ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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章タイトルちょっと合わなかったんで変えました。

章タイトル元ネタ『アンハッピーリフレイン』です。

今回からは、菊池クン以外の人に視点が移るようになりました。


第5章 アンハッピーレクイエム
第5章(非)日常編①


合宿18日目。

昨日は、色々な事がありすぎた。

「菊池さん。」

仲間を3人も失って、俺達が『超高校級の絶望』だって事を明かされた。

…射場山や小川は、夢を叶える事なく、嫉妬に狂った神城によって殺された。

アイツらには、人生をかけて叶えたかった夢があったのに。

「菊池さん!」

そして神城は、最期は醜さを曝け出して処刑された。

俺達が、アイツの弱い部分に気付いてやれていれば、アイツと打ち解けられていたかもしれないのに。

ああなってしまったのは、神城一人の責任じゃない。

…何もしてやれなかった、俺達全員の責任だ。

 

「菊池さん!!」

 

「うおあっ!!?」

後ろから中性的な声が聞こえ、肩を思い切り叩かれた。

俺は、思わず転んで尻餅をついた。

座っていたパイプ椅子が、耳を突くような高い音を出しながら倒れた。

「あ、あの…申し訳ございません。何度声を掛けても返事が無かったもので、つい…」

見上げると、視界に三つ編みの美青年が映った。

俺は、ようやく冷静さを取り戻した。

「お、おう…ジェイムズか。悪い、ちょっと考え事してた…」

「いえ、こちらこそ、驚かせてしまって申し訳ございません。」

「…で、何の用だ?」

「朝食の用意が出来ましたよ。彼女の事は、後で考えましょう。それより今は、お腹を満たしませんか?」

「…そ、そうだな…」

「…菊池さん、貴方本当に大丈夫ですか?昨日からその調子ですけど。」

「わ、悪い…俺は大丈夫だから、心配すんな。」

「…顔が窶れてますよ?貴方、昨日寝ていらっしゃらないのでしょう?一日中彼女の看病なんて…貴方も変わりましたね。」

「まあ、俺達の中で一番コイツと一緒にいたのは、なんだかんだ言って俺だったからな…」

「…心配ですか?」

「うっせぇ。コイツが起きたら、色々聞きたい事があるだけだよ。」

「そうですか。」

 

…なあ、お前、一体どうしちまったんだよ。

お前、このまま一生目が醒めないとか…そんなのナシだぞ。

 

お前まで、俺達を置いて死んでいったりしないよな?

…頼むから、早く目を醒ましてくれよ。

 

…アリス。

 

 

 

 

 


 

【数時間前】

 

 

 

「アリスさんの正体。…それは…『超高校級の失敗作』伏木野アリスです。」

「『超高校級』の…失敗作…だと!?」

「皆さん、『カムクライズル』って聞いた事ありますか?」

「…は?」

俺達は、いきなり床前の口から放たれた言葉に困惑した。

「何だよそれ!聞いたことないぞ!」

「まあ、知ってるわけないですよね。私達は、3年間ずっと離島にいたんですもの。」

「床前、お前さっきから何言ってんだ!わかるように説明しろ!」

「そうですね、ではまず『カムクライズルプロジェクト』とは何かという事をお話しなければなりませんね。『カムクライズルプロジェクト』は、神の如く完璧な才能を持つ高校生『超高校級の希望』を人工的に作り出す計画の事です。タカヒロさんによると、その実験に成功して、『カムクライズル』となった男子高校生がいたようですが…」

「それで、その『カムクライズル』があーちゃんとどう関係してんだよ!?答えろ床前!!」

「私に命令しないでください玉木さん。不愉快です。…まあいいです。教えてあげましょう。『カムクライズルプロジェクト』は、公表はされていないだけで18年前から既に実験は開始されていたのです。」

「なんだと…!?」

「最初は、成功する確率はほぼ0%の、ただのデータ取りのための実験だったそうです。しかも、その実験は苦痛を伴う実験で、被験体はまず生きて実験を終了する事はできないだろうと言われる程過酷なものでした。そんな非人道的な人体実験の被験者に名乗り出る人などまずいなかったので、研究者達は必死で被験者を探していました。そんな彼らの元に、非常に都合のいい話が舞い降りてきたわけです。」

