バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第4話【爆我炎龍vs雷光天龍】

 

「じゃあ姉ちゃん! 行ってきます!」

「はいはい、二人とも気を付けてね」

 

バジュラと烈我を見送る姉の姿。昨日は結局光黄と話す事ができず、まだ朝早い時間ながら早速会いに行こうと敷居を飛び出す。

 

「!」

 

飛び出した矢先に足を止めたかと思うと、そこには光黄の姿があり、彼女の姿にバジュラをすぐさま引っ込ませて、即座に駆け寄る。

 

「光黄!!」

「来たか、相変わらず早いな」

「お前こそ、こんな早くから来てくれるなんて、もしかして待ってくれてた?」

「……まぁな。昨日の事について詳しく聞きたくて」

「あぁ、昨日は御免! 俺、その事について謝りたいと思ってて」

「それはいい。それよりもお前に話したい事がある」

「昨日の事じゃなくて?」

「多分、それについてもっと深い内容だ」

「?」

 

人目を気にするように「場所を移すぞ」とその場を後にし、近くの公園まで移動する。朝早い時間帯の性もあってか、烈我と光黄以外に人影や誰かが来る気配もなく、辺りを見渡しながらそれを確認すると、再び烈我に視線を向ける。

 

「ここならいいか」

「光黄?」

 

彼女の様子を不思議に思う中、彼女は1枚のカードを取り出したかと思うと「ライト」と何かを呼ぶように声を上げた瞬間、カードは光輝き、次の瞬間、翼竜の姿となって実体化する。

 

「光黄!? お前それ……ッ!!」

「その反応、やっぱり何か知ってるな?」

「!!」

 

ライトに対して驚きながらもそれほど大きくリアクションは取らず、烈我の反応に少なからず彼も何か知っているという事をすぐに認識できた。

 

『初めまして、光黄様のご友人とお伺いしております。私の名はライトボルディグス、どうぞよろしくお願いします』

「ど、どうも」

 

紳士的な態度で頭を下げながら挨拶するライト、烈我も合わせる様に挨拶を交わすが、光黄に対して烈我も聞かなければならない事が幾つも脳裏に浮かぶ。

 

「何でお前がバジュラと同じ七罪竜を持ってんだよ?」

「バジュラ……やっぱりお前が持ってたカードは此奴と同じ七罪竜なんだな」

「バジュラの事まで知ってんのかよ!?」

「あの時、お前が持ってたカードの名前がかすかに見えてな。聞きなれないスピリットの名前だから気になってた。だからライトと同じ物かと思ってたが、思った通りだったらしいな」

 

『へぇー、そこまで分かってるなら隠す必要はねぇな』

「「!」」

 

バジュラの声、デッキから飛び出す一枚のカード、ライトの時と同様、光輝くと共に実体化し、烈我の肩の上に乗る。

 

『やっぱりアンタでしたか。バジュラ』

『よぉ、久々だな。ライト! まさかテメェもこっちの世界に来てたとはな』

『出会いを求めてね、こっちに来たお陰で素敵な人と出会えましたよ』

『テメェはほんと相変わらずだな』

『それは言うならあなたもね。良くも悪くも全く変わってませんね』

 

他愛もない会話だが、近くで聞いてる分にはとても親し気な様子には聞き取れない。どういう関係なのか、二体の龍についての仲はあまり聞かない方が良い事なのは確か。

 

「ところでまだ詳しい事聞いてなかったけど、どこで手に入れたんだよ?」

「昨日会ったんだよ。その時にライトを狙う連中の事も知った」

「戦ったのか!?」

 

不安を隠せないように尋ねる烈我の質問に、ゆっくりと首を縦に振る。

 

「分かってんのかよ! それを持ってたらどんな目に合うか!」

「それはお前も同じだ!」

「!」

「昨日の連中と言い、あのカードを持ってればお前の言う通り危険な目に合うことは大体察しが付く。けど、状況はお前も同じなんだろ? だったら何でそれを話してくれなかった!」

「そ、それは」

「大方お前の事だからどうせ心配かけたくないとか、そんな事考えてたんだろ?」

「!」

 

一瞬体を震わせるような烈我の反応に「図星か」と確信するように一言。

 

「だってお前がまた危険な目に合うかもしれねぇって思ったら、巻き込めねぇだろ!」

「……ならバトルしてみるか?」

「!?」

 

突然の光黄の提案、それには烈我だけでなく聞いていたライトやバジュラも反応する。

 

「同じ七罪竜を持ってる者同士でバトル。ライトを試すいい機会だしな、そしてもし俺が勝ったらこの件に首を突っ込んでも、それに文句を言わせない」

「じゃあ俺が勝ったら?」

「……その時は、ライトを手放して大人しく手を引く」

『ちょ、光黄様!? それ本気で!!?』

 

動揺するライトだが、光黄は全く態度を変えず「本気だ」と凛とした態度で言い放つ。

 

「俺が負けたら、お前の好きなようにしていい。この勝負受けるか?」

 

一瞬どうするべきか、すぐには返答できず考え込んでしまうものの光黄の態度にバジュラは『気に入った!』と高らかに笑い声をあげる。

 

『肝の据わった女だ、望み通り勝負に応じようぜ! それにそいつをぶっ倒すいい機会だしな!』

 

やはり仲は険悪なのか、ライトを指指しながらライトもまた挑発的なバジュラの言葉に『返り討ちにしてやりますよ!』と受けて立つ気満々だった。

 

「……分かった。勝負に応じる。けど約束してくれ、俺が勝ったら絶対この件から手を引くって!」

「分かってる」

 

