ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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番外編③ 休日編

俺の名は森万羅象。

『超高校級の超能力者』として希望ヶ峰学園にスカウトされた。

…フッ、さすがは超人ばかりを集める希望ヶ峰学園だ。

個性的な奴らばっかりだな。

…ん?

おい、今『お前が言うな』って思ったそこの貴様。

バレていないとでも思っていたのか?

全く、他にもやる事があるだろうに、ダメ人間だな貴様は。

え?なぜ全て知っているのかって?

当然だ。

俺様は、『超高校級の超能力者』だぞ。

貴様の考えている事など全てお見通しだ。

…とまあおしゃべりはこの辺にしておこうか。嫌嶋が俺の事を睨んで来ているからな。

 

「あー、やっとジュギョー終わったー!!お昼ごはーん!!」

「お前は1時間目からずっと寝てただろ。全く、リタじゃあるまいし。」

「アイツ、寝ながら登校してたぞ。」

「マジか!?」

フッ、喋らないと意思疎通できんとはな。

これだから凡人は。

「森万さん!」

「うぉあっ!!?」

思わず、驚いてしまった。

声のした方を見るとそこには、シルクのようなシルバーブロンドの髪にピジョンブラッドの瞳、陶器のような白い肌を持った、人形のような少女が立っていた。

コイツは、確か『超高校級の大学教授』だったな。

名前は長くて忘れたが…イギリスから来た留学生だったっけ。

さすがはクラスで一、二を争う美人というだけはある。

俺様も、つい見惚れてしまった。

「…なんだ、急に後ろから話しかけるな。」

「あっ、申し訳ございません。」

「…それで、何の用だ?」

「えっとですね。私、この前テレビで貴方の事を見て、ファンになってしまいました!『超高校級の超能力者』、wonderfulです!折角同じクラスになれた事ですし、是非貴方とお友達になりたいと思っているのですが…」

ここまで裏表がない奴初めて見たぞ。

見事に心を読んだ通りの事を言ってくる。

…っていうか日本語上手いな。

何年も日本に住んでても、ここまで流暢に話せるヤツはごく一握りだぞ。

それを、たったの数週間でこのレベルって…どんだけ天才なんだよ。

「それでですね。知人からサーカスのチケットを2枚頂いたので、是非ご一緒頂けたらと思い、声を掛けた次第です!今週の日曜日、空いてますか?」

えっ、ちょっと待て。

それって、所謂デートというヤツじゃないのか!?

待て待て待て!展開が急すぎるぞ!!

「森万さん、どうなさいましたか?」

「いや、唐突すぎて少し驚いてな。俺様のファンなのは嬉しいが…」

「もしかして、もう予定が入っていましたか?では、他の方をお誘いしますね。」

「まっ、待て!…行かないとは一言も言っていないぞ。…いいだろう。貴様に付き合ってやろう。」

Yay(やった)!では、日曜日の午前9時に公星駅で待ち合わせしましょう!」

…思わず、OKしてしまった。

女子にデートに誘われて有頂天になるなど、俺様もまだまだ修行が足りんようだな。

 

 

 

ー日曜日 8時30分ー

 

…フッ、流石に早すぎたか?

まあでも、女子を待たせるのは男として論外だからな。

このくらい早く着くのがちょうど良かったのかもしれな…

「森万さん!」

…は!?

いやいやちょっと待って!?

俺より早く着いているだと!?

早すぎない!?ねえ!!

どんだけ早く着いたの!!

「…すみません、本当は万全の状態で貴方と待ち合わせがしたかったのですが、何分送迎車のドライバーが途中体調を崩してしまいまして…」

送迎車!?

「そうだ、まだ時間もありますし、街を見て回りましょう!森万さん、先ずはどちらに行きたいですか?」

「…そうだな、じゃあそこの服屋にでも…」

「あちらのお店ですか?いいですね!行きましょう!」

 

 

ー店内ー

 

