ダンガンロンパリゾート   作:M.T.

9 / 75
第1章 非日常編②(学級裁判編)

チーン、という聞き慣れた音と共に全員を乗せたエレベーターの籠が止まった。

エレベーターの扉が開く。

視界の先には、証言台が環状に並んでいた。

奥の方にはモノクマとモノハムの席があり、二匹が座っていた。

『全員着いた〜?それじゃ、みんな自分の名前が書いてある席に立ってちょうだいね!』

俺は、自分の席に着いた。

席は、時計回りに玉木、小川、狗上、速瀬、郷間、リタ、織田、射場山、俺、アリス、ジェイムズ、床前、森万、近藤、猫西、神城の順番に並んでいた。

目の前に、胸糞悪い光景が広がっていた。

 

近藤と郷間の席には、無邪気な笑みを浮かべる近藤と郷間のモノクロ写真に、赤いペンキで大きくバツが書かれた遺影が置かれていた。

「なんなんだよこれは!!」

『見ての通りでちゅ。亡くなった近藤様と郷間様の遺影でちゅよ。』

「悪趣味なマネしやがって…一体何が目的だ!?」

『目的って言われてもなあ。だってさ、二人をのけ者にしちゃかわいそうでしょ?』

『これは、仲間を亡くちて絶賛傷心中の皆様へのチャプライヂュでちゅ!今、どんな気持ちでちゅか?死んだ二人にまた会えたみたいで嬉ちいでちゅか?』

「人の事をコケにしやがって…!」

『は?オマエラなんて、コケ以下の雑菌だっつーの!』

『学園長!お口が悪いでちゅ!』

『あらら。失礼〜。それじゃあ、全員席についた事だし、始めよっか!!ドキドキワクワクの学級裁判を!!』

 


 

コトダマ一覧

 

 

 

【モノクマファイル】

被害者は『超高校級のパティシエ』近藤夏美。

死体発見現場は、西エリアのモノクマーメン遺跡内部の黄金の間。

死亡推定時刻は1:30頃。

死因は、心臓部の負傷による失血及び心停止。

胸部に刺し傷が一ヶ所あり、心臓に到達している。

また、被害者の全身には打撲痕が見られる。右腕と、肋骨が数本骨折していると思われる。

 

【衣服を脱がされた死体】

近藤の死体は服を脱がされ、キャミソール姿になっていた。

 

【ぬかるんだ地面】

遺跡前の地面がぬかるんでいた。

 

【モノクマーメンの呪いの石版】

割れた石版が、地面に埋まっていた。

モノクマーメンの呪いについて書かれた石版らしい。

 

【泥の痕】

ゴミ処理室の近くまで続いていた。

 

【汚れたセーラー服】

焼却炉の中に入っていた。おそらく近藤のものだろう。

防火素材だったため、燃え残ったようだ。

 

【炭化した靴】

焼却炉の中に入っていた。

持ち主は不明。

 

【壊れたドローン】

焼却炉の近くに落ちていた。

 

【森万の弱点】

『刃物』という単語を聞くだけで震え上がるほど重度の先端恐怖症らしい。

 

【売店のビーズ】

売店に落ちていたのを、猫西が発見した。

 

【料理に手をつけない近藤】

近藤は昨晩、何故か自分の手料理に全く手をつけなかったという。

 

【織田の証言】

1時過ぎに、近藤が部屋を出て行った後で、床前が部屋から出ていくのを見たという。

 

【近藤の独り言】

近藤は昨日、『やるしかない。みんなごめん。』と言っていたらしい。

 

【金箔のナイフ】

近藤殺害に使われたナイフ。金箔で装飾されている。

 

【近藤の打撲痕】

近藤の打撲痕は、胴体に集中している。何者かから暴力を受けたらしい。

 

【アナフィラキシーショック】

アレルギー物質が体内に入り込むと起こる病気で、最悪死に至るという。

 

【床前の証言】

昨晩、部屋からナイフが盗まれたらしい。

 

【『超高校級の幸運』の個室の立ち入り状況】

床前は昨晩、近藤と猫西を部屋に入れたという。

 

【床前のブレスレット】

昨晩、売店でブレスレットが切れてしまい、拾ったビーズでブレスレットを作り直したらしい。

よく見ると、グラデーションが一箇所だけ不自然だ。

 

【事件当時のアリバイ】

床前以外は、全員部屋で寝ていたとの事。

床前は、寝付けなくて売店を彷徨いていたらしい。

 

【配布された凶器】

俺はロープ、アリスは日本刀、玉木は砲丸、近藤は菌、猫西は拳銃、速瀬は十徳ナイフ、ジェイムズは化学薬品、リタは裁縫セット、小川は吹矢、郷間は金属バット、織田はバール、床前は金のナイフ、狗上は工具セット、森万は手品セット、射場山はライフル、神城は医療用メスが配布されていた。

 

 

 


 

 

 

学級裁判開廷

 

 

 

速瀬「まずは何から話し合いましょうか。」

狗上「…おい陰キャ。テメェの本職だろうが。ボサッと突っ立ってねえで、なんか言えや。」

菊池「俺に言ってるのか?…そうだな、まずは被害者の状況とかを話し合うのが定石だろうな。」

ジェイムズ「それでは、モノクマファイルを確認するのは如何でしょうか?」

菊池「そうだな、まずはファイルを確認すべきだ。」

玉木「あ、じゃあ俺が読み上げるわ。」

 

玉木「被害者は『超高校級のパティシエ』近藤夏美。死体発見現場は、西エリアのモノクマーメン遺跡内部の黄金の間。死亡推定時刻は1:30頃。死因は、心臓部の負傷による失血及び心停止。胸部に刺し傷が一ヶ所あり、心臓に到達している。また、被害者の全身には打撲痕が見られる。右腕と、肋骨が数本骨折していると思われる。…と、こんなところか?」

アリス「なんでナツねえは死んじゃったのかなー?」

菊池「さあな。…まずは、犯行の状況について議論してみたらどうだろうか。」

速瀬「そうですね、状況が分からなければ、議論を進行できません。」

狗上「…んだよ、サッカー野郎もカタブツ女も外人もやけに慣れてんな。」

速瀬「まあ、仕事柄裁判に出席した事があるので。…そんな事より、議論を始めましょう。」

 

 

 

議論開始!

