ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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4月16日は速瀬ちゃんの誕生日です!
速瀬ちゃんハピバ!!









番外編⑨ 友達編

私の名前は、射場山祐美。

『超高校級の弓道部』。

って言っても、私自身そこまで自分の腕に自信があるわけじゃないんだけど…

私、他の『超高校級』みたいにすごい才能があるわけでもないし…

…それに、私には絶対に人に知られたくない『弱み』があるし。

別に誰かと馴れ合いたいわけじゃないし、この学校では卒業まで他の奴らとの絡みは無しかな…

…はぁ。

 

 

ー弓道場ー

 

ここは、私のお気に入りの場所。

なんか、過去に希望ヶ峰学園の生徒で、私と同じ才能を持った人がいたらしく、その人のために用意された研究部屋らしい。私一人でこの部屋を使うのは少し贅沢な気もするけど…

ここは私以外ほとんど誰も来ないし、趣味で弓道ができるから落ち着く。

室内なのになんで桜があるのは謎だけど。

…今日も、練習して腕を上げないとな。

ただでさえ『ハンデ』のせいで周りに遅れを取ってるんだから、周りの百倍千倍の努力をして追い越さないと。

矢を構えて、的を狙って撃つ。

矢は、狙い通りに真っ直ぐ飛んで、的の真ん中に当たった。

「…これくらいの距離なら、まあまあかな。」

この程度、当たり前にできて当然だ。

私は、もっと高みを目指したいんだ。

 

「にゃーはははははははははははははははは!!すげーぞユミねえ!!ブラボー!!」

なぜか、弓道場にうるさい奴がいた。

「アリス…」

「ねえねえ、今のどうやってやったの!?教えてくれしゃんす!!」

「…うるさい。あんたの声、部屋中に響くんだけど。」

「にゃはははははははははは!!そりゃあそうだろ!!あーちゃんの、小野小町もシットする声帯から発せられるビセーは、清らかすぎて部屋の壁もバイブレーションしちゃってるからな!!ユミねえもあーちゃんのビセーに酔いしれろ!!」

「…うるさい。黙れ。」

「にゃあああ…冷たいなユミねえは!マイナス273.15度かよ!エントロピーとエンタルピーが最低値かよ!!」

…コイツ、バカなのか頭良いのかどっちなの?

「…はあ、あんたといるとホント疲れる。…で?」

 

「そこで覗いてる人達は、一体何の用?」

 

「…あ、バレちゃったっスね。」

「もうちょいイケると思ったんだがな…」

「流石射場山さんです!いつから気が付いていらっしゃったのですか?」

菊池、カークランド、小川が物陰から出てきた。

「最初からよ。…あんた達、覗きなんて悪趣味ね。」

私を覗きに来るなんて、よっぽど暇人なのねコイツら。

さっきからずっと気が散ってたし、暇潰しに覗きに来んのは本当にやめてほしい。

「いや、覗きっていうか…お前さ、普段人と話したりしないだろ?だから、普段何やってんのかなーって思って…」

「それで覗きをしてたと?」

「覗きとは人聞きの悪い!射場山さんとコミュニケーションを図る為の第一段階です!」

「第一…?まさか、第二第三があるんじゃないでしょうね。」

「はい、とりあえず射場山さんの趣味を把握した後、その事に関する話題を集めて、親睦を深めます。」

なんでそういう事ベラベラ喋んの?コイツは。

「そして射場山さんと仲良くなったところで、ス●ッチャとかデ●ズニーランドとかに誘います。」

「は!!?」

「どうしたんスか?射場山先輩?」

いやいやいやいやいや!!なんで私がそんなリア充みたいな事しなきゃなんないわけ!?

絶対そんな所に行ったところで浮くだけだって!!

私、そういうパリピっぽいのマジで無理!!

絶っっっっっっっっっっっっっっ対無理!!!

無理無理無理無理無理!!

「…ごめん。ホントそういうの無理だから。」

「あちゃー…やっぱ無理っスか。」

「射場山って、そういうのに免疫無さそうだもんな…」

「私、射場山さんと仲良くなりたいです!そうだ、今度は他の皆さんも誘って、一緒に射場山さんが弓道に励んでいるところを見ましょう!」

「は!?いや、ちょっと待って!!なんでそうなんの!?マジで意味わかんないんだけど!」

「あ、射場山先輩!やっとちゃんと話してくれたっスね!」

「あんた達が変な事言うからでしょ!?なんでみんなで私を見るって結論になるわけ!?ホント頭おかしいんじゃないのあんた達!!」

「いいじゃないですか。」

良くない!!

