ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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第5章 非日常編①(捜査編)

『オマエラ、死体が発見されました!!教会にお集まりください!!』

 

モノクマのアナウンスが鳴り響く。

勝利と床前が死んだ。

俺達が気づかないうちに、わけもわからないまま殺された。

勝利とは、絶対に生き残ってここを出ようって約束したのに。

外で待ってる彼女や、今まで犠牲になった人達のためにも、俺に力を貸してくれるって言ってくれたのに。

なんでだよ…なんでお前がこんな事に…!

「…お二人とも…」

「…。」

「カツにい、ナギねえ…」

「あーあ、案外呆気なかったわねえ。」

ジェイムズは、床前の首から目を逸らしていた。

リタは、その場で蹲って泣いていた。

アリスは、抜け殻のようになって床前の首を呆然と見ていた。

エカイラは、頭の後ろで手を組みながら他のみんなを見ていた。

…本当に、この中の誰かが2人を…

「う゛ッ…!?おぇえ゛ッ…ゲホッ…」

鼻を突き刺すような悪臭と、眼球に貼りつくような生々しい緋色に、思わず吐き気を催した。

「菊池さん…大丈夫ですか?」

「…ゲホッ…す、すまねェ…」

やっぱり、12人も経験していても、これだけは全然慣れないな。

これまで一緒に過ごしてきた仲間が、残虐な方法で殺された…慣れるわけがない。

『うぷぷぷ!きったね!菊池クン、だいぶ参ってるようだね?でも、汚いし捜査に支障をきたすから、現場で吐くのはやめてね!』

「あ、貴方方は…!」

『やっほー!モノクマ&モノハム参上!またまた殺人が起こっちゃったみたいだね!』

『ぴきゃきゃ!全く、アナタ達には退屈ちゃちぇられまちぇんね!』

二匹のぬいぐるみが、俺達を嘲笑うかのように飛び出してきた。

「お前ら…!」

『菊池クン、何怒ってんの?ボク達は何もしてないクマ!やったのは、オマエラの中の誰かなんだよ!』

そんな事、わかってる。

でも、勝利が死ぬ原因を作ったのはお前らだ。

コイツらは、絶対許さねェ。

「貴方方は、また私達に犯人探しをしろと言うのですね!?」

『そ!…と言いたいところなんだけどさ。』

モノクマは、急に不愉快そうな顔をした。

そういえば、さっきも機嫌が悪かったような気が…

コイツら、一体何が不満なんだ?

「何よ。なんでそんなに怒ってんのよ。」

『うっさいよ!今、ボクはすこぶる機嫌が悪いの!』

「貴方の機嫌などどうでもいいですが…どうしたのですか?」

『監視カメラに、犯行時の様子が映らなかったのでちゅ!オイラ達にも、誰がどうやって殺ちたのかわからないんでちゅ!』

はぁ!?何だよそれ!

黒幕ですら犯行当時の状況を知らないって…そんなのアリかよ!?

「なにそれ!そんなの、裁判にならないじゃん!どうやって裁判しろっていうんだよ!」

『話を最後まで聞きな!…とにかく、ボクはオマエラに最大限の情報を与えてやるから、それを頼りにクロを見つけてよ。こっちも、クロが誰か考えて、一番可能性が高いと判断した奴をクロとするからさ!』

「そんな事言って、不正とかする気ではありませんよね?私達が仮に正しいクロを当てても、おしおきしたりとか…」

『ちょんな面倒な事ちゅるわけないじゃないでちゅか!ファイルを送るので、文句ばっかり言ってないで調査をちてくだちゃい!』

『あ、そうだ。アンカーソンサンには、特別にこれをあげるよ。』

「…?」

『モノクマ印の発声補助器だよ!言いたい事を、声にして出してくれるスグレモノだよ。裁判の時、それ使って参加すれば。』

「…。」

リタは、発声補助器をつけた。

『…あ。』

機械的ではあったが、リタの声にそっくりな声が流れた。

『うんうん、どうやら正常に作動ちたようでちゅね!じゃ、オイラ達はやる事があるので、この辺で。ちょれでは、裁判でお会いちまちょう皆様!』

黒幕ですら、クロを把握できていない殺人…

モノクマ達もを欺いたクロを、俺達が見つけ出せるとは思えない。

でも、やるしかない。

今更後戻りなんてできない。

俺達が、クロを見つけてやるんだ。

…みんなで生き残るため、そして勝利の仇を討つために。

 

