『やぁ、君も公演を見に来たのかい?』
『公演?ここは一体なんなのですか?』
『ここは大帝国劇場。舞台公演が行われている場所だよ。俺は大神一郎、君は?』
『私はアクアと申します』
大帝国劇場の舞台公演が1時間前に迫った頃、その前には多くの人々が長い行列を成している。
老若男女を問わず並んでおり、舞台を楽しみにしているのかまだかまだかとそわそわしている様子だった。
「すごい行列だね」
「さくらたちってこんなに人気があったのか」
「後でサインでも貰おうかな?」
その光景を窓越しにソラたちは1階のロビーから見ている。
人気があると聞いていたがまさかここまでとは予想外だったため、さくらたちの人気を改めて実感する。
あの後、さくらたちは公演の最終リハーサルということで公演まで準備に取り掛かっている。
それまでは自由に行動してていいと誠十郎から言われたソラたちは公演まで大帝国劇場で寛ぐことにした。
公演まで楽しみにしていたがチケットを持っていないことに気付き焦ってしまうも今回はすみれの客人ということで特別に見させてもらうこととなり現在に至る。
「ソラ」
「あ、誠十郎」
声を掛けられ振り向くとそこには誠十郎が立っていた。
最終確認を終えた誠十郎はソラたちに会う為にロビーへ来たのである。
「さくらたちの準備終わったの?」
「あぁ、後は舞台で練習の成果を出すだけだ」
「楽しみだね!」
今回の公演演目は『かぐや姫』
オリジナルを少しアレンジしたもので、かぐや姫と王国の王子との恋愛物語らしい。
これから始まる公演にソラたちが楽しみにしていると、
「大変やー!」
突如劇場への扉が開き、白い着物に『金』と書かれた腰巻きを付け襷掛けをしたオレンジ髪の女性が飛び出して来た。
関西弁の彼女の名前は『大葉こまち』
大帝国劇場の売店を取り仕切っている反面、帝国華撃団の資材調達も担当している人物である。
「こ、こまちさん!?」
「どうしたんだ!?」
大変だと言いながら扉を開けたこまちにソラと誠十郎は何事だと思ってしまう。
「た、大変なんや!とにかくすぐに劇場裏に来てくれや!」
「何があったんだろう!?」
「とにかく行ってみよう!」
「うん!」
「あぁ!」
こまちの慌てようを見てただ事ではないと悟ったソラたちは劇場へ駆け出すのだった。
◆◆◆◆◆
劇場の舞台の幕の裏側、そこにはこれからの公演演目のセットが色々設置されていた。
ソラたちが駆けつけると、既にさくらたちが来ていた。
「みんな!」
「あっ!誠兄さん!ソラも!」
「何があったんだ!?」
ソラが訳を聞くとさくらたちは下を向き暗い表情になってしまった。
一体どういうことなのだろうとソラと誠十郎は顔を見合わせてしまう。
「どうしたんだみんな!?さっきのリハーサルは問題なかったじゃないか!」
「誰か怪我をしてる、って訳じゃなさそうだね」
「一体何がどうなってるの?」
「実はやな…」
「それは俺から話そう」
こまちが訳を話そうとすると、奥から赤い作業服を着た誠十郎と同い年の男性が歩いて来た。
彼は『司馬令士』
大帝国劇場の大道具係を兼任しており、帝国華撃団の霊子戦闘機のメンテナンスも担当している人物であり、誠十郎とは腐れ縁の中である。
「令士!一体何があったんだ…!?」
「まぁ、簡潔に話すぞ。実は…」
令士の話によると、舞台の映像を切り替える機械、霊子舞台演出装置『うつりちゃん』の最終確認を行っていた時だった。
特に異常も見られず問題なしと思っていたその時、突然原因不明の電撃が発生し、うつりちゃんに直撃してしまい故障してしまったようである。
「故障って、修理できないのか!?」
「修理はできるが動力源がやられちまってな、できたとしても公演までには間に合わねぇ」
「えぇっ!?」
「そんなぁ!?」
