バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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特別編 PART-Ⅲ【無限大の究極進化】

「リンドウのコア2個をキングギドラに移して、レベルアップ! さぁ行くよ!」

「「!!」」

 

アタックステップ開始と同時に大龍城本丸の効果で、イカヅチのスピリット達は一斉にその力を上昇させていく。

 

「暴れな! ギドラッ!! 荒ぶる雷の如く攻め立てろッ!!」

 

イカヅチの指示にギドラは吼え上げながら翼を広げて空へと飛び上がり、三つ首の視線が全て光黄とエールに向けられる。

 

「【強襲】発動! 焔龍の城塞都市を疲労させ、キングギドラは回復!」

「ライフで、受ける!」

 

攻撃を受ける事を宣言すると、そのままギドラは三つ首から放つ雷撃をバリアへ撃ち込んで行き、火花を散らしながらバリアは破壊される。

 

「「ぐぅッ!!」」

 

ライフが破壊されるが、攻撃を受けながらも伏せたバーストカードに手を掛ける。

 

「ライフ減少時でバースト発動! 妖雷スパーク!! 効果でライトブレイドラとリンドウの2体をBP-5000!」

「!!」

 

光黄の伏せたバースト、トリガーが引かれると同時にバーストから放たれる雷撃がリンドウとライトブレイドラの2体に撃ち込まれ、リンドウは雷撃に耐えきるもののライトブレイドラは耐えきれずに破壊される。

 

「何かと思えば! アタイにその程度の電撃が効く訳ねぇだろ!」

「まだ効果は続いてる! コストを支払いフラッシュ効果、キングギドラのBP+2000させ、その代わりに、俺はデッキから1枚ドロー!」

「それじゃあまだまだだ、キングギドラで再アタック! 今度は大龍城本丸を疲労させて回復させるッ!」

「ッ!! ライフだッ!!」

 

今度は直接接近すると再展開されたバリアに喰らい付き、電撃を込めたその牙でバリアを噛み砕く。

 

「さらにギドラで三度目のアタック!!」

「ライフッ!」

 

一瞬翼を羽ばたかせて体を浮き上がらせるが、すぐに羽ばたきを止め、そのまま全体重を込めてバリアに圧し掛かり、ライフを破壊。

 

「「うわああああッ!!」」

 

立て続けに繰り出されるギドラの攻撃、そして何度も受ける衝撃に思わず二人は突き飛ばされてしまう。

 

「此奴、相当強いわね」

「あぁ……キングギドラ、相当厄介だな」

 

何とか立ち上がるが目の前に立ち塞がるキングギドラは圧倒的な存在感を放ちながらなおも咆哮を上げる。

 

「オイオイ、アタイ等の本領はここから何だぜ? 頼むからこんな所でギブアップなんかしないでくれよ?」

「ギブアップだと? 舐めるなよ、まだ負けるつもりはない!」

「えぇ、私達も本領発揮するのはこれからなんだから!!」

 

イカヅチに反論するように言葉を返す二人、そんな強気な姿勢に対してイカヅチは関心を覚えるように口角を上げる。

 

「ハハハハハハ!! そう来ないとなァッ! じゃねぇとアタイもギドラも全然滾らねぇッ! つまんねー仕事で飽き飽きしてたんだ。だから楽しませてくれよォ?」

「アンタ、何でそこまで?」

「言ったろ、生活の為の資金稼ぎだって、案外アタイも苦労してんだぜ。まぁエックスのお嬢ちゃんには分かんねぇ話だろうけど」

 

エールの質問に苦笑いするように答えるが、それでもまだ疑問は尽きない。

 

「幾ら生活の為だからって、あんな奴等に味方するなんて!」

「あぁ、お前……アイツ等がどういう奴等なのか、分かってるのか?」

 

「そんな事アタイの知ったこっちゃねぇよ」

「なっ!?」

「もう一つ言った筈だぜ、アタイ達が求めるのは強者だ。物心付いた時からギドラとは一緒に過ごしてるが、どいつもこいつも生半可な奴ばかり、今更弱い奴の相手なんか懲り懲りだ」

 

ギドラと心を通わせ、そして互いに同じ気持ちであるかのように光黄とエールに眼差しを向ける。

 

「だからよアタイ達はもっと強い奴と戦いたいんだ! 歯応え無しバトルなんかいらねぇ、全霊ぶつけられるような相手が欲しいッ! そいつら全員ぶっ倒して、自分が最強って事を知らしめたいんだよ! アタイもギドラも!」

 

そして「余計な話はここまで」と会話を切り上げると、意識を切り替えて二人を睨み、それに二人も警戒する様に構える。

 

「さぁ掛かってきな! アタイはこれでターンエンド!」

 

 

────第11ターン、光黄&エールside。

 

[Reserve]13個。

[Hand]](光黄)5枚、(エール)4枚。

[Field]勇気の紋章Lv.1(0)。

 

「俺のターン! 手札のこのカードを召喚する時、トラッシュの黄色のシンボルの数を軽減に数える事ができる!」

「!」

 

現在の光黄のトラッシュにある黄色のシンボルは3つ、そしてその効果を使用して呼び出されるカードは光黄にとってただ一枚。

 

「煌めき羽ばたく堕天の龍よ! 地に堕ちしその身を再び天へと羽ばたき降臨せよッ! 堕天神龍ヴィーナルシファー、Lv.3で召喚ッ!」

 

キングギドラの時と同様に空より荒れ狂う雷鳴、落雷と共にフィールドへと降り立つ龍、ヴィーナルシファーの姿である。

 

「それが光黄のキースピリットなのね!」

「あぁ、自慢のキースピリットだ。さらにエンジェリックフェザー(Rv)をヴィーナルシファーに直接合体!」

 

天より降り落ちる一本の剣、エンジェリックフェザー。振り落ちるその剣を掴み取ると、合体スピリットとなり咆哮を唸らせる。

 

「アタックステップ! ヴィーナルシファーでアタック! エンジェリックフェザーのアタック時効果でヴィーナルシファーを回復! さらに、リンドウをBP-6000し、BPが0になったら手札に戻す!」

「!」

 

エンジェリックフェザーによる斬撃波がリンドウを吹き飛ばし、イカヅチの手札へと戻される。

 

「チッ!」

「行け! ルシファー!」

 

一度手にしたエンジェリックフェザーを空中に放り投げて両爪を振り下ろしてバリアを引き裂き亀裂を走らせる。

 

「ッ!!」

 

最後に空中に投げたエンジェリックフェザーを掴み取ると即座に振り下ろし、バリアを完全に破壊してライフを2つ破壊する。

 