 

 

 

ー《捜査開始》ー

 

…とりあえず、まずはモノクマファイルを確認しよう。

 

 

モノクマファイル①

1人目の被害者は『超高校級の幸運』床前渚。

死体発見現場は、北エリアにある教会。

死亡推定時刻は15:24頃。

死因は、斬首による失血死。

死体にその他の傷はほとんどない。また、死体の顔は笑みを浮かべている。

 

コトダマゲット!【モノクマファイル①】

 

モノクマファイル②

2人目の被害者は不明。

死体発見現場は、北エリアにある教会。

死亡推定時刻は15:50〜16:00頃。

死因は、全身が焼けた事による火傷及び失血死。

死体は完全に炭化しており、両足が爪先から脛にかけての十数cmほど欠けている。

 

コトダマゲット!【モノクマファイル②】

 

…ん?

被害者が不明?

どういう事だ?

勝利が焼け死んだんじゃないのか?

…まあ、それは捜査を進めていけばわかる事だろう。

 

…次は死体を確認しないとな。

「検視は誰がやる?」

「では、床前さんの方は私が…エカイラちゃんさんは、玉木さんの方をお願いします。」

「ウフフ、いいわよ。しっかり調べてあげるわよ、カツトシちゃん!」

「見張り役は、人数が少ないからつけられないな。…2人を信じるしかないか。リタ、アリス。お前らは気になったところを探してくれ。」

「わかった。」

『はい。僕は、教会の外に何かないか調べてみます。』

さてと、俺も捜査をしないとな。

 

 

ー教会内部ー

 

まずは気になるところを調べてみるか。

…ん?

これは…なんだ?

教会の床に、炎の熱で少し融けた十字架が落ちていた。

十字架…?

何か、接ぎ目のようなものがあるが…融けてくっついてるせいで開かないな。

そういえば、勝利とエカイラが十字架を見つけたっつってたけど…これの事か?

 

コトダマゲット!【少し融けた十字架】

 

…ん?

なんだこの不快な匂いは…

まるで、車の排気ガスみたいな…ガソリンを燃やしたみたいな匂いだな。

教会が燃えた原因はこれか…?

…あ。

教会の中を探すと、焦げた一斗缶が乱雑に置かれていた。

書いてある字を読むと、工業ガソリンと書かれていた。

これが原因か…

でも、なんでこんなところにガソリンが…

 

コトダマゲット!【ガソリン】

 

…あとは。

「おい、モノクマ。」

『ほえ?なあに、菊池クン。』

「お前、さっき監視カメラが映らなかったって言ってたよな?どういう事なんだ?」

『ああ、あれね!実はね、教会が燃えた時の炎と煙のせいで、何が起こったのかがちゃんと映らなかったんだよ!』

「なんだと…?」

『全く、黒幕と犯人だけが真犯人を知ってるっていうゲーム感覚が至高なのに!ボクにも犯人がわからないように殺しやがって!ホント、勘弁してほしいよね!』

お前の趣味なんて知った事か。

だが、今のはかなり重要な情報だったな。

 

コトダマゲット!【監視カメラの映像】

 

自分で調べられるのはこのくらいかな。

あとは、エカイラ達に検視の結果を聞いてみよう。

 

