特別編PART-Ⅰ【怪盗参上! 狙われし最凶の秘宝!!】
「ちー-っす! 店長!!」
いつもと変わらない平凡な一軒のバトスピショップ、朝早くの開店と同時に俺は元気よく声を上げて店へと飛び込む。
「シュウヤ君、早いね。というか早すぎるね」
「いやぁ~、今日もちょっと色々買いたいパーツがあったんで」
見慣れた顔の様に声を掛けるのはこの店の店長、いつもの調子で店長も俺に対して軽く挨拶を返す。
ん? いきなりモノローグを語るお前は誰だって? そう言えば自己紹介が遅れたっすね。俺の名は真木シュウヤ、この店の常連で、まぁここではただの一般カードバトラーとだけ言っとくっす。
「さて、今日も派手に飾ってますね!」
店の中央、一番目立つど真ん中に展示されたショーケース。その中には飛び切り輝くレアカード。
そのカードは黄金の鎧を身に纏う威風堂々たる王者の姿が描かれたスピリット、否、唯一無二と言わんばかりに立ち尽くすその姿は王ではなく、魔王。
────仮面ライダーオーマジオウ。
「やっぱカッコいいっすね! 俺もこんなスピリット扱ってみたいっす!」
「ハハハ、でも残念だけどこれは売り物じゃないんだ」
あくまで展示用だと店長は語る。専門店がその分野の最高級品を飾ってアピールするように、オーマジオウのカードもまた売る為ではなく、店自体をアピールする為に飾ってあるとの事。
カード自体は知人から展示用として借り受け、事実このカードを飾ってから店の売れ行きも伸びているとの事だ。
「まぁ仮に売り物だったとしても俺の財布事情じゃ厳しそうっすけど」
まぁこの店の看板にもなってるカード、どこまで値が付くのか正直予想もできない。フフフ、と静かに笑う店長の顔を見ながら俺は余程高額なんだろうなと息を呑む。
「……ハァ」
しかし、静かに笑っていた表情を一変。何故か溜息を零し、その日は珍しく暗そうな表情を浮かべていた。
「あの、何かあったんっすか」
いつもは見ない暗い表情に気になって声を掛ける。
「うん? 嫌……実はね」
懐から取り出す一通のカード、差し出したソレを受け取って表向きにすると、白紙の上に文字が書かれており。
「えっと、何々……『今夜、この店にある最高級のお宝、オーマジオウのカードを頂きに上がります。──怪盗Sより』、ってこれ!!」
カードに書かれた内容から察するのは間違いなく予告上。この現代ではまず見ることない怪盗と言う存在に驚いたように声を上げる。
「あぁ、誰かは知らないが今朝この店の前に置かれてあったんだ。この予告上に書かれてるイニシャルは恐らく犯人の名前を指してだと思うが」
ちらっと隣にいる俺に店長は視線を向け。
「『S』と言えば、シュウヤ君?」
「はぁ!? もしかして俺を疑ってんっすか!? イヤイヤイヤ、俺じゃないっす! そりゃちょっとオーマジオウ使いたいな~とは思ってますけど、断じて俺じゃないっす!!!」
「ハハ、冗談だよ。相変わらず君の反応は面白いね」
「勘弁してくださいよ。こっちは冗談に聞こえないんすからね」
「ごめんね、悪かったよ」
冗談で俺の名前を出されてはたまったものではない。不満を口にし、店長は笑いながら謝っているが、またすぐ先程のように少し暗い表情に戻る。
「まぁ本題に戻るんだけどね、それでこの予告上、内容通りなら犯人は今夜現れるという事になるが」
「警察とかは?」
「嫌、このご時世に怪盗なんか聞いた事もないし、多分真面目に取り合ってはくれないだろう」
「まぁそりゃそうっすね。悪戯かもしれませんし」
「……うん、私もそう思いたいんだが万が一があったらなと心配になってしまってね」
「それなら別の場所で管理するとか?」
「生憎このカードは預かりものだから勝手に管理する訳には行かない。だが今日は私も用事があって、夕方頃に店も閉めるつもりだから夜に見回りできる人がいなくてね」
どうするか、と悩む様にまた深く溜息を零す店長、それに見兼ねた俺は。
「あー、じゃあよかったら俺が見回りましょうか?」
「本当かい!?」
「はい、成人近い年齢なので夜出歩いたって特に心配もされないっすよ。それにこの店にもいろいろお世話になってますし」
「助かるよ、今度欲しいカードとかあったら色々特価で取引させてもらうよ」」
「タダじゃないんすね」
「まぁ私も経営者だからね」
この商売上手め、そんな事を心の中で呟くが。
『すいませーん!』
「「!!」」
何時の間にか他の客足の姿もあり、レジに並ぶ銀髪の男性が手を上げ、それに気付くと店長は慌ててレジに向かう。
「じゃあシュウヤ君、店の見回り任せたからね」
「任せてくださいっす!」
胸を叩きながら二つ返事で言葉を返した、こうして俺は今夜この店の警備を任される事となり、ここまではよかったのだが、それがまさか、あんな目に合うことになろうとは……。
***
「ぶっあくしょい!!」
夜になり、約束通り店を見回る事となった俺だが夜は流石に冷え込む。人気もなく、吹き通しの良い風により肌寒く感じ、大きくクシャミをしながら体を震わせる。
「あー……二つ返事で引き受けちゃったけど、止めとけばよかったっす」
そもそも怪盗等本当に存在するのだろうか、やはりあれは唯の悪戯、店長には悪いけど正直もう帰りたい。
そんな事を考えていれば、向こうからこちらに駆け出す人影が。
「!」
『はぁ……はぁ……あれ、もうお店閉まっちゃいました?』
