ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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第3章 非日常編①(捜査編)

「嘘でしょ…こんなの嫌…いやあああああああああああああああああ!!!」

…嘘だろ?

織田、お前が死ぬわけないよな?

約束したじゃねえかよ…

お前、全員でここから出るんじゃなかったのかよ…!

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

俺は、尻餅をついて後退りをした。

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ

「…菊池君。」

これは何かの間違いだ!

…そうだ、きっと夢に決まってる。

目が覚めたら、きっと織田がいつも通りバカやってて…

そうだよな?これは夢なんだよな?

…だから早く覚めろよ。覚めてくれ。

俺から、これ以上奪わないでくれよ…!

「菊池君!!」

「…あっ。」

猫西の声で、俺は現実に引き戻された。

…そうだ、これは夢なんかじゃない。

織田は、もう返ってこないんだ。

猫西は、声を振り絞るようにして言った。

「…行こう。」

「…ああ。」

いつまでも悲しみに打ちひしがれてはいられなかった。

俺は覚悟を決めて展望台を降りた。

 

 

ー展望台ー

 

「…織田ッ…!」

織田は、全身バラバラになって展望台の真下に転がっていた。

内臓や骨まで丸見えで、とても見ていられない状態だった。

そして周りには、トマトを潰したように大量の血が飛び散っていた。

…俺がさっきまで気づかなかったのは、展望台の死角になっていたからだろうか。

「…!!」

「…射場山!」

射場山は、顔面蒼白になり、その場で尻餅をついて呆然と目の前の惨劇を眺めていた。

…おそらく、射場山が第一発見者だったんだろう。

「…射場山、大丈夫か?」

大丈夫なわけがない。

それでも、こうやって声をかける以外に、俺がしてやれる事なんて何もなかった。

「立てるか?」

「…ん。平気。1人で立てる。」

射場山は、ゆっくりと立ち上がった。

「射場山さん…」

そこへ、みんなが駆けつけてきた。

「ちょっとぉ、なんなのよ今の放送…って、キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?け、けけけ…ケンタロウちゃん!?」

「にゃあああああああああああああああああああ!!?ケンにいが、アスファルトに咲いた花になってるぅう!?あああ、見たくなかったよこんな汚ねぇお花!!」

「そんな…嘘だろ…!?クソッ、織田ッ…!!」

「織田さん…!」

「嘘…織田が…なんで…!」

「あああ、織田先輩が…織田先輩が…!」

「そんな…織田さんが、どうして…!」

エカイラとアリスは、惨状を目の当たりにして叫んでいた。

玉木は、悔しそうに拳を握り、死体から目を逸らした。

ジェイムズとリタは、目を見開いて呆然と立ち尽くしていた。

小川と床前は、その場で泣き崩れていた。

…そして。

「おい、なんの騒ぎだ…?って、キモヲタが死んでんじゃん!さては、私の神聖なる身体を穢れた眼球で覗き見ようとしたから天罰が下ったんだな!?はっはっははははは!!人の運命さえ自在に操るとは、さすが私だな!!神である私を冒涜するからこうなるのだ!!」

神城は、惨状を目の当たりにして何故か高笑いしていた。

俺は、思わず神城に怒鳴った。

「黙れ神城!!」

「はぁあ!?テメェこそ黙れこのモブキャラが!!神である私に逆らうつもりなら、テメェも同じ目に遭わせてやろうか!?」

「上等だ!!天罰でもなんでも下してみろ!それより俺は、織田がこんな事になったのに笑ってられるお前が許せねぇんだよ!!」

「二人とも、喧嘩はダメっス!」

『そうだよ!やめなよ二人とも、DQN同士の言い争いなんて、正直醜すぎて見てらんないからさ!』

「この不愉快な声は…!」

『やっほー!みんな大好き希望ヶ峰のマスコット、モノクマと、』

『モノハム参上、でちゅ!』

モノクマとモノハムは、どこからとなくハイテンションで登場した。

「テメェら…!」

「…貴方方が出てきたと言う事はやはり…」

『うっぷっぷ、さすがカークランドクン!察しがいいね!そうです、今回もまた、オマエラには学級裁判で頑張ってもらいます!今回もモノクマファイル送っといたから、捜査でジャンジャン活用してください!』