 

 

 

床前「近藤さんは、どうやって殺されてしまったんでしょうか…」

猫西「さあね…それを今から話し合わないと。」

ジェイムズ「…とりあえず、近藤さんは刺殺されたと言う事だけは判るのでは?」

織田「全身に打撲痕があると言う事は、撲殺の可能性も考えられますぞ!!」

小川「そうっスね、刺殺だと決めつけるのは良くないっス!」

 

【撲殺】←【モノクマファイル】

 

「それは違うぞ!」

 

論破

 

菊池「織田、近藤の死因は撲殺じゃないぞ!!」

織田「な、なんですと!?」

菊池「モノクマファイルをよく見て欲しい。死因は、心臓部の負傷による失血死及び心停止とある。そして、胸部に刺し傷…これって、鋭利な刃物で胸部を刺されて殺されたって事だよな!?」

リタ「…ふわぁ。確かに、近藤の胸からは血がたくさん出てましたぁ。」

神城「スイーツの胸にも刃物が刺さってたしな。おそらく、あれが凶器だ。」

アリス「はい!あーちゃん、わかっちゃった!!」

玉木「おう、どうしたあーちゃん?」

アリス「あのねあのね、あーちゃん、一人怪しい人知ってるよ!」

小川「ホントっスか!?誰っスかそれは!?」

アリスは、左側を指差して言った。

アリス「ツラにいだよ!!」

 

森万「…俺!?」

森万は、一瞬なぜ自分が疑われたのかわからない、という様子だった。

ジェイムズ「アリスさん、何故森万さんが犯人になるのですか!?」

アリス「だってさ、ツラにいは超能力者なんでしょ?どこにいたって、シュンカンイドーとかサイコキネシスとかで人一人くらいカンタンに殺せるじゃん!」

ジェイムズ「だからって…森万さんに限って、そんな事あり得ません!!」

森万「…フン、カークランドの言う通りだ。俺は、自分の信条に反する能力は使わん。」

射場山「…どうだか。…少なくとも、殺人を実行できる能力を持っている事は、みんなの前で言ってるわけだし。それで犯人にされても文句言えないわよね?」

森万「そ、それは…」

狗上「ケッ、そういうこった。このインチキ野郎。このままペテンを続ける気なら、テメェは人殺しの超能力者って事になるぞ。…それが嫌なら、潔くペテンを認めるんだな。」

森万「うっ、うう…違うもん…俺は超能力者だけど、本当にやってないもん…」

森万が泣き始めた。

…なんか見ててかわいそうになってきたし、弁護してやるか。

 

【人殺しの超能力者】←【森万の弱点】

 

「異議あり!!」

 

論破

 

菊池「…森万、安心しろ。自分に不利な供述をする必要は無い。なぜなら、()()()()()()()()()()()()()()()んだからな!!」

狗上「あぁ?インチキ野郎にだけは、犯行は不可能だったってどういう事だよ?」

菊池「みんな、よく思い出してみてほしい。…森万は、刃物という単語を聞いたり連想したりするだけで震えあがっちまうような、極度の先端恐怖症だったんだ!!」

猫西「うーん、それなら犯行は無理そうだね。…だって、仮に森万君が本物の超能力者だったとしても、サイコキネシスで刃物を動かす時点でアウトなわけだもんね?」

森万「フ、フン!そういう事だ!」

森万(まさか、俺の恥ずかしい弱点が決め手になるとはな…)

ジェイムズ「そうです、だから言ったじゃないですか。森万さんは、殺人なんてしていません!」

アリス「そうなのかー。ごみーん、あーちゃん間違えちゃったー!」

菊池「…お前なあ、そうやってすぐに人を犯人だって決めつけるもんじゃねえぞ。現代日本の司法は、推定無罪が原則だ。」

アリス「でもさー、今のサイバンと実際のサイバンって、全然違うよね?全員殺す気でやらないと、自分が死んじゃうんだよー?」

菊池「だったら尚更だ。安易な判断で寿命を縮める気か。…あと、あんまり死ぬとか殺すとか平気で使うな。」

アリス「はーい!じゃあ、ちゃっちゃとギロンの続きやろーよ!」

菊池「…そうだな。」

猫西「うーん…じゃあ、次は近藤さんが殺された時の状況について、もう一回考えてみない?ファイルの読み上げじゃ、不十分だったと思うし。」

速瀬「そうですね。」

 

 

 

議論開始!

 

 

 

菊池「…モノクマファイルによると、打撲や骨折…刺殺による怪我以外にも、色々怪我してるな。」

床前「酷い…近藤さんが、なんでこんな目に…」

猫西「じゃあさ、この打撲痕がなんでついたのか、話し合ってみようよ。」

小川「転んだ…とかじゃなさそうっスね。」

リタ「…ふわぁ、どこかに体当たりしたんじゃないですかぁ?」

ジェイムズ「誰かから暴行を受けたのでは?」

 

【暴行を受けた】←【近藤の打撲痕】

 

「その意見、賛成だ!!」

 

同意

 

菊池「…近藤は、誰かから暴力を振るわれて殺されたんだと思う。…そうだよな、神城。」

神城「ああ、モブの言う通り、スイーツの身体の打撲痕は、暴力を受けた奴によく見られるものだった。」

アリス「なる…じゃあナツねえは、フルボッコにされたあげく殺されるくらい犯人さんに恨まれてたのかな?」

猫西「でも、それと犯行の関連性はまだわからないままだよね。」

速瀬「…兎に角、今は事件の概要を明らかにする事が先決です。…そうですね、まずは凶器の特定でしょうか。何方か、凶器に心当たりがある方は?」

菊池「…あれがそうじゃないか?」

 

コトダマ提示!

