ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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1カ月遅れw
どうしても書きたかったんだ。


番外編④ バレンタイン編

ウチは近藤夏美。15歳の高校1年生。

誰にも言った事なかったけど、実はウチには好きな人がいます。

…カッちゃんこと、玉木勝利君です。

「おい、近藤!」

「なあに、カッちゃん。」

「ボール取ってくれ!」

「あ、ごめん…」

ウチは、足元のボールを拾ってカッちゃんに投げた。

「サンキュ!」

イケメンで、スポーツ万能で、頭も良くて、みんなの人気者。

ウチは、そんなカッちゃんに恋をしています!

…でも、カッちゃんにはお付き合いしている人がいます。

姫月小美ちゃんっていう、ウチらと同い年の女の子です。

小美ちゃんは、美人で頭も良くてお金持ちで、カッちゃんの通ってた中学校のマドンナ的存在だったらしい。

カッちゃんとは、中3の時にお付き合いを始めて、高校が別々になった今でもお付き合いを続けているとか。

最近は音信不通らしいけど、ウチらの合宿中も、夏くらいまでは毎日テレビ電話でお話してたらしい。

…あれ、なんでだろ…目から涙が…

 

 

ー談話室ー

 

ウチは、小川っちに全部愚痴った。

小川っちは、ウチの愚痴を嫌な顔せずに聞いてくれる。

こういう時、友達多くて良かったって思う。

「っっていうわけなの!」

「あぁ…それはご愁傷様っス。」

「だって、だって…ただでさえ彼女がいるってだけでも絶望的なのに、向こうはメッチャ美人でおしゃれで優しくて頭良くてお金持ちで…カッちゃんにお似合いすぎるよぉお〜!こんなの、勝ち目ないじゃあぁん…」

「ドンマイっス。」

「カッちゃんは、小美ちゃんと付き合ってるから、ウチが首突っ込んじゃダメだっていうのはわかってるんだけど…でも、どうしても諦められないの!!」

「そうっスね…」

小川っちは、スマホをいじり始めた。

うわっ、ウチの愚痴なんてもう聞きたくないって事!?

小川っちだけは、ウチの味方だと思ってたのに!!

小川っちのバカ!!

「あ!」

小川っちは、何か閃いた様子だった。

「どしたの?」

「先輩、バレンタインまであと3日じゃないっスか!これっスよ!!」

「これ…?」

「先輩、料理の腕だったら小美さんっていう人より絶対上でしょ?先輩のとびっきり美味しいチョコを玉木先輩に渡すんス!!」

「あ…!」

そうだ、なんで今まで思いつかなかったんだろう。

ウチは、お菓子作りだったら誰にも負けない。

カッちゃんにウチの新作チョコレートスイーツを食べてもらわなきゃ!!

「小川っち、ありがとう!!よし、そうと決まれば材料買いに走るぞー!!」

ウチは、材料を買いに売店まで走った。

待ってろカッちゃん、小美ちゃん!!

死ぬほど美味しいスイーツを作ってやるんだから!!

 

 

ーバレンタイン前日ー

 

朝早起きして、厨房に一番乗りについた。

厨房を確保しとかないと混んじゃうからね。

さてと、早速準備に取り掛かりますか。

まず、材料を全部量って…

「ナツねえ!!」

「あ、あーちゃん。と、みんな。」

厨房にあーちゃん、小川っち、床前っち、猫西っち、射場山っち、リタっち、速瀬っち、神城っち、そして何故か伏木野っちまで来た。

「…伏木野っちはなんできたの?」

「うふふ、だってアタシ、漢女だもん♡可愛い子にチョコ作ってプレゼントしたいわ♡」

「ははっ…」

「近藤さん、私達もお菓子作っていいかな?」

「うん、もちろん!」

「フン、何がバレンタインデーだ、愚民同士でイチャついてそんなに楽しいか!?愚か者共め!!料理など奴隷がやる事であって、神がやる事じゃねえんだよ!!でもまあ今日は神である私が特別に貴様らのような愚民になったつもりで、料理をしてやろう!!」

