互いに自己紹介をしたソラたちと誠十郎とさくらは2階にあるベンチに腰をかけて話をしていた。
誠十郎「つまりソラたちはいろんな所を観光してて、この帝都にやって来たってことか」
ソラ「まぁ、そんなところ」
さくら「きっと私たちが見たことない所も巡って来ているんだろうな。少し羨ましい」
ドナルド「うん!自然がたくさんあるところとかね」
グーフィー「大きなお城も凄かったよね」
ソラたちはこの帝都と呼ばれる国に観光にやって来たと誠十郎たちに説明をした。
ソラたちが他の世界から来たことを明かさないのはそれぞれの世界の秩序を守るためであるため、これまでも誤魔化し続けていた。
故に誠十郎とさくらにも本当のことを話さなかったのである。
ソラ「なぁ誠十郎、この国で何か変わったことって起きてないか?」
世界を旅しながらと同時にそこで異常なことが起こっていないか調べるのも役目の1つのため、ソラは誠十郎に帝都で異変がないか聞いてみた。
誠十郎「変わったこと?いや、いつも通り何も起きてはないぞ」
さくら「世界華撃団大戦も去年終わって落ち着いている頃ですしね」
どうやらこの世界でこれといった異変は起きてないらしく安堵すると同時に気になる用語が耳に入った。
ソラ「世界、華撃団大戦・・・?」
ドナルド「何それ?」
聞いたことのない用語に思わずソラはおうむ返しで口に出して首を傾げた。
誠十郎「えっ?ソラたち世界華撃団大戦を知らないのか!?」
さくら「凄く有名な大会だよ!?」
ソラ「えっ、えぇっと・・・」
ドナルド「グワッ!?」
世界華撃団を知らないソラの様子を見て誠十郎とさくらは目を見開いてしまう。
この世界ではそんなに有名な大会なのかとソラとドナルドが自ら墓穴を掘ってしまったことに焦っているとグーフィーが助け船を出した。
グーフィー「ボクたち結構遠くの国からここに来たからあんまり知らないんだよね」
ソラ「そ、そうなんだ!」
ドナルド「うんうん!」
穏やかでほのぼのとしたグーフィーの助け船にソラとドナルドは便乗して誤魔化そうとし、グーフィーにウィンクして感謝を伝えた。
誠十郎「そ、そうなのか・・・よし!じゃあ俺が簡単に説明してやるよ」
納得したのか、誠十郎は世界華撃団大戦を知らないソラたちに説明を始めた。
まず世界各国には数百年前から存在する魔物『降魔』から人々を守るために作られた特殊部隊『華撃団』というものがある。
華撃団の戦闘員たちは搭乗することにより自分たちの霊力で動く『霊子戦闘機』という兵器で降魔と幾度となく闘いを繰り広げている。
そして2年に一度、世界各国の華撃団がこの帝都に集まり戦闘と歌劇の実力を競い合う大会が開催されている。
それこそが、世界華撃団大戦である。
ソラ「へぇ~!面白そう!」
ソラもかつてオリンポスという世界で闘技大会に出場している経験があるため、この世界でも似たような大会があるのかと興味が湧いてきた。
グーフィー「そんな大きな大会なんだ」
ドナルド「じゃあこの国にも華撃団があるんだね」
さくら「もちろん。帝国華撃団っていうんだよ」
ドナルドとグーフィーも興味が湧きさくらから帝都にも華撃団があることを知ると会ってみたいなと心の中で呟いた。
ソラ「でも次は来年か、見てみたかったな~」
世界華撃団大戦は去年開催された為、次の開催は1年後。
致し方ないことなのだが今年に世界華撃団大戦を見ることができないと知ったソラはガックリと肩を落とすのだった。
そんなソラを見てさくらがあるところを薦めた。
さくら「だったらソラ、大帝国劇場に行ってみてよ。凄く面白いよ」
ソラ「大帝国劇場?」
さくらによると、大帝国劇場とは舞台の公演が行われる劇場で帝都のメインスポットらしく、帝国華撃団の女性たちが舞台女優として出演するのである。
ソラ「そんなのもあるのか!」
グーフィー「帝国華撃団って舞台にも立つんだね」
ドナルド「ちょっと見てみたいかも」
さくら「絶対見に行ってよ!今日の5時から公演があるから!」
駅にある大時計を見てみると針は12時と15分を指しており、公演まで時間は十分すぎるくらい空いている。
ソラ「よーし!じゃあ大帝国劇場に行ってみよう!」
ドナルド「うん!」
グーフィー「アッヒョ!楽しみだね!」
さくらに薦められソラたちは大帝国劇場で開かれる公演を見に行くことにした。
しかし公演までは5時間近くもあるため今すぐ行っても時間をもて余すだけである。
ソラ「じゃあ4時半になったら大帝国劇場集合ってことで」
ドナルド「ソラ、遅れたらダメだからね」
グーフィー「売店に地図があったからそれを貰ってからね」
そして色々話し合った末、公演まで各自自由行動に決まった。
落ち合う場所と時刻を決めたソラたちは誠十郎とさくらと別れることにした。
ソラ「じゃあ俺たちはこれで」
誠十郎「あぁ、楽しんで観光してくれよ!」
さくら「また後でね!」
グーフィー(また後で?)
