バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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特別編【Halloween of the Battle!?】

皆さんどうもこんにちわ。天上烈我です。

今日は10月31日、ハロウィン。

 

仮装やパーティ等色々イベントがありますが中でもハロウィンと言えばトリックオアトリート、お菓子をくれなきゃイタズラするぞ。というのが一番の有名ワードですが、今日この日俺はイタズラ以上に困ってる事が一つあります。それは。

 

「れーつが!」

「……」

 

甘える様な高い声で烈我を呼ぶ声、そこには頬を赤く染めながら烈我の背に抱き着く光黄の姿があり、一方で彼女から抱き着かれてる事に嬉しさと反面この上ない程の緊張に彼女以上に顔を真っ赤にさせる烈我。

 

「……どうしてこうなった」

 

まず万が一にも有り得ない光景、それが何故今の状況に至るのか。原因解明の為、時を数時間ほど遡る。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「トリックオアトリート!」

「んだよミナト、朝っぱらからいきなり言われても何も用意してないぜ?」

「ははは、だと思ったよ」

 

烈我とミナトだけでなく光黄、絵瑠、星七といつもの五人でバトスピショップへ行こうと待ち合わせをしていたのだが、会って早々ハロウィンの代表詩ともいうべき言葉を突拍子に切り出すミナト。

 

「そう言えば今日ハロウィンだもんな! 私も! トリートオアトリート」

 

「絵瑠、それ一択にしかなってないぞ」

「あはは……。そうですね、それに僕達もまだ何も用意して無いですし」

 

ミナトに便乗しようとする絵瑠だが光黄と星七のツッコミと指摘に残念そうに肩を落とす。

 

『オイ烈我、ハロウィンってのは何だ?』

 

初めて聞く言葉に興味を覚えたのか烈我の肩に乗りながらハロウィンについて尋ねるバジュラ。キラーにライト、エヴォルやシュオンも同じようにその場に顔を出し聞く耳を立てている。

 

「そっか、バジュラ達は知らないもんな。簡単に言えばお菓子が貰えるイベントだよ。貰えなかったら代わりにイタズラとかな。後は仮装したり色々、まあパーティみたいな感じで」

『成程な、中々面白そうな行事じゃねえか!』

 

『菓子か。是非美味なのを食いたいもんだ』

『さっき菓子かイタズラかって言ってたろ? 何でテメェもその主も端から一択しかないんだよ!』

 

『やれやれ皆子供ですねえ〜……。私は紳士なのでお菓子ぐらい別に、でも光黄様や絵瑠様のような素敵な方からのイタズラされるのも悪くは!』

『お主お菓子以前に紳士としてもアウトじゃぞ』

 

キラーとエヴォルからそれぞれツッコまれるシュオンとライト。七罪竜と呼ばれる彼等だがハロウィンという自分達にとっては初めてのイベントに浮き足立っているといった具合だ。

 

「さて、とにかくお菓子が無いならイタズラだな!」

「うげっ!?」

 

元々悪戯基質のあるミナト。どんな目に合わされるのかと警戒して構える烈我だが。

 

「んな慌てんなって。今すぐどうこうしようって訳じゃないから」

「じゃあ何する気だよ」

「コレ」

 

携帯を軽く操作して画面を烈我に見せ、画面に映し出されていたのは鍋の器に中身を黒で塗り潰し闇鍋と文字が書かれた写真画面。

 

「え!? お前まさか……!」

「そう! 折角ならイタズラでな、闇鍋やろうぜ!!」

 

満面の笑顔、だがそれもよりにもよって悪魔(ミナト)からのオーダー。どんな事態になるか想像もつかない。

 

「何かすっげえ嫌な予感するんだけど」

「俺はパスだな」

 

烈我に続いて真っ先に断る光黄。「ノリ悪いな〜」と残念そうに呟くミナトだがその傍らで絵瑠と星七は目を輝かせたように。

 

「「闇鍋、私(僕)も是非やりたい(です)!」」

「!?」

 

まさかの乗り気、予想外の反応に烈我達は勿論驚きを隠せない。

 

「おい、絵瑠正気か?」

「そうだぜ、それに星七まで…!」

 

「はい! 僕前から闇鍋って興味あって、皆で集まってやるのとても楽しそうだなって憧れてて一度でいいからずっとやってみたかったんです!」

「私も、闇鍋って食べたこともやった事もないしどんな料理ができるのか楽しみで、発案者がミナトなのがアレだけどそれでも一度挑戦してみたいんだ」

 

「アレって流石に傷つくんだけど?」

 

ヘラヘラとしたミナトの言葉はスルーしつつ一方で期待の眼差しを浮かべる絵瑠と星七に烈我も光黄の二人もあまり強く断りづらくなる。

 

「(どうする光黄?)」

「(……正直断れるなら断りたいが絵瑠や星七君の期待を裏切る訳にも行かないしな)」

 

溜息を吐きながらも了承するしかない二人だが、まだ嫌な予感は拭えない。

 

 

「それじゃあ決まりって事で烈我も光黄ちゃんもOK?」

 

「あぁ、分かったよ」

「右に同じだ。好きにしろ」

 

「それじゃあ決まり! 今晩烈我の家集合で! 折角のハロウィンだしどうせなら全員仮装で」

「俺はやらないからな」

 

「えぇー」と残念そうに呟くミナトに並びライトも『そんな…』と悲しげな様子。

 

「残念。光黄ちゃんの仮装是非見たかったのに。烈我だってそう思うよな」

「え!? お、俺は……!」

 

突然振りに動揺しながらふと光黄へと視線を向け、本音を言えば烈我としても彼女の仮装姿を見たい所ではあるがあまり無理強いはしたくない。

 

「光黄なら何でも似合うと思うし、そりゃ見たいけど嫌なら無理には」

「ッ!! うるさい。バカ烈!!」

「何で!!?」

 

似合うと言われて本当は嬉しいと思いつつも決して表情には出さず顔を背ける彼女。

 

「まあまあ。ともかく一旦解散でまた今晩な!」

「今晩僕、楽しみにしてますね!」

 

一時その場を後にするミナトと星七、一方でまだ闇鍋という事に不安な気持ちが晴れない。

 

「はぁー、烈我少しいいか?」

「光黄? どうかした?」

「今日の闇鍋、できれば飴とかガムとかなんでもいいから口直し用意してもらえると助かる」

「あぁ、分かってる。用意しとく」

 

察した様に何も聞かずにただ返事を返す。

 

「光黄、正直あんま無理しなくてもいいんじゃ」

「そう思ったんだが、絵瑠や星七君も期待してるし断るのも悪い気がしてな」

「あー、確かに……。俺も覚悟決めるか」

「お前も無理しないようにな。それじゃまた後で」

「おぉ、待ってるから」

 

烈我と別れ彼女もまた一旦どこかへ移動しようとするが。

 

 

「光黄!」

「絵瑠!?」

 

烈我と別れてすぐ待っていたように顔を出す絵瑠に呼び止められ立ち止まる。

 

「先に帰ってたんじゃないのか? 急にどうした?」

「いやー、今日の仮装何しようかなって全然決まらなくて、光黄はもう決まってるのかなと思って」

「嫌、俺は別に仮装なんてするつもりはないから」

「えー!? だって烈我も楽しみにしてるみたいだったぞ?」

「れ、烈我は別に関係ないだろ!!」

 

顔を赤くして否定する光黄だが。

 

「俺はとにかく仮装なんて絶対やらないからな」

「まぁまぁ……折角のハロウィンなんだし良かったら今から色々衣装とか見に行こうよ!」

「嫌、だから俺は……!」

 

押し切られるがままその場を後にしていく光黄と絵瑠の二人。果たしてどうなる事やら。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「ただいま。姉ちゃんいるー?」

 

一方で光黄達と別れ一時帰宅する烈我、姉であるるみかを呼びながらリビングへと進むが、扉を開けた瞬間、思わず。

 

「!!? 何してんだ、姉ちゃん……!?」

 

目の前に飛び込んだのは泣きながらお酒を飲むるみかの姿。

 

「あぁ? 見ての通り呑んでんだよッ!!」

「うわっ、ガラ悪! 何かあったのかよ?」

「『何かあった』って?」

 

明らかにやさぐれ気味なるみか、尋ねる烈我の言葉にヤンキーのような口調から一変その目に涙を浮かべて。

 

「うわあああああんッ!! 今年は彼氏とハロウィンデートできると思ってたのにーーッ!!!」

「あー、さてはフラれたんか」

 

姉の言動から事情のおおよそについて全て察する烈我。この手の報告を受けるのは一度や二度ではないのでとっくに慣れている。

 

「で? 今度は何が原因?」

「うぅ……それが聞いてよ。普通にデートしてただけなんだよ? そしたら急に変な不良集団に絡まれてさ、ムカつくから全員シメたら彼氏に怖がられてそのまま連絡取れなくなって。どうして……どうして一体こうなるのよ」

「うん。まずシメんのがよくなかったね。弟から見てもキレた姉ちゃんってそこらのヤク○より怖いもん」

「うわあああッ!! 今年こそは独り身卒業出来ると思ってたのに……!」

 

号泣するるみか、しかし少しして泣き疲れたのか吹っ切れたようにふんぞり返ってまたお酒を飲む。

 

「うん。もうどうでもいいや、ハハハ。どうせ私は一生独り身ですよー」

「拗ねるなって、姉ちゃんにもいい人見つかると思うよ……多分」

「一言余計だぞコラ」

 

睨む様な視線に目線を外してわざとらしく口笛を吹く烈我。

 

「それより姉ちゃん、何かお菓子というか口直し的なものない?」

「口直し? え〜と確か……」

 

