ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

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第1章 非日常編①(捜査編)

『ウチのお菓子食べて元気出しなよ!』

 

 

 

 

…どうして。

昨日まで、あんなに元気だったのに。

みんなのために飯作ったりとかしてくれてたのに。

今までの全てを否定するかのように、体温を失った近藤は横たわっていた。

昨日まであんなに輝いていたその瞳は、濁りきって何も映さなくなっていた。

産まれて初めて目の当たりにする惨殺死体。

俺の頭は完全に思考を停止し、声を出すことすらままならなかった。

 

「…うっ…うう…」

 

その声に、我を取り戻した。

部屋の隅で、床前が蹲って泣いていた。

…多分、床前が第一発見者だったんだろう。

「大丈夫か?…って、大丈夫じゃないよな。…立てるか?」

「…は、はい…すみません…。私…近藤さんの事が心配になって、探してたんですけど…見つけたらこんな事に…私、ショックで気を失ってしまって…すみません…!」

「床前は悪くないよ。とりあえず、一旦落ち着こう。…って言っても、こんな状況じゃすぐには落ち着けないよな。」

「…すみません、私…怖くて…」

「…そうだよな。でも、みんなが来るまで、ここで一緒に待とう。な?」

上着を床前の肩に被せる。

「…はい、ありがとうございます。」

 

開いた扉の奥から、人影が迫ってくる。

その人影は、走って部屋にやってきた。

「遅れて登場セーラーあーちゃん!月に代わってオシオキよ!…って、サトにいどうしたの?コ●ンの被害者の第一発見者みたいな顔して。」

「…珍しく絶望的に分かりにくい例えが的中したな。」

「ほぇ?それってどういう…」

アリスは、近藤の死体を見た。

「はぎゃあああああ!?な…ナツねえ…死んどる!!そうだ、とりあえずオソーシキの準備しとこ!でもオソーシキってつまんないからあーちゃん嫌ーい!…まあ、出た事無いんだけどねー。」

「黙れ。」

クソガキが不謹慎な発言をしているうちに、他のみんなも集まってきた。

「…おい、嘘だろ…?」

「クソッ…畜生ッ…守れなかった…クソォッ!」

「…なんて事。」

「近藤さん…」

「そんな、こ、近藤が…」

「わぁあああああ!!?こ、近藤先輩!?」

「…嘘でしょ。近藤さんが、なんで…!」

「…近藤、あんた…なんでこんな…!」

「ぎゃあああああ!!こ、近藤氏が、近藤氏が…!!」

「これもまた定めか…人死んだマジで怖いお家帰りたい

「ケッ、こんな事だろうと思ったよ。情けねえな、愚民が。」

「…チッ。」

目を見開いて驚く玉木と射場山。

目の前の悲劇に動揺しつつも冷静に状況を分析する速瀬とジェイムズ。

ショックのあまり、その場に座り込むリタ。

壁を殴りながら自分の非力さを悔いる郷間。

叫び声を上げて慌てふためく織田と小川。

口を手で塞ぎながら泣く猫西。

ガクガクと震えながら強がる森万。

普段と何も変わらない神城と狗上。

それぞれが、仲間を失って、悲しみ、そして犯人への怒りを抱いた。

 

『うぷぷぷぷ!全員揃ったみたいだね!…全く、あんだけ啖呵切ってたくせに、こんなにあっさり殺されちゃってさ!なっさけない女だよね!!』

『全くでちゅ!…まあ、こうなるのは()()()()()んでちゅけど。』

『ちょっと、そういう事言わないの!このポンコツハムスター!』

『ひぃいい〜!ごめんなちゃ〜い!!』

突然現れた二匹のぬいぐるみが、目の前でプチ漫才を始めた。

「あ、クマちゃんにハムちゃん!」

「おっ、お前らは…!」

「おい、郷間。一旦落ち着け。」

『あれ?なんかボクたち、嫌われてない?モノクマ&モノハムといえば、希望ヶ峰学園の二大マスコットだよ!』

「うるせぇ。」

「ねえ、嘘でしょ…?近藤さんが死んだなんて…ドッキリかなんかだよね…?」

『猫西サン、このご時世、『実は生きてました』とか、『実は全部ドッキリ』でした、なんてオチが許されると思ってんの!?ねえ、モノハム教頭。』

『ちょの通りでちゅ!ちょこに転がってるのは、紛れもなく近藤様の死体でちゅ!』

「お前らが…夏美を…兄弟を殺したのか…!」

『は?何言ってんの?頭大丈夫オマエ?そのゴリゴリの筋肉に、脳みその栄養全部持ってかれてない?』

 

