月の光もない真っ暗な夜、既に誰もが寝静まった時間帯。烈我家も既に全員寝静まっており、姉のるみかはだらしなく1階のソファーの上で、一方で烈我は二階のベッドの上で静かに眠っている。
『おい、餓鬼起きろ』
辺りが真っ暗なせいで姿は見えないが、微かに見えるその影は小さく、影の主は烈我に対し吠え立てる。
「うーーん、バジュラ?」
ぼやけた視界で寝言のように呟くが、次の瞬間カチッと何かを押すような音が響いたかと思うと。
***
「うぅ……ん!?」
さっきまで薄暗い部屋の景色が一変、眩しい程の光に慌てて目を覚ますと、そこはどこかスタジアムのような広々とした会場の中。突然の状況に何が何だか分からないまま辺りを振り返る。
「何が、どうなって……?」
「烈我!」
助け舟を出す様に突然自分の名前を呼ぶ声、声の先には光黄とライトの姿があった。
「光黄!! お前らも来てたのか!」
「まぁな。それよりここは?」
「嫌、俺も気づいたらここに居て何が何だか」
『……あー、その前にまず光黄様の前でその恰好は如何なものかと?』
話に割り込むライト。その言葉に改めて自分の恰好を確認すると寝間着姿のまま。
「ち、違ッ!? 光黄聞いてくれ、急に連れて来られて何が何だか」
「分かってる。急に連れて来られたのは同じなんだ。格好については気にしてないさ」
光黄の言葉に安どするようにほっと一息。だが、改めて烈我の恰好と見たかと思うと、他所を向いて軽く。
「フフッ」
「ちょ!? さっき気にしてないって言ってくれたじゃんか!」
「わ、悪い。つい、気を悪くしないでくれ」
分かりやすくショックを受けるものの、今はそれに構ってる状況ではない。気づけば、烈我達だけでなく、その他にも大勢姿があり、彼らも烈我達と同じように状況を把握しきれてないか、同様に困惑している。
「何人いるんだこりゃ一体?」
「さぁな。そもそも俺は変な声が聞こえたと思ったらここに来てたんだが、そっちはどうだった?」
「俺の時は、確かバジュラに起こされたかと思って────」
『俺がどうしたって?』
「バジュラ!?」
何時の間にか自分の肩に乗っているバジュラ。不意に声を掛けられ、驚いたように声を荒げる。
「お前ビックリするだろ!」
『知るか、それよりここはどこだ?』
「は? どこってお前が連れてきたんじゃ?」
『俺はさっきまで寝てたんだ。訳分かんねぇこと言ってんじゃねぇ!』
「え!? じゃあさっきのって────!」
あの時見た影が脳裏に浮かぶが、続きを言おうとする前に突然会場の空気が変わり始め、中央のステージに視線を向ける。
『バトラー共!! 本日はよくぞ集まってくれたァッ!!!』
会場全体に響き渡る程の声量、だがその声の主は反比例する程小さく、否、それは人ではなく、小さな鮫のような姿をした生物だった。
「おい、あれって!?」
『あぁ、誰かと思えば奴か』
『あぁー、あの人、嫌、あの鮫さん私苦手なんですよね。どこかの憤怒と同じくらい』
『ほざけ、クソ翼竜』
「ちょっと待て! お前ら、あの鮫のこと知ってるのか!?」
確信した通りバジュラ達と同種のものとみて間違いないだろう。恐らく七罪竜の一体であろうその鮫の姿に、会場全体がざわつく。
『さて全員言いたい事があるだろうが、今は黙って聞け。この俺様が丁寧に今の状況について説明してやる!』
傲慢な態度だが、その威圧感に一瞬気圧され、声を上げようとしていたカードバトラー達は黙ってその声を飲み込んでしまう。
『まずはお前らカードバトラー16名、貴様ら全員はこの俺が素質ありと睨んだカードバトラーだ。そして今宵このスタジアムに集まってもらった!』
「(集めたって、じゃああの時見た影はあいつか)」
『貴様等を集めたのは他でもない。今から、この俺様の所有権を掛けて戦ってもらう。バトルは勝ち抜き方式でな』
「何で俺達がそんな事しなきゃならないんだよ!」
カードバトラーの一人が声を上げる。それに便乗するように他のカードバトラー達も一斉に抗議する声を上げる。
「ふざけるな、とっとと元の場所に返してくれよ!」
「そうだ、俺たちがバトルして何の得になるんだよ!!」
一斉に飛び交う野次の言葉。だが飛び交う野次を聞きながら落ち着いたように大きく息を吸い込んだかと思うと。
『黙れぇぇぇぇぇええええええッッッ!!!!』
会場全体震撼させるほどの怒声。会場に飛び交っていた野次の言葉をその一喝で黙らせてしまう。
『貴様等の都合など知った事か、むしろ貴様らはこの俺が選んでやった選りすぐりのカードバトラーだ。その名誉に感謝こそあれ、文句を言われる筋合いはねぇ!』
どこまでも傲慢で俺様的な態度には若干烈我達も引き気味だった。当然バトラー達に納得できる説明ではない。また反論する声を上げようとするが、それよりも先に『もう一つ』と言葉を続けて行く。
『確かこのバトルに何の得があると聞いたな? ではこのバトルに勝った者がどんな願いでも叶えられると言えば、貴様らは信じるか?』
「「!!」」
『正確に言えば、俺を始めとする七枚のカード。それを集めきった者はどんな願いでも叶えられる!』
そう言うと、一瞬全員視線が集まる中で、カードの姿に切り替わり、全員が一瞬絶句した後、すぐさま鮫のような姿に戻る。
『七罪竜、それが俺たちの名だ。そして、俺はその中で、最強! つまり俺さえ手に入れられれば、他の6枚の入手は造作もねぇ!』