「あれ、アンタ、朝の!」
見覚えのある銀髪の男性、シュウヤの記憶通りあの時レジで並んでいたお客の一人だった。
「随分息切らしてますけど、大丈夫っすか?」
「嫌、実はまだ欲しいカードがあって……それでまだ空いてるかなって急いできたんですけど」
「あー、いつもならギリギリやってるんですけど今日は生憎夕方までだったみたいっすよ」
「えー、そんなぁ……。」
分かりやすく落ち込んで肩を落とし、そんな彼に対し「まぁ、ドンマイっす」と肩に手を置いてそう一言伝えるしかなかった。
「まぁまた明日なら空いてると思うっすから」
「……うぅ、はい。残念ですが諦めます」
「あっ、そりゃそうとこの辺で怪しい奴いなかったっすか?」
「怪しい奴? それってどんな?」
「そりゃ例えば……!」
あれ? よくよく考えてみればそもそも店長からは見せてもらったのは届いた予告上一枚、犯人の特徴なんて何一つ聞いてないぞ。どう説明すればいいのやら、頭が痛くなるのを覚えながらそんな事を悩むが。
「もしかして、例の怪盗、ですか?」
「! そうそう、それッす!!」
「それらしい人なら、向こうの路地で見た気が!」
「ホントに!? 情報提供感謝するっすよ!」
指差す方角に向けて即座に駆け出す、先に犯人さえ押さえてしまえば、今回の件はこれで解決だ。そんな思いと共に、路地へと入るがふと何かが気になったようにそこで足を止める。
「あれ? そう言えばあいつ、どうして怪盗なんて……?」
先程話した人物とは完全に初対面。ならば今朝の話は自分と店長しか知らない筈。ならば何故知っているのか、胸騒ぎを感じて俺はすぐさま引き返す。
「……!!」
来た道を戻り、再びショップ前まで戻った瞬間、目に映ったのは先程の男性が悠々と店から出てくる姿。その手にはオーマジオウのカードがしっかりと握られていた。
「!!!」
「おや、案外遅かったですね。こちらはもう終わりましたよ?」
「お前、何で……! と言うかどうって中に!?」
店はしっかりと閉じており、カギだって念のため自分が店長から預かってる筈。
「あぁ、そう言えばこれ、お返ししておきますよ」
「!」
何かをシュウヤに向かって投げ渡しそれを両手で受け取ると、それは自分が持っていた筈の店の鍵だった。
「お前、いつ……!?」
心当たりがあるとすれば一つだけ、先程自分が男性に肩に手を置いて近付いて居た一瞬、その間に掏られていたと考える他ない。
「あんな一瞬で、盗んだと!?」
「ふふふ、まぁこの程度は朝飯前ですよ。けれど、予告した以外の物を盗るのは私のポリシーに反しますからね。それはお返ししておきますよ」
「予告したって、それじゃあ!!」
ニヤリと口元を緩ませながら、自分の肩に手を置くとベールを脱ぐように怪盗としてのその正体を現す。
「まずはご挨拶、私の名はシャドウ。ボンソワー」
「ぼ、ぼんそわ!?」
何言ってるかは分からないけど、ともかく此奴が今回の騒動の犯人という事は間違いない。
「怪盗、まさか本物だったとは……!!」
「私に狙われるのは光栄な事ですよ」
「何でそのカードを狙ってんっすか!」
「それ程の価値があるからですよ。ライダースピリット、これ程強力なカードは私達の世界では中々お目に掛かれませんからね」
まるで自分がこの世界の者ではない様な言い方にどこか引っ掛かりを覚えるが。
「おっと余計なおしゃべりはここまで。そろそろお暇させてもらいましょうか」
懐から取り出したボール状の物を地面へ叩きつけ、叩き付けられたソレは煙を巻き散らしながら周囲を覆い隠してしまう。
「ケホッ、何なんすか一体……!!」
煙はすぐに晴れるが、次に視界に映ったのは片手に巨大なバルーンを引っ提げて、空へと浮かび上がるシャドウの姿。
「と、飛んだ!!?」
「ハハッハハハ、もうここに用はありません! それではオ・ルボワール!」
「また訳の分かんない事を!!」
「『ごきげんよう』という意味ですよ! それでは!」
愉快な笑い声を上げながらそのまま南に方角へと飛んでいき、当然黙って見過ごせる訳もなく、シュウヤも後を追う様に駆け出すが、空を飛ぶ相手に追いつける訳もなく距離は見る見る内に離される。
「クソッ! 追い付けねぇ……ッ!! どうすれば!!」
逃がす訳には行かない、そんな思いで必死に追いかけるがこのままでは逃げられてしまう。どうすればいいのかと考える中、何かに気付いたように足を止める。
「待てよ! この先は海岸だった筈、それなら!!」
***
「さて、無事撒いたようですね」
砂浜に降り立ち、周囲に気配がない事を確認すると懐からある機械を取り出すが。
「ちょっと待ったぁーッ!!」
「!!?」
人気のないその場所に響く叫び声、目の前にはシュウヤの姿があった。
「なっ! どうしてここに!?」
「へっ、人目を避けるのにうってつけとなる場所は方角から見てここ以外にないっすからね!!」
「場所が分かってたところで追い付ける訳が……!」
「逆っすよ! 場所が分かってるからこそ先回りできる! この辺りの土地勘に詳しい奴だからこそできるショートカットが!」
かなり強引な道程を超えて来たのだろう。少々ボロボロになった身形がそれを物語ているが、今はそれに構う事ではない。
「ともかく観念するっす!! カードは返してもらうっすよ!!」
「えぇい、汚らわしい! 離れろ!!」