『もうわかっているはずでちゅ。近藤様を殺ちたのは、紛れもなく皆様のうちの誰かなのでちゅ!』

 

…そうだ。

本当はわかっていたはずだ。

この中に、殺人犯がいるんじゃないかって事は。

でも、そうじゃないって信じていたんだ。信じたかった。

その信頼は、モノハムの一言によって、いとも容易く砕かれて散った。

 

「じゃあなんだ、夏美を…俺たちの兄弟を殺した犯人は、ひとりで帰郷したいって事かよ…クソッ、そんなの…まかり通っていいのかよ…!?」

『うんうん、そうだよね!みんなからしたら、大切な仲間の命を奪った殺人犯が、のうのうとここから抜け出すのを黙って見逃すわけにはいかないよね!…という事でオマエラに、罪人を裁くチャンスを与えます!』

「チャンス…?」

『皆様、合宿の心得の6ちゅめを覚えていまちゅか?』

「…『誰かを殺したクロは帰郷となるが、誰かに自分がクロだと知られてはいけない』というルールでしたね。」

『ちょうでちゅ!今から、ちゃんとルールを守って殺ちぇてたのかどうかの審査を行なうのでちゅ!』

『ルールは簡単!今から一定時間、オマエラには近藤サンの殺人事件の捜査をしてもらう。その後行われる全員参加型の学級裁判で、近藤サンを殺したクロが誰かについて議論をし、見事クロを当てられたら…』

全員が、息を飲んで次の言葉を待つ。

 

 

 

『…そのクロを、おしおきしまーっす!』

 

は?

なんだそれは。

完全に後付けルールじゃないか。

「おい、なんだその後付けルール!聞いてねえぞ!」

『うっさいなあ!これだから最近の若者はさあ!すーぐに『聞いてない』『知らなかった』とか言って責任転嫁しようとするんだから!ホントそういうの良くないよ!』

「…お、おしおきって、一体何されるんですか…?」

『うぷぷ…それはね…裁判が終わってからの、お楽s『ざっくり言ってちまうと、処刑でちゅ!ぴっきゃっきゃ!』

『コラァー!何ネタバレしてくれてんの!?オマエそろそろクビにするよ!?』

『わぁあああ〜!オイラまたやっちゃいまちた〜!オイラのかわいちゃに免ぢて許ちてくだちゃ〜い!!』

『どこがかわいいの?どこぞのとっとこハムスターみたいな声して、あざといんだよオマエ!今回は特別に許すけど、次やったらおしおきだからね!』

『お、おちおきは勘弁ちてくだちゃ〜い!』

二匹は、また漫才を始めた。

「…先程『見事クロを当てられたら』と仰いましたよね?…外した場合は、どうなるのですか?」

『おっ、さすが速瀬サン!いい質問!…もし間違った人をクロにしちゃった場合は、真犯人は約束通り帰郷、それ以外のみんなには、おしおきを受けてもらうよ!』

「…そ、そんな…!」

「なんスかその無理ゲー!自分らはまだ、近藤先輩があんな事になって動揺してるのに…」

『ちょちたら全員死ぬだけでちゅよ?死にたくないなら、ちょの足りないおちゅむをフル回転ちゃちぇて、クロを見ちゅけてくだちゃいな。』

無茶だ。

こんな状況下で、冷静に正確な判断が下せる人間はそういない。

それに、俺たちは警察でも探偵でもない。

死体現場の調査に関しては、全員素人だ。

そんな状態で真実を暴くなんて、不可能に等しい。

…だが、今の俺たちに、モノクマの無茶な提案に抵抗するだけの力も勇気もあるはずがなかった。

ただ一人を除いては。

 

 

「ふざけんな!!」

『おや?郷間クン、どうしたの?』

「何が学級裁判だ、何がおしおきだ。ふざけんな!結局、どうなっても最低一人は死ぬって事じゃねえかよ!そんなの、俺は認めねえ!たとえ人殺しでも、兄弟の中に殺されていい奴なんているわけないだろ!」

