ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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章タイトル元ネタ『独りんぼエンヴィー』です。

今、コイツらが1日に4回も飯食ってる事に気づいたので急いで編集。
遅めの朝飯と言う事にしました。許してチョンマゲ☆


第4章 独りんぼエンプティー
第4章(非)日常編①


…裁判は、今までにない程胸糞の悪い終わり方だった。

織田と猫西が死んだ。

二人とも、床前に嵌められた。

猫西は床前のせいで、助けようとした織田を逆に殺してしまった。

そしてその猫西も、その過ちに見合わない程残虐な方法でおしおきされた。

俺自身、アイツへの想いに気付く事も無いまま、アイツを死へと追いやってしまった。

全部、床前の仕組んだ罠だった。

二人だけじゃない。今まで死んだみんな、床前に嵌められて死んでいった。

全てはあの女の、どこまでも醜く歪んだ欲望を満たすために。

 

 

 

 

 

目を開けると、見慣れた天井が見えた。

…合宿14日目の朝だ。

そうだ、俺はあの後部屋に戻って寝たんだった。

枕元の時計を見ると、すでに7時を過ぎている。

モノクマのうるさい放送を聞いても目が覚めなかったくらい、深く眠りについていたのか。

それ程までに、昨日の裁判で疲弊していたという事か。

…無理もない。昨日は、色んな事がありすぎた。

でも、いつまでも悲しみに打ちひしがれてはいられなかった。

俺は、身体を起こして部屋の中を見渡した。

…だがそこには、あるはずのない、信じられない光景が広がっていた。

 

「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!?」

 

「あら、おはようございます論さん。ダメですよ、朝からそんなに大声を出しては。」

俺の部屋には、なぜかヤツが…裸ワイシャツ姿の床前がいた。

多分、っていうかどう見ても俺のシャツを着ている。

「お、お前…どうやって入ってきた!?部屋には鍵がかかってたはずだが!?」

「うふふ、私を誰だと思ってるんですか?この合宿を主催している黒幕のスパイですよ?マスターキーくらい持ってますよ♪」

床前は、胸ポケットから鍵を取り出し、指先でクルクルと回す。

無断で人の部屋に入り込むなんて、何考えてるんだコイツ。

もはやストーカーだろ…今すぐ告訴したいところだ。

「おい、それと何だそのふざけた格好は!!」

「うふふ、論さんのシャツ大きいです♡それに、すごく論さんのいい匂いがします。」

「人のシャツを勝手に着るな!!今すぐ脱げ!!」

「あら。論さんってば、案外積極的なんですね。」

「そういう意味じゃねぇよ!!お前のせいでシャツが汚れんだろうが!!」

「うふふ、さすがは論さんです。朝からナイスツッコミですね。痺れちゃいます♡」

「うるせぇ!!」

「あ、そうそう。論さん、キッチンお借りしてますね。朝ごはん作ったんですけど、コーヒーと紅茶どちらがお好みですか?」

「うるせぇ、ここは俺の部屋だ!早く出てけよ!!あと、下の名前で呼ぶのやめろ!不愉快なんだよ!!」

「まあまあ、そう興奮なさらず。でも私は、私にだけは冷たい論さんも大好きですよ?」

「俺はお前の事が大っ嫌いなんだよ!…よくも猫西を…みんなをッ…!!」

 

 

 

「…だったら、殺しますか?」

「え…」

「言ったでしょう?私は、あなたのためなら喜んで死ねるんです。ましてや、あなたに殺されるなら、これ以上の幸福はありません。」

「…ッ!!」

床前は、俺のベッドに乗り込み、馬乗りになった。

俺は、恐怖で身体が動かなくなっていた。

「さあ、どうぞ私を殺してください?」

「…!!」

床前は、顔を紅潮させながら俺の顔を覗き込んできた。

俺は、床前に迫られて声が出なかった。

「…ッ」

俺は、床前から目を逸らした。

「あら、結局殺してくださらないんですか。」

「…お前を殺したせいで処刑なんて御免なんだよ。」

「ああ、なるほど…ところで、どちらに行かれるつもりです?」

「…決まってんだろ。着替えてレストランに行く。」

「せっかく朝ごはん用意したのに…」

「うるせぇ。お前が作った飯なんて二度と食いたくない。自分で作った分は自分で食ってろ。」

「…そうですか。あなたが食べたくないと言うなら、今日の所は諦めます。でも私、あなたの事は諦めませんからね!」

「お前、俺のためならなんでも出来るんじゃなかったのか?…本当に俺のためを思ってるなら、目障りだから今すぐ消えろ。」

「うーん、できることならそうして差し上げたいんですけど、それはちょっとできないお願いですかね。」

「…何?」

「だって、あなたを好きにさせておいたら、また意地汚い虫が擦り寄ってくるかもしれないでしょう?アリスさん、小川さん、アンカーソンさん、射場山さん、神城さん…彼女達があなたに寄って来ない保証がない限り、私があなたを守るのは必然…自然の摂理なんですよ。だから、私はどうしてもあなたから離れるわけにはいかないんです。」

