ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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第2章 非日常編①(捜査編)

…え?

嘘だよな?

お前は、今世紀最大の超能力者なんだろ…?

こんなところで、簡単に死ぬわけないよな…?

 

…頼むから、奇跡を起こしてくれよ…!

 

俺を…俺たちを、絶望させないでくれ…

 

「いやぁあああああああああああああああああああああああああ!!!」

「あ…あああ…」

「おい…嘘だろ…?森万…?」

「…!!」

「わぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!?」

「あああ、そんな…ツラノリちゃんが…アタシ、もう見てられない…!」

猫西と織田の悲鳴が、水族館に響き渡る。

玉木と床前は、突然の出来事に動揺していた。

射場山は、ショックで言葉が出なくなっていた。

鈴木は、顔を手で覆って、水槽に背を向けた。

そんな中神城だけは、顔面蒼白になりながらも高笑いしていた。

「は、ははは!なんだ、隋分と悪趣味なパフォーマンスだな!!今度は一体、どんなトリックだ!?」

…パフォーマンス?

そうだ、これはきっとショーなんだ。

なんだよ、おどかしやがって…一瞬、森万がサメに喰われたと思ったじゃねえか。

全く、今度はどんなトリックを使いやがったんだ?

…ほら、ジェイムズ。早く『ドッキリ大成功』でも、『イリュージョン』でも、なんとかいいやが…

 

That is impossible(そんな馬鹿な)!…Rubbish.(嘘だ) He cannot die so easily (彼がそう簡単に死ぬ筈が無いんだ)…!」

 

ジェイムズは、かつてないほどに動揺し、英語で何かをブツブツと呟いていた。

近藤と郷間が殺された時でさえ、冷静に状況を分析していたアイツが。

顔面蒼白になり、完全に冷静さを失っていた。

ジェイムズは、つけていたマスクを外して床に放り投げると、水槽に駆け寄り、水槽を何度も叩いた。

やがてアイツは、水槽を叩く気力さえ失い、その場に座り込んで項垂れた。

「… Please(頼むから)Tell me it is not true(嘘だと言ってくれ)…」

「…ジェイムズちゃんがここまで動揺してるって事は…残念だけど。」

鈴木はそれだけ言うと、泣き崩れるジェイムズにそっと上着を着せて、背中を撫でた。

…ようやく、頭が現実を理解し始めた。

…いいや、現実なんて、最初からわかり切っていた事じゃないか。

今まで、理解できなかったんじゃない。理解したくなかったんだ。

…本当は、現実を見なきゃいけない事はわかっているはずなのに。

俺の頭が、それを受け入れる事を拒絶したんだ。

俺は、電池が切れたかのように、ただ無気力にそこに立ち尽くす事しかできなかった。

「…クソッ、なんでまたこうなっちまうんだよ!!」

玉木は、仲間を失った悔しさに地団駄を踏んだ。

…正直、俺もまだ心の整理がついていない。

悲しい。

悔しい。

泣きたい。

叫びたい。

言いたい事は山程ある。

…だが、それは他のみんなも一緒だ。

だからこそ、俺が冷静でいなければならなかった。

俺は、玉木に声をかけた。

「なあ、玉木。大丈夫か?」

「あぁ?何がだよ。」

「お前だって、こんな状況におかれて、精神的に参ってるんじゃないのか?」

「…参ってるに決まってんだろ。お前は、森万があんな風になっちまって、悔しくねぇのかよ!!?」

「…悔しいよ。それは俺だって、ここにいる他のみんなだって一緒だ。」

「だったらなんでこんな状況で、そんな風に冷静でいられんだよ!?」

「…こんな状況だからこそだ。悔しがる事も、泣き叫ぶ事も、後でいくらでもできる。今冷静にならなきゃ、それこそ犯人の思う壺だ。俺は、森万をあんな風にした犯人の思い通りになんかなりたくない。」

俺の言葉に、射場山が同調した。

「…同感。私はこんなところで死ぬ気ないから。」

「わ…私もです…!」

「うふふ…せいぜい醜くのたうち回るといいわ、犯人ちゃん!」

 

