ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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そういえば前回、探索を書くのを忘れていた(オイ!)ので、今回の話で書きます。


第5章(非)日常編②

合宿19日目。

「…。」

部屋のベッドの上で目が覚めた。

そうだった。

俺は、昨日売店で買い物をした後、そのまま寝たんだった。

…腹が減った。

とりあえず、レストランに行くか。

 

 

ーレストランー

 

「おはよう、みんな。」

「おう、おはよう菊池。よく寝てたな。」

「おはようございます菊池さん。」

「ふわぁ…おはようございますぅ…」

「おはようございます論さん!昨日は随分と長くお休みになっていましたね、お身体は大丈夫ですか!?」

「うるせぇよ。裏切り者が。」

「玉木さんには聞いていません。黙っていてください。」

「…なあ、そういやアリスは?」

「アリスさんはまだお目覚めになりません。このままでは栄養失調になってしまうので、点滴を投与しました。」

「…そうか。」

「…本当に不甲斐ないです。素人の医療レベルでは、アリスさんを治して差し上げる事は出来ません。私に出来るのは、最低限の体調管理と、ただ回復を祈る事だけです。…こんな時、神城さんがいてくだされば…」

「やめろジェイムズ。お前はよくやってくれたよ。もういない奴の事を悔いても仕方ない。最低限でもいい。俺達にできる事をやるんだ。」

「…そうですね。私とした事が、つい消極的な思考になってしまいました。私は私にできる事をします。」

「ふわぁ…僕も手伝いますぅ。」

「…。」

エカイラはやっぱり、他のみんなと喋ろうとしないな。

本当は妹の事が心配なはずなんだが…

このままじゃちょっと心配だな。

「なあ、腹減っちまった。朝飯にしようぜ。」

「だな。菊池、お前の分もあるからちゃんと食えよ。」

「ああ。」

俺達は、みんなで朝食を食った。

朝食は、けっこう美味かった。

『やっほー!!おっはよー!』

『おはようごじゃいまちゅ!』

いきなり、モノクマとモノハムが出てきた。

「おはようございます。朝から元気ですね。」

『カークランドクン、ちゃんと挨拶を返してくれるのはキミだけだよ!』

「…どうも。」

「お前ら、一体何の用だよ!?」

『察ちが悪いでちゅね!学級裁判の後でオイラ達がアナタ達にちゅる事といえば、ひとちゅかふたちゅちかないでちょうが!』

「…新しいエリアの開放と、動機の発表ね。」

『その通ーーーーり!!今回は、植物園と博物館、それから教会をオープンしたよ!それから、動機は今日の午前0時に送るのでちゃんと見てください!』

「ふわぁ…相変わらず悪趣味で、逆に安心しましたぁ。」

『ぴきゃきゃ、ちょちらこちょ、相変わらぢゅ毒舌でちゅね!でも、ちょの威勢もいちゅまで続くんでちょうかね!』

…アイツら、本当に余計な事ばっかりしやがって。

何度、コイツらに仲間を弄ばれてきた事か。

「おい、探索はどうする?まずは担当を決めないとな。各箇所に2人ずつでいいか?」

「そうですね。」

「論さん!一緒に探索しましょうね!」

「くっつくな。」

「うふふ、私には冷たいあなたも魅力的です。」

コイツ、見た目はまあまあ可愛いのに中身は本当に気持ち悪いな。

「とりあえず、担当を決めたから見てくれ。」

 

植物園…菊池、エカイラ

博物館…ジェイムズ、リタ

教会…俺、床前

 

「…はぁ?玉木さん、一体どういうつもりですか?私と論さんを引き離すなんて…死にたいんですか?」

「お前は絶対に菊池に何かする。俺が見張るから大人しくしてろ。」

「嫌です。なんで私があなたの言う事を聞かなきゃいけないんですか?どう考えても私があなたの命令に従う理由がないじゃないですか。私に命令していいのは、論さんだけです。」