「誰のせいでこうなったと思ってるんすか! いいから早くカードを返せっす!」
そのままシャドウに掴み掛かり、シャドウも取り返されまいと必死に抵抗し、ドタバタと揉み合いになるが、ふと弾みに持っていた機械のスイッチを押してしまう。
「しまった!?」
「……?」
何かに動揺するシャドウ、その何かが分かっていないシュウヤは不思議そうにハテナを浮かべるが、スイッチが入れた次の途端、突如として空間がガラスの様に砕ける。
「!?」
予期せぬ光景、だが考える間もなく開いた空間に吸い寄せられるかのように引き摺り込まれる。
「うわああああああああっ!!!!」
真っ白に染まる視界にただただ叫び声を上げるしかないが、無情にもそのまま空間の中へ飲まれ意識は途絶えてしまう。
***
「う、う~ん」
どれぐらい時間が経ったのか、先程まで眠っていたかのように起き上がり、目を擦りながらぼやける視界で辺りを見渡す。
「え~っと、ここどこっすか」
そんな事を呟きながら、ようやく視界がはっきり移ったかと思うと、視界に飛び込んできた光景は、見慣れた街景色ではなく、建物一つすらない荒野のど真ん中の風景だった。
「は?」
そんな一言と共に、俺は自分の頬を抓る。しかし光景には何の変哲もない。
「夢、だよな?」
さらに強く力を込めて頬を抓るが、痛みが強くなる以外の変化は何もない。
「……あぁ、ひょっとして今流行りの異世界転生って奴か」
あぁ、それならば納得だ。この光景が夢じゃないって事にも説明がつく……って。
「そんな訳ねぇだろうがあああああッ!!! ここどこっすかああああああッ!!!!?」
思わず自分自身にノリツッコミを入れる程に取り乱だすが、落ち着ける訳はない。全く見た事のない異次元の光景にどうしていいのかすら分からず、ただただ頭が痛くなるのを感じてしまう。
「だ、誰かぁーーっ! 異世界の原住民でもいいから誰かいないんすか!!」
泣きたくなる気持ちを抑えながら必死に無人の荒野に大声を上げる。あぁ、頼むから誰でもいいから返事が欲しい。
『…………ぃ』
「!」
何かが聞こえたような気がした、直ぐに耳を澄ますと先程聞いた音は声としてはっきり聞こえる」
『ぉ………ぃ』
『おーーーーい!!』
はっきり声が聞こえ始めたかと思うと、方角の先に微かに人影が見え始める。
渡りに船とはまさにこの事、俺はその声に返事を返しながら手を振るその影へ走って行く。
***
「いやぁー、まさかあんな荒野のど真ん中に人がいるとは。おじさん驚いちゃったな」
先程こちらに返事を返してくれたであろう声の主と合流し、近くの洞窟で休ませてもらっていた。此処でキャンプでもしていたのだろうか、やけに準備が良く、手早く料理を用意しながら男性はそれをシュウヤへと差し出す。
「まぁまずはこれでも食べて落ち着いてほしい」
「何から何までありがとうございます。にしてもよく気付いてくれたっすね」
「そりゃ荒野のど真ん中であれだけ大声で叫べばさすがにおじさんも気付くよ」
「はは、まぁ声がデカいのは生まれつきっす」
今回に関して言えば、生まれついてのそれに初めて感謝を覚えたかもしれない。
「まずは自己紹介しとくかな、おじさんの名前はヘル」
ヘル、明らかに日本の名前ではないよな。とすればやはりここは異世界なのだろうか。
「ひょっとして、ここは異世界だとか思ってる?」
何て事を考えてると、ヘルさんは俺の思考の中を言い当てる様に尋ねる。エスパーかよ、この人。何て事を思わず心の中で叫んでしまう。
「何で分かんすか!?」
「さっきも異世界の原住民とか何とか叫んでたでしょ。確かにここは異世界には違いないけど、おじさんは元日本暮らしだよ」
「えっ!? そうなんすか! ヘルっていうのはてっきり異世界ネームか何かかと」
「ここに移り住んだ時にそう名乗ってるんだ。まぁ厨二病拗らせてるだけだからあまりそこは突っ込まないでくれると嬉しいな」
「は、はぁ」
何はともあれどうやらヘルと名乗るこの人物はこの世界について詳しい事は間違いない。すぐにこの世界について説明してもらうことをお願いし、ヘルも二つ返事でそれを了承して説明してもらう事、数分。
「と言う訳だ。この世界についての事情については大丈夫かな?」
「はい、罪狩猟団やら色々、大変なんですね。どうしてこんな過酷な場にヘルさんは移って来たんっすか?」
「研究者としてまだまだこの世界について調べたいからね。まぁ職業病って奴かな」
「成程」
「まぁ君はどうやらこの世界に意図せず迷い込んでしまったんだろう? すぐ元の世界に返してあげるよ」
「ほんとっすか!?」
「あぁ、その為の機械も作ってあるんだからね」
無事帰れると聞き安堵の表情浮かべるが、直ぐに何かを思い出したように。
「ちょ、ちょっと待ってください! 俺やっぱまだ帰れねぇっす!」
「帰りたくないのかい?」
「そうじゃなくて、俺まだここでやる事があるんす! 異世界に来たあの怪盗のシャドウって奴から盗まれたカードを取り貸さないと!!」
「怪盗!?」
「そうなんすよ! 店長とも約束した手前、絶対カードをあいつから取り返さないと!!!」
決意したようにすぐさまその場を飛び出そうとするが。
「!!」
『えっ!?』
突然空間の穴が開いたかと思うとそこから飛び出す人影、その人物はシュウヤのすぐ目の前で現れ、避ける術はなく、そのまま正面から激突し。