「がぁッ!!」

「回復したヴィーナルシファーで再アタック! さらにフラッシュ効果、ヴィーナルシファーの合体アタック時効果発揮! 手札のタマモノインを破棄!」

 

ヴィーナルシファーは眼光を輝かせ、光黄のデッキからオープンされていくカード。

 

「ヴィーナルシファーの効果でマジックカードが出るまで破棄、マジックカードが出た時、そのフラッシュ効果をノーコストで使用!」

 

数枚破棄された後、マジックカードが一枚弾き出され、そのカードを手に取る。

 

「フラッシュ! リカバリースターッ! 回復しろ、ヴィーナルシファー!」

 

咆哮を上げながらヴィーナルシファーのカードを再びスタンドさせ、ヴィーナルシファーは一気にイカヅチへと迫る。

 

「この攻撃と次の攻撃が決まれば、この勝負! 私達の勝ちね!!」

 

優勢的な状況に安堵するエール、しかしそんな彼女の言葉にイカヅチは少しだけ口角を緩ませる。

 

「アタイがそんな簡単に終わるとでも?」

「「!」」

「まだまだこの程度じゃやられないよ! フラッシュ! スクランブルブースター! これでこのターン、ギドラを疲労ブロッカーにさせる! ブロックだ、キングギドラ!!」

 

迫るヴィーナルシファーを標的と定めると、キングギドラは再び立ち上がり三頭共に口を開いて雷撃を込め、ヴィーナルシファーへと撃ち放つ。

 

「無駄だ! BPはヴィーナルシファーが上だ!」

「そうだね、確かに今のギドラじゃ歯が立たない。けど! 負けはしない!!」

「!?」

「フラッシュ、マジック! 鉄壁ウォールッ! コスト確保でギドラをレベルダウンするが、これで相手のアタックステップは強制終了!!」

 

イカヅチまでの行く手を塞ぐように白い防壁が展開され始め、バトルでは放たれた雷撃をエンジェリックフェザーを振り下ろして掻き消すと、そのままキングギドラに接近し、エンジェリックフェザーによる突きを繰り出し、それはキングギドラの胴体を捕えるが。

 

「!」

「無駄さ、ソウルコアをコストに使用した事でこのバトルで破壊されてもキングギドラは疲労状態で場に残る。完全に倒す事は不可能だ!」

 

エンジェリックフェザーの突きに対し、キングギドラの体にはイカヅチの前に展開された防壁と同じ物が纏われ、繰り出されたエンジェリックフェザーを弾き返し、キングギドラはイカヅチと同じくその口角を上げながら、得意げな表情を見せ、咆哮を上げる。

 

「くっ! ターンエンド!」

 

 

────第12ターン、イカヅチside。

 

[Reserve]14個。

[Hand]4枚。

[Field]キングギドラ[1991]Lv.1(1)BP5000、大龍城本丸Lv.1(0)、焔龍の城塞都市Lv.1(0)。

 

「アタイのターン、リンドウを再召喚。さらにマジック、ジュライドロー! 赤のシンボルは4つ以上、よって3枚引かせてもらうよ!」

 

一気に手札を増やし、加えたカードに視線を向けて面白そうに笑みを浮かべるとフィールドに視線を戻す。

 

「さて、マジックは厄介だけどもう同じ轍は踏まねぇ! 行くよ、大龍城本丸をLv.2にして、さらに機巧魔神、召喚ッ!」

 

戦車の様なキャタピラを稼働させながらフィールドへと現れる異魔神ブレイヴの一角、機巧魔神。その出現に光黄達も警戒する様に構える。

 

「キングギドラを左に、リンドウを右にそれぞれ機巧魔神と合体!! 一気に決めてやるよ!」

 

機巧魔神は機械的な動きで両腕を上げて左右に開くと、そのままキングギドラとリンドウに白の波動を撃ち込んで、己とリンクさせ、キングギドラとリンドウに2体は高らかに咆哮する。

 

「アタックステップ! ギドラでアタック! アタック時効果の【強襲】で再び回復させるよ!」

「ヴィーナルシファーでブロック!」

 

キングギドラは翼を羽ばたかせながら光黄達に迫り、その行く手を阻む様にヴィーナルシファーが前へと出てエンジェリックフェザーを振り下ろすが、キングギドラの三つ首の内の一頭が、エンジェリックフェザーの持ち手に噛み付いて剣を止める。

 

「立場逆転だね! 今度のバトル、BPはギドラの方が上だッ!!」

「立場逆転、か。確かにその通りだな!」

「?」

 

何か狙いがあるのか、笑って見せながら一枚のカードを見せる。

 

「フラッシュ! アルターミラージュ!!」

「何ッ!?」

 

残る二頭の首がヴィーナルシファーのもう片腕と首元に喰らい付き、そのまま牙に電撃を込めて、攻撃。ヴィーナルシファーは絶叫を上げながらその場で崩れ落ちるが、すぐに目を見開き、喰らい付くキングギドラを振り払う。

 

「此奴ァ……!!」

「アルターミラージュ、その効果でバトルで破壊されたスピリットは回復状態でフィールドに残る!」

「成程、さっきの意趣返しって事か!」

 

「やるじゃない! これならライフは削られないわ!」

「確かにな、けど甘いぜ!」

 

エールに対し、言葉を返すかの如く笑うイカヅチ、そして彼女の言葉に反応するように焔龍の城塞都市は赤き光を灯して行く。

 

「幾らフィールドに残した所で破壊した事に代わりねぇ! ネクサスの効果1枚ドロー! 続けて行くぜ、さらにキングギドラでアタック! 【強襲】の効果で大龍城本丸を疲労させてもう一度回復」

「ヴィーナルシファーで再ブロック!」

 

キングギドラの放つ電撃がヴィーナルシファーに直撃し爆炎が巻き起こるが、爆風の中をヴィーナルシファーは平然と飛び出す。

 

「倒し切れなくても破壊はしてる! ネクサスの効果でドロー! これでターンエンドだ」

 

 

────第13ターン、光黄&エールside

 

[Reserve]9個。

[Hand]](光黄)2枚、(エール)5枚。

[Field]堕天神龍ヴィーナルシファー×エンジェリックフェザーLv.3(5)BP15000、勇気の紋章Lv.1(0)。

 

「今度は私の番よ! バーストセット、さらにメタルグレイモンをLv.2で召喚!」

 

”グオオオオオオォォォォォッ!!”

