元ネタは『命に嫌われている』です。
第1章(非)日常編①
俺は…いや、俺たちは、ぬいぐるみ達によってリゾート地に閉じ込められた。
それも、全員『超高校級』。
…犯人は、一体何を企んでいるんだ?
「サトにい!!」
「うおっ!!?」
「うおっ、じゃないよ!!タンサク進めるよ!!」
「わ、悪い…考え事してた。」
「じゃあ、サトにいはタンサク続けて。あーちゃんは休んでるから。」
「ふざけんな。お前も手伝え。」
「ぶー…なんでサトにいと一緒にタンサクしなきゃいけないんだよ全くー。」
「こっちの台詞だよ。」
「二人とも、真面目に探索しようね?」
猫西に怒られた。
「…ごめんなさい。」
「狗上君も探索手伝って。」
「うるせぇ。俺に指図すんじゃねえ。」
「そういうの困るなぁ。協力してよ。」
…マトモなのは猫西だけか。
なんで俺がこんな事に…
ー数分前ー
「本当に、毎日ここで暮らすの…?」
「そんなブルーになんないの!!ウチのお菓子食べて元気出しなよ!」
「迷っている時間はありません。まずは、この敷地の探索をしてみましょう。」
「じゃあ、探索をするならまずはチーム分けだな。とりあえず、バランス良くなるようにチームを組んでみたから見てくれ。」
Aチーム 郷間、速瀬、床前、射場山
Bチーム ジェイムズ、森万、リタ、小川
Cチーム 玉木、織田、近藤、神城
Dチーム 菊池、狗上、アリス、猫西
「…なんかDチームが、チーム分けであぶれた奴で出来たチームに見えるのは俺だけか?」
「そんな事無えよ!菊池の弁護士としての知識と人を説得する力は役に立つし、狗上だってパワーはありそうだし機械に詳しいだろ?猫西は、頭良いし常識人だし…あーちゃんは、アレだ。元気があるしな!」
「何その取ってつけたようなほめ言葉!!もっとあーちゃんほめる事あるだろ!!」
「私は別に全然いいけど…他のみんなは、このチーム分けで大丈夫?」
「私は構いません。」
「…別に。」
「わ、私も大丈夫です…」
「兄弟同士、仲良くしようぜ!」
「眠い…僕は決まれば…なんでも…いい…ですぅ。」
「自分はこれでいいっスよ。」
「私も構いませんよ。いざとなれば、森万さんが超能力でなんとかしてくれますし。…そうですよね?」
「あ、ああ…俺に任せとけ。」
「…カークランド先輩、しれっと無茶振りしたっスね。」
「はい?私がいつ無茶振りを?」
「先輩、意外と天然なんスね…」
「ウチは、みんなと仲良くできればなんでもいいよ!」
「フン、賢くて美しい私のために全身全霊を尽くせ愚民共!」
「…。」
「…なんだ、キモヲタ。その目は!…まさか、愚民の分際で私に文句があるわけじゃあねえよな!?」
「い、いえ…別に。」
「フン。愚民は黙って私の言う通りにしていればいいんだよ!」
「チッ…勝手にやってろ。」
反論は無さそうだ。
「じゃあ、決まりでいいな!!」
こうして、チームが決まった。
12時にロビーで報告会をする約束をして、解散した。
俺たちは、しおりのマップの東エリアの探索を担当する事になった。
そして現在に至る。
今は、エリア内の売店にいる。
売店には商品棚が並んでおり、その中に食品や日用品などが並んでいる。
広さは、売店というより倉庫といった感じだろうか。
天井が高く、棚の一番上の商品を取るのに脚立が要る。
上の方の調査は、猫西が進めてくれている。
不思議な事に、売店にはレジが無かった。
「…タダで持って行けって事か?」
「ねえサトにいー!!つーかーれーたー!!」
「静かにしろ。っていうか、叫ぶ元気があるなら探索を手伝え。こっちは今手が離せないんだ。」
「ぶー…サトにいのバカ!ドケチ!エロガッパ!もう知らないもんねー!あっかんべろべろべー!!」
…一個変なの混じってるぞ。
アリスは、右目の下瞼を指で下に広げ、舌を揺らしながら売店を後にした。
