ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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第4章 非日常編①(捜査編)

射場山と小川が死んだ。

その死は、あまりにも突然だった。

さっきまで一緒に話したり、ゲームしたりしていたのに。

まるで今までの日常を、2人の夢を、嘲るかのように、見慣れた緋色が目に飛び込んでくる。

それは、俺に残酷な現実を突きつけてきた。

それでも俺は、2人の死を受け入れられずにいた。

…受け入れられるわけがなかった。

なんで2人が死ななきゃならなかった。

…一体誰が、どんな理由で2人を殺したんだ。

「にゃああああああああああああああああ!!ユミねえー!シオねえー!!」

「嘘だろ…なんで2人が…クソッ!!」

「フン、誰が殺ったのかは知らんが、下衆な事しやがって。」

「あらあら、またコロシアイが起きちゃいましたね。」

「…そんな、射場山さんと小川さんが…どうして…」

「射場山…小川…なんで…」

「…また始まるのね。」

慌てふためくアリス。

壁を殴りながら悔しがる玉木。

歯を食いしばりながらみんなを睨む神城。

余裕綽綽とした様子の床前。

俯いて二人の死を嘆くジェイムズ。

顔を手で覆い、蹲るリタ。

周りを警戒するエカイラ。

全員が、2人の死を目の当たりにした。

だが、俺達は嘆き悲しむ事さえ許されなかった。

 

『うっぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!まーた起こっちゃったね、コロシアイが!!お前ら、仲良しこよしじゃなかったの?』

『ぴきゃきゃ、全くでちゅ。あれだけ大口叩いといて、情けないでちゅね!』

モノクマとモノハムが相変わらずのハイテンションで現れた。

「お前らッ…!!」

「玉木さん、学園長達に怒りを向けるのはお門違いですよ。」

「何ッ…!?」

「うふふ、玉木さん。あなただって、本当はわかってるはずでしょ?お2人を殺したのは、紛れもなく皆さんの中の誰かなんです。」

「ッ…」

「皆さんの中に、お2人を殺した最低最悪の殺人犯がいるはずです。さて、犯人さん。いたら手を挙げてください!」

…コイツ、そんな事を言って俺達の不安を煽ろうっていう魂胆か。

ナメやがって。

「ふわぁ…そんな事言って、どうせ君が殺したんじゃないんですかぁ。」

「…うふふ、私が殺したのか、ですって?…アンカーソンさん、それはあなたが一番よくわかってるはずですよ?」

「えっ…」

「おい、やめろお前ら!今は争っている場合じゃない。…そうだろ、モノクマ。」

『いやあ、菊池クンは理解が早くて助かるよ!ってまあ、同じ事3回もやってたわけだから当前か!』

『ぴきゃきゃ、皆様はもうお分かりでちょうが、今から捜査時間を設けまちゅ!捜査時間の後は、全員参加型の学級裁判でクロを見ちゅていただきまちゅ!ちぇいぢぇい、生き残れるように頑張ってくだちゃいな!!』

「…いよいよ始まるのね。」

俺は、大切な仲間を2人も失って、完全に絶望したと思った。

2人がいなくなってしまった今、俺に未来はあるのかとさえ思う。

でもそれ以上に、怒りがこみ上げてきた。

どんな理由があったとしても、俺は2人を殺した犯人が許せない。

絶対に、2人の命を奪った奴になんか負けたくない。

俺は、なんとしてでもクロを見つけ出してみせる!

全員で生きてここを出るため…そして、2人の仇を討つために…!

