ぶっちゃけ、プロローグはどうでも良くね的な感じになっちゃってたのですが、タイトルは統一した方が気持ちええやろという事でボカロ縛りにしました。
元ネタ『零に還る世界』です。
プロローグ
「…あれ?」
俺の名前は菊池論(キクチ サトシ)。『超高校級の弁護士』として、この春から希望ヶ峰に進学する予定だった。
【超高校級の弁護士】
だが、どういうわけか、今は何故か砂浜にいた。
普通なら、広大な海を眺めながら、トロピカルジュースでも飲んで寛ぐところなんだろうが、今はそれどころじゃない。
ここに来るまでの記憶が全く無い。
目が覚めたら、砂浜で寝ていた事に気がついた。
ここは一体どこなんだ。
「…とりあえず、状況を整理するか。」
まず、俺は砂浜に一人で寝ていた。
周りに人がいた痕跡が見られる。どうやら、無人島というわけではなさそうだ。
…最悪だ。せっかく入学式用に新調した制服が砂まみれだ。
「他に何か無いか探そう。」
砂浜を歩き回っていると、一艘のボートが打ち上げられているのに気がついた。
恐る恐る近づいた。
…人が乗っていた。
見たところ、10歳くらいの女の子だ。
ボートに横たわっていて、意識は無いようだ。
「…ま、まさか死体じゃないよな…?」
そっと女の子の肩を揺すってみた。
「…んっ。」
微かに声が聞こえた。
…とりあえず、息はあるみたいだな。
一安心して、ため息をついた瞬間だった。
ゴッ
「!!?!?!??!?」
目の前で星が回っている。これが本当のキラキラ星か。
額に痛みが走る。
一瞬何が起こったのか、理解できなかった。
数秒後、急に起き上がった女の子が、俺に頭突きしてきたのだと理解した。
俺が混乱しているのを気にも留めず、そいつは背伸びをした。
「ん〜〜〜〜〜ッ!!よく寝たー!!…って!えぇえ!?ここどこ!?青い空、白い雲、アーンドだだっ広い海!!なんであーちゃんこんなとこにいんのー!!?」
「…おい。」
「ほにゃ?おにーさん誰?…はっ!!まさか!!ユーカイハンなの!?あーちゃんにランボーする気でしょう!?エロ同人みたいに!!」
…なんで余計な事を知ってるんだこのクソガキは。
俺は舌打ちをした。
「あー!今舌打ちしたな!?知らないの?舌打ちすると、ジュミョーが1秒ちぢむんだよ!!ってゆーか!おにーさんだれなの!?言わないとデコピンすっぞ!!」
こ の ク ソ ガ キ ! !
「…俺の名前は菊池論。高校1年生だ。『超高校級の弁護士』って呼ばれている。」
「ふーん。ドラマで見た事あるよ。ベンゴシ…たしか、ヒコクニン?を守る人だよね。…でも、あーちゃんはサトにいみたいな顔面偏差値40のベンゴシに守られなくないなー。」
ぶ ん 殴 り て え
「お前は?」
「あーちゃんはあーちゃんだよ!!」
「本名を教えてくれるか?クソガ…お嬢ちゃん?」
「今クソガキって言おうとしたな!!あーちゃんはコドモじゃないよ!!」
「どう見ても子供だろ…」
「失礼しちゃうわプンプン!!あーちゃんは、サトにいと同い年なんだぞ!!」
「ホワッツ!!?」
「こう見えても、華のフィフティーンなのだ!!」
そうか、今日はエイプリルフールか。
「えっと…今日は4月1日だっけ?」
「エイプリルフールぢゃねーし!!あーちゃんは、キボーガミネのピカピカの1年生なんだぞ!!」
クソガキは、偉そうにしていた。
「希望ヶ峰…?俺と進学先同じじゃねえか!…お前、『超高校級』の才能は何だ!?」
「サイノー?…えっとね、忘れちゃった!!」
…は?
「才能を忘れた!!?何だよそれ!!」
「知らないよ!!だってあーちゃん忘れちゃったんだもん!!」
クソガキがわめいていると、ポケットからスマホのようなものが落ちた。
「おい、なんか落ちたぞ。」
「ほぇ?」
クソガキは、スマホを拾い上げてまじまじと見つめていた。
「…どうした?」
「えっと、チョーコーコーキューのみんなは、マップに記されているモノモノリゾートホテルのロビーに集合!だって。」
どういう事だ?なぜ、そんな案内が書かれたスマホを、このガキが持ってる…?