「チッ…これだからガキは嫌いなんだ。」
俺が呆れていると、後ろの方からカタカタと音がした。
「?」
振り返ると、脚立がグラグラと揺れていた。
「わっ、きゃあぁあああ!!」
「い゛ッ!!?」
脚立の上から、猫西が落ちてきた。
俺は、咄嗟に両手を前に出して飛び込んだ。
ドサッ
「うおっ」
猫西が、俺の腕の中に落ちてきた。
「ーッ」
俺は猫西をお姫様抱っこでキャッチしたのだが、腕にかかる負荷は想像以上のものだった。
急に人が落ちてきた衝撃で、腕がつりそうになった。
しかし、相手は女子だ。重いと言うわけにはいかなかった。
「…大丈夫か?」
「あ、ありがとう…」
猫西は、顔を赤くして俺から目を逸らした。
「…あ、あの、重い…よね。」
「いや、そんな事無えよ…」
…気にさせてしまった。
少し気まずくなった。
俺は、うまく言葉が出なかった。
「あ、そろそろ降ろすぞ。」
「う、うん…そうだね…」
俺はゆっくりと猫西を腕から降ろした。
「よいしょっと。…菊池君。なんかごめんね。脚立のネジが緩んでたのかな…」
猫西は、まだ顔を赤くしていた。
…さっきの事をまだ気にしてるんだろうか。だとしたら申し訳ないな…。
「お、おう…あ、そうだ。ところで、上の方になんかあったか?」
「…うん。棚の上の方に、こんなものが置いてあったんだけど…なんだと思う?」
猫西が、コインのようなものを見せる。
「描かれてるのは、モノクマか…?」
「…どうすればいいんだろうね、これ。」
「ねーえーサートーにーいー!!」
売店の外から、耳障りな声が聞こえる。
「…なんだよ、俺なんかもう知らないんじゃなかったのか?」
「遊びたい!!お金よこせ!!」
…なんてガキだ。人を呼び出すなり、金をせびってきやがった。
「持ってない。第一、何で遊ぶ気だ?」
「これ!!」
アリスが指を指した方向には、ガチャガチャがあった。
「…建物の裏にあったから見落としてたね。これ、なんだろうね。」
『ズバリお答えしまちゅ!!ちょれは、『モノモノマシーン』でちゅ!!』
急にモノハムが現れて説明を始めた。
「モノモノマシーン?」
『猫西様、試ちに拾った『モノクマメダル』を入れて『モノモノマシーン』を使ってみてくだちゃい。』
「えっと…さっき拾ったコインの事かな?普通のガチャガチャと同じようにやればいいんだよね?」
猫西は、ガチャガチャを回した。
「…なんかカプセルが出てきた。これがどうかしたの?」
『この『モノモノマシーン』には、売店には置いていない『変わりダネ』が入っておりまちゅ!何がゲットできるかは、引いてみてのお楽ちみ!気になるあの子or殿方へのプレゼントにもピッタリ!ジャンジャン使ってくだちゃいね!』
「でも、メダルがいるんでしょー?」
『『モノクマメダル』は、リゾート地内のあらゆる場所に隠ちゃれておりまちゅ!隠れミ●キーを見ちゅける感覚で見ちゅけると楽しいでちゅよ!』
「お宝探しみたーい!!あーちゃんメダルいっぱい集めて、いっぱいガチャガチャやるー!!」
「…相変わらずハイテンションだな。」
「とりあえず、これ開けてみよっか。」
猫西は、出てきたカプセルを開けた。
「…。」
猫西は、口をあんぐりと開けて顔を赤らめていた。
耳まで真っ赤で、体はプルプルと小刻みに震えている。
「どうした?何が入ってたんだ?」
「…これをどう使えと?」
猫西は、震えながらエロ下着を広げる。
「…。」
「ねえ、何が入ってたのー?…って!何それ!!ほぼヒモじゃん!!見えちゃうでしょこんなの!!」
「ホンットに…」
猫西は、下着をグシャグシャに丸めてカプセルに戻した。
そして、それを近くの茂みの中に勢いよく放り投げた。
「…サイッテー!!」
「わぁあ…茂みの中に投げちゃったよ。あれは草さんたちの今晩のオカズかな?なんちゃって!」