ゴソゴソと何かを取り出すとは黒パッケージの飴袋を手渡す。

 

「飴か。サンキュー姉ちゃん」

「うぅ……飲みすぎた。私暫く寝てるわ」

「今日光黄達来るんだけど、騒がしくなるだろうし他の場所にした方がいいか?」

「光黄ちゃん達が? それなら別に。邪魔しちゃ悪いし、私一度寝たら目覚まし掛けても起きないし気にしないでいいよ。傷ついた心が癒えるまで寝続ける」

「お、おぉ。了解……」

 

それ以上は何も言えずただ黙って後ろ姿を見送り、るみかは自分の部屋へ戻り少しばかり弟として気の毒に思う烈我であった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「「こんばんわー!」」

 

日も落ちすっかり夜になった頃、烈我宅に集まるミナトや星七、玄関先に集まる彼等に「いらっしゃーい」と応対する。

 

「烈我さん、こんばんはー!」

「どうも、来たぜ烈我!」

 

「おぉ、やっぱ二人も仮装して来たのか」

 

「はい、僕はフランケンです!」

 

フランケンと言えば巨大な体が特徴的な怪物だが、星七が着ると真逆のイメージが付きそうだが楽しそうな表情に野暮な事は言わない。

 

「で? ミナトは?」

 

黒いローブを纏って鎌を背負い極めつけは髑髏の面を頭上に付け、言うまでもなく仮装は。

 

「何って死神だけど?」

「怖ぇよ! 何かお前が着ると冗談に見えなくなるんだよ!!」

「ハハハ、まさかそんな事ある訳」

 

「あはは。どうでしょう、僕は何にも」

 

ケタケタと笑うミナトに対し、星七は答え辛い様に愛想笑い。

 

「ともかくいいや。それより光黄達は?」

「やっぱ烈我は光黄ちゃん達のが気になるよな」

「べ、別にそんな言い方……!」

「分かってる分かってる。心配しなくても多分もうすぐ来るんじゃねぇの?」

 

噂をすれば影とやら。ミナトがそう言ったすぐ直後に玄関の扉が開き、「トリックオアトリート!」と顔を出す絵瑠。彼女の恰好はドレスのような黒の衣装に角や羽、牙と言った飾り。吸血鬼を模した格好だが女性らしい見た目も相まってどちらかと言えば小悪魔に近い。

 

「いらっしゃい! 絵瑠」

「どうも烈我! 星七君!……それと、ミナトも」

 

二人と違いミナトに対してはあからさまに声のトーンを落としての反応。いつもの事だ。

 

「おいおい俺の時だけ反応冷たくないか?」

「フン、私はまだお前のこと許してないし!」

「やれやれ一体いつになったらお許し貰えるのか。まぁともかく、それよりお前の仮装、似合ってて可愛いぜ!」

「話を逸らすな! お前から褒められても、別に嬉しくなんか!!」

 

そっぽを向きながらミナトに対しては相変わらずではあるがそれでも褒められた事には少なからず嬉しいのか頬を赤らめている。

 

「絵瑠さんは吸血鬼ですか? 可愛いと思います!」

「おぉ! ミナトの真似する訳じゃないけど俺もいいと思うぜ」

 

「星七君も烈我もありがとう! でも、烈我の方はまだ、これで驚くのは早いぞ?」

「えっ!?」

 

意味深な絵瑠の台詞の後、振り返ったかと思うと彼女の後ろから恐る恐る顔を出したのは光黄だった。

 

「光黄!!?」

「…………」

 

どこか恥ずかしげな様子で軽く会釈しながらも中々前に出ようとしない。

 

「ほら光黄も、お披露目と行こうじゃないか!」

「ま、待て絵瑠。まだ心の準備が……ッ!」

「そんな事言ってたらいつまでもキリないだろ! ほら!!」

「待っt──」

 

先程迄光黄を隠す様に前に立っていた絵瑠だが、一歩横に逸れ。

 

「「!!!」」

 

彼女の姿に一時固まる一同。彼女の姿は絵瑠とはまた違ったコンセプトのドレスで肩やお腹辺りは露出し、下はスカートと腰辺りにバラ柄のブローチとさながら魔女っ子の仮装であろう。

 

「光黄さん! 仮装可愛いです!」

「おぉ、絵瑠と同じぐらい光黄ちゃんも可愛いぜ!」

 

「あ、ありがとう」

 

普段とのギャップ差からか固まるも、すぐに素直に褒める星七とミナト。恥ずかしそうにしながらも二人の感想に感謝を伝え、一方で彼女は他に気になるように烈我の方へ視線を向け、そんな彼女の視線に一人察した様子のミナト。

 

「光黄ちゃんの衣装似合ってるよな。烈我もそう思うだろ?」

「「!」」

 

ミナトの振りに動揺するように反応する烈我と光黄、お互い緊張気味になりながらも真っ先に烈我は口を開き。

 

「か、可愛い!! 魔女っ子の衣装、とっても似合ってる! い、嫌、光黄ならどんな格好でも似合うんだろうけど、でも今の恰好も魅力ありすぎてめちゃくちゃ綺麗だと思って──」

「そ、そこまで言わなくていい!! バカ烈ッ!!!」

「何でぇッ!!?」

 

大きな声でありのままの気持ちを伝える烈我だがあまりの直球に羞恥心が耐えきれず殴り飛ばして強制中断、これもいつもの光景。

 

「やれやれ分かってたけど、私の時とは大違いなんだから妬けちゃうな」

「仕方ないよ。何せ烈我も光黄ちゃんもアレだし」

「うるさい。お前は女の子なら誰だってそうだろ?」

「アハハ、まぁ性分って訳で」

 

二人の様子に雑談する絵瑠とミナト、絵瑠に突っ込まれ苦笑いしながらも「でも」と言葉を続け。

 

「前も言ったけど俺が絵瑠を可愛いって思ってるのは絶対嘘じゃないから。命賭けたっていい!」

「そ、そんな事言っても誤魔化されないからな!!」

「これでも本気なんだけどな」

 

「フン!」と意地を張るように再度そっぽを向けるが少しだけ目線をミナトに向け。

 

「……一応……その、ありがと」

「! はは、どういたしまして」

 

 

 

 

『やれやれいつまで俺様を茶番に付き合わせるんだ。美味いのが食えると思ってミナトの奴についてきたが』

『今回はお前と同感だなキラー。俺もお菓子だろうが料理だろうが何でもいい、美味が味わえるなら』

 

『やれやれ本当にお主等は花より団子じゃのぅ』

『全くですね、野郎(烈我やミナト)はどうでもいいですけど、絵瑠様や光黄様の可愛らしい衣装が見れるなんて私は幸せですとも!』

 

『お前は団子より花なだけじゃねぇか! この色欲魔!!』

 

バジュラ達七罪竜、彼等は彼等で集まりながらギャアギャアと口喧嘩したり騒いだり彼等もまた相変わらずだ。

 

 

「さて全員集まった事だし、早速メインイベントやるか!」

「ホントにやんのかよ」

「もち。だってその為の集まりだし」

 

「俺はただの付き合いで来ただけだ」

 

素直になり切れない光黄をスルーしつつ早速準備に取り掛かるミナト。どんな料理かと楽しみにするバジュラやシュオン、そして星七と絵瑠達。だが光黄と烈我は覚悟を決めるように息を呑む。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「それじゃあ電気消して早速始めるぜ」

 

辺りを暗くしいよいよ開催される闇鍋、「それじゃあ各自食材入れてー」とミナトが取り仕切り、各々持参した食材を鍋へと入れて行き。

 

「それじゃあそろそろ、だな!」

 

食材を鍋に入れて数十分後、準備を整い終えて。

 

「はい、それじゃあ各自早速一口行って見よーーっ!」

「「はーい(!)」」

 

各自テンションに上下の差があれど、箸を手に暗闇の中の鍋へと伸ばして掴み、そして不安や期待等思う所はあれど全員同時に箸で掴んだ何かを一口。

 

「「「!!!」」」

 

租借しごくりと飲み込み、そして全員口を開き、その感想は。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「『『『不味い!!!!』』』」」」

 

全員一致の感想、ある意味予想通り。烈我や光黄達も勿論、期待に胸を弾ませていた星七や絵瑠も一転して真っ青な表情。

 

『く、食えるかこんなもん……がァ!!』

『ま、不味い……か、甘未を、くれ……!』

 

あまりの不味さに耐えきれず真っ先にバタリと倒れるバジュラとシュオン。

 

『だ、だらしねぇな。この程度で、俺様が根上げる訳……ッ!!』

『そ、そうですとも! 他の者ならいざ知らず光黄様や絵瑠様が用意した食材を無駄にする訳……が!』

 

キラーとライトは半ば意地でも食わんともう一口、二口と食すがすぐに限界となり倒れてリタイア。

 

「うぅ、エヴォルは大丈夫そうですね。流石です!」

『……』

「エヴォル?」

『……』

 

ふとエヴォルの顔を覗き込む星七だが。

 

「し、死んでる……。」

 

無慈悲なまでにエヴォル、リタイア。

 

 

 

 

「うわ~、死屍累々。それぞれ何入れたか答え合わせしとく? 烈我からで!」

「俺は別に変なの入れてねぇ! 入れたのはネギとか豆腐ぐらいだよ!!」

「ふーん、じゃあ光黄ちゃんは?」

 

「俺も普通のだけだ。魚や食用茸とか普通のだ。そう言うお前はどうなんだ?」

「俺も別に普通のだって。入れたのは豚肉ぐらいね」

 

ここまでは普通の食材、ならばここまで酷い味になる筈はない。だとすれば原因は、と恐る恐る視線を向け、向けた先は。

 

「えっと、星七と絵瑠は何を?」

 