俄かには信じられない話だ。だが、ここまで傲慢的な態度で話すその口調、まるで王様のように威風堂々としたその迫力にはその言葉が嘘と思うような事を微塵も感じさせなかった。
「じゃ、じゃあもし負けたら?」
一人のカードバトラーが怯えたように尋ねる。
『敗者に用はない、負けたらとっとと元の場所に帰ってもらう』
「そ、それだけ?」
『あぁ、はっきり言ってやろう。どんな願いを叶えるチャンスに対し、貴様らが背負う代償は、無い!』
負ければ元の世界に帰れる。その言葉に全員が安堵し、そしてもし願いが叶うという言葉が本当だったならとカードバトラー達のやる気が俄然溢れる。一方でその言葉を聞いてバジュラとライトは不服そうに見せる。
『ねぇ、バジュラ。私等の罪に大嘘って含まれてましたっけ?』
『ねぇな。ないって事はホラ吹きな口事消していいって事だ!』
「お前ら少しは落ち着けっての!」
殺気を込めながら鮫を睨むバジュラとライトだが、当の本人はその先に気付いていないのか全く気に留める様子もない。
『他に質問は?』
必要な事は聞けている、数秒静寂が流れ、早速試合を開始しようとするが唯一挙手する手が伸びる。
「願いを叶えるって、ほんとにどんな願いでも叶えてくれるの?」
「「!!」」
挙手する男、その男を見た瞬間、真っ先に反応したのは烈我。
「ミナト!? あいつ何でこんなところに!!」
『知り合いか?』
「まぁな、ここにいるって事はあいつも選ばれたってことなのか?」
男の名は牙威ミナト。烈我や光黄たちとはそれなりに付き合いも長く、見知った顔の姿に光黄も当然少なからず驚いたように反応している。
「本当にどんな願いでも、お前は叶えてくれるのか?」
『じゃあ逆に聞くが、お前が叶えたい願いはなんだ?』
「……そうだな」
頬に手をついて、考えるような素振りを見せ数秒間をおいて一言。
「世界中の可愛い子ちゃんと付き合いたいって言ったら叶えてくれるか?」
『はぁ? 何を言い出すかと思えば』
呆れたような一言、当然と言えば当然だが聞き入れてしばらく静かに口元を緩ませる。
『愚かと言わざるを得ないが、面白い! いいとも、そんな欲望も叶えてやろうとも!!』
「おっ、だったら俄然やる気になって来たぜ!」
『面白い人間だ。あくまで実力のみで査定したつもりだが、貴様はそれ以上に価値がありそうだ』
「それ褒めてくれてんのか? まぁどっちもいいけどね、それよりさっさと始めようぜ」
『あぁそうだな』
間もなく開始する試合、既にフィールドの準備が進められており、唯一光黄だけは何か気になるようにバトラー達を見ている。
『光黄様、どうかされました?』
「いや、さっきあいつ、16名集めたと言ってたが人数が合わない気がしてな」
『……言われてみれば』
今この場にいるのは18名、話していた数と相違がある事に疑問を感じずにはいられない。
『おっと、忘れるところだった』
何かを思い出したように呟くと、当然烈我達の直ぐ後方に用意される席、まるで観戦席のような舞台に不思議に思いつつ、バジュラとライトは迷う事無くその席へ座る。
「おい、バジュラ」
『構う事はねぇ。俺達はどうやらこれから行われる16名のバトルの見物客として呼ばれたらしい』
『ほんと、あいつらしいですよ。まぁともかく光黄様もどうぞ』
全ての意図を察しているかのようなライトとバジュラ、まだ状況を把握しきれず困惑しながらもライトの言葉に従うように烈我と光黄も席に座ると、リフトのように上昇し、特等席のようにバトルの様子を見下ろし、覗う事ができる。
「(へぇー、あいつらも来てたんだ)」
唯一ミナトだけは上からの視線に気づいてるのか、こちらに視線を向け烈我達とも目線が合い、軽く手を振って見せた。
『あいつも知り合いらしいな、どういう人間なんだ?』
「まぁただの友達ってだけだよ。バトルに関しては、まぁ強い方だとは思うけどまさかこんなところで会うなんて」
『あいつが選んだって事は実力はそれなりにあるって事だろ』
「あいつって、あの鮫の事だろ? いい加減俺達にも教えてくれよ」
『分かってると思うが、奴も七罪竜の一体。名前はキラーだ』
『キラーバイザーク、それが奴の名ですよ。ついでに言うと、「傲慢」の罪を司っているやつです』
「傲慢……成程、確かに罪通りの性格だな」
口添えするようなライトの言葉、「傲慢」という言葉に納得しながら光黄もキラーの姿を注視している。
「ところで烈我、俺はあまりミナトとバトルした覚えはないが、強いのか?」
「そう言えばミナトと光黄って、あんまり面識なかったっけ?」
「さっきの願いを聞く限り、あまり良い奴とは認識できないけどな」
「はは、まぁそこはノーコメント。けど、バトルはそれなりに強いぜ」
「ほら」と指差し、行われているバトルではミナトは順調に勝ち進めていた。
「それじゃホオジロタイガーでアタック!」
「ら、ライフで……うわぁっ!!」
丁度今行っているバトルも決着となり、ホオジロタイガーは相手ライフに喰らい付くと、そのまま最後のライフを砕く。
『そこまでだ、敗者はとっとと帰ってもらう!』
キラーの言葉と共に、負けた方の男性は、開いた空間の穴に飲み込まれ、一瞬視界が真っ黒になったかと思うと、次に視界が映るときには自分の元いた場所の光景が広がり、夢でも見ていたのかと頭を抱える。