「…うるせぇ。何が自然の摂理だ。好き勝手言いやがって。俺の事を考えてるとか口では言ってるけど、結局自分の事ばっかりじゃねえか。…どけ。」

「退きません♪」

「なっ…」

「ねえ論さん。私、思いついちゃったんです。関わるから、変な虫が寄ってくる。だったら、あなたを他の皆さんと関わらないようにすればいいんです。この部屋で、二人でずっと一緒にいましょう?そうすれば、何も心配する事はありません。」

は!?

何言ってんだコイツ!?

「おい、お前…自分が何言ってんのかわかってんのかよ!?こんな監禁紛いの事をして…なんで嫌がる相手にこんな事すんだよ!?俺の事を想ってるんじゃなかったのか!?」

「やだなあ、私はちゃんと論さんの事を考えてますよ?むしろ、あなたの事しか考えてませんよ。…だから、ずっと二人で一緒にいましょう?」

「ヒッ…!」

床前は、俺に抱き付くと、身体中をベタベタと触り始めた。

「うふふ、怯えた論さんも可愛いです。あ、そうだ。この部屋に二人きりじゃ論さんも寂しいでしょうし、私達の子供を作りませんか?」

は!?

お前何言ってんの!?

完全にセクハラじゃねえか!!

「何言ってんだお前!!そんな事するわけ無いだろうが!!」

「大丈夫ですよ?肩の力を抜いてください。痛い事しませんから。」

「お前マジでふざけんなよ!早くどけ!!俺にそんな趣味は無え!!」

「あら、怒った論さんも素敵ですよ。私、ますますあなたの事が好きになっちゃいました。さあ、邪魔者もいなくなった事ですし、今度こそ一つになりましょう?」

そう言うと、床前は俺の部屋着に手をかけた。

…その時、

 

『菊池クン!床前サン!今すぐ部屋から出てきなさい!!10秒以内に出てこないとおしおきするよ!!』

「…チッ、『アイツ』…余計な事を…」

床前は、嫌そうに俺から離れた。

…助かった。

まさか、モノクマに助けられるとはな。

俺はベッドから起き上がると、すぐに部屋の外に出た。

 

『遅い!!やっと出てきたよ。』

モノクマは、部屋の外で腕組みをして立っていた。

「…急になんですか?私は今から、論さんと愛し合おうと…」

『はー、これ以上放っておいたら、モザイク無しで放送できなくなっちゃうところだったよ!モザイクは立派な日本の文化だけどさ、こんな形で使いたくないんだよ!特に床前サン!オマエさ、いくら内通者だからって、監禁とか調子乗りすぎ!オマエの働きっぷりが優秀だったから、今まで奇行のひとつやふたつは多目に見てきたけど、今回は流石にそういうわけにはいかないのだ!!』

「どうしてですか?あなたには、私と論さんの仲を取り持つ事を条件に協力すると言ったはずです。…それに、ルールには違反していないでしょう?個人的な事にまで首を突っ込まないでください。」

『あのさ、ボクはあくまでコロシアイ合宿がしたいわけ!誰もモブ男とストーカー女の薄い本みたいな展開なんて求めてないんだよ!!これは、健全なるクマとハムスターによる健全なる視聴者様達のための健全なる合宿なの!!そんなに●●●とか××××とかがやりたきゃR –18カテゴリでやれ!!床前サン、オマエに関してはたっぷりお説教するから、覚悟しな!!』