「ぼ、僕も野菜とか色々」

「ちなみにそれって?」

「えっと、パクチー、ゴーヤ、セロリとか色々」

「それ割と苦い系の野菜!!!」

「ご、ごめんなさい。余ってた野菜、折角だから無駄にしたくなくて」

 

「アハハハ、原因は星七君っぽいな。一応絵瑠は何入れたの?」

「……え、えっと私はカレーとか」

「まぁ闇鍋ならあるあr──」

「それとイカとかそばとか、あと抹茶にケーキと──」

「待て待て待て!」

 

予想外すぎる品々に慌ててストップを掛けるミナト。

 

「カレーとかは分かる。でも何で鍋に抹茶? 何でケーキ!?」

「わ、私も変だと思ったんだ! でも、ネットとか調べたら闇鍋に最適なものとして出て来たし……!!」

「それ絶対闇鍋特有の悪ふざけサイトだから!」

「で、でも他の記事でも闇鍋は好きな食材を好きなだけ入れるのがいいって」

「ジャイ●ンシチューかな!?」

 

闇鍋が混沌と化した理由が分かったところで、問題は後の始末。残った具材をどうするかだが。

 

「どうする破棄して新しいの出す? 丁度口直し用に普通の鍋の用意を──」

「ミナト、所でなんでお前は何ともないんだ!」

「「!」」

 

絵瑠の指摘に全員がミナトを一瞥。

 

「そりゃ俺、悪戯の発案者だし高見の見学で。とりあえずこの鍋は破棄して新しいのを──!」

「ふざけるな! 折角の食材を無駄にできるか!! お前も言い出しっぺだし強制参加だ!!」

 

「そうだ!! お前だけ抜け駆けなんて許さないぞ!!」

 

「嫌、だって混沌鍋にしたのは俺じゃ──!!」

「「問答無用!」」

「ぐええええっ!!?」

 

絵瑠に便乗するように港を抑える烈我、そして絵瑠が無理矢理ミナトに鍋を食わせ、言わずもがなミナトも死──ではなく気絶してリタイア。

 

「あ、後は何としても……!」

「は、はい。折角の食材、無駄にはしたくないです!!」

 

責任感から残りを食べようとする二人。流石に二人だけに任せる訳には行かず、烈我も光黄も渋々ながらもまた箸を進め。

 

 

 

 

「「た、食べきったーッ!!」」

「ぼ、僕もう駄目です」

「私も……ギブアップ!」

 

すっかり真っ青になりながらも食べきる烈我達。食べきった瞬間力尽きたように星七と絵瑠は気を失ってダウン。残る烈我と光黄もだいぶ違う意味で苦しい様子だった。

 

「こ、光黄……大丈夫か」

「と、とりあえず水が欲しい。後口直しも」

「分かってる」

 

すぐに水を口にして少し落ち着くと、前もって用意してた飴を取り出す。

 

「光黄、コレ」

「飴か。お前にしては気が利くじゃないか」

「「しては」は余計だって!」

「冗談だ。ありがとう」

 

飴を受け取り早速包み紙を開いて飴を口にし、烈我もまた口直ししようと飴の袋を開けようとするが。

 

「…………ヒック」

「?」

 

妙な声に烈我の手が止まる。「どうかした?」と彼女に尋ねるが。

 

「……」

「光黄?」

「ごめん、烈我。まだ少し気分が悪くて別の部屋で休ませてもらえないか」

「えっ!?」

 

今リビングは除いて残るのはるみかと烈我部屋のみ。るみかは自身の部屋をずっと占領しているし、消去法で残るは自分の部屋だけだが、一瞬自分の部屋に光黄を招く事に少しだけ考え込む。

 

「(光黄が俺の部屋に……嫌々! 変な事は考えんな!! 今はとにかく光黄を休ませないと!!)」

 

煩悩を振り払い二階へ上がる二人、とりあえず彼女を自分の部屋に招き入れる。

 

「光黄、大丈夫そうか?」

「……」

「おいホントに大丈夫かよ、様子が変だし、無理は」

「……何でもないよ。心配しないで」

「そ、そっか?」

 

笑って何でもないと言い張る彼女だが、少し様子がおかしく何となく違和感を感じる烈我だが気のせいだろうと切り捨てあまり詮索はしない。

 

「どうかした?」

「嫌、何でもないならいいんだ。とにかく俺の部屋好きに使ってくれていいから、休んでてくれ。俺は下戻って、バジュラ達の様子見て来るから」

 

杞憂だと安堵しながらそう言って一旦リビングに戻ろうと振り返るが、背を向けた瞬間、突然背後から彼女は烈我へと抱き着き。

 

「こ、こここ光黄!!?」

「烈我、少しつれないんじゃないか……もう少しぐらい俺に構ってくれてもいいだろ」

「えっ!? 何言って!!?」

 

断っておくが普段の彼女なら決してこんな発言はまずありえない。疑問と動揺に混乱しながらもふと彼女の方へ向くと、蕩けた目で顔を赤く染めていた。

 

「こ、光黄!? どうしたんだ一体!!?」

「だから別にどうもしてないよ。むしろ今ちょっと気分は良いけど」

「へっ? 気分がいいって……それ!?」

 

何かに気付いたように足元に視線を向けると、テーブルの上に先程食べたであろうお菓子の包み紙が転がり、そして今まで気づかなかったが、包み紙のパッケージに書かれているローマ字を静かに読み上げていく。

 

「(ウィスキー、ボンボン……って!! それじゃあまさか今光黄は酔ってるって事!!?)」

 

赤くなり普段と違う彼女の言動から烈我の予想はすぐ確信へと変わる。

 

「こ、光黄! ととととにかく一旦離して」

「やーだー、ずっとこうしてたい!」

「ず、ずっと!!? そ、それは……!」

「それとも、烈我は俺にこうされるの……嫌なの?」

「は、はぁ!? え、嫌、そんな事無いけど!!」

 

涙目で尋ねる彼女に慌ててオーバージェスチャーで手を振って否定。普段ならば絶対有り得ない状況にテンパりまくりだった。

 

「あははは。冗談! 烈我、焦りすぎだよー?」

「こ、光黄? 何かいつもと違くない!?」

「別にー?」

 

シラを切るような態度の彼女。だが何となくだろうか、普段とは全く違うはずなのに何故か今の光黄の様子は烈我にとってどこか懐かしく思えた。

 

「(いつもと違う筈なのに、何か懐かしいような……嫌々、とにかく光黄を何とかしないと! じゃないと!!)」

 

他ならぬ烈我自身の気が持たない。仮装のせいもあってか普段より肌部が多い恰好で抱き着かれドキドキさせられっぱなしの状況。何より。

 

「そ、その光黄……背中に、当たって」

「ん? 何が?」

 

小悪魔のように笑いながら首を傾げる光黄、すっかり顔を赤くしてそれ以上は烈我の口からは言えなかった。

 

「(何でこうなった。今の光黄も可愛いな……って違う!! 早くどうにかしないとこっちの身が持たねぇ!!!)」

 

何とか冷静になろうと必死に思考を巡らせるが、そんな烈我に対して少しだけ彼女は不満そうに。

 

「……烈我ってさ、本当に鈍感だよね」

「え? 急に!?」

「だって全然気づいてくれないと言うか、鈍感というか。散々アピールしてるのに全く意識してくれないよね」

「俺、何かした?」

「別に……。でも鈍感すぎるのもどうかと思って」

「だから何の話だよ! 教えてくれよ!」

「さて、どうしようっかな〜?」

 

悪戯っぽく笑う彼女に対して話の要点について分かってない烈我は終始首を傾げるだけ。

 

「じゃあ今からバトルしない?」

「今から!?」

「うん! それで烈我が勝ったら何のことか教えてあげる。でも俺が勝ったら烈我には何でも言う事聞いてもらうよ?」

「はぁ!!? ちょっと待って!? そんな急に言われても!?」

「いいでしょ。それとも嫌? 勝つ自信ないの?」

「嫌、でも」

「受けてくれないと俺、烈我に何するか分からないよ?」

 

抱き着いたままそっと耳元に顔を近づけて囁く光黄。普段とは違う女性らしい色気に赤くなった顔がより真っ赤になり。

 

「わわわ分かった! 勝負するから!!」

 

正直これ以上距離が縮まれば理性を保てる自信などない。避ける選択肢はなく困惑しながらも受けて立とうとするが。

 

「あっ、でもバジュラやライト達はダウンしてるからバトルは」

「俺は大丈夫。前々から試したいカードもあって折角だしそれを代用するから。烈我は他にデッキないの?」

「えと、あるにはあるけど」

 

普段は赤と紫の混同デッキが主流。だが、ふと視線を向けたいつも使ってるデッキとは別のデッキケースが置かれており。

 

「あるならそれで!」

「(……正直これを光黄に使うのは気が引けるけど、でも今は先に勝って正気に戻すのが先! 四の五の言ってらんねぇ!!)」

 

デッキを手に取り構える二人、場所は狭い部屋だが普段使うバトルフィールド用のデバイスを用いれば問題はない。

 

 

 

「光黄! 勝つのは俺だ!!」

「来なよ。いつも通り勝つのは俺だ!」

 

デッキを構える二人、普段とは違うバトルだがそれでもやるからには負けられないと思うのはいつも通り。

 

「「ゲートオープン! 界放ッ!!」」

 

 

 

 

────第1ターン、光黄side。

 

[Reserve]4個。

[Hand]4枚。

 

「俺のターン、黄色の聖遺物を配置! これでターン終了」

 

早速光黄の場に出現し展開されて行くネクサス、序盤の足掛かりとしては申し分このない一枚。

 

