気合入れて書くぞオルァアアー!!(謎の雄叫び)
あぁ?何見てんだテメェ。
ウザってェな。
あ?俺が誰かって?
チッ…メンドクセェな…
狗上。『超高校級の操縦士』。これでいいだろ。
はぁ?下の名前も教えろだと?
チッ、うるせェな。言いたくねェんだよ。
俺は、名前が嫌いなんだよ。
あのクソババァ、俺にクソダセェ名前をつけやがって。
あー、マジでムカつくわ。
「ねえねえ!」
…チッ、またコイツか。
このチビは、たまたま俺と同じ班になった女だ。
いっつも俺に砂糖の塊を押しつけてくる馴れ馴れしい女だ。
名前は…覚えてねえな。
名前なんてどうでもいいし、覚えてようと忘れてようと大して変わんねェだろ。
「…なんだよ。」
「あのさぁ、明日はほとんど自由時間じゃん?ウチ、いい事思い付いたんだけど!」
いい事だと?
どうせロクでもねェんだろ?
テメェのそのスポンジケーキ頭から、いい事が思い浮かぶワケねェだろ。
「みんなで、クルーザーで一泊しようよ!」
「…はぁ?」
何言ってんだこのバカは。
言ってる意味がわかんねェんだけど。
「ケッ、バカかテメェは。なんで俺までそんな事しなきゃいけねェんだよ。ンなもん、1人で勝手にやってろ。」
「何その言い方!ひどい!…せっかく、乗り物が好きな狗上っちのために提案したのに。」
「うるっせェな、そんなクソ企画のためにクルーザーを使うなっつってんだよ。んな事もわかんねェのかバカ。」
「バカっていう方がバカなんだよ!言っとくけど、もう班の他のみんなには説明して、みんな賛成してくれてるから!多数決したって、9対1だよ!残念でした!」
あー、うぜェ。
コイツのこういう所が嫌いなんだよ。
班決めの時も、俺が余ってるからって無理矢理班に入れやがって…
別に余ったわけじゃねえし。
バカ共の馴れ合いに付き合うのがメンドクセェだけだし。
「で?どうすんの狗上っち?参加すんの?しないんだったら、島で留守番よろしくね。」
「うるせェなクソが!二度と面見せんな!!」
「おい、理御!!」
俺が部屋から出ようとすると、後ろから頭を掴んで邪魔する奴がいた。
チッ、この野郎…名前で呼ぶなって何度言えばわかるんだクソが!!
「おいデカブツ!!テメェ、名前で呼ぶなっつったよなぁ!?学習能力がねェのかテメェにはよぉ!!」
「そんな事より理御、夏美が考えた計画に参加してくれよ!夏美はお前のために企画したんだからな!」
「だから、そんなクソ企画に俺を巻き込むなっつってんだよ!バカ共と馴れ合うなんて、想像しただけで吐き気がすんだよ!」
「そんな事言うなよ!みんな、理御に楽しんでほしくて企画したんだからよ!」
「うるせェな!!んな事どうでもいいんだよバーカ!!俺を巻き込んでんじゃねえよ!!テメェらで勝手にやってろ!!」
「いいじゃねえかよぉ、理御!」
「ホント、狗上っちはケチだよね!素直に参加するって言えばいいのに!」
「なんだよテメェら!!揃いも揃って…気色悪りぃんだよクソが!!ああもう、やってられるかっての!!」
チッ、誰が参加するかそんなクソみてぇな企画。
俺は、部屋を抜け出した。
「おい、待てよ理御!!」
「郷間っち、狗上っちを逃さないで!!」
「おう、任せとけ夏美!!」
俺は、いきなりデカブツに掴まれた。
「は!!?何してんだよテメェ!!殺すぞ!!」
「理御!!お前が参加するって言うまで、俺は絶対に離さねえぞ!!」
「は!?おい、ふざけんな!!離せっつってんだよ!!んだよ、結局は実力行使かよ!…わぁったよ、参加すりゃあいいんだろ!!」
「やったー!ありがとう狗上っち!」
「ありがとう理御!!」
「うるせェ!!下の名前で呼ぶんじゃねえ!!テメェら、マジで殺すぞ!!」
…ったく、あのバカ共が俺の邪魔ばっかりしやがるから、参加するって言っちまったけどよ…
「よお狗上!お前、近藤の企画に参加してくれるんだってな。」
あぁ?