 

【金箔のナイフ】

 

「これだ!!」

 

菊池「近藤の腹に刺さってた金箔のナイフ。おそらく、それが凶器だ。」

小川「あれ?ちょっと待ってくださいっス。…それだと、もう犯人は決まっちゃったんじゃないっスか?」

アリス「それな!!犯人さんカクテーイ!!」

猫西「菊池君、この中にナイフの持ち主がいるよね?」

 

ナイフの持ち主。…それは。

 

 

 

人物指定

 

 

 

『超高校級の弁護士』菊池論

 

『超高校級の???』アリス

 

『超高校級のサッカー選手』玉木勝利

 

『超高校級のパティシエ』近藤夏美

 

『超高校級の実況者』猫西理嘉

 

『超高校級の秘書』速瀬吹雪

 

『超高校級の大学教授』ジェイムズ・D=カークランド

 

『超高校級の外務大臣』リタ・アンカーソン

 

『超高校級の演奏家』小川詩音

 

『超高校級の庭師』郷間権蔵

 

『超高校級の漫画家』織田兼太郎

 

『超高校級の幸運』床前渚

 

『超高校級の操縦士』狗上理御

 

『超高校級の超能力者』森万羅象

 

『超高校級の弓道部』射場山祐美

 

『超高校級の外科医』神城黒羽

 

 

 

菊池「このナイフの持ち主はお前だ、そうだな?床前!」

床前「え…ええと…」

 

反論!

 

アリス「ちょっとそれはナットクできないかなー。」

 

 

 

アリス「ねえねえー、そうやってすぐ決めつけんの良くないんじゃない?ナギねえがナイフ持ってたっていう根拠は?」

菊池「…お前はどっちの味方なんだ。」

アリス「それは置いといて、あのさ。なんでナギねえがナイフの持ち主って事になるのさ?ナギねえの配布された凶器がナイフだからって、ナギねえが犯行に使われたナイフの持ち主とは限らなくない?他にも同じナイフを持ってる人がいたかもじゃん!」

今のアリスの発言はおかしい!

 

コトダマ提示!

 

【配布された凶器】

 

「その愚論、切らせてもらう!」

 

菊池「報告会の時に、全員の凶器を確認したな?…犯行に使われたナイフを持っていたのは、床前しかいないんだ!」

床前「…!」

狗上「ケッ、まさかテメェが犯人だったとはな。地味女。」

神城「よくもこの私を欺こうとしたな!!覚悟はできてんのか!?あぁ!?」

アリス「ナギねえが犯人だったんだね!!あーちゃん、ナギねえに騙されて悲しいな〜。」

猫西「…床前さん、本当の事を言って。」

床前「えっと…私は…」

菊池「待ってくれみんな。…俺は、床前がナイフの持ち主だとは言ったが、床前が犯人だとは一言も言ってないぞ。」

神城「あぁ!?テメェが、地味が怪しいっつったんだろうがよ!!今更都合いい事言ってんじゃねえぞ!!」

ジェイムズ「まあまあ…とりあえず、床前さんの言い分も聞いてみましょうよ。それで、床前さんが犯人かどうかを判断すれば良いじゃないですか。」

…ジェイムズの言い分が正しい。

床前を一方的に犯人だと決めつけるべきじゃない。

 

 

 

議論開始

 

 

 

玉木「誰か、床前の昨晩の行動がわかる奴はいないか?」

床前「えっと…私は…」

神城「はあ!?もう犯人は地味で決まりだろうが!!今更話す事なんて何も無えよ!!」

アリス「そうだそうだー!これ以上サイバンを引き延ばすなー!あーちゃんもうだるーい!!」

射場山「…うるさい。あんたたち静かにして。床前の声が聞こえないでしょ。」

床前「あ…私の声が小さすぎるせいですよね…ごめんなさい。」

菊池「床前、無理して言う事無いぞ。俺が説明する。」

 

コトダマ提示!

 

【事件当時のアリバイ】

 

「これだ!」

 

菊池「…床前は昨日、寝付けなくて売店にいたらしい。部屋を出たのは1時過ぎだったそうだ。」

猫西「それが本当なら、売店と遺跡は逆方面だし、犯行時刻までに売店から遺跡まで行くのは無理だから、アリバイが立証できそうだね。」

ジェイムズ「…しかし…夜時間は部屋の出入りを禁止していた筈です。何故不用意に彷徨いたんですか。」

リタ「…そうですよぉ。夜くらいは、大人しく寝ててくださいよぉ。」

狗上「外人と居眠り女の言う通りだぜ。疑われるような事してんじゃねえよ。…それとも、お前がチビを殺したのか?」

床前「そ、それは違います…!」

狗上「じゃあなんで外を彷徨いた?」

床前「ご…ごめんなさい…なかなか寝付けなかったので…私、寝る前に少し外の空気を吸わないと眠れないので…」

神城「信用できねえな!おい、誰か地味女を見てた奴はいねえのかよ!?」

…あの証言が役に立つだろうか。

 

コトダマ提示!