しばらくして、モノクマの不快なアナウンスが鳴り響く。

 

『オマエラ、死体が発見されました!!中央エリアの水族館へとお集まりください!!』

 

放送を聞きつけたアリス達が、水族館へと駆けつける。

「にゃあああああああああああ!!?ツラにいが…ツラにいが…ホホジロザメにおいしくいただかれてるー!!?」

「…!そんな、森万様が…!如何して…!」

「あ…あああああ…そ、そんな…!森万先輩が…!」

「嘘でしょ…森万が…なんで…!」

全員が、目の前の惨状に対してリアクションした。

『うぷぷぷぷ!あーあ、死んじゃったよ。あんなに、『俺に任せろ』だの『俺様に不可能は無い』だの息巻いてたくせにね!案外あっけないもんだね、自称超能力者(笑)クン!…で、カークランドクンはかなりご傷心のようですね!?そんなに相方が死んだのがショックだった?うぷぷぷぷ!』

「…うっ…うう…森万さん…」

『っていうか、超能力があるなら、早く蘇りでもちゅればいいのに。まあ、ちょんな事できたらの話でちゅけど!ぴっきゃっきゃ!!』

『カークランドクンも、いつまでも泣いてないで、あんなペテン師の事なんて忘れちゃいなって!』

What do you know(お前達に何がわかる)…?」

「お前らが…お前らが、森万を殺したのか…!?」

『はいド低脳〜!善良な希望ヶ峰のマスコットがそんなエグい事するわけないじゃ〜ん!森万クンを殺したのは、間違いなくオマエラの中の誰かなんだよ!』

『全く、最近の若者はこれだから…ちゅぐに責任を他人に押ちちゅけようとちゅるのはいけないと思いまちゅ!たまにはイチャモンをちゅけられる側の立場にもなってくだちゃいよ!』

『そうそう!なんでもかんでもボク達のせいにするんじゃないよ全く!!あんまりボクを怒らせると、モノクマファイル配ってやんないぞ!!』

「ねえ、何?そのモノクマファイルって。アタシ、初耳なんだけど。」

『あ、そっか。鈴木クンは初めてだったね。じゃあ、改めて説明するよ!今からオマエラには、制限時間内に今回の事件の調査を行ってもらいます!その後は全員参加型の学級裁判を行い、森万クンを殺したクロが誰なのかについて議論をしてもらいます!見事クロを当てられたらクロだけおしおき、クロを当てられなかったらクロ以外がおしおきっていうルールだよ!みんな、気をつけて調査してよね!』

「ふぅん。…おしおき、ね。ロクな事が起こらなさそう。」

『ちょんな事ないでちゅ!実際体験ちてみたら、案外面白いかもでちゅよ!』

どの口がほざいてやがる。

「ふーん。ホントにロクな事しなさそうね、アンタ達。…まあでも、今一番ロクでもないのは、ツラノリちゃんをあんな目に遭わせて、平然とシロのフリしてアタシ達の中に紛れ込んでるおバカさんかしらね〜。」

鈴木は、俺たち全員をジロジロと見る。

…そうだ。この中に…信じたくはねぇけど、森万を殺した犯人がいるんだ。

『ちゃて、ちょろちょろお喋りはこの辺にちて、モノクマファイルを配っちゃいまちょうか!』

しおりを確認すると、モノクマファイルが追加されていた。

『じゃ、ファイルはあげたから、調査の方頑張ってね〜!』

モノクマ達は、不気味な笑みを浮かべながら去っていった。

…まだ、俺たちは続けなければならないのか。

あの地獄のようなデスゲームを。

 

 

 

 

 

ー《捜査開始》ー

 

まずはモノクマファイルに目を通しておこう。

 

 

モノクマファイル

被害者は『超高校級の超能力者』森万羅象。

死体発見現場は、中央エリアの水族館内部にある、ホホジロザメ『モノサメちゃん』(♀)の水槽内部。

死亡推定時刻は22:55頃。

死因は窒息死。

死体はモノサメちゃんに食べられたため、死体の状況の詳細は不明。

 

…窒息死?