俺達は、床前の次の言葉を待った。

「親のいない双子の赤ん坊が闇オークションにかけられているという情報を手に入れたんです。彼らの父親は行方不明、母親は双子を出産してすぐに死亡が確認されたとか…兄の方は既に買い取り手がいましたが、研究者達は妹の方を買い取りました。研究者達は大喜びしたでしょうね。従順で、死んでも誰も悲しまない()()()を手に入れたわけですから。」

「なっ…」

「…ええ、そうです。それが、当時まだ赤ん坊だったアリスさんです。アリスさんは、産まれてからずっと非人道的な人体実験の被験者として、その小さな身体を弄ばれてきました。そして今から10年前、全ての実験が終了し、奇跡的にアリスさんは生き延びました。そうしてアリスさんは、神の如く完璧な才能を持った『カムクライズル』第一号になったわけです。」

「…。」

「じゃあ、コイツは、完璧な才能を持つ『超高校級の希望』って事か…!?」

「本来なら、そうなるはずでした。しかし、実験には失敗がつきものです。アリスさんは、その超人的な才能と引き換えに、人間としての心を失ってしまいました。『カムクライズル』としての彼女の人格が暴走し、『この地球に人類という生命体は不要である』と判断してしまいました。彼女は、自身が下した判断に従って、次々と人々を虐殺しました。もちろん、それを黙って見ているほど国も愚かではありません。政府は、国家の全勢力を以って彼女を止めようとしました。しかし、彼女は当時最も優れた才能を持つ人類でした。彼女は、自分に歯向かう勢力を返り討ちにし続けました。彼女は、止める事も出来なければ殺す事も出来ない、最凶最悪の生物兵器と化してしまったのです。」

そんな、アリスが全人類を滅ぼそうとしただと…?

そんな話、信じられるかよ…

「しかし、ある者が彼女の生け捕りに成功しました。アリスさんを生け捕りにした人は、新たに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という人格を彼女に植え付け、『カムクライズル』としての彼女の人格を無理矢理封印したわけです。結果、彼女は全ての才能を封じられ、唯一彼女を『カムクライズル』たらしめるものは、実験の影響で年を取ることがなくなった身体だけ…人々は、そんな彼女をこう呼びました。」

 

 

 

「『超高校級の失敗作』と。」

 

 

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーッ」

全員、青ざめた顔をしていた。

エカイラだけは、そっぽを向いていて表情が見えなかった。

「しかし、脅威が消えたわけではありません。彼女はいつ暴れだすかわからない生物兵器…野放しにしておけば、また暴走する危険性がありました。唯一彼女をコントロール出来る人も、死期が近い病人でした。だから彼は、自身の母校である希望ヶ峰学園に監視を依頼しました。学園は当然拒否しました。しかしその方が『このような生物兵器を生み出したのは、学園の責任でもある』と学園を責めたところ、当時の学園の責任者は、希望ヶ峰学園が責任を持ってアリスさんを監視する事を承諾しました。そしてアリスさんを『超高校級の失敗作』としてスカウトし、アリスさんは何も知らないままあなた達のクラスメイトになったというわけです。…これが彼女の正体です。それでもまだ、皆さんは彼女を仲間と呼ぶのですか?」

「おい、床前!!テメェそれ以上口を開いてみろ、女でも容赦しねぇぞ!!」

「あら、玉木さんこわ〜い。私、乱暴な人嫌いです〜。少しは論さんを見習ってくださ〜い。」

「テメェ…!」

「やめてください二人共!アリスさんの様子が変です!!」

「…あ…あぁあアあああァああアア…いやダ、やメて…ワタシ…は…ワタ…シ…ハ…」

アリスは、頭をワシャワシャと掻き毟り、蹲った。

…そして。

 

 

 