店内には、洒落た服からイロモノまで、様々な種類の服が置いてあった。

「…いざ入ってみると、買おうかどうか迷うな。」

「森万さん!これとかどうですか?」

「!!?」

ソイツが持ってきたTシャツには、真ん中に『奪★童貞』と書かれていた。

「なんだそのTシャツ!!今すぐ元あった場所に戻してこい!!」

「え?ダメなんですか?字面は気に入ってるんですけど…」

「字面で選ぶな!!」

コイツ、意味も分からず買おうとしてたのか。

天才だと思ってたけど、意外と抜けた所あるんだな。

「おや、カークランド様に森万様。貴方方も、衣服を選びに来られたのですか?」

速瀬が話しかけてきた。

「カークランド先輩、森万先輩!こんにちはっス!こんな所で会うなんて奇遇っスね!」

「…ん。」

「ふわぁ…」

「…こんにちは。」

小川、射場山、アンカーソン、床前も一緒のようだ。

「こんにちは皆さん!皆さんお揃いで、ここで何を?」

「私達は、合宿用の服を選んでいる最中でございます。」

合宿用の服だと?

まだ1ヶ月も先だぞ。

いくらなんでも気が早すぎだろ。

「先輩達こそ、ここで何やってるんスか?」

「フッ。この近くでサーカスをやっていてな。開演時間まで暇潰しをしているんだ。」

「ふわぁ…なるほどぉ。」

アンカーソンは、珍しいものを見るような目で俺達を見ていた。

「…貴様、何見ている。」

「ふわぁ。なんでもないですよぉ。僕も、個人的な趣味にまで口出しする気はないですぅ。」

…何言ってんだコイツ?

言っている意味が全くわからんな。

「森万さん、少し喉が渇いてしまいました。何か飲みませんか?」

「…そうだな。」

俺達は、近くにある喫茶店に向かった。

 

 

ー店内ー

 

喫茶店の中は混みすぎず空きすぎずといった感じだった。

…さっきからやたら視線を感じるな。

やはり、外国人が店の中にいると気になるのか。

「いらっしゃいませ。ご注文は?」

「私はランチセットのカルボナーラ、ドリンクは抹茶ラテ、デザートはチョコレートプディングで。」

なんだコイツ。スラスラ注文してくぞ。

コイツ…さては行き慣れてるな。

「森万さんは?」

「えっと…コーヒーとアップルパイで。」

「はい、お会計2924円です。」

…うっ。

学生にとっては地味に高いな。

「では、ここは私がお支払いしますね。」

「えっ、いや…いいよ。なんか悪いし。」

「遠慮は要りませんよ!元々お誘いしたのは私ですし、これ位の出費はなんともありません。」

「いや、そうかもしれないけど…」

女子に全額払わせるのはな…

「…森万さん、私がお金に困っているように見えますか?」

カークランドは、ムスッとした顔をしながら財布を広げた。

財布の中には、札束が入っていた。

「…あっ、はい。」

…結局全額払ってもらってしまった。

「お待たせしました。」

注文したものがトレーに乗せられてカウンターに置かれた。

カークランドは、目を輝かせながらそれを見ていた。

…コイツ、結構子供っぽいところがあるんだな。

「向こうの席が空いていますね。行きましょう。」

「ああ。」

俺達は、空いている席に座った。

隣の席の奴が、俺を見て目を逸らしていた。

キャップを深くかぶっていて、サングラスとマスクをつけている。

…店内だというのに、おかしな奴だ。

「美味しそうです!いただきます!」

カークランドは、カルボナーラをハムスターのように頬張りながら食っていた。

「おいひぃれふぅ。」

「…食いながら喋るな。何を言っているのか分からん。」

カークランドは、幸せそうな顔をしていた。

…なんか女子と向かい合ってると緊張するな。

しかも、こんな美人と…まともに顔が見れんぞ。

…そうだ、隣の客でも見て邪念を取り払…

「ぶっ!!?」

思わず口に含んでいたコーヒーを吹き出してしまった。

隣の席の奴も、俺達に気付いて咄嗟に顔を読んでいた本で隠した。

ソイツはキャップとサングラスとマスクで顔がほとんど見えなかったが、キャップから一房だけはみ出したピンクのグラデーションがかかったウェーブの黒髪と、俺と目が合った時の反応で確信した。

