ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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3月3日は夏美ちゃんの誕生日です。
夏美ちゃんたんおめ!


第4章(非)日常編②

俺は売店に向かい、ガチャを引いた。

今回は、漫画のペンと猫のぬいぐるみが出てきた。

…あとで二人の部屋に行こう。

さてと、まずはどこに行こうか?

「論さん、どちらに行かれるおつもりですか?」

「…別にどこだっていいだろ。」

「私、ご一緒させていただきますね。」

「…勝手にしろ。」

 

 

ーカジノー

 

「あっ、サトにい!!」

カジノには、先客がいた。

クソガキは、ルーレットで遊んでいるようだった。

だが、手元にはモノクマメダルが一枚もなかった。

「…お前、メダルどうしたんだ?」

「えへへ…負け続けちゃって、全部なくなっちゃった!でも、このルーレット、面白いんだよ!ねえサトにい!もっかいやるからメダルよこせ!!」

「やなこった。人にたかるな。」

「そうです。論さんにたからないでください。不愉快です。」

「サトにいのドケチ!!スカポンタン!!ろくでなし!!ヤドカリの食べれない部分!!」

最後のは一体どういう意味なんだ。

「メーダールーよーこーせー!!」

クソガキは、しつこく俺にたかってきた。

すると、床前が俺とクソガキとの間に割って入った。

「人に迷惑をかける事しかしない害虫の分際で、気安く論さんに近づかないでください。」

その台詞が自分にも返ってる事は言わないでおこう。

「ふーんだ!!何さ!!ナギねえのヘンタイ!!ストーカー!!サイコパスタ!!」

「あら。口が悪い子には、お仕置きが必要ですかね?」

二人が喧嘩をし始めた。

「おい、やめろ。…もういい、メダルは貸してやるからこれ以上騒ぐな。」

「わーい!!サトにいマヂYDK!!」

これ以上面倒を起こしたくないだけだ。

「床前も、これ以上みんなに悪態つくのをやめろ。」

「はい。論さんが言うなら、それに従います。」

床前は、さっきまで剥き出しにしていた殺意をあっさりと引っ込めた。

「よーし、メダルが手に入ったことだし、ルーレットで遊ぶぞー!!」

アリスは、再びルーレットで遊ぼうとしていた。

そのルーレットは白、黒、赤のどれかに賭けるルーレットのようだ。

ルーレットに描かれているのは、今までのデスゲームの犠牲者の顔だった。

「…おい、これ…」

「まあまあ見てなって。」

アリスは、玉をルーレットに落とした。

玉は、ルーレットの周りをクルクルと周る。

「よし、今度こそ赤こい赤!!」

そう言ってアリスが全額を赤に賭けた。

玉は、郷間の顔が描かれた溝に落ちた。

すると、ルーレットに付けられた電光掲示板にCongratulations‼︎と表示され、ファンファーレが鳴り響いた。

ルーレットからは、大量のメダルが吐き出される。

…ようやく、これがどういうゲームなのか理解した。

これは、コロシアイの被害者か、クロか、ルール違反をした生徒か、どのパターンに該当する生徒の所に玉が落ちるのかを予想するゲームだ。

「やったー!!勝った!!メダルがガッポガッポだー!!これでもう一回できるよ〜!ねえ、サトにいもやる?」

「やるわけねぇだろ。」

なんて悪趣味なゲームだ。

俺は、思わず吐き気を催した。

「ふーんだ!!サトにいのバーカ!!もういいもんね!あーちゃんがオクマンチョージャになっても、サトにいにはメダルはビタ一文もやらん!!」

元はと言えば俺のメダルだろ。

「いらねぇよ。勝手にやってろ。」

「一円を笑う者は一円に泣くって言うぞ!!あーちゃんにメダルを分けてもらえなかった事を後で後悔するんだな!!」

少なくとも、悪趣味なギャンブルでメダルを無駄遣いして俺に借金まで作ったお前が言っていい台詞ではない。

「…はあ、貸した分は返せよ。」

「やだね!!もうあーちゃんのメダルだもん!!」

全く…なんなんだコイツは。

だから貸したくなかったんだよ。

でも、コイツに取り立てたところで、どうせ俺が疲れるだけだな。

まだメダルは残ってるし、今回は諦めるか。

「…もういい。」

「論さん、待ってください!」

「お?もう行くの?やったー!!勝った!!あーちゃん、サトにいをロンパしたぜ!!」

クソガキは、なぜか勝手にはしゃいでいた。

俺は、カジノの2階へ向かった。

 