誰かと思えば、サッカー野郎じゃねえか。
コイツも確か俺と同じ班だったな。
コイツも、俺に馴れ馴れしく話しかけてくるから嫌いだ。
「うるせェ。何の用だ。」
「いや、ちょっとお前と話がしたいなって思ってよ。」
「はぁ?」
「お前さぁ、いっつもみんなと壁作って、一人だっただろ?だから、ちょっとでもお前がみんなと仲良くできたらいいなって…それで、近藤は今回の企画を思いついたんだよ。」
「ケッ、余計なお世話なんだよ。俺は、一人が好きなんだ。馴れ馴れしく俺に関わんじゃねえよ。」
「おーいー、そんな事言わないで、みんなで仲良くしようぜ!」
「うるせェっつってんだよ。テメェら、揃いも揃ってベタベタくっついてきやがって。気持ち悪りいんだよ。失せろ。」
「あーあ、相変わらず冷てえな。」
なんだコイツ。
笑ってやがる。
ホント気色悪りい…
「あのさ!」
「…んだよ。」
「ちゃんと楽しんでくれよな。」
「…チッ。」
コイツといるとなんかイライラすんだよな。
俺をコケにしやがって…ふざけんなよテメェら。
後で絶対潰してやる。
ー廊下ー
ったく、どいつもこいつもふざけやがって…
余計なお世話だっつってんだろうがよ。
「あ、リオンにい。」
今度はクソガキかよ。
「うるせェ。下の名前で呼ぶなっつってんだろ。殺すぞクソガキ。」
「キャー!リオンにいこわーい!」
ナメてんのかコイツ…
「ねえねえ、明日はクルーザーで一泊するんでしょ?楽しみだなー!あーちゃん、お泊まり大好きなんだー。」
クッソどうでもいい。
こっちは、朝っぱらからクソ共に絡まれて機嫌が悪りいんだよ。
どっか行ってろクソガキが。
「…おい。俺にちょっかいかけにきたのか?目障りだから消えろ。」
「いきなり消えろだって!ひどいな、リオンにいは!あーちゃんはリオンにいが怖いから、部屋でラジコンで遊んで静かにしてるよ。」
クソガキは、見覚えのあるラジコンを取り出した。
いや、見覚えがあるっつーか…
「おい!!クソガキ!!テメェ、何やってんだコラァ!!」
「何って?ラジコンで遊んでるんだけど。悪い?」
「悪い?じゃねえよ!!それ、俺のだぞ!!ふざけんなクソガキ!!テメェ、返せコラァ!!」
「やだよーだ。部屋に放置しておくほうが悪いんだよ!これはもうあーちゃんの物だもんね!」
「うるせェ!部屋に置いてあった物を盗むとか、泥棒じゃねえかテメェ!!早く返せ!テメェ、マジでブチ殺すぞ!!」
「にゃははー!リオンにいこわーい!よいしょ、返してほしけりゃここまでおいでー!」
クソガキは、俺のラジコンの上に乗って逃げた。
「ふざけんなオイ!!テメェ、壊したら殺すぞ!!」
「怖ーい!でも、まずはあーちゃんを捕まえなきゃじゃないのー?」
「ざけんなコラァ!!待てクソガキ!!」
「おーにさーんこーちら!手ーの鳴ーるほーうへ!」
「ブチ殺してやる、クソが!!」
「にゃはははー!今のあーちゃんは、風のようにサッソウとこのリゾートホテルを駆け抜けるのだ!あーちゃんのカイシンゲキは、誰にも止められないよー!ん?のわぁああああああああああああああああ!!」
「ん?おわぁああああああああああああ!!」
クソガキが、何かにぶつかった。
その衝撃でクソガキはラジコンから弾き飛ばされた。
一方で、ぶつかった奴も、当たり負けして地べたに尻餅をついていた。
「いっちちち…す、脛…!」
「にゃああああ!おでこぶつけたー!いたーい!全く、誰だよこのヤロー!!あーちゃんのキューティーフェイスに傷をつける気か!」
「うるせェクソガキ。いきなり飛び出してきやがって。おかげで脛を打ったじゃねえか。なんでラジコンなんかに乗ってんだよ…!」
クソガキとぶつかったのは、陰キャだった。
「ったく…お前は、目を離すとすぐに余計な事するからな。当分は俺が見張る。」
「なにそれ!サトにいのドケチ!ってゆーか、離してよ!あーちゃん、今リオンにいに狙われてんの!」
「何わけのわかんねェ事言ってんだ。…ん?おい、このラジコン、もしかして狗上。お前のか?」
「チッ…そうだよ。早く返せクソが。」
「ああ、悪い…おい。クソガキ。どういう事だ?なんでお前が狗上のラジコンに乗ってたんだ?」
「えーっと…」
「はぁ、お前…また人の物盗んだのか。ほら、人に迷惑かけたんだから謝れよ。俺も一緒に謝ってやるから。」
陰キャは、ガキの頭を掴んで無理矢理謝らせた。
「狗上。コイツが、お前のラジコンを盗んじまって悪かったな。ほら、コイツも反省してるから、許してくれ。」
