あるいはこんなありふれ職業   作:壬生咲夜

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皆さんの感想にお答えし………たかったのですが、今回も天之河君です。


未来の僕と天之河君と ②

 

 

前話(あの)後の話をしよう。

 

ダブル天之河君と巻き添えで遠藤君が倒れたので会議(話合い)は一旦お開きになったんだ。

今日は異世界召喚やら未来の自分やらで疲れてるから明日また話し合おうってことで。

 

そして次の日。

 

「やぁ、南雲(今)。一緒にこの世界を救うために頑張ろうな!」

 

再起不能と思われてた天之河君(今)が復活した。

周りの話を聞くに八重樫さんがひたすら説得と慰めをし続けた結果、

 

「そうだ未来は変えられるんだ!!」

 

と八重樫さんの朝食と昼食と精神力と美容とストレスを犠牲に復活したみたい。

 

「……そうだな。未来は変えられる」

「天之河(今)の天職が“勇者”じゃなかったらな」

 

「っ!?」

 

「でも、もし万が一………億が一に昔の俺の天職が勇者じゃなかったら…」

「その場合は他のクラスメイトの誰かって事になるじゃね?」

 

「「「「っ!!!???」」」」

 

―――

――

 

「良かったぁあああ“勇者”じゃないっ!!」

「ふぅ………“暗殺者”か」

 

「優花~あたし“操鞭師”だったぁぁっ!!」

「私は“氷術師”ぃ!!」

「二人とも良かったぁ…私は“投術師”だったわ」

「“曲刀師”かぁ~曲刀ってなに?」

「…“闇術師”」

 

「ッチ、“軽戦士”か……まぁ“勇者”よりましか」

「“炎術師”」、「“風術師”」、「“槍術師”」

 

 

今、僕たちの間で「勇者じゃない! 良かったー!!!」ブームが来ている。

騎士団長(メルドさん)が持ってきてくれたプレートを恐る恐る表示しては天職が“勇者”でないことに皆喜びの声を上げている。

イシュタルさんを始め教会の人たちや国の上層部はあまり良い顔はしてないけれど、こればっかしは譲れない。

だって、勇者=無職の未来だからね。

 

だから僕の天職が“錬成師”(ありふれた職業)低ステータス(無能の烙印)で見下されたり、鼻で笑われても気にしないよ。

勇者(無職)よりマシだもん。

 

さて、肝心の天之河君はというと――、

 

「勇者じゃありませんように勇者じゃありませんように勇者じゃありませんように勇者じゃありませんように勇者じゃありませんように勇者じゃありませんように」

 

次々と「勇者じゃない」という声にどんどん顔を強張らせ、今や受験・就活生並みに祈りを………いや、もうこれ誰かを呪ってるレベルで念じてるよね。

 

「どうかお願いします!! 勇者じゃありませんようにぃっ!!!」

 

 

【天之河光輝 天職:勇者】

 

 

「なんでだぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!」

 

「ざまぁぁあwww」

「ようこそ無職の世界へwwww」

 

…案外仲良さそうだね未来の僕ら。

 

 

「あ~~~~~、その…………凄いじゃないか!! まだレベル1なのにall100(このステータス)とは、流石は勇者!! 将来がたn、………ゴホン、俺のステータスなんてあっという間に追い越すぞ!!!」

 

メルドさん、ありふれた職業を引いた(僕のステータスを見た)時以上に気を使ってるよ。

 

全然気にしないけどね☆

 

 




<オマケ>
ステータス表示前の出来事

「大丈夫八重樫さん? 僕の10秒チャージ飯飲む?」
「………いただくわ」
「どうぞ……ってなんで白崎さんはこっちを恐い目で凝視してるんだろう?」
「(南雲君と間接キス、南雲君と間接キス、南雲君と間接キス、南雲君と間接キス)」
「(……あれ、開封済み? ということはこれって来る前の南雲君のお昼ご飯の残りで南雲君と間接キス……………あsdfghjk!!!????//////)」
「えっ!? 八重樫さんまでどうしたの急に!!??」
「せ、責任とってもらうわよ南雲君!!///」
「ファッ!?」

「……二人とも、ちょと向こうデOHANASHIしようカナ? カナ?」

「「ヒィッ!!!???」」

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