 

【織田の証言】

 

「これだ!!」

 

菊池「織田が、犯行時刻の少し前に床前の姿を見ている。外に出ていたのは間違いない。」

狗上「おいキモヲタ!テメェなんでそれを早く言わなかった?」

織田「そ…それは…わ、忘れていて…」

森万「…フン、ごまかしても無駄だ。…大方、姿を見はしたものの、それが床前が犯人だという事を証明する確たる証拠になり得なかった、と言ったところだろう。」

小川「もし床前先輩が犯人じゃなかったら、今度は言い出しっぺの織田先輩が槍玉にあげられるかもっスからね。」

織田「うっ…」

射場山「保身のためにあえて情報を公開しなかったって事?…最低。」

織田「し、辛辣でありますぞ射場山氏!!吾輩にも、言いたくない事はあるのであります!!」

神城「でもまあ、これで犯人が決まったな!!やっぱり、犯人は地味女だったんだよ!!」

リタ「ふわぁ…そうですねぇ。…床前が犯人としか考えられないですぅ。」

床前「そ…そんな…!み、皆さん…私、本当に殺してないんです!信じてください!」

ジェイムズ「…本当に自分の事を信じて欲しいなら、約束は守って欲しかったです。」

床前「…!」

アリス「あのさー、ナギねえ。自分はみんなとの約束破ったくせにさ、みんなには自分をシンヨーしろってゆーのは、ちとムリがあんぢゃないの?」

床前「えっと…」

射場山「…終わったわね。」

床前「違う…私、本当に…」

ちょっと待て、本当にこれでいいのか?

本当に、床前が犯人なのか?

…いや、違う。…真相は、もっと奥深くに眠っているはずなんだ。

『そろそろ、犯人は決まったみたいだね!それじゃあ、投票ター…』

 

「ちょっと待って!」

 

 

 

学級裁判中断

 

 

 

声を上げたのは、猫西だった。

猫西「…まだ、結論を導くのは早すぎるんじゃない?そうでしょ、菊池君。」

菊池「ああ。この議論はまだ、事件の真相にたどり着いていない。」

狗上「あぁ?んだよ猫女。地味女が、チビを殺してねえ証拠でもあんのか?」

猫西「うん。床前さんは、近藤さんを殺してないんだよ!…今からそれを証明したいんだけど、菊池君。手伝ってくれるかな?」

菊池「ああ。一人じゃ不安なら、お前の事は俺が弁護(まも)ってやる。」

猫西「え…菊池君が私を…?えへへ…」

菊池「?ニヤけてないで、早く始めてくれ。」

猫西「あっ、ごめん…コホン、じゃあ説明するね。私は、床前さんは本当に売店にいたんだと思うよ。それなら、犯行時刻までに遺跡には辿り着けないから、床前さんの無実が証明できるよね。床前さんが売店にいたっていう証拠なら、菊池君。君は知ってるはずだよね?」

床前が、犯行時刻の数分前に売店にいた証拠。…それは。

 

コトダマ提示!

 

【売店のビーズ】【床前のブレスレット】

 

「これだ!!」

 

菊池「みんな、これを見てくれ。」

俺はブレスレットを提示した。

神城「はぁ!?これがどうしたんだよ!!」

菊池「これは、猫西が床前にプレゼントしたブレスレットだ。…ちなみに床前はこのブレスレットのビーズを売店でぶちまけちまって、そのビーズをかき集めてブレスレットを作り直したらしいんだ。」

小川「でもそれだけじゃあ、証拠にならないっスよね?」

猫西「じゃあこれならどう?」

猫西がビーズを提示した。

速瀬「何です、それは?」

猫西「私が売店で見つけたビーズだよ。…ねえ、みんな。菊池君が見せてくれたブレスレットをよく見てみて。何かおかしな所は無い?」

ジェイムズ「…あ。このブレスレット、グラデーションが完成していませんね。…使い忘れたビーズがあったのでしょうか?」

猫西「そう。そのブレスレットは、虹色のグラデーションのはずなんだけど、よく見たら完全なグラデーションとは言えないんだ。…そこでこのビーズを、その部分に重ねると…」

小川「あっ!!ピッタリ合ったっス!!」

菊池「それもそのはず。猫西が拾ったビーズは、床前のブレスレットの一部だったんだ。床前は、ビーズを一個だけ回収し忘れたんだろうな。それで、不完全なグラデーションのブレスレットになっちまったんだ。」

射場山「…それが売店で見つかったって事は。」

菊池「そう、床前は、嘘をついていなかったんだ。」

ジェイムズ「…そうだったのですね。床前さん、疑って申し訳ありませんでした。」

床前「いえ…誤解が解けて良かったです。菊池さん、猫西さん、ありがとうございました。」

織田「ん?ちょっと待ってください?では、犯人は誰なんでありましょう!?」

 

 

 

議論開始

 

 

 

織田「近藤氏殺害に使われたナイフは、間違いなく床前氏のものでした。…では、あのナイフは一体誰が、何のために?」

速瀬「恐らく、床前様に罪を着せるためでしょう。…しかし、最大の疑問は、何故床前様のナイフを犯人が持っていたのか、という事でしょうか。」

アリス「ナギねえのナイフは、ナギねえの部屋に置いてあったんでしょ?じゃあさ、やっぱりナギねえが殺したんじゃないの?」

玉木「あーちゃん、さっき、床前は犯人じゃないっていう話になっただろ。」

アリス「あ、そうだったね。ごみんごみん!あーちゃんうっかり〜!テヘペロブスカイト構造☆」

…犯人がどうして床前のナイフを持っていたのか。…それは。

 

コトダマ提示!

 

【床前の証言】

 

「これだ!」

 

菊池「床前は、部屋に置いてあったはずのナイフを盗まれたと言っていた。…そうだな、床前。」

床前「はい…なぜか、ナイフがなくなっていて…皆さんの事を疑いたくないですが、やっぱり誰かに盗まれたのかなって…」

速瀬「部屋の鍵は、鍵自体を盗まれない限り、本人しか開閉出来ない筈です。…床前様の発言が真実だとするなら、床前様が部屋に招き入れた人物が、床前様の目を盗んでナイフを持ち出したという事になりますね。」

射場山「…ねえ、誰か、誰が床前の部屋に入ったのか把握してる奴はいないの?」

猫西「私は床前さんの部屋に行ったよ。…あ、だからって私が犯人じゃないからね!」

神城「信用できっかよ!!」

菊池「…床前の部屋に誰が入ったのか、俺は知ってるぞ。」

…そうだ。アレを提示してみよう。

 

コトダマ提示!