「烈我、悪いけど全力で勝たせてもらうからな!」

「うっ、何時もと違う光黄で調子狂うけど……俺だってやるからには負けねぇ!」

「なら頑張れ頑張れ! 次はそっちだぞ」

「わ、分かってるって!」

 

 

 

 

────第2ターン、烈我side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

 

「俺のターン……!」

 

後攻側での最初のターン。手札のカードに思わず反応を示し、カードを手に持ちながら表情は若干悩ましい様子だった。

 

「(……正直これを光黄の前で使うのはすっげー恥ずかしいんだけど……今回ばかりはそうも言ってられないよな)」

 

何を悩んでいるのか、だがその理由はすぐに明白になる。決心するように構えたカードを呼び出すべくコール。

 

「創界神キキベーレシア! 配置するぜ!!」

「!」

 

閃光と共にフィールドへ舞い降りる一人の少女、背には想獣を模したかのような翼に全体的に青と白でカラーリングされた鎧を身に着け出現する創界神────キキベーレシア。その外見は今目の前にいる光黄と瓜二つであり、光黄自身もかつてるみかとの対戦で対面し戦うのはこれで二度目。

 

烈我に至っては過去にここやスピリッツエデンとも異なる異世界にて、創界神のモデルであろう本人に実際に出会ったという経験もある。だが、とは言えその時の経験について烈我以外の証言者はなくあくまでも烈我の夢の中での出来事だったというだけかも知れないのだがそれはまた別の話。

 

「あはは、ほんとそっくり。そのカード使うなんてやっぱり俺の事好きすぎるだろ」

「い、嫌……あくまで対戦として使うだけで決してやましい事は……!!」

 

光黄本人としてはまんざらでもないようにどこか嬉しそうに笑っているが一方で烈我としては指摘されたことに動揺を隠せず取り繕うのに必死でそれに気づく余裕はない。

 

 

「と、ともかくバトルに戻るぜ! キキの配置時効果、神託発揮ッ!」

 

デッキから三枚のカードを捲り、オープンしたのは「ダンデラビット(Rv)」が2枚と「壬獣アクセルエッジ」。

 

「系統「十冠」のカードは3枚、よって全て神託対象につきキキにコア3個を追加だ!」

「!」

「最後にバーストセット、これでターン終了!」

 

 

 

 

────第3ターン、光黄side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

[Field]黄色の聖遺物Lv.1(0)

 

「メインステップ! まずはガトーブレパスをLv.1、ペストコスをLv.2でそれぞれ召喚。さらにバーストセットしてアタックステップ! ガトーブレパス行け!」

「ッ! 早速来たか。ライフで受ける!」

 

呼び出したばかりのガトーブレパスに攻撃指示。命令に頷きながら地を駆け、展開されたバリアに突っ込んで角を突き立てて破壊。

 

「ライフを減らしたことで【聖命】の効果、俺のライフを回復!」

 

ライフ削った戦果を得てガトーブレパスは歓喜の声を上げて光を纏い、その光は彼女のライフとなって新たに追加される。

 

「やるな、でもこっちだってライフ減少時でバーストだ!」

「!」

「選ばれし探索者アレックス! バースト召喚してボイドからコアを自身に追加。さらに相手のアタックステップを強制終了させる!」

「むぅ……ターンエンド」

 

 

 

 

────第4ターン、烈我side。

 

[Reserve]8個

[Hand]4枚。

[Field]選ばれし探索者アレックスLv.2(2)BP8000。

 

「メインステップ! 黄金のショータイムを見せてやれッ! 黄の起源龍デルフィニュート、Lv.2で召喚ッ!!」

 

雲から日の光を連想させる程の眩い輝きが差し込み始め、そして雲を払い黄金に輝きながら舞い降りる起源龍と呼ばれる六体の内の一体、デルフィニュート。空に響く鳴き声を上げながら地面へ降り立ってゆく。

 

 

「デルフィニュート?」

 

以前るみかとバトルした時には使用されなかった一枚。見慣れないスピリットの登場だがそれに構わずさっそく呼び出したデルフィニュートの効果を発揮させていく。

 

 

「デルフィニュートの召喚時効果! 手札にあるマジック化アクセルのカードを3枚まで手元に置き、手元に置いたカード1枚につきドロー!! 俺が指定するのは「庚の加速竜タービュランス」、「終焉の機神ラグナロック(Rv)」、「壬獣アクセルエッジ」。3枚置いたことで3枚ドロー! さらにそれだけじゃねぇ!」

 

ここからがデルフィニュートの真骨頂、たかだか手札増加だけには留まる筈がない。

 

 

「手元に置いたカードがアクセルならその効果をノーコストで使用できる! 俺が手元に置いたのは全てアクセル効果を持つカード、3枚全て発動させるぜ!」

「!!」

「一枚目、タービュランスのアクセルで2枚ドロー! 二枚目、ラグナロックのアクセル! 相手スピリットを全て疲労! 三枚目、アクセルエッジの効果! BP6000以下のペストコスを破壊して1枚ドロー!」

 

指揮者の如く腕をタクトのように振るうと、ラグナロックのアクセルによる旋風がペストコスを疲労、そして間髪入れずにアクセルエッジの効果による炎がペストコスを焼き焦がし破壊。そして破壊によるドローとタービュランスの効果を合わせ再び3枚ドロー、手札の合計枚数は一気に6枚となる。

 

「へぇ、烈我にしてはやるじゃん! でもこっちもペストコスの効果で1枚ドローするよ!」

「あんまその言い方やめてくれって、調子狂う……。」

「あははは、まぁ気にしないで続けてよ」

 

気にしないでという方が無理があるがともかくバトルに集中。切り替えて「アタックステップ!」と宣言し戦闘態勢に移るアレックスとデルフィニュート。

 

 

「まずは増えた分ライフを削るぜ! デルフィニュートでアタック!」

「ライフで受ける」

 

再び旋律を奏でるかのように腕を振るうとリズムのように降り注ぐ落雷がバリアへと直撃し、ライフを破壊する。

 

「ぐッ!」

 

一つ削ってこれでようやく元通りとなるが、まだライフ差は彼女の方が優勢。ここで攻め手は止められない。

 

「まだ行くぜ! 今度はアレックスでアタック!! さらにフラッシュタイミング!」

「!!」

「キキベーレシアの【神技(グランスキル)】発揮! 手元にあるアクセルを持つスピリットを最大軽減満たして召喚できる!」

 

手を合わせ祈るような素振りを見せたかと思うと、共鳴するように手元に置かれたカードは光り始め、その内の一枚を手に取る。

 

 

「呼び出すのは此奴だ! 乱世に終わりに導きし救世主にして最期の騎士! 終焉の騎神ラグナロック(Rv)、召喚ッ!! 不足コスト確保でデルフィニュートとアレックスは消滅させる。力を借りるぞ!」

 

キキの効果によって僅か3コストでラグナロックを呼び出し、デルフィニュートとアレックスは光となって場から退き、入れ違いにフィールドを揺るがすほどの衝撃と共に着地し、目に光を灯し蝶の如く優雅な羽を広げ、巨大な自身の背丈ほどあろうかという大盾を持ち、大剣を振り下ろすその姿は正に騎神。

 

「……ラグナロック、見事に使いこなしてるね」

 

本来烈我の主流のデッキは赤。デルフィニュートやラグナロックなどはあまり使ってはいないはずだがそれでも元々このデッキを組んだのは他でもない烈我自身。るみか以上に扱いに長けているのは当然といえば当然である。

 

 

「ラグナロックの召喚時効果、ボイドからコア6個をラグナロックに追加しLv.3にアップ!!」

「コアブースト。やるね、で? 当然このままアタック?」

「当然! このターンで一気に攻める!!」

「だよね、なら受けて立つ。来なよ……烈ちゃん!」

「れ、れっちゃん!!?」

「この呼び方懐かしいよね。面白いしいいでしょ? この呼び方で」

 

烈ちゃんは昔幼稚園時代に彼女が呼んでいた呼称、あまりにも昔の呼び名に恥ずかしくさ感じずにはいられなかった。

 

「ちょ、光黄! その呼び方恥ずかしいしやめてくれよ!!」

「えー、別にいいじゃん。私この呼び方好きだよ」

「「私」!? それにす、好きって!!?」

 

一人称までも変わり普段とは別人のような雰囲気、だがそれ以上に烈我にとって最も大切な想い人である彼女からの不意の言葉に思わず顔を赤くし、そんな烈我の表情に光黄もますます可笑しそうに笑う。

 

 

 

「あははは、ホント烈我って退屈しないよね」

「だあああああ! もう!! いいからバトル続けるぞ!!!」

 

 

普段ならば烈我に調子を狂わされる事は多々あれど今日この時ばかりは光黄のペースに乗せられっぱなしだった。顔を赤くしながらも必死に冷静にならんとバトルに戻る。

 

「ラグナロックでアタック! アタック時効果でターンに一度ラグナロックは回復!」

 

背中のジェットパックを点火させて飛び出すと大剣を振り上げながら構える。

 

「生憎ラグナロックの対策は万全なんだよね。フラッシュ、イエローリカバー! 効果でガトーブレパスを回復!!」

 

マジックによる光に照らされ再び起き上がり吠えるガトーブレパス。

 

「さらにマジックに使用により黄色の聖遺物の効果でドロー。ラグナロックの攻撃はそのままガトーブレパスでブロックさせる!」

「BPはラグナロックの方が上だぜ!」

 

立ち塞がるガトーブレパスにラグナロックは構えた大剣を振り下ろし、剣に押しつぶされる直前に翼を広げて飛び上がり紙一重で大剣を回避。反撃に移ると角を構えラグナロックに突進を仕掛けていくが、右手に持った大盾を前に突き出すとガトーブレパスを弾き飛ばし、空中で四散してしまう。