「「痛ってぇぇぇッ!!」」
互いに頭を打ち付け、シュウヤと飛び出してきたもう一人の人物はその場でもだえる様に頭を押さえながら痛みに叫ぶ。
「何なんすか、いきなり! 危ねぇじゃないっすか!」
先にシュウヤは起き上がり、現れたその人物に文句を言うが、その瞬間、突然一枚のカードがシュウヤの前に飛び出したかと思うと。
『いきなりで随分なご挨拶じゃねぇか!!』
「カ、カードが喋ったぁぁぁっ!!?」
そのカードはいきなり恐竜の姿となり、まるで不良の様な口調で語りかけ始める。
『ハハハ、面白れぇリアクションだな。相棒と初めて会った時のことを思い出すぜ、そうだろ、烈我!!』
烈我、先程自分とぶつかった人物の事だろうか。そのまま起き上がりバジュラを見ながら。
「お前、俺と初めて会った時は無理矢理黙らせてきただろうが」
『そうだっけか。まぁ確かにこういうリアクションを見るのは新鮮な気がしてるがな』
「……ハッ! それはそうとバジュラ離れろよ! その人ビックリしてるだろ!!」
「あ、アンタ等一体何なんすか!!」
「あぁー、烈我君ごめんね。そう言えば今日来るって連絡くれてたもんね」
困惑するシュウヤに助け船を出す様に、口を挟むヘル。どうやらこの烈我という人物もヘルの知り合いらしい。
『おい、ヘル! 俺ら以外に先客がいるなんて聞いてねぇぞ! どういう訳かとっとと教えろ!」
「相変わらず口が悪いな。まぁいいけど」
バジュラからの質問に、やれやれと言った様子ながらもまた順を追って二人に一から説明する事に。
『成程、怪盗とか言う奴を追ってこの世界に来たと。そりゃ災難だったな』
「どもっす。ところで、あんたがそのさっき話に出た七罪竜って奴でいいんすよね?」
『あぁそうさ。俺を含め、大罪を背負う七体の龍。それをすべて集めし時願いを叶えられる! 願いがあるならテメェも俺を狙ってみるか?』
「え、遠慮しとくっす」
絶対面倒くさい事になる、そんな事を突っ込みを心の中に留めながら返事を返す。
「所で怪盗か。俺の街でも聞いた事ないけどな」
「そうっすよね。怪盗なんてそもそもいる訳が!」
「いや、怪盗は実在するよ」
「「!?」」
ヘルからの言葉に、二人と驚きを隠せない様に動揺する。
「と言っても、元の世界じゃなくてこの世界の事だけどね」
「ヘルさん、知ってるんすか」
「噂程度にね。各地に出現してはあらゆるお宝を奪い去る怪盗、おじさんの耳にも入るぐらい一時期有名だったよ」
「そんな奴がどうして俺達の世界に?」
「それはおじさんも分からない。けど、そのシャドウについてなら拠点となる情報もあるよ」
「ホントですか!?」
「とはいえ、信憑性も不確かだから絶対とは言い切れないけどね」
「それでもいいっす! 手掛かりがあるなら教えて欲しいっす!!」
熱意を込めて頼み込むシュウヤにヘルも半ば押される形だったが、それでもその目を信じる様に「分かったよ」と地図を取り出す。
「そこが拠点であろう場所だ。とはいえ危険もあるだろうし、一人じゃ辛いだろうかな」
「それじゃあ、俺も行きますよ!」
「「!」」
シュウヤとの同行に名乗りを上げたのは烈我だった。
「ほ、ホントに!? いいんっすか!」
「あぁ、何か他人事に思えなくて、それに怪盗だか何だか知らないけどカードを奪い取る奴は許せねぇぜ!!」
『ケッ、相変わらずお人良しだな』
「んな事言わずに、バジュラも協力してくれよな?」
『しょうがねぇ、面白そうではあるしノッてやるよ! その怪盗って奴に俺の怒りぶつけてやるぜ!!』
「二人ともありがとうっす! それじゃあ早速行くっすよ!!」
「二人とも充分気を付けてね! おじさんは生憎、罪狩猟団に気付かれるような大きな動きはできないから同行もできない。けど無事戻ってきてくれれば責任を持って元の世界に送り届けるよ」
「はい、ありがとうっす!!」
ヘルに見送られながら、手渡された地図の情報を頼りにシャドウの元へと向かう二人。
***
「やれやれ、ホント酷い目に合いましたよ。怪盗たる者、去り際も優雅にあらねばならないというのに」
一方で平原の外れに立てられた一つの建物、その場所で、今回の失態を反省するように愚痴をぼやきつつ、アジトであるその中へ入ろうとするが。
「見つけたぜ!!」
「!!」
叫び声と共に振り返ると、振り返った先には烈我とシュウヤの姿が。
「貴方達は……! こんな所まで追ってくるとは!!」
「やっと見つけたぜ怪盗! 大人しく盗んだカードを返すっすよ!!」
「返せと言われて返すぐらいなら怪盗なんかやってませんよ」
「そ、それもそうか!」
シャドウからの返答に思わず頷いてしまい、「納得してどうすんですか!」という烈我の突っ込みに思わず我に返る。
「そうだった! とにかく力づくでも返してもらうっすよ!」
「力づくねぇ……それで、そっちの君もこの男の味方なのかな?」
「あぁ、カードを奪うなんて許せねぇ! 取り返させてもらうぜ!!」
「正義感が強い事で。とりあえず折角ここまで来たんだ、私と立ち合うならせめて名乗ってみたらどうかな?」
「真木シュウヤ! アンタをぶっ倒すカードバトラーっすよ!」
「天上烈我、同じく俺もお前を倒すバトラーだ!」
「烈我……?」
烈我、その名に対し何かに気付いたように一枚の紙を取り出すと、その紙と烈我を交互に見合わせながら。