「あ゛ぁあ゛ああああああああぁあああああああああああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁあああああああああああああぁあああああああああああああああああああああああぁあああああああああああああああああああああぁあああ!!!」

 

 

 

アリスは、見上げるようにして大声で叫んだ。

顔は真っ青になっていて、とても人間の表情とは思えなかった。

「あ、アリス…!?どうしたんだよ、おい!!」

「あ…」

アリスは突然白目を剥き、その場に倒れた。

「あーちゃん!?おい、あーちゃん!しっかりしろ!!」

「アリスさん!」

玉木とジェイムズがアリスに駆け寄った。

「おい、どうだジェイムズ!?」

「…気を失っています。命に別状は無いようですが。」

「…良かった。」

「しかし、すごい熱です。早く休ませてあげないと…」

「あら、あなた達はまだそこの子供の心配をするんですか?お人好しもいいところです。さ、あんな3バカ放っといて行きましょう論さん。」

床前が俺の肩を触ってきたので、払い退けた。

「…俺に触るな。」

「あら、つれないですねぇ。」

「…なあ、ジェイムズ。玉木。コイツは、俺が看る。」

「菊池…」

「…分かりました。その代わり、無理はしないでくださいね。」

「…ああ。」

「…あの。」

後ろからリタが声をかけてきた。

「どうした?」

「…僕にできる事があったら、協力しますぅ。…僕も、アリスにはお世話になったし…」

「ありがとな。」

俺は、アリスを背中に担いだ。

「よいしょっと…やっぱ軽いなコイツ…」

俺はそっぽを向いているエカイラに声をかけた。

「おい、エカイラ。お前、アリスの兄貴なんだろ。」

「ふわぁ、菊池ぃ。エカイラは、僕達を騙してた敵…」

「…わかってるよ。でもアイツ、妹に会いたいって言ってたし…さっきだって、床前がアリスの才能を言うのを止めようとしてただろ。…うまく言えねえけど、アイツはそんなに悪い奴じゃねえよ。」

「アラ、サトシちゃん。勝手にアタシが善いか悪いかを決めないでくれるかしら?」

「…お前、アリスの事が心配じゃないのか?」

「…アラ。アタシは、別にその子がどうなろうと構わないわよ。だって、妹って言っても、産まれてすぐに引き離されて顔も知らなかったんだもの。それってもう他人じゃナイ?…それに。」

「なんだ。」

「…今更アタシが何かしようったって、もう遅いわよ。」

「…そうかよ。」

俺は、アリスを抱えたままエレベーターに乗った。

 

 

ー診療所ー

 

「…よいしょっと。」

俺は、アリスをベッドに寝かせた。

「そのままだと苦しいよな。ちょっと待ってろ。」

袋に氷水を入れて、アリスの頭に乗せた。

「どうだ?少しは楽になったか?」

やはり、返事は無かった。

「…ったく、そのまま『死んじゃった』とか言ったら許さねえからな。クソガキ。」

 


 

 

 

 

 

そして、俺達は今、朝食を食べるためにレストランに向かっている。

「…ふふっ、それにしても…」

「なんだよ。」

「菊池さんって、子供嫌いじゃありませんでしたっけ?」

「うるせぇ。悪いかよ。」

「いえ、ただ…微笑ましいなって。」

「どういう意味だ。」

「はいはい、早くレストランに行かないと、朝食が冷めてしまいますよ。」

「分かってるっての。」

ジェイムズは、俺を急かした。

 

 

ーレストランー

 