念のため、俺は自分の服を探してみた。
「…あ。俺のポケットにも入ってら…」
ジャケットの内ポケットに、見覚えのないスマホが入っていた。
電源を入れると、ご丁寧に俺の名前が表示された。
「あれ…?これ、俺のスマホじゃないよな…だったら何で俺の名前が…?」
『超高校級』についての記載があったという事は、希望ヶ峰学園からのサプライズなのかもしれない。
とりあえず、ロビーに向かうか。
ふと横を見ると、クソガキが居なくなっていた。
「…あれ?」
視線をずらすと、ガキは遠くまで歩いていた。
「おい!!勝手にほっつき歩くなよ!!」
俺はガキを追いかけた。
「なんでついてくるのよー!!サトにいのストーカー!!ハンザイシャヨビグン!!」
「お前が勝手に移動するからだろうが!!」
「だって、ロビーに8時に集合って書いてあるんだもん!!」
「…は?」
慌ててスマホの時刻を確認した。
時刻は、7時57分だった。
「もうあと3分しか無えじゃねーか!!そういう事はもっと早く言え!!」
「だって、サトにいにいちいち教えてたら、間に合わないもーん!!」
つくづくムカつくガキだ。
絶対こいつより先に到着してやる。
俺の中で、謎の対抗心が芽生えた。
俺は、砂浜をダッシュで駆け抜けた。
ホテルに、時間ギリギリに着いた。
外装は、セレブが好みそうな豪華なホテルだった。
「何全力疾走してんだこのヤロー!!大人気ねーぞ!!」
後ろでガキがわめき散らしていた。
「…おい、着いたぞ。」
俺たちは、ホテルの入り口のドアを開けた。
ドアを開けると、そこには巨大な空間が広がっていた。
壁には壁画や大理石の柱などの豪華な装飾が施されていた。
「…まるで城だな。」
「あれ?また誰か来たみたいだよ!」
そこには、14人の人間がいた。
「初めまして!君たちも、『超高校級』なのか!?」
いきなり、爽やかなイケメンが話しかけてきた。
「まあな。俺は、『超高校級の弁護士』菊池論だ。…で、こっちが…」
「あーちゃんです!!」
「そっか。俺は、『超高校級のサッカー選手』玉木勝利(タマキ カツトシ)だ!よろしくな、菊池にあーちゃん!」
【超高校級のサッカー選手】
玉木勝利…聞いた事あるな。確か、中学生の頃にJリーグに出場して、大人チーム相手に圧勝した天才キャプテン…だっけ。
「…こちらこそよろしく、玉木。」
「ああ!困った時は、いつでも俺に頼ってくれよな!!」
「カツにいよろぴく!!」
「カッちゃん!その人達も、『超高校級』なの?」
小柄な女子が話しかけてきた。
「あんたは?俺は、菊池論。『超高校級の弁護士』だ。」
「あーちゃんだよ!!」
「ウチは近藤夏美(コンドウ ナツミ)!『超高校級のパティシエ』だよ!」
【超高校級のパティシエ】
近藤夏美。確か、超一流のパティシエだ。お菓子だけじゃなくて、料理なら基本何でも作れるらしい。
「パティシエ?って、お菓子作る人だよね?」
「そうだな。」
「サトにい、ナツねえと仲良くしたら、お菓子いっぱい食べれるかな?」
「かもな。」
「…。」
「あーちゃん、だったよね?よろしく!!」
「本名アリス、年齢15歳、誕生日は1月1日、やぎ座のAB型、希望ヶ峰に進学予定の新高校1年生です!!」
急にペラペラ喋りやがったこいつ…
お菓子が目当てだな、多分。
「えっ!?あーちゃん、ウチと同い年なの!?しかも、希望ヶ峰!?」
「うん!!」