「へぇー、本当に強制送還されちゃったよ」
『俺様は嘘が嫌いだ。嘘は弱い奴が口にする言葉だからな』
「はは、その性格なら信頼できる言葉だね」
『余計な会話は不要だ、とっとと次のバトルに移れ、それともわざと負けて帰りたくなったか?』
「冗談、連れて来られたとはいえ願いを叶えるビッグチャンスなんだ。意地でも優勝するぜ」
『ハッハ! 大口叩ける奴は嫌いじゃねぇ、その調子で頑張ることだな!』
キラーは一旦その場を後にし、ミナトもその後のバトルも勝ち続け、あっと言う間に残るはミナトを含めて二名だけとなり、そしてバトルもあっという間に終盤に差し掛かっている。
「轟魔神をホオジロタイガーとトライポセイドスに合体! そのままホオジロタイガーとトライポセイドスでアタックだ!」
相手の残るライフを全て削り取り勝利を収めると、バトル相手は元の場所へ送還され、入れ違いになるように観客席は元の高さまで降下し、烈我と光黄は一旦ミナトの元へ駆け寄る。
「よぉ、烈我。それに光黄ちゃんも、俺のバトル、見てくれてた?」
「気安い、ちゃん付けはやめろ」
「悪い悪い、気を悪くしないでくれ。可愛い女の子には、ついそう呼びたくなっちゃう性分でさ」
「おい、ミナト! 俺の事は無視かよ!!」
光黄に対する態度に苛立つように、前に出て睨むような視線を向ける烈我。「怖い怖い」とわざとらしい反応を見せる。
「悪かったよ、そんな気悪くすんなって。別にお前らまだ付き合ってないんだろ? それならそんあ嫉妬する事ねぇじゃねぇか」
「し、嫉妬とかそんなじゃねぇし!!」
「ははは、まぁ揶揄うのはこの辺にして、ここに居るって事は、当然お前ら二人もあの七罪竜って奴について、知ってんだろ?」
『知ってるも何も、そいつらは俺と同じ七罪竜の所持者だ』
「「「!!」」」
ミナトの疑問に対する解答を口にするキラー、『だからこそこの場に招いたんだがな』と続けながら前へと出て、キラーの言葉にバジュラとライトもミナトやキラーの前に顔を出す。
『相変わらずな奴だ。一応聞くが俺達を招いた理由は?』
『この俺様の所持者が決まる瞬間なんだ、お前等にもその記念になる瞬間を拝ませてやろうと思ってな』
「そ、それが理由で俺達も連れて来られたのかよ!」
「……いい迷惑だ」
『申し訳ございません光黄様、ですがこういう奴ですのでお諦めください』
呆れたような烈我と光黄に対し、ライトも同じく呆れたように頭を抱えながら言い放つ。一方で、キラー本人は笑いながら全く気にしている様子はない。
『さて話を戻すが、まずはここまで勝ち残ったお前を、俺の所有者として認める。光栄に思えよ!』
「はいはい、ありがたき幸せですよ。王様」
傲慢なキラーの態度を流しつつ手を差し出すと、キラーはカードの姿に切り替わり、ミナトの手に収まり、カードを手に取る。
「「海牙龍王キラーバイザーク」、これが願いを叶える七罪竜か」
「おい、ミナト。お前、分かってんのか? そのカードを手にするって意味!」
「何だ、もしかしてお前もこのカードが欲しいとか?」
「違う! そうじゃねぇ、そのカードを持ってる事は、危険な目に合うかもしれねぇって事だ!!」
「危険? そんなの別に気にする事じゃねぇさ」
「真面目に聞けって! 七罪竜を狙って奴らがいるんだ! お前がキラーを持つって事は、そいつらにこれから狙われるって事なんだよ!!」
ミナトに対して精一杯訴える様に叫ぶが、突然空気が変わったように、キラーのカードは再び鮫のような生物の姿に戻りだす。
「キラー?」
『どうやら、招いていない客が来たみたいだな』
「え?」
キラーの言葉に全員の顔色が変わる。そしてキラーの視線の先に突如空間の穴が開いたかと思うと、そこ立つ一人の男性の姿。
「ついに見つけた! 七罪竜の一体! それに、報告のあった2体もまとめているとは絶好の好機ですね!」
「お前は……っ!」
「私の名はシーク。罪狩猟団の一員にして、これからこの場の七罪竜を狩る者の名ですよ!」
警戒するように構える光黄や烈我、バジュラ達も同じく戦闘態勢に入るが真っ先に前へと出たのはキラーだった。
『ここは俺様の縄張りだ、ここでの揉め事、トラブルは全て俺が預かる』
「キラー?」
『人間、まだお前の名を聞いてなかったな。聞かせろ』
「牙威ミナト」
『そうか。ではミナト! 最終試験だ、そいつを排除しろ!』
それだけ言い捨てると、再びカードの姿に戻り、キラーのカードを手に取るミナト。
「やれやれ早速面倒事かよ。まっ、どっかの心配性の友達に分からせるいい機会かもな、心配無用ってことを!」
烈我達に視線を向けながら、キラーのカードをデッキに加える。
「ミナト!!」
「二人共そこで見てな。このバトル、キラーの力を試すのにうってつけだ!」
シークに対してデッキを構え、同じくシークもデッキを取り出す。
「舐められたモノだ! どこの誰とも知らない奴に負ける訳がない!」
「誰とも知らないのはお互い様だ、それと、負ける気がしないって自信があるのもな!」
「フッ、すぐにそんな口聞けなくしてやろう!」
キューブのような機械を足元に投げ入れると、二人の姿はバトルフィールドへと移り、その様子はスタジアム内のモニターに映され、烈我は試合の行方を見守る。
