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章タイトル元ネタ『ラストリゾート』です。(そのまんまやないかい!)
エピローグ
あれから、十数年の月日が流れた。
今では人類史上最大最悪の絶望的事件は未来機関の活躍によって収束に向かっており、世界に日常が戻りつつある。
十数年前、79期生達が、希望ヶ峰学園の合宿用の離島でコロシアイをした。
そのコロシアイの生き残りから語られたのは、今まで自分達が信じていた物は全部嘘で、参加者全員が『超高校級の絶望』で、そして全員がコロシアイの黒幕だったという衝撃的な事実だった。
そのコロシアイにより、コロシアイ合宿の参加者195名、そしてコロシアイの首謀者であった菊池論と嫌嶋隆尋が死亡した。
コロシアイから無事生還したのは、たった3名のみであった。
その3名は、離島から無事脱出した後、元『超高校級の絶望』であったとして未来機関に連行され、処分を受けた。
その3名は現在、未来機関の保護観察のもとで日々を過ごしているという。
今日は、そのコロシアイの生き残り達に、話を聞いてみたいと思う。
「ふんふ〜んっと。よし、完璧っと。ねえ、見ろよ今日のオレ!イカしてね?」
「フン、全くお主という奴は…今日は、相浦殿…いや、江ノ島哀華と同じ元『超高校級の絶望』の先輩方に取材に行くだけであろうが。大袈裟な奴じゃのう。」
「だってさぁー、今から取材に行く先輩、かわいいらしいじゃん?いやあ、オレの期待値も上がるというもんで…」
「なぬっ!?お主、余という伴侶がいながら、そこらの女に目移りするというのか!?この浮気者ーッ!!」
「じょ、冗談だろうが!怒るなよ!…っと、そろそろ時間だ。行くぞ。ぐへへ…」
「…余はお主を許さぬぞ。」
「…ここか。」
「フン、元『超高校級の絶望』のくせにいい家に住みおって。いいご身分じゃのう。」
「まあまあ、細けえ事はいいじゃねえかよ!へへへ、どんな可愛い先輩が出てくるのか、楽しみだな〜。」
ガチャ
「お待たせしました。今日は、私共の取材に来て頂き、ありがとうございます。」
「はぁっ、あっ、お、男!!?」
「…何をそんなに慌てふためいておる。見苦しいぞ。」
「だ、だって…かわいい先輩って聞いてたから…」
「お主、まず挨拶をせんか。
「いえ、大丈夫ですよ。私、日本語は分かりますし、お話出来ますから。こんにちは、佐伯さん。私はジェイムズ・アンカーソンと申します。こちらこそ、お会い出来て光栄です。今日はよろしくお願いします。」
「ああ、はい。こちらこそよろしく。…ところで、リタさんは今どこに?」
「おい。」
「すみません、本当は妻とお出迎えしたかったのですが…何しろ、彼女の眠り癖が酷くてね…おい、リタ。記者の佐伯さん達が来てくださったぞ。」
「……………。」
「わっ!かわいっ!でも既婚者かよチクショーーーー!!」
「いや、それはお主もじゃろうが。というか、お主は何を驚いておるのじゃ。今回取材に行くのは、元『超高校級の絶望』のアンカーソン夫妻だと前々から言っておろうが。」
「だ、だって…」
「ふん、お主の人の話を聞かぬクセが相変わらずだったようで安心したわい。そら、取材に行くぞ。」
「お、おう…」
「アンカーソンさん、取材にお応えいただき、ありがとうございます。」
「いえ…私達が過去に犯した罪について、告白しておかなければならないと3人で決めた事ですので。覚悟はできています。遠慮せず、聞きたい事があれば聞いてください。」
「………………。」
「えっと…」
「すみません、妻は当時の事件のショックで口が利けなくなってしまって…私が代弁しますね。」
「それは構わないんですがね、ええ。オレ…ああ、じゃなかった…僕達も、前からその事については伺っておりますし。答えられる範囲でいいんで、教えていただけますかね?」
「ええ。…それではお話しします。私達が過去に犯した罪を。」
「ありがとうございます。まず、あなた方は元『超高校級の絶望』という事でしたが…事件のきっかけなどをお教えいただいても?」