間違いない。俺達の隣に座っていたのは、猫西だ。

「森万さん!?どうかなさいましたか!?」

「あっ、いや…」

俺は、テーブルにあったナプキンで顔を拭き、それとなく隣の席の奴の方に向かせた。

「…あ、あの本『明日ノ泡沫』ですね。確か、映画が原作の…」

「…じゃなくて!読んでる奴の顔!」

「…顔?…あ、うぇすにゃんさんです!」

「おい、声がデカい!!他の奴に聞こえんだろ!」

「私、彼女の大ファンなんです!特に、彼女が作詞作曲した『オトノハ』と『くろねこ★流星群』がお気に入りなんです!」

「おい!本人がいる前で大声で言うな!騒ぎになる前に店出るぞ!」

「あ、森万さん!ちょっと待って下さい!せめてサインを貰いたいです!」

「何が『せめて』だ!我慢しろバカ!」

俺は、カークランドと一緒に急いで店を出た。

「クッソ…どうなってんだ今日は。クラスメイトとの遭遇率高すぎだろ。」

「サイン欲しかったです…」

「諦めろっつってんだろ!!大体、毎日教室で会ってるだろうが!!」

「あれは、オフなんです!私、彼女がオフの時はサインを貰わない主義なんです!」

「今、サイン貰おうとしてたよな!?」

…あっ。

俺とした事が、完全に自分のペースで話を進めてしまった。

「あ、そろそろサーカスの開場時間ですね。」

「そうだな。…行くか。」

俺達は、サーカスの会場へと向かった。

 

 

ーサーカス会場ー

 

会場は、人で混み合っていた。

「結構混んでるな…そんなに人気なのか?」

「はい、何でも世界的に活躍している『星屑雑技団』のショーだそうで、巷の噂では、このチケットを巡って暴力事件が起こったとか…」

「物騒だな!!…っていうか、お前はそのチケットをどこで手に入れたんだよ!」

「ああ、以前オンラインで授業をしていた教え子が、第一志望の学校に入学できたそうなので、そのお礼に貰ったんです。」

「ああ…なるほど…」

そういやコイツ、めちゃくちゃ頭良かったんだった。

「…ん?」

気のせいだろうか?

…いや、気のせいじゃない!

目の前に、見慣れた黒尽くめののっぽと金髪ツインテールがいた。

間違いなく、伏木野とアリスだ。

嘘だろ!?

どうなってんだ今日は!?

一日でクラスメイト8人に遭遇するなんてあり得るのか!?

「あ、あれ伏木野さんとアリスさんじゃないですか?とても仲良さそうですね!」

「ま、まあな…」

「…結構混みあってきましたね。もう少し詰めましょう。」

「え!?」

近い近い近い!!

シルバーブロンドの猫っ毛が顔にかかってくすぐったい。

「ちょ、お前詰めすぎだろ!」

「そうですか?…おや?森万さん、お顔が赤くないですか?」

「そ、そうか…?」

次の瞬間、カークランドは自分の額を俺の額に当ててきた。

「!!?」

「…熱は無いみたいですね。見た感じ気分が優れない様子でもないようですし、大丈夫じゃないですかね…って、なんか余計顔が赤くなってませんか?」

そりゃあそうだろうが!!

お前…なんか、色々抜けすぎだろ!

いきなり女子にこんな事されたらこんな反応になるわ普通!!

…っと、俺様とした事が、コイツのペースに流されてしまった。

この程度で動揺するなど、俺様も修行が足りなかったと言う事か…

「森万さん!ショーが始まりますよ!」

「むっ…」

ステージがスポットライトで照らされ、サーカスの団長が出てきた。

その瞬間、客席は歓声に包まれた。

『レディース・アンド・ジェントルメン!本日は、我が星屑雑技団の特別公演にお越しいただき、誠にありがとうございます!!おやぁ!?こんなに可愛いお嬢ちゃんも来てくれたんだねぇ!ちょっといいかな、キミのお名前を教えてもらってもいいかな?』

「あーちゃんはあーちゃんだよ!!」

『ハハッ、キミはあーちゃんっていうのか!可愛らしい名前だね!どこから来たのかな?』

「キボーガミネだよ!!」

『希望ヶ峰!?すごいねぇ!!…ところで、君の隣にいるお兄さんは、君のパパ?』

「お友達だよ!エカ「鈴木咲良って言います。この子のお兄さんの友達です。」

『へえ、鈴木咲良クンね!ステキな名前だ!さあ、あーちゃんと咲良クンに自己紹介してもらったところで、早速ショーを始めようか!クイーン!例の物は準備出来てるかい!?』