「おはよう、みんな。」

「おはよう、菊池。お前大丈夫か?だいぶやつれてるけど…」

「ああ、うん…大丈夫だよ。」

「いや、大丈夫じゃねえだろ…お前、さては昨日寝てないな?」

「うっ…」

「…はぁ、アリスの事を心配すんのはいいけどよ。少しは自分の体の心配もしろよ。人の事になると自分の事を疎かにすんの、お前の悪い癖だぞ。」

「…気をつけるよ。」

「ふわぁ…そうですよぉ…寝ないのは身体に毒ですぅ。しっかり寝てくださぁい。」

「リタ、お前は寝過ぎだ。寝過ぎも身体に悪いらしいぞ。」

「ふわぁ…そうなんですかぁ…?」

「はは…」

「あら、論さん!大丈夫ですか!?随分とお疲れのようですが…」

床前が俺にくっついてきた途端、玉木とリタが俺から離れた。

「…朝飯できてるぞ。菊池。」

「ふわぁ…」

あぁ…二人ともっと話したかったのに…

「あら?どうしましたか論さん?ご機嫌斜めですね?」

お前のせいだよ。俺の平和な日常を返せ。

コイツ、絶対『超高校級の狂人』の間違いだろ…

「菊池さん、取り敢えず朝食を食べましょう。An army marches on its stomach.(軍隊は胃袋に頼って行進する)えっと…腹が減っては戦は出来ぬ、です!」

「言い直さなくていいよ。」

「分かりました。」

…そうだな。

まずは腹を満たさねえと…

アリスの事は、飯の後で考えよう。

 

「…いただきます。」

「うふふ、おいしいですか論さん?」

床前は、周りの目を気にせず俺にベッタリとくっついてきた。

お前、内通者のくせに馴れ馴れしいんだよ。

「…お前、この前まで毒がどうのこうのとか言ってたけど、アレはもういいのか?」

「ああ、それに関してはもう大丈夫です。このおバカさん達が、毒を盛る度胸すらない小心者の寄せ集めだって事はもう分かってますから。」

「おい、あんまりみんなの事を悪く言うな。飯が不味くなる。」

「それは大変失礼しました。あ、もし私が邪魔なら、今すぐにでも消えますね?この世から。」

床前は、ナイフを自分の喉元に突き立てた。

「…それもやめろ。食欲失せる。」

「はぁい。」

「…。」

俺は、テーブルの隅の席に座っているエカイラに声をかけた。

「なあ、エカイラ…」

「…サトシちゃん、話しかけないで貰えるかしら?」

「おい、菊池。ソイツは、俺達を裏切ってたんだぞ。」

「そうですよ論さん。エカイラさんも裏切り者だったのに、なんでエカイラさんには甘いんですか?」

「お前は黙ってろ床前。」

「私に命令しないでください。」

「おい、菊池。考え直せ。コイツらはもう、俺達の仲間じゃねえんだ。」

「わかってるよ。…わかってるけど、このままじゃ良くないと思うんだよ。コイツ、やっと会いたがってた妹に会えたんだよ。俺は、やっぱりエカイラを敵だとは思えねえよ。」

「…そうかよ。」

「ウフフ、サトシちゃん。お仲間に呆れられちゃったわねえ。アーカワイソ。」

「エカイラ、お前…!」

「カツトシちゃん。確かにアタシは敵よ?でも、だからってどうするっていうの?ナギサちゃん1人にすら、9人がかりで苦戦してたアンタ達が。」

「くっ…」

エカイラの言う通りだ。

今アリスは昏睡状態だし、床前とエカイラは黒幕側の人間だ。

それに床前1人ですら、9人がかりで動きを封じるのがやっとだった。

俺と玉木とジェイムズとリタの4人だけで、この2人をどうにかできるとは思えない。

「そういう事。じゃ、アタシは好きに行動させてもらうから。」

「おい、エカイラ!」

エカイラは、いち早く朝食を済ませると、レストランから出て行った。

 

「…ほらな。アイツはもう、俺達の敵なんだよ。」

「エカイラ…」

「ふわぁ、菊池はまだアイツの事を心配するんですかぁああ?」

「…アイツ、アリスが倒れた時、一瞬心配そうな顔してたんだよ。本当は、妹の事が心配でたまらないんだと思う。…やっぱり、兄妹は仲良くしないとダメだよ。」

「菊池さんはシスコンですもんね。」

「うるせぇ。それは今関係ねえだろ。」

「はいはい。」

俺は、朝食を診療所まで運んだ。

 

 

ー診療所ー

 