 

ーカジノ 2階ー

 

「…はあ。」

「論さん、大丈夫ですか?うるさい子供に絡まれて災難でしたね。」

「床前、お前も少しうるさいな。黙っててくれないか。」

「まあ!私の声が嗄れないように、気を遣ってくださったんですね!こんな救いようもない私の事を心配してくださるなんて、論さんはなんて優しいんでしょう!」

…なんなんだコイツ。

「そうだ!そんな優しい論さんには、メダルを貢いじゃいます!」

「…は?」

「さっき、アリスさんにメダルを奪われたでしょう?その分のメダルも、元に戻さないとですし。私、論さんのために頑張ってメダルを稼ぎますから!」

そう言うと、床前は目の前にあったゲームにメダルを入れて遊び始めた。

コイツが今までの床前なら、ここまで尽くして貰えて、俺もうまく喜べてたんだろう。

だが今は、コイツに何かされても全く喜べない。

…あの頃は、まだ良かったな。

なんて今考えても仕方ないが。

それから床前は30分くらいゲームをし続けて、メダルを数千枚も稼いでいた。

どんだけ勝ち続けたらこんなに稼げるんだよ。

『超高校級の幸運』の実力も伊達じゃないってか。

「論さん!見てください!私、こんなに稼いじゃいました!」

「お前、どうやったらここまで勝てるんだよ。…まさか、イカサマとかしてないだろうな?」

「やだなあ、そんな事するわけないじゃないですかぁ。どれもこれも、きっと全部愛の力ですよ。私の、論さんを想う気持ちが、奇跡を起こしたんです。うふふ、やっぱり私とあなたは運命で結ばれているんですね♥︎」

「…気色悪い事言うな。」

「うふふ、私には冷たい論さんも魅力的です。」

そう言うと床前は、メダルがギッシリ詰まった籠を俺に差し出してきた。

「このメダルは全部差し上げますので、好きな事に使ってください。…あ、ただ、他の皆さんへのプレゼントなら、私が全て没収させていただきますね。」

コイツ…

「いらねぇよ。自分で持ってろ。」

「あら、自分で持ってろだなんてなんて優しいんでしょう!でも、そういうわけにはいきません。論さんのために稼いだんですから、使ってください。」

「いらねぇっつってんだろ。しつこいぞお前。」

「あら…そうですか。では…」

床前は、メダルを全てゴミ箱に捨てた。

「え!!?ちょ、お前何やってんの!!?」

「え?何って…見ての通りですよ。」

「そういう事を聞いてんじゃねぇよ!なんでメダルを捨ててんだよ!」

「…ああ、だって…論さんがいらないって言ったでしょう?だったらこんなもの、いくらあってもゴミの塊も同然です。論さんに必要とされない物に価値なんてありません。」

いや、確かにいらないとは言ったけど…

よく躊躇なくゲームのチップを捨てられるよな。

やっぱコイツ、色んな意味でブッ飛んでるな。

こんな奴が今まで本性を隠して普通の女子高生のフリをしていたと思うとゾッとするよ。

「…そろそろ飯の時間だし、レストランに行くか。」

「私もご一緒させていただきますね。」

床前が後ろからついてきた。

もう、コイツに反応するのはやめた。

いちいち反応していたらこっちが疲れるだけだ。

 

 

ーレストランー

 