互いにデッキを構える両者、バジュラもライトもカードの姿に戻り、それぞれデッキの中へと納まり、そしてヘルから渡されたキューブを取り出す。

 

「忘れるところだったぜ!」

「お前、それをどこで?」

「あー、ある人から渡されてさ。まぁ後で詳しく説明するよ」

 

今はバトルに気を戻し、「確かこんな感じだよな」とドレイクやヘルの見様見真似で手に持ったキューブを投げると、フィールドが展開され、二人の姿がその場から消える。

 

 

***

 

 

バトルフィールドで舞台を移す二人。だがバトルを始める前に烈我には気がかりが一つ。

 

「なぁ一応俺が勝ったとしても、嫌いにならないでくれよ。俺はただ」

「くどい! 一々そんなこと確認するな!」

「ご、ごめん!」

「……お前の気持ちは分かってるつもりだ。負けても別に怒ったりしない。だから遠慮なく来い!」

「お、おぉ!! だったら全力で行くぜ!!」

 

 

────第1ターン、烈我side。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「バーストセット。さらに創界神アポローンを配置! 神託の効果!」

 

3枚のカードがトラッシュに送られ、上から「煌星第五使徒テティス」、「グランドロー」、「レイニードル」の3枚。

 

「神託対象は計1枚、アポローンにコア1個を追加! これでターンエンド!」

 

 

────第2ターン、光黄side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

 

「創界神ラーを配置、配置時の効果でデッキから3枚落とす」

 

アポローンと同じく3枚のカードを破棄、カードは上から「タマモノイン」、「ガトーブレパス」、「カオスぺガサロス」の3枚。

 

「神託対象3枚で俺はラーにコア3個を追加。もう一枚、ネクサス、黄の聖遺物を配置。ターンエンドだ」

 

 

────第3ターン、烈我side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]4枚。

[Field]創界神アポローンLv.1(1)。

 

「ゴッドシーカーアルファレジオンを召喚!」

 

翼を広げ、空より飛来するアルファレジオン、フィールドに降り立つと同時に大きく吠えると、デッキが反応するように赤く光る。

 

「召喚時効果発揮でデッキから3枚オープン! その中にある「創界神アポローン」と系統「界渡」、「化神」を持つ赤のスピリットカードの枚ずつを手札に加えられる」

 

オープンされたカードは「グランドロー」、「魔界皇龍ダークヴルムレガリア」、「龍星の射手リュキオース」。

 

「よっしゃ! 来たぜ! リュキオースを俺の手札に加える!!」

 

キースピリットを手札に加え、早くも自分のペースをつかみつつある烈我だが、はしゃぐ烈我に軽くため息をつく。

 

「子供じゃないんだからあまりはしゃぐなよ。お前はいつもそういう所から、足元を抄われるんだからな」

「ちぇ、耳が痛いお説教だぜ。でも悪いが抄われる気はねぇッ! 勝つのは俺だ! ターンエンド」

 

────第4ターン、光黄side。

 

[Reserve]6個。

[Hand]4枚。

[Filed]創界神ラーLv.1(3)、黄色の聖遺物Lv.1(0)。

 

「まずはガトーブレパスをLv.3で召喚、さらに黄の聖遺物をLv.2にアップ」

「来るか!」

「その前、まずはラーの神技を発揮! 効果でデッキから3枚オープン、その中から系統「想獣」を持つカードをコスト合計8になるよう手札に加える。

 

オープンされたのは「イエローリカバー」、「翼神王グリフィオール」、「光の覇王ルナアークカグヤ」の3枚。

 

「ルナアークカグヤを手札に加える。そしてバーストセット!」

「!」

「アタックだ! ガトーブレパスッ!」

 

鳴き声を上げて駆け出すガトーブレパス、アポローンの効果を使えば、ガトーブレパスを破壊する事は造作もないが、唯一気がかりなのはバースト。

 

「(確かルナアークカグヤのバースト条件は相手によるスピリットの破壊後。神技発揮で破壊すれば、バースト召喚される!)」

 

態々狙いが分かってる上でそれに乗ってしまうのは得策ではない。「ライフで受ける」と静かに宣言し、ガトーブレパスは自身の角をライフに叩きつける。

 

「【聖命】発揮! ガトーブレパスが相手のライフを減らした時、俺のライフ一つを回復させる! ターンエンド」

「ッ!! 黄色の【聖命】、やっぱ厄介だぜ!」

 

 

────第5ターン、烈我side。

 

[Reserve]6個

[Hand]5枚

[Field]創界神アポローンLv.1(2)、ゴッドシーカーアルファレジオンLv.1(1)BP3000。

 

「行くぜ! 俺のキースピリット! こいつを前に絶対はねぇ! 鉄壁の壁だろうが無敵の相手だろうが一撃必中必殺の矢を叩き込めッ! 龍星の射手リュキオース、召喚!!」

 

左右に展開するようにフィールドの両端から吹き上げる火柱、そして何かが駆け寄る地響きと共に、烈我の後方より現れるは白獣に跨る龍────リュキオース。

 

「行くぜ! 超祈願発揮! 赤一色の創界神すべてにコア3個を追加できる。アポローンに3コア追加し、さらに龍射撃発揮!! 効果でBP20000以下の相手スピリット、ガトーブレパスを破壊だ!!」

 

最大火力を込めて、撃ち放つ炎の矢。防御不能の一撃は真っ直ぐガトーブレパスを貫き、破壊される。

 

「さぁ来い! ルナアークカグヤ!!」

 