「あぁ~、誰かと思えば罪狩猟団が狙ってる七罪竜の所持者の事か」
「お前、知ってるのか!?」
「まぁ知ってるも何も元罪狩猟団所属だからね!」
「「!?」」
シャドウからの意外な言葉に、動揺が走る。
「まぁ首領であるルディアとは美的センス違いって言うのかな? ともかく考えが合わなくて勝手に抜けたよ。短い期間とはいえ、所属していたお陰でスピリッツエデン以外の世界の事とか、それなりに面白い情報は仕入れることはできた」
「そうか、だから俺達の世界も事も知ってたのか!」
「そういう事。そしてルディアが狙ってるという伝説の七罪竜、予定にはなかったがそれも相当なお宝だ! 是非手に入れたい!!」
「テメェ……!!」
シャドウの言葉に、烈我もより一層退き下がる訳には行かない。
『他人事じゃない気はしてたが、当たったな。どうやら俺達にとっても無関係な相手じゃねぇらしい』
語り掛けるように頭の中にバジュラの声が響き、それに対し烈我は静かに頷くとデッキを構える。
「ともかく! バトルだ!! 盗んだカード、返してもらうぜ!」
「いいでしょう。私も手に入れたお宝の力を試したいんです。それにこのバトルに勝って七罪竜も手に入るなら上々!!」
「俺もやるっすよ! 烈我、力を貸してくださいっす!」
「おぉ、俺からも頼む! 俺達で、此奴を倒す!」
「二対一ですか。いいですよ、元罪狩猟団、帝騎としての実力存分に見せてあげますよ!」
「帝騎!?」
帝騎は組織を表す称号、その称号は相当な実力者であることを意味し、油断できない事はシュウヤにも伝わった。
「それでは始めましょうか!」
キューブを足元に投げ入れ、フィールドの様な枠が三人を囲い始める。
「「「ゲートオープン、界放!」」」
試合開始の宣言と共に、三人の体はバトルフィールドへと、戦いの舞台に転送される。
「えっと勢いで俺も参加したけど、二対一のバトルなんてどうすればいいんっすかね」
「あぁ……そう言えば俺もタッグバトルなら経験はあるけど、こんなバトル形式初めてだしやり方なんて分かんねぇぞ?」
『テメェ等揃いも揃って……』
特殊なバトル形式にシュウヤも烈我も思わず困惑するように疑問を口にし、その様子に溜息を零すバジュラだが対してシャドウは人差し指を突き出しながら。
「ご心配なく、ルールについては私から説明しますよ」
「「!」」
「まずは各ステップについては両プレイヤー同時進行、ライフについてはそれぞれ5個ずつですがライフの数が変動する場合はプレイヤーで共有してもらいます」
「共有?」
「はい、ダメージを受ける場合は両プレイヤー共にライフを失います。逆にライフが増える場合は、両プレイヤー共にそのライフが増えたものとします」
「へぇー、そりゃ随分優しいっすね」
「怪盗の美学として、二人同時に止めを刺したいですからね。そこのルールについては大目に見てますよ。ただしフィールドはあくまでプレイヤー別とし、バーストセットはどちらか一人のみ可能とします」
「!」
「そして肝心の私のフィールドですが、こちらのライフは10、リザーブの初期コアは7個とソウルコア1つからで始めさせていただきます」
「ライフ10個もっすか!? それに初期コアも倍って!!」
「二対一ですからね、充分公平かと思いますが?」
不敵な笑みを浮かべるシャドウに何か言ってやりたい気持ちがあるように顔を歪めるが。
「仕方ない、シュウヤ……受けて立とうぜ」
「烈我……いいんすね?」
「あぁ。大丈夫、俺達なら勝てる、そんな気がしてます!」
「……仕方ないっすね、いいっすよ! こっちもアンタが味方で心強く感じてるし!!」
「ルールについて合意と思って問題ないようですね。それでは始めましょうか! 私からの先行で行きますよ!」
────第1ターン、シャドウside。
[Reserve]8個。
[Hand]5枚。
「まずは風魔アカオバードを召喚! 召喚時効果でボイドからコア1個をこのスピリットに追加!」
第一手となるスピリットを呼び出すと、出現したアカオバードはパタパタと羽を広げながら鳴き声を上げると効果によるコアの恵みを齎す。
「増えたコアを一度リザーブに。さぁどんどん行きますよ? バーストセット。次にネクサス、巻き上がるダンガロ山脈を配置し、最後にマジックでハンドリバースを使用します! 手札を1枚破棄する事で相手と同じ枚数ドロー!」
「「!」」
まだ烈我達はターンを開始していない為、手札は4枚のまま。そのままカード一枚を破棄し、一気に4枚のカードを補充する。
「ソウルコアをコストにした事でさらに追加で一枚ドロー! これで手札は元通りですね」
「ぐっ!」
「さて、これでターンエンド」
────第2ターン、シュウヤ、烈我side。
【シュウヤside】
[Reserve]5個。
[Hand]5枚。
【烈我side】
[Reserve]5個。
[Hand]5枚。
「まずは俺から行くっすよ! バーストセットして仮面ライダークローズを召喚!」
シュウヤが呼び出したスピリットは仮面と鎧を身に纏いし戦士、仮面ライダーと呼ばれるライダースピリットの一体であり、クローズはフィールドに現れると拳を突き合わせ、そのまま拳を構えて見せる。
「おぉ! これが仮面ライダーか!」
「ひょっとしてライダースピリットって珍しいっすか?」