神城っちは相変わらず上から目線だなぁ…

「ねえ、みんなは誰に作るとか決めてる?」

「うーん、自分は普段仲良くさせてもらってる皆さんに作るっスよ。」

「…ん。私も。」

「そうですね…私もそのつもりです。猫西様は?」

「私も、みんなに作る予定だよ〜。」

あの4人は全員に渡すのか…大変そうだね。

みんながそれぞれスイーツ作りに取り掛かった。

…すごいなこの厨房。

10人入ってもまだ余裕あるよ。

「ナツねえは何作ってるの?」

「チョコスイーツバスケットだよ。色んな種類のチョコスイーツを作って、籠に詰めるの!」

「ふーん。」

「…ねえ、あーちゃんは何やってんの?」

あーちゃんは、チョコが入ったボウルにカラフルな歯磨き粉を入れていた。

「ん?何って…見ての通りだよ。歯磨き粉混ぜてんの。カラフルでしょ?おやつと歯磨きが同時にできて、目で楽しめていい事尽くしでしょ?名付けて、地中海風ハミガ・キ・コンポートだよ!!」

いや、地中海風でもなければコンポートでもないよね!?

どう考えても最悪の未来しか思い浮かばないんだけど!?

「いやいやいや!!やめときなって!!嫌な予感しかしないから!!」

「えー?カラフルだし、時短になるし、イッセキニチョーだよ?」

バサッ

「あぅうー…」

「わっ、アンカーソン先輩大丈夫っスか!?」

リタっちが粉まみれになって床に座り込んでいた。

「ふわぁ…途中で眠くなっちゃって…全部ひっくり返しちゃいましたぁ…」

「お菓子作ってる時に寝ちゃダメだよ!ケガしたらどうするの?」

「ふわぁ…ごめんなしゃあい…」

うーん…大丈夫かなぁ、これ…

 

 

ー数時間後ー

 

「よし、できた!!」

うん、デコレーションも味も完璧!!

今までで一番張り切って作ったもんね!

「できた!」

「…ん。」

「まあ…こんな感じでしょうか?」

「完成っス。」

猫西っち、射場山っち、速瀬っち、小川っちもできたみたいだ。

…どれどれ?

うん、やっぱりこの4人は料理上手だね。

見た目はすごくおいしそうに仕上がってるよ。

「ねえ、ちょっと味見していい?」

「どうぞ。」

4人が作ったチョコを食べてみた。

…うん、おいしい。

特に速瀬っちは、下手な料理人より上手いね。

お店に出してもいいくらいの出来栄えだよ。

他の3人もまあまあ美味しいね。

まあ4人とも、ウチほどじゃないけどね。

「…できました。」

床前っちもできたみたいだね。

肝心の味の方はどうなってるのかな?

「床前っち、ちょっと味見していい?」

「はい、どうぞ。」

「…うん、普通においしい。」

「ホントですか!?良かったぁ。ふふふ、じゃあこれは論さんの分で…」

ん!?ちょっと待って!?

なんか、菊池っちの分のチョコになんか盛ってない!?

まさか危ない薬じゃないよね!?

「うふふ、完成よ。」

伏木野っちもできたのか。

…うわぁ。見た目結構キツいなぁ。

大丈夫なのコレ?

こんなゲテモノ食べれるのかなぁ…

「…ねえ、一口食べてもいい?」

「どうぞ?」

「…いただきます。」

…あれ?おいしい!

「伏木野っち、これすごくおいしいよ!」

「でしょ?」

伏木野っちは、ドヤ顔をキメていた。

…でも、こんなにおいしいもの作れるんなら、普通の料理を作ればいいのに。

「ふわぁ…できましたぁ。」

リタっちもできたみたいだね。

…うーん、見た目はそんなにおいしそうじゃないけど…

「リタっち、一口食べていい?」

「ふわぁ…どうぞぉ。」

…どれ?