「コイツ…」

「玉木、いいよ。俺が床前と一緒に探索する。」

「まあ、論さん!私を選んでくださったんですね!?嬉しいです!」

「菊池、お前…!」

「…心配すんな。もう線引きしたりしねえよ。コイツは、俺が見張っておく。お前は、エカイラと探索してくれ。お前ら、ケンカすんなよ。」

「…わかった。エカイラ、お前は俺と行動しろ。」

「アラ。アタシとはもう敵同士なんじゃなかったの?まあ、せっかくのデートのお誘いだし、付き合ってあげるわ。」

「論さん、私を選んでくださってありがとうございます!」

「…お前は俺が見張る。もしまた変な気を起こしたら、今度こそお前を存在ごと無視するからな。」

「それはちょっと困ります。…わかりました。私、論さんの言う事をちゃんと聞きます。」

「じゃ、アタシ達は教会の探索しましょう?」

「ああ、こっちは植物園の探索をするよ。探索が終わったら、レストランに集合して報告会な。」

「ガッテン承知の助〜♡」

俺達は、2人で植物園に向かった。

 

 

ー植物園ー

 

【菊池サイド】

 

植物園は、様々な種類の花が咲いていて、まるで花畑のようだった。

「わあぁ、見てください論さん!色んな花が咲いてますよ!」

「まあ、植物園だしな。」

「まるで天国みたいです!…あ、論さんと一緒…こんなの、本当に天国じゃないですか!」

「縁起でもない事言うな。」

ん?

なんだこれ。

植物園の隅に、何故か箱の中で育てられている植物があった。

咲いていたのは、タンポポに似た植物だった。

だが、花、茎、葉の全てが雪のように真っ白だった。

「…これは?」

俺は、箱に書かれている文字を読んだ。

 

コユキソウ

これは、『超高校級の植物学者』鈴華小雪が品種改良を重ねて完成させた、飲んだだけでたちまちあらゆる病や怪我の苦しみから解放される奇跡の薬草です!

病気や怪我で苦しんでいる人に飲ませてあげよう!

 

胡散臭っ。

なんだこの気持ち悪い文面は。

「ん?どうしたんです論さん?」

「こんな胡散臭い物を見つけたんだが…お前はどう思う?」

「んー…確かに怪しいですね。あらゆる病や怪我に効くって…どう考えても嘘くさいです。」

一番怪しいのはお前だよ、とツッコみたいところだったが、あえてスルーした。

「論さん、これ…どうしますか?」

「ああ、えっと…とりあえず、持って帰ってジェイムズかエカイラあたりに見せるか。」

「私もそれに賛成です。もしこれが本物なら、アリスさんを助けられるかもしれませんしね。」

「…お前、俺以外はどうでもいいんじゃなかったのか?」

「いえいえ、そんな事ないですよ!だって、あのまま死なれでもしたら、コロシアイの駒がひとつ減っちゃうじゃないですか。私が狙っているのは、あくまでも私と論さん以外の方同士の潰し合いです。」

「お前…」

「特に、アリスさんには期待してるんです。だって、彼女のカムクライズルとしての人格が完全に覚醒すれば、勝手に邪魔な虫達を殺してくれるじゃないですか。」

「…お前、本当はどこまで知ってるんだ?ベラベラ俺達の知らない事を喋りやがって…どこまでこのゲームの事を知っている。言え。」

「全部知ってますよ。タカヒロさんから貰ったビデオの映像を見たのでね。ああ、もちろん彼からは話す許可をもらってますよ?」

「じゃあタカヒロが誰かも知ってるんだな?」

「それは知りません。あの人、照れ屋だから私にも正体を教えてくださらないんです。」

なんだよ…肝心な事は知らないんじゃねえか。

まあ、こんなに簡単に情報が手に入るんだったら今まで苦労はしてないわな。

「…全部お前の自作自演っていう可能性は?」

「ないですよそんなの!いくら私でも、クラスメイト全員を島に隔離して虐殺するなんてそんな惨い事できません!私は、ただタカヒロさんの駒として最低限の任務を全うしているだけです!」

惨いって…どの口が言うかよ。

「あっと、言えるのはここまでです。これ以上は、絶対何も喋りませんからね。…っていうか、喋ろうとしたら私、彼に消されちゃいます。…まあ、それ相応のものを払っていただけるんであれば、喋ってもいいんですけど。」

「それ相応のもの?」

「ええ、あなたの体で♡」

「本気で存在ごといなかったものとみなすぞ。」

「ちょっと、論さんってば!ちょっとしたジョークじゃないですか!」

コイツの場合、ジョークとは思えないんだよな。

目がマジだし。

本当に何考えてんだかわかんなくて気味悪いんだよ。

…仕方ない、地道に手掛かりを探すか。

 