だとすると、状況的にやはり溺死か?

せめて死体があれば…クソッ、情報が少なすぎる…!

「あら、このファイル…やけに詳しく書かれてるじゃない?」

『まあね!ボク達は、犯行の瞬間をこのつぶらなおめめでバッチリと目撃していたのだ!だから、そういう詳しい資料を作成できるんだよ!』

「ふうん。ここに嘘が書かれている可能性は?」

『うっさいなぁ、そんなにボク達を信じられないなら、自力で調査すればいいだろー!!』

「無理に決まってんじゃない、アタシ達ド素人なんだから!!…はあ、じゃあ、調査中と裁判中だけは、クマちゃんとハムちゃんを信じてあげるわ。」

『なんでちゅかその上から目線は!!腹立ちまちゅね!オカマの分際で生意気でちゅよ!』

「うっさいわね!!誰がオカマよ!!アタシはオ・ネ・エ!!気安くオカマなんて呼ばないで頂戴!!オネエナメんじゃないわよ!!」

「おい、落ち着けって…」

…コイツといると、倍疲れるな。

誰かを思い出す。…面倒臭いっていう意味で。

だがまあとにかく、これで少しは森万が殺された時の状況が理解できた。

 

コトダマゲット!【モノクマファイル】

 

…次は、犯行現場の調査だな。

水槽を見てみると、さっきまで泳いでいたサメがいなくなっていた。

「あれ…?サメがいない…」

『ああ、モノサメちゃんなら、捜査の邪魔になっちゃうだろうから、今は別の水槽でおねんね中だよ!』

サメをあんな短時間で水槽から出して、別の水槽に移し替えただと…?

…やっぱりこのぬいぐるみ共、只者じゃねえな。

「水槽の調査は誰がやる?」

「あの…出来れば、私は別の所にして頂けると有り難いです…」

…そうだな、ジェイムズにとっては辛いよな…大事な友達が、あんな風になっちまったんだからな。

「うふふ、じゃあアタシが調べるわ。アタシ、結構血生臭いのには耐性ある方だから。」

「…鈴木様は、放っておいたら何をするか分かりません。私が監視させて頂きます。」

「ちょっとぉ!信用ないわね、フブキちゃん!」

「当然です。共に過ごした時間が短い貴方が、一番怪しいです。」

「酷いわぁ。アタシはサイコキラーなんかじゃないわよぉ!」

「…でも、二人だけだと心許ないよね。私も水槽を調査するよ。」

「俺も、出来る事があれば協力するぜ!」

結局、鈴木、速瀬、猫西、玉木の4人が水槽を調査する事になった。

「…私達はどうする?」

「そうだな…じゃあ、アリス達の持ち場を調査するか。アリス、リタ、小川。お前達は、自分の持ち場じゃない所を調査してくれるか?」

「なんでー!!?」

「…自分達が、証拠を隠滅するかもしれないからって事っスよね。分かったっス。自分がいた所は、先輩方が調査してください。」

「ふわぁ…僕は殺してなんてないですけど…信用できないならしょうがないですねぇ。」

結局、速瀬の持ち場は神城が、アリスの持ち場は射場山が、小川の持ち場は織田が、リタの持ち場は床前が調査する事になった。

「あーちゃん、とりあえず心当たりありそうなとこ探してみるよ!とうっ!」

アリスは、俺たちの担当決めが終わらないうちに話し合いの場から抜け出し、舞台を調べ始めた。

「…なんなのアイツ。」

射場山は、呆れながらアリスを見た。

「…本当、意味不明っスよね。…あれ?アリス先輩、どこ行ったっスか?」

舞台に登ったはずのアリスが、いつの間にかいなくなっていた。

「あのクソガキ…!どこ行きやがった…」

俺は、舞台に登った。

舞台をよく調べてみると、蓋のようなものが見つかった。

…なんだこれ?