『もちろんよジョーカー!こっちは準備万端よ!』

ステージの上から、巨大なくす玉が降りてくる。

『ハッハッハ!それじゃあ、この特大くす玉でショーを盛り上げようか!!イッツ・ア・ショータイム!!』

団長がくす玉のヒモを引くと、くす玉が割れて中に入っていた大量の墨汁が落ちた。

団長は、墨汁をかぶって真っ黒になっていた。

それを見た観客は爆笑していた。

『ああ、なんて事だ!これじゃあ前が見えないじゃないか!クイーンめ、なんてイタズラをしてくれたんだ!ああ、前が見えない!ちょっと、誰か助けて〜!』

団長は、わざとらしく前が見えない演技をしながら舞台裏に引っ込んでいった。

『あらあら、困った団長ね。じゃあジョーカーが着替えてる間に、ショーを始めちゃうわよ!』

ステージの幕が上がり、ショーが始まった。

ショーは、火の輪くぐりや空中ブランコなど、サーカスの定番や、星屑雑技団オリジナルの芸などが行われた。

カークランドは、俺の隣で子供のようにはしゃぎながらショーを見ていた。

『さあて、いよいよショーも終盤に迫ってきてしまいました!最後に、ここで助っ人に来てもらいたい人がいるんだ!』

いきなり観客席がスポットライトで照らされ、俺のところで止まった。

『今世紀最大の超能力者、森万羅象クンです!!』

は!?

俺!?

いや、ちょっと待って。

聞いてないんだけど。

そもそも助っ人になるなんて一言も言ってないし!?

え、ちょっと待って。

おい、カークランド!アンコールやめろ!

うわぁ…どうしよう…みんなアンコールしてるよ…

ええい、こうなりゃヤケだ!!

「フッ、いかにも。俺様が、今世紀最大の超能力者、森万羅象だ。今日は俺様の超能力で、ショーを大いに盛り上げようじゃないか!!」

客席が歓声で包まれた。

それから俺はショーに参加し、超能力を見せた。

正直、プレッシャーで吐くかと思った。

…俺、アドリブ苦手なんだよな。

だが、カークランドの笑顔を見たら、悪くない気もしてきた。

たまには、こんな休日があってもいいかもな。

 

 

ー会場前ー

 

「面白かったですね!特に最後のショーは素晴らしかったです!流石は森万さんですね!」

「フッ。それほどでも…あるがな。」

「ふふっ、格好良かったですよ?」

「フッ。貴様なかなか見る目があるな。」

「あっ!さやかさんです!森万さん、CDショップに寄っても良いですか!?」

カークランドは、CDショップに貼ってあったアイドルのポスターを見ると、猛スピードでCDショップに駆け込んだ。

…もう興味は俺からアイドルに移ったのかよ。

「はわぁああああ!!Wonnnnnderfuuuuuuuuul‼︎!さやかさんがいっぱいですぅ!!」

カークランドは、目を宝石のように輝かせながらCDを見漁っていた。

…コイツ、こんな可愛い顔してアイドルオタクだったんだな。

「あれ?森万とジェイムズじゃねえか。こんな所で会うなんて奇遇だな!」

振り返ると、そこには玉木と知らない少女がいた。

…全く、今日は一体どれだけクラスメイトと遭遇した事か。

「よっ!」

「あら。勝利さん。お友達?」

玉木と一緒にいたのは、大和撫子を絵に描いたようなたおやかな美少女だった。

「ああ。俺のクラスメイトだ。黒い服を着てる方が森万で、向こうでCDをガン見してるのがジェイムズだ。」

「…失礼。あなたは?」

「申し遅れました。私、勝利さんとお付き合いをさせていただいております、姫月(ヒメヅキ)小美(コハル)と申しますわ。森万さんにジェイムズさん…面白い方達ですわね。」

ああ、そういえば玉木の奴、違う学校に通ってる彼女がいるってこの前言ってたな。

でも、まさかこんな上品なお嬢様だったとは。

玉木もイケメンだし、お似合いカップルじゃないか。

それに比べて、俺達2人ときたら…

クソッ、羨ましいな。

「おい、カークランド。」

「ほぇえ…なんですかぁ?」

「玉木と、玉木の彼女さんだ。」

「あっ…大変失礼致しました。私、ジェイムズ・D=カークランドと申します。」

「はじめまして、姫月小美です。」

「姫月さん!まさに、えっと…大和撫子!Japanese beautyですね!」

「うふふ、ありがとうございます。お二人はこれから何方に行かれるおつもりですか?」

「ノープランです。」

「あら、そうなんですの。では、私達はまだここにいますので、お二人はお好きなようになさって?」

「はい、そうさせていただきます。」

俺達は玉木達と別れて、店を出た。

 

 

ー商店街ー

 

「いやぁ、まさか玉木さんの彼女さんに合うとは!とても綺麗な方でしたね!」

「ま、まあな…」

コイツ、女子に食いつきすぎだろ。

もしかして、そっちの気があるのか…?