 

進化を遂げて鋼鉄の体を持つグレイモン、地面を突き破りながら高らかに唸りを上げる。

 

「召喚時効果でBP12000以下の相手スピリットを破壊、リンドウを破壊よ!」

「!」

 

メタルグレイモンは地面に爪を突き立て、そのまま爪に炎を灯して一気に振り上げると、炎を込めた斬撃波がリンドウを切り刻み破壊する。

 

「アタックステップ! メタルグレイモン、行って!」

 

リンドウを破壊した勢いに乗じるようにメタルグレイモンは飛び出して行く。

 

「調子に乗んな! メタルグレイモン程度のBPならギドラの相手じゃねぇ!!」

 

突っ込むメタルグレイモンに対し、キングギドラは睨むような眼光を向けるが。

 

「それぐらい私だって分かってるわよ! だから手ならある! メタルグレイモンを煌臨ッ! ヴィーナルシファーのソウルコアを借りるわよ!」

「!?」

「メタルグレイモン、究極進化ッ! ウォーグレイモンッ!!」

 

ヴィーナルシファーはLv.2にダウンする代わりにメタルグレイモンの体が光り輝き、獄炎の炎を身に纏い、その体はさらに大きく、そしてその力をさらに高めて目を開くと、炎を振り払いウォーグレイモンへと進化する。

 

「ウォーグレイモンの煌臨時効果、BP15000以下の相手スピリットを破壊!」

「ハッ、今のキングギドラのBPは──」

 

そこまで言い掛けた瞬間、「言い忘れたけど」と口を挟む様にエールが声を掛ける

 

「ウォーグレイモンの煌臨時で破壊する際、ブレイヴのBP+を無視するわ!」

「なっ!?」

 

機巧魔神のBP加算値を差し引いたキングギドラのBPは13000。そしてキングギドラの三つ首がウォーグレイモンに襲い掛かる様に食らいかかるが、ウォーグレイモンは両爪を振るって左右の首を弾き、そして拳を握りしめるかの如く構えて、腕に炎を灯すと、そのまま中央の首がウォーグレイモンへと向かうが、ウォーグレイモンは左腕を突き上げ、強烈なアッパーを叩き込むと、大きくキングギドラを吹き飛ばす。

 

「ッ!!」

 

イカヅチの真横を掠め、壁に激突するキングギドラ。攻撃をモロに受けた頭は後ろの壁に体重を預ける様に項垂れる。

 

「どう! これでアンタのキースピリットは倒したわ!!」

「(やるな。やっぱり味方として頼りになる)」

 

エールの実力に光黄も余裕を感じるように口元を緩ませるが、倒れるキースピリットの姿にイカヅチは。

 

「アハハハッハハハッハ!!!」

「「!?」」

 

倒れるキースピリットを前に何故か彼女は声高らかに笑って見せた。

 

「ここまでやるとは、アンタ等は正真正銘、アタイの期待以上だった。滾る、存分に滾ってくるぜぇ……ッ!!」

「あ、アンタ自分のキースピリットが倒されたって言うのに!」

「あぁ? 倒された?」

 

イカヅチの態度に動揺を見せるエール達だが、その言葉に彼女は不思議に思うかのような態度を見せる。

 

「倒されたって言うのはもしかしてギドラの事かい? 倒されたと、本気で?」

「えっ!?」

 

キングギドラの左右に残る二頭の首はまだ闘争意識が尽きていない様に睨むような視線をエールと光黄に向け続け、完全に消滅していないキングギドラの姿を前にここで初めて二人にも疑問が浮かぶ。

 

「キングギドラが、まだ消滅していない?」

「あぁそうさ。ギドラはアタイの一番の相棒、ずっと此奴とやってきたんだ、だからこそそう簡単に倒れたりはしねぇ! ギドラは一度倒されてももう一度立ち上がれる! 真の姿となってな!!」

「「!?」」

 

イカヅチの言葉に倒れている頭も目を覚ますように再び目を見開き始めたかと思うと。

 

「天の雷操りし黄金の龍王、その不動の魂を不屈の鋼へと昇華せよ! 鋼鉄雷動の最強龍ッ!! サイボーグ怪獣メカキングギドラ、Lv.2で機動ッ!」

 

キングギドラは再び起き上がると、その身は白銀の光に包まれ始め、中央の首に鋼鉄のパーツが装着され始めて行き、キングギドラはメカキングギドラへと生まれ変わる。

 

”ギラアアアアアアァァァァァッ!!!”

 

機械混じりの声で咆哮を荒げるメカキングギドラ、ウォーグレイモンを圧倒するかのように近づいていき、三つ首はその狙いを向けながら粒子と電撃による光を灯して行く。

 

「召喚時効果、まずは相手スピリット1体をデッキの上に戻す! 効果でヴィーナルシファーをデッキの上に!」

「!!」

「さらにBP10000以下の相手スピリットを2体破壊できる! 解除されたエンジェリックフェザーをそのまま破壊するよ!」

 

白銀の光を放つレーザー光線がヴィーナルシファーを吹き飛ばし、そして残ったエンジェリックフェザーに雷撃を喰らわせ破壊する。

 

「ぐっ!」

「ここまでが召喚時効果、次はメインバトルと行くかァッ!!」

「ま、不味い!!」

「メカキングギドラでブロックだァッ!」

 

ウォーグレイモンの現在のBPは12000、対するメカキングギドラはBP15000、力の差は歴然、ウォーグレイモンに対して三つ首の頭は再び電撃と粒子を口に込めて行くが。

 

「フラッシュ!! バトルキャンセル!」

「「!!」」

 

咄嗟に光黄はマジックを発動させると、ウォーグレイモンに攻撃が放たれるその直前でキングギドラの攻撃がピタリと止まる。

 

「へぇー、バトルを回避させたのか」

「光黄……ありがとう」

「礼はいい、それより今がチャンスだ!」

「えぇ、バトル終了時、ウォーグレイモンの効果発動! 効果でソウルコアをこのスピリットに戻すことで相手ライフ1つをボイドに送る!」

「なッ!?」

 

メカキングギドラを擦り抜けて、火炎放射を放つとそれはイカヅチのライフへ直撃しライフを砕かれるが、それでもイカヅチは怯む事は無い。

 

「油断も隙もねぇ。けど……!」

 

ライフを削られながらも大胆不敵に笑って見せ、バトルによる破壊を免れたとはいえ、出現したメカキングギドラと言う壁は二人にとって、とても巨大な存在だった。

 

「これ以上アンタ等に出来る事はねぇ、ターンエンドするんだな」

「……ターンエンド」

「それでいい」

 