『ぴきゃきゃ…今回は、裁判がどう転ぶか楽ちみでちゅね、学園長!…何ちぇ、今回の殺人はイレギュラーでちゅからね!』

『コラァ!余計な事言わなくていいんだよ、このとっとこもどきが!!』

『ヒイイイイイ!!ごめんなちゃいでちゅぅう!許ちてくだちゃいでちゅぅう!!』

二匹は、俺たちそっちのけで漫才を始めた。

「お前ら…ふざけんなよ!」

『おやあ?玉木クン、かなりお怒りのようですね!まあ、気持ちはわからなくもなくないけどさ!』

「つまり分かっていらっしゃらないという事ですね…」

「テメェ…」

『おっと、ボク達に怒りの矛先を向けるのはお門違いなんじゃないのかな?いい加減認めちゃいなよ!織田クンは、間違いなくこの中の誰かに殺されたんだよ!』

「…ッ!」

『とにかく、ボクはお前らに期待してるからね!今回もボク達を楽しませて頂戴ね!それじゃ、まったねー!』

モノクマとモノハムは、陽気に去っていった。

「…なんなの、アイツら。」

「さあ…ですが、今は悩んでいる時間など有りません。捜査を始めましょう。」

…そうだ。

俺達には、悩んでいる時間なんて無いんだ。

それよりも今は、織田を殺した犯人を見つけ出す…

それが今、俺たちにできる最善だった。

俺は、覚悟を決めて織田の死体に歩み寄った。

 

 

 

 

ー《捜査開始》ー

 

…とりあえず、まずはモノクマファイルを確認しよう。

 

 

モノクマファイル

被害者は『超高校級の漫画家』織田兼太郎。

死体発見現場は、東エリアの展望台の真下。

死亡推定時刻は13:15頃。

死因は、全身打撲による内臓損傷及び大量出血。

全身が骨折しており、死体の断片は四方八方に散らばっている。

 

コトダマゲット!【モノクマファイル】

 

「…次は、死体を調べないと…」

俺は、神城の方を見た。

「なあ、神城。検視して貰えるか?」

「はぁああああ!?テメェ、どの面下げて私に命令してんだこの砂利が!!大体、なんで私がこんな汚ねぇモンを見なきゃいけねぇんだよ!!」

「仕方ありませんね。では、私が検視を…」

ジェイムズが、死体に歩み寄った。

「おい、待てクソ帽子テメェコラ!!さては、現場を荒らす気じゃねぇだろうな!?」

「え…?私は、神城さんに代わって検視をしようと…」

「テメェは信用できねぇんだよ!!どけ。私がやる。」

あ、結局やってくれるんだ。

「あとは監視役か…エカイラ、アリス、頼めるか?」

「うふふ♡任せて頂戴サトシちゃん。」

「えー。あーちゃん、こんな汚いアスファルトに咲いた花を見なきゃいけないのー?」

「汚い言うな。厳密には、織田じゃなくて神城を見てろ。何か怪しい事しないようにな。」

「はーい。あーちゃんはすさまじく素直だからね!コルカ渓谷並にフホンイだけど、しょーがないからクレねえを見ててあげるよ!」

…さてと、これで監視役は決まったな。

あとは、展望台の上の調査役と、下の調査役…それと聞き込み役か。

俺達は話し合った結果、このように捜査を分担することになった。

 

検視役…神城、エカイラ(監視)、アリス(監視)

展望台付近…玉木、小川、猫西

展望台頂上…ジェイムズ、リタ、床前

聞き込み…俺、射場山

 

「じゃあまずは、展望台付近を探索してる玉木達に聞いてみるか。」

「…ん。」

 

 

ー展望台付近ー

 