…まずい。

これ、絶対色々必要な工程忘れてるよね。

なんか、ベチャベチャしてたりモサモサしてたり…

これ、ウチが相手の男の子だったら何も言わずに別れるかな。

「ふははははは!!!愚民共!!神である私が菓子を作ってやったぞ!!」

神城っちもできたみたいだね。

どれ…

「おぉ…!!」

そこには、綺麗なチョコレートケーキがあった。

素人とは思えない、見事なデコレーションだった。

…すごい。

神城っちって、料理上手だったんだね。

「神城っち、一口食べてもいいかな?」

「あぁ!?愚民が私に気安く話しかけんな!!図々しいんだよテメェ!!…まあでも、今日私は気分がいい。特別に食う権利をやろう!!」

神城っちは、ケーキを切り分けてくれた。

「ありがとう!じゃあ、早速食べてみるね。」

どれ…?

…。

…。

…。

…。

…まっっっっっっっっっっっず!!!

何コレ!?

ありえないくらいまずいんだけど!?

これならリタっちの方が100倍マシだったよ!!

見た目に完全に騙された!!

見た目綺麗なのに味最悪って、なんのトラップ!?

「おい、どうした愚民!!血の気が引くほど美味かったのか!?ふははははははは!!!当然だろう!!私は全知全能の神だからな!!」

こんなにまずいもの作っといて、よく自信満々でいられるよね。

口の中が気持ち悪いよぉ…

「できたー!!地中海風ハミガ・キ・コンポートだよ!!」

うげっ!!?

あーちゃんが、トレイに乗った得体の知れない何かを持ってきた。

どう見てもこれを食べて笑顔になる人の顔が思い浮かばない。

「えへへ、おいしそうでしょ!?」

「えっと…これは…」

「ナツねえ、スイーツ好きなんでしょ?特別にあーちゃん手作りの地中海風ハミガ・キ・コンポートを食べさせてあげるよ!!」

「いや…ウチは遠慮しとこうかな…」

「逃すか!!いいから食え!!」

「むぐっ!!?」

口の中に、得体の知れないナニカを詰め込まれた。

不快な味が混ざり合って混沌と化した、形容しがたい絶望的な風味が口の中に広がる。

あまりの禍々しさに、ウチの意識が遠のいていく。

 

ドサッ

 

「キャアアアアアアアアアア!!!ナツミちゃあああああああん!!!」

「あれ?ナツねえがノびてら。気絶するほどおいしかったのかな!?」

 

 

 

「…う?」

目が覚めると、正面に厨房の天井が広がっていた。

「…あれ?ウチは何をしてたんだっけ…?」

「あ、良かった。目が覚めたみたいだね。」

猫西っちがウチの顔を覗き込んできた。

…あ、そうだった。

ウチは確か、あーちゃんにゲキマズチョコを食べさせられて、気を失っちゃったんだ。

「じゃあ、全員チョコを作り終わった事だし、そろそろ解散しよっか。」

「そうだね。」

全員が部屋に戻った。

…明日が楽しみだな。

 

 

ーバレンタイン当日ー

 

ついにこの日が来た。

ウチは、カッちゃんに手作りスイーツを食べてもらうんだ!!

…ん?あれは…

「ふはははははははははははは!!!おいどうした愚民共!!この神が食えっつってんだ、もっと食っていいんだぞ!!」

神城っちが作ったケーキを、男子達が顔色を青紫や緑に変えながら食べている。

「う゛ぇっ…クッソまじい…」

「でも、これを食えばチョコ0個を免れる…耐えるんだ俺…!」

「うぷっ…吐きそう…」

神城っちの作るスイーツは、見た目はいいけど味は最悪だもんな…

アレを食べるとか、もはや苦行以外の何物でもないよ…

「おいおい、どうしたエキストラ共!?美味すぎて感動してんのか!?ふははははははは!!!当然だろう!!全知全能の神が作ったケーキだぞ!!神のケーキを食える事をありがたく思え!!そしてこの私に媚びろ!!私を崇めろ!!ふははははははははははははははははははは!!!」

…神城っち、よくあんな自信満々にゲキマズスイーツを振る舞えるよね。

もうあの域に達してたら一周回って逆に尊敬するよ。

「…あはは。」

ウチは、カッちゃんにスイーツを渡さないと…

 

カッちゃんどこかな?