公演まであと1時間もないというのに、ここでトラブルが発生してしまったことにみんなは焦燥の表情を浮かべてしまう。
「令士!何とか間に合わせられないのか!?」
「…すまねぇ誠十郎、こればっかりはどうにも」
令士は握りこぶしを作りプルプルと震わせ自分の腕不足に責任を感じていた。
それを見た誠十郎は最善を尽くそうとしてくれているのだと実感する。
「このままだと、どうなっちゃうの?」
「中止になっちゃうのかな?」
ドナルドとグーフィーも何とかしてやりたいと考えるも一向にいいアイデアが浮かばず中止と口から溢れてしまった時、
「…中止になんてさせない!」
「さくら?」
突然さくらが顔を上げて中止させないと言い切った。
そしてみんなを見渡し続けてこう言った。
「だって!私たちは今日まで一生懸命練習してきたんだよ!それを今になって中止だなんて嫌だ!私は絶対に諦めない!!」
「さくら…」
これまで帝国華撃団のみんなで力を合わせ今日の公演に望んで来たさくらには簡単に諦めることなどできる訳がなかった。
そんなさくらを見てソラは光のように真っ直ぐな心が彼女にも宿っていると思った。
「へっ!言われなくてもアタシらはそのつもりだ!」
「その通りです!」
「ここで諦める訳にはいかないと星たちもそう言ってる」
「あざみも皆と同じ」
「そうだ!俺たちは絶対に諦めない!」
どうやらさくらに鼓舞される必要もなかったみたいであり、初穂にクラリス、アナスタシアにあざみ、そして誠十郎も最初から誰1人として公演を中止させると思っていなかった。
「そうだな!」
「みんな舞台を楽しみにしてるしね!」
「ボクたちも協力するよ!」
外で並んでいるお客さんたちを思い出し、誠十郎たちの力になろうとソラたちも協力することにした。
これによりみんなは一致団結して公演は中止にさせないことが決まった。
「俺もなるべく早くうつりちゃんを修理するが、その間はどうする?」
令士がうつりちゃんを修理している間どうやって公演まで繋ぐが考えていると、
「あっ!そうや!ええ考えがあるで!」
急にこまちがハッとなりいいアイデア浮かんだと口にする。
「ほ、本当ですかこまちさん!?」
誠十郎たちは藁にすがる思いでこまちへ視線を集中させる。
みんなからの視線を集めながらもこまちは自信満々に答えた。
「あぁ!ウチに任しとき!神山はんたちはお客さんを劇場を入れといてや!」
そう言ってこまちはその場から一旦離れて行ってしまった。
「こまちさん、一体どうするつもりなのでしょうか?」
「今はこまちさんを信じよう!俺たちは今できることをやるんだ!」
「うしっ!ウジウジしてたって仕方ねぇ!1秒でも早くうつりちゃんを直すとするか!」
みんなはこまちのアイデアを信じ、各自で出来ることに臨むのだった。
◆◆◆◆◆
公演まで30分に迫った頃。
「ようこそ大帝国劇場へ」
「チケットを確認します」
「劇場内では走らないようにして下さいね」
「楽しんで行ってね」
ソラたちはお客さんを劇場へ入れるために誠十郎の仕事であるもぎりを手伝っていた。
チケットを切ったり注意換気を促したり丁寧に対応したりと次々にお客さんを入れていった。
そして徐々に行列が減っていき最後の1人を劇場へと入れ終えた。
「ふぅ、なんとか全員入れ終えたな」
「いっぱい来てたからね」
「後はこまちさんを待つだけだが…」
「どうする気なんだろう?」
一体こまちの思い付いたアイデアとはどんなものなのだろうかと考えていると、
「すまん!待たせたな!」
扉が開きこまちが顔を出した。
「こまちさん!お客さんはすべて劇場へ入れました!」
「それでそっちの準備は?」
「こっちも問題ないで!ほら!さっさとしぃや!」
そう言ってこまちは誰かを劇場へ引っ張り入れようとするが扉が邪魔でソラたちからは見えなかったが声だけは聞こえてきた。