 

 

 

 

ー《捜査開始》ー

 

…とりあえず、まずはモノクマファイルを確認しよう。

 

 

モノクマファイル①

1人目の被害者は『超高校級の弓道部』射場山祐美。

死体発見現場は、南エリアにあるカジノの1階プレイルーム。

死亡推定時刻は22:56頃。

死因は、全身に大量の穴が開いた事による失血死。

身体中に無数の弾痕がある事から、死因は銃殺と思われる。

 

コトダマゲット!【モノクマファイル①】

 

モノクマファイル②

2人目の被害者は『超高校級の演奏家』小川詩音。

死体発見現場は、南エリアにあるカジノの1階女子トイレ。

死亡推定時刻は00:35頃。

死因は、頭蓋骨陥没及び脳挫傷。

後頭部に、球状の物が衝突したと思われる打撲痕あり。

 

コトダマゲット!【モノクマファイル②】

 

…次は死体を確認しないとな。

「えっと…今回は、検視と見張りは誰がやる?」

「そうだな…この中で、検視ができんのは神城とジェイムズ、あと…」

「アラ。アタシも、そういうの得意よ。」

…今まで散々人を殺してきたからなのか?

いや、今はそれは気にする事じゃないな。

「そうですね、エカイラちゃんさんが検視が出来ると仰るなら、お手伝いをお願いしたいです。私も、検視に関しては素人同然ですし…」

「あら、じゃあ2人でやりましょ。」

「…あ、ですが…その前に一つ問題が。」

「アラ。何?」

「いや…私達、二人とも男性じゃないですか。然し、被害者はお二人とも女性…私達がお二人のご遺体を調べるのは、その…あまり好ましくないと思うのですが。」

「言ってる場合か。この中で検視ができるのはお前ら3人だけなんだぞ。そんな事で犯人を見つけられなかったら洒落にならんだろ。」

「…そうですね。エカイラちゃんさん。宜しくお願いします。」

「ウフフ、一緒に色々調べましょ。ジェイムズちゃん。」

「よし、じゃあジェイムズとエカイラが射場山の検視、神城が小川の検視、んで俺が神城を見張る。それ以外は各自で探索…とまあこんな感じでいいか?」

「ああ、問題ない。」

「ふわぁ…OKでぇす。」

「いいよー!!」

「そうですね…それで問題ありません。…射場山さん、ごめんなさい。どうか、私達に力をお貸しください。」

「じゃあ、早速検視しましょ。」

2人はプレイルームに向かった。

「うふふ、論さん。一緒に調査しましょう?」

「言われなくてもそのつもりだ。お前を1人にしたらロクな事が起こらんからな。」

「…信用してくださらないんですね。」

「当たり前だ。お前は、モノクマ達の内通者なんだろ。」

「…まあ、そうですけど…」

「言っておくが、俺はお前が一番怪しいと思ってるからな。」

「やだなあ論さん。私にはアリバイがあるのをお忘れですか?…私、論さんに疑われて悲しいです。」

床前は嘘泣きを始めた。

「時間がねぇからそのくだらん三文芝居をやめろ。…いいか、また変な気を起こしてみろ、すぐに大声で言いふらすからな。」

「…変な事なんてしませんよ。…まあ、大声で叫ぶ論さんが見てみたい気持ちもちょっとありますけどね。うふふ。」

コイツ、冗談抜きで気色悪いな。

同じ空気を吸ってるだけで不愉快だ。

自分でも、こんなヤツの事が好きな芝居ができた俺を尊敬するわ。

「さ、時間が無いんで早く調査始めちゃいましょう?」

お前がダラダラとくだらない事で時間を浪費したんだろ。

「チッ…なんで私が愚民の言う事なんか…」

「おい、神城。死にたくないならわがまま言ってないで俺と一緒に来い。」

「フン!今だけは貴様の言う事を聞いてやる!!感謝するんだな!!」

…アイツはなんで上から目線なんだ。

まあ、それは今に始まった事じゃねえけどよ…

さてと、俺達は俺達で捜査をしないとな…

とりあえず、全員に事情聴取をして情報をまとめるか。

 

 

ープレイルームー

 

「ここでは確か、ジェイムズとエカイラが検視をしてたはず…」

ん?入り口近くの床が少し汚れてんな…

「おや、論さんどうなさいましたか?」

「…床前、少し静かにしてくれ。」

「…はぁい。」

どれ、もう少し調べてみるか…

「私にも見せてください。…あぁ、それ、血ですね。」

は!?

サラッと何言ってんだコイツ!?