 

────第14ターン、イカヅチside。

 

[Reserve]10個。

[Hand]6枚。

[Field]サイボーグ怪獣メカキングギドラLv.1(3)BP15000、機巧魔神Lv.1(0)、大龍城本丸Lv.1(2)、焔龍の城塞都市Lv.1(0)。

 

「アタイのターン、オリン円錐山を配置、さらに煌星第三使徒ガニメデをLv.2で召喚! 召喚時効果で勇気の紋章を破壊!」

「!」

 

キングギドラの先兵のように現れるガニメデ、出現と同時にネクサスに向けて炎を放ち、ネクサスを焼き焦がし破壊する。

 

「くッ!」

「決めるぜ、機巧魔神をガニメデとメカキングギドラに合体! アタックステップだ」

 

機巧魔神は新たな2体に波動を放って自身と接続させると合体スピリットと化した2体はBPを上昇させ、さらにそのシンボルも追加された事でガニメデはダブルシンボル、そしてメカキングギドラはトリプルシンボル。

 

「アンタ等のライフは残り3! このアタックステップで決めてやるよォッ! ギドラァッ!!」

 

イカヅチの叫びに三つ首はそれぞれ狙いを定めて攻撃の準備を入り、まるでカウントダウンを開始するかのように徐々にエネルギーを溜め込んでいく。

絶望的な状況、だがそれでも。

 

「まだ、まだよ! 私達も負けてられないのよ!!」

「!」

 

圧倒的なメカキングギドラの姿、だがその姿を前にしても決して諦める事無く叫ぶエール、その声に光黄も強く頷き、迫り来る攻撃を前に二人は受けて立つ様に構える

 

「フラッシュタイミング! マジック、アイスエイジシールド! 効果でこのターン、メカキングギドラの攻撃じゃ私達のライフは削られない!」

 

三つ首より放つレーザーと雷撃が襲い掛かるが、バリアのより強固に覆う氷の盾がメカキングギドラの攻撃を完全にシャットアウトし、ライフを守り切る。

 

「だったらガニメデでアタックさせるまでだぜ!」

「ライフで受ける!!」

 

だがアイスエイジシールドで防御できるのはあくまでメカキングギドラによる攻撃のみ。ガニメデの攻撃を防ぐ術はなく、ライフで受けるしかない。

そのままガニメデの拳がライフを砕き、衝撃に吹き飛ばされる。

 

「「うわああああああッ!!」」

 

だがそれでもまだライフは1つ残る、光黄もエールも寸でのところで踏み留まり息を切らしながらもまだその闘志は尽きていない。

 

「ライフ減少時でバースト発動! ダイナバースト!!」

「破壊系のバーストか、けどそれじゃあアタイのスピリット達は殺れねぇぜ?」

 

ブレイヴによるBP加算に加え、大龍城本丸の効果でBPはさらに+3000されている為、ダイナバーストで破壊できるBP破壊上限は優に超えている。イカヅチの言う通り、メカキングギドラもガニメデも破壊する事はできない、しかし。

 

「まだよ! コストを支払いメインの効果を使用! この効果は光黄に対して使う!」

「!!」

 

彼女の狙いは再び光黄の手札を増やさせる事、デッキの上に戻された彼女のキースピリットが再び手札に加わる。

 

「粘るねぇ。けどそうこなくちゃ! アタイはこれでターン終了!」

 

 

────第15ターン、光黄&エールside。

 

[Reserve]13個。

[Hand](光黄)4枚、(エール)4枚。

[Field]ウォーグレイモンLv.3(4)BP16000。

 

「クダギツネを召喚、さらにもう一度降臨しろ! ヴィーナルシファーッ!!」

 

再びフィールド舞い降りるヴィーナルシファー、ウォーグレイモンと並び立てギドラに負けない程の咆哮を上げる。

 

「こっちも負けてられないわね! バーストセット、さらにディノニクソーとリザドエッジを召喚してマジック、ペネトレイトフレイム!」

「!」

「効果でBP12000まで相手スピリットを破壊するわ!」

 

エール達のターンでなら本丸によるBP加算はなく、放たれる炎の流弾がガニメデを飲み込み、炎に焼き尽くされ消滅四散。

 

「相手のライフは残り2! これで決める!!」

「…………」

 

止めを刺そうと構えるウォーグレイモンだが、一人光黄だけは何故か警戒する様にイカヅチに視線を向け、視線の先の彼女はまだ余裕そうな様子が垣間見える。

 

「エール、少しだけいいか?」

「どうしたのよ?」

「俺は、まだ様子を見た方がいいと思ってる」

「えっ!?」

「迂闊に踏み込めばやられる。そんな気がする」

「予感がするって、相手にブロッカーはないし絶好の勝機なんじゃ……!」

 

エールにしてみれば相手のライフは残り2、こちらの攻め手は万全であり一見すると確かに今が攻め時。それは光黄自身も分かっている。

 

「分かってる。だから俺を信じるか、どうか……お前が決めてくれ」

「!」

 

光黄からの言葉、それに対しエールは少しだけ考えるようにフィールドの状況を見て、ゆっくり目を瞑ると。

 

「……分かった、なら私は、アンタを信じる」

「!」

「ここまで助けられてるし、何だかんだ言っても頼りになるからね。だから信じてあげるわ! その代わり絶対勝つわよ!」

「あぁ、分かってる。俺もアイツ以外の奴に負けるつもりはないからな!」

 

その誰かの事を思い返しながら呟く光黄、そしてエールと顔を見合わせながら少しだけ互いに笑みを浮かべつつ、再び表情を切り替えてイカヅチに意識を戻す。

 

「へぇー、アタックはなし。後悔はねぇんだな?」

「えぇ、私たちはこれでターンを終了するわ!」

「なら、精々それが悔いのねぇ選択であることを祈るんだな!」

 

 

────第16ターン、イカヅチside。

 

[Reserve]11個。

[Hand]5枚。

[Field]サイボーグ怪獣メカキングギドラ×機巧魔神Lv.2(3)BP2000、大龍城本丸Lv.1(2)、焔龍の城塞都市Lv.1(0)、オリン円錐山Lv.1(0)。

 

「メインステップは何もしねぇ、アタックステップ!」

「「!!」」

 

バトルも大詰め、今の彼女の思いは攻める事のみ。メカキングギドラは最後の攻撃指示を待つかのように一歩踏み出し、咆哮を天に轟かせる。

 

「さぁギドラ! このターンが最後だ!! メカキングギドラ、アタックッ!!!」

 