「あ、あーちゃん、ユミねえみたいにスナイプできるようになりたい!みんなでユミねえに弟子入りするってのはどう?」

「いいですね!」

なんでアイツら勝手に話を進めるわけ!?

別に、弟子にするなんて一言も言ってないし!!

人付き合いが苦手なだけなんだし、正直放っておいてほしいんだけど…

「よっしゃ!じゃあ、あーちゃんもやってみよーっと!!」

アリスは、勝手に弓矢を手に取った。

「あ、ちょっと、何勝手に触って…」

「ふぎぎぎ…なんでこれこんなにかたいの!?引けないんだけど!!」

「…はあ、全然ダメ。背中曲がってる。もっと腕を上に上げて。」

「…あ、なーんだ。教えてくれるんじゃん。」

「あ、いや…違っ…今のは…か、勘違いしないで!あんたが変な持ち方してるのがイライラしてただけだから!」

「素直じゃないな、射場山は〜!」

うっさい黙れ!!

「射場山先輩ー!」

「な、何…?」

「さっきの、もう一回やってみてもらっていいっスか?」

「えっ…」

「自分、射場山先輩のかっこいいとこ見てみたいっス!」

「いや、でも…」

「一回だけでいいんで!お願いします!」

「…ホントに一回だけだからね?見たら、すぐ帰って。」

「やったー!!」

さっきと同じように、的を射た。

「キャー!!やっぱ先輩はかっこいいっス〜!あ、写真写真…」

「やめろ。…見たら帰る約束だったでしょ?」

「ご、ごめんなさいっス…」

「あんた達といると気が散る。…私、もう帰るから。」

「あ、先輩!」

 

「あー、結局ダメだったっスね。」

「でも、お願いしたら技を見せて頂けたのは、大きな一歩ですよ!この調子で親睦を深めましょう!」

「でもさー、次の作戦はどうすんの?」

「失敗したら、逆に関わってくれなくなりそうだな…」

なんか、アイツら勝手に盛り上がってんだけど。

余計なお世話だっつってんのに、なんでしつこく関わってくるかな…

…そりゃあ、私だってみんなと仲良くしたくないわけじゃないけど…

でも私、みんなで盛り上がったりとかそういうの苦手だし…

みんなの中に混ざったって、浮くに決まってるよ…

そうなるくらいだったら、いっそ最初から1人の方が…

 

 

ー翌日ー

 

私は、教室に入った。

まだ朝の7時だから、速瀬と玉木くらいしかいない。

「…さてと。授業の準備しなきゃな。」

「なあ、射場山!」

玉木が話しかけてきた。

コイツも、馴れ馴れしいから正直苦手。

同じ班だからって、仲良くできるわけじゃないってのに…

「…何。」

「今、忙しいか?」

「…別に。」

「あのさ、このレポート、ちょっと続き書いてくれるか?このレポート、早く提出しなきゃなんないんだよ。」

「え…」

「班の4人以上の意見が集まらないとダメみたいでさ。…他のみんなには断られちまってよ。頼む!!」

嘘でしょ…

私、こういう論文系のやつ嫌いなんだけど…

何書いたらいいかわかんないし、変な事書いたらなんて思われるかわかんないし…

「できれば今日中に頼む!お願い!!」

「…今日中ね。わかった。」

「サンキュな!射場山!!いやー、助かった!!」

つい承諾しちゃったけど…

ホントにどうしよう。

こういうタイプのレポートとか書いた事ないし…

そうだ、前のやつを見ちゃえば…

って、何考えてんの私!それ、ただのパクりじゃん!絶対バレるって!