真面目な事言ってるように思わせといてしれっと下ネタ挟むのやめろ。

全く、売店にはアレが置いてあったくせに、何が健全な合宿だ。

言ってる事とやってる事が矛盾してんだろ。

「…はぁい。」

床前は、不満そうにモノクマを睨んだ。

これでちょっとは大人しくなるといいんだが。

「…なあ、そういえば、エリアはどうなってるんだ?今回も開放されたんだろ?」

『ああ、そうだったね!その話をしなきゃ!ゴホン、今回は、新たにコンサートホールとカジノ、あとは会議室が解放されたよ!』

「…そうか。もう行っていいぞ。」

『あーっ、助けてあげたのに何その雑な扱い!!ホントクマ使い荒いよねオマエラ!!もういいもん!!』

モノクマは、ドスドスと足音を立てて、床前を引きずりながら去っていった。

…さてと、レストランに行くか。

俺は部屋に戻って着替えを済ませ、レストランに向かった。

 

 

ーレストランー

 

「…おはよう。」

「おはようって…先輩、もう9時っスよ。」

「遅いぞサトにいー!!」

「悪い、遅くなった。」

「…菊池、お前なんかすげェやつれてないか?」

「…ああ、ちょっとな。」

「…床前(アイツ)に絡まれたの?」

「まあ、そんなところだ。」

「ふわぁ。体調がすぐれないなら、寝てた方がいいですよぉ。」

「アンカーソン先輩は寝過ぎっス。」

「ごめんなしゃあい…」

「おはようございます皆さん、今日も相変わらず能天気そうで何よりです。」

床前は、貼り付けたような笑顔でレストランに入ってきた。

何故か、右手の人差し指が血塗れになっている。

「床前さん、それ…どうなさったのですか?」

「ああ、これですか。ちょっと調子に乗りすぎちゃったみたいで、モノクマ学園長におしおきされちゃったんですよ。ペンチで爪をちょっとね。」

「い゛ッ!?」

もうそれは説教ってレベルじゃないだろ。

こんなヤツの事なんて微塵も心配しねぇけど。

「それは痛いですね…お大事に。」

「おいジェイムズ、こんな女の心配なんてするな。」

「あら、皆さん私に冷たくないですか?」

「…逆に昨日のアレで冷たくならないと思ったわけ?」

「あっそうですか。それより、論さんに指一本でも触れたら、どうなるかわかりますよね?」

「テメェ…!!」

「うふふ、怒ったところで何もできやしないでしょう?だったら黙っててください。酸素の無駄遣いです。」

「ホント生意気ねアンタ。死ぬ時後悔する事になっても知らないわよ?」

「ご心配ありがとうございます。でも私はたとえこの肉体が滅んだとしても、永遠に論さんの心の中に生き続けるので、ご心配には及びませんよ。」

「ホントキメェなお前!神である私の前にその廃棄物みてぇな面晒すな!!このストーカー変態女が!!」

「それはこっちの台詞です。あなた達こそ、私の論さんを汚い目で見ないでください。論さんが毒されてしまいますので。」

床前が、みんなを煽ってヘイトを高めていく。

コイツの目的は、あくまで俺と結ばれる事だ。

その為ならなんでも利用するし、要らなくなれば排除する。

…こんな化け物が、今まで本性を隠して俺達と一緒に過ごしてきたとはな。

 

そんな中、床前の挑発に躍らされずに、冷静に提案するヤツがいた。

「あの、取り敢えず探索の分担を決めましょう。先ずエリアを探索しなければ話になりません。」

ジェイムズは、手を挙げて提案した。

「そうですね。では探索の担当分けは私が考えたので、皆さんそれに従っていただけますか?」

 

コンサートホール…カークランドさん、アンカーソンさん、小川さん、射場山さん

カジノ…玉木さん、アリスさん、エカイラさん、神城さん

会議室…論さん、私

 