『な、なんと〜!?まちゃか、学級裁判をボイコットちゅるちゅもりでちゅか!?』

『そんなの、許されるワケないだろー!!どうしても裁判をやめさせたきゃ、ボクたちを倒してからにしろー!』

『えぇえ!?が、学園長…ボク()()って、ちゃりげなくオイラを巻き込まないでくだちゃいよ!』

 

ゴッ

 

郷間が、モノクマとモノハムを掴んで壁に叩きつける。

『ぎゃぶっ!』

『ぐえっ!』

「悪いな。こっちは毎日鍛えてんだよ。大工の息子ナメんじゃねえ!」

「いいぞお兄ちゃん!もっとやれー!」

「そうだウド、そのまま綿埃共をギッタギタに踏みつけてボロ雑巾にしろ!」

バカ女二人が、調子に乗って郷間に便乗した。

「今すぐこんなフザけたマネをやめろ!」

『ひぃいい!!最近の若者は怖いでちゅ〜!が、学園長〜!このDQNなんとかちてくだちゃいよ〜!』

『ボクに言わないでよ、ボクは万能な青ダヌキロボットじゃないぞ〜!た、たすけて〜!グングニルの槍!』

モノクマが叫んだ瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

郷間の身体に、無数の槍が突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かっ…あ…なん、だ…こ、れ…俺…まだ、しにたく…な…」

 

その言葉を最期に、郷間は息絶えた。

郷間の周りには緋い水溜りが広がり、独特の、吐き気を催すような生臭い匂いが部屋中に立ちこめた。

さっきまでの『郷間権蔵』という人間を全否定するかのように、郷間は、物言わぬ屍となった。

 

…え?

え?え?え?嘘だろ?

さっきまであんなに元気だったのに、なんでこんなにあっさり…

おい、嘘だよな…こんなの、全部悪夢だ。

早く覚めろ。…覚めてくれ。

 

 

 

 

…これ以上、俺を絶望させないでくれ。

 

 

 

 

 

「うえ゛ぇええええええ!!お兄ちゃんが、あーちゃんの大好きなお兄ちゃんが死んじゃったよー!!」

「おい、嘘だろ…なあ、郷間…?」

「嘘でしょ…こんなの嫌…いやぁあああああああああ!!!」

「…あ、あああ…郷間さんが…郷間さんが…」

「ぎぃやぁあああああああ!!!ご、郷間先輩が郷間先輩が郷間先輩が…」

突然の出来事に動揺する玉木。恐怖のあまり叫ぶ猫西。

立ち尽くして、抜け殻のようになる床前。ショックで冷静さを失う小川。

わざとらしく泣くアリス。

「ひぎゃああああああああ!!郷間氏が…郷間氏が…!!」

「…そんな、郷間様が…」

「郷間さん…!」

「…そんな、郷間が…!」

ショックで叫ぶ織田。いつものポーカーフェイスを崩す速瀬。

常にうっすら笑っている顔を驚きの表情に変えるジェイムズ。

いつも眠そうな目を見開くリタ。

「…嘘。」

「嫌だもう無理こんなの耐えらんない早くお家帰りたい誰か助けて…」

「ひっ、ひぃいいいい!!か、完璧なこの私に同じようなマネしたら地獄行き確定だぞ!」

「…ケッ。悪趣味な野郎だ。」

呆然と立ち尽くす射場山。恐怖のあまり本音を漏らす森万。

郷間に便乗していた事で、処刑されるのを恐れる神城。

モノクマ達への怒りを露わにする狗上。

みんな、大切な仲間を目の前で失って、動揺と悲しみに打ちひしがれていた。

 

『うっぷぷぷ!まーったく、オマエラ調子乗りすぎ!!学園長と教頭への暴力は禁止って言ったじゃん!見せしめだよ見せしめ!これに懲りて、もう逆らおうなんて考えないでね!』

『ちょこのおちゅむの軽いおふたりも、郷間様と同ぢような事ちたら今みたいに串刺ちにちゅるから、気をちゅけてくだちゃいね!』

「あーちゃんおつむ軽くないもん!!」

「天才のこの私に指図するな!」

そうは言いつつ、自分の事言われてるって自覚してんじゃねえか。

 