相手スピリットを破壊した事で当然バースト発動のトリガーは引かれている。だが、構える烈我に対し、バーストはまるで反応する様子はなく、一向に開かれない。

 

「バーストは発動させていないぞ、さぁどうする?」

「(バーストはルナアークじゃない!? それとも単に使わないだけ?)」

 

光黄の表情からはどちらが正解なのか到底読み切れない。しばらく頭を悩ませながらも攻撃しないことには状況は変わらない。

 

「ともかく攻めるだけだ! まずは増えたライフ分、きっちり削り切るぜ! リュキオースでアタック!」

「黄の聖遺物Lv.2効果発揮!」

 

矢を構えて、矢に炎が灯るとそのまま矢を光黄目掛けて射貫く。だが矢が光黄へと迫る直前、後方に配置された黄の聖遺物が輝くと同時に、矢をピタリをと其の場で静止させてしまう。

 

「ネクサスの効果により、デッキの上から1枚をオープンし、黄色のマジックカードなら俺のライフは削られない」

「ぐっ! 相変わらず厄介なネクサスだぜ!」

 

オープンされたカードを手に取ると、そのカードは「クダギツネ」であり、マジックカードではない。

 

「カードはスピリットカード。よってライフは削られる」

「よっしゃッ!」

 

静止させられた矢は再び動き出すとそのまま展開されたバリアへと突き刺さり、ライフを破壊する。

 

「ッ!! ライフ減少時でバースト発動! バーストスナップ! 効果によりお前のコスト0、1、3、5、7、9、11のスピリットのアタックではライフは減らない」

「ルナアークカグヤじゃなかったのか!?」

 

光のリングがアルファレジオンへ頭上へ浮かび上がり、まるで行動を抑制するかの様にアルファレジオンの動きは鈍く、これ以上ライフを削る事はできない。

 

「ぐッ! ターンエンド!」

 

 

────第6ターン、光黄side。

 

[Reserve]6個。

[Hand]5枚。

[Field]創界神ラーLv.1(1)、黄の聖遺物Lv.2(2)。

 

「タマモノインをLv.3で召喚。さらにバーストセット」

「!」

 

ガトーブレパスと同じく【聖命】の効果を持ちし、狐のような見た目のスピリット、タマモノイン。アタックステップを開始すると同時に、九尾の尾を構える。

 

「アタックだ! 行け、タマモノインッ!!」

「(バースト。今度こそルナアークカグヤか? 嫌、またブラフの可能性もある! だったら!)」

 

鳴き声を上げながら再度突っ込んでいくタマモノイン。一瞬バーストカードを警戒しつつも、悩んだ末、決心するように「神技発揮!」と宣言する。

 

「アポローンのコア2個をボイドに送って、BP6000以下の相手スピリットを破壊!」

 

アポローンはタマモノインに狙いを定めて矢を構えると、そのまま矢に炎を灯し

弦を引く手を離して矢を射る。矢は迫るタマモノインを一直線に捕え、射抜かれ、炎に身を焦がして破壊される。

 

「破壊した時、アポローンの効果で1枚ドロー!」

「構わない。こちらもスピリット破壊後でバースト発動!!」

「げっ!?」

「効果より、俺のライフと創界神ラーにボイドからコア1個ずつを追加し、このスピリットを召喚する」

 

またも読みが外れ、発動されしバースト、それは間違いなく今度は光の覇王ルナアークカグヤ。

 

「月夜を照らす月光の乙女、召喚ッ! 光の覇王ルナアークカグヤ! Lv.2!」

 

眩い黄金の光、視界を覆うほどの光を放ちながら空より舞い降りるルナアークカグヤ、バースト効果により再び光黄のライフに光が灯り、新たに追加される。

 

「続けて行くぞ! ルナアークカグヤでアタック!」

 

現れるなり、翼を広げ烈我へと強襲し、ライフ目掛けて飛び掛かって行く。

 

「フラッシュでイエローリカバー! 回復しろ、ルナアークカグヤッ!!」

 

マジックの効果によりルナアークカグヤに纏う光のオーラ。回復したルナアークのカードが再びスタンドされる。

 

「お得意のマジックかよ!」

「まだだ、さらにフラッシュッ!!」

「!!」

「神の力を携わり、新たな姿と生まれ変われッ!! 光の覇王ルナアークカグヤを太陽神獣セクメトゥームに神煌臨ッ!!」

 

神煌臨はソウルコアを使用することなく、創界神のコア1個をスピリットに置く事で煌臨を行える効果。ルナアークカグヤに纏うさらに強い光、光の中で翼はより強大に、そして手足は獣のように鋭く爪を研ぎ澄まし、セクメトゥームへとその姿を変貌する。

 

「セクメトゥーム! 煌臨時効果発揮ッ!! このターンの間、相手スピリット、アルティメット1体のBP-10000。ルナアークカグヤを煌臨元とした事で、その効果をコスト分発揮、合計8回効果を使用できる!!」

 

セクメトゥームは地を駆けながらその強大となった翼を広げて吠え立てると、雷撃を作り出すと共に放電、その雷撃はリュキオースとゴッドシーカーアルファレジオンに直撃し、二体共々破壊される。

 

「この程度か、烈我ッ!」

「まさか、まだまだ負けられっかよッ! まずはゴッドシーカーアルファレジオンの破壊時効果、召喚時と同じ効果を使用するぜ!」

 

再び3枚のカードが捲られ、上から「レイニードル」、「天下烈刀斬」、「輝龍皇ヘリオスドラゴン」。だが対象のカードはない為、手札には加えられない。

 