「はい。…希望ヶ峰学園に入学してすぐの事でした。私達は、『超高校級の絶望』江ノ島盾子によって絶望に堕とされ、『超高校級の絶望』となりました。私達は、絶望を世界に伝染させるため、学園を抜け出して離島に身を潜め、そこで絶望を伝染させるための計画を練っていました。そして、江ノ島盾子が主催したコロシアイゲームを自分達で企画して離島内で行う事にしました。しかし、自らの衝動を抑えきれなかった私達は手当たり次第にコロシアイを始めてしまい、最初は200人あまりいた生徒が気がつくと17人になっていました。」
「なるほど…」
「そして、その残った17人でコロシアイを計画したという訳です。そして、最後に黒幕役の嫌嶋さんが私達の記憶を消し、すでにコロシアイの中で死んでいる猫西さんに変装して紛れ込み、私達と一緒に合宿をしていました。…最初は彼を本物の猫西さんだと思っていましたし、黒幕はただ一人で、その目的はお姉さんの復讐…そうとばかり思っていました。それならまだ納得出来たかも知れません。ですが、それもこれも全て嘘だった。…まるで、今までの全てが映画のワンシーンだったかのように、彼…いえ、私達は、全てを種明かししました。私達全員が、脚本家で、役者で、そして観客だった。これが、私達が体験した事件の全てです。」
「…全員が脚本家で役者で観客…ねぇ。嫌嶋隆尋って、確か『超高校級の俳優』でしたよね?彼らしいと言えば彼らしいのですが…」
「彼が黒幕役に名乗り出たのは、彼の残りの寿命が僅かだったからです。コロシアイのシナリオも、大筋は彼が考えたものでした。まあ、コロシアイの首謀者は別の方で、嫌嶋さんも彼の指示通り動いていただけだったんですがね。」
「…それって。」
「…はい。『超高校級の弁護士』菊池論さんです。彼は、あの場にいた誰よりも狂っていた。人の命をなんとも思わず、ただただ『絶望』を求め、絶望を振り撒く…江ノ島盾子を彷彿とさせるような男でしたよ。コロシアイを企画し、嫌嶋さんに脚本を書かせ、全てを忘れた自分はコロシアイに参加していました。これは後で思い出した事なのですが、彼が黒幕役にならずに参加者役になったのは、自分が絶望的に死ぬ事で、より深く絶望を味わい、そしてその絶望を伝染させる為だったそうです。」
「…なるほど。アンカーソンさん。あなたは、菊池論の事をどうお考えですか?」
「…そうですね。私が言うのは如何なものかと思いますが、敢えて言わせて頂くなら、彼は許されない事をした大罪人だと思います。彼は記憶を失った後、誰よりも仲間想いで、勇敢に黒幕に立ち向かおうとしました。しかし、幾ら記憶が消え、どんなに善良な人間になったとしても、犯した罪は決して拭えません。彼自身も、それはわかっていたと思います。」
「では、彼を憎んでいると?」
「…いえ。私達も彼と同じです。私達には、彼を憎む資格はありません。それに、彼には大いに感謝しているのです。」
「感謝?」
「はい。先程も申し上げましたが彼は記憶を失っている間、誰よりも仲間を想っていました。たとえそれが偽りの姿だったとしても、私達が彼に元気付けられたのは事実です。もし彼がいなかったら、私達はやり直す事はおろか、生き残る事すら出来なかった。今の私達があるのは、全て彼のお陰です。ですからこれからは、彼の想いを無駄にしない為にも、少しずつ犯した罪を償いながら、3人で寄り添って生きていくつもりです。」
「それは立派なご決心ですね。『絶望』が短期間で完治したという方はごくわずかだというのに…」
「…まあ、全てが元通りという訳にはいきませんがね。私は片腕を、妻は声を、そしてアリスさんは才能を失いました。そして何より、苦楽を共にした仲間を200人も失ってしまいました。失った物は決して元には戻りません。ですが、それを償う事なら出来ます。私達は、どんなに時間がかかっても、失った物を償っていきます。」
「でも、おつらいでしょう?」
「まあ、そうなんですがね。ですから、こう考えるようにしているんです。私が腕を失ったのは、私が今まで犯してきた罪への罰…そして、これからの私達に神が与えてくださった試練だとね。…まあ、そう考えているのは私だけかも知れませんが。」
「なるほど…ありがとうございました。」