ゴツン
「あだっ!!何すんだよサトにい!」
アリスが下品な発言をしたので一発ゲンコツを喰らわせた。
「お前ちょっと黙ってろ。」
「いーけないんだ、いけないんだ!!サイバンショに言っちゃーお!!」
「いや、俺弁護士なんだけど。多分訴えたところでお前に勝ち目無えぞ。」
「それはあーちゃんのセリフ!いたいけな幼女に手をあげてる時点で、サトにいに勝ち目があると思ってんの!?」
「子供じゃないんじゃなかったのかよ…」
…付き合ってられねえ。
「チッ…うるせえな…」
狗上は、足を組んでベンチに座っていた。
「お前も少しは手伝ったらどうなんだ?」
「俺に指図すんじゃねえよ。」
…話にならないな。
「…わかった。じゃあ、お前はずーっとそこで座ってろ。
「なっ…!!」
「リオンにいってさー、女の子みたいな名前だよねー!!ずーっと何もしないでそこにいるってことは、名前だけじゃなくて内面も女々しいんじゃないの?やーい、タマ無し!女の子!!」
アリスも調子に乗って挑発した。
「クッソが!!テメェら、マジで覚えてろよ!!」
狗上は顔を真っ赤にして立ち上がった。
…子供相手に本気でキレるなんて、器の小さい男だ。
「なんだ、手伝ってくれる気になったのか?」
「チッ、機械以外は協力しねえからな!」
「狗上君、ありがとう!」
「…チッ。」
狗上は、黙りこくったまま頭を掻き毟った。
猫西の純粋な笑顔を見て、俺も狗上もこれ以上喧嘩する気が失せた。
「なあ、狗上。下の名前いじって悪かったよ。もうしないから、他のみんなと壁作んのやめろよ。」
「…うるせぇ。」
狗上は、咄嗟に目を逸らした。
「え?リオンにいツンデレなの?その見た目で?気持ち悪っ!!」
「うっせぇ!!オロすぞクソガキ!!」
「まあまあ…」
売店の探索を終えた俺たちは、港へ探索に行った。
港には、クルーザーが停泊していた。
「でっかい船!!」
「…ねえ、もしかして、アレで脱出できるんじゃない?」
「おい、狗上。お前の得意分野だろ。」
「…チッ。」
俺たちは、クルーザーに乗り込んで探索をした。
豪華な船内だった。
「すっげー!!広ーい!!床がフカフカー!!」
アリスは、相変わらずハイテンションだった。
…疲れたとか嘘だろ。
「…クソッ!!」
ガン、と金属でできた何かを蹴る音と共に、狗上の声が聞こえた。
俺たちは、声の方へ駆けつけた。
「どうしたの?」
猫西が狗上の様子を伺う。
狗上は、どうやら腹が立っているらしかった。
「操縦席に行けねえんだよ!!下らねえ細工しやがって…!」
目の前には、『この先立ち入り禁止 入りたければ誰かを殺ちてくだちゃいね』と書かれた貼り紙が貼られたシャッターが降りていた。
「…まあ、モノクマ達の事だ、そう簡単に脱出させてくれる訳無いよな…」
「でも、脱出経路が分かっただけでも大きな収穫だよ。とりあえずクルーザーの探索の続きをしよう?」
「そうだな。」
俺たちは、クルーザーの中をくまなく探した。
結局、俺が見つけたのはモノクマメダル数枚だった。
「よし、東エリアの探査が終わった事だし、一度ホテルに戻ろう。」
「そうだね。他に行ける場所もなかったし…。」
「やっと休めるー!!」
「お前はずっと休んでただろ。」
「ギクッ…」
俺たちは、ホテルに戻った。
まずは、ゴミ処理室を調べてみた。
ゴミ処理室は、開放されていた。
中央に、巨大な焼却炉がある。
あそこにゴミを入れて燃やすのだろうか。
しおりに、ゴミ処理室についての説明が書かれていた。
ゴミ処理室は、夜時間は立ち入り禁止区域となっております。夜時間中は解錠不能の柵が降ろされるので、閉じ込められないように注意してください。
…他には、特にめぼしいものは無いかな。
そろそろ移動しよう。
俺は、次にマップに書かれている赤い扉に向かった。