「お目当てのカードは来なかったみたいだな」

「あぁ、けどこれで終わりじゃない! 相手によるスピリット破壊後でバースト発動ッ! ライジングフレイムッ!! バースト効果により、破壊されたリュキオースを1コスト支払い、再召喚だッ!!」

 

紅蓮の炎が地面より噴き上げ、噴き上げる炎より輝く眼光、矢を構えながら炎の壁の向こうよりリュキオースは再びその姿を現す。

 

「召喚時効果で龍射撃! セクメトゥームを狙い撃てッ!!」

 

炎を込めた矢をセクメトゥームに向けて撃ち込み、セクメトゥームも矢を迎撃するように雷撃を壁のように撃ち放つが、龍射撃を止める術はない。炎の矢は雷撃の壁を尽く突き破り、そしてセクメトゥームを貫き、破壊する。

 

「どうだ光黄!! お前と何度もバトルしてるんだ! これぐらい、俺だってやって見せるぜ!」

「やるな、けどさすがにそれぐらいやってもらわないと歯応えもない。ターンエンド」

 

 

────第7ターン、烈我side。

 

[Reserve]7個。

[Hand]5枚。

[Field]創界神アポローンLv.2(4)、龍星の射手リュキオースLv.1(1)BP6000。

 

「マジック! グランドロー!! 効果によりデッキから2枚。創界神アポローンのコア2個をボイドに送ることでさらに1枚。合計3枚ドローだ!」

 

手札を整え、冷静にフィールドの戦況を見ながら慎重に戦略を練る。光黄のライフは現在6。聖命や黄色の効果でライフを増やされても対応できるように、今は攻め手を増やすしかない。

 

「バーストセット! さらにライトブレイドラを2体と吟遊詩竜オルフェスタードラゴンを召喚!」

 

一気に数を揃え、攻め手の準備は万全。アタックステップ開始と同時に、スピリット達は一斉に戦闘態勢に入る。

 

「まずはライトブレイドラでアタックだ!」

「黄の聖遺物Lv.2効果発揮!」

 

小さな羽をパタパタと羽ばたかせ突っ込むが、バリアへと飛び掛かる直前、黄の聖遺物の効果により空中でライトブレイドラは停止してしまう。

 

「デッキから1枚オープン! オープンしたカードは「シンフォニックバースト」。黄色のマジックカードの為、俺のライフは削れない!」

「ぐっ!」

 

光黄のライフを削ることができず、ライトブレイドラは空中で弾き飛ばされる。

 

「まだだッ! 次のブレイドラでアタック!」

「黄の聖遺物の効果!」

 

再びライトブレイドラは停止させられ、オープンされるカード。だがオープンされたカードは「魔神姫」、ブレイヴカードの為、ライフを守る事はできず、そのままライトブレイドラの突進がバリアに決り、ライフが破壊される。

 

「さらに行くぜ! オルフェスタードラゴンでアタック!」

「黄の聖遺物の効果!」

 

三度目の発動、手を翳し浮かび上がったカードを手に取り、そのカードを見ながら静かに笑い、カードをオープンする。

 

「堕天神龍ヴィーナルシファー、マジックカードじゃない」

「!?」

 

マジックカードではない為、ライフを守れない。オルフェスタードラゴンは火炎放射を吐きつけライフを破壊されるが、オープンされたカードは光黄の手札に加わる。

 

「ヴィーナルシファー! それ光黄のキースピリットじゃんか!!」

「あぁ、どうする? まだアタックするか?」

「ぐっ! ターンエンド、ターンエンドだッ!!」

 

キースピリットを手札に加えられた以上、次の攻撃に備えるしかない。リュキオースをブロッカーに残し、ターンを終える。

 

 

────第8ターン、光黄side。

 

[Reserve]10個。

[Hand]6枚。

[Field]創界神ラーLv.1(1)、黄の聖遺物Lv.2(2)。

 

「来たれッ! 煌き羽ばたく堕天の龍よ! 地に堕ちしその身を再び天へと羽ばたき降臨せよッ! 堕天神龍ヴィーナルシファー、Lv.3で召喚ッ!!」

 

キースピリットを加えた以上、光黄の手は決まっている。ヴィーナルシファーを呼び出すと、空を覆う黒雲と鳴り響く雷鳴と共に舞い降りる龍──ヴィーナルシファー。

 

「ヴィーナルシファー、やっぱ来るか」

「あぁ。けどさっきのアタックでもう一枚、俺が何を加えたか覚えてるか!」

「ヴィーナルシファー以外に加えたカードって確か……!」

 

察する烈我に対してもう言葉は不要。その一枚のカードを構え、そして呼び出す。

 

「奇跡を齎す魔神! 踊れ、勝利の舞を! 異魔神ブレイヴ、魔神姫、召喚ッ!!」

 

半透明な体に着物を纏った様な姿を持つ異魔神ブレイヴ、魔神姫。

 

「魔神姫、ヴィーナルシファーと合体だッ!」

 

左腕を翳してヴィーナルシファーに波動を撃ち込み、己とリンクさせる。左右共に合体している訳ではない為、合体した左側のみ実体化する。

 

「相変わらず壮観だな。バトルフィールドで見ると、迫力が段違いだぜ」

「こんな状況なのに、相変わらず楽しそうだな」

「まぁ最初にバトルした時は必死だったから気が回らなかったけど、改めて考えて、こんな広い場所で間近でスピリットに会えて、楽しくない訳ないぜ! お前だってそうだろ?」