『じゃあ、勝手に死んだ脳筋は置いといて、捜査を開始しちゃいましょう!オマエラには特別に、こちらをプレゼントします!』

しおりが急にバイブしたので確認すると、『モノクマファイル』と書かれたファイルが転送されていた。

「な、なんですかこれ…」

『ド素人の皆様では、殺人現場の調査は難ちいと思いまちて。オイラ達からの、心ばかりのプレゼントでちゅ!殺人現場の詳ちい状況が書かれていまちゅ。ぢぇひ、有効に活用ちてくだちゃいな!』

「…ふうん。じゃあ、便利なファイルも貰った事だし、早く捜査始めないと。」

『おや?射場山サン、やけに積極的だね!脳筋が死んだ事で吹っ切れた?』

「…別に。犯人の思い通りに動きたくないだけ。」

射場山の言う通りだ。

俺だってまだ、気持ちの整理ができていない。

仲間を二人も失って、冷静でいられるわけがなかった。

…それでも、俺たちはやるしかないんだ。

俺は覚悟を決めた。

 

 

 

 

ー《捜査開始》ー

 

…とりあえず、まずはモノクマファイルを確認しよう。

 

 

モノクマファイル

被害者は『超高校級のパティシエ』近藤夏美。

死体発見現場は、西エリアのモノクマーメン遺跡内部の黄金の間。

死亡推定時刻は1:30頃。

死因は、心臓部の負傷による失血及び心停止。

胸部に刺し傷が一ヶ所あり、心臓に到達している。

また、被害者の全身には打撲痕が見られる。右腕と、肋骨が数本骨折していると思われる。

 

コトダマゲット!【モノクマファイル】

 

「…次は、死体を調べないと…」

近藤の死体は、衣服を脱がされてキャミソール姿になっていた。

全身に、生々しい痣が見られる。

…犯人にやられたのか。

こんな小さな体に…さぞ痛かっただろうに。

「…ごめんな。こんな事になるまで気づいてやれなくて。苦しかったよな。」

「き、菊池氏…なぜ、近藤氏は制服を脱がされているんでしょうかねえ?」

「…お前、よくこんな無残な死体に興奮できるな。」

「はっ!…さては、そういうプレイが行われていたんじゃ…」

「やめろ。近藤の前で。不謹慎だろ。」

 

コトダマゲット!【衣服を脱がされた死体】

 

「…検視は誰がする?」

「できれば、医療に詳しい方にお願いしたいのですが。」

ジェイムズが、神城の方を見る。

「フン!愚民が私に命令する気か!?恥を知れ!!」

「チッ…このクソサド女。」

「えーっと、自分は神城先輩のゴッドハンドをぜひ見てみたいっス!自分みたいな愚民の厚かましいお願いではありますが、拝見させていただいてもよろしいっスか?」

「…騒音、テメェは自分の立場をわきまえてんじゃねえか!いいだろう、今日の私は機嫌がいい。特別に、この私が一肌脱いでやるよ!!」

…扱いやすいのかにくいのかどっちなんだ。

「これで、検視役は決まった…」

「しかし、仮に神城さんが犯人だった場合、証拠隠滅の可能性が考えられます。見張りを付けた方が宜しいのでは?」

「テメェ、愚民の分際で私を疑ってんのか!?この恥知らずが!!」

「そうだな…ジェイムズは頭脳派だから捜査の方に回ってほしいし、射場山の目の良さと集中力も捜査向きだしな…」

「…あ、あの…私がやりましょうか…?」

名乗り出たのは、床前だった。

「いいのか?」

「…はい、私、特に役に立つ才能が無いですから…私が一番適任だと思います。他の皆さんは、捜査をしてください。」

「念のため、もう一人見張りをつけとくか…そうだな、リタ、お願いできるか?」

「ふわぁ…僕ですかぁ?」

「…え、アンカーソンさんでいいの?この子、すぐ寝ちゃうよ?」

「捜査中に寝られる方が厄介だからな。床前もいるし、大丈夫だろ。」

「…まあ、そうだけど。」

「…僕も、見張りの方がありがたいですぅ。僕は疲れるの嫌いですぅ。」

「よし、じゃあ決まりだな。頼むぞ三人とも。」

「フン、検視なんざこの私が秒で終わらせてやんよ!!」

「…え、えっと…アンカーソンさん、一緒に神城さんの見張り、頑張りましょうね。」

「…ふわぁ。床前の事も見張りますよぉ。僕、寝ないようにがんばりますぅ。」

結局、遺跡内は神城が検視を、狗上が遺跡内の探索を、床前とリタが見張りをする事になった。

 