レストランでは、玉木が昼食を作っていた。

玉木は、床前の顔を見るなり不機嫌そうに言った。

「…またお前か。」

「あら、ご機嫌麗しゅう無能リーダーさん。あなたも、論さんの食事に何か盛るつもりですか?」

「おい、床前!!いい加減にしろ。玉木がそんな事するわけないだろ。コイツは、俺達のリーダーだ。間違っても、そんな事をする奴じゃない。」

「あのね論さん。人間なんて、いつ裏切るかわからないものですよ?論さんはお優しいから、親友だと言ってすり寄ってくる輩に騙されないか心配です。」

お前が一番怪しいんだよ。

「…そういうお前は信用できんのか?」

「あら。信用してくださらないんですか?安心してください。私が論さんを裏切るなんて事は絶対にあり得ませんよ。だって、この世界に愛以上に信用できるものなんて無いんですから。もちろん、私は論さんの事を信じてますよ?…まあ、あなたが何をしようと、私にとってそれが愛おしいのには変わりはないんですけど。」

「…そうかよ。」

「あ、だからって、他の女と仲良くしていいって事ではありませんからね?そんな事したら私、その人の事を殺しちゃいます。余計な人間を全員排除して、私とあなただけの理想郷…なんて素敵なんでしょう!考えただけで心が躍ります♪」

やっぱりコイツ、頭おかしいな。

他の奴と喋るのを制限されたら、かなり行動の範囲が狭まるだろうが。

でも、コイツのせいで誰かが死ぬくらいなら、俺が我慢するしかないだろ。

「…俺が他の奴と仲良くしない限り、お前は誰も殺さない。そうだろ?もうお前以外の奴とは仲良くしないから、俺以外の全員を殺すのはやめろ。」

「なっ…おい、菊池!!正気か!?」

「うふふ、さすが論さんです。物分かりがよろしいようで安心しました。皆さん、命拾いしましたね。」

「うるせぇ!!テメェ、どれだけ人を苦しめれば気が済むんだ!!」

「玉木さん、私、論さんの次に絶望が大好きなんです。せいぜい絶望のどん底でもがき苦しみながら死んで、私を楽しませてくださいね。」

「テメェ…!」

床前は、玉木を煽って楽しんでいる。

普段ならこんなにわかりやすい挑発に乗らないであろう玉木が、床前に対して怒りを露わにしている。

…コイツ、正義感は人一倍強いからな。

これ以上親友を悪く言われるのは気分が悪かったので、俺が止めに入った。

「…おい、床前。やめろ。飯が不味くなる。」

「はぁい。」

床前はあっさり玉木を煽るのをやめ、俺の隣の席に座った。

全員が揃い、席についた。

俺達は、玉木が作った飯を食べた。

「論さん、いけません!そんな毒入りの食事を食べては!」

「…。」

「アンタ、しつこいわよ。」

「…あなたは黙っててください。エカイラさん。」

「…。」

「てかサトにい、さっきからなんで黙りこくってんの?」

「…。」

「はっ、どうせ私の魅力に慄いて、声も出なくなってんだろ!?仕方あるまい!!私は神なんだからな!!だが、いつまでもその仏頂面晒されんのも不愉快だ。特別に私と会話をする権利をやろう!!」

「…。」

「はぁあああああ!!?おいモブテメェコラ!!私が話していいって言ってやってんだぞ!!テメェ、神を冒涜する気か!!テメェのその耳と口はチンカスでできてんのか!!?」

「…黙れ。」

「ひぃいいいい!!」

射場山に凄まれて、神城は大人しくなった。

俺だって、みんなを無視したくてしてるわけじゃないんだよ。

でも、こうする他にねぇだろ。

「…神城先輩、菊池先輩の事はそっとしておきましょう。今無理して話したって、菊池先輩にとっても迷惑っスよ。」

「…チッ、モブはモブらしく一生地味に生きてろ!!」

神城は、俺に捨て台詞を吐き捨てた。

「…。」

俺だって、みんなを無視する事に心が痛まないわけじゃない。

でも、誰かが死ぬよりはマシだ。

これ以上犠牲を出さないためにも、俺がみんなと仲良くしちゃいけないんだ。

 

 