「……ま、まぁお前程ではないが」

 

恥ずかしそうにヴィーナルシファーに視線を置き、ヴィーナルシファーも光黄の視線に反応を返す様に、視線を合わせ小さく鳴き声を上げ、それにまた少し口元を緩ませる。

 

「確かに楽しかったのは事実だ。俺も初めての時は余裕がなかったけど、こうして間近にスピリットに会えて心躍ってる」

「はは、もっと素直に喜んでもいいのに」

「わ、悪かったな。素直じゃなくて!」

「でもそういう所が光黄らしくていいんだろ?」

 

何気ない烈我の一言。余計に照れ臭くなったのか頬を一瞬赤くするが、まだバトル中。「続けるぞ」と気を取り直す様に言い放ち、それに烈我も頷く。

 

「ヴィーナルシファーでアタック! 合体アタック時効果発動!」

 

手札からクダギツネを破棄し発揮される効果、マジックカードが出るまで光黄のデッキカードが破棄され、数枚捲った所で手を止めると、開かれたのはマジックカードである「イエローサン」。

 

「イエローサンのフラッシュ効果発動! 相手のスピリット全てをBP-7000。0になったスピリットは破壊だ!」

 

ヴィーナルシファーは下部の大口を開き、イエローサンのカードを飲み込むと4体のスピリットに向けて一斉に雷撃を解き放ち、ライトブレイドラ2体、オルフェスター、リュキオース達は直撃受け、大爆発を起こす。

 

「リュキオース!!」

「まだだ、魔姫神の追撃! イエローリカバーを回収し、そのままフラッシュで使用だ! ヴィーナルシファー、回復!」

 

オーラを纏って回復するヴィーナルシファー。烈我の残るライフは4。この攻撃と再アタックを決めれば、そのまま決着を付けられる。

 

「ぐっ、ライフで受けるしかねぇッ!」

「ダブルシンボルで、ライフを2つ破壊だ!!」

 

ヴィーナルシファーは口を開いて雷撃を、魔神姫は片腕を翳して波動を撃ち込み、雷撃と波動をバリアに同時に浴びせ付けると、ライフ2つ一気に破壊する。

 

「ライフ減少時でバースト! 絶甲氷盾! バースト効果でボイドからコアをライフに追加。さらにフラッシュ効果でアタックステップを強制終了させる!」

 

吹き荒れる猛吹雪、ヴィーナルシファーはまだ攻撃できる余力を残しながらも猛吹雪に阻まれ、これ以上の攻撃はできない。

 

「白マジック。単調な攻めるだけのデッキからだいぶ構築を変えたようだな」

「そりゃぁ勿論強くなってお前に告白する為だからな!」

「馬鹿、そうじゃないだろ」

「!」

「俺もお前もこんな訳の分からない状況に巻き込まれたんだ。これからどうなるか分からない。いつまでもそんな事言ってる暇はないだろ!」

 

戒めるような光黄の言葉。バジュラ達との出会った事で大変な状況に巻き込まれた事には違いない。だからこそ光黄の言葉も最もと言えるが、けれども。

 

「俺はそんな事と思ってない!」

「!!」

「お前より強くなる強い男となってお前に堂々と告白する! 俺はずっとそれが目標だった。けど今はそれだけじゃない! こんな状況に巻き込まれて、お前も危険な目に合って、それなのにまたお前も巻き込まれようとしてる。俺はそれが嫌だ!!」

「……烈我」

「俺がお前より強くなれたら、お前を巻き込まなくていい。もうお前を危険な目に合わせねぇッ!! だからこのバトルで証明する、お前より強いって事、こんな状況俺一人で全部解決できるって事!!」

 

言いたい事を言い切り、続く烈我のターン。

 

 

────第9ターン、烈我side。

 

[Reserve]11個。

[Field]創界神アポローンLv.1(3)。

 

「ドローステップ……来たぜッ!」

 

引いたカードはバジュラブレイズ、カードを引いた瞬間、直接バジュラブレイズの声が脳内に響く。

 

『漸く俺を引いたかッ! さぁ出しな、この俺を!』

「あぁ。行くぜバジュラ!!」

 

口にしたバジュラの名に光黄も身構えるが、烈我は構うことなく引いたバジュラブレイズのカードをフィールドへと呼びだす。

 

「罪を背負いし怒りの竜! 憤怒の炎、烈火で地獄さえも焼き尽くせ! 爆我炎龍バジュラブレイズ、Lv.3で召喚だぁーーッ!!」

 

暁の空より降り注ぐ流星、ある一帯を残して地面を抉るように撃ち込まれる流星。残った舞台の上に巨大な火球が降り注ぎ、炎の中に蠢く竜の影、そして炎を振り払いバジュラブレイズがその姿を晒す。

 

『さぁ待ちに待った俺の出番だぁッ!! 怒りのままに暴れさせろォッ!!』

「そいつが、お前の七罪竜か!」

『あぁそうだ。例え使い主の彼女でも手加減はしねぇぞ!』

「お、俺は彼女なんかじゃない! 第一まだ付き合ってもない!」

 

バジュラの言葉に顔を真っ赤にしながら強気に否定し、否定の言葉に軽く烈我はショックを受ける。

 

「そ、そうだよな。まだ俺光黄に、勝ってすらないもんな」

『テメェ二人は面白れぇな。けど安心しな、待ち望んだ勝利、今日それをくれてやるよ! 俺の力で、嫌、俺の怒りでな!!』

 

アタックステップを前に、バジュラは既に闘争本能を剥き出しにしてる。

 