「ごめんなちゅわーーーーーい!!許してチョンマゲー!ぶりぶりー!」
クソガキは、変顔をキメながら俺に謝ってきた。
ぜってェ反省してねえだろコイツ。
ああ、もう怒りが一周回ってどうでもよくなってきた。
ホントメンドクセェ…
「チッ…次やったら殺すからな。」
「悪いな、狗上。…ほら。行くぞ。」
「へー。」
チッ、本当にメンドクセェなコイツら…
ー翌日ー
「お、狗上。お前、ちゃんと来たのか。ありがとな。」
気安く話しかけてくんじゃねえよ、サッカー野郎が。
チッ…うるせェな、ったく…
俺はクルーザーに乗り込んで、フリースペースのイスに座った。
「メンドクセー…」
「あ、狗上っち!」
「…あぁ?」
またチビが話しかけてきやがった。
コイツ、暇なのか?
「ねえ、ウチ、新作のスイーツ作ってみたんだけど、食べない?」
「甘めェモンは嫌いだっつってんだろ。どっか行け。」
「ふーん、じゃあいいよ。向こうにいるムズっちと森万っちに食べてもらうから。ねえ、二人とも!ウチの新作スイーツ食べない?」
「おや、またお菓子を作ったのですか?それは楽しみですね!」
「フッ、貴様がそこまで言うなら、食ってやらん事もないぞ。」
「わーいありがと!」
チビは、外人とインチキ野郎にスイーツを振る舞った。
俺は、クソ共との馴れ合いなんてごめんなんだよ。
勝手にやってろバカ共。
「美味しいですね、近藤さん。こんなに美味なお菓子が食べられるなんて、夢心地です。」
「フッ、そうだな。こんなに美味いんだから、他の奴らにも振る舞ってやれ。」
「ホント!?ありがとう!…でもね、さっきお菓子を配ろうとしてた人には、断られちゃったの。」
「それは本当ですか?こんなに美味しいのに?全く、その人の思考回路がどうなっているのか、私には到底理解できません!」
あぁ?
なんだコイツ。
何俺の方を見て言ってやがる。
「フッ、全くだ。どこのどいつかは知らんが、ソイツはよっぽどバカなんだな。…それにしても、哀れな奴だ。近藤の誘いを断るなんて。」
おい、インチキ野郎。
何見てんだ。
殺すぞ。
「あの…私達、まだその方のお名前を伺っていないのですが…何という方だったのですか?」
「うーんっとねえ、確か、頭がサボテンみたいにツンツンしてて、すぐに怒る短気なおバカさんだったよ。えーっと、女の子みたいな名前だったんだよなー。」
絶対わざとだろ。
コイツら、俺をバカにして遊んでるのか。
くだらねェ。
どんだけ煽られようと、絶対出てきてやんねェ。
「フッ。そんな奴だったのか。どんな間抜け面しているのか、見てみたいものだ。なあ、カークランド。」
「はい。近藤さん。私達は、その方の名前が分からないので、代わりに呼んで頂けませんか?」
「わかった!今呼ぶね!おーい!!理御くーん!!」
「うるっっっっっせェんだよクソが!!テメェら、そんなに俺を煽って楽しいか!?アァ!!?どいつもこいつもナメたマネしやがって、殺すぞゴミが!!」
「あ、狗上っち。いたんだ。全然気づかなかった!」
「嘘つけ!!テメェら、俺が見てるのを知っててやっただろ!?ふざけんなよカス共が!!」
「まあまあ、狗上さん。一旦落ち着きましょう。あまり怒ると、血圧が上がってしまいますよ。」
「黙れ外人野郎!!いっつもヘラヘラしてクソ共に媚び売りやがって、気持ち悪りいんだよテメェ!!」
「そんな、ひどいです狗上さん!私、そんなつもりじゃなかったのに…!」
「あー!狗上っちがムズっちを泣かしたー!サイテー!」
「年下を泣かせるなんて、恥ずかしいと思わんのか貴様は。」
「うるせェ!!どうせ嘘泣きだろうがよ!さっきから何がしてェんだテメェらは!!」
「折角、狗上さんも誘って一緒に近藤さんのお菓子を食べようと思っていたのに…!」
「って言ってるけど?」
言ってるけど、じゃねえよ。
テメェが言わせたんだろクソチビ。
さっき俺が菓子を断ったのを根に持ってんのか。
「テメェらさっきから鬱陶しいんだよクソが!!…わぁったよ、食えばいいんだろ食えば!」
「わー、すごい食べっぷり!…どう?」
「チッ、はいはい美味い美味い。これでいいだろ。」
「何その適当な感想!…もう怒った。こうなったら、ウチのスイーツなしじゃ生きていけない体にしてやる!!」
「え、おい…なんだその手に持ってんのは…おい、やめろ…」
「食らえーっ!!」
「モガっ!?もごっ…」
おい、マジで窒息するからやめろバカ!!