***
「バトルフィールド、さっきまでの試合とはどうも空気が違うみたいだな」
「当然だ、先行は貴様に譲ってやるが、精々覚悟するがいい」
「忠告のつもりか、まぁ譲ってくれるなら遠慮なくもらうぜ」
────第1ターン、ミナトside。
[Reserve]4個。
[Hand]5枚。
「……メインステップ、何もしない。このままターンエンド」
「何もしない?」
全く動かないことに少なからず驚いたように対戦相手であるシークを始め、後方で見ている烈我達も同じ反応だった。
「何やってんだよ、ミナトの奴! いきなり何もしないなんて!」
「……手札事故か。あるいは狙ってるのか」
光黄や烈我達の心配を他所にミナト本人は涼し気な表情。
────第2ターン、シークside。
[Reserve]5個。
[Hand]5枚。
「貴様がどんな手を持ってようとこちらはこちらのバトルをするだけ。ネコザメキャットを2体、それぞれLv.1で召喚だ」
二体のネコザメキャット、それぞれ前屈みの体制になりながら威嚇するように鳴き声を上げる。
「アタックステップ! ネコザメキャットでそれぞれアタックだ!」
「ライフで受けるぜ」
先手を取ったのはシーク。二体のネコザメキャットを即座に突撃させ、ミナトは全くノーガードのままライフで受けることを宣言すると、二体ともバリアに向かって突進。激突し、バリア破壊する。
「ッ!! これがここでのバトルか、かなり痛てぇ!」
「ふん、今更怖気づいたか」
「まぁ痛いのは勘弁だけど、これも願いを叶えるための試練だと思えばな」
「……何の話だ?」
「要するに負けられねぇって事!」
────第3ターン、ミナトside。
[Reserve]7個。
[Hand]6枚。
「……このターンも何もしない。ターンエンド」
「何だと!?」
連続して何もしないとの宣言。
────第4ターン、シークside。
[Reserve]4個。
[Hand]4枚。
[Field]ネコザメキャットLv.1(1)BP4000、ネコザメキャットLv.1(1)BP4000。
「やはり威勢だけだったようだな。海傭師団シャーガを召喚!」
フィールドが突如海面のように変化すると、海面より飛び出すは刃を掲げた鮫を模したスピリット、シャーガ。
「これで私のスピリットは3体。案外あっけなかったものだな」
「おいおい、まだバトルは終わっちゃいないぜ?」
「時間の問題だ、これですぐに終わらせてやる! 行け、シャーガ!!」
刃を構え、一気に切り掛かっていくシャーガ、だがこんな状況下でもあくまでミナトは冷静。全く表情を崩す事なく、手札の一枚に手を掛ける。
「フラッシュ! スプラッシュザッパー! 効果でコスト7以下のスピリットを3体破壊だ!」
「!」
突如としてフィールドに逆巻いて発生する渦潮、渦潮より飛び出す水の斬撃波が突っ込むシャーガもろとも二体のネコザメキャット達をまとめて切り裂き、破壊する。
「なっ!?」
「スピリット全滅、案外呆気なかったね」
「ッ!!」
意趣返しのように先程言われたことそっくりそのまま返す。ミナトに対して腹正しさを感じながら歯噛みし拳を握り絞めながらも「ターンエンド」とコールする。
────第5ターン、ミナトside。
[Reserve]8個。
[Hand]5枚。
「さてそろそろ動くか。ネクサス、No.36バーチャスアイランド、配置」
初めて場に呼び出すカード、まずは準備を整えるかのように後方に出現するネクサス。
「さらにアクセル! ラクシュマナを使うぜ。効果で2枚ドローし、その後2枚破棄だ」
捨てたカードは「海底国の秘宝」と「ストロングドロー」の2枚。そしてカードをトラッシュに送った瞬間、配置されたバーチャスアイランドに光が灯る。
「お互いの効果で自分の手札を破棄した時、ターンに1度、ボイドからコア1個をこのネクサスに置く。さらにバーストセットして、ターンエンド」
────第6ターン、シークside。
[Reserve]7個。
[Hand]4枚。
「こちらの場を一掃したのにも関わらず、攻めてこないとは拍子抜けだ!」
「こっちには色々やる事があるんだよ。一々気にしなくていいぜ」
「ならばこちらもこちらのする事をやるだけ。海将軍カニメデス、召喚!」
まずはがら空きとなったフィールドを立て直さなくては始まらない。スピリットを呼び出すと、渦潮を巻き上げながらフィールドへと現れるカニメデス。
「召喚時を持つスピリット、だな!」
「何!?」
「カニメデスは召喚時相手のコスト5以下のスピリットを全て破壊し、破壊したスピリット1体につきデッキを1枚破棄。俺に場に対象のスピリットはいないが、それでもその効果は強制的に発動されてる」
「それがどうしたというんだ!」
「こういう事、相手スピリットの召喚時発揮後でバースト! キングスコマンド!」
「!!」
「バースト効果で3枚ドローし、1枚破棄。さらにコストを支払って、お前のコスト4以上のスピリットはアタックできない!」
キングスコマンドの効果により、召喚されたばかりのカニメデスは硬直したように固まってしまい動かなくなってしまう。
「ついでにバーチャスアイランドの効果でコアブーストだ」
「ぐぐっ!! ターンエンド」
カニメデスがアタックできない以上、打つ手はない。ましても苛立ちを感じながらもターンエンドするしか手はない。