「エカイラ、そっちは検視終わったか?」

「ええ、バッチリよ。サトシちゃん。」

「じゃあ、検視の結果を教えてくれるか?」

「いいわよ。カツトシちゃんは、やっぱり焼死ね。死体が完全に炭化してたわ。…それにしても、不思議ねぇ。フツー、こんな短時間でこんな完璧に炭化するかしら。」

「…そうか。」

「あと、なんでかは知らないけど、両足が無いのよ。この死体。」

「モノクマファイルにも書いてあったが…なんで足が無いんだろうな?」

「さあ?アタシもわかんないわ。その足がどうなったのかもね。」

「…。」

「ホント、不思議な事だらけよねェ。この死体。」

「なあ、この死体、本当に勝利の死体なのかな?」

「それに関しては間違いないわ。ホラ、見て。この死体の服の切れ端なんだけど、これはカツトシちゃんのユニフォームよね?」

エカイラが見せた布は、確かに勝利のユニフォームだった。

「これでわかったでしょ?この死体は、カツトシちゃんよ。」

…そう、なのか。

 

コトダマゲット!【炭化した死体】

 

コトダマゲット!【両足がない死体】

 

コトダマゲット!【エカイラの証言】

 

「…それと、はい。」

「ん?なんだこれ。」

俺は、エカイラに日本刀を渡された。

「この死体が握ってたのよ。」

これはアリスの日本刀だな。

勝利が預かってたんだっけ。

「なあ、ちょっと調べてもいいか?」

「ええ、お好きにどうぞ。」

俺は、エカイラに手渡された日本刀をよく調べてみた。

刀には、少しではあるが血がこびりついていた。

「これでナギサちゃんの首を斬ったのかしらね。」

…本当にそうか?

これで首を刎ねたとしたら、違和感があるんだよな。

明らかに、刃に付着している血が少ない気が…

それに、付着してる血の乾き方も、ほんの数十分前に付着した感じじゃないんだよな。

だったら、使われた凶器はこれとは別って事か?

 

コトダマゲット!【日本刀】

 

「なるほどな…そうだ、お前の事件当時のアリバイを聞かなきゃな。お前、事件当時はどこで何してた?」

「アラ。漢女にそんな事聞くなんて、失礼な男ね。…と言いたいところだけど、教えてあげるわ。教会の奥で、脱出の手掛かりがないか探してたのよ。いくら黒幕サイドとはいえ、こんなところにいつまでも閉じ込められてたら息が詰まりそうだったからね。そしたら、いきなり教会が燃え始めて…カツトシちゃんが焼身自殺でも図ったのかしらねえ。」

「お前は、現場に居合わせたって事か?」

「そうね。あ、でも、ナギサちゃんが殺された時はいなかったわよ?その後で教会に来たんだけど…カツトシちゃんは、隠れてたからなのかいたのに気付かなかったわね。アラ。そうなると、誰がナギサちゃんを殺したのかしら?」

なんだ、コイツの違和感がありすぎる説明は…

不自然な点が多すぎるな。

だが、今ここで問い詰めても、答えは出ないだろう。

第一、時間の無駄だ。

捜査時間は有限だ。一秒も無駄にできない。

一旦、コイツの発言はスルーしておくか。

裁判で言及すればいいことだ。

「…ありがとうエカイラ。参考になったよ。」

「どういたしまして。じゃ、アタシはそろそろ他の場所の捜査をするわねェ。」

「…おい。」

「アラ、まだ何かご用?」

「…お前、なんか声が変じゃねえか?」

「…え?」

「なんか、かすれてるっていうか…いつものお前の声じゃねえな。」

「ああ、これ?教会の炎の煙を吸ったから、喉がイカれちゃったのよ。ゲホッ、ホント喉が痛くてつらいわぁ。」

「そうなのか?」

「そうよ。」

「…なぁ。」

「ホントしつこいわね。まだ何か?」

「お前、本当に治療受けなくていいのか?やっぱり、ちゃんと治した方が…」

「必要ないって言ってんでしょ。何度も言わせないで。アタシなら、自分で治療したから大丈夫よ。火傷のせいで手が爛れちゃってるから、ちょっとおぼつかない感じになっちゃったけどね。とにかく、アタシの心配ならいらないから。自分の捜査に専念なさい。」

「…あ、ああ…証言してくれてありがとう。」

 

コトダマゲット!【エカイラの容態】

 

コトダマゲット!【エカイラの声】

 

コトダマゲット!【治療を拒否するエカイラ】

 

「…?」

「…何よ。」

「いや、なんでもない。」

「なら、早くどっか行ってちょうだい。捜査の邪魔よ。」

「あ、悪い…」

なんだ…?