ヤバい、これ…
オチる…
ーフリースペースー
「…あ?」
「なんだ、目が覚めたか犬。」
俺の視界には、なぜかクソサド女が映っていた。
「どうなってんだこれ…」
「フンッ、居眠りが貴様を見つけて、私を呼んできたんだ。生ゴミでも拾ったのかと思って見てみたんだが、やっぱり生ゴミだったみたいだな。私は、その口にスポンジケーキを突っ込まれてのびてる生ゴミをここまで運んで、看病してやったんだよ。この私に感謝しろ!!」
チッ、よりによってコイツかよ…
この女、うるさいから嫌いなんだよな。
自分を神かなんかだと思い込みやがって、気持ち悪りいんだよ。
…ところで。
「なんでテメェに居眠り女がへばりついてんだよ。コアラかコイツは。」
「知らねェよ。貴様を看病してたら、急にへばりついてきたんだ。正直、ハラワタが引きちぎれるくらい鬱陶しいんだが、もういちいち反応すんのもめんどくせェから無視する事にしたんだ。神は寛大だからな。これくらいの無礼は許してやるのだよ。」
「Zzz…」
マジかよ。
このクソサド女、よく居眠り女がへばりついてんのに我慢できるな。
そういや、コイツら仲良かったっけ。
…すっげェどうでもいいけど。
「Zzz…Zzz…」
おい、待て。
コイツ、よく見たら少しずつずり落ちてねえか?
「…と、いうわけで、まあ結局私は全知全能の神だって事だな!!ふははははははははははは!!!」
「ふにゃあ…」
ドサッ
「…あ?」
「にゃむ…」
居眠り女が、クソサド女から落ちた。
「…きゅう。」
コイツ、落ちてもまだ寝てやがる。
どんだけ寝れば気が済むんだよ。
「…むにゃ。」
「は?」
居眠り女は、いきなり俺に抱きついてきやがった。
なんなんだコイツ、寝ぼけてんのか!!
「クッソ、離せコラァ!」
なんなんだコイツ!?
なんで寝てる時に限ってこんな馬鹿力なんだよ!?
「あ、ラッキー。抱き枕が馴染んだようだな。じゃ、私はやる事があるから。」
「は!?おい待てコラ!!逃げる気か!!」
「私は、一応貴様の治療はしてやったからな。ぶっちゃけ、その後の事など微塵も興味が無い。愚民同士仲良くやってろ。」
「あ、おい!テメェ待てコラクソサド女!!」
チッ、アイツ、逃げやがった。
後で覚えてろよ。
ー廊下ー
「Zzz…」
「痛っ…!おい、髪を引っ張んな!離せバカ!!」
「Zzz…」
クッソ、コイツ…馬鹿力すぎて引き剥がせねェ…!
どうなってやがんだコイツの腕力は!
「にゃうー。」
「痛たたたたたたた!!おい、離せって!」
コイツ、なんで頭皮ばっかり狙ってくるんだよクソが!
俺をハゲにする気か!