…ん?

あれは…射場山っち?

と、あの女の子は…隣のクラスの子だっけ。

「あ、あの…射場山さん!!これ…食べてください!!」

「…え、私…?」

「食べたら感想聞かせてくださいね!それじゃ!!」

「…なんなのアイツ。」

…え!?

女子が女子に!?

今の、友チョコって感じじゃなかったし…

これってまさかの…イケナイ恋!?

「せーんーぱいっ!!」

「…小川。」

「いやー、モテる女は大変っスね〜♪」

「…あんた、見てたの?」

「ええ、バッチリ撮れてるっスよ〜。」

「…消せ。」

射場山っちが、小川っちを睨んでいた。

射場山っち、怒るとメチャメチャ怖いんだよな…

「じょ、冗談っスよ〜。そんな怒らないでくださいよ。」

「…ん。」

「先輩、ところで今日チョコ何個貰ったっスか?」

「…26個。全部女子から。」

「に、にじゅっ…!?なんでそんなに多いんスか!?」

「いや…私に言われても…っていうか、なんで全部女子からなの?意味わかんないんだけど。」

さすが速瀬っちと並ぶ79期生きっての女傑…初っ端から力の差を見せつけてきてるよ…

「みんな、先輩のカッコ良さに憧れてるんスよ!そんなにモテて、羨ましいっスね!自分もあやかりたいっス!」

「…でも私、こんなに貰って困ってるんだけど。…そもそも、チョコってあんまり好きじゃないし…」

「だったら、自分も食べるの手伝うっスよ。談話室で一緒に食べましょう。」

「…ん。」

射場山っちと小川っちは、2人で談話室に向かった。

…うわっ、よく見たら女子が何人か射場山っちの事をストーキングしてるし…

この学年、アブノーマルな子多すぎじゃない?

もう、なんなんだよ…

…って、いけないいけない。

ウチの本来の目的を見失うところだった。

カッちゃんはどこかな…

あ、もしかしてスポーツセンターかな?

あそこはカッちゃんのお気に入りの場所だし…

ここからちょっと遠いけど、行ってみよう。

 

スポーツセンターへの道を歩いていると、また誰かが何かやっているのが見えた。

あれは…ムズっちとリタっち?

「ふわぁ…君には毎度毎度お世話になってるから、頑張ってチョコ作ったよ。」

「チョコレート、ですか。私に…?」

「ジェイムズ、日本文化好きでしょ。だから今年は、日本式のやり方でお祝いしようと思って…」

「それは素晴らしい考えですね!私、日本式のバレンタインデーは大好きですよ!これぞaoharuって感じがします!」

「…まあ頑張ったっていっても、途中で眠くなっちゃったりして失敗しちゃったんだけど…僕の手作りチョコ、食べてくれると嬉しいな…」

「嬉しいです!ありがとうございます!」

…ムズっち、リタっちのチョコはまずいよ。ご愁傷様。

「あの、開けてみても宜しいですか?」

「ふわぁ…いいよ…」

箱の中には、全然おいしくなさそうなチョコが入っていた。

「わあ、美味しそうですね!私、見ているだけでお腹が空いてきてしまいました!」

ムズっちは、全然嫌がるそぶりを見せずに、チョコを見て大喜びしていた。

…傷つかないように精一杯気を遣っているのか、それとも、人から食べ物を貰っただけで喜んじゃうほどバk…無垢なのか…

ムズっちの場合、多分後者かな。

あの子、地頭はいいかもしれないけど、精神年齢は幼いもんね。

「あの、早速戴いても?」

「…ふわぁ。食べてみて。」

「では、ありがたく戴きますね。」

うわぁ…食べちゃったよ…かわいそうに。

「…ふむ。アンカーソンさん、腕を上げましたね。この前戴いた食事より美味しいです!」

は!?

おいしい!?

アレのどこが!?