「ごちそうさまでした。」

「論さん、大丈夫ですか?無能リーダーの作った食事のせいで、お口の中が毒されているのでは?」

「しつこいぞ。別になんともないって言ってるだろ。」

「まだ油断はできませんよ!遅効性の毒が入っているのかも…」

「お前なあ、いい加減にしろよ。」

「…はぁい。」

「あー、なーんだ!!ナギねえに話しかけられたらフツーに話すんじゃん!!なんだよ、サトにいのバーカ!!フンヅマリ!!腐ったゴキブリ!!」

最後のは一体どういう意味なんだよ。

お前の絶望的に分かりにくい話し方は全然変わんねぇな。

一周回って逆に安心したよ。

「それじゃあ、私達はお先に失礼させていただきます。」

「何方に行かれるのですか?」

「…別にどこだっていいでしょう?あなた達がいる空間に、論さんを留まらせるのは不愉快極まりないので。さ、行きましょう論さん。」

お前といる方が不愉快だよ。

「ああ…」

床前は、俺の手を取ると足早にレストランを後にした。

 

 

ー談話室ー

 

床前は、自販機で飲み物を買って、俺に手渡した。

「どうぞ、論さん。あんな無能リーダーの食事なんて食べて、お口の中が気持ち悪いでしょう?お口直しにお茶でも飲んでください。そこにシンクもありますから、しっかりお口を濯いでくださいね。」

「これ以上玉木を悪く言うのはやめろ。」

「あら、あんな人達の味方をするんですか?論さんは優しいですね。でも、嫌だったら嫌だって正直に私に相談していいんですよ?」

お前と一緒にいる方が嫌だって正直に言えたら、どんなに気が楽だっただろうか。

俺はほうじ茶の缶を受け取った。

「熱っ!!」

俺は、思わず缶を落とした。

「あら論さん、大丈夫ですか?」

「なんとかな。」

落とした缶を拾い上げた。

…まさかあったかい方だったとは。

「冷たい飲み物ではお身体が冷えると思いまして、温かい飲み物を買ったんですけど…熱いものが苦手なら、今すぐ冷たい飲み物を買ってきますね。」

「別に苦手とは言ってねぇだろ。あったかい方だとは思わなかったから、驚いただけだ。」

「そうですか…うふふ、缶の熱さにビックリする論さんも可愛いです。」

「…気色悪い事言ってんじゃねえよ。」

俺は、缶を開けて中身を少し飲んだ。

「…なあ、床前。」

「はい、なんでしょうか論さん!?」

「一応確認だが、お前は俺のためならなんでもしてくれるのか?」

「…ええ、もちろん。私は、あなたのためならなんだってできるし、なんだってします。…あなたにだったら、たとえ何をされても構いません。私は、あなたの所有物(モノ)です。」

床前は、俺の手を掴んだ。

…コイツ、華奢な見た目のくせに、なんでこんなに握力強いんだよ!?

手が痛くて折れそうなんだが!?

「ですから、どうぞ壊れるまで私をこき使ってくださいね。」

床前は、俺の腕を引っ張って自分の胸を触らせた。

「んッ…」

床前は顔を赤らめて艶かしい声を漏らす。

男ならこういうシチュエーションで普通興奮するものなんだろうが、俺はコイツの本性を知ってしまっている以上、興奮どころか恐怖しか感じない。

初めて家族以外の異性にここまで面と向かって愛情を向けられたのがまさかこんなサイコ女にだなんて、考えただけで涙が出そうだ。

「…やめろ。何させてんだお前は。」

「あっ、失礼しました。…ところで論さんって、今までに女性と付き合った事ってあるんですか?」

「無えけど、それがどうしたんだよ?」

「…なら良かった。」

そう言うと床前は俺に近づき、そして…

 

 

 

 

「んッーーー!!?」

 

一瞬、頭の中が真っ白になり、何が起こったのか理解できなかった。

俺のファーストキスは、目の前の女に奪われた。

「ご馳走さまでした♡」

床前は、恍惚とした表情で俺を見ていた。

「ーーーーーーッ!!?」

俺は、床前を押し除けて急いでシンクに駆け込んだ。

そして、大量の水で口を濯いだ。

口の中があり得ないくらい気持ち悪い。

俺は、あんな女に、無理矢理口の中を…

考えただけで吐き気がする!