 

 

ー遺跡前ー

 

「何かめぼしいものが無いか、探さないと。…ん?」

足元の地面に、何かが埋まっているのに気がついた。

「…うわっ、すごいぬかるんでるな。」

ここ数日雨なんて降ってないのに、なんでこんなぬかるんでんだよ。

 

コトダマゲット!【ぬかるんだ地面】

 

俺は、地面を掘り起こしてみた。

そこには、割れた石のカケラが入っていた。

「…あれ?なんか文字が書いてある…」

俺は、石のカケラの回収を始めた。

「うげっ…手がグチャグチャだ。汚ねぇな。」

「…これ使う?」

「うおっ、射場山か。…なあ、この石版…何か心当たりあるか?お前は、最初に遺跡を探索してたよな?」

「…モノクマーメンの呪い。」

「え?」

「…この部屋を探索した時に見つけた石板に書かれてた内容。この島には、古代に『モノクマーメン』っていう王がいて、その墓がこの遺跡らしい。この部屋で王に無礼を働くと、王に呪いをかけられて死ぬっていう話。」

「俺が探索に来た時は、そんなの無かったけどな…」

「…もし、あんたが持ってる石がその石版なら、誰かが割って、そこに埋めたのかも。」

 

コトダマ入手!【モノクマーメンの呪いの石版】

 

「そっか…なあ、射場山。アリバイを聞いてもいいか?俺は部屋で寝てた。お前は?」

「…あの時間帯じゃ、誰も証明なんてできないし…個室にいたからなんとも言えないけど。…同じく部屋で寝てた。」

「まあ、そうだよな。夜時間は出歩き禁止って事になってるし。」

「なあ、一応お前の凶器を教えてくれるか?…お前の事を疑いたくない。」

「…ライフル。」

「…随分と物騒だな。ありがとな、教えてくれて。」

「…ん。」

「えっと、確かジェイムズ達はホテルのゴミ処理室の探索に行ってたな。俺もそっちに向かうか。」

 

 

 

ーゴミ処理室ー

 

「おう、ジェイムズ、玉木、速瀬、森万。そっちは順調か?」

「ええ、まあ。幾つか、発見した事があるので、報告しておきますね。」

「…ここに来る途中に、泥のシミのようなものが点々と続いていました。」

「泥のシミ…?」

「ああ。あと、ここに泥溜まりが…」

 

コトダマゲット!【泥の痕】

 

「それから、焼却炉のスイッチを切って中を確認した所、焼却炉の中からこんな物が。」

速瀬は、黒く焼け焦げた何かを見せてきた。

見たところ、近藤のセーラー服と、誰かの靴のようだ。

靴の方は完全に炭化して誰の物かはわからないが、近藤のセーラー服は燃え残り、よく見たらかなり汚れている。

 

コトダマゲット!【汚れたセーラー服】

 

コトダマゲット!【炭化した靴】

 

「でも、おかしいよな。」

「何が?」

「ゴミ処理室は、夜時間は立ち入り禁止だった筈だ。立ち入り禁止の柵も降りてた筈だし…」

「犯人がこんなものを仕込んだとするなら、どうやって中に入ったんだろうな。」

「森万さんなら、犯行時の状況が解るのではありませんか?」

「フン、悪いなカークランド。生憎、俺は調子が悪くてな…」

ダメだこりゃ。

「まあ、手がかりになるかはわかんねえけど、こんな物を見つけたぞ。」

玉木は、壊れた機械のようなものを見せた。

見たところ、ドローンのようなものらしい。

「どうしたんだこれ?」

「焼却炉の近くに落ちてたんだ。」

 

コトダマゲット!【壊れたドローン】

 