 

「相手による自分のスピリット破壊後でバースト発動! 夢幻祈祷!!」

「何ッ!?」

「バースト効果で自分のライフを回復、さらにコストを支払ってフラッシュ効果、アタックしている回復状態のスピリット、つまりラグナロックを破壊する!」

「しまったッ!?」

 

攻撃したスピリットはバトルが終了するまでアタック中の状態として扱われ、そしてラグナロックは自身の効果で回復している。つまり夢幻祈祷による効果の対象として的中しており、雨の如く降り注ぐ閃光を浴び、ラグナロックは大爆発を起こす。

 

「ラグナロック!!?」

「マジックの使用によりもう一度ドロー。ふふ、言ったよね。ラグナロックの対策は万全だって! まだまだ甘いよ、烈ちゃん!」

「うぐぐっ……ターンエンド!」

 

酔ってるといえど彼女本来の実力に関しては何の支障もなく、性格に変化はあれど黄空光黄としてのバトルスタイルにはまるで影響はない。

 

「(やっぱ光黄は強ぇ……。調子は狂わされっぱなしだけど、それでも全然油断できねぇ!)」

 

 

 

 

────第5ターン、光黄side。

 

[Reserve]7個。

[Hand]5枚。

[Field]黄色の聖遺物Lv.1(0)

 

「メインステップ、黄金の鐘楼を配置、さらに黄色の聖遺物をレベルアップ、これでターン終了だよ」

「えっ? それで終わり!?」

「うん。さぁ、どうする烈ちゃん?」

「ちょ、だからその言い方やめろって!!」

 

あっさりターンを引き渡されたことに拍子抜けしてしまうが、それでも先程のプレイイングを見る限り無策というのはまず有り得ないだろう。気を取り直して次の自分のターンへと移っていく。

 

 

 

 

────第6ターン、烈我side。

 

[Reserve]15個

[Hand]7枚。(手元)庚の加速龍タービュランス、壬獣アクセルエッジ。

[Field]キキベーレシアLv.1

 

「(光黄の事だから当然何か狙ってくる筈。でもこっちも今は手札もコアも万全、押し切るならこのままいくしかねぇッ!)」

 

明らかに攻撃を誘っていることは百も承知、だが例えそれが分かっていても今退くという選択肢は烈我にはない。

 

「メインステップ! 手元にある壬獣アクセルエッジを召喚! 神託対象の召喚でキキにコアを追加。そしてアクセルエッジの召喚時効果! 相手のネクサス一つを破壊!」

 

勇ましく吠えながらフィールドへ現れるアクセルエッジ。登場してすぐさまネクサスへ視線を向け睨み付けると、背中の砲台を構え、黄色の聖遺物へロックオンして即射撃。炎の弾丸が黄色の聖遺物へ降り注がれていくが。

 

「黄金の鐘楼の効果、自分のフィールドが黄色のネクサスだけなら、自分のネクサス全ては相手によって破壊されない!」

「ッ!!」

 

放たれた炎の前に突如展開されて行く光の防壁。炎を完全に遮断し打ち消してしまう。

 

「そう簡単にネクサスは破壊させないよ」

「ッ! 除去できないのは厄介だな!」

 

ネクサスを除去できないのならば戦略を考え直さねばならず手札を確認しながら次の手へと切り替える。

 

「十字星龍サザンクロスドラゴン、さらに剣皇武龍ゼットウドラゴン! 来いッ!!」

 

最初に現れたのは炎を纏いながら飛来する黒龍、サザンクロスドラゴン。

そして、次に現れるは逆巻く炎を剣に込めて振るう剣皇、ゼットウドラゴン。

 

「アタックステップ! アクセルエッジでアタック!」

「ライフで受けるけど、この瞬間! 黄色の聖遺物の効果発揮!! デッキから1枚オープンしてそれが黄色のマジックならライフは減らない!」

「ぐッ、やっぱりそう来るよな」

 

予想していたとはいえ避けては通れぬ道、早速一枚のカードが光黄の手に加わり、加わったそのカードをオープンして行く。

 

「マジック、妖雷スパーク。よってライフは減らない!」

「まだだ、ゼットウドラゴン! 斬り倒せッ!!」

 

アクセルエッジのメインアタックさえも黄色の聖遺物に弾かれてしまうがまだ攻撃の手は緩めない。ゼットウドラゴンは長い尻尾を地面に叩きつけ反動で大きく飛び上がると刃を掲げ振り下ろす。

 

「黄色の聖遺物の効果発揮!」

 

再びカードオープン。だがオープンされたのは「クダギツネ」。マジックカードではない為今度は防げず、展開されたバリアに刃を振り下ろして両断、炎の斬撃によってライフが破壊される。

 

「これでターンエンド」

 

まだ光黄のライフは5、今はまだ無理に攻め切れない。

 

 

 

 

────第7ターン、光黄side。

 

[Reserve]7個。

[Hand]6枚。

[Filed]黄金の鐘楼Lv.1(0)、黄色の聖遺物Lv.2(2)。

 

「こっちのターン、クダギツネを二体召喚、じゃぁそろそろ行くよ。私もとっておき!」

「とっておき!?」

「見て驚け!!」

 

口振りから察するに切り札級の一枚、光黄のキースピリットであるならば恐らくヴィーナルシファーか、想竜王ジュランのどちらか。一体どっちが来るのかと構えるが。

 

「ふふ、行くよ! 遥かな天を駆け巡る二つ首、双璧が繰り出す雷撃の嵐! Lv.2で召喚、双龍頭領アオバ、出ろッ!!!」

 

天から降り注ぐ巨大な雷、否、巨大な雷は一つの槍の如く収束し絶え間なく地上へ降り注ぎ、光の中に蠢く龍の影、そして雷の中から響く咆哮と共に双龍頭領アオバが姿を見せ不足コスト確保の為、二体のクダギツネは破壊。

 

「ヴィーナルシファーでも、ジュランでもない!!?」

「驚いた? これが新しい相棒だよ!」

 

これまでに使った事のない新たなキースピリットの姿、予想外の登場に驚く烈我だが、動揺を他所にアオバは出現と同時に咆哮を響かせる。

 

「アオバの召喚時効果、デッキの上から4枚オープン、その中から黄色一色のスピリット2枚を手札に!」

 

アオバの咆哮はカードを引き寄せ、オープンされたカードの内、スピリットは「ペストコス」が2枚。

 

「ペストコス2枚を手札に加え、アタックステップ!」

「!」

「双龍頭領アオバ、行っちゃえッ!」

 

飛ぶのではなく空を舞うかのように天翔ける双龍、烈我へと迫り二頭の牙が展開されたバリアへと喰らい突き、噛み砕きライフを破壊する。

 

「ぐぅッ!」

「私のターンはこれでエンド」

 

 

 

 

────第8ターン、烈我side。

 

[Reserve]14個

[Hand]6枚。(手元)庚の加速龍タービュランス

[Field]壬獣アクセルエッジLv.1(1)BP4000、十字星龍サザンクロスドラゴンLv.1(1)BP4000、剣皇武龍ゼットウドラゴンLv.1(1)BP7000、キキベーレシアLv.1

 

「メインステップ! サザンクロスドラゴンとゼットウドラゴンをLv.3にアップ。さらに甲の使徒レーディア召喚! 召喚時効果でトラッシュのスピリットカード一枚を手札に、デルフィニュートだ!」

「!」

「これだけじゃないぜ! 十冠の召喚でキキに神託。そして手札から大神剣アラマンディーをキキベーレシアに直接合体!」

 

静かに腕を天へと翳すキキ、そして次の瞬間、掲げしその手に赤き宝玉の剣が授けられ、剣を握りしめ勇者として振舞うかの如く赤き刀身を構えて見せる。

 

「(神話ブレイヴ、また前の時には見なかったカードだね)」

 

また見慣れないカードに目を細めるが、それでも自分のバトルスタイルが変わる事は無い。しかしそれは烈我も同じこと。ネクサスで現在彼女に優勢を取られてなお、攻めの姿勢を崩す訳には行かない。

 

 

「行くぜ! ゼットウドラゴンでアタック!! ゼットウドラゴンのアタック時効果で相手スピリットに指定アタック! アオバに指定アタックだ!」

「ライフより先にアオバからって事かな」

「あぁ、悪いけど仕掛けられる前に、種は潰させてもらうぜ!!」

 

ゼットウドラゴンに対して威嚇の様に吠えるが、その程度で怯むゼットウドラゴンではない。剣の切っ先をアオバへと向け標的を見定めると、一気に飛び出し間合いを詰めに掛かる。

 

 

「悪くない選択。でも、そう簡単にはやらせないよ? フラッシュタイミング!」

「!」

「マジック、ディフェンスネビュラ! 効果で相手スピリット一体をLv.1に。当然対象はゼットウドラゴン!」

「!!?」

「Lv.1のゼットウドラゴンは7000、対してアオバはLv.2でBP10000。これでBP差は逆転だよ!」

 

強制レベルダウンに一気にゼットウドラゴンの力は減少。脱力感に一瞬ゼットウドラゴンの足が止まるが、それでもなおアオバを刺し貫かんと構えた剣を標的へ突き出す。

だが、一頭の首が繰り出された剣へ喰らい突き、受け止めると同時に剣の刀身噛み砕き、得物を失い丸腰となったゼットウドラゴンにもう一頭の首が雷撃を撃ち込み、直撃を受け爆発四散し破壊。

 

「マジックの使用により黄色の聖遺物の効果でドロー!」

「ッ!! まだまだ! サザンクロスドラゴンでアタック!」

「ライフで受けるけど、黄色の聖遺物の効果使わせてもらうよ!」

 