「おとーさんただいまー!!」
「ただいま。」
「おかえり。キャロル、ノエル。お前達、帰ってたのか。」
「うん!あのね、聞いて聞いて!僕、今日のテストね、満点だったんだ!」
「私は2番。お兄ちゃんに負けた。」
「そうか。偉いな、2人共。」
「お子さんですか?」
「ええ。政府の監視下にある特殊教育施設に通わせています。今、施設から帰ってきた所です。さ、今記者の方とお話しているから、お前達は部屋で待っていなさい。」
「はーい。」
「…すみません、お待たせしてしまって。」
「いえ…あの、少々聞きづらい事を伺っても?」
「はい、なんでしょうか。」
「その…キャロルくんとノエルちゃん、でしたっけ。あの子達には、事件の事は話したんですか?」
「いいえ。話していません。政府や機関から、あの子達には決して自分の正体を教えないようにと釘を刺されていますので。絶望の再来を事前に防ぐ為の措置だとか。…まだ幼い子供に真実を伝えるのは残酷過ぎますしね。」
「では、あの子達はあなた方の正体を知らないと?」
「はい。ですが、いずれは話そうと思っています。あの日の悲劇、そして私達の罪は、いずれ暴かれなければなりません。」
「彼らが、自分が元『超高校級の絶望』の子供だと知ったらどうなるか…それを踏まえた上でのご決断ですか?」
「…はい。2人で話し合って決めました。あの子達にたとえ何を言われようと、覚悟は出来ています。どの道、私達が言わずともあの子達は私達の正体を知る事になるでしょうし。…あっ。この事は、誰にも喋らないでくださいね。」
「言いませんよ。私達も、子供の未来を奪うような事はしたくありません。」
「…なら良かったです。私達は確かに罪を犯しました。しかし、あの子達に罪はありません。私達のせいであの子達が不幸になるような事は、絶対にあってはなりません。」
「二人の事は、愛していらっしゃるんですか?」
「ええ、もちろん。私達は、あの子達が幸せに生きられるなら、もう何も要りません。」
「なるほど。今日はお忙しい中インタビューに答えてくださり、ありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ、貴方方とお話出来て光栄です。機会がございましたら、またお話しませんか。」
「ありがとうございます。」
「…なんか、いい奴らじゃったのう。あやつらが元『超高校級の絶望』だなんて、とてもじゃないが信じられんわ。」
「だな。リタ先輩も、かわいかったしな!一言も話してくれなかったけど…」
「お主もしつこいのう。」
「しっかし、まさかあんなイケメンと結婚してたとは…チキショー!そうじゃなかったら、アプローチしてたのに!」
「あ゛ぁ!?」
「…すいません。」
「フン、くだらないおしゃべりはその辺にして、次行くぞ。次は…伏木野アリスの所じゃ。」
「アリス先輩もかわいいんだよなぁー!もう30代なのに、どう見ても女子高生にしか見えないって評判で…」
「…お主、絶対いい死に方せんぞ。」
「…伏木野法律事務所。ここか。ぐへへ…」
「全く…なんで余はこんな奴についていきたいと思ったのか…一生の不覚じゃ。む。来たぞ。」
「お待ちしておりました佐伯さん。今日はよろしくお願いします。」
「わぁーお!!かっわいー!!へへっ、オレ、記者の佐伯虎太郎という者なんですけど、良かったら今度お茶でも…」
「お誘いありがとうございます。では、その時は家族と一緒に行っても?」
「はっ…指輪…チクショー!!どいつもこいつもなんでだよぉおおお!!」
「そりゃそうじゃろ。みんな30代なんじゃから…全く、お主は余で満足しておけばええんじゃ。…すみません、ウチのバカがご迷惑をおかけして。こちらこそ、今日はよろしくお願いします。」
「はい。では、まずはどうぞ、お掛けになってください。」
「ありがとうございます。」
「本日は取材にお応えいただき、誠にありがとうございます。では、さっそくいくつかお伺いしたい事があるのですが…」
「ええ、どうぞ。遠慮なく聞いてください。何を聞かれても、真実をお答えする覚悟はできています。」