「森万さん、本当に事件当時の事は解らないんですか?この儘では、全員処刑されてしまいますよ。…例えば、死体に刺さってた刃物は、誰が持っていたのかとか…」

「ひっ!!?」

「おい、ジェイムズ。おどかしてやるなよ。」

「?」

「こちらからの情報は以上です。」

「…なるほどな。」

 

コトダマゲット!【森万の弱点】

 

「なあ、最後に、お前らのアリバイを聞いてもいいか?」

「私は、部屋で寝ていましたね。」

「俺もだな。」

「私も、同じく。」

「お、俺は、ずっと気配を探っていたが、なぜか昨日は調子が悪くてな…」

「なるほどな、ありがとう。」

…確か一応売店の方に猫西が探索に行って、一緒に織田、アリス、小川がくっついてったんだっけ。

俺も行ってみよう。

 

 

 

ー売店ー

 

「おう、猫西。お前、なんで売店の探索を?」

「いや、売店から何か持ち出されたものがあるかもって思って。その確認にね。」

「何かわかったか?」

「うーん…証拠になるかはわかんないけど…こんな物が落ちてたよ。」

猫西が、小さな玉のような物を見せてきた。

見たところ、アクセサリーのビーズらしい。

 

コトダマゲット!【売店のビーズ】

 

「なるほどな。…他に、なんか気づいた事とかあるか?」

「探索中に気付いたことじゃないんスけど。」

「何だ?言ってみろ。」

「…昨日、近藤先輩の様子がおかしかったんスよ。」

「と、いうと?」

「自分の料理に、全く手をつけていなかったっス。…おかしくないっスか?」

「…確かに。一口も食ってなかったのか?」

「ええ。そりゃあまあ。」

 

コトダマゲット!【料理に手をつけない近藤】

 

「吾輩からも、ちょっとした報告があります。」

「何だ?」

「昨日の夜目が覚めて、一応怪しい行動をする者がいないかどうか、ドアをうっすら開けて外の様子を見ていたのであります。」

「お前の方が怪しいだろ…」

「…確か、1時過ぎだったでありましょうか。部屋から、近藤氏が出ていくのを見たのであります。」

「だろうね。遺跡で見つかったわけだし。…それで?」

「数分後、人が出ていくのを見たのであります。」

「それは誰だったんスか?」

「…確か、床前氏でありました。」

「嘘、床前さんが…?」

「ナギねえが犯人だったのかー!!」

「まだそうと決まったわけじゃねえよ。…だが一応、頭の隅には置いておく必要がありそうだな。」

 

コトダマゲット!【織田の証言】

 

「あ、そうそう!あーちゃんからもホーコク!」

「くだらねえ事しか言わねえ気なら聞く気は無えぞ。」

「くだらなくねーし!!聞けよ!!ナツねえの事!!」

「近藤の…?おい、詳しく聞かせろ!」

「え?何?サトにい、もしかしてナツねえの事好きなの〜?」

「いいから聞かせろ!!」

「…ナツねえがね、昨日、変な事言ってたんだ。」

「変な事…?」

「えっとね、確か『やるしかない。みんなごめん。』って言ってたかな、うん。」

「…。」

 

コトダマゲット!【近藤の独り言】

 

「そういや、お前ら事件当時は何してたんだ?…ずっと覗きをやってた織田はさておき。」

「あーちゃんは夢の中にいたよ!昨日はね、あーちゃんがプ●キュアになって、怪人キチクサトーシを倒す夢だったよ!」

「人を勝手に怪人にするな。…お前らは?」

「私も寝てたね。」

「自分も寝てたっスよ。」

「なるほど、これで全員の仮のアリバイを聞いたわけだ。」

そろそろ、神城が何か情報を掴んだ頃だろうか。

俺は、再び遺跡に戻った。

 

 

 

ー黄金の間ー

 