「乾き具合からして、2時間程度経っているようです。それを踏まえて考えると、射場山さんの血だと考えるのが自然かと。…論さんは、今まで気づかなかったんですか?」

…プレイルームのカーペットが赤いから、今まで気づかなかったぞ。

よく見たら、人形が座っているところまで引きずった痕があるし…

これは有力な情報だな。

 

コトダマゲット!【プレイルームの血痕】

 

あと、気になるのは…

「ねえ論さん。これ、なんでしょうね?」

床前は、壁に開いた穴を指差した。

「…大きさから考えて、弾痕じゃねえか?ここには本物の拳銃があるし…流れ弾が壁に当たったのかもな。」

「なるほど、銃ですか。さすが論さんです。かなりいい線いってるんじゃないですか?」

いい線…?何言ってんだコイツ。

…もしかして、コイツ、今回の事件について何か知ってんじゃねえのか?

 

コトダマゲット!【プレイルームの弾痕】

 

床前は、壁をジロジロと見ている。

「…はて、この穴は本当に拳銃でできたものなんでしょうか?」

「どういう意味だ?ここには拳銃があるし、これで撃った弾が当たったんじゃないのか?」

「うふふ、論さんも甘いですねぇ。本当に拳銃でできた穴なら、こんなに壁に穴が開いたりしませんよ。…何か他の凶器が使われたのかも?」

「…何が言いたい。…お前、まさかとは思うが犯人を知ってるんじゃないだろうな?」

「ええと…すみません、ちょっと質問の意図がわからないですね。犯人を知ってて言わないなんて、そんなのただの極悪人じゃないですか!」

どの口が言うか。

前回の裁判では、くだらねェ理由で猫西にクロを押し付けたくせによ。

「とにかく、私は誰も殺していませんし、何も知りません。」

「嘘つけ。じゃあ、あの発言は一体何だったんだ。」

「…あの発言?」

「リタに、『お前が一番よく知ってる』とかなんとか言ってただろ。お前、リタの何かを知ってんのか?」

「…ああ、あれは、ただのジョークですよ。」

「…は?」

「いや、いつも眠そうにして余裕こいてるアンカーソンさんがクロだと疑われて泣き喚く姿が見たかったものですから。…勿論、私は彼女がクロかどうかなんて知りません。」

何言ってんだお前。

全員の命が懸ってるこの状況を理解できてないのか、この期に及んでスリルを味わおうなんて糞みたいな事考えてるのか…

コイツの場合、後者だろうな。

…コイツ、やっぱり頭おかしいわ。

「私は犯人を知りませんが、一応疑っている人はいますよ。…そうですねぇ。個人的に怪しいと踏んでるのは、森万さんの時におもちゃのガトリングを乱射していたカークランドさんか、殺人鬼のエカイラさんですかね。」

「…あら、アタシを疑うなんて心外だわ。」

エカイラは、床前の後ろに回り込んで、顔を覗いていた。

「…エカイラ!」

「…それ、やめてください。不愉快です。」

「アンタに言われたくないわ。」

「菊池さんに床前さん。先程検視が終わった所で、皆さんにその結果の報告をしようと思っていたので丁度良かったです。」

「…どうだった?」

「やはり、射場山さんの死因は銃殺のようです。身体中に100発以上の弾痕が見付かりました。」

「…そうか。」

 

コトダマゲット!【射場山の弾痕】

 

「それと、面白い事がわかったわよ。」

コイツ、射場山が死んだのになんでこんなにヘラヘラ笑ってんだ。

床前程じゃねえけど、コイツも大概だな。

「…なんだ。」

「ユミちゃんの身体からアルコールが検出されたのよ。…あの年で呑んだくれてたって事かしら?イケナイ子ね。」

…そういえば射場山の奴、俺と話してた時顔真っ赤だったし、やけに声が大きかったな。

あれは具合が悪いんじゃなくて酔っ払ってたのか。

でも、真面目なアイツが酒なんか飲むか?