…いや、何変な事考えてるんだ俺は。

「あ、森万さん!見て下さい!あれ、美味しそうですよね!」

カークランドは、和菓子屋の看板を指差して言った。

そこには、『個数限定!月見亭のいちご大福』と書かれていた。

「…食いたいんだな?じゃあ買おう。」

「え!?良いんですか!?」

「せっかくの休日だしな。」

「ありがとうございます!」

2人で和菓子屋に並んだ。

そして、ついに俺たちの番が来た。

「いらっしゃいませ!ご注文は?」

「いちご大福2つ下さい!」

「はい、お買い上げありがとうございます!」

「え、2つ食うのか?」

「何言ってるんですか、森万さんの分ですよ!」

「俺?…あ、いや…俺は…」

「もう買っちゃいました。」

「あ、うん…でも、なんで俺の分も?」

「今日1日私の我が儘に付き合って下さったお礼です。おひとつどうぞ。」

「むっ…そういう事ならありがたく頂戴しよう。」

俺が大福を受け取ると、カークランドは早速食い始めた。

「いただきまーす!…うーん、おいひいれふぅ!Yum-yum!」

コイツ、本当に美味そうな食い方するんだよな。

見てるこっちも腹が減ってきたぞ。

俺も一口食ってみようかな…

「あ、大変申し訳ございません!いちご大福は、今そちらにいらっしゃるお客様方で最後だったんです。」

「ぬぁあああああああああああ!!!なんでこうなるのぉおおおおおおおお!!!」

…ゲ。

なんでまたクラスメイトに遭遇すんだよ。

もはやここまで来たら偶然の一言じゃ片付かないだろ。

近藤は、頭を抱えながらこの世の終わりのような顔をしていた。

近藤と一緒にいた郷間と狗上が呆れながら近藤を見ていた。

「うぁああああああああ!!!月見亭のいちご大福ぅうう…」

「おい、夏美。また今度来ようぜ!な?」

「やだやだやだぁ!今、完全にいちご大福のお腹になってたの!」

「チッ、大福一個で騒ぎすぎだろ。メンドクセェ。そこら辺のコンビニでも買えんだろうが。」

「うるさいうるさいうるさい!2人に何がわかるのさ!月見亭のいちご大福は、その年採れた最高級の小豆と砂糖きびで作ったあんこと、超高級ブランド米のもち米で作った生地と、無数にある品種の中から厳選した、あんこと相性抜群のいちごが絶妙なハーモニーを奏でる、ここでしか食べられない逸品なの!コンビニの安物と一緒にしないで!!」

はれ(あれ)ほんほぉはんはひははひへふは(近藤さん達じゃないですか)ほぉはははひはひはは(どうかなさいましたか)?」

カークランドは、いちご大福をハムスターのように頬張りながら3人に話しかけた。

お前、買えなかった奴が目の前にいるってのに、よくそんな美味そうに食えるな。

そんなカークランドの無神経さが、近藤にとっては地雷だったらしい。

近藤は、鬼のような形相でカークランドを睨み、捨て台詞を吐いた。

「殺すぞ!!」

はへぇ(あれぇ)ははひ()はんはほぉはへぅほぉはほほひはひはっへ(何か殺されるような事しましたっけ)?ほっほ@#¥※〆◉✳︎◇〒%…」

だから食いながら喋るなっての!

もう何言ってんのかわかんねぇよ!