「じゃあ、才能もあるんだよね?教えて!」
「忘れました!!」
「…え?」
「忘れました!!」
「…そんな事ってあるんだね。」
【超高校級の???】アリス
「ナツねえは、お菓子とか作れるの?」
「うん。一通りはね。…あとで作ってあげよっか。」
「わーい!!」
単純な奴だ…
「ねえ、君たちは何を話してるの?」
整った顔立ちの女子が話しかけてきた。
…なんか、どっかで見た事ある顔だな。
「あっ!!うぇすにゃん!!」
「アリス。知ってるのか?」
「知ってるよ!!チャンネルトーロクシャスー500万人越えの、Y●uTuberだよ!」
「どうも!生身でははじめましてですね。私、うぇすにゃんこと、猫西理嘉(コニシ アヤカ)です。『超高校級の実況者』って呼ばれてます。」
【超高校級の実況者】
「俺は菊池論。『超高校級の弁護士』だ。よろしく。で、こっちがアリスだ。」
「あーちゃんです!うぇすにゃんのチャンネル、トーロクしたし、ドーガもいっぱい見たよ!!」
「私のファンなの?めっちゃ嬉しい!よろしくね、あーちゃん!!」
猫西は嬉しそうにアリスの手を握った。
「貴方方ですか、集合時刻の37秒前に到着したのは。」
メガネをかけた女子が話しかけてきた。
「集合時刻の5分前までに集合するのは常識です。以後気をつけてください。」
「わ、悪い…俺は、菊池論。で、こっちがアリスだ。…アンタは?」
「申し遅れました。私、速瀬吹雪(ハヤセ フブキ)と申します。『超高校級の秘書』などと呼ばれております。」
【超高校級の秘書】
速瀬吹雪。聞いた事あるな。確か、中2で県知事からオファーをもらって秘書を務めた完璧超人だったっけ。
「菊池様とアリス様ですね。よろしくお願いします。」
速瀬は、美しい姿勢でおじぎをした。
「あーちゃん知ってるよ!!ヒショって、たしか社長とフリンする人でしょ?
「んなっ…!!」
「失礼を承知で申し上げますが、初対面でその発言は失礼ではありませんか?…申し上げておきますが、ああいった行為は、フィクションの中だけで行われているものです。実際のところ、書類の作成やチェっク、スケジュール管理など、秘書の仕事は一日中ございます故、貴女の仰るような行為をする時間の余裕など無いのですよ。それが大手企業の社長、大臣や知事などの秘書であれば尚更です。」
「…ふーん。ドラマみたいなお熱い展開とかは無いんだ。」
「ございません。第一、私は高校生です。」
「…だよねー。あーあ、つまんねーの。」
「おや、面白い方達がお揃いですね。」
西洋人の顔付きの美男子が話しかけてきた。
「お初にお目にかかります。私、ジェイムズ・D=カークランドと申します。『超高校級の大学教授』として、日本の希望ヶ峰に進学する予定でした。」
【超高校級の大学教授】ジェイムズ・D=カークランド
…見た目から想像はできていたが、やはり外国人だったか。
「なあ、アンタって、もしかして…」
「はい。私は、英国から日本に来ました。いわゆる留学生ですね。」
「サトにい!エーコクって何?」
「イギリスの事だよ。」
「わーお!」
…希望ヶ峰って、色んなところから生徒集めてくるんだな。
「高校生なのにキョージュなの?面白いね!!」
「はい。11歳で大学を卒業し、12歳の時に、大学教授の資格試験に合格しました。私の国では、飛び級制度があるので。」
今さらっとすごい事言わなかったか…?