「言ってる場合か。…アルコール、ね。ありがとな。参考にさせてもらうよ。」

 

コトダマゲット!【アルコール】

 

…そういえば、神城がデザートを配っていたな。

不味すぎてほとんどの奴がゴミ箱に捨てた今確かめる術はないが、一応裁判で言う必要があるかな。

 

コトダマゲット!【神城のデザート】

 

『うぷぷ、どう?捜査は順調?』

俺達がエカイラの報告を聞いている最中に、モノクマが割り込んできた。

「…モノクマ、ちょうど良かった。お前に聞きたい事があるんだが。」

『ほえ?何?』

「このプレイルームについて教えてくれ。」

『えー?ボクに聞くのー?ちょっとそれズルくない?』

「…この捜査時間は好きに捜査していいんじゃなかったか?」

『うーん、そう言われると返す言葉がないなぁ〜。じゃあ、特別に教えてあげましょう!』

「…助かる。じゃあ聞かせて貰うが、この部屋、清掃時間とかあるのか?」

『うん、一応あるよ。午後11時から0時の間の1時間は、この部屋にはロックがかかる仕組みになってるんだ!その間の1時間で、部屋の掃除をするってワケ!その間に、この部屋はリセットされてるよ!』

「…それ、人が入ってたらマズくないか?」

『まあそうなるね!1時間ずっと部屋に閉じ込められたままになっちゃうね!』

「…っていうか、その掃除のせいで事件の証拠を消しちゃったりとかしてないでしょうね?」

『うーん、それは何とも言えないなぁ。この部屋の掃除は全部、この部屋にある掃除機能が行なってて、全部建物に内蔵されてるAIが管理してるからね!AIが感知した汚れや傷、紛失物とかはその時に元の状態に戻されるってわけ!って言っても、さすがにあそこまで傷とか汚れがひどいと完璧に元に戻すのは無理だったみたいだけどね。…ああ、さすがに人まで掃除したりとかはしないから安心しなよ。』

あそこまで…?

清掃時間前の部屋の状態は、そんなに酷かったのか?

「…なるほどな。その時に撃った人形も追加するのか?」

『人形の追加は、プレイヤーが出て行ったらすぐ行われてるよ!』

「そうか。もうわかった。行っていいぞ。」

『うわっ!なんかボクの扱い雑じゃない?ボクなんて、オマエラにとっては所詮それっぽっちのカンケイだったって事!?ボクは使い捨てのクマじゃないクマよー!!』

「ワンナイトラブで捨てられたみたいな言い方しなくていいから、早く視界から消えなさいよ。」

『ふーんだ、もういいもんね!あとは勝手に進めてどーぞ!!』

モノクマは不貞腐れながら帰っていった。

 

コトダマゲット!【清掃時間】

 

コトダマゲット!【プレイルームの人形】

 

「なあ、お前らは事件当時何してた?俺はゲームしてたけど…」

「私もです。ネギちゃんさんとうぇすにゃんさんの曲でリズムゲームをしていました。」

「アタシもゲームしてたわ。あーちゃんがどデカいチンアナゴのぬいぐるみが欲しいって駄々こねてね。」

…お前も張り切ってやってただろ。

…あと、この部屋について付け足す情報はアレか。

 

コトダマゲット!【プレイルームのルール】

 

ここで得られる情報はこのくらいかな。

そういえば、トイレの方はどうなってるんだ?

 

 

ートイレー

 

「神城、玉木。お前らの方はどうだった?」

「…チッ、モノクマファイルには嘘は無かったよ。やっぱり死因は撲殺だ。凶器は、おそらくこれだ。」

 

コトダマゲット!【血の付いた金属の玉】

 

「…ん?ちょっと待てよ?玉木の凶器って、確か砲丸じゃなかったか?」

「ああ、そうだな。でも、これは俺のヤツとは違うぞ。俺の凶器は、テニスボールくらいの大きさだったからな。」

…だったら違うと考えて良さそうだな。

この玉はボウリングの玉くらいの大きさだしな。

「でも、ちょっと変なんだよな…」

「何がだ?」

「いや、リタの証言通り、アイツが小川が死んだ後に駆けつけたとしたら、小川は10分間1人でここにいたって事になるんだ。だったら、どうやって犯人は小川を殺したんだろうなって思ってよ。」