 

コトダマゲット!【舞台の蓋】

 

「にょきっ!!」

いきなり、蓋の中からアリスが現れた。

「うおわぁあああっ!!?」

「サトにい、なんでそんなにビックリしてんの?あーちゃんはただ、男子コーイシツに行こうとしてただけだよ!」

「余計わけわからなくなった!!心臓に悪い現れ方すんな!!…っていうか、女子が男子更衣室入んなよ!」

『うぷぷ…今回は特例で許可します!』

モノクマが後ろから現れた。

「あ、クマちゃん!」

「…今回は特例で、ってどういう事だ?」

『いやあ、オマエラだってさ、ボクが決めたルールのせいで調査の範囲が狭まるのは嫌でしょ?だから調査中のみ、非公開中のエリアを除いて自由に出入りできるようにしました!!これで好きなだけ犯人探しができるね!』

「じゃ、そーゆー事だから!」

…男子更衣室に行くって、どういう事だ?

…一応、男子更衣室に行ってみるか。

 

 

ー男子更衣室ー

 

…特に、これと言って変わったところは…

「にゃああああああ!!」

アリスが、いきなりロッカーの中から出てきた。

「うおぁあっ!!?」

「あーちゃんトーチャク!!」

「だから心臓に悪い現れ方すんなっての!」

「え?何?あーちゃんが可愛すぎてドキドキしちゃう?そんな、照れる〜!」

「うっせぇ!」

 

コトダマゲット!【男子更衣室のロッカーから現れたアリス】

 

部屋の中をよく観察してみると、床にスパンコールが落ちていた。

…あれ?これって…

もしかして、森万の服についてた装飾か?

だとすると、なんでこんなところに…

 

コトダマゲット!【更衣室のスパンコール】

 

「ねえねえ、そんな事より、チョーサの方ガンガン進めてこーよ!」

「…うるせぇ。叩くな。」

クソガキは、俺の背中を叩いて、プールの方へと急かした。

 

ープールー

 

「ここに何があんだよ。」

「ジャーン!!」

アリスは、無色透明の箱を見せた。

「なんだこれは。」

「サイキックショーで使う予定だったんだよ!本来ならこの中に入って、水槽の中にドボンするつもりだったんだよー!」

…コイツ、しれっと種明かししたな。

「おい、いいのか?」

「何が?」

「全部種明かししちまっていいのかって事だよ。」

「えー、だってキンキュージタイだし?しょーがないじゃん?」

…まあ、それは否めないが。

 

コトダマゲット!【透明の箱】

 

…あと、気になるのは目の前のどデカい貯水タンクか。

これで水槽やプールの水量を調節するのか。

俺は、タンクを調べてみる事にした。

タンクの蓋は開いていて、中を調べる事ができた。

…ん?排水口のところに、何か巻きついてるな…

これは…ロープ?

 

コトダマゲット!【タンク内のロープ】

 

…あと、気になるところは…ん?なんだこれ?

プールの床に、文字が書かれている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

エイチ…なな…とる?

これは…一体なんだ?

 

コトダマゲット!【謎のメッセージ】

 

…ん?

近くに、ビート板が落ちていた。

ビート板はなぜか真っ赤に染まっている。

「…なんだこれ。」

 

コトダマゲット!【真っ赤なビート板】

 

「…。」

「サトにい、どったの?そんなアホ面して。」

「うるせぇ。誰がアホ面だ。…いや、このタンクに入れないかと思って。」

「ふーん。」

「…なあ。」

「まだなんかあんの!?」

「ここって、夜時間に入れないエリアだったよな?」

「そーだよ。たしか夜時間は、ソーサシツとタンクの中には入れないよ。入ったらおしおきされちゃうんだよ!…てかさサトにい,なんであーちゃんにわざわざ聞いたのさ?自分でカクニンしろよー!!」

「…悪い。…一応、な。」

 

コトダマゲット!【夜時間】

 