「あ、菊池君!」

「猫西、そっちは何か見つけたりとかしたか?」

「うーん…まだ何も見つかってないかな。」

「そっか…なあ、ところで…さっき、『誰か助けて』って叫んでたよな。あれは一体何だったんだ?」

「え?私、そんな事言ったっけ?」

「…へぁ?」

「…あんた、どういう事?私も、あんたが叫んだの聞いてたよ。まさかとは思うけど、忘れたなんて言わないわよね?」

「うーん、ごめんね?そのまさかみたい。私、ちょっと覚えてないかな。気がついたら、展望台の上で横になってたんだけど…それより前の記憶が曖昧でさ。」

どういう事だ…?

覚えていない、だと…?

「ちょっと、あんたどういうつもり?そうやって言い逃れしようってんじゃないでしょうね?」

「いや、本当に覚えてないんだって。…私、もしかして織田君の事殺しちゃったのかなぁ…?でも、覚えてない以上、なんとも言えないや。ごめんね。」

「あんた、いい加減に…」

「おい、落ち着け射場山。貴重な情報だ。…ありがとう、猫西。」

「えへへ…」

 

コトダマゲット!【猫西の叫び声】

 

コトダマゲット!【猫西の証言】

 

「玉木、小川。そっちは何か見つけたか?」

「ああ、一応な。こんな物が落ちてた。」

玉木は、織田のしおりを見せた。

「…ごめんな、織田。ちょっと見るぞ。」

俺は、織田のしおりを起動させて、中身を見た。

…え。

織田のしおりには、弱みが表示されていた。

その内容は、信じがたいものだった。

 

 

 

 

 

 

【超高校級の実況者】猫西理嘉サンの弱み

 

『超高校級の実況者』猫西理嘉サンは、今まで織田クンの事を誑かして楽しんでいました!

 

 

 

 

 

 

 

「…おい、なんだこれ。」

「…どういう事?」

「ちょっと見せて。…え!?何これ…!?」

猫西は、驚いた表情で画面を睨んだ。

「…猫西、ここに書いてある事は…」

「嘘に決まってるでしょ!私は、織田君を誑かしたりなんかしてないよ!!なんで、こんなデタラメが書かれてるわけ…!?」

「それは自分も保証するっスよ。その弱みは、偽物っス。猫西先輩の弱みは…」

小川は、そこまで言ったところで言い淀んだ。

おそらく、猫西に気を遣ったんだろう。

「…小川さん、言っていいよ。こんな状況だし…隠し事なんてしてる場合じゃないもんね!」

「…じゃあ言うっス。…猫西先輩の弱み…それは、握手会で一回だけお客さんを叩いた事がある事っス。」

「ふうん。…本当なの?」

「うん…ジュース撒き散らしたり、おもちゃの爆弾で脅かしたり…他のファンの方達にまで迷惑かけてたから、頭にきてつい…」

「…そうだったのか。ごめんな。秘密にしてたのに…」

「ううん、こんな状況だもん。…それに私、記憶が曖昧だから…せめて、自分が出来る事をやりたいんだ!」

 

コトダマゲット!【偽物の弱み】

 

「…なるほどな、ありがとう。…なあ、ところでお前らは死亡推定時刻には何してた?」

「自分は、玉木先輩と談話室で話してたっス。」

「ああ、間違いない。…あとは、リタとアリスもそこにいたな。」

「…じゃあ、とりあえずその4人にはアリバイがあるって事ね。…ありがと。」

「次は、展望台の上にいるヤツらに話を聞いてみるか。」

「…ん。」

 

 

ー展望台頂上ー

 

「お前らは何か収穫あったか?」

「ふわぁ…収穫って言っていいのかわかんないですけど…こんなものを見つけましたぁ。」

リタは、ハンカチのような物を見せた。

「…これ、薬品が染み込んでる。」

「ふわぁ…そうなんですかぁ…?」

 

コトダマゲット!【薬品の染み込んだハンカチ】

 