アリスは、まだ目を覚ましていないようだった。

「アリス…」

「菊池。」

玉木が診療所に入ってきた。

「…玉木。」

「お前、もう疲れてんだろ?今日は、俺があーちゃんを看るよ。」

「でも…」

「寝てない奴が看病したって、逆効果かもしれねえだろ。今日はもうゆっくり休んでろ。」

「…ああ、そうだな。…なあ、玉木。」

「なんだよ。」

「…なんかありがとな。お前には、なんだかんだ言って一番色々世話になってるからな。」

「バッカ、今更だっての!リーダーがチームメイトを支えるのは当然だろ?」

「…チーム、か。玉木、アリスもチームの一員だよな?」

「当たり前だろ!」

「…そうだよな。じゃあ、俺はちょっと休んでくるよ。あ、飯置いとくから、起きたら食わせてやってくれ。」

「ああ。あーちゃんの事は俺に任せとけ!」

 

 

ー売店ー

 

一休みする前に、売店で買い物でもしようかな。

俺は、売店のガチャを引いた。

中からは、花の簪と楽譜と金のネックレスが出てきた。

「…これは、誰に渡そうかな。」

俺は、出てきた景品を持ってホテルに戻った。

 

 

『超高校級の弓道部』の個室

 

「…へえ、射場山の部屋、こんな風になってたのか。」

『超高校級の弓道部』の個室は、他の部屋とは違って和室になっていた。

部屋の中に小さな弓道場があり、外には枯山水の庭園があった。

本棚には、弓道に関する本が並んでいた。

…おとといまで、アイツはここで生活してたのに。

なんでこんな事になっちまうんだよ。

「…ごめんな。仲間だからなんでも相談しろって言ったくせに…何もしてやれなかった。」

俺は、簪を机の上に置いて合掌した。

…射場山には、どうしても叶えたい夢があったのに。

なんで殺されちまったんだよ…畜生…!

「クソッ!!!」

俺は、壁を思い切り叩いた。

「…なんで…なんでだよ…!」

 

カタン

 

壁を叩いた衝撃で、近くに飾ってあった水墨画が落ちた。

「…?」

水墨画があった壁に、赤い文字が書いてあった。

「水墨画で隠れていたのか…これ、血文字か?」

恐る恐る、血文字を読んだ。

 

 

 

殺し合え

 

全ては絶望のままに

 

 

 

「!!?」

なんだよこれ…

なんでこんなものが射場山の部屋に…?

だが、一番あり得ないのは…それが射場山の筆跡だって事だ。

これを、アイツが書いたのか…?

だとしたらなんで…

 

『超高校級の絶望』

 

…!

まさか、俺達だけじゃない…

17人全員、『超高校級の絶望』だったっていうのか…!?

 

「…!」

考えれば考えるほど、頭がこんがらがってわけがわからなくなる。

俺達がテロリスト集団で…コロシアイ合宿の黒幕が、俺達のクラスメイト…?

タカヒロと名乗る黒尽くめの言う事を信用するわけじゃないが、ここにはそれを裏付ける証拠がある…

一体、何がどうなってんだよ…

俺は、謎を抱えたまま、射場山の部屋を後にした。

「…今日はやっぱりちょっと疲れたな。部屋で一休みするか。」

俺は部屋に戻って眠った。

 

 

 

ー診療所ー

 

【玉木サイド】

 

 

 

あーちゃん、なかなか目を覚さねえな。

せっかく朝飯作ったのに…

いつもなら、大喜びで飯を食うんだけどな。

菊池には、目が覚めたら食わせろって言われたけど、全然目を覚さねえし…

自分で食っちまおうかな。

 

…なあ、あーちゃん。

頼むから、目を覚ましてくれよ。

また、いつもみたいに笑ってくれよ。

せっかく朝飯作ったけど…あーちゃんがいないんじゃ、全然美味くねえんだよ。

「玉木さん。」

「おう、ジェイムズか。どうした?」

「あの…アリスさんの事なのですが…少し、場所を変えましょう。」

「…わかった。…ごめんな、あーちゃん。すぐ戻るからな。」

俺は、診療所を後にし、ジェイムズと一緒に談話室に向かった。

 