「おい、夏美。さすがにジェイムズに当たるのは良くないと思うぞ。」

「うるさいうるさい!!もう、ムズっちも郷間っちも狗上っちも知らないもん!!みんなのばかぁあああああああ!!うわぁああああああああん!!!」

「チッ…うっせぇなぁ。」

同感だ。

流石に、店の中で騒がれるのは迷惑だ。

店員の若い女も、さっきからどう対応したらいいかわからずオロオロしてるし…

ここは事態を収束させる事を優先すべきだ。

「おい、近藤。」

「何!?気休めなら言わなくていいよ!!」

「…これ、食うか?」

「え?」

近藤は、ピタリと泣き止んだ。

「フッ、俺は別にそこまで食いたかったわけじゃないし、食いたいならやr」

俺が言い終わらないうちに近藤は俺の手の上の大福をひったくり、餌を焦らされた犬のようにガツガツと食い始めた。

「もふっ、あぐっ、はむっ」

「うわぁ…」

流石の狗上も、これを見て引いていた。

「はー、おいしかった!やっぱり月見亭のいちご大福はサイコーだね!森万っち、ありがとね!」

そこまで食いたくなかったとはいえ、礼が軽すぎないか?

まあいいけど。

「じゃあ、ウチらはもう行くね!2人ともデート楽しんでね!」

「チッ、なんでテメェが仕切ってんだ。」

「なあ、二人とも。この道具屋寄ってもいいか?」

「ああ、クッソメンドクセェ!もう勝手にしろ!俺は知らねェからな!!」

三人は、和菓子屋を出て行った。

…近藤の奴、あんな猟奇的な一面があったとはな。

「カークランド、俺達も行くぞ。」

「はぁい。」

 

 

ー商店街ー

 

「いやあ、あのいちご大福美味しかったです!やっぱりお店に寄って正解でした!」

俺は一口も食えてない上にトラブルに巻き込まれたけどな。

「おや!?」

「今度は何だ?」

「見て下さい、あれ神城さんですよね!?」

カークランドは、道の奥の方を指差した。

そこには、神城と菊池と織田がいた。

…全く、ここまで来たらもう驚かないぞ。

アイツらでついに15人目だ。

「ふははははははははは!!!おい愚民共!!神のお通りだぞ!!道を空けろ!!オラオラどけェ!!どかねェと踏み殺すぞ!!」

神城は、菊池と織田に大量の荷物を持たせて優雅に道の真ん中を歩いていた。

織田がボソボソと何か言っている。

「くっ、話が違いますぞ…服を選ぶのを手伝って欲しいと頼まれたから来たのに、まさか荷物持ちにされるなど…」

「おい、ここで愚痴を漏らすな。聞かれたらどうする。」

「…大体ですね、吾輩、神城氏は苦手なのであります。だって、長所といえば顔と巨乳しか…」

「おいキモヲタテメェコラ!!今、私に色目遣ったろ!?愚民の分際で、どういう了見だ?あぁ!!?」

完全な言いがかりだな。織田よ、ドンマイ。

「ひぃいい!!誤解であります!」

「うるせぇ変態!!どうやらテメェにはお仕置きが必要らしいな!?」

「ひぇええええええ!!!」

…ああ、あれは完全にただ神城が織田をいじめたかっただけだな。

っていうかアイツら道のど真ん中で何やってんだ。

俺達は商店街の角を曲がり、公星駅へと向かった。

 

 

ー公星通りー

 

「森万さん、今日はありがとうございました!とても楽しかったです!」

「フッ、俺様の方こそ、なかなか楽しませて貰ったぞ、カークランドよ。」

「ふふっ、それは良かったです。」

カークランドは、無邪気な笑みを浮かべた。

…やっぱり可愛いなコイツ。

 

「ねえねえ、そこのかわい子ちゃん。」

 