「いやだからいきなり連れて来られて何なんだよ!?」
「そないなこと言うとる状況やないねん!協力してくれや!」
「自分勝手にも程があるぞお前!」
「あれ?この声って…」
どうやらこまちは誰かを連れて来たようだが、その人物はあまり協力的ではないようにも思えず言い争っていた。
しかしソラはこの声に聞き覚えがあった。
「えぇからさっさとしてくれや!」
「うおっとぉ!?」
そしてついにこまちは連れて来た人物を引っ張り出すことに成功した。
その人物とは…
「デミックス!」
「えっ!?ソラ!?」
先程龍神軒で共に働かされたⅩⅢ機関のデミックスだった。
「黒コート!」
「ⅩⅢ機関だ!」
この世界でデミックスと初見のドナルドとグーフィーは咄嗟に身構えてしまう。
何せ倒すべき敵が目の前にいるのだから当然の反応だろう。
「な、なんや?」
「知り合い、なのか?」
状況が掴めずにいるこまちと誠十郎は呆然となってしまう。
「2人とも、ちょっと」
身構えているドナルドとグーフィーをソラは引っ張り誠十郎たちと少し離れてしゃがみこんだ。
「どうしたんだよ!?」
「ⅩⅢ機関がいるんだよ!?」
「まぁ確かにデミックスはⅩⅢ機関だけど、この世界で悪さしようとしてる訳じゃなさそうだし」
「何呑気なことを言ってんだよ!?」
「ソラ、もしかしてアイツに会ったの?」
「うん、だから大丈夫だとは思うけど」
ヒソヒソと話しているソラたちを余所に誠十郎はこまちにデミックスを連れて来た理由を聞こうとした。
「こまちさん、彼は一体?」
「あぁ実はな…」
こまちの話によると、昼頃ミカサ記念公園を歩いていた時、デミックスが弦楽器のシタールを鳴らしているのを見かけ思わず聞き惚れてしまう程の腕だった。
そこで、うつりちゃんの修理が終わるまでデミックスに舞台に立ってもらおうと考えてらしい。
「という訳でよろしく頼むわ!」
「何でだよ!?俺やるって言ってないよね!?」
突然連行された挙げ句いきなり舞台に立ってくれと言われたらデミックスでなくても断ってしまうであろう。
これには流石の誠十郎も困り果ててしまう。
「こまちさん、流石にそれはどうかと。それに彼に舞台に立たたせるのは…」
「えっ?何かダメなの?」
華撃団ではないデミックスが舞台に立つのはやはり駄目なのかとドナルドとグーフィーを説得し終えたソラは首を傾げてしまうが、どうやらそういう話ではないらしい。
大帝国劇場の舞台に立つのは女性のみとされており、そこに男が立ってしまえば後々問題になってしまう可能性がある。
だからこそ、誠十郎はデミックスを舞台に立たせることを渋ってしまう。
「そこは大丈夫や、実はもう1人連れて来とるんや」
「もう1人?」
しかし、こまちはそのことも把握しているようでもう1人連れて来たと言った。
デミックス以外に誰を連れて来たのだろうと疑問に思っていると、扉から別の女性が入って来た。
黒髪のショートカットで白いワンピースを身に纏っており、右手首には金色のブレスレットをつけていた。
そして印象は大人しく思えるがアナスタシアとは違った大人の印象があった。
「はじめまして、ヒカルと言います」
女性『ヒカル』は誠十郎たちに自己紹介をした。
「えっと…俺、ソラ」
「ドナルド」
「グーフィーだよ」
戸惑いながらもソラたちもヒカルに自己紹介をした。
「あの、こちらの方は?」
「あぁ、この人も同じ感じやねんけどな」
こまちがデミックスを探していた時、路地裏で独り言のようにヒカルが歌を口にしているのを偶然聞いたのだった。
それははまるで心が浄化されるような歌だったため急遽ヒカルにも舞台に出てもらえるように交渉し成立したのだった。
「そうだったんですか。しかし、どうして我々に協力を?」