「(光黄のスピリットは1体だけ。このターンで【超爆火力】までは繋げない。けどまずはヴィーナルシファーを何とかしないと!)」

『まだか、烈我ッ! 俺はもう抑えきれねぇんだ!!』

「あぁ分かってる! アタックステップ! バジュラブレイズ、行けぇッ!!」

『おぉよ、どいつもこいつもぶっ倒す! ご自慢のキースピリットも、あのイケすかねぇクソ龍もぶっ倒してやるよ!』

 

手を突き出してアタック指示、地面を強く蹴り飛ばしてフィールドを駆け出すと、自身の効果を発揮させる。

 

「手札を捨てて【火力推進】発動ッ! BP+5000して強制ブロックしてもらうぜ!」

「ヴィーナルシファーでブロック!」

 

真っ向からぶつかり合う二体の龍、両者腕を組み合い押し合うも力に分配が上がるのは当然バジュラ、そのままヴィーナルシファーを押し込み、一気に突き飛ばす。

勝負を決めようと拳灯る炎の火力を最大限にまで引き上げ、燃え上がらせるとそのまま拳を大きく振りかざしてヴィーナルシファーへと振り下ろし、紙一重でそれを避けるが、追い詰められるのも時間の問題。

 

「魔神姫と合体したヴィーナルシファーはBP14000。バジュラブレイズのBPは17000、これで決まりだぜ!!」

「……勝ちを確信するのが早すぎるのは、お前の悪い癖だ」

「えっ?」

「フラッシュ! 【天雷(テンライ)】発動ッ!」

「天雷!?」

 

初めて聞く効果の名に動揺を隠せない。だが、バジュラだけは光黄の言葉に殴り掛かろうとする手を止める。

 

『【天雷】、奴か!!』

 

何かを直観するように空を見上げ、ヴィーナルシファーの時よりさらに激しい雷鳴と嵐がフィールドに吹き荒れる。

 

「召喚コストを支払うことで対象のスピリットを召喚できる、そして召喚したスピリットは現在行っているバトルに加われる! それが【天雷】の効果!」

「そのスピリットって、まさか!!」

 

間違いなくこれから呼び出されるのはバジュラブレイズと同じ七罪竜の一体。吹き荒れる嵐と雷鳴は極限まで荒れ狂う。

 

「瞬光雷進! 色欲の咎を持つ雷竜! 戒めのない自由な天を舞い、地上の敵に轟雷の光を下せッ! 雷光天龍ライトボルディグス、天雷召喚ッ!!」

 

ヴィーナルシファーをLv.2に、黄の聖遺物をLv.1にして不足コストを確保するとバジュラブレイズとヴィーナルシファーの間に振り落ちる稲妻。光と衝撃に一瞬視界を奪われるが、次に視界が晴れた瞬間に映ったのは稲妻と共に飛来したのは八翼の翼に雷を帯びし角を携えし龍、その龍こそ、色欲を司りし、雷光天龍ライトボルディグス。

 

『出やがったか、このクソ龍』

 

ライトボルディグスの姿に真っ先に口を開いたのはバジュラ。苛立ち気味にライトの姿を睨みつけるが、ライトもまたバジュラの姿に苛立った様子。

 

『誰がクソ龍ですか、相変わらず下品な口の悪さ。紳士としてありえない、いえ、論外ですよ』

『こちとら生憎テメェとは背負ってる罪が違ぇんだ。嫌、そもそも罪に上品も下品もある訳ないだろうが!』

『ありますよ、少なくとも私はお前と同じイメージを持たれたくないですから!』

 

顔を見合わせるなり一触即発で睨み合うバジュラとライト。睨み合いながら互いに一歩も引かない。

 

「ライト、言い争いなら結構だ。今はバトル中だ」

『!、失礼。ところで光黄様。私の姿お初にお目に掛けますが、如何ですか? カッコいいでしょうか? それとも美しいでしょうか? 美しいあなた様に相応しいでしょうか?』

「ッ!! 馬鹿!! とっととバトルに集中しろ!」

 

『失礼しました』とバトルに意識を切り替えるライトだが、光黄たちの様子に烈我は何かを感じているのかただ黙って頬を膨らませる。

 

「あの龍、光黄にやけに馴れ馴れしくねぇか」

『ハッ、烈我テメェちょっと怒り感じてるか? どうする? ぶっ倒す? ぶっ飛ばす?』

「べ、別に怒ってなんかねぇよ! ただバトルだからな、全力で行けッ!」

『端からそのつもりだ!』

 

ライトボルディグスとヴィーナルシファーに二体に向かって突っ込んで行く。

 

「言った筈だ、【天雷】は現在行われているバトルに加わる効果! そしてBP、シンボルはバトルしているヴィーナルシファーと合計する!」

「それじゃあッ!?」

「Lv.2のヴィーナルシファーのBPは11000、そして加わったライトボルディグスLv.2のBPは9000。合計BP20000だ!」

「20000、だと!?」

 

勢いよく二体に向けて拳を振り下ろすバジュラだが、ライトとヴィーナルシファーは即座に飛び上がって拳を避け、そのまま狙いを定める様に上空から急降下して、強襲するヴィーナルシファー。

真っ向から受け止め、足を引き摺らせながらも突進を受けきるが背後からライトが電撃を無防備の背後に撃ち込み、不意の一撃に力が緩んだ瞬間、ヴィーナルシファーは突進し、地面に突き倒される。

 

『ッ! テメェ等!!』

 