「はい、ええと…では、伏木野さん。あなたは、事件の被害者で黒幕だったという事ですが…」
「はい。記憶を取り戻した時は、信じられませんでしたが…あれは、間違いなく嘘偽りのない私の記憶でした。私は、あの時クラスメイトと一緒に島へ行き、コロシアイの計画を進めていたんです。その後、ヒロに…いえ、嫌嶋隆尋に記憶を奪われ、コロシアイに参加しました。」
「伏木野さん。あなたは、『超高校級の失敗作』として合宿に参加したそうですが…」
「…そうですね。あの時は、力が暴走してクラスメイトに迷惑をかけましたね。ですがもう過去の話です。私は才能を失い、今はもう以前のような力を発揮する事はできません。カムクライズル化手術の後遺症も、ほとんど残っていませんしね。私はもう、『超高校級の失敗作』でも、『超高校級の絶望』でもありません。ただの一人の人間です。」
「…そうですか。ところで、お兄さんもコロシアイに参加していたそうですが…お亡くなりになったんですよね?」
「はい。伏木野エカイラは…兄は、コロシアイを終わらせるため…私を生かすために自ら死を選びました。最初は兄だという事すら気づきませんでしたが、今思えばずっと私を見守ってくれていたんだと思えてきて…」
「…そうですか。ところで伏木野さん。菊池論の事はどうお考えですか?」
「そうですね…サトに…菊池論は、あのクラスの中で一番狂っていたと思います。彼は首謀者として、コロシアイを企画し絶望を伝染させようとしていました。ですが、彼に助けられた事も事実です。彼は、記憶を取り戻した後も、私達を生かすために行動を起こし、結果として自ら犠牲となる事を選びました。あの時、彼が命を懸けてくれなければ、私達はここにはいなかった。菊池論と兄…彼らには、感謝してもしきれません。ですから、もし伝えられるのなら伝えたいです。ありがとうと。」
「なるほど。あの…もしかして、この事務所って…」
「はい。私の事務所です。まだ規模は小さいですがね。あの島から出た後私は、私達を助けてくれた菊池論の意志を継ぐため、弁護士になる事に決めました。…まあ、元絶望がそう簡単に資格なんて取れるわけないし、彼と違って才能はからっきしなので、ここまで来るのにすごく苦労したんですけどね。重要な書類は失くすわ、発言中に噛みまくるわ、失敗続きで…ははは…」
「…そうだったんですね。」
「あの日、3人で決めました。どんなに険しい道だったとしても、彼らの死を無駄にしないためにも、犯した罪を少しずつ償いながら生きていこうと。」
「そうですか。色々と話していただいて、ありがとうございます。」
「いえいえ。こちらこそ、久々に当時の話ができて良かったです。ありがとうございました。」
「いっやぁー、アリス先輩めっちゃかわいかったなー。ついでに住所とケータイの番号まで聞いちゃったよ。」
「全く、お主という奴は…またコロシアイを乗り越えたメンバーで話をしようという約束をしただけではないか。お主に気など無いわ。」
「えー。そうかなぁ。」
「…全く、いい加減人妻までナンパするのをやめんか。ダブル不倫で社会的に死にたいのか。」
「そ、それは嫌だけどよ…」
プルルルルルルル…
「あ、待て。夏川ちゃんからだ。うん、あ、うん。わかった。はーい。」
「なんと?」
「今度の日曜、みんなで作ったコロシアイの犠牲者達の墓の前で会おうって。」
「ほう…急に電話など掛けてきて何を言い出すかと思えば…宇田川殿やパリンチェ殿にはもう連絡してあるのか?」
「すでに呼んでるって。あと、アンカーソンさん達とアリス先輩も呼ぶってさ。」
「ふん、あやつめ…ここ数年ずっと連絡が無いと思ったら、急に呼び出しおって。」
「ははは、全くだな。」
【日曜日】
「…時間だ。そろそろ行くぞ、破奈。」
「あ、うん。ちょっと待って譲治。ちょっと持って行きたい物があるんだ。」
「それ…お前の兄貴に、か?」
「うん。これはお兄ちゃんに、ね…」
「…そうか。行くぞ。」
「うん。」
ー公星駅前ー
「…あ。」
「んあっ。」
「お久しぶりですね、パリンチェ君。」
「…フン、貴様か。久しぶりだな。宇田川譲治。…全く、夏川の奴…ここ最近音沙汰が無いと思ったら、いきなり連絡をよこしてきて、挙句の果てに今すぐ日本に来いだと?どれだけ人を振り回せば気が済むんだ。」