いきなり舞台に立ってほしいと交渉されたら断ってしまいそうなものを引き受けてくれたヒカルに誠十郎は疑問に思ってしまう。
するとヒカルは顔を少し反らしながら訳を話した。
「じ、実は私、その…神崎すみれさんの、大ファンでして…」
神崎すみれは、この世界でその名を知らない程の有名人であり過去に大帝国劇場でトップスタァとして輝いていた。
ヒカルもまたすみれのファンの1人であり、彼女の役に立てるというのであれば是非とも協力したいという理由だったのだ。
「成る程、そういうことだったのですか」
「憧れの人なんだな」
「お話は聞かせてもらいましたわ」
ヒカルの事情を聞いていると食堂からすみれがこちらへ歩いて来ていた。
「すみれさん!」
「えっ!?ほ、本物のすみれさん!?」
突然現れたすみれにヒカルは激しく動揺してしまう。
それもそのはず、何せ自分の大ファンの人が現れたのだから平静を保っていられる筈がない。
すると、すみれに許可も得ずにヒカルを連れて来たこまちは慌てて弁解しようとした。
「頼むわすみれさん!勝手なことをしたウチが悪いけど、装置が直るまでこの2人を舞台に立たしてくれや!」
「結局俺も立つの!?流れ的にこの人だけでいいんじゃないの!?」
完全に空気と化して舞台に立たずにホッとしていたデミックスだったが、どうしても舞台に立たせようとするこまちに突っ込んでしまう。
そしてすみれはヒカルの元まで歩き足を止めた。
「えぇっと…!その…!」
「…本来でしたら団員以外を舞台へ立たせることは御法度ですが、事態が事態です。どうか舞台に立ちこの危機を救っていただけないでしょうか。お願いします」
そう言ってヒカルの手を取り舞台に立って欲しいと懇願した。
さくらたちにはかぐや姫の公演にて万全の状態で出て欲しいためヒカルに活躍してもらうしかない。
「は、はいっ!!」
憧れの人からお願いされ助けて欲しいと言われヒカルは思わず大きな声で返事をしてしまった。
「皆さん!よろしくお願いします!」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「これでなんとかなりそうだな」
「ちょっと待てぇ!何勝手に話進めてるの!?俺まだやるって言ってないよね!?」
勝手に話が進みいつの間にか自分も舞台に立つことになっていたデミックスは即座に抗議をした。
そもそも舞台に立つのは女性のため立てる訳がないと。
「まだそないなこと言うとるんかいな。アンタは後ろで演奏すればええねん」
「もう諦めて舞台に立ってよ」
「往生際が悪いぞ」
「何で俺が責められなきゃいけねぇんだよ!とにかく俺は!」
「お黙りなさい!!」
「ひぃっ!?」
何とかして断ろうとしているデミックスにすみれが一喝して怯ませた。
「貴方も男ならぐだぐだ言わずに覚悟を決めてやり遂げなさい!ではヒカルさん、準備の方はよろしくお願いいたします」
鶴の一声でデミックスを黙らせたすみれは何事もなかったかのように立ち去って行き、ソラたちはその背中を呆然と見送ることしかできなかった。
「ソラァ~!俺何も悪いことしてないよね!?何で俺が怒られなきゃきけねぇんだよぉ!?」
「………さぁ」
いきなり連れて来られた挙げ句怒られたデミックスはソラに泣きついてしまい、ソラも流石にデミックスが可愛そうに思うのであった。
◆◆◆◆◆
そして予定されていた開演時刻が5分前に迫った頃、既に劇場内には大勢の観客たちで埋めつくされていた。
観客たちはまだかまだかとソワソワしている様子で舞台劇が始まるのを楽しみにしている。
その光景をソラとドナルドとグーフィーと誠十郎は舞台袖から見ていた。
「すごい数のお客さんだね」
「こういうの、満員御礼って言うんだっけ?」
「よく知ってたね、ソラ」
「そろそろだな」
トラブルが発生した状況で時間が迫る中、誠十郎はかなりハラハラしている。