ヴィーナルシファーは倒れるバジュラに向かって、雷撃を一転に集中させた光線を放ち、バジュラも咄嗟に地面に足が減り込むほど強く力を込めて、火炎放射を吐き付けるが威力は互角。

相殺されその場で大爆発が起こるが、次の瞬間、爆風を引き裂いて飛び掛かるライトの姿が映り、そして雷を込めたその角をバジュラに突き刺す。

 

『て、テメェッ!!』

『勝ちは、頂いていきますよ!』

 

角を引き抜いて、その場から飛び去るライト。飛び去るライトを逃がさまいと手を伸ばすが、その手は届かず、力なく地面に倒れ、大爆発を起こす。

 

「バジュラァァァァァアアアアアアッ!!!」

 

リュキオースだけでなく頼みの綱であるバジュラまでも破壊され、その破壊に思わず身を乗り出す程、動揺と不安を隠せないが、例えどんな状況でもバトルは進んで行く。

 

「ライトボルディグスの効果、バトルに勝利した時、自分のスピリット1体を回復させるか、このスピリットを手札に戻すかのどちらかを使用できる。効果で俺はライトボルディグスを手札に戻す」

『一旦ここまでですか。また活躍させてもらいますよ』

 

悠々と一言を残し、光黄の手札へ舞い戻る。バジュラを失い、アタックできるスピリットがいない以上、烈我にはもうどうする事もできない。

 

「ターン、エンド」

 

 

────第10ターン、光黄side。

 

[Reserve]11個。

[Hand]

[Field]創界神ラーLv.1、黄の聖遺物Lv.1(0)、堕天神龍ヴィーナルシファー×魔神姫Lv.2(2)BP11000。

 

「ヴィーナルシファーをLv.3にアップ。アタックだッ!」

 

このターンで決着を付けるつもりなのか新たなスピリットは召喚せず、そのままアタックステップ開始と共に攻撃の合図。

魔神姫の効果により、トラッシュにイエローリカバーが再び手札に戻る。

 

「フラッシュ、イエローリカバーッ! ヴィーナルシファーを回復だッ!!」

 

残る烈我のライフは3。合体スピリットで攻撃し、再アタックすれば勝利は決まる。だが危うい状況下の中でもまだ烈我に負ける気はない。

 

「フラッシュ! 双光気団!! 効果で魔神姫を破壊だ!」

 

マジック発動と同時に放たれる火球、火球はヴィーナルシファーを摺り抜け、後方の魔神姫へと直撃すると、全身が炎に包まれ、その場から魔神姫は消滅。

 

「ライフで受ける……ッ!!」

 

衝撃に表情を歪めながらも、ブレイヴを失った事で削られたライフは1つのみ。

 

「ぐっ!! 残りライフまだ2つ! 次のターンまで来れば!」

「次のターンはない!」

「!?」

「ヴィーナルシファーでもう一度アタックだッ!」

 

翼を羽ばたかせながら真っ直ぐ直進するヴィーナルシファー、そしてさらにもう一枚、フラッシュの宣言と同時に手札のカードを突き出す。

 

「【天雷】発動ッ! ライトボルディグスを召喚して、このバトルに加える!」

「ッ!!」

 

再び空より落ちる稲妻と共に飛来するライトボルディグス。そのままヴィーナルシファーと加わり、烈我へと向かって行く。

 

『さぁフィニッシュ、決めさせてもらいますよ!』

「バトルに加わった事で、シンボルとBPを合計。2体合わせて、ダブルシンボルだ!!」

「ライフで受ける……俺の、負けだ!」

 

ヴィーナルシファーと並んで飛び掛かるライトボルディグス。二体は最高速度で突っ込み、同時にバリアを爪と翼による一閃で引き裂き、そのまま二体が突き抜けると、二体の背後でバリアは粉々に砕け去る。

 

「うああああああああッ!!!」

 

決着の一撃にライフを破壊され吹っ飛ばされる烈我。バトルを終えた事で二人は元の場所へと転送される。

 

 

***

 

 

「……負けちまった。俺、やっぱまだまだだな」

 

元の場所へ戻り、負ければやはり悔しく、つい弱気な言葉が自然と口に出る。そんな烈我に、背後から突進するバジュラ、驚く烈我を他所にそのまま肩の上に登る。

 

「バジュラ!? 無事だったのかよ!」

『ケッ、一度のバトルぐらい負けてもどうって事ねぇ。まぁ腹正しい事この上ないがな』

「……そうだな。次は勝とうぜ、バジュラ」

『ったりめぇだ』

 

苛立った言葉を吐きつつもいつもの様子のバジュラに安心しながらも、一方でバトルに勝ったライトは嬉しそうに光黄の周りを寄り添いながら飛び回ってる。

 

『光黄様、如何でしたでしょうか! 私の力!!』

「あぁ、お前の力は充分分かった」

『それでは今後とも宜しくお願いしますね、光黄様!』

「はいはい」

 

軽くライトを流しながらも、烈我の方へ歩み寄るとそのまま手を差し伸ばす。

 

「分かったろ、俺はお前より強い」

「……できれば巻き込みたくなかった」

「馬鹿!」

「痛ッ!?」

 

突然烈我の頭に拳骨一発、涙目になる程の痛みに叩かれた個所を押さえながらも、訳が分からず光黄に視線を向ける。

 