 

ー談話室ー

 

ジェイムズは、談話室で飲み物を買った。

「玉木さん、どうぞ。」

「ああ、ありがとう。」

「玉木さん、アリスさんの様子は?」

「ああ、あーちゃん、全然目を覚さねえんだ。」

「…やはりですか。…先日、一応脳波を調べてみたのですが…アリスさんの脳波は、異常値を示していました。私も、あれ程までに不安定な数値を見たのは初めてです。」

「それって…」

「…はい。玉木さんには、少し残酷なお話をする事になりますが…アリスさんの今後の容態がどうなるかは未知数です。先程、モノハム教頭に相談してみたのですが、『コロシアイ以外の死因で死なれるのは困るからベストは尽くすけど、あの状態じゃ自分たちでもどうする事もできない』と仰っていました。…つまり、この場で最も知識を持つお二人…もといお二匹ですら、アリスさんを治す方法が分からないそうなのです。下手をすれば、回復する見込みは無いかと…最悪、病死も視野に入れておかなければ…」

「…そんな。嘘だろ…?あーちゃんが…死ぬ…?」

 

嘘だ、そんなの受け入れられるわけないだろ…!

もう、10人も仲間を失ってんのに…

嫌だよ…そんなの…

もう、俺達から仲間を奪わないでくれよ…!

 

「…菊池さんには、この話はしますか?」

「…いや、話さなくていいよ。俺が直接話す。」

「…そうですか。」

「俺達には、祈る事しかできねえのか…クソッ!」

「…玉木さん。確かに、私は先程治療法が分からないと言いました。…しかし、それで諦める私達ではありませんよね?」

「ジェイムズ…!」

「私は、またアリスさんが元気になってくださるのなら、彼女の為に出来る限り…いや、それ以上の事をします。玉木さん。どうか、アリスさんの治療法を探すのを手伝って頂けないでしょうか?」

ジェイムズが、右手の手袋を外し、握手を求めてきた。

「ああ、もちろん協力するぜ、ジェイムズ!」

「…はい、ありがとうございます!」

「ふわぁ…」

「り、リタ!?」

「さっきから出てくるタイミングをうかがってましたよぉ。みんながアリスを治す方法を探してるなら、僕も協力しますぅ。」

「リタ…ありがとな!じゃあ、今日は俺があーちゃんの面倒看るから、二人は治療法を探してくれ!」

「はい!アンカーソンさん。一緒に図書館に行きましょう。」

「ふわぁい…」

リタとジェイムズは、図書館に向かった。

「おっと、俺はそろそろあーちゃんの所に行かないとな…」

俺は、診療所に戻った。

 

 

ー診療所ー

 

「あーちゃん、今氷枕替えるからな。」

あーちゃんの氷枕を新しいものに替えた。

あーちゃんの顔色は、少し良くなった。

「お、少し楽になったか。良かったなあーちゃん。」

あーちゃんの返事はなかった。

…良いわけないよな。

こんなに熱出して…いつ目覚めるかもわからない状態で…

クソッ、こんな時神城がいてくれたら…

「…なあ、あーちゃん。苦しいよな。でも、絶対にあーちゃんを助けてやるから。それまでの辛抱だ、もうちょっとだけ我慢してくれ。わけのわからない変な病気になんか負けるな!!」

俺は、あーちゃんの手を強く握りしめた。

「玉木ぃ。」

診療所にリタが入ってきた。

「おう、リタ。どうした?」

「ふわぁ…食事の準備ができましたぁ。早くレストランに来てくださぁい。」

「…飯か。」

「ふわぁ、君、あれから6時間くらいずっと昼食も食べずに、アリスの看病してたんですからぁ…夕飯くらいは顔を出してくださぁい。」

「え、嘘!?もうそんなに経ってた!?」

慌てて時計を見ると、もう6時を回っていた。

「うわっ!30分くらいしか経ってないと思ってた!…道理で腹減ってるわけだ。飯食わねえとな!」

「ふわぁい…」

「じゃあ、またなあーちゃん。」

俺達が診療所を出ようとしたその時…

 