そう言ってソラたちは階段を降りて売店に置かれている地図を貰い駅を後にするのだった。
誠十郎「・・・そういえば」
さくら「どうしましたか誠兄さん?」
誠十郎「ソラたちって、チケット持ってるのか?」
さくら「・・・あ」
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ミカサ記念公園。
かつて帝都を降魔から守った空中戦艦ミカサを記念してつくられた公園。
緑の芝生が一面に敷かれ、海沿いに面しているためカモメの鳴き声が聞こえておりとても穏やかな場所である。
ドナルド「とてものどかだね」
その公園を訪れたのはドナルド。
ドナルドの他にもデートに来たであろう男女や海を眺める老人などがこの公園に集っていた。。
ドナルド「みんな和んでいていいところだね~。デイジーを連れて来たいけど・・・グワ?」
自身のガールフレンドを誘いデートをしたいと思っているドナルドの視界に1人の少女が写り込んだ。
???「・・・」
少女は白のブラウスに金色で縁取られ袖の部分がゆったりとした緑のジャケットと、緑と白のチェック柄のプリーツスカートを着用し、足元はハイソックスに光沢のある緑の紐靴を履いており、金髪で腿までのロングへアを腰辺りから先の方だけ三つ編みにしており、まるでお姫様を連想させるような雰囲気を漂わせていた。
その少女はベンチに腰をかけて本を読んでいた。
何の本を読んでいるのか分からないが表紙にはまるで魔方陣のように何本もの線が交差しているため気になって仕方がないドナルドは少女の元へ歩いて行った。
ドナルド「ねぇ、何読んでるの?」
少女の元へたどり着いたドナルドはどんな本を読んでいるのか聞いてみた。
???「・・・・・」
しかし少女はドナルドに気がついていないのか本から視線を外さずページを捲った。
ドナルド「ねぇ」
???「・・・・・」
ドナルド「もしもーし?」
???「・・・・・」
ドナルド「・・・ねぇってば!」
???「・・・・・」
一向にこちらを見ないことに我慢の限界が来たドナルドは声を荒げて怒鳴るも少女は相変わらず本から視線を外そうとはしなかった。
こんなに話しかけてるのに無視をするなんてひどいなとドナルドが眉間にシワを寄せ腕を組んでいると、
???「そんなことしてもクラリスは気づかねぇよ」
ドナルド「グワ?」
不意に後ろから声を掛けられ振り向くと、そこには別の少女が立っていた。
巫女装束を基本とした服装で真っ赤な下駄と緋袴に胴部と前腕から手の甲にかけて晒を巻き、裾合わせを腰元まで下げた状態でたすき掛けをしており、赤茶髪のサイドポニーの髪型の見るからに男気溢れる佇まいをしていた。
ドナルド「クラリス?」
???「そこの本に熱中してるやつさ。クラリスはそうなっちまうと何をしても返事をしてくれねぇんだ」
ドナルド「へぇ~」
どうやら本に夢中になっているあまり周囲の声に気づいていない金髪の少女『クラリス』にドナルドは無視されている訳じゃないのかとクラリスへ視線を戻すのだった。
クラリス「・・・ふぅ」
すると本を読み終えたのか、クラリスはパタンと本を閉じて空を見上げるのだった。
???「ようクラリス」
クラリス「あ、初穂さん。いつのまに」
『初穂』と呼ばれた少女はクラリスに声を掛けると、クラリスは一体いつから側に居たのだろうかと少し驚いていた。
初穂「さっきからいたさ、それにしても側で怒鳴り声を出していることに気がつかねぇなんて相変わらずの熱中ぶりだな」
初穂はクラリスから騒いでいたドナルドへと視線を移すと、クラリスも自然にドナルドへ視線が向いた。
クラリス「怒鳴り声?」
ドナルド「ずーっと声をかけてたんだよ。それなのに全然気づいてくれないし」
クラリス「えぇっ?ずっとですか?」
初穂「あたしも見てたから間違いないぜ」
クラリス「そうだったんですか、すみません気がつかなくて」
初穂に言われクラリスは無意識に無視をしてしまったドナルドに頭を下げて謝るも、事情を知ったドナルドはもう怒っていなかった。
ドナルド「もういいよ、僕はドナルド」
クラリス「ドナルドさん、ですか。私はクラリスと言います」