赤い扉には取っ手が無く、開かなかった。
「これ、どうやって開け閉めするんだよ…」
特にこれといって収穫が無かったので、個室に行ってみることにした。
ホテルには、全員分の個室があった。
「俺の部屋はここか…」
「サトにい!お部屋にカギがついてるぞ!あーちゃんの寝込みをおそったりできなくて残念だったな!」
「誰がお前みたいなクソガキを襲うか。」
「クソガキぢゃねーし!!言っとくけど、変な事しに来たらマヂで許さないかんな!!」
「しねえっつってんだろ。…お前、もしかして一人で個室で寝るのが怖いのか?」
「そ、そんな事ないもん!!あーちゃんは一人でも平気だもんね!!ただ、気がついたらママのお布団に入っちゃってるだけだもん!!」
平気じゃねえだろそれ…何を誇らしげに言ってるんだ。
「…そうかよ。じゃあ、俺は部屋を調べるから少し静かにしてろ。」
「人を問題児みたいに言うなー!!」
…どの口が言うか。
俺は、逃げるように個室の中に入った。
「…ふう。さてと、個室を調べるか。」
うるさいガキの声が聞こえない。どうやら完全防音のようだ。
それにしても…
…流石は、最高級ホテルだ。
家具は全て超高級ブランド、ジャグジーやキッチンも完備している。
さらに、窓の外に取り付けられたバルコニーから一望する景色は、まさに絶景だ。
そして、『超高校級の弁護士』である俺のために、数多の種類の裁判にまつわる本が揃った本棚と、俺が普段着る服が入ったクローゼットが用意してあった。
それらだけを見れば、俺はモノクマ達の優しさに涙し、そして感謝しただろう。
だが、すぐに現実に引き戻された。
ベッドの横にある引き出しには、ロープと手紙と鍵が入っていた。
鍵には、ご丁寧に俺の名前が彫られていた。
俺は封筒を開け、中の手紙を読んだ。
モノクマ学園長&モノハム教頭からのお知らせ
部屋の鍵には、ピッキング防止加工が施されています。鍵の複製は困難なため、紛失しないようにしてください。
部屋には、ジャグジーと洗面所が完備されていますが、夜時間は水が出ないので注意してください。
最後に、ささやかなプレゼントを用意してあります。個室には、生徒の皆さんそれぞれにぴったりの凶器をご用意しました。
菊池クンには、ロープをご用意しました。首を絞めて殺害するのが効果的と思われます。
他にも、拘束して動きを封じるなり、そういうプレイに使うなり、ご自由にご利用ください。
…クソったれ。
何がプレゼントだ、人を弄びやがって。
俺は、手紙を丸めてゴミ箱に捨てた。
「…ん?」
ゴミ箱をよく見ると、メダルが入っていた。
メダルを回収しておいた。
一通り、部屋を調べ終わった。
部屋を出ると、早速耳障りな声が聞こえてきた。
「きゃっほーい!!すっごーい!!ジャグジーじゃん!!何この広さ!!銀河並みに広いじゃん!!サイッコー!!」
…部屋は防音だったはずだが。
部屋のドアくらいちゃんと閉めろよあのバカ…
廊下に声がダダ漏れだよ。
「ベッドふかふかー!!あーちゃん、このお部屋だったらずっとここにいられるわー!!」
…呑気な奴だ。
とりあえず、そろそろ報告会の時間だし、ロビーに行くか。
俺は、アリスの部屋のドアの隙間から呼びかけた。
「…おい。」
「ん?サトにい何か用?はっ!まさか、セクハラしに…」
…このガキは、一体俺の事をなんだと思っていやがるんだ。
「報告会の時間だ。行くぞ。」
「ホーコクカイ…なんか楽しくなさそうな響き…あー、そういえばあーちゃん、頭痛で頭が痛かったような気がするなー。」
「三文芝居はいいから黙って来い。」
「お芝居じゃないし!!マジで頭痛で頭が痛すぎて死んじゃうんですけど!!」
「本当に頭痛い奴はそこまでハキハキ喋らねえよ。ほら行くぞ。」
「いーやーだー!!」