口の中に大量の水を含み、シンクに勢いよく吐き出した。

「もう、論さんってば、そこまでしなくていいじゃないですか。私だって、さすがにちゃんと歯くらい磨いてますよ。」

そういう問題じゃねえよ!!

「ふざけんなよお前マジで!!お前…なんて事してくれたんだよ!?」

「だって、このままあなたを放っておいたら、他の女に目移りしちゃうでしょう?私、他の女に穢された論さんなんて見たくないので。そんな事になる前にいただいちゃいました♡」

たった今、お前に汚されたんだが。

「本当は、私の全てをあなたにあげたかったんですけど…これ以上やると、また痛い事されちゃいます。」

逆に、モノクマに言われなかったら俺を襲う気だったのかコイツ。

「ふざけんな!!本当に俺のためになんでもできるんだったら、二度とこんな事すんな!!」

「…はぁい。気をつけまぁす。」

床前は、ヘラヘラと笑いながら椅子に座った。

「…ふわぁ。」

そこへ、リタが来た。

「…眠い…ほにゃぁ?君たち、そこで何やってるんですかぁ。」

リタは、あくびをしながら俺達の方に近づいて、話しかけてきた。

「邪魔しないでください。私と論さんは今、二人で愛し合っているところなんです。」

違う!!断じて違うぞリタよ!コイツが一方的に迫ってきただけだ!

「ふわぁあ…君たち、そういう関係だったんでしゅね…お幸せにぃ。」

お前も何誤解してんだ!!

リタは、自販機で買い物をした。

「ふわぁあ…ホットココアが飲みたいですぅ…」

リタは買い物を終えると、俺達の方に振り向いた。

「…あ、あんまり遊びすぎない方がいいですよぉ。あんまりやりすぎると、R –18タグがついちゃいますぅ。お遊びは、R –15の範囲にしてくだしゃあい。」

誰がそんな事するか!!

「ご忠告ありがとうございます。では、そうさせていただきますね。」

お前、さっきモノクマの制裁喰らったばっかだろ!?

全然反省してねぇじゃねえか!!

「…はあ。」

俺は席から立ち上がり、談話室を後にした。

「あ、論さん!待ってください!」

床前は、談話室から出て行く俺を追いかけてきた。

 

 

ーホテル 廊下ー

 

俺は、ガチャの景品を持って織田の部屋に行った。

「…。」

織田の部屋は、以前とほとんど変わらなかった。

だがアイツがいない分、広く感じた。

「…織田、ごめんな。俺のせいでこんな事になっちまって…」

コイツは、猫西の事を誤解したまま自殺をしようとしていた。

そして、床前のせいで、互いに望まずに愛する者の手によって殺されてしまった。

俺が床前に目をつけられさえしなければ、今頃は漫画の話で盛り上がったり、また女湯を覗いては射場山あたりに追いかけ回されたりして仲良くやっていたのかもしれない。

こんな事になったのは、床前のせいだけじゃない。俺の責任でもある。

織田の無念を晴らすためにも、俺が床前を止めて、このゲームを終わらせなきゃいけない。

俺は、机にペンを置いて部屋を出ようとした。

 

「…あれ?」

本棚の中に、卒業証書が入っていた。

中を開いて見てみた。

中には、写真が何枚か挟まっていた。

そこには、猫西と織田が一緒に写っている写真が何枚かあった。

…だが、その中で2枚だけ気になる写真があった。

1枚は、織田が中性的な見た目の男子生徒と一緒に写っている写真だった。

フワッとした黒髪に、羽根のような白いメッシュが入った髪型…間違いない。

ソイツは、速瀬の部屋にあった写真にも写っていたヤツだった。

「…タカヒロ?」

俺は、そう呟いていた。

…なんかコイツ、どこかで最近見たような気がするんだよな。

だが、どこでその顔を見たのかは全くわからない。

そして、2枚目の写真は、見た瞬間に吐き気を催した。

「ーーーーーーーッ!!?」

写っていたのは、血塗れの会議室だった。

床には、大量の惨殺死体が転がっている。

真ん中に、大量の返り血を浴びたモノクママスクが、左手でピースサインを作って立っていた。

ソイツは革ジャンと革の短パンと革のロングブーツを身につけ、右手に拳銃を握っていた。

「なんだこれは…!?」

…このマスク、もしかして俺の動機ビデオに映っていたヤツの仲間か…?