「…なあ、アリス。」

「まだなんかあんのかよ!?」

「…お前は、わかるか?」

「は?何が?」

「誰がこんな事をしたのかとか…心当たりとかあったりしねぇか?」

「はぁ?わかるわけねーぢゃん!!そんなモン!なんであーちゃんに聞くのさ!!」

「…お前ならなんとなくこういうのわかりそうな気がして。」

「なんだそのテキトーな理由!…まあでも、あるテードは犯人絞れるんじゃない?…ほら、今回のバアイ、けっこう現場がトクシュじゃん?」

「…現場が特殊、ねえ。…あ。」

「どったの?」

「いや、更衣室って、同性の更衣室しか入れねぇようになってるだろ?だから、もしクロが更衣室に出入りしていたとしたら、ある程度犯人が絞れると思ったんだが…」

「フッ、あまあまだね!」

「はぁ?」

「サトにいはおバカちんだから、ガッシュクのココロエの穴に気づかなかったんだね!」

「…穴?なんだそれは。」

「説明めんどい!自分で考えろ!」

「…。」

…なんてガキだ。

仕方ない、自分でルールを再確認するか…。

俺は、しおりを見てみた。

 

…!

 

…そうか、そういう事か。

 

コトダマゲット!【合宿の心得】

 

コトダマゲット!【心得の穴】

 

「…あと、最後に一つだけいいか?」

「ほにょ?」

「お前、犯行時何してたんだ?」

「ああ、持ち場でコドーグのヨーイしてたよー!」

「…なるほど。」

…もう、ここで調べられる事は無さそうだ。

そろそろ、みんなの所に戻らないと。

 

 

ー水族館ー

 

「玉木、水槽の方はどうだった?」

「ああ、色々見つかったぜ。…まずは、これを見て欲しいんだけどよ。」

玉木は、自分のしおりで撮影した画像を見せた。

そこには、紐状のものが写っていた。

「…なんだこれは?」

「…さあ?見たところ、ベルトっぽいけど…水槽の中に落ちてたんだ。…なんで水槽の中にこんなものが沈んでたんだろうな?」

「森万の服のベルトじゃねえのか?」

「いや、アイツのじゃないっぽいんだよな…」

 

コトダマゲット!【水槽のベルト】

 

「他に何か見つからなかったか?」

「あとは、このような物が見つかりました。」

速瀬は、別の画像を見せた。

見たところ、麻でできた袋とロープの切れ端らしい。

「なんだこれは…麻袋と…ロープか?」

「…恐らく、そのようですね。ベルトといい、麻袋といい…何故水槽の中に沈んでいたのかは謎ですが…」

「そもそも、森万がなんで水槽の中にいたのかもまだ謎だしな。」

 

コトダマゲット!【麻袋とロープ】

 

「…あと、これだね。」

猫西が別の画像を見せた。

よく見ると、布のようだ。

ん…?どっかで見たことある色合いだな…

ついこの前、俺が持っていたような…俺の持ち物か…?

いや、そんなわけないか。

 

コトダマゲット!【見覚えのある色合いの布切れ】

 

「ああ、そうそう。アタシからひとつ言っておく事が。」

「なんだ。」

「ツラノリちゃんが殺された時、アタシ達はここにいたからアリバイがあるじゃない?」

「…そうだな。俺たちには、犯行は不可能だった。…できるとすれば、持ち場にいた奴らか…」

「実はね、もう1人犯行が可能だった子がいるのよ。」

「…何?」

「実はね、ショーの最中、ケンタロウちゃんが水族館から抜け出してたのよ!」

…何?織田が…?

「なあ、それは本当なのか?」

「うん、ホントだよ。織田君は、ショーの最中にトイレに行くって言って出てったね。」

…そうだったか?