「ふわぁ…ホント?」

「はい、来年のバレンタインデーが楽しみです!また作って頂けますか?」

「…ふわぁ、頑張る。」

マジかよ…

ムズっち、リタっちのまずいご飯食べ慣れてたんだね…

そういえば、2人は希望ヶ峰に来る前からお友達だって言ってたっけ。

…おっと、ウチはカッちゃんを探してるんだった。

スポーツセンターを探さないと。

 

ウチは、スポーツセンターの中を探してみた。

「あれ…?いない…」

ここにいると思ったんだけど…

アテが外れたかな?

しょうがないや、別の場所を探そう。

スポーツセンターを出ると、狗上っちと隣のクラスの子がいた。

「チッ…話って何だよ。メンドクセェな。」

「あの、狗上君…これ、受け取ってください!!」

「あぁ?…チッ、甘めェモンは食わねェっつってんのによ…」

狗上っちは、めんどくさがりながらも、チョコを受け取っていた。

「ありがとう!話はそれだけ!それじゃあね!」

「…チッ、なんなんだアイツ。」

えぇええええええええ!!?

嘘でしょ!?あの不良で人嫌いな狗上っちが女子からチョコを!?

しかも、今の子結構真面目そうな子だったけど…なんで狗上っちを!?

…あ、そういえば前に、狗上っちって意外とモテるって情報を聞いた事があったな。

ウチには、アレのどこがいいのかわかんないけど…

って、違う違う。

ウチは、カッちゃんを探してんの!

 

反対側を見ると、今度は速瀬っちと隣のクラスの女子が何かやっていた。

「あの、速瀬さん!これ、受け取ってください!!」

「はあ、私に…ですか?」

「はい!良かったら食べてください!」

「それはご命令と受け取っても宜しいのでしょうか?」

「…えっと、ええ…まあ…」

「そういう事でしたら、有難く頂戴させて頂きます。」

「ありがとうございます!用件はそれだけです!それじゃあ、また明日!」

「…はて、バレンタインデーとは女性が好意を寄せている男性にチョコレートを渡すというイベントだった筈ですが…なぜ皆様私にチョコレートを下さるのでしょうか?…まあ最近は『友チョコ』とやらも流行っていますし、恐らくその類でしょうかね。」

あー、速瀬っち。多分それはイケナイ恋だよ。

さすが射場山っちと一二を争うクールビューティ速瀬っち。女子人気高いなぁ…

「速瀬っち!」

「おや、近藤様。何か御用ですか?」

「あのさ、カッちゃん知らない?」

「カッちゃん…玉木様の事でしょうか?」

「うん、そう!今探してるんだ!」

「ええと…玉木様は確か、本日は17時からご自室でのトレーニングの予定を入れていらっしゃった筈です。只今16時46分ですので、ご自室に戻られているのでは?」

自室って、ホテルの…?

うわっ、方向全然違うじゃん!

せっかくここまで来たのに…

「近藤様、どうかなさいましたか?」

「…ううん。なんでもない。ありがとね速瀬っち。」

「御礼には及びません。また何か御用があれば、いつでもお申し付け下さい。」

ウチは、速瀬っちと別れてホテルに向かった。

 