初穂「あたしは東雲初穂だ!」
ドナルドとクラリスと初穂の2人は互いに自己紹介を交わした。
初穂「なぁドナルド、クラリスに何の用があったんだ?」
ドナルド「何の本を読んでるか気になって」
クラリス「この本ですか?」
クラリスは先ほどまで自分が読んでいた本をドナルドに見せるとうんうんと首を縦に振った。
クラリス「これはですね、魔導書なんです」
ドナルド「魔導書?クラリスは魔法使いなの?」
初穂「あぁ!クラリスはすげぇんだ!風を起こして人を浮かすことだってできるんだぜ!」
ドナルド「凄いねクラリス」
クラリス「そ、そんなことないですよ・・・」
魔法を使えるクラリスを初穂が自慢すると、本人は恥ずかしいのか頬を赤らめていた。
話を反らそうとクラリスは話題を切り替えた。
クラリス「そういえば初穂さん、どうしてここに?」
初穂「あぁ、そろそろ集合の時間だから呼びにきたんだ」
クラリス「もうそんな時間だったのですか、分かりました」
約束の時間が来たことを知ったクラリスは鞄に魔導書を入れてベンチから立ち上がった。
ドナルドは魔法を使えるクラリスともっと話したかったが本人の都合があるなら仕方ないと諦めることにした。
クラリス「それではドナルドさん、私たちはこれで失礼します」
初穂「またなードナルド」
ドナルド「じゃあね~」
そして、クラリスと初穂はドナルドと別れて公園を後にした。
ドナルド「うーん、次はどこ行こうかな?」
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グーフィー「アッヒョ、いろんなお店があるね」
グーフィーが訪れているのは帝都を走り人々の交通機関の手助けとなっている路面電車の停留所。
そこの道路を挟んだ向かい側には本屋を始め様々な店舗が並んでおり多くの人たちが立ち寄っていた。
グーフィー「どこに入ろうかな・・・ん?」
数ある店舗の中からどこに立ち寄ろうかと考えていると何やら甘い匂いが漂ってきておりそれに釣られたグーフィーは辿ってみると、そこには『御菓子処みかづき』と書かれた木の看板があるお店だった。
お店に置かれているガラスケースの中にはお饅頭やら羊羮やらと様々なお菓子が並べられていた。
あまりにも美味しそうなためグーフィーは思わず口の中の唾液をゴクンと飲み込み店の中へ入った。
「はろはろ~。いらっしゃいませ~」
グーフィーを出迎えたのは緑の着物の上から白いエプロンをつけ、茶髪の髪を後ろで結んだほんわかとした雰囲気を持つ店員だった。
グーフィー「どれも美味しそうだなぁ」
どれにしようか選んでいると3個の茶色いお饅頭が目に止まった。
グーフィー「じゃあこのお饅頭を3個ください」
「畏まりました~」
3個ならソラとドナルドと1個ずつ食べられると思ったグーフィーはこのお饅頭に決めたのだった。
流石に3個全部食べる程欲張りではないため丁度いいだろう。
代金を支払うと店員からお饅頭が入った紙袋を受け取った。
「お待たせしました~、ってあらぁ?」
すると店員がグーフィーの後ろを見たため、グーフィーも後ろを振り替えると、そこには1人の少女と1人の女性が立っていた。
まず少女はドナルドくらい小柄で黒髪ショートカットに黄色を基調とした服は袖が末広がりになっており、袖口には大きめのフリルが施され、手が隠れている。
薄黄色のエプロンドレスは肩幅がないためしっかりとはかからない感じで留められており、胴部に同色の大型蝶結び、胸部に紫の小型蝶結びが意匠されており、膝丈ほどの紫の女袴を履き、首元から脚にかけてのインナーには穴を大きく編まれた鎖帷子を着用し黄色いぽっくり下駄を掃いており、おとなしそうなイメージ。
銀色のセミロングヘアーで、肌の色は褐色。
白い服の胸の上には青いリボンが結ばれウエストから足にかけて赤茶色のマントのように伸び青いジーンズを履き、ヒール部分を金属にしたハイヒールを着用しているまさに大人の女性の雰囲気が漂っていた。
「あら~、あざみちゃんにアナスタシアさん。ようこそいらっしゃいませ~」
???「ひろみ、お菓子に買いに来た」