あの時はかなり真っ暗だったし、俺はショーに集中してたから気づかなかったけど…

まあ、二人が言うなら水族館を出て行ったのは確かだろうな。

「そうだ速瀬。お前はその時何してた?」

「私は、持ち場で照明の調節をしておりました。」

「そうか。ありがとな。」

「御礼には及びません。」

 

コトダマゲット!【鈴木の証言】

 

「神城、お前は速瀬の持ち場で何か見つけたりとかしたか?」

「テメェ、愚民の分際で気安く話しかけんじゃねぇよ!!」

ああもう、めんどくせぇなコイツ。

「フン、どうしても知りたいなら教えてやらねぇこともねぇが?」

なんで上から目線なんだ。

まあ、コイツの傍若無人っぷりは今に始まった事じゃねえけど…

「こんなものがゴミ箱に捨ててあった。」

神城は、腕時計を見せた。

よく見ると、赤い何かが付いている。

「…これがゴミ箱に入ってたのか。赤い何かがついてんな。なんだこれ?…でも、そんなについてるわけじゃじゃないし…まだ使えそうだけどな。」

「知るかよ。あのカタブツメガネの事だ、どうせそれが気になって捨てたんだろ。」

まあ…速瀬は異常なまでに神経質だしな。

あり得なくはないか。

 

コトダマゲット!【赤い何かがついた腕時計】

 

「織田、小川の持ち場には何かあったか?」

「ムフフ、実は、こんな物が。」

織田は、カセットテープを取り出した。

「どうしたんだ?これは。」

「小川氏の持ち場にあったのであります!このテープには、どうやら森万氏の声が録音されているようですぞ。」

…スピーカーに繋げるタイプか。

 

コトダマゲット!【カセットテープ】

 

「ありがとう。…なあ、織田。」

「なんでありますか?」

「お前、ショーの最中にトイレに行ったって本当か?」

「なっ…もしや、吾輩を疑っているのでありますか!?」

「…ただの事実確認だ。ああ、シラを切ろうとしても無駄だぞ。目撃者がいるんだからな。」

「…うう、行きましたとも!これで満足でありますか!?」

「ああ、用件はそれだけだ。ありがとな。」

…ウラもとれたし、証拠として提出して問題ないだろう。

「床前、お前の方は何かわかったか?」

「ええと…すみません、特にこれといって気になるところとかはありませんでしたね…」

「そうか。」

「…それと、私の方は、調査が早く終わったので…別のところも探索してたんですけど…」

「そうか。何かわかったか?」

「ええと…ステージの上に、こんなものが…」

床前は、壊れたヴォイスレコーダーを見せた。

「…これは…」

なぜこんなものがステージの上にあったのか、謎は深まるばかりだ。

 

コトダマゲット!【ヴォイスレコーダー】

 

「射場山、お前の方は?」

「…手品の道具が色々あったけど、特にこれといって気になるものは。」

「…そうか。一応、どんなものがあったとか教えてくれるか?」

「えっと…よくわかんない液体とか…リンゴジュースの手品で使ったジュースとか…あとは、カード当てマジックで使った封筒とスタンプとか…」

…スタンプ?

 

!!!

 

…まさか。

…そういう事か。

「どうしたの?」

「…なあ、射場山。ハンコって押した事あるか?」

「はあ?何その質問。」

 

コトダマゲット!【ハンコ】

 

「先輩、お疲れ様っス!」

「ふわぁ。」

小川とリタが水族館に戻ってきた。

「…お前ら、どこに行ってたんだ?」

「すいません。ちょっと、ロビーに行ってたっス。」

「ふわぁ…もしかしたら、フロントから何か持ち出されたものがあるんじゃないかと思って…一応調べたのですぅ。」

リタがあくびをしながら説明した。

「…どうだった?」

「あったっスよ。持ち出されたものが。」

 

「…郷間先輩のしおりっス。」

「郷間の…?持ち出されてたのは、それだけか?」

「ええ。それだけだったっスよ。それが何か?」

「…やはりか。」

「?」

 

コトダマゲット!【郷間の電子しおり】

 

「…そうか。ありがとう。…そうだ、お前ら二人は、犯行時何してた?」

「持ち場で、スピーカーのボリュームとか調節してたっス。」

「うとうとしちゃって覚えてないですけど…多分、持ち場で小道具の確認とかしてたと思いますぅ。」

「なるほどな。ありがとう、二人とも。」

 