「ふーん。なんでキョージュがわざわざ高校に進学したの?」
「そりゃあ、日本が大好きだからですよ。…私、日本の文化には幼い頃から憧れていまして…希望ヶ峰に進学が決まった時は、舞い上がりそうになってしまいました。こうして『超高校級』の皆さんと同じ空間にいるのが夢のようです。よろしくお願いしますね。」
ジェイムズは、早口で喋り始めた。
「そんなに早口で喋ってもわかんないでしょ…」
西洋人の顔付きの女子が、あくびをしながらこっちに来た。
「ふわぁあ…眠い。」
「俺は菊池論、こっちがアリスだ。よろしくな。アンタは?」
「…リタ・アンカーソン。『超高校級の』…ふわぁあ…外務大臣…ですぅ。」
リタは船を漕ぎながら自己紹介をした。
【超高校級の外務大臣】リタ・アンカーソン
「彼女は、ノヴォセリック王国の外務大臣です。彼女とは、幼い頃からの知人でして…いつも眠そうにしていますが、外務大臣としては優秀ですよ。」
ジェイムズが、リタの紹介をした。
「Zzz…」
「寝た!!リタねえ?おーい!!!」
アリスが、リタの耳元でけたたましく声を張り上げるが、リタは全く起きる気配がない。
「無駄っスよ。一度寝たら、起きないっス。」
楽譜の記号のヘアピンをつけた女子がこっちに来た。
「俺は菊池論、こっちがアリスだ。」
「よろ!!」
「アンタは?」
「自分、小川詩音(オガワ シオン)っていうっス。『超高校級の演奏家』って呼ばれてるっス。顔と名前くらいは覚えてくださいよ〜。」
【超高校級の演奏家】
小川詩音…確か、3歳でピアノのコンクールで準優勝して、9歳でプロの演奏家として海外のオーケストラで演奏した天才だっけ。
「菊池先輩にアリス先輩っスね。よろしくっス。」
「なんで同い年なのにセンパイってゆーわけ?」
「癖っス。気にしないでくださいよ。」
「ふーん。変なの。」
「なんか盛り上がってるな?俺も混ぜてくれ。」
大柄な男子が来た。
「でけー!!巨人かよー!!おにーさんだれー!?」
「俺は、郷間権蔵(ゴウマ ゴンゾウ)だ。『超高校級の庭師』って呼ばれてる。」
【超高校級の庭師】
「本当は、大工になりたかったんだがな…たまたまお袋に庭掃除をしろって言われて、仕方なく掃除したら、それを近所のジジイに見られちまって…気がついたら、希望ヶ峰にスカウトされてたってわけよ。」
「ふーん。意外なサイノーをハッキしちゃったんだね。」
「ここにいる奴は、みんな兄弟だ!!よろしく頼むぜ、弟に妹!!」
…俺は弟かよ。
「よろしく。」
「よろぴく!!お兄ちゃん!!」
「吾輩抜きで盛り上がるなど、言語道断でありますぞ!!」
いかにもオタクっぽい男子が話しかけてきた。
「俺は菊池論。こっちがアリスだ。」
「吾輩は、織田兼太郎(オダ ケンタロウ)、『超高校級の漫画家』であります。以後お見知り置きを。」
【超高校級の漫画家】
「織田先輩は、ド変態なんで気をつけた方がいいっスよ。さすがエロ漫画家っスよね。」
「んなっ!!」
「そーなの?」
「何を言いますか!!吾輩は清く正しい織田兼太郎であります!!」
「わかったよ。キモくいやらしいケンにい。」
「アリス氏!!辛辣であります!!」
「あ…あの…」
後ろから、小柄な女子が話しかけてきた。
「あれ!?いつからいたの!?」
「えっと…ずっと前から話しかけてたんですけど…なかなか気づいてもらえなくて…」
「そうだったの!?ゴメン!!」
「いえ…いつもの事ですし…」
「あーちゃんはあーちゃんだよ!おねーさん、お名前は?」
「あ…えっと…床前渚(トコマエ ナギサ)です…『超高校級の幸運』です…よろしくお願いします…」
【超高校級の幸運】
「私、なんの取り柄もなくて…ただ運で選ばれただけなので…」
「でもさ、そのラッキーって、逆にサイノーじゃない!?」
「…アリス先輩、何スか。『逆に』って。」
「あー、かったりい…」
ガラの悪い男子が口を開く。
「俺は菊池論、こっちがアリスだ。アンタは?」
「テメェに教える義理があるかよ。」
「せめて名前くらいは教えてくれないか?じゃないと、お前を『ウンコ座り』って呼ばなきゃいけなくなるぞ。」
ウンコ座りは、舌打ちをするとめんどくさそうに自己紹介をした。
「狗上(イヌガミ)。『超高校級の操縦士』だよ。」
【超高校級の操縦士】
「狗上先輩は、下の名前を『リオン』っていうっス。」
「えー!?女の子みたい!!」
「うるせぇ殺すぞ。」
狗上は、俺達を睨んできた。
「リオンにいこわいー!!」
「殺すぞクソガキ。」
怒りのボルテージがてっぺんまで達していたので、アリスを連れて逃げるように立ち去った。
そして、とりあえず近くにいた怪しい男子に声をかけた。
「…なあ、アンタ名前は?俺は菊池論。こっちがアリスだ。」
「フッ…俺は、『超高校級の超能力者』森万羅象(モリヨロズ ツラノリ)だ。」
【超高校級の超能力者】
「超能力者あ!?あの、スプーンとか曲げるヤツだよな?」
「あんなチンケな手品と一緒にするな。俺のは、本物の超能力だ。」
「ビームとか出せる!!?」
「…調子が良ければ。」
「スッゲー!!」
う さ ん く せ ぇ 〜 ! ! !