「…そっか。俺たちは、小川の死亡推定時刻には、プレイルームの前にいたもんな。」

「だったら、玉が勝手にが小川を襲ったって事か?」

「超能力じゃないんだから…あ、でもこれって金属の玉だよな?だったら磁石とか使えば…」

「はっ、バカかテメェらは!!」

神城が割り込んできた。

「磁石で引き付けられるって事は、その玉の材質が鉄じゃなきゃなんねえんだよ!…見ろ!」

神城は磁石を取り出して玉に近づけてみた。

だが、何も起こらなかった。

「な?これでわかったろ?この玉の材質は鉄じゃねえから、磁石を使って殺すのは無理なんだよ!」

「…確かに。」

「っていうか、なんでお前は磁石なんか持ってるんだ。」

「…ああ、神城が、確かめたい事があるからっつって売店まで走ってったんだよ。その時に売店から持ってったんじゃねえの?」

「玉木、その間ちゃんと小川の事は見てたか?」

「おう、バッチリだ。」

…なるほどな。

磁石説は消滅か…

だったら、やっぱりリタが嘘をついていて、アイツが小川を殺したのか…?

いや、まだ決めつけるべきじゃない。

他の可能性を探すしかないな。

「…ん?」

トイレの壁に何かが貼り付けてあった。

見たところ、何かの機械のようだ。

「…なんだこれ?」

俺は、その機械のスイッチを入れてみた。

だが、何も起こらなかった。

「…何もない、か。」

「にゃあああああああああああ!!!」

アリスがドタドタとトイレの中に駆け込んできた。

「ちょっと!誰この音鳴らしてんの!!めっちゃ気持ち悪い!今すぐやめて!!」

…音?もしかして、この機械か?

「あ、悪い。」

機械のスイッチを切った。

「あー、やっと止まった。サトにい!よくもあーちゃんにキショク悪い音聞かせたな!?ケツの穴にスイカ詰まらせて死ね!!」

「ごめんってば。わざとじゃないんだよ。」

…やっぱり、この機械が原因か。

でも俺には全然変な音なんて聞こえなかったぞ?

アリスにしか聞こえてないのか?

 

コトダマゲット!【トイレの機械】

 

コトダマゲット!【変な音】

 

「…なるほどな。…ん?」

小川のピン留めが外れている。

近くを探してみたら、床にピンが落ちていた。

「…ここに落ちてたのか。」

大事な証拠かもしれない。

悪い、小川。裁判が終わったら必ず返すから、ちょっとだけ借りるぞ。

俺は、ピン留めを回収した。

 

コトダマゲット!【ピン留め】

 

…あとは…

「ん?」

ここのトイレの天井だけ、照明が無いな…

道理で少し暗いわけだ。

ちょっと高すぎて調べられないな…

そうだ、便座に乗って見てみよう。

「よいしょっと。」

「論さん!大丈夫ですか?」

「床前、ちょっと黙っててくれ。真面目に捜査してるんだ。」

「…はぁい。」

ここに何か重要な手がかりがあるかもしれない。

「!?」

俺が持っていた小川のピン留めが、天井に貼り付いた。

「…これ、もしかして…」

 

コトダマゲット!【トイレの天井】

 

「…よいしょ。」

「論さん、大丈夫でしたか?」

「…いちいち話しかけてくんな。…ここで得られる情報はこのくらいかな…お前ら、事件当時は何してた?」

「俺はあーちゃんと一緒にクレーンゲームやってたな。」

「私は、VRのゲームで遊んでたよ。」

「…なるほどな。ありがとう。」

そろそろ別の場所の探査もしないとな…

 

 

ー1階 VRエリアー

 