ホテルの前では、菊池っち、織田っち、郷間っち、森万っちがたむろしていた。

「くっ…!!吾輩は、まだチョコを1個も貰っていないであります!!伏木野氏や狗上氏、さらには女子の射場山氏と速瀬氏ですら貰っているというのに…!!」

「おい、泣くなよ兼太郎。男同士で、売店でなんか買って食おうぜ!!」

「レディからのチョコじゃないと嫌であります!!」

「フッ。残念だが、貴様がチョコを貰える確率は頭上に雷が落ちる確率より低い。」

「んなぁ!?」

「まあまあ、元気出せよ織田。俺だって1個も貰ってねェぞ。」

「俺もだぜ!!仲間だな!」

「フッ、俺もだ。」

「ど、同志よ…わ、吾輩達の友情は永遠に不滅であります!!非モテ同盟万歳!!」

「郷間君、ちょっといいかな?」

「ん、俺?なんだ?」

「えっと…渡したいものがあるんだけど…ちょっとついて来てくれる?」

「おう、いいぞ。あ、悪いなお前ら。呼び出されちまった。ちょっと行ってくる。」

「ぬああああああああああ!!!この裏切り者がぁあああああああ!!!」

「フッ、早速同盟の脱退者が出たな。」

「で、でもまだ3人いますぞ…!今こそ、非モテ魂を見せつける時…」

「…あ、あの…森万君…」

「うぉあっ!!?ビックリしたぁっ!!え、何!?」

「…え、えっと…あの…その…わ、渡したいものが、ある、から…ちょっと…来て…」

「えっ、お、おおおお俺!?」

「…ぅん…いい、から…来て…」

「え、お、おう!もちろん行くぞ。フッ、俺様に贈り物か…貴様なかなか気が利くな。」

「ぬがぁああああああああああ!!!森万氏までぇええええええええ!!え、しかも今の女子、爆乳でしたぞ!?下手すると、神城氏以上…」

「どこ見てんだお前。」

「菊池氏!!菊池氏は、絶対に吾輩を裏切りませぬな!?」

「んー…まあ、俺も見ての通りモブ顔だし…多分誰からも貰えねェから安心しろ。」

「菊池氏!!吾輩の味方は菊池氏だけであります!!非モテ同士、ずっと親友でいましょうぞ!!マイフレンドフォーエバーであります!!」

「お、おう…」

「ムフフ、吾輩達は…」

「菊池君!」

「うおっ、猫西…!」

「あのさ、今日バレンタインデーでしょ?だから、これあげる。」

「えっ、いいのか?」

「うん、まあクラスのみんなにはお世話になってるし、友チョコの延長みたいなもんだよ。良かったら食べてみてね。用件はそれだけ。それじゃあね!」

「行っちまった…あ、悪い織田。何か言いかけだったよな?」

「…この、裏切り者がああああああ!!何がマイフレンドフォーエバーじゃ、そっちがその気なら戦争ですぞ!!」

「え、ちょっ、お前チョコ1個で怒りすぎだろ!!一旦落ち着けって!!」

…結果的に織田っちがかわいそうな事になってるね。

っていうか、猫西っちは織田っちがそこにいるのに気付いてなかったのかな?

ウチは、ホテルに入った。

 

 

ー玉木勝利の部屋ー

 

「…ここだ。」

落ち着けウチ。

ウチは、スイーツなら誰にも負けない。

カッちゃんにウチのチョコスイーツを食べてもらうんだ!!

ウチは、インターホンを鳴らした。

「…はい、って、近藤?どうした?なんか用か?」

「あ…えっと…」

ヤバいヤバいヤバい!!

こういう時、なんて言ったらわかんないよぉお!!

ヤバい…言葉が出てこない…もっと練習しとけば良かった!!