 

【『超高校級の幸運』の個室の立ち入り状況】

 

「これだ!!」

 

菊池「動機が発表されてから近藤が殺されるまでに床前の部屋に入ったのは、猫西と近藤の二人だけだ。」

神城「ほら見ろ!!やっぱテメェが犯人じゃねえかよ猫!!」

猫西「私じゃないってば…私は、ただ床前さんとお話してただけで…」

小川「でも、床前先輩の部屋に入ったのは、近藤先輩以外には猫西先輩しかいないっス。」

ジェイムズ「…近藤さん以外には…」

ジェイムズが、小さな声で呟いた。

ジェイムズ「Was it possible (そんな事あり得るのか)…?Well(いや)Assuming that (そうだとするなら)…」

ジェイムズが英語でブツブツと独り言を言い始めた。

菊池「…どうかしたのか?」

ジェイムズ「あ、いえ…菊池さん、床前さんの部屋には、本当に近藤さんと猫西さんしか入室されていないのですよね?」

菊池「そのはずだが…」

ジェイムズ「もし猫西さんが犯人ではないとなると、可能性がもう一つ考えられます。…そして、その可能性が仮に真実だった場合、全ての辻褄が合うんです。」

狗上「チッ、どうしたんだよ外人。言いてぇ事があんならさっさと言いやがれ。」

ジェイムズ「…突拍子の無い事を申し上げる自覚はありますし、今から私が申し上げる事を不愉快に感じる方もいる事でしょう。…それでも、本当に申し上げて宜しいんですか?」

菊池「…言いにくそうだな。大丈夫だ、俺は、お前が何を言おうと覚悟はできてる。今はみんなの命がかかってるんだ。どんな小さな気づきでも、人前で言えないような事でもいい。教えてくれ。」

ジェイムズ「…それでは申し上げます。」

 

 

 

ジェイムズ「近藤さんは、誰かを殺害しようとしていた可能性が高いです。

 

 

 

…え?

 

 

 

今、なんて言った?

 

そんな、嘘だ…

 

あの近藤が、殺人を計画していたというのか…?

 

 

 

玉木「おいジェイムズ!今なんて言った!?いくら命懸けの学級裁判だからって、言っていい事と悪い事とあんだろうが!!」

ジェイムズ「落ち着いて下さい。私はただ、可能性の一つを述べたまでです。…私の中での、そうでなければいいのに、という最悪の想定でした。しかし残念ながら、今のところその可能性が高いです。」

速瀬「確かに…猫西様が犯人でないとするなら、ナイフを持ち出したのは近藤様としか考えられませんね。」

玉木「そうかもしれねえけど…アイツが誰かを殺そうとしてたなんて、信じられっかよ…」

ジェイムズ「菊池さん。先程の調査で、昨晩近藤さんにおかしな言動が見られたという情報を入手しませんでしたか?」

…アレの事か?

 

コトダマ提示!

 

【近藤の独り言】

 

「これだ!!」

 

菊池「…そういえば、アリスが近藤の独り言を聞いたって言ってたな。」

アリス「うん!ちゃんと聞いてたよ!!たしか、『やるしかない。みんなごめん。』って言ってたよ!」

速瀬「…これで決まりですね。近藤様は、何方かを殺害して『帰郷』しようとしていらっしゃったようです。」

小川「え…じゃあ、近藤先輩が誰かを殺そうとした動機って、一体なんなんスか!?まさか、たかが鶏肉で殺人を計画したわけじゃないっスよね!?」

菊池「…いや、そのまさかかもしれない。」

 

コトダマ提示!

 

【料理に手をつけない近藤】

 

「これだ!!」

 

菊池「小川、近藤は昨日、料理を全く食べなかったらしいな。」

小川「そうっスね。全然食べてなかったっス。それがどうかしたんスか先輩?」

菊池「…もしかして、近藤は鶏肉が食えなかったんじゃないのか?」

速瀬「その可能性はありますね。鶏肉が食べられないとなると、食べる物が無くなりますから。」

玉木「それでアイツは、自分が餓死しないために誰かを殺そうとしたって事かよ…クソッ!!」

 

反論!

 

床前「えっと…すみません。…その推測は、やっぱり信じられないです…」

 

 

 

床前「本当に、鶏肉が食べられなかった事が、近藤さんの人殺しの動機だったんでしょうか?」

菊池「どういう事だ?」

床前「仮に近藤さんが鶏肉を食べられなかったとして、それを事前に私達に言わなかったのはおかしくないですか?…だって、万が一の事もありますよね?」

森万「フッ、アイツの事だ。食えない食材があるのを打ち明けるのは、料理人としてのプライドが許さなかったのだろう。」

床前「…それはそうかもしれませんけど…でも、やっぱりおかしいです!鶏肉が食べられないってどういう事ですか?鶏肉が食べられなかったからって、それがどうして動機と繋がるのかがわかりません!命がかかっている状況なら、好き嫌いなんかしている場合じゃないはずです!それで餓死するかもしれないから誰かを殺そうとしたっていうのは、おかしいんじゃないですか?」

今の床前の発言はおかしい!

 

コトダマ提示!