「はぁああああああ!!?ふざけんじゃねぇぞ!!何勝手に決めてんだストーカー女テメェコラ!!」

「ナギねえ、何コレ!!完全に私欲丸出しの分担ぢゃねーか!!」

「なんです?文句があるなら、私を殺してみますか?ん?」

「まあまあ…皆さん、落ち着いて…ええと…取り敢えず問題箇所だけ修正して、それ以外は大方この分担で宜しいのでは?」

「問題箇所?この分担のどこに問題点があるんですか?」

「まず、コンサートホールとカジノが4人に会議室が2人というのはどう考えてもバランスが悪すぎます。神城さんも会議室の担当にすべきです。」

「…カークランドさん。あなた、自分がどうなってもいいんですか?私は、論さんに悪い虫が近づかないようにするためにも、彼と二人きりになる必要があるんです。」

床前は、殺気を放ちながら言った。

このままだと、コイツはまた誰かを殺しかねない。

俺は、決断した。

「おい、床前。」

「…あら、論さん。やっと自ら私に話しかけてくださったのですね。」

「…床前、ずっと俺の近くにいていい。分担も、これを採用する。」

「は!!?」

「うふふ、やっと私の事を見てくださったんですね。私、嬉しすぎて弾け飛んじゃいそうです!」

「なっ…せ、先輩!?正気っスか!?」

「おい菊池!!ソイツは、みんなを殺したんだぞ!!今すぐ考え直せ!!」

「菊池さん!彼女が何をしたのかお忘れですか!?貴方は間違っています!!」

「失礼しちゃいますよね、全く。論さんは、私を受け入れてくださったんです。…ねえ?」

「…悪い、みんな。俺は本気だ。」

「そんな…!」

「うふふ…そういうわけです、皆さん。論さんは私の事を見てくださっているのですから、指一本触れさせませんよ。」

「テメェらふざけんなコラ!!おいモブ!!テメェがそんなに女の趣味悪りいと思わなかったぞ!!」

「はいはい、負け犬の遠吠えなんて聞こえません。ほら、行きましょう論さん。」

「…ああ。」

…仕方がない。

下手に逆らったら、みんなに迷惑かけちまう。

床前の目的は、俺だ。

俺さえコイツの機嫌をとっておけば、少なくとも他のみんなは殺されずに済む。

俺一人が我慢すれば、みんなは助かる。

これ以上、コイツのせいで誰かが死ぬのは嫌だ。

…これが、最善なんだ。

 

 

ー会議室ー

 

俺は、床前と2人で会議室に来た。

正面には巨大なホワイトボードがあり、数百人分の席が並んでいる。

「…広いな。」

「そうですね、こんな広い場所を探索してたら、疲れて喉とか渇きますよね?」

独り言に勝手に反応して、床前は話しかけてきた。

「あ、お茶淹れてきたんですけど、飲みますか?」

「…お前、中に何か入れてないだろう「いいえ?」

即答かよ。

逆に怪しいぞ。

「別に喉は渇いてないし、遠慮しておくよ。」

「あら、そうですか。」

ものすごく不本意だが、俺は探索がてら床前に色々質問してみることにした。

「…なあ、床前。」

「はい、なんですか?」

「お前、黒幕の内通者なんだろ?…黒幕は誰なんだ?」

「んー…すみません、私もよく知らないんです。希望ヶ峰学園にいた生徒だって事は知ってるんですけど…なにしろ話すときは、常に音声を通してだったので。」

…まあ、こんなところで聞き出せたら苦労はしないよな。

「…今まで顔もわからない奴の言う事聞いてたのか?」

「ええ、黒幕に従った方が論さんを守るのに好都合だと判断したので。」

普通顔もわからんヤツの言う事ホイホイ聞いたりしないだろ。

コイツ…本当に俺さえ守れれば後はどうでもいいんだな。

「…お前は、また誰かを操って殺すのか?」

「んー…今のところはそのつもりはないですね。だって、あなたが私を見てくれてるんですから。でも、あなたが他の人の所に行ったり、他の皆さんが論さんに何かしようものなら、皆さんの命は保証しませんよ?本当なら、私とあなた以外の全員を殺したいくらいなんですけど、あんまり調子乗ると怒られちゃいます。」

俺以外の全員を殺すだと…?

前から思ってたけど、コイツ本当に頭おかしいな。

「…そうか。」

「うーん、ここには特に怪しいところとかは無いですかね?」

「…待て。」

机の中に、何かが入っているのを見つけた。

見たところ手作りの卒業アルバムらしい。

中を開いて見てみた。

「…え。」

 

そこには、目を疑う内容が書かれていた。

「どうかされましたか?」

そこには、79期希望ヶ峰学園卒業生の名簿が書かれており、そこには俺の名前があった。

「…俺?」

どういう事だ?

俺は2週間前に希望ヶ峰に入学する予定だったはずだ。

なのに、なんで卒業生の名簿に俺の名前が…?

俺だけじゃない。アリスも、玉木も、みんな名簿に載っている。

…そして何故か、俺達より年上のはずのエカイラの名前も。

「…なあ、床前。」

「はい、なんでしょうか?」

「…お前は、これについてどう思う?お前は、何か知ってるんじゃないのか?」

「…ああ、それですか。黒幕から聞きました。論さんが私に聞いてくださったので、特別に論さんにだけお教えします。」

黒幕に聞いただと…?