尻尾を地面に叩きつけて衝撃を利用して大きく跳び上がると、そのまま光黄達に狙いをつけ、一気に降下していく。

 

「ウォーグレイモンでブロック!!」

「分かってんのか、BPはギドラが上なんだぜッ!!」

「えぇ、構わないわよッ!!」

 

ウォーグレイモンはエールの指示を信じているように従うと、背中のスラスターを点火させジェットの様にメカキングギドラへと迫って行く。

 

「光黄ッ!!」

「あぁ! フラッシュタイミング、天雷ッ!」

「!」

 

手札を構えて宣言する光黄、彼女の宣言した効果、天雷を持つカードは即ち一枚。

 

「瞬光雷進ッ! 色欲の咎を持つ雷竜! 戒めのない自由な天を舞い、地上の敵に轟雷の光を下せッ! 雷光天龍ライトボルディグス、天雷召喚ッ!!」

 

不足コスト確保の為、クダギツネは消滅。だが稲妻の如く光速となって飛来する雷龍、色欲の罪を司りし七罪竜の一体、ライトボルディグス。

 

『来た来た来た! 満を持して降臨ですよッ!!』

「あれが、七罪竜!」

 

初めて見る七罪竜の姿に見入るエール、彼女の視線に応える様にライトも視線を向ける。

 

『エール様! どうですか!! これが私の真の姿でございます! どうぞしっかり見届けてくださいませッ!!』

 

「……大きくなっても性格はそのままなのね」

「悪い、こういう奴なんだ」

 

愛想を振りまくライトに呆れるエール、光黄もエールと同じ気持ちのように頭を抱えるが、それでもバトルに集中し直す。

 

「ライト、とにかく! バトル中だ!!」

『お任せください光黄様! 必ずや勝利を!』

 

ウォーグレイモンと加わる様にバトルへ乱入し、そのままウォーグレイモンと共にメカキングギドラに向かって同時に突進して突き飛ばす。

 

「天雷は現在行われているバトルに参加! ウォーグレイモンのバトルに加わる!!」

 

メカキングギドラのBPは23000、対してウォーグレイモンとライトボルディグスの二体を加算したBPは25000、形勢逆転となるが。

 

「(待ってたぜッ!! 七罪竜ッ!)」

 

ライトボルディグスの姿、その姿を目に焼き付けながらこれまで以上に強く口角を上げて見せるイカヅチ。ライトボルディグス、その姿を見るのはイカヅチにとってはエールと同じ初めての筈だが、唯一違う点が一つ。

 

それは情報の差、遡る光黄達とバトルを少し前。

 

 

「チル、七罪竜についてアタイに教えてくれないか?」

「えー、それ聞いてどうするつもりなんですか?」

「決まってんだろ、戦う相手かもしれないんだ、その情報は知っておきたい」

「七罪竜は強力なスピリット、勝てるかどうかわかりませんよ」

「分かってねぇなァ? 勝てるかどうかじゃねぇ」

 

チルに対し、豪胆な態度で彼女は言葉を続ける。

 

「勝つんだよ! どんな強い相手でもぶっ倒して最強を目指す! それがアタイとギドラの進む道だ!!」

「……へぇー、意外とイカヅチさん野心家なんですね? いいですよ。ルディア様には内緒で共有してあげます♪」

 

そんな経緯を経て彼女はライトボルディグスの能力を事前に周知している、全ては勝つ為に。

 

「負ける気がしねぇなァッ! 今こそとっておき、見せてやるぜッ!!」

「「!」」

「フラッシュタイミング、レーザー引力光線ッ! 発動!!」

 

キングギドラは力を振り絞るように全身に電撃を迸らせ、覚醒するかのように眼光を輝かせて吼える。

 

「まずは相手スピリット一体を手札に戻す! 効果でまずはディノニクソーを手札だ!」

「ディノニクソーを?」

 

メカキングギドラから放たれるレーザーがディノニクソーへ撃ち込まれ、そのまま手札へと吹き飛ばしてしまう。

 

「こんなもんじゃ終わらねぇ! マジック使用時にソウルコアをコストにした場合、ギドラの名を持つスピリット一体を回復。よってメカキングギドラを回復ッ!! そしてメカキングギドラLv.2の効果、自分の赤か白のスピリットが回復したなら、このスピリットの召喚時効果をもう一度発揮させるッ!!!」

「「!?」」

「忘れてねぇよな! メカキングギドラの召喚時効果、まずはウォーグレイモンをデッキの上に戻し、そしてその後BP10000以下のスピリット2体を破壊! ヴィーナルシファーとリザドエッジだァッ!!」

 

ディノニクソーと同様、ウォーグレイモンを吹き飛ばして今度はデッキの上へと戻しさらに残る二頭の首がヴィーナルシファーとリザドエッジを捕え、攻撃を受けた二体は破壊される。

 

『こ、光黄様のキースピリットが!?』

「ハハハ、これで外野は一掃、後はメインだけだぜ! 七罪竜ッ!!」

『!?』

「確かバトルに参加つったよな、つー事はよ……まだギドラとのバトルは継続してるって事だよな?」

 

完全にライトの能力を周知した上での対策、このマジックこそ彼女が温存していた切り札に他ならない。

 

「これでテメェを倒せば後腐れのねぇ完全勝利ッ!! 勝つのはアタイとギドラだァッ!!!!」

 

止めを刺すべく羽ばたきながらライトに向かって雷撃を打ち込み素早い動きで攻撃を紙一重で避けて行くが、メカキングギドラは体に搭載したワイヤーをライトに向けて射出、動きを封じるかのように拘束する。

 

『うぐッ!!』

「これで、止めだァッ!!」

 

メカキングギドラの牙がライトへと迫るが、その瞬間、「待った!」とその行動を呼び止めるかのようなエールの一言。

 

「メカキングギドラに私のスピリットが破壊されてる、だから先にこのバーストを発動させてもらうわ! 相手による自分のスピリット破壊後でバースト発動! 双光気弾ッ!!」

「このタイミングでのバーストだと!?」

 

バースト効果はデッキから2枚ドロー、デッキ上に戻されたウォーグレイモンを再び手札へと加えて行く。

 

「さらにフラッシュ! コストを支払って、相手ネクサスかブレイヴ一つを破壊! 私が選ぶのは、大龍城本丸!」

「!?」

 

追撃のように放たれる火球、それは炎は大龍城を貫き、風穴を開けて炎に燃え広げながら陥落して行く。

 

「何のつもりだ! 今更ネクサスを破壊して何になるッ!!」

 

