貞操観念が逆転した女が強い世界で最強の弓使いが無双する話   作:キサラギ職員

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射精したら和姦。みんなしってるね


8.団長

「………あれマリアンヌ様よね………?」

「え、なんで首に縄が? そういうプレイ?」

「めっちゃカッコイイ。5千兆人くらい子供産みたい」

「濡れたわ。ちょっと厠行ってくる」

 

 ベルカ城―――といっても小高い丘に陣地を張っているような場所であるが―――の正面門に、三名の人物がやってきていた。

 一人は白い死に装束のような服を纏った黒髪の美青年。

 一人は安物感が拭えない皮の鎧に量産品の剣を帯びた金髪の少女。

 一人は何故か首に縄を巻かれて顔を真っ赤にしている赤毛の大柄な女。

 最後の一名は傭兵団副長ことマリアンヌ・ベルカに間違いようがなく、対応に当たった守衛は困惑を隠せなかった。門は硬く閉ざされており、兵士たちがわいわいと集まってきていた。

 

「のう、アリシアよ。この国のものは“暑がり”なのか?」

 

 フェンは疑問を口にしていた。

 町を歩いていて、なんとなく感じていた疑問である。道を行く市民も、ベルカ傭兵団もそうなのだが、服が薄い。露出が妙に多いのだ。現に集まってきている傭兵連中の服装は、要所こそ鎧で覆っているものの、股はギリギリまで見えてしまいそうな布一枚だけだわ、胸元は大きく開いているわで、南洋の国から引っ越してきたのではないかという疑問を浮かべるのも当然だった。

 

「暑がり………? どういうことだ?」

「わからんのか。ふむぅ、つまりこれが当たり前ということなのじゃな。眼福ではあるがな」

 

 アリシアに聞いてみても、首を傾げられるばかりだった。どうやら非常識なのは自分だけのようだと納得する。

 しかし、それにしてはアリシアの服装は、温かそうである。アリシアは逆に寒がりなのだろうか?

 フェンは傭兵連中を前に、堂々としていた。

 おずおずと兵士の一人が槍を携えてフェンの正面まで歩み寄る。

 

「マリアンヌ様………? これは一体、どういうことなのでしょうか? この男は誰ですか?」

「詳しい事情は言えない! この男が私を……!」

「ごほんっ」

 

 フェン突然の咳払い。

 マリアンヌはビクッと体を震わせるとぶるぶると首を振った。

 

「な、なんでもないぞ! そうだとも! えーっと」

「姉上とやらに会わせろ」

「とにかく姉上に至急会う用事があるのだ!」

 

 なぜ連れてこられたのかの理由を聞いていなかったマリアンヌへ、フェンが助け船(?)を出す。

 姉上。つまりベルカ傭兵団を纏め上げる頭領である。

 

「は、はぁかしこまりました。副長がお帰りだ! 門を開けろ!!」

 

 門が大きな音を上げて開いていく。

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか………」

「これはいつ解いてもよいのだ?」

「じきな、じき」

 

 

 

 

 

 

「ふぅーん、貴方がうちの不出来な妹をボッコボコにしてくれたっていう男なのね」

 

 女、女、女、女、女、女―――――その比率、脅威の50:1。集会場に集まった傭兵、全員が女である。そして男はただ一人しかいない。

 集会場の壇上に女がいた。燃えるような赤い髪の毛を腰まで下ろした豊満な体付きをした右目眼帯の女である。マリアンヌが熱血ならば、こちらは冷徹。鋭いナイフのような美貌を、丸い眼鏡の奥に隠しているようだった。

 フェンは、視線を集めていた。むしろ全員がフェンを見ていた。ギラギラと欲望を隠そうともしていない。

 フェンの背後でばたんと扉が閉まると、兵士が閂をかけてしまった。

 

(ざっと50名か………突破は難しくないが、抱くにはしんどい人数だわい)

 

 などと脳内で考えながらも、フェンはマリアンヌに繋がっている紐を引いて相手側に押しやった。

 

「ぐえっ!? なにをするのだ!」

「返すぞ。さらばだ犬よ」

「犬ではない! 貴様、我を愚弄するのか!!」

「そこまでよマリー」

 

 傭兵団を率いる女がさっそく沸騰しそうになっている妹を手で制すると、懐から扇子を取り出してパチンと音をさせながら広げて口を隠した。カツカツとブーツを鳴らしながらフェンに歩み寄っていく。

 両者向き合った。フェンのほうが、若干背丈が高い。

 フェンは、やはりなと一人納得する。目の前の女も恐ろしく薄着である。薄い布で胸と股間を守って、あとは見たこともない素材のツヤツヤとしたニーソックスに、透けたスカート、マントを羽織って腰に片刃剣を提げているだけである。

 

「不出来な妹が迷惑をかけたようね……ベルカ傭兵団の長、アンナ・ベルカが謝罪するわ」

 

 アンナがひらりとスカートを揺らしおじぎをする。

 団長が謝罪したことで、傭兵達がざわめき始める。

 

