どうも!
自分、小川詩音っていうっス。
え?床前先輩以上に影薄いって?
ちょっ、それは言わないお約束っスよ!!
今、自分が何をしているのかって?
ああ、なんか先生が、合宿生活のちょっとした楽しみとして、音楽会でも開かないかって。
自分は結構楽しみなんスけど、何しろやる気がある人がホント少ないんスよね〜。
で、今一緒にやってくれる人がいないか探しているところなんスよ!
あ、菊池先輩が来たっス!
「先輩!」
「おお、小川か。どうした?」
「いやあ、実は、音楽会に一緒に出るメンバーを探してるんスけど…先輩、一緒にどうっスか!?」
菊池先輩は面倒見いい人だし、参加したりとかしてくれるかもっスかね〜…?
「…あー、ごめん。俺、楽器とか疎くてさ。壊滅的にセンス無いんだよな。…誘ってくれて悪いけど、他当たってくれるか?」
「そうっスか…なんか、ごめんなさい、変な事聞いちゃったっス!」
やっぱりダメっスか…他当たるしかないっスかね…
「おい、ちょっと待て。…俺も、誰か参加しないか声かけてみるよ。」
「ホントっスか!?」
「ああ、クラスのみんなにも声かけてくるよ。」
「ありがとうっス!!」
参加はしてもらえなかったけど、一緒に参加してくれる人を探してくれるなんて…
菊池先輩は優しいっスね!
「ふっふっふ、話は聞かせてもらったぞ!」
この声は…
「…アリス先輩?」
「にゃはは!いかにも!とうっ!!スーパー美少女天使あーちゃん参上っ!!」
アリス先輩は、物陰から飛び出して変なポーズを決めた。
「…先輩、どうしたっスか?」
「にゃーっはっは!!シオねえ、オンガクカイのメンバーを探してるんでしょ!?だったら、1人適役がいるぢゃないか!!」
「…誰っスかそれは?」
まさか、自分だなんて言わないっスよね。
「にゃっはっは!!誰かだって!?そんなの、あーちゃんに決まってんでしょーがっ!!」
…は?
「せ、先輩〜!今日はエイプリル・フールじゃないんだから、冗談はやめてくださいよ〜!」
「ジョーダンだと!?あーちゃんはイスラエルとかサウジアラビアのお隣さんぢゃないぞ!!」
「そっちのジョーダンじゃないっスよ。ジョークの方っス。」
「あ、そっちか〜。ってぇ!!なんであーちゃんがジョーダン言ったと思ってんの!?あーちゃん、本気だっちゅーの!!」
嘘でしょ?
「あ、アリス先輩…今からでも考え直さないっスか…?ほ、ほら…音楽会じゃなくても、先輩の才能を存分に生かせる行事はあるっスよ…自分らは、もうメンバー足りてるんで…」
「嘘おっしゃい!!さっきまでメンバー探してたくせに!!いいもんね、そんなにあーちゃんをハブりたいんだったら、ジツリョクでわからせてやる!!あーちゃんのオハコを聞けい!!」
マズいっス!!ここ一帯が地獄と化すっスよ!!
…あ、そうだ!