この違和感は。

エカイラは、少なくとも検死ができるくらいの医療知識は持ってるはずなのに…

アイツの手当ての仕方は、どう見ても素人がやったようにしか見えないんだよな。

焼け爛れてまだ血が滲んでる皮膚に、包帯を巻き付けただけだったし…

手先がおぼつかなかったからとは思えないんだよな。

…気のせい、では片付けられないよな。

裁判で必要になったら言わなきゃいけなくなるかもしれないな。

 

コトダマゲット!【エカイラの手当て】

 

俺は、エカイラが去った後で、炭化した死体をよく調べてみた。

すると、死体の足の断面が変な形をしている事に気がついた。

切断されたというよりは、粉砕されたような断面だった。

まるで、炭を砕いたような…

無くなった足の周りにも、煤みたいなものがたくさん散らばってるし…

炭化した後で、足の部分が砕けたって事か?

それも、人為的なものだろうな。

こんな事をする奴がいるとすれば、犯人か…

なんで犯人は、勝利の足を砕いたんだ…?

 

コトダマゲット!【砕けた両足】

 

この死体から得られる情報はこのくらいか…

あとは…床前の死体を検視しているジェイムズに話を聞いてみよう。

「ジェイムズ、そっちは順調か?」

「はい、少々時間はかかってしまいましたが…」

「無理すんな。お前だって、まだ本調子じゃねえんだろ。」

「いえ、私は、皆さんのお役に立ちたいので!紳士たる者、この程度で音を上げる訳にはいきません!」

「…そうか。できる範囲でいいから、検視の結果を教えてくれるか?」

「はい、やはり、刃物のような物で首を切断されていますね。断面が非常に綺麗な事から、犯人は相当の手練れだと思われます。」

「そうなのか?」

「はい。フィクションでは、首が刎ねられるシーンはよくあるんですけど、実際には人の首はそう簡単に斬り落とせないんですよ。一回で刎ねようとするなら、頸椎の継ぎ目を狙って斬らなければなりません。それ程の高等技術を用いて首を刎ねるは、斬首専門の死刑執行人でもない限り無理です。…実際、斬首刑の際、執行人の技量が足りない為に一度で罪人の首を落とせず、首が落ちるまで何度も刃を下ろしたという事もあったそうですし。」

うわっ…結構残酷だな。

斬首は一番苦しくない処刑法だって聞いたんだが…

「…よくそんな事知ってるな。」

「文献で読んだことがあるので。」

…マジかよ。コイツ、色んな事知りすぎだろ。

 

コトダマゲット!【ジェイムズの証言】

 

「それとさ、ちょっと気になる事があるんだが。」

「…はい、なんでしょうか?」

「その…床前の顔なんだけどさ…なんで笑ってんだろうな?」

「あぁ…確かに。笑っているように見えますね。」

「首斬られて死んだってのにな。気味悪いな。」

「そうですね…」

「原因はわからないのか?」

「ええと…参考になるかは分かりませんが、少し気になる事がありました。」

「気になる事?」

「はい。微量ですが、床前さんの首から薬物のような物が検出されました。成分を調べたところ、麻薬の類である事が判明しました。」

麻薬…なんでそんなモンが床前の死体から出てきたんだ…?