宣言と共に三度発動する黄色の聖遺物。効果によりデッキから1枚オープンされ、対象のカードは「パニックヴォイス」、黄色のマジックカードの為、条件が満たされ黄色の防壁が展開。サザンクロスドラゴンは前線へ突き進み、光黄に向かって火炎放射を吐きつけるも防壁に阻まれ、攻撃は失敗に終わる。

 

「まだだ、アクセルエッジでアタック!」

「これもライフ」

 

次も黄色の聖遺物の効果でカードがオープンされるが、今回オープンしたのは「想竜王ジュラン」、マジックは無い為防壁は展開されず無防備となったライフにアクセルエッジは背中の砲台を向けて発射。バリアを砲撃し破壊する。

 

「ッ!」

 

ダメージを受けながらもまだライフは4、しかも先程加わったカードはアオバ同様彼女のキースピリット。

 

「……俺はこれでターンエンド」

 

 

 

────第9ターン、光黄side。

 

[Reserve]6個。

[Hand]8枚。

[Field]双龍頭領アオバLv.2(2)BP10000、黄金の鐘楼Lv.1(0)、黄色の聖遺物Lv.2(2)。

 

「バーストセット! さらに凶獣コントン、召喚!」

 

現れたのは小動物のような見た目ながら、四本の腕を持った異質な獣。だが異質なのは見た目だけにあらず。

 

「召喚時効果、相手のスピリット全てをLv.1にダウン!」

「!?」

 

コントンの身を包む光、それをオーラの如く周囲へ広げ、オーラを浴びたスピリット達は全てレベルダウンさせられたスピリット達はガクリと体制を崩させられる。

 

「これで準備完了! アタックステップ、アオバでアタック!」

 

ステップ開始と同時に主による攻撃命令。翼を広げ、雄叫びを上げながら天を翔け、烈我に迫るアオバ。

 

「フラッシュタイミング! アオバの効果発揮! 手札から黄色一色のスピリットを召喚する事でこのスピリットは回復できる!」

「なッ!?」

「呼び出すのは決まってる! 来い! 新しき時代の王者! 可能性秘めしその無限の翼で飛び上がれ! 想竜王ジュラン、Lv.2で召喚ッ! 不足コストはコントンから!」

 

役目を終えたようにコントンは光となってフィールドから消失。そして満を持してもう一体のキースピリットであるジュランがフィールドの空を滑空し、黒雲を切り払い、雄々しい自らの姿を見せつける。

 

「ジュランの召喚時効果! Lv.1の相手スピリット2体をデッキの下へ! レーディアとサザンクロスドラゴンだ!!」

 

上空に停滞したままレーディアとサザンクロスドラゴンを見下ろし、二体に向けて翼を力強く羽ばたかせ強風を巻き起こすと、嵐の如く吹き荒れる風にレーディアとサザンクロスドラゴンは抗い切れず吹き飛ばされデッキボトムへ送られる。

 

「俺のスピリットをレベル1にしたのはこのためか!!」

「今更気づいても遅いよ! さぁ、アオバのメインアタック!」

「ライフで受ける!」

 

すぐ目の前まで接近するアオバ、腕を振り上げ、展開されたライフに容赦なく振り上げた腕を叩き下ろし、巨大な鈍器の如く繰り出された一撃にライフは木っ端微塵に粉砕。

 

「ぐあああああッ!!」

「押し切るのは私の方みたいだね! ジュラン、やっちゃって!! アタック時効果で俺のライフ1つ、回復!」

 

アオバに続いて今度はジュランが特攻、攻撃と同時に再びライフに光が灯り、ライフは元通り5つ。

 

「これで終わりじゃないのは先刻承知してるよね? 黄色のコスト5以上のスピリット、アタックによりジュラン、【転醒】ッ!!」

 

ジュランが纏う眩い黄色の光は紅蓮を示す赤へと変化して行くと、体が炎に包まれ炎の中に輝く赤き眼光。次の瞬間には爪牙で炎を掻き消し、火山の如く昂る咆哮を轟かせる竜王、転醒し火山竜王となったジュランの真の姿である。

 

「火山龍王ジュラン! 転醒時効果、シンボル一つの相手スピリットを破壊!」

 

腕を掲げ火球を作り上げると、アクセルエッジに向かって投げ付け、避けられる訳もなく直撃を受け大爆散。スピリットを全て退けられ、がら空きとなったフィールドを一気に突き進んでいく。

 

「転醒した事でジュランはダブルシンボル! 残るライフ、全部貰うよ!!」

「ッ! 受ける訳には行かねぇ! フラッシュタイミング! アクセルでシェパードール!!」

「!」

「効果でこのターン、コスト4以上のアタックじゃ俺のライフは減らない!」

 

斧の如く振り下ろされる爪牙の一撃だが、シェパード―ルに効果でより強固となったバリアは一撃を受けてなお傷一つ付かずビクともしていない。

 

「よし、これで────!」

「まだまだだよ! 烈我ッ!」

「!!」

 

相手は光黄、彼女を相手に「耐えきった」言うにはまだ早い。

 

 

「双龍頭領アオバでアタック! フラッシュタイミングで手札からペストコスを召喚! 効果によりアオバは回復!」

 

アオバにより呼び出されるペストコス、維持コスト確保によりジュランはレベルダウンするが、レベルダウンさせてまで呼び出す以上、当然狙いがあっての上。

 

「アオバのメインアタック!」

「無駄だ、アオバのコストは9! コスト4以上じゃ俺のライフは削れない!」

 

アオバの攻撃は弾かれて終わるが全て想定内。彼女の狙いは別にある。

 

「ペストコス、アタック!」

「ッ! ペストコスは……!」

「そう。コストは2、シェパードールの効果じゃこの攻撃は防げない!」

 

ペストコスは口を開けライフに飛び掛かると矮小な見た目ながらもバリアを容易に噛み裂き、さらにライフを削り取る。

 

「もう一度アオバでアタック!」

「ッ!!」

「分かってるよね? こっちの手札にはまだペストコスがもう一枚ある! アオバの効果、フラッシュタイミングでもう一体のペストコスを召喚!」

 

入れ替わるように先に出ているペストコスから維持コストを受け取り現れる二体目のペストコス。牙を噛み鳴らし今すぐにでも飛び掛からんばかり。

 

「これで終わりだね! 烈我!! ペストコスでアタック!」

 

待ってましたと言わんばかりに大きく口を開き牙を剥き出しに烈我へ飛び掛かり、ライフは1つ、身を守るスピリットはなくいよいよ絶対絶命だが。

 

「いや、まだだ!!」

「!」

「まだ終わらせねえ! フラッシュ! アクセル! アクセルエッジ!! 効果でペストコスを破壊して1枚ドローだ!!」

 

アクセルエッジの姿を模した炎の塊が出現し、飛び掛かるペストコスへ突っ込み、空中では避けられず激突し破壊されてしまう。

 

「ここまで追い詰めたのに残念。これでターンエンド」

 

何とか凌いだ事にようやくほっと胸を撫で下ろす。しかしあくまでこのターンを乗り切っただけ、次のターンでの彼女の攻撃を凌ぐ事は至難だ。

 

「(つまり次が俺のラストターン、攻め切れるかどうか正念場だぜ!)」

 

 

 

 

────第10ターン、烈我side。

 

[Reserve]20個。

[Hand]5枚。(手元)庚の加速龍タービュランス、壬獣アクセルエッジ、己械人シェパードール。

[Field]キキベーレシアLv.2(大神剣アラマンディー合体中)

 

「再び出ろ! 黄の起源龍デルフィニュート!!」

 

フィールドへと帰還する黄金の龍、タクトを振るうかと思わせる所作を行い、召喚時効果を発揮させて行く。

 

「手元から「恐竜辛機ターボレックス」と二枚目の「終焉の騎神ラグナロック」を手元に置き、2枚ドロー! そして手元に置いた二枚のアクセルの効果を発動させる!」

 

ラグナロックのアクセル効果は相手スピリット全てを疲労。元々光黄の場のスピリット全ては疲労している為不発に終わるももう一枚のターボレックスの効果が起動される。

 

「相手スピリットをデッキの下へ! 火山竜王ジュランだ!!」

 

吹き荒れる吹雪、火山竜王と言えど荒れ狂う吹雪に耐えきれずフィールドから弾き出され、デッキボトムへと疎外。

 

「まだ行くぜ! 幻想を体現せし神秘の魔神! 猿魔神召喚!」

「異魔神ブレイヴ!?」

 

ここに来て呼び出すはこれまで烈我が使った事のない異魔神ブレイヴの一体、猿魔神。

 

「異魔神ブレイヴもキキの神託対象の為コアを追加。さらにデルフィニュートに右合体(ライトブレイヴ)!」

 

右腕を翳し己の波動をデルフィニュートに撃ち込みリンクさせる。これで準備を整え終えたように大きく息を吸って。

 

「光黄!!」

「!」

「このターン、俺の全力出しきる! その上で俺は勝つ!!!」

 

負けられない、負けたくない。色々経緯はあれど今この時に置いてただ勝ちたい、それだけである。彼女もまた普段と違えど、カードバトラーとして勝ちたい気持ちは一緒。

 

 

 

 

「来なよ。私のライフは5! 攻めきれるなら攻めて見せてよ! 烈ちゃん!!」

「だからいい加減その呼び方やめてくれって!!」

 

口調と言い呼び名と言い昔を思い出すやり取りだが流石に烈我と言えど今となっては恥ずかしい。とは言えまだバトルは続いてる気を取り直して己のターンへと戻る。

 