「おい、もう行くぞ。」
「えー…あーちゃんビーム見たいー!!」
「多分出せねえよ。ほら、行くぞ。」
「ビーム見たいー!!」
アリスはガキみたいに駄々をこねた。
あとは、自己紹介が終わっていない女子二人に声をかけた。
「俺は菊池論。アンタらは?」
「…射場山祐美(イバヤマ ユミ)。『超高校級の弓道部』。」
【超高校級の弓道部】
「アンタは?」
「…アンタ?テメェ、誰に向かって口利いてんだ!!私は天才すぎる美人外科医、神城黒羽(コウジロ クレハ)様だぞ!!」
【超高校級の外科医】
「跪け!!媚びろ!!そしてこの私を崇めろ!!」
「…。」
あまりのぶっ飛んだ態度に、言葉が出なかった。
すると神城は、俺のスネを蹴って転ばせた。
「いっっっっっっっってぇ!!!」
「…ん。」
神城は、蹲る俺の前に足を出した。
「お前を蹴ったせいで靴が汚れた。舐めろ。」
「…は?」
「早く舐めろ。」
屈辱的な命令だった。
すると、アリスが割り込んできた。
「ねえねえ、靴っておいしいの?あーちゃん、テレビで見た事あるよ!たしか、靴って革だから食べれるんでしょ?」
「…はぁ?」
さすがの神城も、訳の分からない質問をされて戸惑っていた。
「あーちゃん、靴食べてみたいなー!ねえ、舐めさせてくれるってことは、食べてもいいよね?ねえ!」
アリスは食い気味に神城に詰め寄った。
「わ、私に気安く触るな!!愚民が!!」
神城は、腹を立てながら立ち去っていった。
…まさか、アリスのブッ飛んだ好奇心に助けられるとはな。
全員の自己紹介が終わった。
『うぷぷ…全員自己紹介が終わったみたいですね?』
ロビーに甲高い声が響き渡る。
「誰だ!!」
『オマエラ、おはようございます!!』
ロビーのフロントから、白黒のクマのぬいぐるみが現れる。
「おはようございます。」「ふむ…おはようございます。」
速瀬とジェイムズは、挨拶を返した。
「わーい!!クマちゃんだ!!かわいい〜!!」
アリスは、ピョンピョン飛び跳ねていた。
『ちょっとちょっと〜!』
後ろから、白と茶色のハムスターのぬいぐるみが飛んできた。
『オイラを忘れないでくだちゃいよ!ちぇっかく準備ちてきたのに!』
『わっとっと!ごめんごめん。許してチョンマゲ!』
ぬいぐるみのプチ漫才が始まった。
『ほら校長、皆様に自己紹介!』
『そうだったね!ボクはモノクマ!希望ヶ峰学園の、学園長なのだ!!』
『オイラはモノハム。希望ヶ峰学園の教頭でちゅ!』
ぬいぐるみ達は、自己紹介をした。
「希望ヶ峰学園…という事は、これは学園の催し物ですか?」
ジェイムズは、ぬいぐるみに質問した。
『そうなるね。唐突ながら、オマエラには才能強化合宿に参加してもらうよ!』
「ガッシュクー!?わーい、あーちゃんおとまり大好きー!!」
『皆様には、今からこのホテルで共同生活を送っていただきまちゅ。』
『このリゾート地は貸し切りで、どこに行こうとオマエラの自由!『超高校級』のオマエラのために、全てにおいて最上級のホテルを用意しました!』
「最高っスね!!」
「帰ったら、弟達に教えてやりてえな…今度は、一緒に連れてこようかな。」
「動画のネタになりそう…」
『おやおや?皆様、何か勘違いちゃれていまちぇんか?』
「?」
『オマエラは、一生ここから出られません!!もちろん、ボク達は、オマエラを解放する気なんてこれっぽっちも無いからね!!』
…は?