「ここで神城は遊んでたっつってたな…」

俺は、VRエリアを調べてみた。

「あの、論さん。一応報告しておかなければならない事が。」

「…何だ。」

「実は、射場山さんの死亡時刻に、神城さんがここで遊んでいるところを小川さんが見たそうです。…話しかけても返事をしなかったから、よっぽど集中しているのだと思い、邪魔をしては悪いと思い姿だけを確認して上のフロアに上がった、と言っていました。」

「…それ、いつ聞いたんだ?」

「私達がゲームをしている最中ですね。小川さんが教えてくれました。尤も、論さんはゲームに集中していて聞いていなかったようですが。」

「…お前、知ってたならなんで早く言わなかった。」

「だって、あんな下品な女の味方をするような発言をするなんて、不愉快なだけですし。」

…コイツ。

だが、小川が嘘をつく理由はないし…コイツの言ってる事が本当なら、神城には犯行は無理だな。

 

コトダマゲット!【小川の証言】

 

…ここにはもう調べられる事はないか。

「…ん?窓が開いてる…?」

…一応外も調べておくか。

 

 

ーカジノ裏ー

 

外には、大きな排水溝があった。

「…流石に深すぎて中を調べるのは無理そうだな。…ん?」

排水溝の縁に、金色の細い糸のようなものが絡まっていた。

「これは…?」

「髪の毛…と思いましたが、微妙に違いますね。人工的なもののようです。」

「…一応回収しておくか。」

 

コトダマゲット!【排水溝の糸】

 

ここにはもう調べられる事は無さそうだ。

他の場所の調査に行こう。

 

 

ーカジノ入り口ー

 

入り口には、アリスとリタがいた。

「あっ、サトにい!!さっきはよくもあーちゃんに気持ち悪い音聞かせたな!?冷凍みかんに頭ぶつけて死ね!!」

「論さんに向かってその口の利き方はなんですか。あなたこそ四肢を捥がれて死んでください。」

「…やめろ。…お前らにもちょっと聞きたい事があんだよ。」

「ふわぁ、なんですかぁ。」

「リタ、アリス。お前らの方も調査は順調か?」

「…ふわぁ。はぁい。」

「バッチシだよー!!」

「なあ、アリス。」

「ほぇ?何?」

「お前、カジノのパーティーの準備に来てた奴全員わかるか?」

「うーんっとねえ、確か、あーちゃん、カツにい、ムズにい、シオねえ、ユミねえ、クレねえ、エカイラちゃんの7人だったよ!」

「リタ、床前。お前らは手伝わなかったのか?」

「ふわぁ…眠かったので。」

「皆さん、私と口を聞いてくださらなかったので。嫌になって、部屋に逃げちゃいました。」

「そういう菊池はどうなんですかぁ。」

「…俺は、射場山に手伝うなって釘刺された。」

「…ふわぁ。なるほどぉ。」

 

コトダマゲット!【パーティー準備のメンバー】

 

「射場山って、その時プレイルームに入ったりしたか?」

「してたよー!あーちゃん見てたもんねッ!!確か、クレねえとシオねえも一緒に入ってたよ!!」

 

コトダマゲット!【プレイルームに入った射場山】

 

「射場山の奴がドリンクバーに行ったのっていつだっけ?」

「えーっとね、確かシボージコクの3分前くらいだったんじゃないかな?」

…行く途中か帰る途中に殺されたって事か。

 

コトダマゲット!【ドリンクバー】

 

…でも、待てよ?

あの射場山が、簡単に殺されるか?

…いや、アイツの弱点をつけばできるかもしれない。

アイツの、絶対に人に知られたくなかった弱点…

 

コトダマゲット!【射場山の弱点】

 

「お前は、その時はクレーンゲームで遊んでたんだよな?」

「そだよー!!エカイラちゃんがね、でっかいチンアナゴを取ってくれたの!!」

「…ああ、そう。それは良かったな。」

コイツから聞き出せる情報はこのくらいかな…

あとは、リタに話を聞いてみよう。

「おい、リタ。」

「ふわぁあ…なんですかぁあ…」

「お前からも報告する事はあるか?」

「ふわぁ…えっとぉ、売店の砲丸が1個減ってましたぁ。…僕が調べたのはそれだけですぅ。」

 