ダダを捏ねるクソガキを無理矢理引っ張って、ロビーに着いた。
ロビーには、既に全員集まっていた。
「おう、菊池にあーちゃん。やっと来たか。」
「遅いです。5分前行動をしろと申し上げましたよね?」
「…悪い。こいつが、どうしても報告会に参加したくないとダダを捏ねてな…」
「ぶー…。」
「…ははっ、そいつはご苦労様。よし、全員集まった事だし、報告会始めるぞ!」
玉木が、報告会を始めた。
「じゃあ、まずは俺らから報告な。北エリアには、レストランと診療所があった。」
「ご飯は、レストランで食べよう!ウチがご飯作るよ!」
「フンッ、どうしても私に診てもらいたい奴は跪け!!この愚民共!!」
「レストランの食料は、毎日自動で追加されるのであります。餓死の心配はありませぬな。」
「それとこのリゾート地自体は、希望ヶ峰の合宿のためにモノクマが買い取ったものらしい。…Cチームの報告は以上だ。」
「じゃあ次は俺らだな。西エリアには、ハイキングコースと遺跡があった。詳しく知りたい奴がいれば、いつでも聞いてくれ!」
「…ハイキングコースと遺跡には、立ち入り禁止区域があった。」
「それと、調べた結果、この島では外部との通信が不可能という事が判りました。さらに、この島の直径1000km以内には、他の島は存在しません。太陽の動きを見る限り、おそらくここは南半球かと。」
「あーちゃん知ってる!南半球って、ブラジルとかオーストラリアがあるとこでしょ?ってことは、あーちゃんは今外国にいるって事?わーい、すごいすごーい!!」
「…え、Aチームの報告は以上です…。」
「ええと、次は自分らっスね。南エリアには、海水浴ができるビーチと、小さな遊園地があったっス。」
「わーい!!あーちゃん、海も遊園地大好きー!!」
「それと、森万さんに、テレパシーで外部と連絡が取れないか試していただこうと思ったのですが、生憎調子が優れないそうです。」
「フッ、そういうわけだ。今はテレパシーの調子が悪くてな…」
「そういう訳ですから、調子が戻り次第、再度お願いしてみましょう。」
「!!?」
ジェイムズが、笑顔で無茶振りをした。
「何か問題でも?」
「あ、いや…別に…」
「…なんか、森万先輩がかわいそうになってきたっス。」
「…はて?私、何か不都合な事を言ったでしょうか?」
言い出したジェイムズ本人は、首を傾げていた。
「…Zzz」
「アンカーソンさん、いけませんよ。報告会中に居眠りをしては。起きてください。」
リタが居眠りをしている事に気がついたジェイムズは、そっと彼女をゆすり起こした。
「…んあっ、マカンゴ!!」
「は?」
リタは、起きたかと思うといきなり意味不明な単語を発した。
「くっ…アンカーソンさんったら…寝ぼけているようですね…くくっ…ぷふふっ…」
ジェイムズは、なぜか笑いを堪えるのに必死だった。
…今のどこにツボる要素があったんだ?
「これ以上は収拾がつかなくなりそうっスね…Bチームの報告は以上っス。」
「じゃあ、次は俺らだな。東エリアには、売店と港があった。」
「港にはねー、おっきなクルーザーがあったよー!!」
「な、なんですと!?」
「じゃあ、それを使って脱出すれば…」
「…操縦席には近づけなかった。クソが!」
狗上は、床に唾を吐き捨てた。
「…まあ、お気になさらず。学園長達がそう簡単に脱出させてくれる訳無いですしね。」
「売店の方はどうだったの?」
「…ば、売店には…『モノモノマシーン』っていうガチャガチャがあって、リゾート地の至る所に隠されてる『モノクマメダル』で遊べるらしいから、使ってみるといいよ…」
猫西は、モジモジしながら話していた。
「あのねあのねー!!ちなみになんだけど、うぇすにゃんは、ガチャでエッチなおパンティーを引いてたよ!!」
「んなッ!!」
こんのク・ソ・ガ・キィイイイイ!!!