「ミナトの奴、最初はどうなるかと思ったけどやるじゃん! 光黄もそう思うだろ」
「あぁ、そうだな」
ミナトのバトルに感心するように感想を述べる烈我と光黄。
「序盤は動かずに相手を誘ってマジックによるカウンター、そして次に下地の準備。相手は相当ペースを乱されて、逆にあいつにとっては自分のペースでバトルを進められてる」
『さすが光黄様、冷静な分析です。油断ならない相手という事ですね』
「あぁ」
『なるほどな。あいつも中々面白そうだ、烈我、テメェも負けてられねぇぞ?』
「分かってるっての!」
感心する一方で光黄も烈我も油断ならない相手と感じ取っていた。顔なじみには違いない。光黄はともかく、烈我とはそれなり付き合いもあり、仲もいい方ではある。それでも、七罪竜に選ばれた一人として、いつか戦う。そんな予感が二人の脳裏から離れなかった。
────第7ターン、ミナトside。
「俺のターン、おっ!」
「!」
デッキから引いたカードに反応を見せるミナトに、シークも警戒するように構える。一方でミナトは口元を緩ませながら、バーチャスアイランドにたまったコアをリザーブに戻し、次の手を構える。
[Reserve]9個。
[Hand]6枚。
[Field]No.36 バーチャスアイランドLv.1(0)
「じゃあそろそろ真打ちの登場、任せますか。傲慢な王様!」
「傲慢……という事はッ!!」
口にした傲慢の言葉、それはこれから呼び出すであろうそのカードを表す言葉に他ならない。
「神をも恐れぬ大胆不敵の傲慢な王よ! 牙を研いでその傲慢な野望を実現させろッ! 海牙龍王キラーバイザーク、Lv.2で召喚!」
ラクシュマナは手元にある場合、そのシンボルを軽減コストに数える事ができる。
そしてキラーのカードをフィールドに呼び出すと、深海に蠢く巨大な影、眼光を輝かせながら海面へ一気に飛び出し、空中に飛び上がると同時に強大な咆哮を響かせ、その咆哮は一瞬にして海を荒れ狂わせ、嵐を巻き起こす。
『ついに出たか』
「あれが、傲慢の七罪竜」
『えぇ、荒々しい鮫龍。キラーバイザーク、それが奴の名ですよ』
『ハッハハハハハッ!! ついに呼んだな、この俺様を!!! キラー様をな!』
「おーおー、これが傲慢の七罪竜って奴の姿か。かなり迫力がすごいな」
『迫力だけじゃねぇ。直ぐに満足させてやるさ。この俺様の力でな!!』
「そいつぁ楽しみだ!」
『おぉ、お前だけじゃなく相手にも、そしてあいつらにも! この俺様の、最強の力を見せつけてやるよ!』
本当の姿を晒してなお傲慢な態度は一切変わっていない。ライトやバジュラの視線にも気付いているのか、視線の方向に一瞬目線を向けつつ、傲慢の名に恥じない程、自信に満ちている。
「キラーバイザーク。そのカード、必ず貰いますよ!」
「やだね、折角苦労して手に入れたカード、それに願いも叶えてくれるっていうんだ、絶対手放すかよ」
「お前の意思は聞いてない、力づくでも奪い取ります!」
「やれるもんならやってみろ、キラーバイザークの効果発揮! 【
再びキラーは眼光を輝かせると、再び飛び上がり、勢いよく海面に向けて飛び込み、海の中にその姿を眩ませる。
「は!? ど、どこに消えた!!」
「さぁな、俺はこれでターンエンドだ」
────第8ターン、シークside。
[Reserve]7個。
[Hand]4枚。
[Field]海将軍カニメデスLv.1(1)BP4000。
「何を企んでるかは知らないが、目にもの見せてやりますよ! 見るがいい、わがキースピリットを!」
キラーの迫力に一瞬怯みながらも、すぐにその怯みは笑みに変わる。手札を噛めながら、自分の切り札であるキースピリットのカードを構える。
「神槍と恐れられしその一撃で敵を海の底へ沈めろ! 三叉神海獣トリアイナ、召喚ッ!!」
海より天に向けて逆巻く激流、激流を伝い、海より登り上がる獣の影、そして激流を吹き飛ばし、トリアイナがゆっくりとフィールドに降り立つ。
「トリアイナの召喚時効果! コスト3以下のスピリット3体と最もコストの高い相手スピリットを破壊できる! 例え七罪竜だろうがこの効果の前に破壊してくれますよ!」
トリアイナは吠えながら激流を巻き起こすと、海面に向けて撃ち込み、激しい水飛沫を打ち上げる、だが。
「(手応えが、ない?)」
激流を撃ち込まれた後の海面は小波を立てる程度で、大きな反応はまるでない。獲物を仕留めきれたのかトリアイナも確証できていないのか、確かめるように海面を見渡す。
「アハハハハハハ、その程度じゃキラーは倒されねぇよ」
「な、何!?」
「教えてやるよ、【潜水】はフィールドからその存在を隠す効果。海に身を潜めてる間のキラーにはどんな効果も通じない。いや、そもそも対象にすら出来ねぇのさ!」
「!?」
どんな効果も通じない。フィールドに存在しない以上、リュキオースの龍射撃だろうがその効果を受けることはない。文字通り無敵とも思える効果にたじろぎながらも、すぐに落ち着きを取り戻すようにバトルに意識を戻す。
「ふっ、トリアイナの効果は通じない事は理解した。だがフィールドに存在しないであれば貴様の身を守るスピリットはいないという事だな?」
勝機を見出したように笑みを浮かべ、アタックステップ開始と共にカニメデスとトリアイナは一斉に構える。