 

ー博物館ー

 

【ジェイムズサイド】

 

私達は、皆さんと解散した後博物館に向かいました。

アンカーソンさんと二人っきりで博物館に行くなんて、久しぶりですね。

「ふわぁ、ジェイムズ…君、浮かれすぎですぅ。真面目に探索してくださぁい…」

「すみません、アンカーソンさんと二人でお出かけするのが久しぶりだったもので…」

「そうですかぁ…ところで、そのバスケットは一体なんですかぁ。」

「ああ、軽めのおやつです。探索やアリスさんの治療法を調べるのに頭を使って、すぐに小腹が空くのではないかと思いまして…あ、食べますか?」

「ふわぁ…ピクニックじゃないんだから…準備してこなくていいですよぉ…」

「…そうですか。」

「見てわかるくらい落ち込むの、やめてくださいよぉ…こっちが悪いみたいじゃないですかぁ。」

「あ、すみません…あ、見てくださいアンカーソンさん!サイクロプスの化石ですって!」

「ふわぁ、サイクロプスって、確かギリシャ神話に出てくる一つ目の巨人ですよねぇ?なんで神話の生物の化石がこんなところにあるんですかぁ。絶対偽物に決まってますぅ。」

「あ、言われてみれば、完全にプラスチックの光沢ですね。燥いで損しました。」

「っていうか、最初から怪しかったですぅ。観察するまでもないですぅ…」

最初は本物かもしれないと思ってとても興奮したんですけどね。

神話生物が存在したのかを知るチャンスだと思ったのですが…残念です。

「ふわぁ…あれ、なんでしょうかねぇ…」

「あれ?」

アンカーソンさんが指を差した方向を見ると、そこには宝箱がありました。

特殊な素材で出来ており、人一人が入れる位の大きさはあります。

「なんなんでしょうかこれ…」

「え?宝箱以外の何かなのですか?」

「そういう事を言ってるんじゃないですぅ。誰も、見てわかる事を質問したりしませんよぉ。中に何が入ってるのかって事を聞いてるんですよぉ…」

「そういう事でしたか。申し訳ございません。…あ、開きませんね。」

「鍵がかかってるんでしょうかねえ。しかも、この大きさ…中にそんなに重要な物が入ってるんでしょうかぁ?金銀財宝か、はたまた偉人の遺骨か…」

「ちょっと待ってください。ミミックという可能性もありますよ!」

「ふわぁ…なんでミミックなんですかぁ。君、日本のゲームのやりすぎですぅ。…って、何やってるんですかぁ。」

「ピッキングです。」

「だから、なんでそんな事をしてるのかって聞いてるんですぅ。中に変な物でも入ってたらどうするんですかぁ。」

「もしミミックだったとしても、マホトラを唱えれば大丈夫です!」

「いい加減ゲーム脳から脱出してくださいよぉお…」

「あ、開きました。」

「ふわぁ、開くんですかぁ。」

「では、開けますね。」

宝箱を開けると、中に丸まった古い紙が入っていました。

…と思いましたが、これはわざと紙を変色させているんですね。

「あれ、なんでしょうかこれ…地図、ですかねぇ…」

「ミミックではありませんでしたね。」

ちょっと期待してたんですが…

「ふわぁ、ミミックなわけないじゃないですかぁ…ん?」

「どうしましたかアンカーソンさん?」

「これ、この島の地図じゃないですかぁ?」

「あ、言われてみれば、地形が酷似していますね。ここにcross mark(バツ印)が書かれていますよ。」

私は、しおりの地図と照らし合わせて確認してみました。

「…教会の位置ですね。教会に何かあるんでしょうか?」

「さぁ…あれ?」

「ん?どうしましたか?」

「ふわぁ…これ、楽譜ですよね?」

「え?」

アンカーソンさんに言われて地図の裏を見ると、うっすら楽譜が書かれていました。

書かれていたのが一部だけだったので、何の曲かは全く分かりませんでしたが…

分かる事と言えば、C minor(ハ短調)の曲だって事でしょうか…

あと、端に何か書いていますね。

 

Hör nicht zu

 

 

…聞いてはいけない?どういう事なんでしょうか?