「…は?」

所謂ウェイ系というヤツだろうか、チャラチャラした輩3人組が話しかけてきた。

「ええと…」

「キミだよキミ!」

ウェイ系3人組のうちの1人が、カークランドと肩を組んできた。

「私、ですか?ええと…何かご用ですか?」

「ねえ、今ヒマしてる?俺らと一緒にカラオケ行かね?」

「てかキミ鼻高いね!外人だったりする?何人?」

コイツら…カークランドに目をつけてナンパしてきやがったのか。

下衆なヤツらだ。

「karaoke、ですか?良いですね!では、皆さんで一緒に行きましょう!」

さてはコイツ、ナンパされてる事に気付いてないな。

「おい、貴様ら。急に話しかけてきて、非常識だとは思わんのか。」

「あぁ?なんだテメェ。…あれ?コイツよく見たら、この前テレビに出てた自称超能力者(笑)じゃん!」

「うっわ!ホントだ!テレビで見たときはうさんくせぇ野郎だと思ってたけど、実物はヒョロヒョロのヘタレじゃねえか!」

「なっ…」

「よくあんな堂々と人を騙せるよな!俺、絶対こうはなりたくないわw」

「同感!なあ、お嬢ちゃん。こんなペテン野郎放っといて、俺らと一緒に楽しいコトしようぜ!」

「俺らなら、そこのペテン野郎よりキミを幸せにできる自信あっからよ。」

…コイツら、好き勝手言いやがって。

だが、コイツらの言う事は事実だ。

俺は、みんなの事を騙し続けていたんだ。

…俺は、本当は超能力者なんかじゃないんだ。

「なあ、俺らと一緒に遊ぼうよ。お嬢ちゃ」

次の瞬間、カークランドは絡んできた男に目にも留まらぬ速さで背負い投げをかました。

「ぐほぁっ!!?」

「テメェ、何しやがるこのクソアマ!!」

「…二つ、貴方方にお教えしておかなければならない事があります。一つ。先程から勘違いなさっているようですが、私は男です。二つ。森万さんは、私の大事なお友達です。馬鹿にする事は許しません。」

「許さねェって、どうする気だよ!?クッソ、女みてぇな顔しやがって、よくも騙したなこのクソカマ!!」

「…おい、ちょっと待て。テメェは…いや、あなたは…!」

「おや。知能指数の低い方々かと思いましたが、私の事をご存知だったのですね。私は、カークランド伯爵一家の次男のジェイムズと申します。」

…あ!思い出した!

さっきからなんか聞き覚えのある苗字だと思っていたが…

確かコイツの一族は、800年前から続く王室に仕える貴族で、当主であるコイツの父親は各国の首脳と友人関係にあるとか…

ただひとつだけ言えるのは、コイツの一族を敵に回したら、社会的に抹消されるって事だ。

「大変失礼致しましたぁあああ!!!」

輩共は、一斉に逃げ出した。

Bugger off(おととい来やがれ)‼︎」

 

…俺の中の世界が、一瞬で崩れた。

まさか、コイツが男だったなんて。

俺の春は、疾風の如く過ぎ去っていった。

「森万さん!」

カークランドは、俺の方へ走ってきた。

「今日は、本当に楽しかったです。ありがとうございました。また機会があれば、一緒にお出掛けしましょうね。」

「フッ、そうだな。」

「あと…」

次の瞬間、頭の中が真っ白になった。

カークランドは、俺の頬にキスをしてきた。

そして、俺の方を向いて無邪気な笑みを浮かべた。

「さっきは格好良かったです。私の事を助けようとして下さって、ありがとうございました。」

「お、おう…」

…なんか、男にこういう事されると複雑な気持ちになるな。

「あ、そろそろ送迎車が到着する時間ですね。では、私はこれにて失礼します。森万さん、また明日学校でお会いしましょう。」

「フッ、じゃあな。」

俺は、カークランドと別れた。

 

…今日は、色々な事がありすぎた1日だったなぁ。

結局15人もクラスメイトに遭遇したし、サーカスの手伝いもしたし…

15年間生きてきたが、ここまで刺激的な1日は初めてだったのかも知れんな。

だが、たまにはこういう休日も悪くないな。

…カークランド。面白い奴だったな。

今度は、俺から遊びに誘ってみようか?

フッ、週末が終わろうとしているというのに、次の週末が楽しみになってきたぞ。

さて、俺も帰るか。

…いや、せっかくまだ時間は残っている事だし、もう少し遊んでから帰ろう。

 

「とりあえず、カラオケにでも行ってみようかな。」

 




男同士のイチャイチャが書きたかった。
ただそれだけだ。
何が悪い(開き直り)。
ホント、森ムズは書いてて癒されますわ。
…誰か同人誌描いてくんねぇかな。(独り言)

ちなみに、この時の森万クンは今とほとんど変わりませんが、ジェイムズ君はだいぶ違います。
当時の身長・体重・胸囲がこちら。

身長:174cm
体重:54kg
胸囲:82cm

今より15cmほど背が低く、声も女の子みたいな声してます。
たった3年で何があったんやw(っていうかここまで変わってんだから気付けよw)

あと、作中に出てきた『公星駅』ですが、実はちょっとした遊び心で作りました。
この作品でのモノクマの相方はモノハムです。
というわけで、ハムスターを地名のどこかに入れてやろう、と思い命名しました。
『公星』を分解すると、ハ+ム+星、つまりハムスターです。
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