コトダマゲット!【売店の砲丸】

 

あとは…

「お前、射場山の死亡時刻には、部屋で寝てたんだよな?」

「ふわぁ…そうですよぉ…」

…なるほどな。

「一応確認だけど、射場山の死亡時刻の前後にプレイルームに入ったりはしてないよな?」

「…ふわぁ、そもそも、プレイルームってなんなんですかぁ。」

「…は?」

「僕、そんな部屋があるの知りませんでしたぁ。場所を知ったのだってさっきですよぉ。」

「それ、本当かよ。」

「ふわぁい。小川の様子を見に行ったのだって、プレイルームの場所を聞こうと思ったからですぅ。…まさか、トイレの中で死んでるなんて思ってませんでしたけどぉ…」

「小川さんの様子を見に行き、そこで小川さんの死体を見たにも関わらず私達が駆けつける間まで誰かを呼ぶ事もなくそこでただ見てたって事ですか?ますます怪しいですね。」

「ふわぁ…ごめんなしゃい…腰が抜けちゃって、声も出なくて…何もできませんでしたぁ…」

「そんなの、信用できると思ってるんですか?あなたはいいですよね。すぐに『寝ちゃってた』の一言でごまかせるんですから。」

「ごまかしてなんかないですぅ…僕は、本当に眠くなっちゃうんですぅ…」

「おい、やめろ床前。時間がないんだ。今は捜査に集中しろ。リタが犯人かどうかは、学級裁判ではっきりさせればいいだろ。」

「えぇ、でも論さん!殺人犯候補を問い詰めるチャンスなんですよ!」

「…聞こえなかったのか?」

「…はあい、論さんがそこまで言うならやめます。」

…コイツ、やっぱりすごく疲れるな。

 

コトダマゲット!【リタの証言】

 

…あとは、全員分のアリバイをまとめておこう。

 

コトダマゲット!【全員分のアリバイ】

 

『オマエラ、時間切れです!ついにこの時がやってきました!お待ちかねの学級裁判、始めるよ〜!5分以内に、ホテル一階の赤い扉まで集合してね〜!』

「あら、もう時間切れですか。行きましょう論さん。」

「邪魔だ。くっつくな。」

「論さんてば、ツンデレなんですね!」

「デレてねえし。…もう置いてくぞ。」

「あ、待ってください論さん!」

俺は、赤い扉に向かった。

 

 

ー赤い扉前ー

 

扉の前では、既に玉木と神城が待機していた。

俺と床前が到着した後、残りの4人が来た。

全員がエレベーターに乗り込み、エレベーターの籠が動いた。

…ただでさえ広々としたエレベーターが、余計に広く感じる。

たった2週間で、仲間を半分も失ってしまった。

正直、不安と恐怖で押し潰されそうだ。

だが、俺達はもう立ち止まれない。

なんとしてでも、クロを暴き出す…

それが、俺が2人にしてやれる最初で最後の罪滅ぼし…そして、2人の命を弄んだ奴にしてやれる唯一の反撃なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

『ここで、皆様にクイヂュのお時間でちゅ。この中で、射場山様と小川様を殺害ちた犯人は誰だと思いまちゅか?』

 

 

 

『超高校級の弁護士』菊池論

 

『超高校級の???』アリス

 

『超高校級のサッカー選手』玉木勝利

 

『超高校級の大学教授』ジェイムズ・D=カークランド

 

『超高校級の外務大臣』リタ・アンカーソン

 

『超高校級の演奏家』小川詩音

 

『超高校級の幸運』床前渚

 

『超高校級の弓道部』射場山祐美

 

『超高校級の外科医』神城黒羽

 

『超高校級の死神』伏木野エカイラ

 

 

 

『…ちょうでちゅか。…ではでは、答え合わちぇは、またの機会に。』

 




コロナで世界中が大パニックの中、『金属の玉』というワードが一瞬金玉に見えて爆笑していた作者は爆死すべきですな。
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