「なんなんでしょうかね、これ…」

「ふわぁ…わからないですぅ…あとでみんなに見せた方がいいんじゃないですかぁあ?」

「そうですね。そうするのが一番いいでしょうね。あ、その前におやつを食べておきましょう。」

「ふわぁ…」

私達は、2人でおやつを食べて一通り探索した後、レストランに向かいました。

 

 

ー教会ー

 

【玉木サイド】

 

俺とエカイラは、みんなと解散した後教会に向かった。

教会は、このリゾート地の中で唯一木造建築で、建てられたのも比較的最近のようだった。

「へぇー、教会って中はこんな感じになってるのねー。アタシ、初めて見たわー。」

「…。」

「ねえ、カツトシちゃん!せっかくのデートなんだし、何かお話しましょうよお!」

「うるせぇ。何がデートだ。真面目に探索しろ。」

「アラ、つれないわねぇ。きっとツンデレなのね!」

コイツ、自分が何をやったのか忘れたのか?

今まで、みんなをあんな惨い方法で殺した奴に加担してたんだぞ…?

そんな奴の事を許すなんて、よっぽどの聖人じゃなきゃ無理だろ。

「ねーえー、カーツートーシーちゃん!そんなしかめっ面してないで、いつもみたいに元気に笑いなさいよ!反応悪い男はモテないわよ!」

「だったらモテなくて結構だ。そんな事より、二度と俺達に関わるな。」

「うっわー。辛辣ー。アタシ泣いちゃうわよ?」

「勝手に泣け。」

「カツトシちゃんひっどーい!!ふーんだ、もういいですよーだ!カツトシちゃんとは、もうデートしないから!代わりに、サトシちゃんやあーちゃんとデートしよーっと!」

「テメェ、もし菊池とあーちゃんに何かしたら許さねェからな。」

「…カツトシちゃんこっわぁ。アタシにそんな口利いていいの?お友達の兄貴を睨むなんて、失礼なんじゃなくって?」

「お前は、生まれた時からずっとあーちゃんと離れ離れだからもう赤の他人も同然なんだろ?だったら今更兄貴面してんじゃねえよ。お前なんか、兄貴失格だよ。」

「やーね、フラれちゃったわぁ。さーてと、そろそろ真面目に探索しないとねー。」

どの口が言うか。

お前が探索をサボって俺に絡んで来たんだろ。

「ふーんふーんっと。アラ?何か落ちてるわね。何かしら?」

エカイラが床を這って長椅子の下を探した。

全長が2mあるオカマが地面を這いながら探索をしている様は、正直言ってホラーだった。

「んーっと、やっぱり身体が大きいとこういう時不便ねー。あ、取れたわ。」

エカイラは、拾い上げた物を見せてきた。

「…なんだこれ。十字架か?」

「そうみたいねえ。…アラ?これ、ただの十字架じゃないわね。」

エカイラは、十字架を調べ始めた。

「むっ、けっこう固いわね…ふんっ!!」

エカイラが十字架を調べると、十字架の金属のカバーが外れてライターのような形状になった。

「アラ、かわいらしいライターだこと。見たところオイルライターかしら。」

「なんでこんな所にライターが…」

「さーね。誰かがここで一服してたのかもねー。アラ?でも、アタシ達全員未成年よね?って事は、未成年喫煙?しかも、教会で?うっわぁ、誰だか知らないけどイケナイ子ね。」

今まで散々人を殺してきたお前が言っていいセリフじゃない。

「勝手な憶測で物を言うな。別にこれを落とした奴が俺達のクラスメイトとは限らないし、タバコを吸うために持ち込んだとも限らないだろ。現に、タバコは見つかってないしな。」

「あー、確かに。アタシ、早とちりしちゃってたのかも!」

ったく、なんなんだコイツ。

俺のチームメイトにも問題児は何人かいたけど、さすがにここまでひどい奴は見た事ないぞ。

コイツといると本当に疲れるな。

…ん?