「黙って見てなさいよ! ここからカッコよく逆転するんだから、光黄ッ!」

「あぁ!!」

 

エールからの言葉に頷きながら彼女は手札の最後の一枚を構える。

 

「フラッシュタイミング! マジック、アディショナルカラー!! 効果でライトボルディグスを指定して、このターン、赤のスピリットとして扱う!」

「赤の、スピリットだと!?」

 

マジックによりライトボルディグスの白い体が赤く輝き、その光に一瞬ギドラも目を眩ませるように細めるが、標的を視線から外さず襲い掛かろうとするが。

 

「(どうしてライトボルディグスを赤のスピリットに……!!)」

「まだ気づかない?」

「!」

「ライトボルディグスはコスト6のスピリット、そして今は赤のスピリット……この意味が!」

「……!!」

 

エールの言葉にイカヅチのようやく何か気付いたように表情を変える。

 

「ま、まさかお前……ッ!!」

「エール、後は任せる!」

 

「えぇ、受け取るわ!」

 

光黄から渡されるバトン、それを引き継ぐ様に彼女は手札に再度戻ってきたあのカードを構える。

 

「煌臨ッ!! ライトボルディグスを、ウォーグレイモンに進化ァッ!!!」

 

高らかにエールの宣言と共にライトボルディグスの纏う閃光を上げる雷は紅蓮の業火へと変わり、身に纏う炎はワイヤーを焼き切り、そして体を変化させていき、ウォーグレイモンの姿へと変化を遂げる。

 

「七罪竜を使って、煌臨……だと!?」

「ウォーグレイモンの煌臨時効果発揮!」

「!!」

 

その言葉にイカヅチは全てを察した。ウォーグレイモンの煌臨時効果はBP15000までスピリットを破壊する。現在キングギドラのBPは20000だが、それはあくまでブレイヴのBPを加算した場合の数値。

 

「ま、まさかテメェがネクサスを破壊した理由は!!」

「えぇ。ネクサスが無ければ、キングギドラのBPはブレイヴを除いてBP15000! ウォーグレイモンはブレイヴのBP加算値を無視して、BP15000以下の相手を破壊できる!!」

「そ、そんな真似がッ!!」

「「行っけぇーーッ!!」」

 

二人の叫びに対しウォーグレイモンはメカキングギドラの両腕に炎を灯して拳のように連打を叩き込んで行き大きくメカキングギドラを吹っ飛ばす。

激しい攻撃の連打に流石に大きく後ろによろけるが、それでも踏みとどまるように態勢を立て直すとそのまま三つ首から放つレーザーと雷撃を撃ち放ち、ウォーグレイモンは足元の地面を減り込ませる程、土台に力を籠めると、そのまま最大限の力を込めた極大の火炎放射を吐き付け、その炎はキングギドラの放つ攻撃を飲み込んで行きながらギドラへと迫り、炎が完全にギドラの攻撃を凌駕すると、雷撃を打ち消して炎は直撃し、絶叫を上げながらメカキングギドラは爆発四散。

 

「ギドラアアアアアッ!!!」

「どう、これが私達に力よ!!」

「……ぐっ! ターン、エンドォッ!!」

 

ギドラによる破壊はそれ程までに堪えたのか、初めて彼女の表情に動揺の色が浮かぶ。

 

「(まだだ、アタイの手札にある引力光線、次のターンで必ずギドラをトラッシュから呼び戻してやる!! だから絶対、耐えて見せるッ!)」

 

イカヅチもまた信念がある様に想いを込めた目でエール達を睨み、彼女の目は必ず耐えるという覚悟を顕していた。だが覚悟があるのは光黄もエールも同じ、互いに譲る訳には行かない。

 

 

────第17ターン、光黄&エールside。

 

[Reserve]18個。

[Hand](光黄)1枚、(エール)3枚。

[Field]ウォーグレイモンLv.3(4)BP16000。

 

「私のターン! ディノニクソーを再召喚! このままアタックステップ!」」

 

残るイカヅチのライフは2、今度こそ確実に討ち取るべくウォーグレイモンとディノニクソーは一気に構える。

 

「アタックステップ! ウォーグレイモンでアタック!!」

「まだだまだだ!! まだ負けれねぇよ!!! フラッシュタイミングで、フレイムミーティア! 効果でBP3000以下のスピリットを全て破壊!!」

 

雨のように降り注ぐ炎の矢、無数の矢はディノニクソーを射抜いていき、力尽きて破壊される。

 

「ウォーグレイモン一体じゃ、決められないだろ、凌いだ──!」

「嫌、まだ俺もいる事を忘れるなよ!」

「!!」

 

安堵するように一息つきかけたイカヅチに対し、光黄からの一言、手札の一枚を力強く掲げて行く。

 

「フラッシュ! セイクリッドウイング!」

「!!?」

「煌臨元になっているスピリット1体をノーコストで召喚! ライト、舞い戻れッ!!」

 

ウォーグレイモンの背に再びまばゆい光を灯しながら翼を広げて現れるライトの姿、そのままウォーグレイモンと共にイカヅチへと迫る。

 

「……アタイが、負ける!?」

 

迫る二体の姿に手札を見るが、もうイカヅチに打つ手は残っていない。

 

「……仕方ねぇ。久々に、楽しい勝負ができたなら満足だよ」

 

覚悟を決める様に迫る二体を受け入れると、そのままライトとウォーグレイモンは共に構える。

 

「ライトボルディグスで!」「ウォーグレイモンで!」

「「ラストアタックッ!!!」」」

 

ライトの雷撃とウォーグレイモンによる炎がバリアへと撃ち込まれ、イカヅチのライフを全て破壊し、決着を付ける。

 

 

***

 

 

「……負けちまった、か」

 

バトルを終え、満身創痍の状態で息を切らしながら言葉を吐き出すイカヅチ、気だるそうにその場に片膝を突く態勢で座りながらエールと光黄を見る。

 

「……はは、とんでもなく強かったよ、アンタ等。少なくとも今まで以上に滾る相手だった。できればまたやりたいね」

「悪いけど、アンタみたいな奴とは御免ね」

「俺もだ」

 

素っ気無く返事を返す二人だが、そんな二人にイカヅチは鼻で笑って見せた。

 

「言うじゃんか、折角アンタ等みたいな奴等と戦えるなら……こんな汚い仕事から足洗ってもいいと思ってんのにさ」

「ならそうしなさいよ、アンタだってバトルの腕は確かなんだから!」

「はは、エックスの奴からそう言われるならアタイも鼻が高いや、まぁいい。それよりアタイに勝ったんだ、とっとと行けよ……!」

 