「お困りですか、射場山様。」

「速瀬…」

「日誌が書けない、といったご様子ですが…」

「速瀬…うん、ちょっとね。」

「宜しければ、ご一緒に文面を作成しましょうか?」

「え、いいの?」

「はい、書類を作成するのは私の得意分野ですので。ご不明な点がございましたら、私にご相談ください。」

「…ん。ありがと。速瀬。」

私は、速瀬に手伝ってもらって、日誌を書いた。

速瀬は、困った時助けてくれるし、口も堅いから一緒にいて一番ストレスがない。

何より、速瀬とは一番気が合う。

「…できた。」

「射場山様、お疲れ様です。」

「…ん。速瀬、ホントにありがと。」

「御礼には及びません。また何か困った事がございましたら、何卒。」

「うん。」

速瀬のおかげで、思ったより早く書き終わった。

「玉木。」

「おう、射場山!どうした?」

「…ん。レポート、書き終わった。…半分くらい速瀬に手伝ってもらったけど。」

「マジか!?早いな!…ありがとな、射場山!速瀬にも、礼言っとくよ!」

「…ん。」

玉木は、大喜びでレポートを回収して、職員室に向かった。

アイツ、なんであんなにみんなに明るく話しかけられんのかな。

…羨ましいな。

 

 

ー放課後ー

 

今日も、私は弓道場に向かった。

毎日やらないと腕が鈍るからね。

周りより劣ってる分、普段から頑張らないと。

「…ん。」

私が部屋に入ると、視界にうるさい奴らが映った。

「射場山先輩!今日も来ると思ってたっスよ!」

「…ねえ、なんか増えてない?」

昨日の4人に加えて、森万とアンカーソンが来ていた。

「フッ。邪魔させて貰うぞ。」

「…。」

冗談抜きで邪魔だからホント帰って欲しいんだけど…

「森万さんとアンカーソンさんも誘ったんですよ!」

「誘うな。」

同窓会じゃないんだから…あんまり人を呼んでこないでよ。

「はあ…あんたら、馬鹿じゃないの?」

「バカってゆーほーがバカなんだぞユミねえ!!」

コイツ、ホントに会話になんない。

誰よ、コイツをスカウトしたの。

「フッ。射場山。貴様の美しい弓術を見られると聞いてな。見させて貰うぞ。」

「…見せ物じゃないんだけど。…散れ!」

「フン、虚勢を張っても無駄だ。貴様が本当は構って欲しいと思っている事など、お見通しだぞ。」

「なっ…!」

「さすが森万さんですね!まるで占い師みたいです!」

「…フッ。己を知り、素直になれ。ツンデレ弓道家め。」

「…あんた、いい加減黙りな。それ以上言ったら許さないから。」

「わ、悪かったよ…」

あっ、しまった…

つい、いつもの癖で威圧しちゃった。

…これ、絶対引かれてるよね。

ただでさえ、目つき悪いってよく言われるのに…

「森万さん、大丈夫ですか?」

「…フッ、心配をかけたな。カークランドよ。」

…森万。

コイツの目を見ると、心の中を見透かされてるようで正直不気味なのよね。

…さっきだって…

…って、私は何考えてんだ。

「そんな事より、早く見せろー!!」

「…あんた、なんでそんな上から目線なのよ。」

ホント、アリスといると疲れる。

「…はぁ、ったく…」

私は、30m離れた的を射た。

「…ん。これで満足?」

「フッ。貴様の弓術は、噂通り実に美しいな。そんな才能があるのだから、もっと自分に自信を持て。」

それが出来たら苦労しないわよ。

…人の苦労も知らないで、薄っぺらい感想しか言えない奴の前で自信なんて持てるかっての。

「アンカーソンさん!今の射場山さんの技、素晴らしかったですよね!?She is a great archer‼︎(彼女は素晴らしい弓道家です)

「…。」

「…アンカーソンさん?」

「…Zzz」

「あ、アンカーソン…貴様、もしかしてずっと寝ていたのか!?」

「…zzZ」

「アンカーソンさん、起きてください。射場山さんに失礼ですよ。」

「ふわぁあっ!!@¥*%#★※〒&£!!!」

え、ちょっと待って!?

何語!?

めっちゃ怖いんだけど!

「ぷっ、ぐふっ…あ、アンカーソンさん…寝起きでそれはズルいですよ…!ぷくくーっ!!」

カークランド!?

あんたは今ののどこでツボったの!?

全然理解できないんだけど!?

もしかしてこれ、理解できてない私が間違ってる!?

え、待って怖い!