「ともかく行くぜ! デルフィニュートでアタック! アタック時で猿魔神の追撃!」

「!」

「トラッシュにあるアクセルを持つ緑、青、黄色のカード1枚を手札に戻す! 俺が選ぶのはラグナロックだ!!」

 

猿魔神は右腕を翳すと、トラッシュにあるラグナロックのカードが烈我の手へと舞い戻る。

 

「フラッシュタイミングで手札に戻したラグナロックのアクセルを使用だ!!」

 

再度言うが光黄の場のスピリットは全て疲労している為、この状況でラグナロックのアクセル効果自体に意味はない。だからこそ狙いは別にある。

 

「そろそろ仕掛けて来る、よね?」

「あぁ。読まれてようが関係ない! これが全力だ!! さらにフラッシュ! キキの【神技】発揮ッ!! 手元のアクセル効果を持つカード1枚の軽減を満たして召喚!」

 

呼び出すカードは勿論決まっている。

 

「最高速のフルスロットルでぶっち切れッ! 召喚、庚の加速龍タービュランス、Lv.2ッ!!」

 

遥か彼方より轟音を描き、飛行機雲を描きジェット機のさながらのスピードで飛来するスピリット、タービュランス。出現し、地面へ着陸すると共に咆哮を上げて。

 

「タービュランスの召喚時効果! 手元にある俺のアクセル効果を持つスピリット全てノーコストで召喚できる!!」

「ッ!!」

「ラグナロック2体並びにターボレックス、シェパードール、アクセルエッジ、全部豪快召喚だッ!!!」

 

タービュランスに導かれ、瓦礫を散らしながら地面へ降り立つ2体のラグナロックに並びシェパードールとアクセルエッジ。さらには地面を突き破り現れるターボレックス。先程迄スピリット0の状態から一転。計7体ものスピリットが並び、攻め切るには充分すぎる程だ。

 

「ラグナロックの召喚効果でそれぞれにボイドからコア6個ずつ追加して二体のラグナロックはLv.3! そしてデルフィニュートのメインアタック!!」

「!……ライフで受ける。けどまだ私には黄色の聖遺物がある!!」

 

その通り。今だ彼女の場には鉄壁の守りを担う黄色の聖遺物が健在であり、効果によってカードがオープンされ、対象は「魔神姫」

 

「!」

「ブレイヴカードだな! ライフは貰うぜ!!」

 

マジックカードでなければライフを守る事は出来ない。デルフィニュートは両腕に光弾を作り出し零距離でバリアに光弾を撃ち込み破壊する。

 

「ッ!!」

「まだまだァ!! 今度は終焉の騎神ラグナロックでアタック! アタック時ターンに1回、回復!」

 

大剣を構え重音を立てながら進撃するラグナロック。

 

「黄色の聖遺物だけだと思ってたら大間違い! フラッシュ、パニックヴォイス!」

「!」

「効果でその攻撃は烈我の場にいるもう一体のラグナロックでブロックさせる! 同士討ちにさせてもらうよ!!」

 

流石に守り全てを黄色の聖遺物に委ねる程、彼女のバトルは軟ではない。マジック使用により黄色の聖遺物の効果で1枚ドロー。さらに効果によって標的を変更させられ、光黄に向かおうとしていた筈のラグナロックは振り返り、矛先を味方である筈のもう一体のラグナロックへと向けてしまう。

 

「ラグナロックはブロック時でもターンに1回、回復する!」

「回復しようが二体のラグナロックのBPは同じ! 破壊されるだけだ!」

「バトルがこのまま成立したならな!」

「!?」

 

意味深な台詞を吐いて見せたかと思うと、手札の一枚を構える烈我。

 

「勝利の幻想を現実へと叶えろ! 奇怪無双のトリックスターッ!! デルフィニュートを不思議王ジークフリードマッドハッターに煌臨ッ!!」

 

デルフィニュート翼を広げ跳び上がると、輝きを纏い広げた翼はより雄々しく、巨大な姿へと変貌。ジークフリードマッドハッターとなって煌臨。

 

「煌臨時効果! フィールド、又は手札のアクセルを発揮させる! 俺が選ぶのはアタック中のラグナロックだ!!」

「!!」

 

睨み合い剣を構え互いに切り合おうとする正に刹那、マッドハッターは腕を構えると一体のラグナロックの姿がフィールドから消え、アクセルを発動した事により手元へと再び戻る。

 

「マッドハッターをこんな風に使ってくるんなんて……予想外だよ!」

「これで場を阻むカードは何もねぇ! ラグナロック! 再アタックだ!!」

「させるか、マジック! イエローリカバー! 回復、そのままブロックだ、アオバッ!!」

 

ブロック指示にアオバ空へと飛び立ち双頭の首から繰り出す落雷の如し雷撃をラグナロックへと放つが大盾を構え正面から受けて止め、周囲は爆炎に包まれるが、爆風の中、眼光を輝かせ攻撃を受け切って見せるラグナロック。

反撃に転じるようにラグナロックもまた背中の羽を広げ、剣を振り上げアオバの頭上まで一気に飛び上がり、呆気に取られ避ける間もなくラグナロックは構えた大剣を振り下ろしアオバを一刀両断。断末魔を上げながらアオバは大爆発を起こす。

 

「次はタービュランスでアタック!」

「ライフ! 黄色の聖遺物の効果!」

 

捲られたカードは「アブソリュートゼロ」、マジックカードであり、展開されたバリアにタービュランスは最高速度による突進でぶち当たるが、ライフは破壊できず、弾き返されてしまう。

 

「まだだ! ターボレックス、アタック!!」

「黄色の聖遺物の効果!」

 

突っ込むターボレックスに対し、黄色の聖遺物の効果が起動しまた一枚捲られるカード、しかし捲られたカードは「堕天神龍ヴィーナルシファー」。マジックではない為、攻撃は成立。

展開されたバリアに武装した銃火器による一斉砲撃、ダメ押しとばかりに口を開き放つ粒子砲をバリアに叩き込みライフを破壊。

 

「ぐッ! ライフ減少時でバースト発動! マジック、妖雷スパーク!」

「!!」

「効果で相手スピリット2体をBP-5000、シェパードールとアクセルエッジだ!」

 

マジックにより放たれる電撃、直撃を受け体を痺れさせながら力尽き二体は塵となって四散してしまう。

 

「押し通す! マッドハッターでアタックッ! アタック時効果でもう一体のラグナロックを手元に置いて回復!!」

 

残る光黄のライフは2、黄色の聖遺物でマジックを引き当てられなければ彼女の負けが決まるが。

 

「決めさせないよ! フラッシュ! マジック、アブソリュートゼロ!!」

「!」

「マッドハッターのシンボルをゼロに!」

 

マジックの光線を受け、マッドハッターのシンボルは消失。

 

「さらにフラッシュ! シンフォニックバースト!」

「!!」

「自分のライフが2以下ならアタックステップを終わらせる!!」

 

実質マッドハッターによる攻撃を無効にした上で発動するシンフォニックバースト。旋律の音色は具現化し、フィールド全域に広がって行き。

 

「フラッシュタイミング!」

「まだ何かやるつもりか!」

「当然! こんな楽しい勝負、終わりたくねぇ! 終わらせたくねぇッ!! アクセルで、加速葵鳥エアイレイザーッ! 効果で相手が使用したマジックを無効にする!!」

「なッ!!?」

 

フィールド全域に広がろうとしていた音色は吹き荒れる突風に吹き飛ばされ散り散りとなって消失。

 

「エアイレイザー、ここまで温存してたのか!」

「あぁ、シンフォニックバースト、光黄なら必ず使うと思ってた! だから待ってたんだ、絶好のタイミングを!」

「ッ! でも、シンボルゼロのマッドハッターの攻撃じゃライフは削られない! どの道無駄な足搔きだ!!」

「いいや、無駄じゃないぜ!」

「!?」

「マッドハッターでもう一度アタック! 効果でターボレックスを手元に置いて回復!!」

 

連続でバリアに攻撃を仕掛けるもマッドハッターの攻撃は全て光黄には通じない。しかし。

 

「マッドハッターでもう一度アタック! 効果でタービュランスのアクセルを発動させて回復! アクセルの効果でデッキから2枚ドローし、タービュランスは手元へ!!」

「まさか……!」

「あぁ、もう一度キキの【神技】を発揮! 手元に置いたタービュランスを召喚だァッ!!!」

 

三度発動するキキの効果、手元に送られたタービュランスを再びフィールドに呼び戻す。

 

「タービュランスの召喚時効果! もう一度俺の手元にあるアクセルを持つスピリット全てを召喚だッ!! ラグナロック、ターボレックス、エアイレイザー! 出番だぁッ!!」

 

連鎖の如くタービュランスが吠え、スピリット達を導くと再びフィールドへと帰還すラグナロックとターボレックス、さらにエアイレイザーも加え展開されて行く5体のスピリット。

 

「決めるぜ!! ラグナロックでアタック! アタック時ターンに1回回復!!」

「ッ! フラッシュタイミング、ディフェンスネビュラ! 効果でもう一体のラグナロックをLv.1に!」

「ラグナロックのメインアタックは有効だぜ!」

「ライフで! 黄色の聖遺物!!」

 

オープンされたカードは「妖雷スパーク」。黄色のマジックでありラグナロックが振り下ろす剣の一撃を弾き防御。

 

「「ハァ……ハァ……!」」

 

息を切らしながらも互いに一歩も譲らない勝負、体力は限界が近いながらもそれでも二人共目に宿る闘志はさらに滾っていた。

 

「(今の私に、防御できるマジックはない。黄色の聖遺物で耐えきれるか!)」

「(出せる手はもう出し尽くした、後は押し切れるかどうかだけ!)」

「(耐えきって……!)」

「(押し切って……!)」

「「(必ず勝つ!!)」」

 