「あ、UFO!!」
「なぬぅ!!?どこだ!?どこにUFOあんの!?とっ捕まえてやるー!!」
アリス先輩は、UFOを探しに行った。
「…ふう、危なかったっス。」
他の人にも声をかけた方がいいっスよね。
あ、いいところに近藤先輩が来たっス。
「近藤先輩!」
「あれ、小川っちじゃん!どうしたの?」
「あ、実は今音楽会のメンバーを探してるんスよ。…どうっスか?出てみないっスか?」
「あー、ごめん。ウチ、楽器は全然できないんだよね。スイーツなら誰にも負けないんだけど…ごめんね!他当たってくれる?」
「…あ、はい。そうっスか。変な事聞いちゃって申し訳ないっス。」
「あ、いや…なんかごめんね?せっかく誘ってくれたのに断っちゃって。」
「いえいえ、いいんスよ。無理にやらせたところで、いい音楽は生まれないっス。気長にやる気ある人を探すっスよ。」
「小川っち、音楽会楽しみにしてたもんね。メンバー探しがんば!」
「はいっス!」
近藤先輩はダメでしたか…
「ねえ、君達何の話してるの?」
後ろから、猫西先輩が話しかけてきたっス。
「ああ、実は、音楽会のメンバーを探していて…」
「そういう事なの?だったら、私が参加しようか?」
「え、いいんスか!?」
「うん!メンバーいなくて困ってるんでしょ?私、小川さん程楽器上手くないけど、それでも良ければ。」
「…猫西先輩!ありがとうございます!!先輩が参加してくれるというなら心強いっス!!」
「えへへ、そこまで言われちゃうと照れるなぁ…よろしくね、小川さん!」
「はいっス!」
「小川っち、良かったね。」
「はいっス!」
やったっス!!
ついに、参加者を見つけたっスよ!!
しかも、歌い手としても知名度が高い猫西先輩が参加してくれるなんて…
なんだか猫西先輩が神々しく見えてきたっス…!
「猫西先輩ぃぃ…本っ当に、ありがとうございますぅぅ…」
「ちょっと、泣かないでよ小川さん。まだメンバー探し終わってないんでしょ?私も手伝うから、一緒に探そ!」
「え、いいんスか!?」
「当たり前じゃん!だって、私達、もうチームでしょ?」
女神っスかこの人は。
そりゃあチャンネル登録者数が超高校級にもなるわけっスよ。
こうして、猫西先輩とのメンバー探しが始まったっス。
「あ、小川さん。速瀬さんがいるよ。声かけてみようよ。」
「そうっスね。」
自分らは、速瀬先輩に声をかけたっス。
「…おや、猫西様に小川様。如何なさいましたか?」
「ああ、実は、自分らは音楽会のメンバーを探してるんスよ。速瀬先輩は、参加しないかな〜って。」
「…それはご命令ですか?」
「いや、別に命令ってわけじゃあ…」
「命令だよ。参加して。」
ちょっ、猫西先輩!?何言ってるんスか!?
自分は何も、強制する気はないんスよ!!
「畏まりました。では、参加しましょう。」
えええ!?速瀬先輩もそれでいいんスか!?
自分は、猫西先輩を物陰に引っ張ったっス。
「ちょっと、猫西先輩!なんであんな事言ったんスか!」
「だって、速瀬さん、なんか参加したそうにしてたし…でもあの子の性格上、こっちがああ言ってあげないと参加するの躊躇っちゃうかなって思って。」
「…ああ、なるほど…」
猫西先輩は、速瀬先輩が音楽会に参加する理由を作ってあげていたというわけっスか。
猫西先輩は優しいっスね。
「3人だけじゃ寂しいよねえ。他にも参加してくれる子がいないか、探してみようよ。」
「そうっスね!」
自分達は、次はアンカーソン先輩に声をかけたっス。
「ふわぁ…僕ですかぁ…」
「アンカーソン先輩、参加しないっスか?」
「ふわぁ…ちょっと考えますぅ…」