「…ほにゃあ、ここのお部屋、匂いがすごく気持ちよくてぇ…座り心地もよくてぇ…ついウトウトしちゃいましたぁ…」

あんたはどんな状況下でも寝るくせに。

「ふわぁ…弓矢の競技ですかぁ…僕の国にもありますよぉお…」

「そうなんスか?」

「ふわぁい…えぇっとぉ、ウポンゲを弓矢で撃ち合うんですぅ…それで、一番ユビシュゲだった人が優勝っていうルールですぅ。」

待って。説明されてもわかんない。

え、宇宙語?めっちゃ怖いんだけど。

「面白い競技ですよ。射場山さん、興味がおありでしたら、一度ご覧になってみては?」

「…ふ、ふぅん…」

ノヴォセリック王国のスポーツ、ね。

図書室に返さないといけない本があったし、ついでに調べておこうかな。

「射場山よ、今日は貴重な体験をさせてくれて感謝する。」

「…あ、えっと…うん。」

「ユミねえ、来週もみんなで来るね!」

は!?

どんだけ暇人なのあんたら!?

「…バカじゃないの?じゃあ、私は着替えてくるから。」

「あの、射場山さん。たまには一緒に帰り「先に帰ってて。」

「ふわぁ…お言葉に甘えて先に帰りますぅ。」

是非ともそうしていただきたい。

みんなで一緒に帰るなんて、私にはまだ100年早いから。

「じゃあな、射場山。」

みんなが帰っていった。

「…ふぅ。」

なんか今日はどっと疲れた。

明日はここ閉まってるし、できれば一人で落ち着いて過ごしたいんだけど…

上衣を脱ごうとした瞬間だった。

部屋の外に、視線を感じた。

私は、咄嗟に鞄の中に入っていた国語辞典を投げた。

「曲者!!」

「ぎゃっ!!」

…どうやら命中したようだ。

どうせ織田ね。

「ムフフ…8年間の修行の末ステルス能力を習得した吾輩を見切るとは…流石は射場山氏であります。」

「何がステルス能力よ。隠れて覗き見てただけでしょ変態。」

「ムフフ、褒め言葉と受け取るであります。それにしても、先程の上衣から垣間見える谷間は最高でありましたぞ射場山氏。」

 

ゴシャッ

 

「ぐえッ!!」

私は、国語辞典の角で織田の頭を殴った。

…この手のクズは、死んだ方が世のため人のためよ。

「い、射場山氏…ご、ご勘弁を…」

「…死ね、変態。」

「ぎゃあああああああぁあああああああ!!!」

 

 

 

 

 

「ね、ネバー…ギ、ブ、アップ、で…ありま…す…」

さてと、ゴミは処分したし、帰ろ。

 

 

ー翌日ー

 

いつも通りの時間に教室に入った。

今日は、珍しく伏木野も来ている。

…授業の準備しないと。

 

「…ん。」

 

机の中に何か入ってる…

なんだろう?

 

『射場山さんへ

 

入学式の日、私は運命を感じました。

貴女の凛々しい顔立ち、そして見た目通りの高潔な人柄…

私は、貴女の美しさに魅了されました。

つまり、何が言いたいかと言いますと、私は貴女にゾッコンです!!

めっちゃカッコ良くて、エモくて、控えめに言って神です!!

結婚したい!っていうかしてください!!

 

1–Cの百合崎より』

 

…気持ち悪っ。

え、何この怪文書。

これって、ラブレターだよね?

でも百合崎って、女子じゃん。

え、何これ。ドッキリ?

「アラ。ユミちゃん。どうしたの?」

伏木野が、私の顔を覗き込んできた。

…その図体と顔で人の顔を覗き込むのは、ハッキリ言ってホラーだからやめてほしい。

「伏木野…」

「アラそれラブレター?誰から…って、レイミちゃんからじゃないの!もしかして、イケナイ恋の予感!?キャー、どうしよう〜!」

「…やめろ。」

「ユミちゃん、弓道も恋愛も、頑張りなさいね!アタシ、応援してるわよ!」

勝手に恋愛の応援をするな。私、そっちの気無いんだけど。

頑張れって、何をどう頑張ればいいわけ?

…でも、一応弓道の事も応援してくれてるみたいだし、それ()礼を言わなきゃな。

「…ん。ありがと。私、頑張るよ。」

「うふふ、恋の事なら私に任せなさ〜い!」

結局、そっちがメインなのねコイツは。

期待した私がバカだった。

 

 

ー昼休みー

 