何いらん事報告しとんじゃボケ!!
お前もう黙ってろ!!
「ちょ、ちょっと…!あーちゃん!!なんでそういう事報告するの…!?」
「んぶっ」
猫西は、顔を真っ赤にしながらクソガキの口を塞いだ。
「マジかよ。」
「…最低ですね。」
「…不潔。」
玉木、速瀬、射場山の三人はドン引きしていた。
「あわわわわ…」
床前は、顔を真っ赤にしながら狼狽していた。
「フン、下衆が…」
森万は、平然を装ってはいるものの、顔は真っ赤で、かなり動揺しているようだ。
…仕方ないか。コイツも一応年頃の男子だからな。
「ほう…なるほど、他国の文化は一通り勉強していたつもりでしたが…このような興味深い習慣を持つ国が存在していたとは…これは勉強のし甲斐がありますね!!」
ジェイムズは、目を宝石のようにキラキラと輝かせながら、真剣にメモを取っていた。
「カークランド先輩!?違うっスよ!?多分、こんなのこの島の文化じゃないっス!!こんな下品な事するの、モノクマ学園長達以外にいないっスよ!!」
「そうなのですか?」
「そうっスよ!!こんなアタオカな文化、あるわけないでしょう!?」
「日本の文化も、いい意味で斜め45度行ってますけどね。私の国では考えられない事だらけですよ?」
「そういう事を言ってるんじゃなくて!!」
「…ムフフ、もちろん、エッチなおパンティーとやらに興味がありますが…それよりも、その単語に赤面をしている女性達はドチャシコでありますぞ!!」
…どんな性壁だ。
「…織田君、いつにも増して元気だね。」
「猫西氏、パンティーはロマンでありますぞ!!普段は見られるものではないからこそ、そこには無限大の夢が…」
「ふ、ふうん。」
「はっ!…猫西氏、もしや下に例の下着を…」
「履いてるわけないでしょ!!捨てたよそんな物!!」
「んなっ!?捨てたとな!?どこに捨てたんです!?探しに行かねば!!」
「えーっとね、売店のしg」
「あーちゃん、お願いだからもう黙ってて!」
猫西が再びアリスの口を塞ぐ。
「むぐー。」
「…そろそろ別の話題に移りましょう。」
痺れを切らした速瀬が、話を切り出した。
「だな。」
「まず、このホテルの個室は、防音のようです。行ける階も限られています。」
「そうだな、それは俺も調べた。」
「あと、ゴミ処理室と、何故か開かない赤い扉があったよね。」
「…ところで、個室には、それぞれ異なる凶器が置いてあるそうなのですが。私の部屋には、十徳ナイフが置かれていました。」
「そういえばそうだったな。俺のところは砲丸だったぞ。」
「自分は吹き矢だったっス。…管楽器を吹いてたからっスかね?」
「…あ、私は、ナイフが置いてありました…えっと…金箔で装飾されたナイフです。」
「!!?」
ガタッ
森万が、いきなり席を立った。
「うおっ!?どうした?」
「フッ、なんでもない…」
森万の体は、小刻みに震えている。
…もしかしてコイツ、先端恐怖症なのか?