「いやー、商品もうちの近くじゃ取り扱ってないらしいし中々見る機会がなくて」
「あー、そういう事っすね」
「コホン、バトルを続けてもらいますか?」
咳払いをしながら注意を促すシャドウの一言に「そうだった」とバトルに意識を戻す。
「なら今度は俺の番だぜ! ライトブレイドラ、月桂竜ダプネドラゴンを召喚!」
フィールドには三体のスピリット、攻める準備は万全。
「一番手も俺からっすよ! アタックステップ開始時、トラッシュのコア2個をクローズに置き! Lv.2にアップ! そのままアタックだ!!」
一騎に駆け出すクローズ、それに声援を送る様にダプネドラゴンとライトブレイドラは鳴き声を上げ、アタック時効果により、攻撃と共にカードが一枚、シュウヤの手札に加わわるが。
「相手による手札増加時で私のバースト発動!」
「!」
「マジック、千枚手裏剣! 効果で相手スピリット二体を疲労させる。対象はライトブレイドラとダプネドラゴンの2体を疲労です!」
クローズの後に続こうとしていた二体は疲労によってその場に項垂れ、このターンの行動が出来なくなってしまい、それには思わず烈我も表情を歪める。
「さらにボイドからコア2個を私のリザーブに追加。クローズの攻撃はアカオバードでブロックさせますよ」
アカオバードは一度跳び上がると同時にクローズに狙いを定めてそのまま真っ直ぐ嘴を向けて、飛び矢の如くクローズへと襲い掛かるが、正面から迫るアカオバードに対しクローズは一歩も退かず、ベルトのレバーに手を掛けて勢いよく回して行く。
≪READY・GO!!≫
≪DRAGONIC・FINISH!》
電子音性と共に収束されたエネルギーが龍となって実体化すると、龍と共に空へと舞い上がると、そのままライダーキックの体勢となり必殺技となるドラゴニックフィニッシュをアカオバードに向けて撃ち放ち、二体のスピリットが空中で激突する。だが、勢いで勝るクローズはそのままアカオバードを押し切ると、そのままアカオバードを吹っ飛ばして地上へ着地すると、吹っ飛ばされたアカオバードは空中で大爆発を起こす。
「見事ですねー。ですが、これでそちらの攻撃は終わり。ターンは貰ってもいいですかね?」
「チッ!」
これ以上の手はない事は事実。無念ではあるもののシャドウの言葉に烈我と顔を見合わせつつも頷き、そのままターンを返すしかなかった。
────第3ターン、シャドウside。
[Reserve]11個。
[Hand]6枚。
[Field]巻き上がるダンガロ山脈Lv.1(0)。
「さて、コアも手札も充分な事ですし、このまま速攻を仕掛けるとしましょうか」
「「!?」」
「まずはバーストセット。そして行きますよ、風魔上忍ケツアールをLv.2で召喚!」
アカオバードよりもさらに一回り大きな怪鳥、ケツアール。その大きな翼と広げて空を舞い、空に響くほどの鳴き声を上げる。
「召喚時効果発揮、【分身:4】。この効果はデッキの上から4枚までを裏向きでフィールドに置き、リザーブのコア1個を置く事でそのカードをBP3000の分身スピリットとして扱います!」
「なっ!?」
「しかもネクサス、ダンガロ山脈の効果でこの時に使用するコアはリザーブではなくボイドから確保できる! 4体の分身スピリット達よ。フィールドを制圧せよ!」
ケツアールの鳴き声に共鳴するようにデッキから4枚のカードが飛び出し、そのカードはケツアールの分身態となってフィールドに舞い現れる。
「これで一気にスピリットは5体っすか!?」
「しかもそれだけじゃない、分身のスピリットの数だけコアブーストもしてる! かなり厄介だぜ!」
「フフ、君たちのスピリットは全て疲労。対してこちらのスピリットは5体、どうやらこれで決着を付けられそうですね!」
「「(来るっ!)」」
「さぁまずはケツアール、お行きなさい!」
地上すれすれの低空飛行で一気に加速すると、そのまま弾丸の如く展開されたバリアへぶち当たり、ライフを破壊される衝撃がシュウヤと烈我の両者へと襲い掛かる。
「「ぐあああっ!!」」
強烈な衝撃、そしてこの世界のバトルが初経験であるシュウヤにとってはかなり堪えたのか、思わず片膝をついてしまう。
「シュウヤ!!」
気遣うように咄嗟に烈我は声を上げる、だがその声に対し彼はただ黙って手を突き出したかと思うと。
「平気っす! これがこの世界のバトル……ちょっと痛いけど、お陰で気合は入ったっすよ!!」
「おやおや、まだまだ威勢だけはいいみたいですね」
「威勢だけかどうか今に分からせてやるっすよ! さっきの失態、取り返す! ライフ減少時でバースト発動!」
お返しと言わんばかりに今度はシュウヤがバーストのトリガーを引くと、弾け飛んだカードを手に取る。
「こいつのバースト効果はボイドからコア2個を仮面を持つ自分のスピリットに置く。クローズにコア2個を追加して、その後このスピリットをバースト召喚!」
「!!」
「さぁ新時代のヒーローお出ましだ! 仮面ライダーゼロワン、召喚ッ! Lv.2!!」
≪RISING・HOPPER!≫
クローズの時と同様、再びその場に突如として響く電子音声、そのすぐ直後に空から突然巨大なバッタの様な生物が地面へ降って来たかと思うと、直ぐにバッタは光となって消え去り、光が晴れるとそこに立っていたのはシュウヤがヒーローと呼ぶ戦士、仮面ライダーゼロワンの姿だった。