「アラ?どうしたのカツトシちゃん?」

「…気のせいかもしれねぇけど…なんか、この床板、色が不自然じゃねえか?」

「アラそーお?別にアタシは気にならなかったけど…気のせいじゃないの?」

「…だといいんだがな。」

「さーてと、探索も終わった事だし、そろそろレストランに報告に行きましょー?」

俺達は、レストランに向かった。

 

 

ーレストランー

 

【菊池サイド】

 

全員がレストランに集まっていた。

「おう、菊池。探索は終わったのか?」

「まあな。」

「よし、じゃあ全員揃ったし、報告会をするか。」

「ああ。」

全員が席についた。

「どうする?まずは誰から報告する?」

「そうだな…じゃあ菊池。報告してくれるか?」

「わかった。植物園には、色んな花が咲いてたよ。その中でも、気になる花があったな。」

「気になる花?」

「ああ。この花なんだが…コユキソウっていって、怪我や病気に効くらしい。」

「まるでギンリョウソウのように真っ白ですね。見た所腐生植物ではないというのが不思議です。白化個体(アルビノ)でしょうか?」

「ジェイムズはこの花知らねえのか?」

「存じ上げません。コユキソウ、ですか。後で調べておきます。」

「頼むぞ。」

「ガッテン承知の助、です!」

ジェイムズはド天然でどこか抜けてはいるが、知識と調査研究の技量は一番優秀だからな。コイツに任せておこう。

「なあ、菊池。床前に何かされなかったか?」

「あらやだ。玉木さん、人をストーカーか強姦魔みたいに言うのやめてもらえません?」

お前はストーカーや強姦魔なんかよりよっぽどタチが悪いから、その事を自覚しろ。

「…別に、特に何もされてねえよ。」

「そっか。特に何もされてねえか。ならよかったよ。じゃあジェイムズ、リタ。お前らの方はどうだったのか、話してくれるか?」

「わかりました。私達の方はですね、サイクロプスの化石を見つけました!」

「サイクロプスの?」

「ふわぁ、ジェイムズ。報告すべきなのはそこじゃないですぅ。」

「あっ…失礼しました。ええとですね、私達は、博物館で宝箱を見つけたんですけど…そこに、地図が入っていました。」

「地図?」

「はい。これを見てください。」

ジェイムズは、茶色く変色した古い地図を見せた。

「因みにこれ、わざと紙を変色させて古く見せているだけなので、実際は割と新しい地図です。」

なんだよそれ。

誰だか知らんが、地味にセコい事しやがって。

「ふわぁ…でも、重要なのはそこじゃないですぅ。地図の地形をよく見てくださぁい。」

「地形?…あ。」

この地図に書かれてる島、この島だよな。

このバツ印は…位置的に言えば、ちょうど教会のあたりか…

教会に何かあるって事か?

「なあ、この地図は一体なんなんだ?」

「私にも分かりません。…ヒントになるかは分かりませんが、地図の裏を見てください。」

裏?

…強いて言うならちょっと汚れてるような気がするけど…

特に何も書かれてない気が…

「ここをよく見てください。」

ジェイムズが指を差したあたりを見ると、うっすらと楽譜が1小節分だけ書かれていた。

「…なんだこれ。楽譜か?」

「そのようです。情報量が少なすぎて、何の曲なのかまでは特定出来ませんでしたが…」

「…なるほどな。…ん?」

端の方に何か書かれている。

見たところドイツ語っぽいけど…

「なあ、お前らこれなんて書いてあるのか読めるか?」

「…聴いてはいけない。そう書かれています。」

聴いてはいけない、だと…?

もしかして、この楽譜の曲をって事か?

何がなんだかさっぱりだな。

「なあ、玉木。お前らの方の探索はどうだった?」

「ああ、今から報告するよ。えっとな…教会は木造建築で、割と開放感のある建物だったよ。」

「教会ですか…あ、そこで論さんと私の結婚式を開くんですね!素晴らしいです!」

何言ってんだコイツ。

「床前、ちょっとうるさいから静かにしてくれ。」

「はぁい。」

「それで?何か収穫はあったのか?」

「収穫って言える程の物じゃないが…これを見てくれ。」

「なんだそれ。十字架か?」

「十字架の形をしたライターらしい。これが教会に落ちてた。」

「十字架のライター…ねえ。」

「俺達からの報告は以上だ。」

「あの、報告会も済んだ事ですし、そろそろ昼食にしませんか?」

「そうだな。じゃあ、今回は俺が作るよ。」

「はい、お願いします玉木さん!」

俺達は、玉木が作った昼飯を食った。

なんか、ジェイムズと玉木にだけ作らせちまって申し訳ないな…

俺も、おにぎりくらいは作れるように料理を練習しとくか。

「ごちそうさまでした。」

食事の後は自由時間になった。

…アリスが心配だし、様子を見に行こう。

 