コイツら、一体どこまで協力関係にあるんだ?

色々聞きたい事は山ほどあったが、俺は床前の話を聞いた。

 

 

 

「…実は私達、もう3年間もここにいるらしいですよ。」

 

…。

…。

…え?

「は!?え、いやいやいや!!どういう事だよそれ!!俺達はつい2週間前にここに来たばっかりだぞ!?」

「…でも、ここに連れて来られた正確な時間はわからないんでしょう?」

「まあ、そうだけどよ…」

「『アイツ』の話によれば、私達は3年前に希望ヶ峰学園に入学していて、それからはずっとここで合宿生活を送っていたそうなんです。」

「3年前…!?」

「はい。私も詳しい事は知らないんですけど、3年前に外の世界で何かあったみたいで、私達はこの島から出られなくなっちゃったらしいんです。それからはずっと79期生全員でそれなりに平和に合宿生活を送っていたみたいですが、ここ最近に全員が殺し合いを始めて、私達はその殺し合いの生き残り、という事らしいです。そしてその生き残り達は、その記憶を全部消去されて、今に至っているわけです。まあ、エカイラさんだけは記憶の消去が不十分だったみたいですけど。」

十分詳しく知ってんじゃねえか。

コイツ、今までそんな大事な事を黙ってたのか。

…アリスの推測は、図らずも当たってたって事か。

「うふふ、私達、知らない間に3年間もずっと一緒にいたんですよ?なんか、運命感じちゃいますよね。…もしかすると、記憶を失う前は、私と論さんは恋人同士だったかもしれないんですよ?」

「それはねぇだろ。」

「あら、素っ気ないあなたも大好きです♪私、あなたの言う事ならなんでも聞きますから、何かあったらすぐに私に行ってくださいね?」

「…勝手にしろ。」

これ以上コイツに反抗しても、埒があかない。

ここは好きにさせておくのが得策だろう。

俺が変な気を起こさなければ、コイツもみんなには手を出さないみたいだしな。

…こんな女の事を信用するわけじゃねぇけど。

「そろそろ報告に行くぞ。」

「えぇ…もう行くんですか?」

「さすがに報告くらいはしないとマズいだろ。お前が俺から離れなきゃいいだけだろ?」

「…まあ、それはそうなんですけど…」

「俺の言う事はなんでも聞くんじゃなかったか?」

「…わかりました。探索の報告をしに行きましょう。」

 

 

ーレストランー

 

レストランには、すでにみんな集まっていた。

「悪い、待たせた。」

「お待たせしました。」

「遅いぞサトにいー!!ナギねえにまたストーカーされたのかー!?」

「あら、失礼な。論さんは、ちゃんと私の事を見てくださっているんです。私が一方的に追いかけ回しているみたいな言い方しないで貰えません?」

実質一方的に追いかけ回してるようなもんだろうが。

「本当は、アンタの顔なんて二度と見たくなかったんだけど。なーんか、殺したくなっちゃうくらいウザいのよね、アンタ。」

「うふふ、それはこっちの台詞ですよエカイラさん。私の方こそ、あなたのような殺人鬼と同じ空気を吸うのが不快でしかありません。学級裁判のルールがなければ、今すぐ殺していたところですよ。」

「アラ。アタシを殺すなんていい度胸してるじゃナイ?やれるもんならやって見なさいよ。」

「まあまあ、二人とも落ち着いて…先ずは報告をしましょう。話はそれからです。」

「…そうですね。こっちは何もありませんでした。以上です。」

「それだけっスか!?」

床前は不服そうに報告をした。

あまりにも報告が雑だったので、俺が付け加えた。

「部屋の内装は、よくある会議室だった。そこに、俺達の学年の卒業証書が置いてあった。」

「はあああああああ!?卒業証書だと!?どういう事だそれは!!」

「俺達は、実は3年間ずっとここにいて、既に希望ヶ峰学園を卒業しているらしい。その記憶を全て消されて今に至っているそうだ。」

「えぇえええええええ!!?ちょっと待って!!頭の中がマヂでタンブルウィードなんですけど!!え!?3年間!?キオクを消された!?マヂでどゆこと!!?」

「サトシちゃんが言った通りよ。アタシ達は、元々クラスメイトだったの。元は希望ヶ峰の合宿でここに来てたんだけど、なぜか帰れなくなっちゃったのよね。それでもみんな割と平和に過ごしてたんだけど、ある時どういうわけか殺し合いを始めちゃって、クマちゃんがコロシアイ合宿生活を提案した日にこの島にいた17人が、その最後の生き残りってワケ。まあ、私もボンヤリとしか当時の記憶はないけどね。」