…いや、単なる仲間というわけでもないかもしれない。

「…また謎が増えたな。」

俺は独り言を呟き、アルバムを閉じた。

部屋を出ると、案の定床前が待ち伏せしていた。

…まあでもコイツの今までの行いを振り返れば、俺と一緒に部屋に入らないだけマシか。

「うふふ、用事は済みましたか?では、行きましょうか論さん。」

「お前が俺の行き先を決めんなよ。」

「…あ、ごめんなさい。」

床前は、素早く俺の3歩後ろのポジションについた。

俺は、猫西の部屋へと向かった。

「…なあ、床前。」

「なんでしょうか論さん?」

「お前は、みんなの事をどう思ってるんだ?」

「…うふふ、そんなの、どうだって良くないですか?私があなたを愛している、それだけで十分じゃないですか。」

「質問の答えになっていない。俺の質問に答えろ。」

「失礼しました。…ええと、そうですね。アリスさんと神城さんは論さんを苦しめる害虫なので、今すぐにでも殺したいです。エカイラさんも、個人的に嫌いなので絶望のどん底に叩き落として殺したいですね。玉木さんとカークランドさんは、論さんと仲良くしすぎなのでムカつきますけど、スルーでいいです。あなたに男色の趣味がない事は把握済みですから。小川さん、射場山さん、アンカーソンさんの3人は、論さんへの態度次第ですかね。論さんと一定距離を保ってくれるなら、私からは何もしません。でも、もし私から論さんを奪うようなマネをしたら、すぐに殺します。…まあでも、アンカーソンさんに関しては、ほとんど懸念要素は無いですね。私達の事を応援してくれているみたいですし。」

興味ないから適当にあしらっただけだろ。

「…とまあ、こんな感じです。ああでも、あくまでそう思ってるだけですよ?それを行動に起こすほど私も鬼じゃないですよ。」

どの口が言うか。

今まで、自分が楽しいからっていう理由で7人も殺したくせに。

…床前のターゲットは、アリス、神城、エカイラ、小川、射場山の5人か。

コイツらとは、特に仲良くしないようにしないとな。

そんな話をしていると、猫西の部屋に着いた。

「あら、着きました。…では私は外で待機しているので、用が済んだらすぐに出てきてくださいね。」

「…お前は一緒に中に入らないのか?」

さっきもそうだったけど、コイツは何故か俺が人の部屋に入る時は一緒に入ろうとしないんだよな。

「…うふふ、それは私を誘ってくださっているんですか?」

「違ェよ。純粋な疑問だ。大体、そういう事はダメだってモノクマに言われてんだろ。」

「…まあ、それはそうですけど…」

「それで?なんでお前は一緒に部屋に入らないんだ?」

「だって、穢らわしい『その他』が生活していた空間に入るなんて、不愉快極まりないじゃないですか。本当は、論さんにもおぞましい『その他』の部屋になんて入って欲しくないんですよ?」

「…そんな事だろうと思ったよ。もういい。1人で入る。」

俺は、猫西の部屋へと足を踏み入れた。

 

 