それも、話を聞いただけでこのビビり様…相当重症だな。
「とりあえず、全員凶器を持ってるって事はわかった。変な気を起こさないためにも、凶器を教え合わないか?」
「そうだな。俺のところには金属バットがあったぞ。」
「私は、化学薬品の調合キットでした。」
「あーちゃんは、日本刀だったよ!」
「日本刀!?アリスさん、後で見せて頂いても!?」
「うん、いいよー!!」
「ウチは、なんかよくわかんない菌の培養キットだったよ!」
「私は拳銃だったよ。…シューティングゲームやってたからかな?」
「ねむ…僕は裁縫セットですぅ…」
「吾輩の部屋には、バールが置いてありましたぞ!」
「フッ、俺は手品セットだ。」
「…俺も言っとくか。俺は、ロープだった。」
わかった凶器は以下の通りだった。
俺 ロープ
アリス 日本刀
玉木 砲丸
近藤 菌
猫西 拳銃
速瀬 十徳ナイフ
ジェイムズ 化学薬品
リタ 裁縫セット
小川 吹き矢
郷間 金属バット
織田 バール
床前 金箔のナイフ
森万 手品セット
結局、狗上、射場山、神城の三人は自分の凶器を言わなかった。
「お前らも教えてくれよ!兄弟に隠し事は無しだろ!?」
「うるせェウド!!いつ私がテメェのような愚民の兄弟になった!?痴がましいにも程があんだろうが!!」
「…教える義理は無い。」
「…チッ、めんどくせぇ。」
「まあ、言いたくないものを無理に言わせるのもな…とりあえず、別の話題に移らねえか?」
「…あの、私から皆さんに提案があるのですが。」
ジェイムズが笑顔で話を切り出した。
「おう、どうしたジェイムズ。」
「…今度から、合宿の心得に『夜時間の移動は禁止』というルールを追加しませんか?」
「えー!?あーちゃん、夜のお散歩したかったのにー!!」
「はぁ!?ふざけんじゃねえよ帽子!!テメェ如きがこの私を束縛する気か!?身の程を知れ、この愚民が!!」
「カークランド君。なんでそんなルールを増やさなきゃいけないのか、教えて欲しいな。」
「まあ、反対派の方がいらっしゃるのも無理はありません。…しかし、このままずっと殺害されるかも知れない恐怖に怯えていては、身が保ちません。鍵付きの個室があるとはいえ、疑心暗鬼に陥った状態では精神衛生上宜しくないでしょう。せめて、夜くらいは緊張感から解放され、快眠出来るようにしたいのですが。」
…一理あるな。24時間ずっと他の全員を疑う生活を続けていたら、気が狂いそうだ。
「確かに、ジェイムズの言う通りだ。みんな、夜時間の移動は慎むように。」
「おう!」
「…わかった。」
「あーちゃん了解っ!!」
「カッちゃんが言うなら…」
「そうだね、夜くらいゆっくり寝たいし。」
「私も賛成です。」
「睡眠の妨害なんてされたらストレスっスからね。」
「…眠い。」
「フッ。異論は無い。」
「賛成でありますぞ!!」
「…わ、私も…」
「…別に構わないけど。」
「チッ、めんどくせぇ…なんでそんなルール守んなきゃなんねえんだよ。」
「テメェらが私に命令するな!!」
「破りたきゃ破ればいいんじゃない?…でも、もしそれで誰かが死んだら、その時はその人が犯人で決まりだね!!」
「んなッ…」
「ちょっと、あーちゃん縁起でもない事言わないで!!」
「ごめーん。」
「ふ、ふざけるな!なぜ、この私が貴様ら愚民に疑われなきゃいけないのよ…!」
「フッ、愚かなのはお前の方だ。初めから疑われるような行動に走るなど、愚の骨頂…」
「森万先輩、その言葉思いっきり自分に返ってるっスよ。」
「存在そのものが怪しさの塊だもんね、しゃーない!」
「う…」
森万は、黙りこくった。
「よし、じゃあある程度話し合いも済んだ事だし、そろそろお開きにするか。」
「だな。」
報告会が終わった後は、自由時間となった。
「さてと…」
俺は、今日集めたメダルの枚数を確認した。
「…5枚か。とりあえず、ガチャ引いてみるか。」
早速売店に向かった。
俺は、5連続でガチャを引いた。
運動用シューズ、花柄のエプロン、七色のペロペロキャンディ、猫のヘアピン、ハーモニカが出てきた。
「…俺が使えそうな物は無いかな。…これで誰かと話してみるか。」
俺は、景品を持ってホテルに戻った。
…誰と話をするか考えておかないとな。
ちょっと編集