃんのお母さん探すの手伝ってたんだな」
ドナルド「その通り!迷子は放って置けないからね」
ソラ「俺が肩車したおかげだな」
ソラたちが小春を、男女の2人が母親を手助けしたことにより無事に再開することができたのだった。
「皆さん!本当にありがとうございました!」
ソラ「気にするなって」
???「小春ちゃんが無事に見つかって何よりです」
母親はソラたちに頭を下げて感謝を伝えるも、ソラたちは気にするなと言わんばかりに手を振った。
小春「ありがとうお兄ちゃん!次会ったらもう一回肩車してよ!」
ソラ「うん、約束する」
すっかり元気になった小春を見て安心しソラは小春と肩車をする約束を交わした。
そして小春と母親が駅から出ていく後ろ姿を全員で見送るのだった。
???「・・・ところで、この辺りじゃ見かけない服装だが、君たちは?」
???「もしかして、帝国へ観光に来たんですか?」
すると、男女の2人は親子からソラたちへと視線を移し質問を投げ掛けた。
確かにソラたちの服装はこの世界の住人たちから見れば少し目立ってしまっている。
だがそんなことは他の世界で経験済みのソラたちにとっては些細なことであるためあまり気にしてはいなかった。
ソラ「俺はソラ」
ドナルド「ドナルド」
グーフィー「グーフィーだよ」
ソラたちはいつものように自己紹介をした。
誠十郎「ソラとドナルドとグーフィーか、俺は神山誠十郎だ。それでこっちが・・・」
さくら「はじめまして、天宮さくらといいます」
スーツの男性『誠十郎』と、和服の女性『さくら』もソラたちに自己紹介をした。
これがこの世界に来てソラたちに起こった最初の出来事だった。