「…え、この子をメンバーに入れるの?やめといた方がいいよ。」
「私も賛同し兼ねます。以前アンカーソンさんの歌声を耳にした事がございますが、その…あまり上手とは言えない歌唱力でして…」
「何言ってるんスか、2人共!本人にその気があればそんなの関係ないっス!」
…アリス先輩は酷すぎるから話が別っスけど。
「さ、アンカーソン先輩!試しにちょっとこのピアノ弾いてみてくださいっス!」
「ふわぁ…」
アンカーソン先輩は、ピアノの前に座ると、それはもうこの世のものとは思えない演奏をしたっス。
「!!?ちょっ、アンカーソン先輩!?一旦やめるっス!!」
「…ふわぁい。」
「小川さん、だから言ったでしょ?」
「…はい、そうっスね…」
本人には悪いっスけど、これはもうアリス先輩に匹敵する酷さっスね…
「あ、アンカーソン先輩は、音楽会に参加したいっスか…?」
「ふわぁ。やっぱり眠いのでやめときますぅ。他当たってくだしゃあい…」
良かった…
「わ、私達は別の人を探そっか。」
「…そうっスね。」
自分達は、次は床前先輩に声をかけたっス。
「床前先輩!」
「…あら、小川さんに猫西さんに速瀬さん。どうしましたか?」
「床前先輩、今度の音楽会、参加しないっスか?」
「…えっと、すみません。ひとつだけ確認いいですか?」
「はい、何スか?」
「それ、論さん…菊池さんは参加するんですか?」
「いえ、さっき誘ったんスけど、参加できないって言ってたっスね。」
「…そうですか。では、私は参加を拒否します。」
「え!?」
「ちょっと、床前さん決めんの早くない!?…まあ、こっちも強制する気はないんだけど…」
「だったら別に拒否しても問題ないでしょう?…私にとっての判断基準は、論さんが参加するかしないかだけですので。論さんが参加しないと言えば私も参加しない、ただそれだけです。論さんが参加しない音楽会など全くの無意味ですので。」
うわぁ…なんか、床前先輩って極端っスね…
「用件はそれだけですか?それでは、私は論さんを見守らないといけないので。」
見守るって…それストーカー…
「さようなら。」
床前先輩は、行ってしまったっス。
「あはは、フラれちゃったよ。あの子、菊池君にしか興味ないもんね…」
「ですが、仮に彼女が参加していれば、確実に音楽会自体が混沌と化していたでしょうね。」
速瀬先輩、凄い言い様っスね。まあ否定はしないっスけど。
自分らは、次は射場山先輩に声をかけたっス。
「射場山先輩!!」
「…何。」
「あの、音楽会に参加しないっスか?」
「…ゴメン、無理。」
射場山先輩は、俯きながら言ったっス。
「…私、楽器とか歌とか下手だし…あんた達みたいにキラキラした感じのオーラとか出せないから。」
「そんな事気にしなくていいっスよ!やってみたらきっと楽しいっスよ!!」
「…ごめん、ホントに無理だから。」
射場山先輩は、自分らを部屋の外に押し戻したっス。
「…頑なっスね。ここまで言うなら、無理に参加させなくてもいいっスよね。」
「うーん、私も賛成。だってほら、射場山さんを見てよ。かなりぐったりしてるし…あの顔色から察するに、多分最初の返事が限界だったんだと思う。射場山さんさ、音楽会とかそういうイベントへの耐性が無いんだよ、きっと。」
「でしたら、無理に誘うのもお互いにとって良くありませんね。他を当たりましょう。」
「そうっスね。」
射場山さんって、何事にも動じないクールビューティーってイメージだったんスけど…
自分が苦手な物に対しては、あんなに拒絶反応を示すタイプなんスね。
自分らは、神城先輩の所に行ったっス。
「何?音楽会?フン、いいじゃねえか。そういうの。」