「?何も用がないなら、もう行くぞ。」

「あ、待って!」

ウチは、カッちゃんがドアを閉めようとするのを手で止めた。

「え、えっと…こ、これ、良かったら食べてください!!」

「え?籠?これ…スイーツか?もしかして、これ全部手作り?」

「…う、うん…一応…」

「マジか!?お前の!?スゲェ嬉しいんだけど!!ありがとな近藤!!なあ、早速食ってみていいか!?」

「うん!どんどん食べて!」

「うっしゃあああ!スゲェ楽しみ!いただきまーす!…ん!メッチャウメェなこれ!!」

カッちゃんは、スイーツを両手に持っておいしそうにかじりついた。

「うんめェー!!こんな旨いモンわざわざ作ってくれてありがとな!!」

「そんなにおいしい!?…よかったぁ。ウチ、頑張って作ったんだよ!?」

「へェ、道理で前食った飯より旨いわけだ!スゲェ旨えよこれ!なあ、またなんか作ってくれるか?」

「うん、もちろん!!」

「え、マジで!?じゃあ、練習終わった後の弁当とか作ってくれるか?」

「いいよ!任せて!今度はメッチャおいしいお弁当作ってあげるよ!楽しみにしててね!」

「マジか!!ありがとな近藤!スゲェ楽しみだな!いやあ、前からずっと弁当が食いたいと思ってたんだよな。ここに来る前は、小美が毎日作ってくれてたし…」

…あ、そっか。

カッちゃんは、絶対にウチには振り向いてくれないんだ。

だって、カッちゃんには小美ちゃんがいるんだから…

「ねえ、カッちゃん。」

「…ん?」

「カッちゃんは、小美ちゃんの事好き?」

「え、いきなりなんだよ。」

「答えて。」

「…好きだよ。最近、全然連絡くれなくなっちまったけど…でも俺はアイツが好きだ。」

「…そっか。また会えるといいね。」

「当然だ。また会いに行くよ。あ、そうだ。お前の作った弁当、アイツにも食ってもらおう。アイツ、料理の勉強がしたいって言ってたしな。」

「あはは、さすがに悪いよ…」

「そうか?アイツも絶対喜ぶぞ?」

「じゃあ考えておこうかな。…カッちゃん、なんか今日はごめんね?」

「いや、なんで謝るんだよ。」

「いや、これからトレーニングあるのに邪魔しちゃったし…じゃあ用は済んだから、ウチはもう行くね。」

「おう、また後でな!」

…そっか、カッちゃんはやっぱりまだ小美ちゃんの事…

…でも、これで諦めがついた!

ウチのスイーツもカッちゃんに渡せたしね!

うん、カッちゃんが好きなウチ、さよなら!

さてと、気分をリフレッシュして、いつもの元気いっぱいな近藤夏美に戻らなきゃ!

ところで、他のみんなは今何やってんのかな?

「…ん?あれは…」

 

廊下では、あーちゃん、床前っち、伏木野っちが菊池っちを追いかけ回していた。

「うふふ…論さん。私の愛情たっぷりの手作りチョコ、ぜひ食べてくださいな♡」

「たっぷり入ってんのは愛情じゃなくて絶対ヤバいクスリだろ!!そんなモン食えるか!!こっち来んな!!」

「うふふ、サトシちゃーん!アタシの愛を受け止めなさーい!!」

「やめろ!!アボガドが入ったチョコなんて食えるか!!第一、俺にそっちの趣味はねェ!!」

「ンフフ、ツンデレなのね!!待ちなさーい!!」

「待ちませぇえええええええん!!!」

「おいコラサトにいー!!逃げんなコラァ!!あーちゃんのハミガ・キ・コンポートを食えー!!!」

「そんなゲテモノ食えるかァ!!お前ら、揃いも揃って俺を殺す気かぁああああああああ!!!」

「ンフフ、逃さないわよぉおおおお!!サトシちゃぁああああああん!!!」

「んもう、論さんってばー!逃げないでくださーい!!」

「サトにいィー!!」

「ぎゃああああああああああ!!誰か助けてェえええええええええええええ!!!」

うわぁ…菊池っち、かわいそう…

よりによって、変人3人組に絡まれちゃって…モテる男も大変だねぇ。

「あはは…」

ウチは、そろそろ部屋に戻ろっかな…?

 

「ぬ゛ぅうううううぅううううう!!!」

「ヒッ!!?」

後ろから幽霊の呻き声みたいな声が聞こえて、振り返ってみるとそこには織田っちがいた。

「なぜ…なぜ吾輩宛てのチョコがどこにもないんでありますかぁあああぁあああぁ…!!」

うわぁ…チョコを1個も貰えなかった事がショックだったのか、もはや浮浪者みたいになってるよ…

ロン毛が顔にかかってて、メッチャ怖いんだけど…

「吾輩は、チョコ0個のままでは終わりませぬぞ…!ネバーギブアップであります…!最悪、誰か殺してでも…」

うわぁ…完全に人を殺す人間の目つきだよ…

なんか取り憑いてんじゃないのかな…

…そういえば、猫西っち達4人はみんなに作るって言ってたけど…

4人とも、織田っちの分だけは忘れてたんだね。

織田っちドンマイ。

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