今まで公演前に降魔が現れて即座に撃退し舞台を成功させたことはあるが、今回はケースが違うトラブルであるため心配になるのも無理はない。
因みに令士のうつりちゃんの修理もあと少しということらしい。
そうこうしていると会場内にアナウンスが鳴った。
『皆さま。本日は大帝国劇場へお越しいただき、まことにありがとうございます。皆さまにお知らせがあります。本日は舞台劇の前に、前奏をお送りいたします』
アナウンスの放送に観客はざわざわと戸惑ってしまう。
舞台劇を楽しみにしていたというのに何も知らされず戸惑ってしまうのは当たり前である。
しかし舞台劇はあるため、それくらいならいいかと思いざわつきも収まっていく。
それを合図にするように舞台の幕が開いていくと、ステージには2つの人影があった。
1人は白いドレスを身に纏っている女性、ヒカル
もう1人はその斜め後ろでシタールを構えて椅子に座っている黒コートの男、デミックス
この劇場で見たことない顔に観客はヒソヒソと話し出してしまう。
「やっぱりこういう反応になるよな…」
予想通りの観客の反応に誠十郎は頭を抱えてしまう。
そして誠十郎にはもう1つ心配していることがあった。
ヒカルとデミックスが練習したのはほんの数十分。
しかも練習する様子を見ていないため2人の実力はまったく分からない。
もし失敗したらどうしようもないが、後には引けないため祈るしかない。
微妙な空気が漂う中、ヒカルが首を振り向きデミックスに合図を送ると、デミックスはシタールの弦に指を掛けて鳴らした。
シタールから聞こえる音は会場中に鳴り渡り観客たちの注目を集めた。
すると今度はヒカルが口を開き歌い出した。
どんな時だって たった一人で
運命忘れて 生きてきたのに
突然の光の中 目が覚める
真夜中に
透き通って澄んでいるヒカルの歌声に観客たちは虜になってしまい、ソラも誠十郎も聞き惚れてしまう。
数十分しか打ち合わせをしていないというのにヒカルとデミックスのセッションはまるで長い付き合いと思える程の息の合いようであった。
静かに 出口に立って
暗闇に光を撃て
今時約束なんて不安にさせるだけかな
願いを口にしたいだけさ
家族にも紹介するよ
きっとうまくいくよ
どんな時だって ずっと二人で
どんな時だって 側にいるから
君という光が私を見つける 真夜中に
一通り歌い終えると観客たちから盛大な拍手が送られた。
まだ歌を歌い終えていないというのにこの喝采。
まるで舞台劇があるのを忘れているようであった。
「凄いねヒカル!」
「うん!」
「まさかこんなに歌がウマイなんて!」
「それにデミックスだったけ?彼の演奏も中々だな…!」
「誠兄さん、ソラ」
同じようにヒカルの歌を聞いていたソラたちも歓喜の声を出してしまう。
完全にヒカルとデミックスが観客たちの心を掴んでいると、かぐや姫の衣装に着替えたさくらが声をかけてきた。
「さくら。準備は終わったのか?」
「はい、それに先ほど令士さんの方も終わったそうです」
「ってことは…装置の修理が終わったのか!」
「流石令士だな」
さくらからうつりちゃんの修理が無事に終わったことを聞いてソラと誠十郎は安堵する。
あとは問題なく舞台を始めるだけだと思っていると、さくらが舞台に立っているヒカルへ視線を向ける。
「素晴らしい歌声ですね、ヒカルさん」
「あぁ。それほどまでに歌が好きなんだろうな」
「ホントに凄いよな」
自分たちと同じように舞台で輝いているヒカルを見て、さくらたちは少し感動してしまう。
それと同時にまだまだ自分も輝けると思うさくらであった。
その後、前座としての活躍をしたヒカルとデミックスに続くようにかぐや姫が公演。
そしてさくらたちの活躍により、舞台劇は見事に成功を収めるのだった。