あれっ?意外と反応いいっスね。
神城先輩の事だから、『神である私にそんな事をさせる気かこの愚民が』とか言いそうだと思ったんスけどね。
「神城さん、参加してくれるの!?」
「フン、私は寛大だからな。特別に参加してやろう!!」
「ありがとう!」
「…で?当然、バンドならボーカル、オーケストラなら指揮者は私なんだろうな?」
「…へ?」
「『ヘ』じゃねえよ。何驚いていやがる。神である私が参加するんだから、神が主役のポジションを担当するのは当然だろう?」
「いや、そういうわけにはいかないっスよ…本人の技量の問題もありますし、そこは話し合って決めないと…」
「はあああああああ!!?テメェ、騒音!!愚民の分際で私に逆らう気か!!」
「いや、そうではなくて…ボーカルとか指揮者とかは一番前に立つ分、それなりの技量が必要なんスよ!いい音楽を作ろうと思ったら、素人が迂闊に手を出しちゃいけないポジションっス!」
「うるせェ!!どうしても私を主役にしたくないなら、こっちだってテメェらの仲良しクラブなんか願い下げだ!あばよ!!」
神城先輩は、怒って部屋のドアを閉めたっス。
「あー…どうしよう…怒らせちゃったね。」
「神城先輩、目立ちたがりっスからね…」
「おい、小川!そっちは人数確保できたのか?」
「菊池先輩!先輩の方は、どうだったんスか?」
「ああ、なんとか集まったよ。」
菊池先輩は、玉木先輩、カークランド先輩、森万先輩、伏木野先輩を連れてきたっス。
「この4人が、参加してくれるってさ。」
「頑張ろうな!小川!」
「楽しみですね、皆さん!」
「フッ、ついに俺様の時代が来たか…」
「うふふ、張り切っちゃうわよぉおおお!!」
「菊池先輩!ありがとうございます!4人も呼んできていただいて…」
「…いや、実は、もうちょっと連れてくるつもりだったんだけど…ごめんな。」
「もうちょっと?」
「ああ、他にも、郷間と織田と狗上にも声をかけたんだけどよ、織田には『リア充イベントなんて糞食らえであります』っつって全力で拒否されちまってさ。狗上にも、断られちまったよ。」
「ああ、それは災難だね…」
「あれ?郷間先輩は?あの人なら、参加してくれそうっスけど…」
「ああ、郷間の奴、楽器を扱う時の力加減がわからんらしくてな。参加してくれるっていうから、試しにギター弾いて貰ったんだけど…見ろ。」
後ろに、弦が全部切れたギターが置いてあったっス。
「これ以上やらせたら楽器を破壊しまくりかねないと思って、俺の方からやんわり断ったよ。」
「ああ…なるほど…」
やっぱり、人には得手不得手ってあるんスね。
「菊池先輩、皆さん、ありがとうございます。では、明日から本格的に練習を始めましょう!今日はお疲れ様でした!」
「おう、頑張れよ。」
ー翌日ー
「皆さん、来てくれてありがとうございます!早速なんスけど、皆さんは何やりたいっスか?」
「フッ、こういうイベントで生徒同士がチームを組んでやるものと言ったら、バンド一択だろう。」
「そうだね、なんか楽しそう!」
特に反対意見も無く、自分らはバンドをやる事に決まったっス。
「それで、役割はどうするっスか?」
「…そうですね。7人いるので、バランスを考慮するなら、ボーカル1名、ギター2名、ベース2名、ドラム1名、キーボード1名という割り振りが宜しいかと。」
「うーん、そうだね。じゃあさ、役割どうする?まあボーカルが小川さんなのは当然としてさ。」
「そうっスね…。」
「え!!!?」
え!?ちょっと待つっス!!
どういう事っスか!?
一体何をどう考えたら自分がボーカルになるんスか!!