…ん?あれは…
キモヲタじゃねえか。
何してんだアイツ。
ニヤニヤしながら歩きやがって。
気持ち悪りいんだよ。
「おい、キモヲタ。テメェ、何やってんだよ。」
「む!?これはこれは、狗上氏ではありませぬか…って!?狗上氏、なぜアンカーソン氏に抱きつかれているのでありますか!?」
「コイツが寝ぼけてしがみついてきたんだよ。おい、テメェもこの女剥がすの手伝え!」
「う、羨ましいですぞ!!なぜ吾輩以外の男子諸君ばかり、アンカーソン氏に抱き枕にされるのでありますか!!この前だって、玉木氏や森万氏にしがみついたり、郷間氏やエカイラ氏の布団の中に入ってきたり…挙句の果てに、菊池氏やカークランド氏には寝ながらプロレス技をかけてきたり…!羨ましいですぞ!吾輩も、アンカーソン氏にそんな事されたいであります!!なのに、なんで吾輩だけには一度もしてくださらないのでありますか!!他のクラスメイトにはしょっちゅうやってるくせに!」
「そんな事俺に言われても、知るかクソが!!ただテメェがキモいから避けてるだけだろ!」
「き、キモいとな…!?アンカーソン氏は、見た目で人を判断するような人ではありませぬぞ!そうでありましょう!?」
「にゃむ…」
居眠り女は、しがみついた体勢のまま俺の服の中に隠れやがった。
「おい、何やってんだバカが!!」
「…くぅ。」
居眠り女は、さっきより強い力で俺にしがみ付きやがった。
…そんなにキモヲタが嫌かよ。
「なっ…!アンカーソン氏!!ひどいであります!人を見た目で判断するなんて、最低ですぞ!!」
「テメェの場合、見た目だけじゃなくて中身もキメェだろ。」
「狗上氏…!ひどいですぞ!」
うるせェ。
いい加減自分のキモさを自覚しやがれキモヲタが。
「…で?テメェはなんでこんな所にいんだよ。」
「吾輩とした事が、すっかり元の目的を忘れておりました。…狗上氏、耳を澄ましてみなされ。」
「あぁ?」
部屋のドアから、女の声が聞こえてきた。
「床前先輩!お風呂上がったっスよ。」
「…そうですか。では、私も入りましょうかね。」
「やっぱり、海を眺めながら入るお風呂は最高っスねぇ〜!すごく気持ち良かったっス!」
キモヲタが、ニヤニヤしながら俺の方を見てきた。
「…ムフフ、聞こえましたか?レディ達の無邪気な声が。」
「聞こえたからなんだ。」
「ムフフ…それで、これを見てみてくだされ。」
「あぁ?」
壁には、穴が開いていた。
「これ、実は脱衣所が見えるのであります!」
「はぁ?」
「ムフフ…ここからなら、レディの美しい裸体を拝み放題でありますぞ!」
何言ってんだコイツ。
死ぬほど気色悪りい。
そんなんだから居眠り女に嫌われんだろ。
「むぅ…!角度が悪くて見えにくいであります!もっとこっちに近づいてくだされ!」
コイツ、本当に気持ち悪りいな。
今までいろんなクズ野郎を見てきたけど、ここまで吐き気を催すクズは初めて見たぞ。
こんな奴に付き合うのもバカバカしいし、カタブツ女か仏頂面あたりに突き出して…
…あ。
「お、いいですぞ!その角度であります!そうそう、そのままパンツを脱いで…」
「その後はどうするのですか?織田様。」
「ひぎゃあっ!!?は、ははははははは速瀬氏!!?」
「…キモい。最悪。死ね。」
「い、射場山氏まで…なんで…!?」
「貴方が不審な行動に出たら直ちに制裁を加えられるよう、貴方の動向をチェックしていたのです。」
「そしたら、やっぱりこんな下衆な事してたってわけ。あんた、マジでそろそろ殺すよ?」
「い、いや…ちょ、ちょっと待ってくだされ…吾輩はただ、壁の模様を見ていただけでありますぞ…!やましい事など、何もありませぬ!」
「うっさい。今更言い訳できると思うな。あんたみたいなクソ野郎は、殺した方が世のため人のためなんだよ。」
「えぇええええ!?いや、ちょ、ホントに待ってくだされ!吾輩を殺したところで、一体何になるっていうのでありますか!吾輩を殺したって、誰も幸せになれませぬぞ!!」
「少なくとも私達女子は、あんたが死ねばいくらか平和な学園生活が送れると思ってるんだけど。そういうわけだから、覚悟しなカス野郎。」
「いやだあああああああ!!ヤメロー!シニタクナーイ!」