他のみんなも、遺跡に集合した。

「なあ、狗上。何か遺跡におかしなところとか無かったか?」

「…特に。荒らされた形跡とかも無かったよ。」

「そうか。」

「おい、愚民共!!検視が終わったぞ!!」

「二人とも、神城が変な動きしたりとかしなかったか?」

「はい、大丈夫です…!」

「…大丈夫でしたよぉ。」

「神城、なんかわかった事はあったか?」

「なんだモブ。今日はやけに私に対する敬意が薄いんじゃないのか!?えぇ!?」

「人が死んでるんだ、そんな事気にしてる場合じゃねえだろ!」

「はああ!?モブキャラのくせに生意気なんだよ!!」

「まあまあ…神城先輩、お願いできませんかね?」

「フン、騒音が言うなら話してやらん事も無い!…この死体に刺さってた刃物、どうやら金箔で装飾されているナイフらしい。」

 

コトダマゲット!【金箔のナイフ】

 

「あと、この死体に見られる外傷は全部、約8〜9時間前に、それも全部短い間隔で負傷したものだと分かった。あと、打撲痕が胴体に集中してる。これが何を意味するかわかるか?」

「わかんないっスね。」

「チッ、これだから愚民はよぉ!!全部説明しなきゃわかんねえのかよ!!…要するにスイーツは、犯人から一方的に暴力を受けてたって事だよ!!手足よりも胴体の方が、面積が大きくて殴りやすいからな!」

 

コトダマゲット!【近藤の打撲痕】

 

「…なるほどな。…なあ、神城。一つ聞いてもいいか?」

「なんだモブ。くだらん事だったらハリ倒すぞ!!」

「…鶏肉が食えない病気とかってあったりするか?」

「…なんだその質問?バカなのかテメェ!」

「いいから教えてくれ。」

「チッ…まあ、弱っちい老人とガキが生の鶏肉を食ってカンピロバクターに感染して、食中毒でおっ死ぬって言う話はよく聞くけど…そうじゃねえんだろ?」

「違うな…そういうんじゃないんだ。」

「そうじゃないとすると…」

神城は顎を触りながら、上を向いて考え込んだ。

「あ。」

「どうした?」

「あるぞ。心当たりがな。」

「本当か?教えてくれ。」

「…アナフィラキシーショックだよ。」

「あ、あなふぇ…?なんスかそれ?」

「アナフィラキシーショックだっつってんだろうがバカが。…アナフィラキシーショックは、外来抗原に対する過剰な免疫応答が原因で、好塩基球表面のIgEがアレルゲンと結合して血小板凝固因子が全身に放出され、毛細血管拡張を引き起こす事で起こり、最悪の場合死に至る。ハチ毒で起こる事が多いが、アレルギー食品でも十分起こり得る病気だ。鶏肉の場合、アレルギー患者数自体が少ないからなんとも言えんが…アレルギー食品である以上、あり得ん話じゃない。」

 

コトダマゲット!【アナフィラキシーショック】

 

「床前、リタ。お前らもお疲れさん。」

「…あ、菊池さん…お疲れ様です…」

「なあ、お前ら。何か気になった事とか無いか?」

「…ええと、そういえば、その…こんな状況になってしまって、言いにくいんですけど…」

「どうした?」

「…私のナイフが、盗まれてしまって…」

「は!?」

「…今朝、引き出しを開けたら無くなってて…そのナイフが、こんな形で見つかってしまって…言ったら疑われると思って、言い出せませんでした…」

 

コトダマゲット!【床前の証言】

 

「…部屋の中にあって盗まれたって事は、部屋に招いた奴に盗まれたんじゃないのか?誰か、動機発表後に部屋に入れたりしたか?」

「えっと…はい。猫西さんと、近藤さんをお部屋に入れました。」

 

コトダマゲット!【『超高校級の幸運』の個室の立ち入り状況】

 

「そういや、お前ら犯行当時は何してたんだ?」

「…ふわぁ。寝てましたぁ。」

「…チッ、部屋で寝てたよ。」

「この私がアリバイを話してやろう!!私は、部屋で寝ていたぞ!!」

「えっと…私は…なかなか寝付けなくて、売店に行っていました。…ご、ごめんなさい…夜時間は出歩いてはいけないのは知っていましたが、どうしても眠れなくて…確か、1時過ぎくらいでしょうか。」

「散歩でもして時間を潰そうとしてたわけか。その事を証明出来たりとかするか?」

「えっと…証明になるかはわからないですけど…実は売店で、猫西さんに貰ったビーズのブレスレットが突然切れてしまって…急いでビーズをかき集めて、部屋に戻ってからはブレスレットを作り直してました。」