「なあ、ジェイムズ。」

「はい、なんでしょうか?」

「まだ捜査は終わってないんだよな?俺は俺で確かめたい事があるから、捜査を続けていてくれないか?」

「分かりました。」

俺は、一旦ジェイムズと別れ、植物園に向かった。

 

コトダマゲット!【笑顔の死体】

 

コトダマゲット!【麻薬】

 

俺も、手掛かりを探さないとな…

 

 

ー植物園ー

 

麻薬…もし、俺の推測が正しければ…

俺は、コユキソウがあった場所を探してみた。

…やっぱり。

そこには、あったはずのコユキソウがなくなっていた。

…でも、断定はできないな。

あとでジェイムズに聞いてみよう。

 

コトダマゲット!【消えたコユキソウ】

 

ここで調べられる事はもう無いし、そろそろ教会に戻るか…

俺が教会に戻ると、外にリタがいた。

『…菊池。』

「リタか。調べたいって言ってたところはもう調べられたのか?」

『はい、調べ終わりました。』

「…そうか。お前は何を調べてきたんだ?」

『えっと…一応、博物館を調べてきました。』

「で?何がわかった?」

『えっとですね…教会に宝箱があったので、もしやと思って探してきたんですけど…やっぱり博物館の宝箱がなくなってました。』

「やっぱりか…」

 

コトダマゲット!【消えた宝箱】

 

『それと、消えたのは宝箱だけじゃなかったんです。』

「…なんだと?」

『菊池、博物館の特設コーナーには行きましたか?』

「えっと…確か、拷問器具が置いてある所だよな。」

『はい。一応、そこも調べたんですけど…そこに置いてあった斧がなくなっていました。』

「…なくなった斧、ねえ。」

 

コトダマゲット!【消えた斧】

 

「ありがとう、リタ。」

『はい。』

「なあ、リタ。」

『なんですか?』

「リタは、犯行時刻、何をしてたんだ?」

『えっと…僕はですね、ジェイムズと一緒に島中を散歩してたんですけど…北エリアの空模様が変だなって思って、一緒に行ってみたんです。そしたら、教会が燃えてて…』

「なるほどな…ありがとな、教えてくれて。」

『…。』

「そろそろ、教会に戻ろうぜ。俺も、ジェイムズに聞きたい事があるし…」

『そうですか。では、行きましょう。』

 

 

ー教会ー

 

「おや、菊池さんにリタさん。戻られたのですね。」

「まあな…なあ、ところでジェイムズ。」

「はい、なんでしょうか?」

「コユキソウの効力について、詳しく聞いてなかったな。コユキソウがどんな花なのか、教えてくれるか?」

「はい、わかりました。…ええとですね、私が調べた限りでは、簡単に言ってしまうと麻薬の一種です。具体的には、運動機能や痛覚を始めとする感覚機能が著しくしく低下し、幻視や幻聴、無痛覚などの症状が現れます。また、コユキソウの成分を摂取すると、この上ない多幸感を覚えます。私が調べた限りだと、モルヒネの約10倍の効力があります。」

うっわぁ…要は、麻薬の強力版って事だろ?

なんか怖い花だな。

じゃあ、過去に希望ヶ峰学園に麻薬作った奴がいたって事かよ。

知りたくなかったぞそんな情報。

 

コトダマゲット!【コユキソウの効力】

 

「でも、何故そのような事を?」

「実は、植物園に行ったらコユキソウがなくなってたんだよ。だから、もしかしたらって思ってな…」

「成程…」

「なあ、ところでジェイムズ。」

「はい。」

「床前の首が入ってた箱は調べたのか?」

「はい、一応…」

「教えてくれるか?」

「はい。ええとですね…この宝箱には、防火加工と断熱加工が施されていました。5000℃の熱にも耐え、おそらく近くでニトログリセリン爆発を起こしても、中身に影響を及ぼさないほど強力だと思われます。」

「に、ニトログリセリン爆発…」

ずいぶんとおっかない事言うな、コイツ…

でもまあ、それほど熱に対する耐久性は高いって事がわかったな。

 

コトダマゲット!【防火加工の宝箱】

 