 

 

「行かないで…」

「…!?」

「…暗い…暑い…寒い…痛い…怖いよ…独りにしないで…」

目を覚ましていないはずのあーちゃんの声が聞こえた。

「…助けてよ…お兄ちゃん…」

「…ごめんな、あーちゃん。後で絶対戻ってくるから。」

俺は、そのまま診療所を後にし、レストランに向かった。

 

 

ーレストランー

 

「おや、玉木さん。アリスさんの様子は?」

「…全然良くならねえ。お前の方は?」

「全く手掛かり無しです。一応、多重人格者の研究についての文献も読んだのですが、あんな症状が出る事は無いようなので…」

「…そっか。…あ。」

「どうなさいましたか?」

「さっき、全然良くならないって言ってたけど…ひとつだけ変な事があった。」

「変な事?」

「ああ。あーちゃんが、独り言みたいなのを言ってたんだよ。」

「独り言…?目は醒めていないんじゃありませんでしたっけ?」

「それがさ、なんて言うのかな…言ってたっていうか、頭の中に響いたっていうか…」

「…空耳ではないのですか?」

「ふわぁ、僕にも聞こえましたぁ。」

「フーン。世の中不思議な事があるものねぇ。」

「…エカイラ!」

コイツは、あーちゃんの兄貴だ。

ここに来るまでずっとひとりぼっちだったあーちゃんに必要なのは、多分コイツだ。

…だけど。

「うるせぇ。話しかけるな裏切り者。」

「キャー、カツトシちゃんコワーイ!お仲間の兄貴に向かって『うるせぇ』は失礼でしょ?」

「…お前に兄貴の資格なんかねえよ。」

「まあ、そりゃそうよねー。だって、産まれてすぐ闇オークションにかけられて、別々の買い取り手に引き取られたんだもの。あの子もカワイソーよねぇ。私利私欲の為に人の身体を切り刻む変態達に買われて、いつ暴走するかわからない生物兵器に改造されちゃうなんて。アタシ、絶対ああはなりたくないわぁ。」

「うるせェ!!テメェは絶対許さねえからな!」

「お二人とも、やめてください!そんな事より、今は食事をしましょう。エカイラちゃんさんと床前さんの事は、明日考えれば良いではありませんか。」

「…わかったよ。」

「あら。ジェイムズちゃん。アンタ、実年齢は一番お子ちゃまなのにお利口さんねえ。」

「エカイラちゃんさんも、早く席に座ってください。夕食が冷めてしまいます。」

「あら、失礼〜♪」

俺達は、ジェイムズが作った夕飯を食った。

 

 

ー診療所ー

 

食事の後は、すぐに診療所に戻ってあーちゃんの看病をした。

「玉木さん。そろそろ遅い時間です。私が看病をしますから、玉木さんはお部屋で寝てください。」

「でも…」

「このままでは、玉木さんの負担が大きすぎます。皆さんで、交代して看病しませんか。」

「…そうだな。じゃあ、あーちゃんの事頼むぞジェイムズ。」

「了解しました!」

…さて、俺は部屋に戻って寝るかな。

 

 

 

 




えーそれでは、今回の解説を行っていきたいと思います。(ドンドンパフパフ〜)
あーちゃんこと伏木野アリスは、カムクライズルになる()()()()()生徒です。
(本家のカムクライズルが誰かはプレイすればわかる事なので敢えて言いません。)
実は、ちゃんとヒントはあったのです。
・誕生日が同じ1月1日
・他の参加者に比べて圧倒的に情報量が少ない
・凶器が日本刀(フツーの幼女がポン刀振り回して人を斬れるわけがない)
・声優ネタ(名探偵コナンのコナンと光彦)
…いかがでしたか?
ちなみに、菊池クンのICVの神谷さんとあーちゃんのICVの大谷さんはワンピで共演してます。
荒ぶるチョッパーとそれにツッコむローwww
それじゃ、次回もお楽しみに〜。
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