「おい、エカイラ…記憶があるなら、その説明をもっと早くしてくれよ。」

「アラ。ごめんね?どうせ説明したところで信じて貰えないと思ってたから、みんなが手がかりを掴んだところで全部話しちゃおう、的な?」

「的なって…随分と雑っスね。」

「でも、ずっとこの島にいたって…マジかよ…」

みんな、信じられない、といった様子だった。

当然だ。

いきなり、実はここに来てから3年も経ってました、なんて言われたら混乱するに決まっている。

「って事は、あーちゃんフィフティーンじゃなくて華のエイティーン!?マヂかー!!」

「既にもう3年も経っていたんですか。…ああ、道理で日本に来た時より声が低いと思いました。」

「ふわぁ…確かに、背もすごく伸びてますよね、君。」

「いや、さすがにそれは気付けよ。」

「…すみません、全然違和感が無かったので…」

「…あの、そんな事より早く報告をし合ってください。いつまでもこの空間にいるのは不愉快です。」

「…だったら早く出てけば?」

「そうしたくてもできないんですよ。私は、あなた達から論さんを守らないといけないので。」

「…はあ、もうこんな屑放っといて、報告会さっさと済ませるよ。」

「ふわぁ…一理ありますぅ。僕達が探索したコンサートホールは、正面にステージがあって、どの角度からでも見やすいように席が配置されていましたぁ。その他は、特にこれといって怪しいところは無かったですぅ。」

「入り口に貼ってあったモノクマ先生達のポスターには、吐き気を催したっスけどね。」

アイツら…ほんといらん事しかしないよな。

「…コンサートホールの報告はこれだけ。あとは、自分で行ってみた方が早いと思う。」

「なるほどな…カジノの方はどうだった?」

「なんかね、面白そうなゲームが色々あったよ!!」

「ルーレットとかスロットマシーンみたいなギャンブルの設備からダーツとかビリヤードまで、色んなゲームが用意してあったわ。ギャンブルに関しては、モノクマメダルがチップ代わりになるらしいわ。」

「ふははははははは!!!誰か遊びたいヤツはいるか!?ゲームで勝ったら、私にメダルを貢ぐ権利をやろう!!」

誰もいらんわそんな権利。

「…ふわぁ。報告会はこのくらいでいいですかねぇ。朝ご飯がまだですし、そろそろお腹に何か入れたいですぅ…」

「そういえばそうですね。床前さんの一件について皆さんで話し合っていて、食事を摂っていなかったので…では、本日は私がお作りしますよ。」

「カークランドさん、私と論さんの分は作らないでください。」

「何故ですか?」

「あなたに配布された凶器は、確か化学薬品でしたよね?それを論さんの食事に盛る可能性が捨てきれない以上、あなたの作ったものを論さんに食べさせるわけにはいきません。」

「ああ、成程…一理ありますね。」

無ェわ。納得してんじゃねえよ。

「そうでなくても、あなたの作ったものなんて、食べるのも、論さんに食べさせるのも不愉快です。」

「はて…私のお料理、もしかしてお口に合わなかったでしょうか?」

コイツ…自分が嫌われてる事に気付いていないのか?

やっぱり、賢いアホだよお前は。

「おい床前。もうやめろ。普通に飯くらい食わせてくれ。」

「…そうですか。では、私が毒味しますね?」

コイツ、今まで俺が飯食ってた時は何も言ってこなかったくせに、なんで今更こんなに警戒すんだよ。

「だから、普通に食わせろって言ってんだろ。」

「…はぁい。」

床前は、少し不機嫌そうに返事をした。

その日は、ジェイムズとエカイラが作った朝食を食べた。

床前は、警戒心剥き出しで二人を睨んでいた。

どうやら、二人が俺の食事に何か盛ったんじゃないかと警戒しているらしい。

今まで、二人がそんな事した事ないだろ。

確かに、みんなを守るためにも、床前には近くにいていいって言ったけど…

頼むから飯くらいは普通に食わせてくれ。

このままだと化学薬品云々の前に、お前のせいで発狂死しそうなんだが。

 

朝食の後は、自由時間となった。

まあ自由時間と言っても、俺にとっての自由な時間なんて1秒も無いんだが。

…とりあえず、売店にでも行くかな。

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