「ちょっと、猫西先輩!?なんで自分がボーカルなんスか!!」
「え?だって、小川さん以外に適任な人はいないでしょ?それに小川さん、音楽会のためにメンバー集めたりとか、誰よりも音楽会への思いが強かったじゃない。だったら、小川さんが主役になるのは当然でしょ!」
「え、いやいや!それを言うなら、猫西先輩の方が適任っスよ!!美人だし、歌上手いし…」
「ダメだよ!みんな、小川さんにやってほしいって思ってるんだから!」
「…え?」
「フッ、当然だ。言い出しっぺの貴様が花形にならずしてどうする。」
「私も、今は小川さんが私達のリーダーだと思っております。」
「同感です。私も、小川様以外には居ないと思っておりました。」
「うふふ、シオンちゃんがステージの上で歌ってるとこ、見てみたいわ〜。」
「小川、みんながお前をリーダーとして信頼してんだ。主役は主役らしく、自信持って堂々と歌え!」
「…はいっス!」
自分は、皆さんから暖かい言葉をいただいて、皆さんからの提案を喜んで承諾したっス。
「うし、じゃあ俺らも担当決めちまうか!」
「私は、余ったもので構いません。」
「そうねえ…じゃあアヤカちゃん、カツトシちゃん。アンタ達、ギターやんなさい。」
「え?俺が?いいのか?俺、そんなに上手くねえけど…」
「アラ、サトシちゃんの前ではバリバリ演奏してたくせによく言うわ。」
「うーん、私がそんな大役引き受けちゃっていいのかなあ…」
「何言ってるんスか!猫西先輩じゃなきゃダメっスよ!」
「小川さん…!」
「森万さん、私達はどうしましょうか?」
「フッ、俺がドラム、貴様がキーボードでどうだ?」
「いいですね!私、ピアノとオルガンの演奏なら得意です!」
「…少し違うと思うが。」
「アラ。じゃあアタシとフブキちゃんはベースね。」
「…決まったようですね。」
「フッ、貴様ら。そろそろグループ名を決めておかないか?」
「え、グループ名?音楽会でやるだけだし…要る?」
「フッ、わからん奴だな。雰囲気が大事なんだよ、雰囲気が。」
「そうっスね。確かに、グループ名を決めた方がチームとしての意識とかも強くなるんじゃないっスかね。」
「…とは言ったものの、チーム名ってどうすんだ?」
「フッ、
「却下します。」
「えっ!!?」
「あの…希望ヶ峰学園っスから、『HOPES』なんてどうっスか?」
「小川さん、いいねそれ!」
「素晴らしい響き…私、気に入りました!」
「そ、そうっスか…?」
「フッ、漆黒の雷なんていうのは…」
「ツラノリちゃんしつこいわよ。…それ、ブラックサンダーじゃない。」
こうして、グループ名は『HOPES』に決まったっス。
「あの、曲はどうするんですか?」
カークランド先輩が質問してきたっス。
「ああ、それなら、猫西先輩に書いてきてもらったっス。」
「昨日、超特急で楽譜仕上げたよ。初心者でも演奏しやすくて、盛り上がる曲ね。」
「猫西さんが書いた曲ですか?演奏するのが楽しみですね!」
「じゃあ、曲も決まったし、早速練習すっか!」
自分達は、楽器の練習を始めたっス。
猫西先輩は、やっぱり自分で曲を出してるだけあって、ギターの腕も一流っスね。
他の先輩方も、想像以上にお上手でビックリしたっスよ。
「皆さん、上手っスね!」
「まあ、お前程じゃないけどな!」
「猫西さんが、弾きやすい曲を提供してくださったお陰です。」
「うふふ、シオンちゃんに褒められるなんて、嬉しいわね。」
「ふむ…」
速瀬先輩が、曲を弾き始めたっス。
…っていうか、速瀬先輩めちゃくちゃ上手いっスね!
どこで習ったんスか!?