???「私も付き添いに」
『あざみ』という黄色い少女は店員の『ひろみ』に軽く挨拶をして褐色肌の女性『アナスタシア』も同じように挨拶をした。
見るからにしてこの2人はこの店の常連なのだろうと理解できる。
あざみ「あれ?今日のあざみのお目当てのお菓子がない・・・」
ガラスケースに張り付いたあざみは買う予定だったお菓子がないことに目を少し見開いてしまう。
ひろみ「ごめんね、たった今売り切れちゃったの」
そう、あざみのお目当てのお菓子とはグーフィーが買った茶色のお饅頭だったのである。
アナスタシア「今から作れないの?」
ひろみ「今から作っても一時間は掛かってしまいます~」
あざみ「・・・残念」
アナスタシア「仕方ないわよあざみ、出直しましょう」
お饅頭が買えなかったことにガックリと肩を落とすあざみをアナスタシアは頭を撫でて宥めた。
また一時間後にここに来ようと諦めた時、
グーフィー「・・・ねぇ」
あざみ「?」
黙って一部始終を見ていたグーフィーがあざみに声を掛けると、
グーフィー「よかったらこれあげるよ」
自分が買ったお饅頭の紙袋をあざみに差し出したのだった。
グーフィーから紙袋を受け取ったあざみは中を確認すると自分のお目当てのお饅頭が入っていたことに再び目を見開いてしまう。
あざみ「いいの?」
グーフィー「うん、僕は別のお菓子買うからいいよ。食べたかったんでしょ?」
そう言ってグーフィーは再びお菓子選びを始めた。
他にどれがいいかと考えていると、
アナスタシア「・・・ひろみ、椿饅頭3つお願い。代金は私が払うから彼に」
グーフィー「えっ?」
アナスタシアが赤色の花の形をした椿饅頭3個をグーフィーに渡すようにひろみにお願いした。
ひろみは「畏まりました~」と返し椿饅頭を袋に入れ始めた。
グーフィー「いいの?」
アナスタシア「えぇ、あなたが余分にお金を使うなんて互いにフェアじゃないでしょ。ね、あざみ」
あざみ「里の掟・43条『借りが出来たならば即座に返すべし』」
右腕を大きく横へ振り里の掟というものを唱和したあざみの行動にグーフィーは少しポカンとなってしまう。
ひろみ「お待たせしました~椿饅頭で~す」
そうこうしているとひろみが椿饅頭が入った紙袋をグーフィーに渡した。
グーフィー「ありがとね、僕はグーフィーだよ」
あざみ「挨拶つかまつる。望月流忍者、望月あざみ。礼を言わせていただく」
アナスタシア「アナスタシア・パルマ。私からもお礼を言わせて」
互いのお饅頭を買ったグーフィーとあざみとアナスタシアの2人は自己紹介を交わした。
あざみ「では、あざみたちはこれにて失礼する」
アナスタシア「またどこかで会いましょ」
そして、あざみとアナスタシアはグーフィーと別れて行ってしまった。
グーフィー「この世界は随分平和だね」
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そしてソラが歩いている場所は銀座横丁。
ここも多くの人で賑わっており活気で溢れていた。
ソラ「ははっ!やっぱり広いなぁ!」
こんなに規模が大きく人がたくさん賑わい建物がたくさん並んでいる世界が初めてのソラにとってはこれ以上ない興奮といってもいいかもしれない。
ソラ「ドナルドとグーフィーも俺と同じ気持ちなのかな?」
他の2人も楽しんでいるのかとよそ見をしながら歩いているソラは路地から出てきた人に気がつかずぶつかってしまった。
ソラ「うわっ!?」
???「いてっ!?」
互いにぶつかってしまったことにより体がよろめき2歩3歩と足を後退させてしまう。
???「いってぇなぁ、どこ見て歩いてんだよ!?」
ソラ「ごめん、大丈夫か?」
ぶつかってしまった相手は少し怒っている口調のようだったため自分の不注意に責任を感じたソラは謝ろうと視線を相手へ向けた。
ソラ「って、お前!」
???「ん?・・・あっ!」
相手の顔を見たソラは目を見開いて驚嘆の声を上げた。
相手もソラを見ると同じようにように驚いてしまった。
なぜなら、ソラがぶつかった相手とは・・・
ソラ「ⅩⅢ機関の、デミックス!」
デミックス「ソ、ソラァ!?何でここに!?」