「床前、ジェイムズ。お前らの方はどうだ?」

「…あ、えっと…こんなものが置いてありました…」

床前は、脱ぎ捨てられた靴を見せた。

…多分、織田の靴だ。

「…なんでこんな所に…」

 

コトダマゲット!【織田の靴】

 

「…ふうん、なるほどね。…ねえ、あんた達は死亡推定時刻は何してたの?」

「…ふわぁ、談話室でアリスとお話してましたぁ。」

「え、えっと…私は、銭湯に行っていました。」

「私は、部屋でアニメを見ていましたよ。『とっとこモノハムたん』というアニメでした。」

なんだその著作権に引っ掛かりそうなクソアニメは…

「クスッと笑えるアニメだったので、暇な時にいつでも見られるように面白かったシーンだけ抜粋して録画しました。…あのアニメ、今日の13時から13時半にしかやってないアニメで再放送が無いので、こうやって録画するしか無かったのですよ。」

全く、テレビに録画機能くらいつけとけよ…

「これがその映像です。」

ジェイムズはしおりを起動し、しおりの動画を見せた。

『とっとこ〜走るぞモノハムたん♪だーい好きなのはーみーんなの絶望ー♬』

歌がモロアウトじゃねえか。

こんなのが世に出されたら、炎上確定だぞ。

「本当に日本のアニメは素晴らしいです!是非我が国のアニメーション業界も見習って頂きたいです!」

ジェイムズよ、騙されるんじゃない。こんなの日本の誇るべきアニメじゃないぞ。

…っていうか、捜査中に何やってんだよ。

頼むから真面目に捜査してくれよ。

「…もうわかったから、くだらない事やってないで捜査に戻りな。」

「はい…分かりました。」

 

コトダマゲット!【アニメの録画】

 

「…ねえ。」

射場山が、ジェイムズを引き留めた。

「はい、なんでしょうか射場山さん?」

「あんた、さっきから膝気にしてるけど…どうしたの?」

「ああ、これですか。実は、銭湯で転んで怪我をしてしまいまして。その時の傷が、どうも気になってしまいましてね…大した怪我ではないのですが。」

…ああ、あの時のケガか。

「ふうん、お大事に。」

「ありがとうございます。」

 

コトダマゲット!【ジェイムズの証言】

 

「…さてと、展望台の頂上から集められる情報はこのくらいか…」

「そうね。…どうする?そろそろ、検視の方の調査結果訊く?」

「…そう、だな。色々確認したい事もあるし…一旦、降りるか。」

 

 

ー展望台前ー

 

「おい、神城。お前の方は、調査終わったか?」

「ハッ、愚問だな!!とっくの昔に終わってるよ!!」

「だったら、早く話しな。」

「ケッ、おい無口!!テメェ、どの面下げて神である私に命令してんだこのゴミ屑が!!」

「…早く話せ。」

射場山が、ドス黒いオーラを放ちながら神城を睨んだ。

何故だろう、もう春の筈なのに冷や汗が止めどなく溢れ出す。

「て、テメェ…ぐ、愚民のくせに私にそんな態度とっていいと思つてんのかよぉ…!」

神城は、射場山の威圧感に気圧されて、いつもの元気を失っていた。

「ひううううう…怖いよぉ…!話すから、もう睨むなよぉ…!」

あーあ、とうとう泣いちゃったよ。

「それで?検視の結果は?」

「…ぐすん、ファイルに書いてある通り、それはもう全身がバラバラのグチャグチャになってたよ。…状況を見る限り、おそらく死因は転落死だ。」

「…転落死か。」

「それも、地面に叩きつけられて即死した可能性が高い。」

 

コトダマゲット!【織田の死因】

 