「…え。」

俺は、部屋に入った瞬間に目を疑った。

部屋の中が、何者かに荒らされていた。

ゲームは全て破壊され、ぬいぐるみは全て引きちぎられて床に転がっており、化粧品は全て瓶を割られて中身が部屋中に飛び散っている。

壁やベッドには、おびただしい切り傷があった。

そして、口紅で『魔女』『売女』『地獄に堕ちろ』などといった悪口が部屋中に書かれていた。

「なんだこれは…!?」

今までの部屋は、以前と殆ど変わらない状態に保たれていた。

という事は、これは明らかにモノクマとモノハムの仕業ではない。

…こんな事をする奴は、1人しか考えられなかった。

「…床前の奴…」

俺は、猫西の部屋を、出来るだけ綺麗な状態に片付けた。

死んだ後もこんな嫌がらせをされたんじゃ、アイツも報われない。

アイツも、俺と床前のせいで死んだ哀れな犠牲者の1人だ。

せめて、どんな形でもいいから償いがしたかった。

俺は、部屋を一通り片付けた後、猫のぬいぐるみを部屋に置いた。

「…ごめんな。俺のせいで、こんな事になっちまって。」

コイツも、俺が床前に好かれなければ、死なずに済んだのに。

…好きだったのに、なんでこんな事になっちまったんだよ。

俺は、悔しさを胸に抱きながら、部屋を後にした。

「あら、遅かったですね論さん。あんな女の部屋にずっといたら、お身体に悪いですよ?だって、この部屋にいた女は、論さんを誑かした魔女…」

 

ドンッ

 

「きゃっ!?」

俺は、床前に詰め寄り、渾身の力を込めて壁を殴った。

「お前…一体どういうつもりだ?あんな嫌がらせして、何が楽しいんだ!!」

「さ、論さん…?わ、私…なんで論さんがそんなに怒ってるのかちょっとわからないです…」

「とぼけんな!!なんで猫西の部屋を荒らした!?あんな事して許されると思ってんのか!!?」

「…許すも何も、もう本人は()()()()()()()じゃないですか。だったら、私が何をしようと誰も何も言いませんよ。」

その言葉を聞いて、俺の中で大事な何かが切れた。

「…もういい。お前なんかに人間性を求めた俺が間違ってた。…お前は、やっぱり救いようのないクズ女だよ。…俺が今すぐ殺してやる。」

俺は、床前の首を絞め上げた。

「ぐっ…さ、さと…し…さん…?」

「うるせェ。二度と口を開くなゴミ女。」

「く…くるし…わ、たし…さ…とし…さんに…ころ、さ…れる…?」

床前の顔は血の気が引いて青白くなっていく。

だが、その表情は恍惚としていた。

「…最っ高♡」

…トドメだ。

俺は、床前の首を強く絞めようとした。

その時、俺の制服の懐からゲーム機が落ちた。

…猫西に借りたまま返せなかったゲーム機だ。

 

『なんとしてでも全員で生きてここを出ないとね!』

 

「…!!」

その瞬間、俺は我に返った。

そうだった。俺は、なんて過ちを犯そうとしていたんだ。

その場の感情に任せて、自分の背負った責任を、命ごと放棄しようとしていた。

俺は、なんとしてでも生きてここを出て、償いをしなきゃいけなかったんだった。

…そんな大事な事、なんで一瞬でも忘れてしまったんだろう。

俺は、床前の首から手を離した。

「…さっきは殺そうとして悪かったよ。大丈夫か?」

「ケホッ、ケホッ…あーあ、結局死に損なっちゃいました。せっかく、論さんに殺して貰えると思ってたのに。…それにしても、そんなゲーム機で気が変わっちゃうなんて、論さんも甘いんですね。まあ、そんなあなただから好きになったんですけど。」

床前は、少し残念そうに俺を見た。

俺は、落としたゲーム機を拾い上げた。

…そうか、猫西…お前が、俺を止めてくれたのか。

ありがとな、猫西。

俺は、絶対にここを生きて出るよ。

だからいつか償える時まで、どうか待っていてくれ。

 




ついにAまで来ちゃいましたよ。
どんどんトコマエダ様がヤバくなってきましたね。
ちなみに、トコマエダ様の性格は、典型的なサイコパスを意識して練り上げてみました。

・第一印象は良い
・自己中心的
・欲求不満
・狡猾
・罪悪感の欠如
・共感の欠如
・衝動性
・多種類の犯罪行為

…ね?全部当てはまってるでしょ?
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