「あー、やっとジュギョー終わったー!!お昼食べれるー!!」

「あたかもずっと授業受けてたみたいに言うな。お前は1時間目からずっと寝てただろ。」

…昼食か。

「いただきます。」

私は、持ってきた弁当を食べようとした。

「ねえ、射場山っち!!」

「!!?」

反射的に弁当箱の蓋を閉めた。

「え、なんで閉めちゃうの?美味しそうだったのに。」

げっ、近藤…

コイツ、うるさいし馴れ馴れしいから苦手なんだよな…

「…急に話しかけないで貰える。」

「あ、ごめん…ねえ、そのお弁当美味しそうだね!誰が作ったの?射場山っちのママ?」

コイツ…

なんでこんなにグイグイ聞いてくんのよ。

「…んで。」

「え?なんて?」

「…自分で作った。…悪い?」

「え、自分で作ったの!?射場山っち、お料理上手なんだね!」

自分は一流の料理人のくせによく言うよ。

「でもさ、射場山っち、そんなに美味しそうなお弁当作れるのに、なんでみんなで食べないの?」

あんたに色々言われんのが嫌だからよ。

察してよ。

「ねえ、せっかくだしみんなで食べようよ!」

何言ってるのコイツ。

…そんなの、無理に決まってんじゃん。

「っ、ご、ごめん…無理…」

「あー、やっぱダメかー!!」

「近藤先輩、ドンマイっス!」

「これで10連敗かー!ユミねえオトすのムズすぎ!!」

「フッ、なんの準備も無しにいきなり行ったら断られるに決まってるだろう。こういうのは、時間をかけてじわじわと攻略するんだ。」

何評論家みたいな事言ってんのアイツ。

っていうか、さっきのも全部陽キャ組の差し金か。

…アイツらしつこいから、屋上で食べよ。

 

 

ー屋上ー

 

…誰もいないよね。

「…いただきます。」

屋上も、私のお気に入りの場所だ。

うるさい陽キャ組はこの時間帯ここに来ないし、騒音も聞こえないから落ち着く。

私も、たまにここに昼食を食べにくる。

「…ごちそうさまでした。」

昼食も食べ終わったし、そろそろ戻ろうかな。

 

ガチャッ

 

「あ。」

 

「…あ?」

 

嘘でしょ。

なんでよりによって狗上と鉢合わせるわけ?

「…んだよ。テメェがいたか。」

「…ん、まあ…」

「チッ…」

すぐ舌打ちするわねコイツ。

…コイツはグイグイ話しかけてこない分まだマシだけど、態度悪いから嫌いだ。

「…ねえ。」

「あ?んだよ。」

「えっと…何しに来たの?」

「チッ…飯食いに来たんだよ。…しつけぇ奴らが色々言ってきてよ。うるせぇから便所で食おうとしたんだけど、チビが便所で飯食うなってうっせぇからここ来たんだよ。」

ああ、コイツも私と同類か。

なんか、急に親近感が湧いてきたな。

「ふぅん。…邪魔してごめん。私、もう行くから。」

「…そうかよ。」

「…あ、あと、トイレで昼食食べんのは私もやめた方がいいと思う。」

「うるせぇ。俺に命令すんな。」

あ、やっぱりコイツとは気が合わないな。

 

 

ー2階ー

 

今日までに返さないといけない本があったんだった。

今日は弓道場は閉まってるし、返しに行こうかな。

 

 

ー図書室ー

 

良かった、ちゃんと期限までに返せた。

…あ、そうだ。本はもう返したし、この前アンカーソンが言ってた謎のスポーツについてちょっと調べてみよっと。

「…えぇっと…ノヴォセリック王国の文化っと…あ、あった。」

マイナーな国だからか、本棚の隅に追いやられていて探すのに苦労した。

「さすがに、本を読めばちょっとはわかるかな…」

…。

…。

…。

…ああ、ダメだ。

読んでも全く理解できなかった。

知らない単語が当たり前のように出てくるし、無駄にルールが複雑だし…

ってか、スポーツ以外の文化もブッ飛んでるとしか言いようがない。

チョコレートとワインが名産なのはまだわかる。

でも、結婚するとき互いのマカンゴを見せ合うってどういう事!?