あーあ、こりゃあもう助からねえわな。
散々キメェ事やってきたからだよ。身から出たサビだな。ご愁傷様。
ガチャ
「…。」
部屋から、地味女が出てきた。
「と、床前氏!」
「あら、どうかなさいましたか織田さん?」
「床前氏!助けてくだされ!今、射場山氏と速瀬氏に命を狙われているのであります!!吾輩、何も悪い事していないのに…!」
「まあ!織田さん、かわいそうに…」
「でしょう!?早く吾輩を助け…」
「…ところで織田さん。いかがでしたか?私の脱衣シーンは。」
「…へ?」
「あら。気づいていないとでもお思いですか?最初から、全部バレバレですよ。あなたが鼻息を荒くしながら私を見ていた事も、それを射場山さんと速瀬さんが見ていた事もね。射場山さん達に確実にあなたを殺させるために、わざとあなたに見られる位置にいたんです。下着に手をかけた時の興奮っぷりといったらもう、吐き気通り越して笑っちゃうくらい気持ち悪かったですね。」
「な、なぜそんな事を…」
「あなたに死んでほしいからに決まってるでしょう?気持ち悪いんですよ、あなた。そろそろ死んだ方がいいですよ。」
「…なっ、と…床前氏…そんな…!」
「じゃあ、私はこれにて失礼します。お二人とも、その汚物は煮るなり焼くなり好きにしてくださいな。」
「え、ちょ、待ってくだされ!床前氏…!」
「…さて、これではっきりしました。どうやら貴方にはきついお仕置きが必要なようですね。」
「いやだああああああああああああああああ!!!」
フン、いい気味だ。
「良かったな、女に遊んでもらえて。ちゃんと楽しめよ。」
「ちょっと、狗上氏!?まさか、吾輩を見捨てる気でありますか!?」
「見捨てるも何も、俺はテメェの共犯者じゃねえからな。あばよ。」
「待て。」
仏頂面が俺の肩を掴んできた。
「…あ?」
「逃がすと思ってんのか。あんたの事も殺すに決まってるでしょ。」
「はぁ?なんでだよ。言ってる意味がまるでわかんねぇぞ。地味女を覗いてたのは、キモヲタだけだろ。」
「うっさい黙れ。悪事を見て止めようとしないのも、悪事をしているのと同じなの。あんたら、まとめて潰してやるから覚悟しな。」
「おい、ふざけんな!!なんで俺までこんな目に遭わなきゃなんねえんだよ!!」
「フフフ、いい気味ですぞ狗上氏。吾輩を見捨てようとするからバチが当たったのであります。男同士、死ぬ時も一緒ですぞ!さあ、共に地獄に落ちましょうぞ!」
「ふっざけんなクソがあああああああああ!!!」
ー30分後ー
俺とキモヲタは、カタブツ女と仏頂面にボコボコにされた。
俺がここまでこっぴどく女に殴られる日が来るとは…
「…。」
「ぶ、ぶべら…い、射場山氏…今日は、右ストレートが重かったでありますね…」
キモヲタは、殴られてもヘラヘラしていやがった。
さすがは変態だな。ゴキブリ並みにしぶといメンタルしてやがる。
「うわぁ…なんスか、この地獄絵図は…」
バカ女が部屋から出てきた。
「…ん。見ての通り。織田と狗上だったものよ。」
「ホントっスか?もうほとんど原型とどめてないっスけど…」
「お二人は、小川様と床前様の部屋を覗こうとしていらっしゃったので、私共で懲らしめておきました。」
黙れカタブツ女。俺は覗いてなんかねえっつーの。
音楽バカのブスと、陰キャを追いかけ回してるメンヘラ女の部屋なんざ、誰が覗くか。
「でも、これはちょっとやりすぎじゃないっスか?もう人間の体じゃないっスよ…」
「…バカは死なないと治らない。」
「いや、バカは死んでも治らないっスよ。」
ツッコむとこそこじゃねえだろ、バカが。
「…ふわぁ。」
なんだ、居眠り女がやっと起きたのか。
っていうか、俺が殴られてる間、コイツはどこにいたんだよ。
ずっと寝てたくせに一人だけトンズラしやがって、卑怯な女だ。
「あ、アンカーソン先輩。どこに行ったのかと思えば、狗上先輩達と一緒にいたっスか。」
「…あんな変態共と一緒にいて、何かされなかった?」
おい。どういう意味だコラ。
俺とキモヲタを同列に扱ってんじゃねえよ。
「ふわぁ…ええと…狗上が、全裸の上にトレンチコートを着て、僕を追いかけ回して…」
は!!?