「はぁあ!?どういう事だよ?ふざけんじゃねえよ!!」
狗上は、怒りを露わにしていた。
『ふざけてんのはオマエの名前でしょ?その顔でリオンって…キミの両親は相当クレイジーだね!』
「テメェ…ぶっ殺すぞ!!」
『全く、これだから最近の若者は…教育がまるでなっていまちぇんね。』
『じゃあそこのキラキラネームは放っといて、説明するとしますか。これからオマエラには、合宿生活をしてもらいます!みんな、秩序を守って仲良く暮らすように。』
モノクマは、勝手に説明を始めた。
「そんな…。早く家に帰らないと、視聴者の皆さんに迷惑かけちゃうよ…」
『まあ、そうなるよね。そんなオマエラに朗報です!!』
「もしかして、家に帰れるの!?」
『こっちとしてもさ、ルール守らないヤツと一緒に合宿なんてしたくないわけ。だからルールを破ったヤツには、このリゾート地から出て行ってもらうよ!!その名も、『帰郷』ルール!!』
「帰郷…一体、何をしたら帰郷になるんでしょうか?」
『うぷぷ…それはね…』
『…人を殺す事だよ。』
…は?
ちょっと待て、どういう事だ?
『方法、時間、場所はなんでもいいよ!!とにかく、人を殺したヤツは、ここから出て行ってもらうからね!!』
『学校とちても、殺人犯を合宿生活の一員とちて認めるわけにはいかないので。』
「そんな…そんな事、できるわけないじゃん!!」
「そんな事を強制して、一体何が目的なんですか?」
『うぷぷ…ボクはね、見たいんだよ。『超高校級』という『希望』同士が殺し合う『絶望的シチュエーション』をね!』
「…話になりませんね。そんな事を言って、どうせ誰一人ここから出さない気でしょう?貴方方が約束を守るという保証は?」
『うるさいなあ、とにかく殺せばいいんだよ!!』
「さっきから黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがってよ…このポンコツオモチャ共が!!そんなに殺しが好きなら、まずはテメェらから潰してやろうか!!?」
狗上が、モノクマを引っ掴む。
『キャー!!学園長への暴力は、ルール違反だよ!?』
『が、学園長…!!?あわわわわ…』
ピピピピピピ…
モノクマから変な音が聞こえる。
「!!?」
危険を感じた狗上は、咄嗟にモノクマを空中に放り投げる。
その瞬間、モノクマが爆発した。
『学園長ー!!!』
「きたねえ花火だ」
『誰がアトミックボムじゃい!!』
フロントから、しれっとモノクマがもう一体出てくる。
「あれれ!?クマちゃん、もう一体いたの!?」
『ボクは一体だけじゃないからね〜。』
「テメェ…マジで殺そうとしやがったな!!?」
『アタリマエじゃん。ルール違反するのがイケナイんだよ。今回は警告音だけで許すけど、次から気をつけてよね。』
『モノクマ&モノハムは、リゾート地の至るところに設置ちゃれておりまちゅ。変な事ちたら、今みたいなグレートな体罰をプレゼントちまちゅ。』
「…あの、先程から気になっていたのですが。」
ジェイムズが手を挙げて発言をした。
「このスマートフォンは、一体何ですか?」
『おっと!説明するのを忘れてたよ!それは、『電子しおり』です!合宿生活をする上での必需品だから、失くさないようにね!それじゃ、まったねー!!』
モノクマとモノハムは去っていった。
「チッ…あのヌイグルミ共、好き勝手しやがって…」
「この私を閉じ込めて、愚民共と共同生活を送らせるなんて…絶対許さない。ギタギタに踏み潰してサメのエサにしてやる…!」
「なあ、とりあえずしおりを確認しようぜ。」
玉木が提案した。
「…そうだな。」
しおりを起動すると、さっき見た画面になった。
合宿の心得という項目を見てみた。
1.生徒達はこのリゾート地だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。
2.夜10時から朝7時までを『夜時間』とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。
3.就寝はホテルに設けられた個室でのみ可能です。他の場所での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。
4.希望ヶ峰学園及びリゾート地について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。
5.学園長ことモノクマと、教頭ことモノハムへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。
6.仲間の誰かを殺したクロは『帰郷』となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。
7.なお、合宿の心得は順次増えていく場合があります。
「ねえねえ、6番の、誰かに知られちゃいけないってどういう意味だろうね?」
「人を殺すなら、隠れて殺せって事だろ。」
「知られたらどうなんのかな?」
「殺す前提かよ…」
「何その決めつけ!!あーちゃんはサイコキラーぢゃねーし!!」
「…とりあえず、何もわからないままでは埒があきません。リゾート地を調べてみましょう。」
「…そうだな。」
速瀬の提案に賛成した。
ーこうして、俺たちのコロシアイ合宿が始まった。