「何すんだよ! 光黄!」

「ほんとに馬鹿だよ、お前は。俺を巻き込みたくない? 何でそうやって一人で抱え込もうとするんだ。お前にとって、俺はそんなに頼りないのか?」

「そ、そんな訳!」

「だったら俺もこの件に加わる。俺は一人で全部解決できるとは言わない、状況についてはまだ何も分かってない。だから当然誰かの手が必要になる時がある。それなりに長い付き合いなんだ、俺はお前の事も頼りにしたい」

「……光黄」

「だからお前も俺を頼ってくれてもいいだろ? 同じ状況に巻き込まれてるなら、俺も一緒に戦う、力になる。お前の友達として、な」

 

差し伸べた光黄の手を静かに取る。

 

「友達として、か」

「当たり前だ。少なくとも俺は、俺より弱い男に興味はない」

「はは、けど友達として思ってくれてたなら嬉しいぜ。それと、ごめんな」

「ん?」

 

突然の謝罪、その言葉の意味を不思議に思いながらも。

 

「俺、何も考えてなかったんだ。お前の気持ちも、バジュラ達の事も。ただ強くなればいいだけだと、単純な事だと思ってたから。ホントに俺、馬鹿だと思うよ」

「それはもういいって」

「嫌、これだけ言わしてくれ。お前が俺を頼りにしてくれてるって言ってくれてすっごく嬉しかった。だから俺もお前の事を頼りにする、これからの事、力を貸してくれ!」

「……あぁ、勿論だ」

 

真っ直ぐすぎる烈我の言葉に対し、可笑しそうに笑いながら返事を返すが、「それと」と光黄もまた伝えたいことがあるように言葉を続ける。

 

「お前が俺のことを心配してくれてたのは、凄く嬉しかった」

「それって────」

『おっと、それ以上は距離が近くないですかぁ?』

 

割って入り、まるで警告するように冷たく言い放つライト。突然のライトに驚きながらも、邪魔されたことに苛立つようにライトを睨む。

 

「べ、別に悪いかよ!! そもそもお前にとやかく言われる事じゃねぇし!」

『はぁ? 私は光黄様の執事です。あなたみたいなどこの馬の骨か分からないような人、私は絶対認めませんからね!』

 

「執事なんか雇った覚えないぞ」と突っ込む光黄だが、まるで聞いてはいない。ヒートアップしながら口論するライトと烈我に呆れつつ、一方でバジュラは笑いながら見てる。

 

『ハハ、似た者同士の喧嘩、見る分には案外面白れぇ。まっ、俺はあの色目龍より、烈我の方を応援するがな』

「応援って、お前まで何の話だ」

 

『気にするな』と悪びれも様子もなく傍観してるバジュラだが、一方で光黄は「まぁそれより」と一つ気になることがあるのかバジュラを見ながら、真剣な表情で尋ねる。

 

「七罪竜、お前やライトが俺や烈我を選んだように、自分に相応しい持ち主を選んでいるんだよな」

『あぁそうだ。自分との相性や実力、判断材料はいくつかあるがまぁ要は気にいる人間かどうかだな』

「人間を選ぶまではいい、その後だ」

『その後?』

「ライトから聞いたが七罪竜を全て集めし時、願いが叶うと聞いた。だが詳細までは聞いていない。七罪竜を全てというのは、七体が揃った時なのか、願い叶えられるのも七罪竜を持つ全員かどうかも、それと願いを叶えた後お前達はどうなるのか」

『……生憎俺にも話せる事と話せない事がある、それに叶えた後なんて言われても多分俺達は今まで誰の願いも叶えちゃいねぇ』

「!、それって、誰もお前たちを集める事ができなかったからか!?」

『かもな。だから叶えた後どうなるのかは分からねぇ。まっ、少なくとも今気にすることじゃねぇだろ』

「……じゃあ最後に一つだけ、集める方法について」

『あぁ』

「七罪竜はそれぞれの持ち主を選ぶ。そして七罪竜を集める。それって選んだ人間同士を戦わせて、勝った人が七罪竜を全て手にする。そういう事か?」

『!』

 

まるで確信を触れるかのような光黄の質問。一瞬だけ、バジュラは表情を変え、硬直したように一瞬静止するが、またすぐ表情を落ち着かせる。

 

『そうかもしれんな』

「はっきり答えろ!」

『無理だな。俺にも言えない事があるつったろ。それこそライトの野郎と情報共有するんだな。つっても、俺に聞くって事はライトも同じ返答だったか?』

「……あぁ」

『なら俺に聞いても同じだ。ただ』

「ただ?」

『これから何か起きるとすりゃぁ、それは俺達七罪竜が出揃った時だ』

 

不穏な空気が流れる。烈我に対して強く言い切った以上、今更手を引ける訳がない。それでも、これから起きるであろう何かに胸騒ぎを感じずにいられなかった。




如何でしたでしょうか。
第4話目! オリカ同士のバトル回でした!
早速スペック紹介。


雷光天龍ライトボルディグス、コスト6(3)、黄色
系統:導魔、罪竜
Lv.1(1)BP6000、Lv.2(2)BP9000
Lv.1、Lv.2 フラッシュ:【天雷】
自分のスピリットのバトル中、このスピリットを疲労状態で召喚する事で、このスピリットをバトルに加える。(BPとシンボルはバトルしているスピリットの合計とする)
Lv.2 『このスピリットのバトル時』
BPを比べ、相手のスピリット/アルティメットだけを破壊した時、このスピリットを手札に戻してもよい。または、自分のスピリット1体を回復することができる。


以上がライトの効果です!連刃やアレスの同時アタックのような感じではなく、唐突にバトルへ乱入するイメージでしょうか。
オリカはまだまだ登場させる予定なので今後も期待してくだされば幸いです。
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