 

ー診療所ー

 

やっぱり、アリスはまだ目を覚ましていなかった。

「…まあ、そうだよな。急に目が覚めたりなんて…あるわけないよな。」

せめて、コユキソウとかいう花がなんなのかがわかればな…

あの花は、今ジェイムズに調べて貰ってるし…

「アリス、大丈夫か?」

まあ、話しかけても返事が返ってくるわけないんだけどな。

コイツがどんなに苦しんでいようと、俺は何もする事ができない。

俺にできるのは、ただ回復を祈る事だけだ。

「論さん!」

「…床前か。どうした?」

「どうしたって…論さんが心配で来たんですよ!論さん、アリスさんの事になると、寝る間も惜しんで看病しようとするじゃないですか!私、論さんが過労で倒れたりなんて…想像しただけでもう耐えられません!」

「別に、俺は大丈夫だよ。そんな事より、診療所では静かにしてくれないか。」

「あ、すみません…私、論さんの事が心配でつい…」

「…なあ、床前。お前、黒幕と通じてんだろ?だったら、治療法の手がかりもわかるんじゃないのか?」

「えーと、すみません!私文系なので、そういう難しい事はちょっとよくわからないです!」

コイツ、すっとぼけやがって…

「本当に何も知らないんですよ?彼女の、カムクライズル化が進んでるって事なんて…」

は!!?

「おい、今カムクライズル化って言ったよな!?どういう事だ、説明しろ!!」

「あ、すみません。これ、言わない方がいい事でした。やっぱり今のナシで…カム…カム…かむ●むレモンおいしいですよね、って言いたかったんです。」

「なんだその滅茶苦茶な誤魔化し方は!!まかり通るかそんなモン!!」

「ですよねー。うーん…タカヒロさんから話しちゃダメって言われてるわけじゃないですし…論さんにだけ特別にお教えします。」

床前は、近くにあったパイプ椅子に腰掛けて話し始めた。

「よいしょっ…ええと、では話しますね。一昨日、カムクライズルプロジェクトについて話しましたよね?」

「ああ、アリスが受けたっていう…」

「そうです。アリスさんは、カムクライズル化の手術を受けた最初の被験体だった事はご存知ですよね?そして、ある者が彼女の暴走を止め、別人格を植え付けて無理矢理カムクライズルを封印したと…」

「それがどうしたんだ。」

「実験というのは、失敗がつきものです。彼女の育ての親は、カムクライズルの暴走を止めるために別人格を植え付けるという強引な策を講じたわけですが、結果的にそれは成功したとは言えなかったんです。」

「…と、言うと?」

「彼が講じた策は、あくまで暴走を()()()()だけ…暴走そのものを完全に封印できたわけじゃないんですよ。」

「えっ…」

「今の彼女は、カムクライズル化の準備段階にあるんです。心配せずとも永久に目覚めないという事はありませんが…次に彼女が目覚めた時は、どうなるかは覚悟しておいた方がいいと思いますよ?」

「…アリス。絶対に帰って来いよ。カムクライズルなんかに負けんなよ。」

「…まあ、彼女をこのまま放っておくか、今のうちに殺すかは好きにしてください。私は、あなたの意思を尊重します。…ただ、暴走したアリスさんがあなたを殺そうとすれば、私は問答無用で彼女を殺します。たとえ、それであなたかタカヒロさんに殺される事になったとしてもね。それだけは肝に銘じておいてください。」

「…。」

「では、私はやる事があるのでこれにて失礼します。くれぐれも、体を壊さないようにしてくださいね。」

床前は、診療所から出て行った。

それから数時間が経ち、玉木が来た。

「菊池。あーちゃんの看病、俺が代わるよ。」

「おう、玉木。悪いな。じゃあ、任せるわ。」

「ああ。お前はゆっくり休んでこい。」

俺は診療所を後にし、ホテルに戻った。

 

 