 

【アナフィラキシーショック】

 

「その愚論、切らせてもらう!!」

 

菊池「…もし、近藤が重度の鶏肉アレルギーで、鶏肉を口にしたらアナフィラキシーショックによって命を落としたかもしれないとしたら?」

床前「な、なんですかそれは…」

ジェイムズ「アナフィラキシーショック…確か、アレルゲンに対する過剰な免疫応答が原因で、好塩基球表面のIgEがアレルゲンと結合し血小板凝固因子が体内に放出され、毛細血管が拡張される事によって起こるⅠ型アレルギー反応の一種…でしたよね、神城さん?」

神城「ああ。帽子の言った通りだ。まあ、重度のアレルギー反応だと思えばいい。」

小川「…そういや、何年か前にアレルギーで人が死んだってニュースでやってたっスね。近藤先輩も、それと同じヤツだったんスか?」

菊池「かもな。近藤はこの島にいる限り、自分から毒の塊を食って死ぬか、飢え死にするか、どっちにしろ生き延びる事は不可能だった。…だからアイツは生き残るために、最悪の手段を選んじまったんだ。」

床前「そんな…!」

アリス「なる〜。でさ、ケッキョクのところ、ナツねえを殺したのは誰なのさ?」

玉木「えっ…」

アリス「だってそうじゃん!今は、ナツねえを殺したのは誰なのかをギロンしてるんでしょ?ナツねえが誰かを殺そうとしてた事をいつまでもギロンしたって、時間のムダじゃない?」

猫西「うーん…確かに、一理あるね。みんな、犯人について考えるのを忘れてないかな?もう一回、犯人について議論してみようよ。」

菊池「…そうだな。」

俺たちは、再び犯人探しを始める事になった。

 

 

 

議論開始!

 

 

 

猫西「ねえ、菊池君。近藤さんの死体に、不審な点はなかった?どんな小さな事でもいいから、教えてくれると嬉しいな。」

狗上「おい猫女!そんな質問に、なんの意味があんだよ?」

猫西「近藤さんの死体に、犯人の特定につながる重要な手がかりがあったかもしれないんだ。それを、専門家の菊池君なら知ってるんじゃないかと思って。」

…不審な点?

アレの事か?

 

コトダマ提示!

 

【衣服を脱がされた死体】

 

「これだ!!」

 

菊池「近藤の死体は、服を脱がされていた。…なんの意図があったのかはわからないけどな。」

床前「そんな、酷い…!」

小川「うーん…犯人が近藤先輩の服を剥ぎ取ったとすると、なんで服を剥ぎ取ったんスかね?」

アリス「コレクションにしたかったんじゃないの?」

神城「知るかよ!気まぐれじゃねえの!?」

狗上「はあ?なんだよそれ。適当言ってんじゃねえぞクソサド女。」

織田「ムフフ…きっと、 過激なプレイが行われていたのであります!」

射場山「…最低。」

織田「い、射場山氏…!!?」

猫西「うーん… 証拠隠滅のためじゃないかな?」

…近藤は、犯人に暴力を振るわれた。そして、調査の結果アレが見つかった。

だとするなら、猫西の意見が正しそうだ。

 

「その意見に賛成だ!!」

 

【証拠隠滅】←【汚れたセーラー服】

 

同意

 

菊池「…犯人は、証拠隠滅がしたかったんじゃないか?」

床前「しょ、証拠隠滅…ですか?」

菊池「ああ。…これを見てくれ。」

汚れたセーラー服を提示した。

リタ「ふわぁ…なんですかこれ?…布切れですかぁ?」

菊池「そうだ。…みんな、よく思い出してみてくれ。近藤は、肋骨が折れる程激しい暴行を受けた。それに加えて、焼却炉から見つかった近藤の服…その二つの事柄から察するに、犯人は、重大な証拠を服に残してしまったと考えられないか?犯人は証拠隠滅のために服を剥ぎ取って処分したんだ。」

射場山「…犯人が隠滅したかった証拠って、何なの?」

菊池「…それは。」

…犯人は、もしかしてアレを隠したかったんじゃないか?

 

コトダマ提示!

 

【炭化した靴】【ぬかるんだ地面】【泥の痕】

 

「これだ!」

 

菊池「…服に付いた足跡。犯人が隠したかったのは、おそらくこれだ。」

小川「あ、足跡っスか!?って事は、近藤先輩は誰かに踏まれまくったってことっスか!?」

菊池「…そうなるな。あの遺跡の前の地面はぬかるんでいて、靴に泥がべったりついて滴り落ちる程だった。そんな道を歩いたせいで靴に泥が付いて、その靴で近藤を踏みつけたから、服に靴の痕が残ったんだ。それに気がついた犯人は、証拠隠滅を図ったんだ。泥の痕がゴミ処理室まで続いていたのは、犯人がホテル内に足跡を残さないために、泥の付いた靴を脱ぎ、手に持って歩いたからだろうな。そして、犯人は靴を服と一緒に焼却炉の中に放り込んで燃やしたんだ。」

猫西「…なるほどね。それなら、全部の辻褄が合うね。」

 

射場山「…話の水差すようで悪いんだけど、思い出した事言っていい?」

菊池「なんだ、どうした射場山?」

射場山「…菊池、あの石版はどうしたの?」

菊池「石版?」

射場山「…あんたがぬかるんだ地面の話をしたから思い出したんだけど。あんた、遺跡の近くで石版を掘り起こしたでしょ?」

速瀬「石版、ですか。…探索した時に見かけましたね。もう一度探索に行った時に無くなっていて、誰かが盗んだのだと思っておりましたが…」

菊池「ああ、あれなら文字が読める状態じゃなかったし、汚かったからちゃんとした状態で持って来られなかったんだ。すまん。」

射場山「…ふうん。」

狗上「ケッ…犯人は、仏頂面の言う石版を割って埋めてたって事を言いてえんだろ?だがその石版がここに無えんじゃ、証拠になんねえな。」

アリス「そうだそうだ!ここに無い物の話したってイミないぢゃん!!時間返せー!!」

小川「…まあ、石版の事は事件と関係無さそうだし…スルーでいいんじゃないっスかね?」

 

…あれ?

 

ちょっと待てよ…?