「同感です。彼女の自由っぷりには、本当に苦労させられます。」
「ははは…」
「おい、宇田川。コイツは誰だ。」
「ああ、妻の破奈です。例の菊池論の妹さんです。」
「よろしくお願いします、えっと…パリンチェさん?」
「フン、まあいい。コイツも来るのか?」
「ええ。一応、惨事の犠牲者の妹さんですから…」
「フンッ。…行くぞ。」
ー犠牲者の墓前ー
「あっ!来たな、お前ら!…っと、パリンチェちゃん、しばらく見ない間にまぁー随分とべっぴんになって!」
「寄るな。気色悪い。」
「ガーン…あ、なあなあ!そっちのかわい子ちゃんは!?」
「…僕の妻です。気安く触らないでください。」
「えっと…よろしくお願いします。」
「あー、また既婚者かよー!でも、ホントはちょっとオレに惚れちゃったりしてるんでしょ!?ねえねえ!」
「あの…。」
「…ホント、コイツは何年経っても変わりませんね。」
「同感だな。」
「じゃろ?」
「おい千葉崎。なんでこんなバカと結婚したんだ。」
「まあ、一時の気の迷いというか、妥協というか…」
「!!?」
「冗談じゃ。」
「よ、良かった…。」
「…あ。」
「すみません、お待たせしてしまって…」
「………………。」
「皆さん、お待たせしました。」
「全然待ってねェよ!お前ら、今日は取材で会ってるわけじゃないんだし、肩の力抜けって!」
「はい…」
「コイツらは誰だ?」
「ああ、離島での惨事の生き残りの人達だよ。オレらの一個上の先輩だ。」
「ああ、『超高校級の絶望』を捕獲したっていうニュースで話題になってた…」
「はじめまして、皆さん。」
「………。」
「なあ、ところで夏川は?」
「ああ、連絡したんですけど…全然繋がらないんですよね。」
「チッ、全く、アイツは…人を呼び出すだけ呼び出しておいて、自分は来ないとかどういう神経しているんだ。」
「まあまあ、気長に待ちましょう。多分その内来ますよ。」
スッ
「…お兄ちゃん。みんなが来たよ。」
「破奈さん、それ…」
「…ひまわりの花です。兄が好きだったので…」
「そうですか…」
「サトにい!私、サトにいがいなくなった後もけっこー頑張ってるんだぞ!褒めろ!」
「………………。」
「菊池さん。貴方のお陰で、私達は今幸せです。ありがとうございました。ゆっくり眠ってください。」
「ごめん!!みんなお待たせ!!」
「な、夏川ちゃん…!」
「遅いぞお主!!今まで何をやっておったのじゃ!!」
「貴様、人をはるばる東欧から日本に呼び出しておいて、言い出しっぺの自分は遅刻など…いい度胸だな。今まで何してたのか言え。」
「ごめん!命狙われてた!」
「は?」
「ほら、あたし一応『超高校級の希望』じゃん?だから結構残党に恨みとか買ってるらしくって…」
「全く、あの後張り切って警官になるって言ったかと思えば、すぐに消息不明とは…お主も忙しいのう。」
「えへへ…さっきも、いきなり銃で撃たれて…まあ、当たりはしなかったんだけど…なんでちゃんと戸籍消したのに狙われてんのかなぁ…」
「なんか、すごいワードがポンポン出てきてるんですけど…」
「というわけで、あたしはもう死んだ事になってるんで、そこんとこよろしく。」
「明るい方ですね…」
「時にお主、娘はどうした?お主が行ってやらねば、一人で可哀想じゃろ。」
「んー…やめとく。あたし、あの子の人生を壊したくないから。あたしのせいであの子が狙われるような事は、あっちゃダメだからね。事件が完全に収束するまでは、会わない事にしたんだ。」
「…まあ、勝手にせい。」
「あの…貴方が、例の夏川さんですか?」
「はい。えっと…離島での惨事を乗り越えた先輩方、ですよね?はじめまして。話は聞いてます。」
「こちらこそ、貴女の評判は耳に入っております。ここにいる皆さんで『超高校級の絶望』江ノ島哀華を打ち破ったと…まさか、私達の後輩もコロシアイに巻き込まれていたなんて…」
「まあでも、あの惨事を乗り越えたからこそ、今のあたし達があるわけで…」
「それで、四六時中命を狙われる今の貴様があると?」