「トリアイナでアタックだ! アタック時効果で貴様のデッキを5枚破棄!」
頭部の角より雷撃をミナトのデッキに撃ち放つと、5枚のカードがデッキから弾け飛び、「探索者アレックス」、「海皇神龍トライポセイドス」、「ホオジロタイガー」、「轟魔神」、「白晶防壁」の5枚がトラッシュに送られる。
「トリアイナの効果はまだ続く、破棄したカードの中にスピリットカードがある場合、3枚につき1コアをボイドからこのスピリットに置ける。コアブーストし、そしてメインのアタック、トリアイナ! やってしまえッ!!」
シークの指示にトリアイナは強く吠えながら、より一層強くフィールドを駆け抜け、ミナトへと飛び掛かって行く。
「ばーか。キラーはフィールドに存在していないなんて誰が言った? 俺は、海に身を潜めてる。そう言った筈だぜ?」
「何!?」
「気を付けろよ、海に身を潜める奴らが狙うのは獲物が来た瞬間だ」
「獲物、まさか……!!」
察するようなシークの表情、対照的にミナトは口角を大きく上げながら合図を送るように手を翳す。
「あぁそうさ、キラー! 浮上しろ!!」
ミナトの合図とともに大きく水飛沫を上げながら海面から飛び出す巨大な影、キラー。飛び掛かろうとするトリアイナの真正面に現れ、そのまま突進すると不意の一撃に後方に弾き飛ばされる。
「何だと!? いきなり現れるなんて、これがキラーバイザークの、能力!」
「すげぇ効果だろ、まぁ俺も初めてなんだが。とにかくトリアイナの攻撃はキラーでブロックさせるぜ!」
「ぐっ! トリアイナ、突っ切るんだ!!」
弾き飛ばされながらも態勢を整えると、今度は標的をキラーに定め、再び勢いよく駆け出す。駆け出すその身に激流を纏わせると、螺旋を描くように回転し、スピードをさらに加速させていき、それはまさに神槍より繰り出される一撃の如し。
だが、キラーは大きく口を開いたかと思うと突っ込むトリアイナに対し、その攻撃に喰らい付くと、回転を抑え込むように牙を突き立て、文字通り攻撃を真っ向から喰い止める。
『この程度か、よッ!!』
そのままトリアイナを空中へ放り投げると、そのまま自身も飛び上がり、宙に浮かんだトリアイナを噛み裂き、噛み裂かれたトリアイナは絶叫を上げながらその場で爆発四散する。
「ば、馬鹿な!! ぐっ! ターンエンド!」
「ははっ、やっぱそうするしかねぇよな」
「いい気になるなよ! 私のライフはまだ5つ全て残っている! 勝負まだこれからだ」
悔しさのあまり舌打ちながらコールするも現状はそれしか手はない。だがまだ依然としてシークのライフは5つ全て残っている。次のターンで巻き返す事は十分可能。あくまで平静を保つ様に言い放つ。
────第9ターン、ミナトside。
[Reserve]8個。
[Hand]5枚。
[Field]No.36バーチャスアイランドLv.1(0)、海牙龍王キラーバイザークLv.2(2)BP12000。
「さてと、キラー。これから一緒に戦う仲として、俺のキースピリット、紹介するぜ!」
『ほぉ、面白い見せてみろ』
「あぁ! よーく見てな!」
手札の一枚を構え、キラーの言葉に返事を返しながらそしてコールする。
「三つ首の獣、本能のままに叫び! 敵を威圧する咆哮を! 勝利への雄叫びを上げろッ!! 戌の十二神皇グリードッグ、召喚ッ!」
フィールドに出現する煉獄の門、青き炎を灯しながら煉獄の門を開くと中には鎖に繋がれた獣の姿。鎖に繋がれた三つ首の獣は吠え立てながら鎖を力一杯引っ張り、鎖を強引に引き千切ると、煉獄の門を飛び出す獣────グリードッグは一気にフィールドへと駆け抜けて行く。
「これで終わりじゃない、さらにとっておきを見せてやる!」
「まだ何か、あるのか!?」
「あぁ、行くぜ! 派手に散らせ! 豪快に暴れ狂えッ! 召喚、轟魔神ッ!!」
海面を飛び出す影、水飛沫を浴びながら半透明な体を持つ轟魔神。
「轟魔神! グリードッグとキラーに合体だ!」
現れて早々両腕を翳し、キラーとグリードッグにそれぞれ波動を撃ち込んで己の体とリンクさせると、轟魔神の体が実体化し始める。
『ハッハーァッ!! 下準備は終わりか? ならばとっとと決めるぞ!』
「おぉ、そうだな。だったら遠慮なく、暴れてもらうぜ! アタックステップ! まずはグリードッグ、お前から行けッ!」
轟魔神の合体効果は左右共にアタックしたスピリットを最高レベルとして扱う効果。轟魔神は片腕をグリードッグに翳すと恩恵を与えるようにグリードッグに纏う光、その光は力となってグリードッグのレベルを一気に引き上げる。
「グリードッグのアタック時効果、【封印】! ソウルコアを俺のライフに置く!」
ソウルコアの赤い輝きがライフへと灯り、グリードッグは三つ首共により強大な咆哮を上げると、咆哮は海面を大きく揺らす。
「封印時の効果、【強奪】発揮! お前の手札にあるマジックカードを破棄し、そのカードの効果を使用することもできる!」
「ッ!!!」
「さぁお前の手札を奪わせてもらうぜ!」
グリードッグは吠え立て、強制的に相手の手札を公開させると、手札のカードは「俊星流れるコロッセオ」、「天蠍神騎スコルスピア」、「コノハガニン」、「リミテッドバリア」の4枚。
「マジックカードあり! 【強奪】の効果でそのリミテッドバリアは破棄させてもらうぜ!」