俺、わかったかもしれないぞ。

犯人は今、明らかにおかしな発言をした。

正直、仲間を疑うのは気が引けるが…もう、アイツしかいないだろう。

 

…その人物は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人物指定

 

 

 

 

 

『超高校級の弁護士』菊池論

 

『超高校級の???』アリス

 

『超高校級のサッカー選手』玉木勝利

 

『超高校級のパティシエ』近藤夏美

 

『超高校級の実況者』猫西理嘉

 

『超高校級の秘書』速瀬吹雪

 

『超高校級の大学教授』ジェイムズ・D=カークランド

 

『超高校級の外務大臣』リタ・アンカーソン

 

『超高校級の演奏家』小川詩音

 

『超高校級の庭師』郷間権蔵

 

『超高校級の漫画家』織田兼太郎

 

『超高校級の幸運』床前渚

 

『超高校級の操縦士』狗上理御

 

『超高校級の超能力者』森万羅象

 

『超高校級の弓道部』射場山祐美

 

『超高校級の外科医』神城黒羽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

菊池「…狗上、お前が犯人だったんだな。」

 

俺は、向かって正面右側にいる狗上を指差して言った。

 

狗上「は?…はぁああああ!?俺かよ!?」

狗上は、顔を真っ青にしながら慌てふためいていた。

全員が、一斉に狗上の方を見た。

狗上「何言ってんだよ陰キャが!!俺が犯人だって言いてぇのか!?冗談も休み休み言いやがれ!!」

小川「そうっスよ!…確かに狗上先輩は、自分らに冷たい態度取ってきましたけど…それで犯人だって決めつけるのは良くないっス!!」

床前「そ、そうです…狗上さんが犯人だなんて、信じられません…!」

狗上「バカ女に地味女の言う通りだ!俺は犯人じゃねえっつってんだろうが!!」

菊池「…いや、二人には申し訳ないが、やっぱり狗上が犯人としか考えられないんだ。」

狗上「はぁあ!?どういう意味だよ!?俺が犯人だっつー証拠でもあんのかよ!!?」

…証拠。

それは、お前自身がわざわざ提示してくれたじゃないか。

 

コトダマ提示!

 

【モノクマーメンの呪いの石版】

 

「これだ!!」

 

菊池「…おい、狗上。お前さっき、なんて言ったか?」

狗上「はぁ!?何だよいきなり!」

菊池「…確か、『犯人は、石版を割って地面に埋めた』といったいったような事を言っていたな?」

狗上「それがどうしたんだよ!!」

菊池「…俺は、石版が割れた状態で発見されたなんて一言も言ってねえし、ましてや近藤殺しの犯人と石版を割った奴が同一人物だって事を知らなかったわけだが?」

狗上「っえ…!!」

菊池「…だよな?」

神城「初耳だよ、そんな情報!!んだよ、知ってたんならもっと早く言いやがれこの愚民が!!」

ジェイムズ「私もそんな情報、知りませんでした。狗上さんが何故そのような事を知っているのか、正直疑問でしたよ。」

リタ「僕も聞いてないですぅ。」

射場山「…私は、後ろで菊池が何かやってんのを見てたから、石版が割れてるって事だけは知ってたけど…」

菊池「…この通りだ。石版が割れている事を知っているのは、俺と射場山と犯人だけ…そして、石版を割った奴が近藤を殺したって事を知ってるのは犯人だけだ!…お前はなんで、犯人が石版を割った事を知っていたんだ?」

狗上「そ…それは…」

菊池「…ついでに言うと、これは憶測になるが…狗上、お前は、石版を割っちまった事を近藤に知られて、それをネタに揺すられて黄金の間に行ったんじゃないのか?お前の反応から察するに、あの石版が今回の事件と全くの無関係とは到底思えねぇし…」

狗上「ち、ちげぇ…俺は、犯人じゃ…」

菊池「狗上、もう犯人はお前しかいないんだ。認めてくれ。」

狗上「…。」

 

 

 

 

 

狗上「うるっせぇな!!!

 

 

 

狗上は、突然今まで出した事のないような大声を張り上げて言った。

 

菊池「狗上…?お前…」

狗上「うるせえ!!!」

 

反論!

 

 

 

狗上「さっきから黙って聞いてりゃあよ、ただの揚げ足取りじゃねえかよ!!そんなモンで犯人にされてたまるかっつーの!!俺が殺ったっつー証拠でもあんのかよ!?証拠も提示せずに疑うだけ疑う気か!?冗談じゃねえ!!証拠を出せ証拠を!!俺が殺ったっつー明確な証拠をよ!!」

狗上は、声を荒げて反論した。

顔は真っ赤になり、額にうっすら青筋が浮かび上がっている。

今の狗上は完全に冷静さを失い、ただ拙い言葉で自分を庇護するのに必死になっている。

口だけの弁論じゃ、話を聞いて貰えなさそうだ。

何か、証拠があれば…

 

コトダマ提示!

 

【壊れたドローン】

 

「その愚論、切らせてもらう!!」

 

菊池「ゴミ処理室に、壊れたドローンが落ちていた。もちろん、昨日まではあんなものなかった。そうすると、夜時間中に犯人が仕掛けたものだと考えられる。…あれ、お前のドローンだろ。」

狗上「はぁああ!!?ち、違えし!!大体、なんでゴミ処理室にドローンが落ちてんだよ!?意味わかんねえし!!それにな、お前、肝心な事をハッキリできてねェじゃねえか!!夜時間中に、どうやって服とか靴とかを処分したんだよ!?テメェの憶測は、穴だらけなんだよ!!」

 

…狗上は、どうやって夜時間に服と靴を処分したんだ…?

何か思いつけ…!

…壊れたドローン、処分…もしかして。

 

 

 

 

閃きアナグラム

 

 

 

 

頭の中に、言葉の断片が浮かび上がる。

それを、素早く拾って組み合わせ…完成させる!!