「…なるほどな、よくわかったよ。ありがとうジェイムズ。」

「お礼には及びません。私は、当然の事をしたまでです!」

コイツのこういう所はホント尊敬するよ…

「なあ、ジェイムズ。」

「はい、なんでしょうか?」

「さっき、地図が宝箱から舞ってったけど…」

「ああ、あれですか。回収しておきましたよ。風で飛ばされてしまっていたので、回収が困難でしたが。」

「ありがとう。じゃあ、ちょっとそれ見せてくれるか?」

「はい、どうぞ。あ、血が染みて見にくくなっているかもしれません。」

俺は、ジェイムズから渡された地図を見てみた。

紙が黒ずんでてよく見えねえけど……これは、この島の地図だな。

バツ印が書いてあるけど…これは、位置的にはこの教会か…

 

コトダマゲット!【地図】

 

…あと、確か裏に楽譜が書いてあったっけ。

ちょっと見てみるか。

…あれ?

この楽譜…俺がアリスの部屋で聴いた気持ち悪い曲の楽譜じゃねえか?

「菊池さん、どうかなさいましたか?」

「あ、いや…この楽譜の曲、聴いた事あるなって思ってよ…」

「…!?」

ジェイムズは、口をあんぐりと開けて、恐ろしい物でも見るような目で見ていた。

「…なんだよ。」

「菊池さん、本当にこの曲を聴いた事あるんですか!?」

「あ、ああ…なあ、お前、何か知ってんのか?」

「その曲、絶対に聴いてはいけないと言われている曲なんです!」

「…へ?」

「『暗い日曜日』という曲なんですがね、『自殺の聖歌』とも呼ばれていて、その曲を聴いた人は死ぬと言われているんです。あまりにも自殺者が多いものですから、私の国では放送禁止になっているんですよ!」

「そ、そんな曲だったのか…」

 

コトダマゲット!【楽譜】

 

「あれ?でも、この地図って…お前が見つけたって言ってたやつだよな?」

「はい、そうですが…」

「この地図、最初は裏に楽譜なんて書いてなかったんじゃなかったっけか?」

「ああ、それなら…多分、文字があぶり出されたんじゃないですかね?多分、地図の裏に予め透明な液体で楽譜が書かれていて、それを熱した事で楽譜が浮かび上がったのかと。」

「…なるほど。」

 

コトダマゲット!【あぶり出し】

 

「ところでジェイムズ、お前、犯行時刻は一体何してた?」

「ええと、リタさんと一緒に散歩をしていましたね。そうしたら、教会が燃えているのが見えて…私は周りに人がいないかを確認し、リタさんには別の場所を探すようにお願いしたんです。」

「…そうか。教えてくれてありがとな。」

ジェイムズから聞ける情報はこのくらいか…

あとは、アリスに話を聞いてみるか。

 

「なあ、アリス。お前は何か見つけたか?」

「これ。」

アリスは、教会の床板を外した。

「ここ、下に降りられるようになってるんだよ。」

…マジかよ。

こんな所に隠し部屋があったなんてな。

木造の簡易的な教会なのに、こんな細工がしてあったとは…

水族館の隠し通路と言い、プレイルームと言い…忍者でも住んでんのかよ、この島は。

 

コトダマゲット!【隠し部屋】

 

「そういえば、この隠し部屋は無事なんだな。」

「なんか、クマちゃんが言ってたんだけど、地下室には放火加工がされてるらしいの。」

じゃあなんでそれを地上の建物にもやらねえんだよ。

アリスと一緒に下に降りると、地下空間が広がっていた。

「…う゛っ!!?」

地下に降りてすぐ、俺は吐き気を催した。

地下には、頸から上が無い床前の死体が転がっていた。

乾ききってはいるが、頭があったはずのところは、血溜まりができていた。

「床前…」

みんなを脅したり唆したりしたような屑でも、こんな事になっちまうと見るに忍びないな。

俺は、ハンカチを床前の頸に被せた。

「…なあ床前。俺は、やっぱりお前の事は許せねェよ。許す気なんて無えし、これからもずっと許せねェと思う。だけど、それはお前を殺した奴も同じだ。人を殺しておいて平然としている犯人を、俺は許さない。お前を殺した犯人は、俺が必ず見つけてやる。」