「なるほどな…おい、神城。他に何か気づいた事は無かったか?」

「フン、貴様ら、質問も大概にしろ!!神に質問攻めなど、おこがましいにも程があんだろうがよ!!」

「…。」

射場山が、無言の圧力をかけてきた。

「ひいいいいいいいいいいい!やめろよぉ…話すからぁ!」

射場山は、対神城兵器になりそうだな。

今度神城にロックオンされたら、射場山のところに逃げよう。

「…ク、クレハミンXが盗まれてたんだよ!!」

「…何?」

「誰かに私の天才的な発明を悪用されないように、診療所にあった金庫に入れておいたんだけど…さっき見てみたら、数が減ってたんだよ!」

「…金庫、ね。どんな形状の金庫だったんだ?」

「オーソドックスなタイプの金庫だよ。3桁の暗証番号を入力すると、開く仕組みになってるんだ。」

「…ちなみに、どんな暗証番号にしたんだ?言いふらしたりしないから、教えてくれ。」

まさかとは思うが、968だったりしないよな?

968(クレハ)に決まってんだろうがよ!!バカかテメェは!!」

ああ、やっぱりか。暗証番号安直すぎんだろ。

そりゃあ開けられますわ、うん。

 

コトダマゲット!【盗まれたクレハミンX】

 

「…ねえ、さっきからクレハミンXって言ってるけど、なんなのそれ?」

「フン、いいだろう!教えてやる。クレハミンXは、私が調合した究極の睡眠薬だ!!」

「…睡眠薬?」

「ふふふ、やっと興味を抱いたか愚か者め!!クレハミンXは、安眠効果が期待できるだけじゃなくて、直前の記憶を一時的に失わせる効果があるんだ。グロい死体を見せられた後でなんて、とてもじゃねえけど快眠できねぇからな!!」

「…ふうん。どんな薬なの?見た目とか匂いとかの特徴は?」

「ああ、えっとな。確か少し独特な匂いのする、無色透明の液体だった。神城が作ってるのをその場で見てたから、間違いない。」

「ちなみに、知ってるのは私とモブだけだぞ。作ってすぐ金庫に入れたからな。」

「…あっそ。」

 

コトダマゲット!【クレハミンXの効果】

 

コトダマゲット!【クレハミンXの特徴】

 

「なあ、ところで、神城。」

「なんだモブ。つまらん質問で空気中の酸素を浪費する気なら、ケツにオキシドールブチ込むぞ!!浪費した分は自分で作り出せってな!はっはっは!」

なんで質問するだけでそうなるんだよ…。

「…黙れ。下品。」

「ひいいいいい!」

射場山、お前怖すぎんだろ!俺でもビビったぞ今のは!?

「射場山、もうやめてやれ。」

「…ん。」

「あのさ、診療所に誰が来たのか覚えてるか?」

「…あ?」

「お前の薬を盗んだ犯人を特定するためにも必要な情報だ。教えてくれ。」

「フンッ、そういう事なら教えてやろう。私も、クレハミンXを盗んだ野郎は許せねぇし、見つけ出してギッタギタに踏み潰してやろうと思ってんだ。…えーっとな、確か…モブ、お前と、帽子と、あとは…あれ?誰かもう一人いたような気がすんだけど…誰だっけ?」

「…床前か?」

「そう!ソイツだよソイツ!いやー、スッキリした。」

マジかよ。

コイツ、本当最低だな。

忘れてんじゃねえよ。床前がかわいそうだろうが。

 

コトダマゲット!【診療所への立ち入り状況】

 

「ふぅん、で、あんたは死亡推定時刻は何してたの?」

「クレハミンX盗んだ奴の事を探してたよ!」

「…わかった。話してくれてありがとう。」

…神城から集められる情報は、このくらいか。

アリスは、織田の死体の前でしゃがんで何かを見つめていた。

「…お前、何やってんの?」

「のわあ、サトにい!ふっふっふ、あーちゃんはな、超絶天才的な大発見をしてしまったのだよ!」

「天才的な大発見…?」

「見ろ!!」

アリスは、自信満々に織田の死体を指差した。

「死体がどうかしたのか?」

「ちげーよバーカ!!こっちだよこっち!」

アリスは、再び指を差した。

その先には、血で文字のようなものが書かれていた。

 

 

Kの上はハイ

 

 

…なんだこの意味不明な文字列は?