「うおおおッ!! 滅茶苦茶カッコいいーーッ!!」
ゼロワンの姿に思わず烈我も見惚れるように声を上げ、シュウヤもどこか誇らしげに笑いつつも今はバトルに集中。
「ですが所詮ブロッカー一体程度! こちらはまだまだ攻めますよ! 分身スピリットでさらにアタック!」
「仮面ライダーゼロワンでブロック!」
分身スピリットに対し、ゼロワンはその行く手に立ち塞がる。
「ゼロワン、Lv.2の効果! このスピリットのアタック、又はブロック時、相手のBP5000以下のスピリットを破壊! まだ攻撃してない分身スピリットを破壊っすよ!」
ゼロワンは複眼を輝かせると、先程出現したバッタのような生物はいま一度フィールドに実体化し、そのまま大きく飛び上がって後方の分身スピリットに圧し掛かると、そのまま分身スピリットを蹴り付け、地面へと叩き落されて破壊される。
「その程度ですか。こちらの攻撃可能のスピリットはまだまだいますよ?」
「だったら次はこれっす! 仮面ライダーゼロワンを煌臨! 仮面ライダーゼロワンシャイニングホッパーへ!!」
コールしたカードをゼロワンの上へ重ね、それに合わせゼロワンはプログライズキーと呼ばれるツールを取り出し、構える。
≪SHAINIG・JUMP‼≫
≪OFRISE≫
プログライズキーを構えたと同時に、先程のバッタの生物はより光り輝きながらフィールドへ、そして構えたプログライズキーを自身のベルトへ装填する。
≪PROGRISE≫
≪SHAINING・HOPPER!!!≫
音声と共に、そのまま電子態のバッタはゼロワンへと乗り移ると、眩い程の閃光を放ちながら、ゼロワンはシャイニングホッパーへと姿を変化させる。
「!」
「煌臨時効果発揮、ボイドからコア2個をトラッシュに置き、トラッシュのコア3個につき、相手スピリット一体を疲労させるっす!」
現在シュウヤのトラッシュにあるコアの合計は6個、それにより二体の分身スピリットはゼロワンの光に当てられた途端、その場に項垂れてしまう。
「ッ!」
「さぁ続くバトル! 決めるっすよ!」
分身スピリットは吠えながらゼロワンシャイニングホッパーへと迫るが、それに対し複眼を輝かせると、まるで瞬間移動するかの如く分身スピリットの視界から外れ、分身スピリットは苛立つように鳴きながら、再びゼロワンを視界にとらえ襲い掛かるが、結果は同じ。分身スピリットはかなりの速さで飛び回るが、ゼロワンの瞬間移動の速度はそれを遥かに凌駕し、そして次に分身スピリットの攻撃を避けると同時に、その背後へと回り込む。
後ろを取ると同時にオーソライズバスターと呼ばれる武器を取り出すと、武器を自身のベルトにスキャンさせる。
≪ZEROONE・AUTHORIZE≫
バスターに込められるエネルギー、銃口を分身スピリットへと向け、その引き金を引く。
<ゼ>
<ロ>
<ワ>
<ン>
<ダ>
<ス>
<ト>
≪ゼロワンダスト!!≫
撃ち放たれたエネルギー弾が分身スピリットを貫き、巻き起こる大爆発。それを見ながらシャドウは片手でハットを深くかぶる様に目線を隠す素振りを見せながら。
「……こちらの攻撃できるスピリットはなし。ターンエンドですね」
────第4ターン、シュウヤ・烈我side。
【シュウヤside】
[Reserve]7個。
[Hand]5枚。
[Field]仮面ライダークローズLv.1(1)BP3000、仮面ライダーゼロワンシャイニングホッパーLv.2(3)BP9000。
【烈我side】
[Reserve]5個。
[Hand]4枚。
[Field]ライトブレイドラLv.1(1)BP1000、月桂竜ダプネドラゴンLv.1(1)BP4000。
「さぁ今度はこっちの番っすよ! マジック! ダイナバースト! 効果で2枚ドロー!」
「フフッ、なら相手による手札増加後でバーストです! 千枚手裏剣」
「げっ!? またっすか!!」
「効果により再び2体のスピリットを疲──」
「ちょっと待ったぁッ!!」
再び発動されようとする千枚手裏剣、それにストップを掛けたのは烈我だった。
「同じ手を喰うのは御免だ! 相手のバーストが発動する時、1コスト支払うことでこのスピリットを召喚できる!!」
「何ッ!?」
「幻想を壊して勝利への未来を掴め! 超星使徒スピッツァードラゴンを召喚ッ!」
俊星の如くフィールドへと舞い降りる蒼白の龍、スッピツァー、発動されようとするバーストに対しその眼光を輝かせて睨むと、放たれようとしたそのカードは固まったように静止してしまう。
「このスピリットを召喚した時、相手バーストを破棄! そしてスピッツァー自身にボイドからコア2個を追加だぜ!」
そのままバーストは石化し、スピッツァーは石化したカードに向けて炎を撃ち放つと、木っ端微塵に粉砕する。
「トレビアン!! そうでなくてはね!」
「へっ! 今度は俺達の番だからな! やられっぱなしじゃねぇぜ!」
「サンキュー烈我、助かったすよ! 続けて行くっす! ゼロワンとクローズをそれぞれLv.3にアップ!」
「こっちも行くぜ! まずは創界神アポローンを配置! 効果で神託!」
神託で落ちたカードは「龍星の射手リュキオース」、「レイニードル」、「堕ちる煌星」の3枚。
「神託によりコア1個をアポローンに追加し、さらにスピッツァードラゴンをLv.3にアップ! アタックステップだ!」