イカヅチの様子が気になりながらも、言われるがまま二人は先に進み、そして残るイカヅチは。

 

「久々にいいバトルが出来た。とは言え、こんな気に喰わない仕事自体は、二度と受けたくねぇけどな」

 

「疲れた」と最後に溜息を零しながら、眠るようにその場で気を失う。

 

 

 

***

 

 

「どうして調べても全く何もないんですか!? どういう事ですか!!」

 

一方で先にライダースピリット確保の為、洞窟内を徹底的に探索するチルだったが、未だ作業は進んでおらず、捜索すれどまだ探し出せてはいなかった。

 

「もうもうもう! どうして見つからないんですか!!」

「チル様、あの……もしかして情報が誤りだったのでは!!」

 

下っ端の一人もお手上げの様に意見を投げるが、ここまで来て今更それを認められる訳がない。

 

「ある筈です! 何のためにマチ──ゲフンゲフン! じゃなくて苦労して情報掴んだと思ってるんですか!! それに、手ぶらで帰ったらチル、ディスト先輩に殺されるじゃないですかッ!!」

「そ、そのような事、我々に言われましても」

「もう全く、まぁ侵入者も今頃イカヅチさんが何とかしてる筈だし多分大丈──」

 

フラグの様な一言、そこまで言い掛けてふと振り返った瞬間、視線の先には光黄とエールの二人が。

 

「ぴゃああああッ!? 何でこんな所に!?」

 

「生憎イカヅチって奴なら倒したわ! 残るはアンタ達だけよ!」

「観念してもらおうか!」

 

連戦もじさない様にデッキを舞える二人、そんな二人にチルは。

 

「ムムッ! いい気にならないでくださいよ! チルだってやればできる子なんですよ! 本気を出せば貴方達二人ぐらい……ッ!!」

 

戦うつもりなのか懐に手を入れるチルの様子に二人も警戒する様に構え、そしてチルは口角を上げて見せるが、少し様子がおかしく。

 

「あ、あれ……あれ?」

「「?」」

「…………」

 

何かを探す様に暫く懐を弄るが、暫くして手を取り出して静かに笑顔を向ける。

 

「デッキがないので今日はこのぐらいにしてあげますよーーーーだ!!」

「「!!?」」

 

大胆な発言、そして次の瞬間、二人の間を通り抜けてその場から走り去るチル、突然のその行動に光黄とエール、それに下っ端たちも呆気に取られるが数秒後、我に返ったように表情を変え。

 

「た、退却ーーっ!!!」

 

下っ端の一人が叫ぶと、我先にと下っ端たちは一斉にその場から逃げ出し、そんな様子にポカーンとした二人だったが。

 

「な、何はともかく解決したのよ、ね?」

「た、多分な」

「…………」

「…………プ」

「フフ」

 

今の状況に少し言葉を失う二人だったが、無言に耐えきれなくなったように笑い合い、そしてそんな様子をライトとムエは微笑ましいように見守る。

 

「ともかく! 色々あったけど、一緒に戦ってくれてありがとう。貴方のお陰で勝てたわ」

「嫌、俺の方こそ。正直お前のキースピリットに助けられたよ」

 

普段見せない彼女達の素直な表情、そして互いに握手を交わして無事事件は解決。その後疲れながらも、少しだけ残りの期間での旅行を満喫し、彼女達はオウドウ都へと帰還するのだった。

 

 

***

 

 

「それで、どうだった? 向こうでは」

「はい、充分満喫できたと思います。今回は旅行のお話をくださってありがとうございました、エレン兄様」

 

オウドウ都へと帰還し、兄エレンに対しエールは率直な感想を伝え、光黄はエールの隣で二人の会話に耳を傾ける。

 

「オメガ家として粗相はなかっただろうな? 言っておくが、本来余はお前に二度と顔を見せるなとまで告げた。今回は致し方なくお前に任せた訳だが、その事を忘れるなよ?」

「はい、お兄様」

 

冷たいように一言、エールもそれに反論はせずただ静かにその言葉に聞き入るが。

 

「……だが、今回余の提案を引き受けてくれた事、そこについては礼を言おう」

「!」

 

初めてエールに告げる言葉、それはエレンがエールを思う気持ちに対して伝えられる精一杯の言葉だった。それが伝わっているのかいないのかエールは目を輝かせながら「はい!」と返事を返し、その様子にライトと光黄は素直じゃないエレンの様子に少しだけ可笑しそうに口元を緩ませる。

 

「時にそちらの娘もエールの護衛を遂げて礼を言おう」

「いえ、こちらとしても貴重な体験でした、それより絵瑠は?」

「あぁ、丁重にもてなしている。気に喰わんがコモンの者もな」

 

そんなエレンの視線の先には絵瑠とアスラの二人の姿があり、エレンからの言葉にアスラは苦い顔を浮かべ、その隣で絵瑠は気まずそうに苦笑い。

 

『シュオン、貴方ちゃんと絵瑠様を護衛してたんでしょうね?』

『知らん。俺にそんな義務は無いだろ』

『とか何とか言って、本当は料理に夢中になってたりとか?』

『!……貴様、見てたのか?』

『(あっ、図星っぽいですねコレ)』

 

そんなやり取りをしつつ、一方でアスラ達は。

 

「絵瑠さん! 色々バトルの手合わせありがとうございました! すげー楽しかったです!!!」

「うん、私からもお礼を言わせてくれ。アスラとバトルできて私も楽しかった!!」

 

アスラの手を握りながら率直な気持ちを伝える絵瑠にアスラも笑いながら答えるが、そんな2人の様子に少しだけエールはムッとした様子、それを察して、気を利かせるように「エール!」と声を掛ける。

 

「!」

「色々世話になった、またいつか会えるといいな」

「ええ。私こそ出来ればまた会いたい、その時はバトルでもしましょうよ」

「ありがとう、それじゃあ」

「うん、帰ったら想い人と仲良くね」

 

最後に小さくライト達に聞こえないぐらいの声量で一言、だがその言葉に思わず光黄は赤面しながら同じく小声で「お、お互い様だろ」と恥ずかしがりながらも負けじと言い返す。

 

「そうね。まあ、ともかく元気でね!」

「あぁ」

 

別れの挨拶を済ませ、エールとアスラの2人はまた頂点王を目指す旅へ、そして光黄と絵瑠の2人は自分達の世界へと戻っていくのだった。

 

 

 

***

 

「うっ、ッ……!」

 