「ちょっ、速瀬先輩!」
「…如何なさいましたか?」
「先輩、どうしたんスか!めちゃくちゃ上手いじゃないっスか!バンドに入ってた事でもあるんスか!?」
「いえ、別に。バンドはこれが初めてでございます。」
「じゃあ素人って事っスか!?だとしたら、めちゃくちゃ天才じゃないっスか!!」
「…ありがとうございます。」
「フン、ショータイムだ。」
「アラ。ツラノリちゃん、スティックの持ち方変だけど、もしかしてやった事ないの?」
「フ、フン!そんなわけ無いだろう!」
「いや、嘘ついてもダメだから。音思いっきりズレてんじゃないの。」
「森万先輩、やった事なかったんスね。だったら、自分が教えるっス。」
「え、いいのか?お前の練習時間減るだろ。」
「人に教えるのも練習の内っスよ!じゃあ、まずは正しい持ち方から覚えましょう。こうっス。」
「…こうか?」
「そうっス。では次は、音を出してみましょうか。」
「あ、ああ…」
森万先輩は、とても飲み込みが早くて、1時間教えただけでそれなりに演奏できるようになってたっス。
…皆さん、自分より才能あるんじゃないっスかね。
「皆さん、想像以上にクオリティ高くてビックリしたっスよ!これなら、早めに全員合わせられそうっスね!」
「それまでは、各自で練習、って形でいいのかしら?」
「うん、そうだね。じゃあ1週間後全員で合わせるから、それまでにみんなちゃんと練習してきてね!」
「おう!」
「了解です!」
「畏まりました。」
「フッ。」
今日は、1週間後の約束をして、解散したっス。
「自分は、もう少しここで練習しましょうかね…」
自分は、コンサートホールの裏方に残って、夜になるまで練習を続けたっス。
それから毎日、朝早く起きて裏方に行って、夜遅くまで練習をしたっス。
そして1週間後、全員が集まって合わせる事になったっス。
「皆さん、来てくれてありがとうっス。まず、どこまで練習を進めてきたのか、今ここで演奏してみていただいていいっスか?」
「おう。」
「分かりました!」
「フッ。」
皆さん、一人ずつ演奏を始めたっス。
ちゃんと練習してきているのか、皆さん最初より上手くなってたっス。
「皆さん、最初より上手いっスね!」
「そ、そうか…?」
特に、森万先輩は上達が早いっスね!
ミュージシャンの才能あるんじゃないっスか?
「全員がこのクオリティなら、順調っスね。じゃあ早速合わせてみましょう。」
試しに全員で演奏をしてみたところ、全然合わなかったっス。
みんながバラバラに演奏していて、曲としてのまとまりがまるでなかったっス。
「あれっ?おかしいな…」
「部屋で練習した時は問題なく演奏出来たんですけど…」
「まあ、一人で演奏するのと全員で演奏するのは全然違うっスからね。まだ時間はあるっス。練習を続けましょう!」
「そうだな!頑張ろうぜみんな!」
それから毎日、全員で練習したっス。
最初は、全然一人一人のテンポが合わなくて、このままで音楽会を迎えられるのか心配だったっス。
…でも、ついに…
1週間後
「じゃあ皆さん、最後まで演奏してみましょう。全員の心を一つにして、演奏するっスよ!」
「おう!」
全員で、演奏を始めたっス。
…ついに、全員のテンポが合って、最後まで演奏できたっス。
全員の心が一つになったって感じがして、心地が良かったっス。
「…できた!」
「よっしゃ!!」
森万先輩が1番喜んでるっスね。
…まあ、1番頑張ってたのは森万先輩でしたしね。
「やりましたよ皆さん!!」
「やったよ小川さん!ありがとう!」
「え?自分っスか?」
「そうだよ!小川さんが、私達を指導してくれたから、ここまで頑張れたんだよ!」
「そんな、褒めすぎっスよ。まだ、本番じゃないっス。もっと練習して、最高の音楽会にしましょう!」
「そうだね、ここまでやったんだもん、最後まで頑張ろ!」
「よお、お前ら。順調か?」
菊池先輩と近藤先輩が来たっス。
「先輩方…!」
「お前らが頑張ってるって聞いてよ。差し入れを持ってきたんだ。」
「お菓子とおにぎり作ってきたよ!みんなで食べてね!」
「マジか!?ありがとな2人とも!」
「2人って…俺は作ってないけどな。」
「菊池っちったら、全部炭にしちゃったもんね。」
「…うっせえ。」
あはは、菊池先輩のメシマズっぷりは相変わらずっスね。
「近藤先輩、いただいてもいいっスか?」
「もちろん!どんどん食べてね!」
「いただきますっス!…うん、美味しいっスね!」
「ホント!?良かった!」
うん、本当に美味しいっス。
近藤先輩の差し入れのおかげで、やる気出たっスよ!