何このカオスな文化。

「…はぁ。」

「…あの。」

隣には、床前がいた。

床前…コイツは、うるさくない分他の奴よりはストレス無いけど正直苦手だな。

なんていうか…不気味なのよね。

オーラが禍々しいっていうか…絶対ただの『幸運』じゃないわよね。

「床前…あんたどうしたの?」

「そこにある『銀色の夜』っていう本、取って欲しいんですけど。」

「…あ、これ?」

なるほど、高くて手が届かなかったのね。

「…はい。」

「ありがとうございます。…あの。」

「…まだ何か用?」

「射場山さん、最近菊池さん達と一緒に弓道場にいるそうじゃないですか。」

一緒にいるっていうか、アイツらが勝手に居座ってるだけなんだけど。

「…まあ、うん。それがどうしたの?」

「…いえ、仲が良さそうだなって思っただけですよ?」

「…!」

床前が殺気を放ってきた。

…コイツの不気味さの正体がわかった。

コイツ、完全に人を殺る奴の目をしてるのよね。

「…別に仲良いわけじゃないし。変な勘違いやめて。」

「それは失礼しましたぁ。」

…もうコイツとはできるだけ関わりたくないな。

そろそろ教室に戻ろう。

 

 

ー放課後ー

 

授業が終わった。

来週は小テストがあるから、早く帰って勉強しないと。

 

ゴッ!!

 

えっ、

何…

ボール…?

頭、痛い…

ちょっと待って、これ…

 

意識、飛ぶかも…

 

ドサッ

 

「祐美!?おい、祐美!!大丈夫か!?」

 

「あ、いっけな〜い。手が滑っちゃいました。射場山さん、あなたが菊池さんと仲良くしようとするのが悪いんですよ?私、し〜らないっと。」

 

 

ー保健室ー

 

…あれ?ここは…

「お、祐美!目が覚めたか!!」

「…郷間。」

私は、確か頭にボールが当たって倒れて…

「…もしかして、あんたがここまで運んできてくれたの?」

「おうよ!!」

「…ありがとう。」

「気にすんなって!ケガで倒れた妹を助けてやるのは、兄貴として当然だろ!?」

兄貴って…

いつからあんたは私の兄貴になったのよ。

「射場山!…良かった、目が覚めたか。」

「菊池…」

「郷間、お前が射場山を運んできたのか?」

「ああ、俺はガキの頃から材木運んだりとかしてたからな。力仕事は任せとけ!」

力仕事って言うなし。

人を材木みたいにいうの、ちょっと傷つくからやめろ。

「ハッ、目ェ覚めたかよ無口!!」

「…神城。あんたが私の手当てをしてくれたの?」

「如何にも!!図が高いぞ貴様!!神である私が、愚民の貴様を治してやったのだ!!この私に感謝し、そして崇めろ!!ふははははははは!!!」

…神城。正直、コイツは一番苦手だ。

うるさいし、下品だし、尊大不遜っていう言葉をそのまま人間にしたみたいな奴だし…

でも、直して貰ったし礼は言わないとな。

「…ありがと。」

「フン!!足らんぞ!!もっとだ!!」

どんだけ欲しがんのよコイツ。

「地面に額擦り付けて私を崇拝するんだよこの愚図が!!」

「おい、黒羽。そんな事したら悪化するだろ。」

「黙れウド!!気安く私の名を口にしてんじゃねえ!!十戒の3つ目を知らねェのか!!神の名をみだりに口にするなっつってんだよヴァカが!!」

十戒を、まるで自分のために作られたものみたいに言うのやめろ。

「…神城、治してくれてありがと。…私、もう回復したしそろそろ帰る。」

「待てよ。」

「…何?」

「テメェ、身体が本調子じゃねえんだろ?」

「…なんの事?」

「とぼけんな。神の前で嘘をつき通せると思ってんじゃねえ。お前、目が片方見えてねえのに無理してんじゃねえよ。ここ最近毎日練習ばっかりで、疲れてんだろ?ボールが飛んできたっつってたけど、普段のお前なら十分避けられたはずなんだよ。」

「…あんたには関係ないでしょ。」

「うるせェ。私は、神である以前に医者だ。私には、患者が回復するまで命を預かる責任と義務があんだよ。わかったら今日は安静にしてろ。来週のテスト範囲なら、私が教えてやる。」

コイツ、今まで勘違いしてたけど、実はいい奴だったりするのか…?