オープンされたリミテッドバリアに喰い付き、奪い取るとそのまま牙でリミテッドバリアを噛み砕き、消滅させてしまう。
「これでお前の防御札はなくなった! グリードッグLv.3効果により、相手の手札が減った場合、回復する!!」
「おのれぇッ!! ライフだ!」
展開されるバリアに飛びつくと、三つ首はそれぞれバリアに喰らい付き、深く牙を喰い込ませてバリアに亀裂を走らせると、そのまま噛み砕き、バリアを破壊する。
「ぐあっ!!!」
残るライフは3つ。さらに追撃するように、今度は『俺の番か!』とキラーも続くように、獲物であるシークを前に咆哮を上げる。
「キラーバイザーク、アタックだ!」
その指示にまるでミサイルのような勢いで海面を突っ切り、シークの目前にまで秒速で迫ると、飛び上がると同時にバリアに喰らい付き、そのまま噛み砕く。
「があああああッ!!!」
「キラーバイザークの効果、バトル終了時、このスピリットを回復させ、【潜水】の効果を発揮できる!」
再び海面に潜り身を潜め、その気配を断つ。
「次だ! グリードッグ! 再アタック!」
「まだ私にはブロッカーが残ってる! カニメデス、ブロックしろ!」
アタック時で【強奪】の効果が発揮されるが既にシークの手札にマジックはなく効果は不発。一方で海面を駆け抜けるグリードッグの前にカニメデスは真っ向から立ち塞がり、その行く手を阻む。
「フラッシュだ! キラーバイザークを再びフィールドに戻す!」
「何ッ!!?」
二体が激突する直前、海面から再び浮上し、獲物に狙いを定めるかのように牙を構える。
「キラーバイザーク、これが……奴の能力の全て」
「初陣にしては上々だ、お陰で戦い方も見えてきた。バトルしてくれたアンタには礼を言っとくぜ」
「この状況で、皮肉のつもりですかッ!!」
「さぁな、けどとっとと終わらせるぜ! グリードッグ!!」
継続しているバトル。カニメデスは鋏をグリードッグに向けて突き出すが、それを一頭の首が鋏に喰らい付いて受け止め、ならばともう片腕の鋏を突き出すが今度は別の首が鋏に噛み付き、両腕とも受け止める。
咄嗟に腕を引き抜こうにも二頭の首はそれぞれ牙を突き立てて決して離さず、その場から身動きが取れないカニメデスに対し、空いた首は口を開き、カニメデスに光線を撃ち放ち、零距離で撃たれた攻撃にひとたまりもなく、破壊され大爆発を起こす。
「最後は任せるぜ、キラー!」
『俺様をメインに立てるとは分かってるじゃないか! 期待通り、フィニッシュを決めてやるよッ!!!』
「や、やめろ! 来るなッ!!」
シークの言葉とは裏腹に、キラーは背鰭を残して海面に身を沈めながらシークへ進撃。再び海面を突き進みながら、シークの目前まで迫ったかと思うと、背鰭ごと海面へ深く潜る。
再び姿を消したキラーに一瞬安堵しつつ、様子を覗おうとするが、次の瞬間、海面が大きく盛り上がり始めたか思うと、それは巨大な津波となってシークへと襲い掛かる。
「!!?」
驚く間もなく、津波はバリアを飲み込み、水圧にバリアは至る箇所に皹を入れ始め、その衝撃に何とか堪えるシークだが、次に彼が目にしたのは波の中に蠢く影と、鋭く光る眼光。
「や、やめろ!!」
正体は言うまでもない。波が過ぎ、光が見えたかと思うと、次の瞬間にはその光を隠すように映るキラーバイザークの姿。
「うわああああああああああッ!!!」
大きく口を開き、その牙をバリアに突き立てると最後のライフを容赦なく噛み砕き、決着となる。
***
バトルが終わり元の場所へと戻るミナト。バトルを終え辺りを見回すが、何時の間に消えたのか、既にその場にシークの姿はない。
『乱入者には逃げられちまったみたいだな』
「そうだな。まっ、お前の力も見れたしひとまず上々って事で」
『軽い奴だ。まぁいい、ところで俺様を使ってみた感想は?』
「悪くない。最強っていうだけの力はある、それでそっちはどうだったんだ? 俺に使われてみた感想は?」
『同じだ。俺の目に狂いはなかった、お前は俺を扱うに足る使用者だと認めてやる』
「光栄ですね、じゃあ願いの方も頼むぜ」
『お前次第だ、今後戦う奴らは』
ライトとバジュラに視線を向け、二体もキラーの視線とその殺気に気付いてるのか警戒するようにキラーを睨む。
一方でバトル終えたミナトの元へ、烈我達もその場に駆け寄る。
「ミナト! バトルお疲れ、あれがキラーの力か」
「サンキュー。まっ、キラーの奴もこれからもっと扱える用意するさ」
軽く烈我に挨拶を返しつつ、「それより」と光黄の方に視線を向ける。
「光黄ちゃん! 俺のバトル見てくれた、格好良かったでしょ?」
「!」
咄嗟に手を握りながら笑顔を向けるミナトだが、光黄は手を慌てて振り払う。
「気安い。それに、ちゃん付けはやめろ」
「相変わらずツンとしてる態度。まっ、そこが魅力でもあるけどね」
「揶揄うな、それに烈我にも言ってるが、俺は弱い奴には興味ない」
「へぇー、さっきのバトルもしかして見てくれてなかった? 今の俺、超強いって自負してるけどね。勿論、今の俺は光黄ちゃんよりも強い」
「!!」
「かもね」
挑発的にも取れるミナトの態度に構えようとするが、真っ先にミナトの前に飛び出すのはライトと烈我の二名。
「ミナト、それ以上は俺とバトルしてからにしてもらおうか!」