 

「これだ!!」

 

 

エ ン カ ク ソ ウ サ

 

【遠隔操作】

 

菊池「…遠隔操作。お前は、自分のドローンを遠隔操作して、ゴミ処理室に侵入させ、焼却炉のスイッチを入れたんだ。そして、服と靴を処分した…違うか!!?」

ジェイムズ「そんな細かい機械操作ができるのは、狗上さん!貴方だけです!!」

狗上「ぎっ…ぐ、ぅうううう!!」

森万「フン。そして、操作ミスをしてドローンを壁か天井に激突させて壊してしまい、夜時間中で回収したくてもできなかった…そんなところか?」

ジェイムズ「森万さん、体調が回復したようですね。」

森万「フン、カークランドよ。心配かけてすまなかったな。俺の超能力も、今は本調子だ。」

猫西「…いや、それくらい誰でも想像できる気が…いや、言わないでおこうかな。」

菊池「これが、お前が服を処分したトリックだ。何か反論はあるか!!?」

狗上「ぎっ、ぐっ…がぁああああああああ!!ち、違う…!!俺はぁ…俺はぁああああ!!!」

アリス「ねえねえ、リオンにい苦しそうだよ?早くトドメ刺してあげたら?」

菊池「言い方やめろ。」

 

…だが、これ以上議論を引き延ばす理由はない。

これで、全てを終わらせる…!!

 

 

 

 

クライマックス推理

 

 

 

 

頭の中に、漫画が浮かび上がる。

そこに、ジグソーパズルのように適切なピースを当てはめ…

これが事件の真相だ!!

 

 

 

Act.1

今回の事件は、モノクマ達が用意した動機が発端だった。

一見、バカバカしく思える動機だったが、一人、その動機に殺人を決意した人間がいたんだ。

…それは、今回の事件の被害者の、近藤だった。

近藤は鶏肉のアレルギー持ちで、人を殺さないと生き延びられないから、今回の事件の犯人を殺す事にしたんだ。

そのためにまずは床前の部屋に行って、ナイフを盗んだ。

 

Act.2

4日間の自由時間中に犯人が遺跡の石版を割り、それを隠した事を知っていた近藤は、おそらくそれを利用して上手いこと遺跡に誘導した。

多分、「呪いが降りかかるから遺跡に行かない方がいい」とでも言ったんだろう。

猜疑心の強い犯人なら、その言葉に反発してすぐに遺跡に向かうだろうからな。

だが、それすら近藤の読み通りだったんだ。

近藤は、まんまと遺跡に向かった犯人の跡をつけて、黄金の間で犯人に襲いかかった。

 

Act.3

だが、ここで事件は終わらなかった。

犯人が咄嗟に反撃し、近藤は右腕を負傷した。

その時近藤は持っていたナイフを落としてしまい、それを犯人に拾われてしまったんだ。

…ここで退いておけばよかった。

だが、犯人は理不尽に自分が狙われた事に逆上し、腕を負傷して反撃の術を失った近藤を何度も蹴ったんだ。

その時、犯人は近藤の服に、自分の靴の形の泥の痕を残してしまった。

その事に気が付いた犯人は、咄嗟に近藤の服を剥ぎ取ったんだ。

 

Act.4

 

それでも犯人の怒りは収まらなかったのか、犯人は持っていたナイフで近藤を刺し殺し、遺跡を後にした。

犯人は、近藤の服と自分の靴を処分するために、ゴミ処理室に向かった。

だが、その時は夜時間で、ゴミ処理室に入れなかった。

そこで犯人は、ある方法を思いつき、一旦服と靴をその場に置いてから、急いで自分の部屋に向かった。

部屋から運搬用ドローンを持ってきた犯人は、それを操縦してゴミ処理室の中に侵入させ、焼却炉のスイッチを入れた。

さらに服と靴をドローンで運んで、焼却炉に放り込んだ。

…だが、犯人はそこで致命的なミスを犯してしまったんだ。今思えば、人を殺してしまった事による動揺のせいだろう。普段は、そんなミスしないような奴だったからな。

ドローンの操縦を誤り、壁か天井に激突させて壊してしまった。

ドローンを回収したくても、ゴミ処理室に立ち入る事は禁止されていた。

だから犯人は、仕方なくドローンの回収を諦め、その場を後にしたんだ。

 

 

 

「これが事件の真相だ。…そうだろ?」

 

 

 

 

『超高校級の操縦士』狗上理御!!!

 

 

 

 

 

狗上「ぎっ、ぐうう…があああああああああああ!!!ふ、ふざけんじゃねえ!!俺は、俺はやってねえぞ!!」

ジェイムズ「でしたら、その靴を貸して頂けませんか?」

狗上「…は?」

ジェイムズ「…その靴、犯行時に履いていたスニーカーと同じ物ですよね?それなら、セーラー服の足跡と一致する筈です。もし自分が犯人でないと言うのであれば、靴を貸して下さい。」

狗上「そ…それは…」

ジェイムズ「まさかとは思いますけど、『犯人が自分と同じ靴を持っていた』、なんて苦しい言い訳は無しですよ?」

猫西「個室に用意されていた服は、全部自分が普段着る服だもんね。靴を見せられないなら、狗上君、君が犯人で決まりだよ!!」

 

狗上「ぐっ…がぁああああああああああああああああ!!!」

 

モノクマ『うぷぷ…どうやら犯人は決まったようですね?ではでは、投票ターイム!!』

モノハム『必ぢゅ、一人一票投票してくだちゃいね!』

俺は、証言台のボタンを睨みつける。

重い腕を動かして、俺は投票した。

 

モノクマ『うぷぷ…ではでは、結果発表ー!!!』

モノハム『皆様の運命はいかに!?』

 

目の前に巨大なスロットマシーンが現れ、俺たちの顔を模したドット絵が回転する。

回転速度は徐々に遅くなっていき、ついに止まった。

そこには、狗上のドット絵が三つ並んでいた。

スロットマシーンにGuiltyの文字が浮かび上がり、ファンファーレのような機械音が鳴り響く。

スロットマシーンからは、大量のモノクマメダルが吐き出された。

 

…果たして、俺たちは正しい選択をしたのか。それは誰にもわからない事だった。

俺たちはただ、突きつけられた運命を、その目に焼き付ける事しかできなかった。

 

 

 

学級裁判閉廷

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。