沢渡さんと遊矢が遊勝塾で闘っている頃、LDSモニタールームでは
「社長!強力な召喚エネルギーを検知しました!」
「召喚反応は?」
「ペンデュラムです!」
「ということは榊遊矢か?」
「いえそれが……ペンデュラムの反応が二つあります!」
「なに!?すぐに使用者を突き止めろ!」
「はい……召喚エネルギーの種類があるデュエリストと一致しました!」
「誰だ?」
「沢渡シンゴです!」
「沢渡……か」
「更に彼からシンクロ、融合の召喚反応も検知しました!」
「なんだと!?」
その場が騒然となる。この舞網市ではエクストラからの召喚方法自体が珍しい。その上、複数の召喚方法を操るデュエリストなどこの場の者たちは一名以外を除いて知らない
「社長、やはり彼と接触するべきでは?」
社長と呼ばれた男、赤馬零児は組んだ腕を机に置くと
(沢渡シンゴ……やはり彼には謎が多い。何処にも所属していないにも関わらず多数の召喚方法を手にしているとは……方法だけならともかくどうやってカードを手に入れたのだろう……他次元のデュエリストの可能性が考えられるが彼の戸籍には何も不審な点がない。そして……ペンデュラムをも操る……か。やはり中島の言うとおり接触するべきなのか……?だがタイミングを見誤れば……)
沢渡に対しての警戒度を上げて、これからの対応を考えていた
・・・・
「えー……っと、それじゃセレナとリンは記憶喪失で倒れていたところを沢渡に拾われたってこと?」
「いや、アカデミアから逃げ「う、うんそうなの!自分に関する記憶が名前以外すっぽり消えちゃって!」
リンナイス。セレナにウソは無理みたいだな……真っ直ぐな性格だからな……
「しっかしそれにしてもリンお姉ちゃんとセレナお姉ちゃん、本当に柚子お姉ちゃんにそっくり〜」
「痺れるぐらい似ているぜ〜」
「アハハ……私も初めて会った時は驚いたわ」
リンは孤児院で子供の相手をしていたからか対応に慣れている感じだった
「すっごい似てるよな〜実は三つ子だったりってオチじゃないかな?柚子」
「い、いや確かにそう言われても仕方ないぐらい似てるけど……」
遊矢がそう呟くと俺にリン、セレナと柿本たちはなんとも言えない表情になった。
あと一人、同じ顔の人物がいるなんて言えない……
ま、まあそれは置いておこう!
「遊矢、もうじき行われる舞網チャンピオンシップ、お前は出るか?」
「ああ!勿論出るさ!シンゴ、お前も出るのか?」
「ああ!って言いたいとこなんだけど……俺どこにも所属してないんだよな……」
一応無所属でも出れることは出れるのだが、塾に所属していないと確認事項の書類などや公式戦の勝率の提出など恐ろしく面倒なのだ。
うーん……やっぱり今からでも何処かに所属しよっか……?
「じゃあシンゴ、ウチに来ない?」
「柚子?」
えっ、いきなり?でも確かに今の俺からすれば美味しい話だけど……
「それに融合召喚やシンクロ召喚も教えてくれたら助かるなー……ってのもあるし……」
……なるほどね。エクストラデッキからの召喚方法も教えてもらいたいと……別にいいんだけどね?一つだけ懸念があるんだよな…
「勿論タダとは言わないわ。召喚方法の講義に対してのお礼もするから……」
「いや別に教えるのはタダでもいいんだけどさ……所属するのはちょっと考えさせてくれないか?」
「シンゴ……?」
「何故だ……?」
柿本たちも訳のわからない顔をしていたがこればっかりはすぐに決められない
「……うん、わかったわ。無理に理由を追求するのもよくないからね」
「ありがとう。じゃあ帰ろっか」
「あっ…うん」
「…わかった」
「……じゃ、じゃ!また今度!」
「お邪魔しました!」
「今日はありがとうな!」
外に出て、遊勝塾から離れるとリンとセレナが聞いてくる
「ねえ、なんであんなこと言ったの?入るのになにか問題でもあるの?」
「私もそう思った。何故だ?シンゴ」
「……柿本、お前から見てペンデュラム召喚ってどういうものだと思う?」
「え?そ、そりゃあ新しい召喚方法で、驚きましたが……」
「それがどうしたんだ?」
セレナが疑問符を浮かべる
「……また違う質問をするが戦争を仕掛ける時、相手側の情報を知らないまま闘おうとするか?」
「……さっきからどうしたんすか?」
「……それでどう思う?」
「うーん……それはないと思いますね。相手の戦力や情報を知らないまま戦うのは自殺行為ですから。デュエルにおいても事前に情報があるかないかで大分変わりますし」
「そうだ。戦争において情報は時に力よりも価値を示すことがある」
「確かにそうですが……でもそれが何か関係があるんですか?」
「じゃあアカデミアがエクシーズ次元に戦争を仕掛ける時、事前に情報を仕入れなかったと思うか?」
「「「「「あ……!!」」」」」
「そうだ。アカデミアはエクシーズ次元に戦争を仕掛ける前に何かしらのスパイを送り込んでいた可能性がある。エクシーズ次元の黒咲瑠璃を攫うの時にも事前に情報を仕入れていた可能性は高い。リンを攫ったのならシンクロ次元にも誰かを潜入させていた可能性も否定できない。なによりこの次元での目的が柊柚子の可能性はバレットが言うようにほぼ確実だ。ならこの次元にもスパイを送り込んでいる可能性は充分にある」
「た、確かに……」
「でもそれがなにか関係があるんすか?」
「柿本、おまえさっき言ったよな?ペンデュラム召喚は新しい召喚方法だって。戦争組織のアカデミアが脅威になりそうな情報を仕入れないと思うか?」
「まさか……」
「遊勝塾にもアカデミアのスパイが潜り込む可能性は充分にあるな。よくてペンデュラム召喚の情報漏洩……最悪なのがリンみたいに柚子が攫われることだな。俺のせいでリンやセレナを巻き込むわけにはいかない」
「シンゴ……」
「…………」
「で、でも沢渡さん。柊さんはどうするんですか?もし攫われたら……」
「出来るだけ警戒はするつもりだけど……ずっと守れるわけじゃない。機会を見て遊矢に話すよ」
「そうですか……」
重い空気が漂うが
「……ねえ、シンゴ」
「なんだ?」
「シンゴは……私たちのこと「瑠璃っ!!」え……?」
後ろから突き刺すような大きな声が聞こえたので振り向くと青紫のコートを着て、サングラスと赤いスカーフで顔を隠した紛うこと無き不審者がいた
「瑠璃!何故ここにいる!アイツらから逃げてきたのか!?それに何故瑠璃が2人いるんだ!?」
不審者は横にいる俺たちを気にすることなくリンとセレナに近づく
直後リンやセレナが呟く
「「誰……?」」