どちらが勝者となるか、後は天のみぞ知る。実力は拮抗、後は気力の勝負だ。

 

「回復したラグナロックで再アタック!」

「黄色の聖遺物の効果!」

 

防御マジックもブロッカーもなくライフ以外の選択肢はない。黄色の聖遺物の効果でカードが捲られていき。

 

「マジック、魂のリフレイン。黄色の聖遺物の効果で俺のライフは削れない!」

 

再びラグナロックの攻撃を弾き返すがまだ終わらない。

 

「二体目のラグナロックでアタック!」

「Lv.1のラグナロックじゃ回復はない、ライフで受ける!」

 

宣言と同時に黄色の聖遺物の効果が発動。オープンされたカードは。

 

「……マジック、フェアヴァイレ! 俺のライフは削れない!!」

「エアイレイザーッ! アタック!」

「黄色の聖遺物の効果!」

 

間髪入れずお互いにアタックと黄色の聖遺物による応酬。突っ込むエアイレイザーに対し、カードが捲られるが捲ったカードは。

 

「ッ! ガトーブレパス。マジックじゃない!」

「ならライフを削る!!」

 

エアイレイザーの突進がバリアに激突、ライフが砕かれ、残りはいよいよあと一つ。

 

「これで決めるッ!! タービュランスでアタックッ!!!」

「フラッシュ! フェアヴァイレ! 効果でターボレックスはこのターン、アタックできない!!」

「!」

 

もうキキにコアはなく【神技】は使う事は出来ない。マッドハッターを使ってのスピリットを再展開する手はもう使えず、一方で光黄自身もまたタービュランスの攻撃を阻む事は出来ずライフで受けるしかないが、黄色の聖遺物の効果を外せばその時点で敗北が確定する。

 

勝敗を分ける最後のアタック、タービュランスの攻撃に合わせて自動的に黄色の聖遺物の効果によってデッキから1枚のカードが飛び、そのカードは。

 

「「……」」

 

緊迫した空気に互いに息を呑む。勝敗を委ねる一枚、目を瞑りオープンしたカードを手に取り、彼女はゆっくりと目を開けそのカードを視界に入れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジック! シーズグローリー!!」

「!!?」

「黄色のマジックの為、私の、嫌、俺のライフは削れないッ!!」

 

タービュランスの火炎放射は防壁に遮られ失敗に終わる。最後の最後で気力で勝ったのは紛れもない光黄であった。

 

「ターン…………エンド」

 

 

 

 

────第11ターン、光黄side。

 

「煌めき羽ばたく堕天の龍よ! 地に堕ちしその身を再び天へと羽ばたき降臨せよッ! 堕天神龍ヴィーナルシファーLv.3で召喚!」

「!」

 

黒雲を裂き、舞い降りる堕天神龍。スピリット召喚したのみでメインステップを終え、唯己のキースピリットに信頼を預け。

 

「最後だ、決めるよ! ヴィーナルシファーッ!! ラストアタックッ!!!」

 

両腕を構え飛び出し最後の攻撃を下すヴィーナルシファー、攻撃に対しチラッと自分の手札を確認する烈我だが。

 

「(……俺の手札にあるアクセルはEナオマサだけ。ヴィーナルシファーの攻撃は、どうしようもないな)」

 

先も言ったが出せる手は出し尽くした。だからこそもう烈我には手は残されていない。覚悟を決め、前を向き。

 

「来い! ライフで、受けるッ!!!」

 

ヴィーナルシファーによる最後の一撃がバリアへと直撃、烈我の最後のライフを破壊し決着となる。

 

 

 

 

*** 

 

 

 

 

「だぁー、負けた負けた!! 今日こそ勝てると思ったのに」

「はは、こっちもギリギリだったけどね。でも勝負は勝負! 運でも悪く思わないでよね、烈ちゃん!」

「だからその烈ちゃんって、昔の言い方は──」

「ねぇ、烈我」

「!」

 

バツが悪そうな顔で不満を口にしようと矢先、言葉を止めるように真剣な表情の光黄。

 

「烈我は俺の事……ずっと好きだって言ってくれるけどさ。今と昔の俺、どっちが好き?」

「へっ?」

「ほら、俺自分で言うのもなんだけど、あんまり女の子らしくないしさ。どうせなら昔みたいに女の子らしい方がいいかなって」

「……光黄」

 

どこか寂し気な表情で語る彼女に対し、烈我は。

 

「関係ないよ」

「!!」

「どっちがいいとかないよ。今の光黄も昔の光黄とか、口調が変わったって関係ない。可愛いかったりカッコよかったり、今も昔も、光黄は光黄だから! だから俺は大好きなんだ!!」

「……烈我」

 

ありのままの素直な自分の気持ち、酔っているせいなのかより光黄の頬が赤く染まる。

 

「烈我、ありがと。俺も烈我のk──」

「だから今日は負けたけど、いつか絶対俺は光黄に勝って、告白するからな!!」

「……」

 

言い掛けた言葉を遮られ、光黄の中で何かが切れた。

 

「ところで烈我」

「?」

「勝負の前に俺言ったよな? バトルで勝ったら何でも言う事聞いてもらうって」

「えっ……?」

 

次の瞬間、そのままベッドに烈我を押し倒す光黄。

 

「こ、こここここ光黄!!!!?」

「ホントに分かってない。烈我ってそういう所が鈍感なんだよ!」

「な、何で急に怒ってんの!?」

 

怒り上戸、先程迄の態度から豹変した彼女にただただ困惑する烈我。

 

「こ、光黄、いいから落ち着いて」

「落ち着いてる……! 烈我、俺は……!」

「!!」

 

緊張が頂点になり思わず目を瞑る烈我、何をされるのか気が気でない。

 

 

だが、数秒間目を瞑っても何も起こらずふと目を開けて視界を開くと。

 

「……」

「こ、光黄!?」

 

体力の限界だったのか、スイッチがキレたように烈我に倒れ込んでそのまま彼女は眠り、ひとまず落ち着いた今の状況に大きく息を吐く。

 

「あ~、焦った。マジでどうなるかと……それにしても」

 

あの時光黄は何を言おうとしていたのか。人は酔えば本音が出ると言うば、もしかして。

 

「いや、光黄に限ってそれはないな。明らかに普段と違うし」

 

頭に過った思考をすぐに一蹴。やはり彼女の言う通りこの男は鈍感である。

 

「(俺もなんか安心したら……眠く……)」

 

色々あり疲労困憊なのは烈我も同じ。急激な睡魔に、目を静かに閉じていく烈我。

今のこの状況を、すっかり忘れたまま。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

夜が明け日も出始めた頃、窓から差し込む日差しに目を開ける烈我。

 

「ふぁ~……あれ、俺いつの間に寝てて……何か忘れてるような、って……!!」

 

寝ぼけた様子でゆっくり視界を開く烈我だが、目の前の光景が視界に映った瞬間、即座に目が覚める。

 

「(や、やべッ!!! 昨日の事すっかり放置したまま寝てた!!!? ヤバいヤバ──)」

「んぅ……頭痛い……」

「あっ」

 

もはや手遅れ、彼女もまた目を覚まし烈我とバッチリ目が合い。

 

「!!!!??????」

「え、え~~~~と、その……トリックオア、トリート……?」

 

言っておくが既に日付は変わり、ハロウィンは終わっている。

 

「ば、ば……!」

「こ、光黄、まずは話を……!」

「この変態バカ烈ーーーーーーッ!!!!!」

「うぎゃああああああああああああああああああああッ!!!!」

 

朝から一人の男の断末魔が轟いたのは言うまでもない。

 

 

 

 

***

 

 

 

ガチャと玄関を飛び出し逃げるように走り去る光黄、一方で部屋に残された烈我は思いっきり殴られた事を物語るように頭には大量のコブ。

 

「うぅ……俺は何もしてないんだ」

 

痛み、だがそれ以上に光黄に誤解されてるであろう事に涙を流す。とは言え元々の発端は自分が飴と間違えて光黄を酔わせた事に在り、自身もそれを自覚しており、二度と同じ過ちを繰り返さないと心に誓った。

 

「にしても、酔った光黄も、可愛くて……って、本人覚えてないだろうし、そんな事考えたら邪推だよな」

 

深く溜息を吐きながら反省する烈我、一方で。

 

 

 

 

 

「(忘れたい! 消えたい!! 昨日、俺、烈我に何をしようと!!)」

 

彼女は彼女でしっかりと酔った時の記憶を覚えていた。一日空けて酔いはもうとっくに覚めてはいるが、頭に残る昨夜の記憶に顔を赤くせずにはいられない。

 

「(もう烈我に合わせる顔がない!! もうハロウィン何て二度と御免だ!!!)」

 

何もかも振り切るようにただひたすらにその場を走る光黄、両想いの二人だが、自分の思いを伝えるのはまだまだ先になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも皆さま!ブラストでございます!!
今日はハロウィン8日目、ですね!!!そして今回のハロウィン会、遅刻ではありませんよね!!!(←堂々たる言い訳)

ハロウィン回、今回も勿論主役はやはり烈我と光黄の二人にしました(笑)やはりこの二人が一番書きやすい。しかし今回激しいキャラ崩壊……まぁでも特別編なのでどうかお許しを←

あと余談ですが絵瑠は料理が下手な訳でなく、むしろ料理には凝る方なので勉強したんですが、今回間違った知識を身に着けただけで、決して料理が下手ではございません
(大事な事なので二回)


そして最後ハロウィン回、遅刻申し訳ありませんでした!!!←
次回は本編の方もどうぞよろしくお願いします!!!
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