『いいえ、私が先です。光黄様に馴れ馴れしい態度は許せません! どっかのバジュラ使いにも、断じて光黄様は渡しません!』
「はぁ!? 何でお前にそんなこと言われなきゃならないんだよ!」
『五月蠅いんですよ、私に言わせればアンタも充分警戒対象なんですよ!!』
「警戒するのはお前も同じだ! バジュラからも下心ありのスケベ龍とか言われてる癖に!!」
『黙れ、あんな奴の言葉信じるんじゃねぇですよ! というか下心とかアンタに言われる筋合いないわ!!』
「バカ共」
「あらら、見ない間に随分修羅場ってるわ」
ミナトをそっちのけでそのままライトに掴みかかる烈我に、ライトも体当たりしながらそのまま乱闘。二人の様子に光黄は恥ずかしそうにしながらも呆れたように溜息をつき、ミナトも軽く笑いながら二人の様子を見ている。
『おいキラー、テメェの選んだ人間は随分面白そうな奴じゃねぇか』
『面白そうなのはお前が選んだ人間も一緒だろ? それにライトが選んだ人間も中々悪くねぇ』
キラーの傍に寄るバジュラ。持ち主達を他所に声を駆け、キラーも烈我達を見ながら、笑って返事を返す。
『ところでキラー、テメェ自分が最強だって言ってたが、相変わらず罪に見合う程の自信だな』
『自信じゃねぇ、確信だ。持ち主の技量を無しにしても俺はお前より強いぞ?』
『はは、相変わらずムカつく野郎だ、何なら試してみるか?』
一発触発の二体、険悪舌ムードが流れるが、数秒間を置いたのち、キラーは口角大きく上げる。
『今はやめとこう、流石に二戦目でいきなりテメェとやり合おうとは思ってねぇ』
『わざわざ俺達を縄張りに呼んでおいてか?』
『それについては説明したはずだぞ、今日はあくまで俺の力を見せ付ける為の余興だ。本番の時期じゃねぇ』
『回りくどい野郎だ、やるならやるで構わねぇんだぞ』
『俺様はお前と違って気が長いんだ。それに焦らなくても、俺とお前が戦う日は近い内に来るさ。精々それまで首を洗って待ってるんだな』
『そっくりそのままテメェにお返しするぜ』
依然とした険悪とした様子の二体だが、一旦会話を終えてミナトや烈我達の元に戻り、一方でミナトは見兼ねた様に「まぁまぁ」とライトと烈我の仲裁に入り、二人を宥める。
「とりあえず改めて、同じ七罪竜を持つ者同士、よろしくな。烈我」
「お、おぉ」
さっきの光黄に対する態度を見る限り、油断ならない相手だがそれでも彼とは顔なじみであり、一先ず差し伸べられた手を握り、握手を交わす。
「光黄は絶対お前に渡さないからな」
「……相変わらずだね、けどな」
烈我の肩を叩きつつ、小さく小声で。
「(あんまりじれったいのは見てられねぇぜ。とっとと告白でもなんでも済ませろよ)」
「!!」
「(けど、まだまだお前が告白できる未来は遠そうだけどな)」
「(テメェ!!)」
「まぁ頑張れよ」と肩を叩き、揶揄うような笑みを浮かべるミナトに、恥ずかしさからか、顔を真っ赤にしながら。
「大きなお世話だ! お前なんかに言われるまでもねぇ!!」
「ははは、まぁこれからよろしく頼むぜ」
「うるせぇ!! お前なんか知るかぁッ!!」
***
「も、申し訳ありません。新たに目覚めた七罪竜、キラーバイザーク、確保には至りませんでした」
舞台は変わり、スピリッツエデンのある場所に建てられた王宮内部。バトルに敗れたシークの姿があり、とある人物を前に平伏している。
「キラーバイザーク、その能力については報告した通りか?」
「はい、ガイト様」
ガイトと呼ぶ人物、青みが掛った白髪の髪に、まだ幼さの残る人物。
「そうか、ならテメェはもう用済みだ」
「お、お待ちを!! ガイト様────!!」
その言葉は残酷なまでに冷酷で無慈悲、許しを請うシークに、躊躇なく手を振り下ろすと、突如として彼の足場の床が抜け、そのまま真っ逆様に暗闇の底へ落ちてゆく。
「判明した七罪竜は三体、残る4体も含め、必ず手に入れてやるぜ」
ガイトと呼ばれる人物、その正体はドレイク達と同じ罪狩猟団に所属し、そして帝騎に数えられし一人。不敵な笑みを零しながら、彼は高笑いを上げる。
海牙龍王キラーバイザーク、コスト8(4)、青
系統:海首、罪竜
Lv.1(1)BP9000、Lv.2(3)BP12000、Lv.3(4)BP16000。
Lv.1、Lv.2、Lv.3 フラッシュ:【
このスピリットと、このスピリット上のコアを全てデッキの横に置く。この効果でデッキの横に置かれたコアは一切の効果で使用できず、この効果はターンに1度しか使用できない。
Lv.1、Lv.2、Lv.3 フラッシュ
デッキの横に置かれたこのカードを元の状態でフィールドに戻す。
Lv.2、Lv.3 『このスピリットのバトル終了時』
このスピリットを回復状態にする事ができ、そうした場合、このスピリットの【潜水】の効果を発揮する。
第5話目、今回活躍してくれたキラーの能力になります!
作中でミナトの言ってた通り、フィールドからいなくなる事で、どんな効果にも対象を取られず、現状考えうる最強の防御効果ではないかと!
近頃は装甲や相手効果を受けないというのは書いてるだけで、もう無敵の耐性ではないですからね。主にリュキオースとラグマンティス……orz
早くも七罪竜は3体目の登場、今後どのような七罪竜なのか、そして罪狩猟団や烈我達は今後どうなるのかも期待してくだされば幸いです!今後とも宜しくお願いします!