床前は、ポケットからブレスレットを取り出した。

虹色のグラデーションのビーズが、キラキラと輝きながら環状に並んでいる。

だが、グラデーションは完全なものではなく、一箇所だけ不自然な色の並びだった。

 

コトダマゲット!【床前のブレスレット】

 

…これで、一応全員分のアリバイは聞けたわけか。

 

コトダマゲット!【事件当時のアリバイ】

 

「なあ、神城に狗上。お前らは、自分の凶器を言ってなかったよな。…俺も、お前らを疑いたくない。教えてくれないか?」

「…チッ、工具セットだよ。」

「フン、特別に教えてやろう!!医療用メスだよ!!」

…これで、全員の凶器が判明したな。

 

コトダマゲット!【配布された凶器】

 

『オマエラ、時間切れです!ついにこの時がやってきました!お待ちかねの学級裁判、始めるよ〜!5分以内に、ホテル一階の赤い扉まで集合してね〜!』

『遅刻欠席は許ちまちぇん!!問答無用でおちおきちゃちぇていただきまちゅ!!』

…赤い扉。

そういえば、そんなのあったな。

しおりのマップにも書いてあったし。

…間に合うように、そろそろ移動しないと。

じゃあ、近藤、郷間。行ってくるよ。

 

 

 

ー赤い扉前ー

 

俺が扉の前に着くと、既に10人は集まっていた。

ちなみに、一番乗りは森万だったらしい。

…やっぱりビビりなんじゃねえか。

いつもはレストランに遅れてくる狗上と神城は、珍しく早く来ていたようだった。

アリス、ジェイムズ、リタは俺より後に来た。

「…眠い。」

「ごみーん!!待った〜?」

「申し訳ありません…遅れました。」

「貴方方、ギリギリ過ぎます!あと9秒遅かったらお仕置きを受けていましたよ!?」

「すみません…途中、珍しい蝶が飛んでいたもので、つい…」

「あーちゃんもちょうちょにムチューになって追っかけちゃった!ごみーん!」

蝶に気を取られるってお前ら…

よっぽど図太いのか、それともこの状況を理解していないのか…

『オマエラ、ちゃんと時間内に来たね!そこの不思議トリオはギリギリだったけど!』

『とりあえぢゅ扉は開けておいたので、エレベーターに乗り込んでくだちゃい!皆様を裁判場へとお送りちまちゅ!』

そう言うと開かずの赤い扉が開き、エレベーターが現れる。

俺は、エレベーターに乗り込んだ。

エレベーターの内部は、広々としており、高級感の漂う空間だった。

全員がエレベーターに乗り込むと、エレベーターの籠が動き出す。

 

震えが止まらない。

俺たちは、今から命を懸けて戦わなければならない。

それも、ここにいる全員と。

この中に、近藤を殺した犯人がいる。

そいつを指摘できれば、そいつが死んで俺たちは生き残る。

でももし間違えたら…

…全員で一人を見殺しにするか、死ぬか。運命は二つに一つだ。

どちらにせよ、誰かが死ななきゃならない。

…それでも、俺は戦うと決めた。

志半ばで死んでいった、近藤と郷間の無念を晴らすために。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

『ここで、皆様にクイヂュのお時間でちゅ。この中で、近藤様を殺害ちた犯人は誰だと思いまちゅか?』

 

 

 

『超高校級の弁護士』菊池論

 

『超高校級の???』アリス

 

『超高校級のサッカー選手』玉木勝利

 

『超高校級のパティシエ』近藤夏美

 

『超高校級の実況者』猫西理嘉

 

『超高校級の秘書』速瀬吹雪

 

『超高校級の大学教授』ジェイムズ・D=カークランド

 

『超高校級の外務大臣』リタ・アンカーソン

 

『超高校級の演奏家』小川詩音

 

『超高校級の庭師』郷間権蔵

 

『超高校級の漫画家』織田兼太郎

 

『超高校級の幸運』床前渚

 

『超高校級の操縦士』狗上理御

 

『超高校級の超能力者』森万羅象

 

『超高校級の弓道部』射場山祐美

 

『超高校級の外科医』神城黒羽

 

 

 

『…ちょうでちゅか。…ではでは、答え合わちぇは、またの機会に。』

 

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