「なんだこれ…?」

「ダイイングメッセージだよきっと!」

「ダイイングメッセージだと…?」

「でもさ、『Kの上はハイ』ってどゆこと?もっとわかるように書けケンにいテメェこの野郎!!」

アリスは、血溜まりの水面を蹴った。

「おい、やめろって…」

ピチャッ

「あ゛。」

飛び散った血が、ダイイングメッセージの上に付いた。

「にゃあああああ!」

「ほーら言わんこっちゃない。お前、これどうすんだよ?見えなくなっちまったじゃねえかよ。」

「てへ☆」

「『てへ』じゃねえだろお前!大事な証拠を消しやがって!」

「にゃああああああ!ごみーんに?あーちゃんの可愛さに免じて許してチョモランマ!」

「…チッ、俺が写真撮って無かったら証拠が無くなるところだっただろうが。」

「え!?写真撮ってたの!?じゃあなんであーちゃん怒られたんだよ!マヂイミフ!」

 

コトダマゲット!【ダイイングメッセージ】

 

…もう、このガキから得られる情報は無さそうだな。

さてと、エカイラにでも話を聞くか。

「…なあ、エカイラ。」

「うふふ、なあに?サトシちゃんにユミちゃん。」

「あのさ、お前は何か気になった事とか無いか?ホントに、なんでもいいから教えてくれないか?」

「アラヤダ。随分と積極的じゃない?…いいわよ。教えてあげる。…実はねえ、ちょっと気になる事があったのよ。」

「気になる事…?」

「ええ。…さっきのケンタロウちゃんの様子よ。なーんかね、見るからにおかしかったのよねぇ。」

「何…織田の!?何だ、言ってみてくれ!!」

「んー…何ていうかね、魂が宿ってない感じだったわ。無気力っていうか…完全に絶望してるっていうか…何かあったのかしらねえ。」

 

コトダマゲット!【織田の様子】

 

「…なるほど。ところで、あんたは死亡時刻には何してたの?」

「んー…お風呂に入ってたわねぇ。あ、そうそう。その時に、ナギサちゃんの声も聞こえたわよ。だから、ナギサちゃんにも犯行は不可能だったんじゃナイ?」

床前の…?

じゃあ、さっきの証言は嘘じゃなかったって事か…

「…なるほどな、ありがとう。参考になったよ。」

「…これで床前のアリバイは確定したわね。」

 

コトダマゲット!【エカイラの証言】

 

「…ん?あれ?ちょっと待てよ?」

「…何。どうしたの?」

「あ、いや…俺の思い違いだったらいいんだけど…なあ、射場山。ちょっと頼み事があるんだが。」

俺は、射場山に耳打ちした。

「…は?」

「頼む、今すぐ行ってきてくれ。」

「…いいけど、なんで?」

「どうしても確認しておきたいんだ。」

「…わかった。」

 

…さてと、俺はその間に…

「おい、モノクマ!」

『やっほー!呼ばれて出てきてなんとやら!菊池クンどうしたの?』

「…死体発見のアナウンスは、どういう条件で流れるんだ?」

『ああ、それね。今回は、死体を三人が見た時点でアナウンスをかけたよ!』

…三人?

「なんで三人が見るのを待つ必要があったのよ?」

『シロとクロの公平性を保つための考慮だよ!どっちかに肩入れしたら、ゲームがクソつまんなくなっちゃうでしょ?そしたら視聴率取れないからね〜。全く、デスゲーム運営も楽じゃないよ。』

「…なるほどな。もう行っていいぞ。」

『はあ!?なにそれ!ボクとキミは、呼び出すだけ呼び出して、用が済んだらポイ捨ての関係だったんだね!酷いなぁ全く!』

なんだそのワンナイトラブみたいな言い方。

 

コトダマゲット!【死体発見アナウンス】

 