 

コトダマゲット!【床前の死体】

 

あと気になるのは、床前の近くに転がっている斧だな。

博物館で見た斧と同じ形状だな。

…刃の部分に血がべったり付いてるな。

これが床前の首を刎ねた凶器と見ていいだろう。

 

コトダマゲット!【血塗れの斧】

 

「なあ、アリス。そっちは何か見つけたか?」

「うん。これ見て。」

「…?」

俺は、アリスが指差した先を見てみた。

アリスは、山積みになった木箱の中を見ていた。

その木箱の中にはガソリンの一斗缶が入っていた。

「…あれ?これ、さっき見たよな…?って事は、ここからガソリンを持ってきたって事か?」

 

コトダマゲット!【地下室の木箱】

 

…さてと。この部屋で調べられる事はこれくらいかな。

そろそろ上に戻るか…

 

カラカラ…

 

何かが転がる音が聞こえた。

「…なんだ?」

振り返ってみると、そこにはマニキュアの瓶が落ちていた。

どす黒くて、グロテスクな色合いのマニキュアだ。

「…あれ?」

俺は、そのマニキュアに見覚えがあった。

確か、ガチャでゲットして、エカイラにプレゼントしたマニキュアだ。

「あれ?何そのマニキュア。」

「…これ、俺がガチャでゲットしたやつなんだよ。…あ、これ、みんなには内緒な?」

「なんで?」

「…誤解されると恥ずかしいから。」

「…ああ、なるほどね。わかったよ。みんなには言わないよ。私は大人だからね。」

「ありがとう。」

 

コトダマゲット!【エカイラのプレゼント】

 

…あとは、全員分のアリバイをまとめておこう。

 

コトダマゲット!【全員分のアリバイ】

 

『オマエラ、時間切れです!ついにこの時がやってきました!お待ちかねの学級裁判、始めるよ〜!5分以内に、ホテル一階の赤い扉まで集合してね〜!』

…時間切れか。

まだ疑問点も多いが…大体調べはした。

あとは、裁判でやれるだけやるしかない。

「…皆さん、行きましょう。」

「ええ。」

「そうだね。」

『…はい。』

俺達は、赤い扉の前に向かった。

 

 

ー赤い扉前ー

 

全員が扉の前に集まった。

扉が開き、エレベーターの籠が現れる。

何度も経験しているはずなのに、冷や汗が止まらない。

心拍が、爆発しそうな程大音量で鳴り響く。

緊張と不安で押し潰されそうになる。

当然だ。

もし間違えば、死ぬのは俺達なのだから。

この5人の中に、クロがいる。

自分が死ぬか、誰かを見殺しにして生き残るか…

俺達の運命は、どちらか一方だ。

それでも、俺達はやるしかないんだ。

俺は、こんな所では死ねない。

絶対にクロを見つけて生き延びて、俺を待っている人達に会わなきゃいけないんだ。

…最低なのはわかっている。

それでも、前に進むしかない。

だって、それしか道は残されていないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

『ここで、皆様にクイヂュのお時間でちゅ。この中で、床前様達を殺害ちた犯人は誰だと思いまちゅか?』

 

 

 

『超高校級の弁護士』菊池論

 

『超高校級の???』アリス

 

『超高校級のサッカー選手』玉木勝利

 

『超高校級の大学教授』ジェイムズ・D=カークランド

 

『超高校級の外務大臣』リタ・アンカーソン

 

『超高校級の幸運』床前渚

 

『超高校級の死神』伏木野エカイラ

 

 

 

『…ちょうでちゅか。…ではでは、答え合わちぇは、またの機会に。』

 

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