「…あんた、いい事言うのね。」

「私は常に良い事しか言わねえよ!!いいから寝とけ愚民が!!」

「なあ、神城。タオル持ってきたぞ。」

「おいモブ!!テメェ誰に向かってそんな口聞いてんだテメェコラ!!様をつけろ様を!!この短小童貞野郎が!!」

「痛ってェ!!」

…前言撤回。

やっぱりうるさくて下品なだけだったよ。

 

 

ー翌週ー

 

今日は月曜日。

また、1週間が始まる。

「射場山さん!」

「こっ、猫西…」

猫西は、美人で明るくて、クラスの人気者だ。

あまりの綺麗さに、ついたじろいでしまった。

「先週ケガしたんでしょ!?大丈夫!?」

「…ああ、神城のおかげで完治したから大丈夫よ。」

「そっか、よかったぁ。お大事にね。」

「…ん。ありがと。」

 

 

ー放課後ー

 

私は、弓道場に向かった。

「…はぁ、あんた達ねえ。」

予告通り、先週のメンバーが弓道場で待機していた。

それと、猫西も一緒だった。

「な、なんで猫西がここにいんのよ…」

「ああ、俺が呼んだんだよ。射場山の技がすげぇから一緒に見ないかって。」

何そのサーカスのライオンみたいな扱い。

っていうか、緊張するから人増やしすぎないでよ…

「射場山さん、私も射場山さんの弓術見てみたいな。」

「うっ…わ、わかった…」

眩しい笑顔で言われて、つい承諾してしまった。

「…い、一回だけだから…」

少し離れたところから弓を構える。

その様子を、見学に来た奴らが見ていた。

矢を放つと、矢は真っ直ぐに飛び、的の中心に当たった。

「わぁ…!すごいよ射場山さん!!」

「だろ!?射場山はすげぇんだよ!」

「うん!ホントにすごいね、私見惚れちゃったよ!」

「…ん。別に、そこまですごくは、ない…けど…あ、ありがと…」

「あ、もうこんな時間…ねえ射場山さん!」

「な、何…?」

「あのさ、たまにはみんなで一緒に帰らない?」

「…え、えっと…」

どうしよう…私、一緒に帰るときにどんな話したらいいかとかわかんないし…

絶対一緒に帰るとか無理なんだけど…

 

『フン、虚勢を張っても無駄だ。貴様が本当は構って欲しいと思っている事など、お見通しだぞ。』

 

…まさか、こんな時に森万の言ってた事を思い出すなんてね。

全く、何が一番腹立つかって、アイツの言ったことが間違ってないって事よ。

浮くかもしれない事はわかってる。

…それでも、私はやっぱりみんなと仲良くなりたい。

 

「きょ、今日は…予定無いから…いいよ…」

 

「え!?マヂ?やったぁああああああああああああ!!!ついにユミねえを攻略したぞー!!」

「フッ、…11戦中1勝10敗か。だが、この1勝は、大きな前進だ。」

まさか、OKしただけでここまで喜ぶと思わなかった。

…今日はどんな話をしながら帰ろうかな?

 

 

ー下校中ー

 

「射場山さんさ、さっきの技カッコ良かったね!」

「…ん、そうかな。」

「うん!あのさ、今度動画のPVに出演してもらっていい?」

「ぴ、ぴぴぴぴぴ…PV!!?」

「わぁあああ!射場山さん、卒倒しないで!」

「…ご、ごめん…あまりにも話の次元がブッ飛んだからつい…えっと、それって…顔とか出るの?」

「ああ、顔は出さない予定だよ。首から下だけでいいから、お願い!」

「…あ、えっと…本当に約束守ってくれるなら…」

また承諾してしまった…

「ホント!?ありがとう!!ちょうど新曲のPV用のエモい映像を探してたとこなの!!」

「新曲…?」

「うん、この前発表した『ASTEROID』っていう曲なんだけど、その曲のPVを今作ってるとこなの!」

「ふぅん…」

 

「…あ、あのさ…」

「なに?」

「えっと…新曲のPV出来たら、動画見るね。」

「ホント!?超嬉しい!!ありがとう!!」

「…ん。」

絶対会話できずに浮くかと思ったけど、みんな私に話題を振ってくれて、それに答えるとみんな喜んでくれた。

みんなと仲良くなるのって、こんなに楽しかったのね。

「射場山さん!」

「…何?」

「次の週末、スポ●チャ行きませんか!?セグウェイありますよ!」

「ふわぁ…君がセグウェイ乗りたいだけですよねぇ、ジェイムズ…」

「いいじゃないですか!射場山さんもセグりたいですよね!?」

「カークランド先輩。何スかセグるって。」

「カークランドよ、変な動詞を勝手に作るな。」

「射場山さん!一緒にセグりましょう!!」

「え、っと…うん。」

「やったー!!ユミねえとセグウェイー!!」

みんなと一緒に遊びに行く約束をした。

こんな私でも、みんな遊びに誘ってくれる。

…私、みんなと友達になれるかな。

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