「えっ、新しい愛人とかじゃなくて……?」

「いや愛人だったらなんでマリアンヌ様を縄で縛ってるのよ」

「新しいプレイかもしれない」

「男の子に攻められるのもアリかもね!」

 

 フェンは拱手(こうしゅ)の礼を返した。遅れて、アリシアが見よう見真似でフェンの動作に追従する。

 

「ほほぅ…………中々話のわかりそうな奴が出てきたではないか。儂はフェンじゃ。ただのフェン。家名は聞かないでおくれ、既に捨てた名じゃ。こっちにいるのが弟子のアリシアだ」

「いつ弟子になったんだよ!!」

「さっきじゃ」

「さっき!?」

「とにかく、お前さんのところの妹は返したぞ」

「縄を解いてあげなさい。何を要求するのかしら?」

 

 アンナが部下にマリアンヌの縄を解くように命じつつ、再び扇子で口を隠すと本題に入った。

 

「何かを求めてここまできたのでしょう? それとも私の愛人(どれい)にでもなりに来たのかしら。歓迎するわよ。あなたみたいな可愛い男は首輪をつけて躾けたくなるの」

「悪ィがそっちのケはないのでねぇ……どちらかというとつけるほうが好きじゃ。要求は二つ。儂を狙うな。強者(つわもの)がいる場所を教えろ。それだけよ、あとはいらんいらん。金もいらん」

 

 フェンの狙いは二つだけだった。一つは、ついてくるなということ。相手にするのが面倒だからだ。

 二つ目は、強い奴がいる場所を教えろ。二つ目が本命なのは、この場で理解できるのはアシリアくらいなものだろう。

 

「つわもの……? もしかして貴方、武を試す為に旅でもしているの? 男なのに?」

 

 アンナが信じられないといった様子で言葉を投げつける。

 男は、弱いものだ。だから、家庭を守るのが普通だ。目の前の男は、それを違うと言っているのだから。

 

「武を試すための旅か――――それもまた乙なもの。そうじゃ、男が強さを求めて何が悪い」

「変わってるわね。ねえ知ってる? この世は、女が強いの。うちの愚かでバカで猪で学がなくて胸ばっか大きくて大食らいな癖に好き嫌いばっかりで男一人捕まえてこれない妹を倒したからと言って、もっと強い戦士がゴロゴロいるのよ。挑みかかってどうするの? 勝てるとでも?」

「姉上! 何もそこまで言わなくてもいいじゃないですかぁぁぁ!!」

 

 マリアンヌが涙目になっているが、アンヌは意に介さない。

 フェンはゆっくりと頷いた。

 

「おう」

「そう」

 

 刹那、アンナの袖口からナイフが本数にして片腕につき三本生えた。否、取り出した。目にも留まらぬ速度でフェンの体目掛けて投擲する。

 

「返すぞ」

 

 フェンの姿がぶれた。つむじ風のように回転しながら、次の瞬間には腕を振るう。

 一陣の風が吹いた。

 

「…………」

 

 アンナが反応する暇もなかった。投擲したナイフが、あろうことかアンナの顔両側面を抜けて壁面に突き刺さっていた。

 投げつけられたナイフを、空中で六本とも指で掴み取り、投げ返す。この場の誰もができないことを、フェンはやってのけた。

 

「団長になんてことを!!」

 

 傭兵数人が槍をもって殺到するも、瞬きすらせずにいたアンナが手で制した。

 

「待ちなさい。なるほどね、面白いわね貴方………マリー。ちょっとこっちにきて」

「は、はい。なんでしょう姉上」

 

 ちょいちょいとアンナがマリアンヌが壁際まで呼び出した。

 

「いいこと考えたわ。貴方、あの男についていきなさい」

「はぁ!?」

「声が大きい。ついていって、なんとしてでも手に入れなさい。修行にもなるわ。あの男の血を私たちの傭兵団に入れましょう」

「しかしあんな男の血など……」

「そうかしら。その割に縛られてちょっと嬉しそうだったじゃない。なんで大人しくついてきたの? ちょっと期待したんじゃないの?」

「ふぁっ!? ちちちがいます! 苦しくて! 脅かされて!」

「彼かっこいいわよね、そう思うわよね。あんな美人、見たことないわ。私が貴方の立場なら、とっくに押し倒してるのにね」

「ぐっ…………」

「いいわね。ついていって抱きなさい。合意が得られないなら犯してこい。射精したら和姦ってオババさまも言ってたでしょ。それで種奪ってこい。返事は?」

「………ハイ」

 

 アンナが戻ってきた。そして、壇上に上がるとフェンに頷いてみせる。

 

「いいわよ、貴方の条件を飲みましょう。最近の情報になるんだけどね―――身の丈程の剣を軽々と使う剣士が神都にあらわれたそうよ―――」

 

「あやつか?」

 

 フェンの声が一段と低くなった。




ストックがなくなっちゃいそうなんですけど書きあがったらすぐあげたほうがいいっすかね

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