何処か無人の荒野、その場で横たわるイカヅチは声を上げながら体を起こして辺りを見回す。

 

「ここは……!」

「あっ、ようやく目が覚めました?」

「お前……チル!?」

 

自分の傍にはチルの姿があり、状況を見る限りどうやら彼女が自分をここまで運んだのだろう。

 

「お前、何で……!」

「いやあ〜……逃げる途中で見掛けたんで運んできたんですよ、本当は見捨てて行こうかなって思ったりも」

「テメッ……割とハッキリ言いやがって!!」

「だって私置いて部下も勝手に元の世界に帰還してるから、1人で運ぶの大変だったし、そう思うのも無理ないじゃないですか!!」

「……ホントにお前は一々言わなくていい事を!!」

 

頭を掻きながら苛立つような愚痴を零すが、それでもチルに対して少しだけ笑う。

 

「お前ってさ、ぶりっ子ぶる癖に、案外本音はビシバシ吐くのな」

「ハイ、隠し事できない性格なので♪」

「ハハ、まぁテメェみたいな性格、アタイは案外好きだぜ。少なくともアイツよりは……」

 

クライアントの顔を思い返しながらチルに対して笑いながら言うが、チル本人は何のことか分かってない様にきょとんとした表情で首を傾げる。

 

「もしかしてチルのこと好きになっちゃいました?」

「はいはい、それでいいよ。一つだけ言うなら、もしこの作戦がうまく行ってたらテメェとこうして仲良しこよし話す事はなかっただろうけどな」

「上手く行ってたらって、何で作戦失敗したのにそんな嬉しそうなんです?」

「想像に任せるよ、テメェとはまた会えるといいな」

 

そう言って立ち上がると、チルに背を向けて彼女はまた歩き出す。

 

「イカヅチさん! 貴方これからどうするつもりなんですか?」

「さぁな、元々雇われの身。これからも勝手気ままに生きるよ、けどこんな仕事、もう多分引き受けるつもりはないがな」

 

彼女なりに今回の件で決心が着いたのかどこか吹っ切れたような表情でチルに対して背を向けたまま手を振り、「それじゃあな」とその場を立ち去っていく。

 

「はぁー……行っちゃった。さて、今回の作戦見事に失敗して、私これからどうすればいいんですかね」

 

結論から言って今回の作戦に関しては完全な失敗、ふとチルの脳裏にサディスティックな表情を向けるディストの姿が容易に浮かぶ。

 

「うぅ、絶対ディスト先輩に殺される……帰りたくないよぉ」

 

涙目でその場で蹲るチル、そんな彼女の前に。

 

「何しとるのじゃ、チル」

「!」

 

チルより少し幼い容姿ながらその口調は見た目にそぐわない程落ち着いた様な様子の少女。

 

「ミコ先輩! 何でここに!?」

「他の部下からまだ帰還してないって報告があったから迎えに来たのじゃ。感謝するんじゃよ」

「うぅ、ミコ先輩ーーっ!!」

 

気遣ってくれる彼女に泣きながら抱き着くチル、ミコは嫌そうな顔を浮かべながら「離れるのじゃ!」と降り払おうとする。

 

「全く、それで今回の作戦は駄目じゃったのか?」

「…………はい」

 

ミコの質問に涙目ながらに頷く。

 

「あの、それでディスト先輩は?」

「…………」

「ミコ先輩、目合わせてください」

 

苦笑いしながらチルから目線を明後日の方向に向けるミコ。

 

「うぅ、私もうディスト先輩の配下嫌です! ミコ先輩の直属になりたい!!」

「まぁまぁ、妾からも一緒に謝るから、な」

「いーやーだー、帰りたくないーっ!! ちるーんっ!!!」

 

駄々をこねながらも、ミコは無理矢理チルを引き釣って元の世界へ帰還し、最後に悲鳴のようなチルの声がその場に響いたのであった。

 

 

***

 

 

「なぁ、エール! あの光黄って人、強かったのか?」

「ん?」

「あの絵瑠って人も強かったし、光黄って人ともバトルしてみたかったぜ! シュオンと同じ七罪竜、どんな力持ってるのか」

「…………」

 

喜々として語るアスラだが、その様子にエールは少しむっとした様子。

 

「随分楽しそうね」

「えっ!? 何怒ってんだよ!?」

「うっさい、いいから次の街に行くわよ!!」

 

絵瑠達の事を語るアスラに嫉妬心を覚えているのか少しだけ怒り気味にアスラを置き去りするような速足で歩き出すが。

 

「エール! 待ってくれって、何怒ってんだよ!!」

「……ハァ」

 

とはいえエールもまたアスラにそれ程悪気がない事は理解している。仕方ないと言いたげに足を止める。

 

「はぁ……まぁ光黄なら強いわよ、少なくともアタシが認める程にね!」

 

またいつか会えるなら、今度はバトルしてみたい。そんな事を思いながらまた旅を続けるエールとアスラの二人だった。

 

 

***

 

 

「旅行誘ってくれて、ありがとな光黄」

「まぁな。でも悪いな、お前はあまり楽しめなかったんじゃないのか?」

「嫌そんな事は無いよ。私も十分楽しめた、けど……お前は他に行きたい奴がいたんじゃないのか?」

「うっ! お前迄そんな事……!」

 

絵瑠の一言に少し怒る様に一瞥を向けるがそれでも直ぐに表情を切り替え穏やかな表情に戻る。

 

「けどまぁそんなに悪い旅じゃなかったよ、偶然とはいえ結構いい体験だった」

 

今度はエール達と戦ってみたい、そんな事を想いながら彼女達はまた元の世界の生活へと戻るのだった。

 




コラボ編、遂に完結---っ!!!!
まず最初に今回コラボをOKしてくださったバナナ様、誠にありがとうございましたッ!

コラボする上でバナナさんの世界に登場するキャラを考えさせていただいたのですが、その時真っ先にキングギドラが思い浮かびました。キングギドラはよく悪役な立ち位置にいる事が追いですが、、自分にとっては正義の立場にいるギドラが凄い好きです。


そしてエールやアスラ達、今回は女性メンバーをメイン回にしたかったので出番は少なめでしたが、それでもバナナさん家のキャラを掛けて誠にたのしたかったです!!
またコラボがしたい!!!



そしてバナナさんの書く本編、「バトルスピリッツ コラボストーリズ」も絶賛公開中ですので是非とも読んでくださいませ!!!


それでは最後に改めて、コラボ編同意してくださったバナナ様!お読みくださった読者の皆様、誠にありがとうございました!!
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