「…あとは、確認しておく事があるな。」

俺は、ジェイムズに声をかけた。

「…おい、ジェイムズ。大丈夫か?」

「…はい、もう大丈夫です…ご迷惑をお掛けして申し訳ございません…」

ジェイムズは、涙を拭いて立ち上がった。

「話、できそうか?」

「はい…お話くらいなら…私に仰っておきたい事がおありなら、何でも仰って下さい。」

「じゃあ、ちょっと気になる事があるから確認したいんだけど…」

「何でしょうか…?」

「好きなタイミングで容器の中の水を流す方法ってあるか?」

「…はい?」

「ああ、いや…えっと…容器に手を触れたりとか、遠隔操作とかナシで好きに水を容器から出す方法とかがあれば教えてほしいなって…ほら、お前そういうの知ってそうだから…」

「…。」

ジェイムズは、徐に俯いた。

「あ、ごめん…そんな方法、あったら苦労しないよな。悪い、変な事聞いちまったな。」

「有りますよ。」

「そうか。やっぱりな。あーあ、アテが外れたな。他の手がかり探すか…」

…。

…。

…。

「あるの!!?」

「え、あ、はい。」

「それ本当か!?詳しく教えろ!!」

「ええと…菊池さんは、『サイフォンの原理』をご存知ですか?」

「…いや、全く。」

「ああ、教訓茶碗のやつでしょ。」

猫西が、後ろから割り込んできた。

「教訓茶碗…?」

「えっとね、水を入れ過ぎると、入れた水が全部流れ出ちゃう不思議な茶碗なんだけど…確か、サイフォンの原理が利用されてるんだよね。」

「猫西さん、よくご存知ですね。」

「…一回、動画で紹介した事があってね。」

「なるほど…で?その…サイフォン?の原理って何だ?」

「ええとですね、高い所から低い所へ管を使って液体を流す際、管の途中に出発点より高い地点があっても、液体が流れ続けるんです。詳しい仕組みをご説明しますと…」

「ああ、もういい。俺、物理は苦手なんだよ。聞いても多分わかんねぇよ。」

「…そうですか。」

ジェイムズは少しつまらなさそうな顔をした。

…そんなに説明したかったのかよ。

 

コトダマゲット!【サイフォンの原理】

 

…一通り調査は終わったかな?

「ありがとな、ジェイムズ。話してくれて。」

「はい…」

…あとは、全員分のアリバイか。

 

コトダマゲット!【全員分のアリバイ】

 

『オマエラ、時間切れです!ついにこの時がやってきました!お待ちかねの学級裁判、始めるよ〜!5分以内に、ホテル一階の赤い扉まで集合してね〜!』

…ついに、この時が来た。

来て欲しくもなかった、この時が。

 

ー赤い扉前ー

 

俺は、重い足取りでエレベーターに乗り込んだ。

その瞬間、次第に心音が速くなっていく。

…正直、2度目でも全く慣れる気がしなかった。

今回もまた、犠牲者が出てしまうのか…

俺は、エレベーターを降りて、歩を進めた。

向かう場所は、一つだった。

そして、ついに足を踏み入れてしまった。

 

裁判場という名の、処刑場へ。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

『ここで、皆様にクイヂュのお時間でちゅ。この中で、森万様を殺害ちた犯人は誰だと思いまちゅか?』

 

 

 

『超高校級の弁護士』菊池論

 

『超高校級の???』アリス

 

『超高校級のサッカー選手』玉木勝利

 

『超高校級の実況者』猫西理嘉

 

『超高校級の秘書』速瀬吹雪

 

『超高校級の大学教授』ジェイムズ・D=カークランド

 

『超高校級の外務大臣』リタ・アンカーソン

 

『超高校級の演奏家』小川詩音

 

『超高校級の漫画家』織田兼太郎

 

『超高校級の幸運』床前渚

 

『超高校級の超能力者』森万羅象

 

『超高校級の弓道部』射場山祐美

 

『超高校級の外科医』神城黒羽

 

『超大学生級のオネエ』鈴木咲良

 

 

 

『…ちょうでちゅか。…ではでは、答え合わちぇは、またの機会に。』

 

 

 

 

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