『超高校級の演奏家』の個室

 

小川の部屋は、以前とほとんど変わらない状態だった。

だが、アイツがいないと幾分か広く感じる。

…そうか。もう、小川はいないのか。

アイツには、亡くなった親友の夢を果たすっていう、どうしても叶えたい夢があったのに。

アイツにはきっと、輝かしい未来が待っていたはずなのに。

だがそれらは、嫉妬に狂った神城に一瞬にして奪われてしまった。

アイツの事だから、加害者の神城の事も、何もしてやれなかった俺達の事も、誰も恨んでいないんだろうけど…

それじゃあ、俺の気が収まらねえよ。

「…ごめんな。何もしてやれなくて。俺、お前の分までなんとしてでも生きるから。…図々しいかもしれないけど、最後まで俺達の事を見守ってくれ。」

俺は、楽譜を机の上に置いた。

「…あ。」

今更気がついた。

机の上に置いたのは、きらきら星の楽譜だった。

…この前、コンサートホールで一緒にピアノを演奏した曲だ。

…ここから出たら、腕を上げて、アイツに聴いてもらおうと思ってたのに。

なんでこうなっちまうんだよ…クソッ!

俺が机を叩くと、机に立てかけてあった写真立てが倒れた。

「あ…」

俺は写真立てを見てみた。

そこには、無邪気に笑う小川の顔が写っていた。

俺は写真を写真立てから取り出して見てみた。

「…小川、本当にごめんな…」

もっと、コイツの笑顔が見たかった。

でも、どんなに後悔してももう遅い。

アイツとの思い出は、胸の奥にしまっておく事にした。

「…ん?」

あれ?

この写真…2枚に重なってるな。

「…なんだ?」

俺は、2枚目の写真を見てみた。

 

「…うっ!!?」

あまりの強烈さに、思わず吐き気を催した。

その写真は、俺達のクラスの集合写真だった。

でも、ただの写真じゃない…

その写真は、ところどころ赤黒く染まっていた。

今まで、コロシアイを嫌というほど体験してきた俺ならわかる。

…これは、人の血だ。

この写真に写っている人達は、俺達がコロシアイ合宿に参加する前に殺されたのか…

一体誰が、何のためにこんな悪趣味な事をしてるんだ…

 

『超高校級の絶望』…

俺達がそうだったっていうなら、もしかして俺達が、この人達を殺した真犯人だって事か…?

まだ、わからない事だらけだな…

 

俺は、2枚目の写真だけを内ポケットにしまい、1枚目の写真は写真立てに戻した。

「じゃあな、小川。安らかに眠れよ。」

俺は、小川の部屋を後にした。

 

小川の部屋を出てしばらくホテルを彷徨いていると、床前と会った。

「あら、論さん!探しましたよ!」

「…またお前か。…で?何の用だ?」

「お食事の用意ができましたよ。カークランドさんに呼んでくるように言われたので、呼びに来ました。」

「…お前、俺以外の命令は聞かないんじゃなかったのかよ。」

「本当はそのつもりだったんですけど、論さんを飢え死にさせるわけにはいかないじゃないですか。だから不本意ながら彼の命令に従って、論さんを呼びにきたんです。」

「そうかよ。」

「では、急ぎましょう論さん。お食事が冷めてしまいます。」

俺は、床前に急かされるままレストランに向かった。

 

 

ーレストランー

 

「おや、菊池さんに床前さん!お食事はもう作り終えていますよ。」

「ジェイムズ…ありがとな。」

「いえ、こういうのは、玉木さんと私の仕事ですから!紳士たる者、万に通じていなければなりませんので!」

ジェイムズは、自信満々に言った。

「じゃあ全員揃ったし、飯食うか。」

「ふわぁ、そうですねぇ…」

俺達は、ジェイムズが作った飯を食った。

…チクショウ。俺も料理の腕を磨かねえと…

 

食事の後は、部屋に戻った。

「そういえば、動機が配られるのは午前0時だったよな…」

俺は、部屋で適当に時間を潰しながら時が来るのを待った。

そして…

 

 

 

ヴーーーーーーーーーッ

 

俺のしおりに、新しいアプリが増えていた。

「…これが、第5の動機…?」

俺は、恐る恐るアプリを開いた。

 

 

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