「うっ…」
「あはは…」
「あの、先輩方。今日はお集まりいただいて、ありがとうございました。」
「いえ…こちらこそ、お誘いいただいてありがとうございます。丁度、クラスメイトのお墓参りに訪れたいと思っておりましたので…ここで、菊池さんにお礼が言えて良かったです。」
「…そうですか。」
「よっしゃ!みんな、お墓参りしたし、この後パンケーキでも食べに行かね!?」
「なんでパンケーキなんですか…」
「ムズにい!!まさかとは思うけど、外に出たらパンケーキ奢るっていう約束、忘れてんじゃないだろうな!?」
「…そういえばそんな約束していましたね。」
「ホントに忘れてたの!?それとも、無かった事にしようとしてた!?」
「ははっ、まさか。では、今日は私の奢りです。皆さん、好きな物を食べてくださいね。」
「よっしゃー!!」
「…菊池さん。貴方があの時命を懸けてくれたから、今の私達があります。私達にこの景色を見せてくださって、ありがとうございました。」
「ちょっと、何してんのムズにいー!!早く行くよ!」
「あ、はい!今行きます!」
菊池さん、皆さん…
皆さんのお陰で、私達は今こうして生きています。
…まあ、償わなければならない罪もありますし、失った物が大きすぎて何度も挫けそうになりました。
それでも私達は、3人で力を合わせながら、共に生きていきます。
若くして亡くなった貴方方の想いを、無駄にしない為に。
「さてと…」
「………………?」
「え、何をしてるのかって?…ちょっと執筆活動をね。」
「?」
「え、また売れない小説を書いて恥をかく気かって?酷いなぁ、そんなに売れてない事ないだろ。」
「…………。」
「ああ、おやすみ。」
皆さん、私達は、あの日起こった事を…
あの惨事を、そして共に過ごした日々を、これからもずっと忘れないでしょう。
あの日の出来事は、決して忘れ去られてはなりません。
同じ悲劇を二度と繰り返さない為に。
そういう訳で、私はとある一冊の本を残したいと思います。
あのコロシアイを引き起こし、そして記憶を失った後全く別の人間として生まれ変わり、『絶望』と戦った私達の大切なクラスメイトの視点で書いた、あの日の出来事の記録を…題名は…そうですね、どうしましょうか。
…あ。
そうだ。
良い題名を思い付きました。
ダンガンロンパリゾート。
これは、『絶望』に堕ちた私達が、絶望をさせる為『コロシアイ』という手段に訴え、また、絶望に立ち向かっていく物語です。
【resort】
1.リゾート地、行楽地
2.(手段などに)訴えること、頼ること。また、その手段。
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序章
零から始まる世界
「…あれ?」
俺の名前は菊池論(キクチ サトシ)。『超高校級の弁護士』として、この春から希望ヶ峰に進学する予定だった。
【超高校級の弁護士】
だが、どういうわけか、今は何故か砂浜にいた。
普通なら、広大な海を眺めながら、トロピカルジュースでも飲んで寛ぐところなんだろうが、今はそれどころじゃない。
ここに来るまでの記憶が全く無い。
目が覚めたら、砂浜で寝ていた事に気がついた。
ここは一体どこなんだ。
「…とりあえず、状況を整理するか。」
まず、俺は砂浜に一人で寝ていた。
周りに人がいた痕跡が見られる。どうやら、無人島というわけではなさそうだ。
…最悪だ。せっかく入学式用に新調した制服が砂まみれだ。
「他に何か無いか探そう。」
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ダンガンロンパリゾートー完ー
原作者様
「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」
「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園」
「ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期」
スペシャルサンクス
読者の皆様
ご愛読ありがとうございました。