「アタックステップ開始時でクローズの効果発揮っすよ! トラッシュのコア2個をシャイニングホッパーに追加し、この効果でクローズ以外の系統「仮面」を持つスピリットにコアが追加された時、BP5000以下の相手スピリットを破壊! 分身スピリットを破壊っす!」
クローズは大きく飛び上がるとそのまま分身スピリットを蹴り飛ばし破壊。
「まずは俺から! ダプネドラゴンでアタック! 【小界放】の効果で、アポローンのコア1個をトラッシュに置き、アポローンの【神技】を発揮! もう一体の分身スピリットを破壊だ!」
アポローンは正確に残る最後の分身スピリットを射抜くと、射抜かれた分身スピリットは炎に身を焼かれ四散してしまう。
「アポローンの効果で1枚ドロー! さぁメインアタックだぜ!」
「ライフで受けます」
「スピッツァーもアタックさせる!」
「それもライフですよ」
ダプネドラゴンとスピッツァーは一気に接近すると同時に、シャドウにそれぞれ火炎放射を吐き付け、バリアを焼き尽くすとライフを破壊していく。
「ぐぅッ!!」
「俺も続くっすよ! シャイニングホッパーでアタック! アタック時効果でトラッシュにコア2個を追加!」
「ブロッカーはないのでライフで、クローズもアタックさせますか?」
「勿論! クローズをアタックさせ、効果で1枚ドロー!
「ならばそれもライフで受けます!」
シャイニングホッパーとクローズは同時に駆け出すと、そのままスピッツァーとダプネドラゴンを踏み台にさらに大きく飛び上がると、クローズは拳を、シャイニングホッパーはオーソライズキーをアックスモードにしてそれぞれ構えると、振りかぶった拳と斧をバリアへと一気に振り下ろす。
「ぐぅっ!! ッ!! これは中々強力……ッ!!」
立て続けに攻撃を受け、流石にシャドウにも堪えてはいる様子。だが残るライフは6。まだ追い詰めたとは言い難い。
「ターンエンド、まだ決めきれそうにないけど、これであいつの分身スピリットは全滅っすよ!」
「あぁ、次のターンもバンバン攻めてくぜ!!」
────第5ターン、シャドウside。
[Reserve]13個。
[Hand]4枚。
[Field]風魔上忍ケツアールLv.2(3)BP13000、巻き上がるダンガロ山脈Lv.1(0)。
「さて私のターン、マジックでソウルドローを使用させてもらいます」
「赤のマジック? 単純な緑デッキじゃないのか!?」
「常に相手の想像を超える、予測不可能の事をしないと怪盗は名乗れませんからね!!」
一気に手札を増やし、増えたカードを見ながら口元を緩ませる。
「さて、先程私の分身スピリットは全滅と仰ってましたが本当にそうでしょうか?」
「何!?」
「まだまだこの程度では終わりませんよ? マジック、タイムリープを使用します」
「今度は黄色っすか!?」
「効果で私のスピリット1体を指定し、指定したスピリットの召喚時効果を発揮できる。勿論ケツアールを指定し、再び【分身:4】の効果発揮! ネクサスの効果で維持コストをボイドから確保し、分身スピリット達を召喚!」
再びフィールドに集うスピリット達、それには思わず一瞬シュウヤ達も息を呑む。
「また展開されたっす!」
「厄介だぜ!」
「いえいえ、今度はさっきの倍ですよ。さらに私は邪神官クリケッツをLv.2で召喚!」
「アルティメット!? 確か彼奴の効果は……!!」
嫌な予感が二人の脳裏を過るが、もはやシャドウのターンを止めることはできない。自身の狙いに気づかれていようがそれに構う事無くアタックステップを宣言する。
「さぁケツアールでアタックします! この時、クリケッツの効果を発動!」
「「!!」」
「クリケッツは自分のターン中、自分の緑、又は赤のスピリットが持つ召喚時効果をアタック時に変更させます。よって、ケツアールの召喚時効果をアタック時効果に変更し、今一度【分身:4】の効果を発揮!!」
再び4枚のカードが分身スピリットが空へと舞い、空を埋め突くしかねない程に展開されていく。
「これで私のスピリット、アルティメットの合計は計10体、さぁ如何ですか?」
「……計、10体って」
「嘘、だろ!?」
大量のスピリット達の迫力に思わず烈我とシュウヤの二人も絶句するしかなかった。圧倒的な戦略を誇るシャドウに対し、果たして二人に打つ手はあるのか……。
────To Be Continued。
どうもブラストです!!
この度、【バトルスピリッツ 獄炎外伝】を書いていらっしゃる置き物さんとのコラボ!! そのコラボ回を書かせていただきました。
今回はその前半! そして後編ですが、少し予告を。
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「さぁいよいよ真打の登場ですよ!!」
「「!!」」
────さらに激化するバトル、そしてついに奴が降臨する。
「頂点超王に全てが平伏す! 次元を超えた最強を見せし時! 仮面ライダーオーマジオウ、召喚ッ!!」
≪最高! 最善!! 最大!!!≫
≪最強王!!!≫
────絶対的な魔王、オーマジオウついに降臨。
以上が予告になります。えっ?予告になってない、それは許して←
果たしてバトルの結末は!!後編部分もより気合を入れて書いていきますので、是非次回もよろしくお願いします!