「菊池!」

射場山が、捜査から戻ってきた。

「射場山。例のものは?」

「あったよ。あんたの読み通りね。…ほら証拠写真。」

射場山は、撮った写真を俺に見せた。

「…フフ、やっぱりな。」

「え?何…気色悪っ。」

「気色悪い言うな!!」

 

コトダマゲット!【射場山の写真】

 

…あとは、全員分のアリバイの整理か…

 

コトダマゲット!【全員分のアリバイ】

 

 

『オマエラ、時間切れです!ついにこの時がやってきました!お待ちかねの学級裁判、始めるよ〜!5分以内に、ホテル一階の赤い扉まで集合してね〜!』

…ついに、この時が来た。

来て欲しくもなかった、この時が。

「…。」

「何ボサっと突っ立ってんの?行くよ。」

「…あ、ああ。」

俺は、迷いながらも赤い扉へと向かった。

 

ー赤い扉前ー

 

俺は、思い足取りでエレベーターに乗り込んだ。

全員がエレベーターに乗り込み、エレベーターの籠が動く。

…すでに2回も経験したはずなのに、身体中の震えが止まらない。

もちろん、一歩間違えば死ぬかもしれないゲームに身を委ねる事への恐怖もある。

…だけど、それ以上に、今まで仲間だと思ってた奴をまた見殺しにするのが怖かった。

本当にこの中の誰かが織田を殺したのか、まだ信じられない自分がいた。

それでも、俺は定められた運命に身を委ねるしか無かった。

運命は、二つに一つだ。クロが死ぬか、俺が死ぬか…

…いや、俺だけじゃない。間違えば、クロ以外のみんなが処刑される。

それだけは、間違っても辿ってはいけない運命だ。

…決めた。

俺は、たとえ何があろうと、織田を殺したクロを…真実を暴き出す。

そして、たとえそれがどんな真実でも受け入れよう。

俺が迷えば、みんなが死ぬ。

だったらもう、迷わずに進むしかない。

それが俺に…いや、俺たちに唯一許された道だから。

 

 

 

 

…随分と悩んでいるようだね。

今回はちょっとスパイスを加えたから、結構難しいかもね〜。

調子に乗り過ぎちゃったし、『アイツ』に怒られちゃうかな〜?

あ、その前に心配する事があったよね。

『彼』はちょっと詰めが甘いからな〜。

もしかしたらミスってクロ以外おしおき、なんて事もあり得ちゃうかも☆

正直、そんな事になったら全然面白くないんだよなぁ。

…いや、そんな事、起こるわけないか。

だって…

 

『彼』と私は、運命で結ばれてるんだから。

 

 

 

 

それぞれが、それぞれの思いを胸に抱いて刻を待つ。

数時間にも感じる数秒が過ぎていく。

そしてついにその刻がやってきた。

エレベーターが止まり、ドアが開いた。

もう、泣こうが喚こうが運命は変わらない。

クロが勝つか、クロ以外が勝つか…運命がどちらに傾くのかは、まだ誰にもわからない。

今、まさに命懸けのデスゲームが始まる。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

『ここで、皆様にクイヂュのお時間でちゅ。この中で、織田様を殺害ちた犯人は誰だと思いまちゅか?』

 

 

 

『超高校級の弁護士』菊池論

 

『超高校級の???』アリス

 

『超高校級のサッカー選手』玉木勝利

 

『超高校級の実況者』猫西理嘉

 

『超高校級の大学教授』ジェイムズ・D=カークランド

 

『超高校級の外務大臣』リタ・アンカーソン

 

『超高校級の演奏家』小川詩音

 

『超高校級の漫画家』織田兼太郎

 

『超高校級の幸運』床前渚

 

『超高校級の弓道部』射場山祐美

 

『超高校級の外科医』神城黒羽

 

元『超高校級の死神』伏木野エカイラ

 

 

 

『…ちょうでちゅか。…ではでは、答え合わちぇは、またの機会に。』

 

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