何言ってんだ居眠り女テメェコラ!!
俺がいつそんな事したってんだ!?ふざけんじゃねえぞクソが!!
「はぁ!?なんスかそれ!!メチャクチャ変態じゃないっスか!!」
「…最悪。」
「…っていう夢を見たんですけどぉ…って、聞いてますかみんな…?」
「やっぱ、あんたは最悪の変態男ね。あれじゃあまだお仕置きが足りなかったかしら?」
「はあ!?おい、ふざけんな!やめ…!」
ゴシャッ
ー数分後ー
クッソ…
居眠り女のせいでエラい目に遭った…
「あれ?えーと…狗上…君?」
猫女が俺のところに来た。
「ちょっと待ってね。今手当てするから。」
なんなんだこの女…
馴れ馴れしく接してきやがって。
「…これで良しっと。ねえ狗上君。」
「…チッ、何の用だ。」
「あのさ、ちょっとデッキに行かない?今、外の景色綺麗だよ。」
「あぁ…?」
「ほら、早く行こ!」
「あ、おい、待て!引っ張んな!」
ーデッキー
「ほら!」
猫女は、俺をデッキまで引っ張ってきた。
デッキからは、俺達が泊まっていた島が見えた。
周りが夜空と暗い海だって事もあって、その島がとりわけ目立って見えた。
「ね?綺麗でしょ?」
「…悪くねえな。」
「だよね!…近藤さんがこの企画を提案してきた時ね、絶対に狗上君にこの景色見せてあげようって思ってたんだ。」
「…あぁ?なんだそれ。」
「ただのクラスメイトの気まぐれです。」
「はぁ?何言ってんだお前。」
「…にししっ。」
「何がおかしくて笑ってんだ。」
ったく…コイツといるとホント調子狂うな。
「ねえ、あそこ見てみなよ。」
「あ?」
猫女が指差した先には、電光掲示板で文字が書かれていた。
HAPPY BIRTHDAY
INUGAMI RION
その周りに、次々と花火が上がる。
「…あ。」
…そうだった。
そういえば今日で16だったな。
「狗上君さ、今日誕生日でしょ?だから、みんなでサプライズしようって決めてたの。狗上君、あんまりみんなと仲良くしないからさ。全然好みとかわかんなくて…だから、こんな形になっちゃったんだけど…気に入ってくれた?」
「…チッ。」
「そう。やっぱダメかー。」
「…花火。」
「え?」
「ガキの頃、親父と船のデッキで花火を見たんだよ。…それを思い出してな。だからよ…チッ、悪くなかったよ。」
「そっかー!気に入ってくれたみたいで何よりだよ!」
「うるせェ。」
「ハッピーバースデートゥーユー♪」
「うおあっ!!?」
オカマ野郎が、いきなり後ろから出てきやがった。
顔の下が照らされてるせいで、ただでさえ不気味な顔がより一層不気味になっていた。
「な、なんだテメェ…!」
「アラ。ビビりすぎよ、リオンちゃん。せっかくケーキ持ってきてあげたのに。」
「脅かすんじゃねぇよ…テメェの顔、ただでさえホラーなんだからよ。」
「ちょっと!それ、どういう意味よ!」
「伏木野君、とりあえず、後ろから急にヌッて出てくるのはやめてくれるかな…今夜中だし、心臓に悪いからさ…」
「アヤカちゃんまで!?ひどいわぁ!」
なんなんだこのオカマは…
変な奴ばっかのクラスの中でも、コイツがダントツでブッ飛んでんだよな。
なんなんだよ。『超高校級の死神』って。
「アラ綺麗。あ、そうだ。写真撮りましょ。リオンちゃん、ちょっとそこ立って。」
「下の名前で呼ぶんじゃねえよ。」
「ほら、そう言わずに。そこ立ちなさい。」
「log₃9はー?」
なんでわざわざややこしい言い方すんだよ。
普通1+1だろ。
「…にー…」
パシャッ