食べ終わったら、また合わせるっス!
ー音楽会当日ー
「じゃあ、皆さん。最後にもう一回だけ合わせるっスよ。」
「うん、小川さん!」
リハーサルは、問題なく演奏できたっス。
あとは、これが聴衆の皆さんにどう届くかっスけど…
「小川さん、緊張してるの?」
「…え、ええ…まあ…」
「大丈夫だよ!私達、ここまで頑張ったんだもん。絶対成功するよ!」
「そ、そうっスかね…」
「ほら、もっと自信持って、堂々と立つ!小川さんは、私達のリーダーなんだからね!」
「…はいっス!」
「皆様,そろそろお時間です。舞台上に上がりましょう。」
ーホールー
「チッ、かったりい…」
「ムフフ…猫西氏が出ているとな…非常に楽しみであります!」
「おいおい兼太郎。主役は詩音だぞ。」
「あーちゃんも出たかったなー!!」
「お前を舞台上に上がらせなかった小川の判断は賢明だと思うぞ。」
「サトにい!どういう意味だクラッ!!」
「…あんたら、そろそろ曲始まるよ。」
「あっ、ハイ…」
ー舞台ー
…やっぱり、まだ緊張してるっス。
でも、失敗するかもしれないなんて考えててもしょうがないっス!
今までみんなで頑張ってきた全てを、聴衆の皆さんにぶつける…
それが今、自分達にできる事っス!
「それでは、『HOPES』の皆さん、どうぞ!」
舞台の幕が上がって、スポットライトが当たったっス。
その瞬間、声を出して…
演奏が始まると、聴衆の皆さんは目を見開いて聞いていたっス。
一人一人が奏でる音が、コンサートホール内に響き渡って、一つの曲となった。
スポットライトの光が楽器に当たって、キラキラと光る。
自分は、ただ、全力で歌ったっス。
今自分に出せる、最高の歌声で。
曲が終わった。
数秒間、ホールが静寂に包まれたかと思うと次の瞬間、拍手喝采がホール中に響き渡った。
…やったっス!
成功したっスよ!!
今までみんなで頑張ってきた成果を出せたっス!
自分は、心の中で歓喜の叫び声を上げながらも、おじぎをして舞台を後にしたっス。
舞台裏で、みんなで音楽会の成功を祝ったっス。
「やったね、大成功だよみんな!!」
「大歓声でしたよ!」
「アタシ、ちょっと感動しちゃったわ。」
「今まで練習してきた甲斐がありましたね。」
「…フッ。」
「成功できたのは、全部お前のおかげだ!ありがとな、小川!」
「…はい、ありがとうございます!」
「よっ、おつかれ。リーダー。」
そう声をかけたのは、菊池先輩だったっス。
「先輩!来てくれてたんスね!」
「もちろん。他のみんなも一緒だぞ。」
「詩音、今日の音楽会、すごかったな!」
「すごいよみんな!ウチ、感動して泣いちゃったよ!」
「…ん。」
「ムフフ…最高の演奏でありましたぞ。」
「…まあ、悪くなかったよ。」
「上出来です。」
「ふわぁ…」
「フン、私をメンバーに入れなかった割にはよくできた方だ。褒めて遣わす!」
「みんな、マヂでエモかったよー!あーちゃん、ファンになっちゃったよ!」
「皆さん…ありがとうございます!」
皆さんのお陰で、素晴らしい演奏会になったっス。
今日の思い出を語り合う日が来たらいいっスね。
だが、その思い出は、数年後にきれいさっぱり消える事となった。